わが 国 の 自 治 体 立 病 院 の 主 流 は 地 方 公 営 企 業 法 の 財 務 規 定 のみが 適 用 される 一 部 適 用 と なるが 近 年 はこれを 全 部 適 用 とし 企 業 管 理 者 を 設 置 することにより 人 事 労 務 等 をも 委 ねる 手 法 を 採 用 する 事 例 が 段 階 的 に 増 えつつある 下 記 図 1.15 は 経 営 のあり 方 の 差 異 からこの 二 つ の 類 型 を 纏 めたものである 図 1.15: 地 方 公 営 企 業 法 の 全 部 適 用 と 一 部 適 用 ( 経 営 のあり 方 の 差 異 ) 内 容 法 の 適 用 のあり 方 管 理 責 任 者 全 部 適 用 の 場 合 財 務 規 定 のみではなく 企 業 管 理 者 の 設 置 や 組 織 人 事 労 務 ( 職 員 の 身 分 取 り 扱 い)に 関 する 規 定 など 地 方 公 営 企 業 法 の 全 部 を 適 用 ( 当 該 地 方 公 営 企 業 の) 事 業 管 理 者 地 方 公 共 団 体 の 長 が 任 命 ( 特 別 職 地 方 公 務 員 ) 一 部 適 用 の 場 合 地 方 公 共 団 体 立 病 院 の 通 常 の 経 営 形 態 地 方 公 営 企 業 法 の 財 務 規 定 のみ( 経 営 の 基 本 原 則 特 別 会 計 の 設 置 経 費 分 担 の 原 則 等 )を 適 用 地 方 公 共 団 体 の 長 地 方 公 共 団 体 の 長 の 補 助 機 関 地 方 公 営 企 業 の 業 務 執 行 権 と 代 表 権 を 有 し 当 該 業 務 の 執 行 に 関 し 当 該 地 方 公 共 団 体 を 代 表 する( 予 算 調 整 条 例 提 出 過 料 賦 課 等 一 部 を 除 く) 内 部 組 織 の 設 置 職 員 の 任 命 給 与 等 の 身 医 療 法 上 の 病 院 管 理 者 ( 病 院 長 ) 地 方 公 共 団 体 の 長 等 との 関 係 分 取 り 扱 い 予 算 の 原 案 説 明 書 作 成 資 産 の 管 理 購 入 処 分 契 約 の 締 結 労 働 協 約 の 締 結 事 業 管 理 者 が 任 命 する 者 設 置 条 例 で 設 置 及 び 経 営 の 基 本 を 定 め その 他 は 事 業 管 理 者 が 企 業 管 理 規 程 で 制 定 ( 管 理 規 定 の 制 定 権 ) 地 方 公 共 団 体 の 長 は 地 方 公 営 企 業 に 係 る 予 算 の 調 整 議 会 への 議 案 の 提 出 過 料 賦 課 等 の 権 限 を 留 保 地 方 公 共 団 体 の 長 は 出 納 取 扱 金 融 機 関 の 同 意 な ど 法 定 事 項 に 限 り 関 与 地 方 公 共 団 体 の 長 は 地 方 公 営 企 業 の 業 務 と 地 方 公 共 団 体 の 他 の 事 務 との 間 の 調 整 を 図 るため 必 要 がある 場 合 に 限 り 地 方 公 営 企 業 の 業 務 の 執 行 地 方 公 共 団 体 の 長 が 任 命 する 者 設 置 条 例 で 設 置 及 び 経 営 の 基 本 を 定 め その 他 は 地 方 公 共 団 体 の 長 が 規 則 等 で 制 定 32
組 織 について 必 要 な 指 示 をすることができる 設 置 条 例 で 設 置 及 び 経 営 の 基 本 を 定 め その 他 は 事 業 管 理 者 が 企 業 管 理 規 程 で 制 定 設 置 条 例 で 設 置 及 び 経 営 の 基 本 を 定 め その 他 は 地 方 公 共 団 体 の 長 が 規 則 等 で 制 定 職 員 の 任 命 事 業 管 理 者 が 任 命 地 方 公 共 団 体 の 長 が 任 命 職 員 の 身 分 地 方 公 務 員 ( 企 業 職 員 労 働 組 合 の 結 成 団 結 権 団 体 交 渉 権 が 認 められるが 争 議 権 は 認 められな 地 方 公 務 員 ( 職 員 団 体 の 結 成 可 当 局 と 職 員 団 体 と の 協 定 締 結 可 但 し 法 的 拘 束 力 はない) 職 員 の 給 与 一 般 会 計 からの 繰 入 い) 一 部 適 用 のときの 要 件 に 加 え 当 該 地 方 公 営 企 業 の 経 営 状 況 その 他 の 事 情 等 を 考 慮 して 企 業 独 自 の 給 料 表 を 設 定 可 ( 人 事 委 員 会 勧 告 の 対 象 外 ) 給 与 の 種 類 及 び 基 準 は 条 例 で 制 定 給 与 の 額 及 び 支 給 方 法 等 の 詳 細 は 労 働 協 約 企 業 管 理 規 程 等 による( 条 件 等 は 法 律 及 び 条 例 に 基 き 労 働 協 議 を 経 て 管 理 者 が 決 定 ) 地 方 公 営 企 業 法 に 基 づき 負 担 金 補 助 金 として 繰 入 可 一 般 の 地 方 公 務 員 と 同 様 に 給 与 の 額 及 び 支 給 方 法 は 条 例 で 定 められる ( 人 事 委 員 会 勧 告 の 対 象 ) 給 与 は その 職 務 と 責 任 に 応 ずるものでなければなら ない 給 与 は 生 計 費 並 びに 国 及 び 他 の 地 方 公 共 団 体 の 職 員 並 びに 民 間 事 業 の 従 事 者 の 給 与 その 他 の 事 情 を 考 慮 して 定 めなければならない 地 方 公 営 企 業 法 に 基 づき 負 担 金 補 助 金 として 繰 入 可 1.6.3 自 治 体 立 病 院 を取 り 巻 くその 他 の 労 働 関 係 の 枠 組 み: 自 治 体 立 病 院 の 人 員 構 成 の 複 雑 さは 正 規 職 員 たる 企 業 職 員 も 地 方 公 共 団 体 の 一 般 職 と 同 様 に 定 員 管 理 の 対 象 になることにある 多 くの 地 方 公 共 団 体 においては 民 間 企 業 のように 利 潤 を尺 度 に 事 業 経 営 の 効 果 を 測 定 することができないという 理 由 から 自 主 的 な 定 員 管 理 により 公 務 員 数 が 不 必 要 に 増 大 しない 配 慮 が 実 践 されている かかる 事 情 により 総 数 を 規 定 し 人 員 の 増 加 を 極 力 抑 えながら 規 定 定 員 の 枠 内 での 配 置 転 換 等 により 効 果 的 に 業 務 を 担 う 慣 行 が 各 地 方 公 共 団 体 において 定 着 している 一 方 現 業 を 抱 えている 部 門 ではこの 定 員 管 理 が 逆 に 業 務 量 の 増 減 に 応 じて 効 果 的 に 職 員 を 配 置 することができない 硬 直 的 な 実 態 をもたらしてしまってい る 病 院 組 織 もこの 例 外 ではなく 現 実 には 業 務 のニーズに 応 じて 定 数 外 の 職 員 として 臨 時 職 員 を 雇 用 し 業 務 の 増 加 に 対 応 しているという 状 況 が 存 在 する 自 治 体 立 病 院 にも 非 正 規 職 員 た る 臨 時 職 員 は 数 多 く 存 在 するが これら 臨 時 職 員 は 公 務 員 としての 身 分 保 障 が 存 在 するわけで はなく かつパート 労 働 法 19 の 適 用 除 外 対 象 でもあり 制 度 上 は 極 めて 不 安 定 な 状 態 における 雇 用 関 係 になる 趨 勢 的 には 正 規 公 務 員 の 任 用 形 態 をできうる 限 り 多 様 化 し 多 様 な 形 で 自 治 体 の 現 場 における 労 働 需 要 を 満 たす 手 法 が 考 慮 されることになると 推 察 できうるが 現 段 階 では 職 員 の 任 用 に 関 しては 多 種 多 様 な 制 約 要 因 が 存 在 し 柔 軟 性 に 欠 けているというのが 実 態 である 20 19 短 時 間 労 働 者 の 雇 用 管 理 の 改 善 等 に 関 する 法 律 ( 平 成 5 年 法 律 76 号 最 終 改 正 平 成 14 年 法 律 170 号 ) 20 制 度 の 将 来 的 方 向 性 は 地 方 公 共 団 体 にとり 職 員 の 任 用 形 態 を 多 様 化 し 職 員 の 処 遇 システムを 能 力 業 績 主 義 へと 転 換 させる 方 向 にあると 推 察 される これにより 地 方 公 共 団 体 にとっての 人 材 活 用 の 柔 軟 性 が 増 すと 33
下 記 図 1.16 は 地 方 公 営 企 業 組 織 における 正 規 職 員 と 非 正 規 職 員 で 理 論 的 に 存 在 しうる 任 用 のあり 方 と 職 員 の 身 分 を 概 観 したものである 自 治 体 立 病 院 においては 正 規 職 員 が 主 流 で これ に 非 常 勤 職 員 を 組 み 合 わせる 手 法 が 採 用 されており 正 規 職 員 として 多 様 な 手 法 を 活 用 し 任 用 のあり 方 を 多 様 化 するという 事 例 はあまり 見 ることができない 図 1.16: 地 方 公 営 企 業 組 織 における 正 規 職 員 と 非 正 規 職 員 ( 処 遇 の 差 異 ) 正 規 公 務 員 ( 常 勤 職 員 ) 正 規 職 員 : 終 身 雇 用 を 前 提 とした 正 式 任 用 職 員 関 連 法 : 国 家 公 務 員 法 人 事 院 規 則 地 方 公 務 員 法 尚 労 働 基 準 法 雇 用 保 険 パート 労 働 法 ( 短 時 間 労 働 者 の 雇 用 管 理 の 改 善 等 に 関 する 法 律 )は 適 用 除 外 一 方 企 業 職 員 の 場 合 には 地 方 公 営 企 業 等 労 働 関 係 法 労 働 組 合 法 労 働 関 係 調 整 法 最 低 賃 金 法 が 適 用 される 雇 用 は 行 政 処 分 で 任 用 雇 用 契 約 労 働 契 約 があるわけではない 公 務 員 は 雇 用 保 険 の 適 用 除 外 となるため 失 業 し ても 失 業 給 付 を 受 けることができない( 雇 用 保 険 法 ) 国 家 公 務 員 の 失 業 の 場 合 には 国 家 公 務 員 退 職 手 当 法 の 適 用 地 方 公 務 員 の 場 合 には 各 地 方 公 共 団 体 が 定 める 退 職 手 当 条 例 が 適 用 される 任 期 付 職 員 : 3-5 年 の 期 間 を 限 って 雇 用 される 職 員 で 平 成 14 年 に 制 度 化 ( 民 間 の 高 度 な 専 門 的 知 識 経 験 のある 人 材 を 任 期 を 限 って 採 用 するもの) 短 時 間 勤 務 地 方 公 務 員 : 地 方 公 務 員 法 改 正 により 最 低 で 週 20 時 間 の 短 時 間 勤 務 を 行 うことができる 地 方 自 治 体 の 常 勤 職 員 地 方 公 務 員 法 は 職 員 の 勤 務 時 間 について 条 例 で 定 め る としているが 地 方 公 務 員 は 国 家 公 務 員 に 準 拠 するという 原 則 から 各 自 治 体 とも 週 40 時 間 勤 務 とする 国 家 公 務 員 に 関 する 規 定 を 準 用 していた 地 方 公 務 員 法 の 改 正 によって 勤 務 時 間 の 一 部 を 休 業 に 充 てることができる と 規 定 が 変 更 総 務 省 は 具 体 的 な 勤 務 時 間 として 自 治 体 に 示 す 条 例 モデルでは 下 限 を 週 20 時 間 と 示 している 再 任 用 制 度 : 平 成 13 年 に 制 度 化 一 旦 退 職 した 者 を1 年 以 内 の 任 期 を 定 め 任 用 する 制 度 非 正 規 公 務 員 ( 臨 時 非 常 勤 職 ) 定 数 外 職 員 臨 時 的 任 用 ( 臨 時 職 員 ): 期 間 は 6 ヶ 月 更 新 は1 回 のみと 規 定 ( 民 間 の 場 合 には 契 約 期 間 を1 年 を 超 えな いとあるが 更 新 は 禁 止 されていない) 任 用 に 係 わる 地 方 公 務 員 法 上 の 法 的 位 置 づけが 曖 昧 パート 労 働 法 の 適 用 除 外 法 律 の 谷 間 ( 制 度 上 の 身 分 保 障 があるわけではな い) 非 常 勤 職 員 ( 一 般 職 非 常 勤 ): 公 務 員 法 共 済 組 合 法 の 適 用 除 外 身 分 保 障 は 無 く 総 務 省 解 釈 では 報 酬 と 費 用 弁 償 のみ 組 合 がある 大 阪 兵 庫 などでは 一 時 金 退 職 金 等 を 支 給 している 共 に 将 来 的 には 自 治 体 間 での 一 層 の 人 材 交 流 や 流 動 化 あるいは 公 務 労 働 市 場 の 形 成 へと 繋 がるものと 予 想 される 34
地 方 公 務 員 は 制 度 上 原 則 として 地 方 公 務 員 法 上 の 規 定 に 基 づき 職 域 団 体 しか 結 成 で きないが 地 方 公 営 企 業 法 の 適 用 を 受 ける 企 業 職 員 は 例 外 として 地 方 公 務 員 ではあるが その 業 務 の 実 態 が 民 間 に 近 いことにより 労 働 組 合 の 結 成 団 結 権 団 体 交 渉 権 が 制 度 上 認 められ ている 21 かかる 事 情 により 自 治 体 職 員 の 処 遇 が 課 題 になる 場 合 組 合 問 題 は 避 けて 通 れない 大 きな 課 題 となる 但 し 民 間 部 門 における 組 合 と 異 なり 組 合 による 争 議 権 の 設 定 は 認 められ ていない また 地 方 公 営 企 業 の 管 理 及 び 運 営 に 関 する 事 項 は 制 度 上 管 理 者 の 専 権 となり 団 体 交 渉 の 対 象 とすることはできないとされている 一 方 地 方 公 営 企 業 としての 自 治 体 立 病 院 の 経 営 運 営 上 の 政 策 指 針 に 基 づき 企 業 職 員 の 配 置 転 換 や 職 務 や 組 織 の 縮 小 改 変 に 伴 う 職 員 の 異 動 などが 生 じる 場 合 があるが この 場 合 管 理 者 は 制 度 上 自 由 な 裁 量 権 を 行 使 できうるか 否 かに 関 しては 微 妙 な 側 面 がある これは 組 合 が 管 理 者 の 判 断 事 項 が 職 員 の 労 働 条 件 や 処 遇 などに 影 響 がありうると 判 断 した 場 合 団 体 交 渉 権 は 成 立 しうるという 立 場 をとっていることによる 管 理 者 にとっての 管 理 運 営 事 項 が 同 時 に 企 業 職 員 の 労 働 条 件 に 係 わる 場 合 には この 線 引 きは 微 妙 になってしまう 22 かかる 事 情 に 基 づき 職 員 や 組 合 との 不 要 な 軋 轢 を 防 ぐ 意 味 においても 職 員 の 処 遇 に 係 わりうる 問 題 に 関 しては 予 め 該 当 する 職 員 や 組 合 との 対 話 や 合 意 形 成 が 必 要 な 手 順 となってしまう 管 理 者 が 業 務 遂 行 上 必 要 となる 組 織 の 合 理 化 や 改 変 などを 企 画 し 実 践 する 場 合 にはこれは 必 須 の 手 続 きとなること を 意 味 している 図 1.17: 地 方 公 営 企 業 等 労 働 関 係 法 ( 抜 粋 ) 1. 労 働 組 合 を 結 成 し もしくは 結 成 せず これに 加 入 し もしくは 加 入 しないことができる( 地 公 労 法 5 条 1 項 ) 2. 団 体 交 渉 権 が 認 められる 但 し 公 営 企 業 の 管 理 及 び 運 営 に 関 する 事 項 は 団 体 交 渉 の 対 象 とすることはできない 3. 条 例 に 抵 触 する 協 定 締 結 は 議 会 の 付 議 ( 地 公 労 法 8 条 ) 4. 規 則 等 規 定 に 抵 触 する 規 定 締 結 の 場 合 地 方 公 共 団 体 の 長 は 速 やかにその 規 定 を 改 廃 する 義 務 (9 条 ) 5. 公 営 企 業 の 予 算 又 は 資 金 上 不 可 能 な 資 金 の 支 出 を 内 容 とする 協 定 の 場 合 議 会 による 所 定 の 行 為 までの 支 出 の 禁 止 (10 条 ) 6. 企 業 職 員 及 び 組 合 の 争 議 行 為 の 禁 止 作 業 所 閉 鎖 の 禁 止 ( 地 公 労 法 第 11 条 ) 違 反 行 為 の 場 合 地 方 公 共 団 体 によ る 解 雇 権 (12 条 ) 7. 地 方 公 営 企 業 及 び 組 合 による 苦 情 処 理 共 同 調 整 会 議 の 設 置 義 務 ( 地 公 労 法 第 11 条 ) 8. 労 働 関 係 調 停 開 始 事 由 (14 条 ) 9. 職 権 仲 裁 の 許 諾 (15 条 ) 21 地 方 公 営 企 業 等 の 労 働 関 係 に 関 する 法 律 第 5 条 ( 団 結 権 ) 第 7 条 ( 団 体 交 渉 の 範 囲 ) 団 体 交 渉 の 範 囲 と は1 賃 金 その 他 の 給 与 労 働 時 間 休 憩 休 日 及 び 休 暇 に 関 する 事 項 2 昇 職 降 職 転 職 免 職 休 職 先 任 権 及 び 懲 戒 の 基 準 に 関 する 事 項 3 労 働 に 関 する 安 全 衛 生 及 び 災 害 補 償 に 関 する 事 項 4その 他 労 働 条 件 に 関 する 事 項 とされている( 第 7 条 1-4 項 ) 22 労 働 組 合 は 現 実 的 にはかかる 判 断 をしており またかかる 論 拠 をもとに 訴 訟 事 件 も 生 じている 以 上 慎 重 な 判 断 に 基 き 組 合 との 対 話 交 渉 合 意 形 成 を 図 ることが 本 来 求 められているといってもよい 35
図 1.18: 労 働 関 係 法 規 の 枠 組 み 労 働 組 合 法 労 働 関 係 調 整 法 地 方 公 営 企 業 労 働 関 係 法 1. 労 働 組 合 の 資 格 審 査 ( 労 組 法 5,11 地 公 労 法 4) 2. 労 働 協 約 の 地 域 的 拡 張 適 用 の 決 議 ( 地 組 法 18) 3. 不 当 労 働 行 為 の 審 査 ( 労 組 法 27 地 公 労 法 4) 4. 労 働 争 議 の 斡 旋 調 停 仲 裁 ( 労 調 法 10-35 地 公 労 法 4,14,15) ( 地 方 公 営 企 業 の 職 員 及 び 現 業 関 係 の 地 方 公 務 員 は 原 則 労 働 組 合 法 労 働 関 係 調 整 法 が 適 用 される) 地 方 労 働 委 員 会 ( 職 務 権 限 ) 5. 特 別 調 整 委 員 設 置 等 の 意 見 提 示 同 意 付 与 ( 労 調 法 施 行 令 1-6) 6. 争 議 行 為 発 生 届 受 理 ( 労 調 法 9) 7. 公 益 事 業 に 関 する 争 議 行 為 予 告 通 知 受 理 ( 労 調 法 37) 8. 労 働 関 係 調 整 法 37 条 違 反 への 処 罰 請 求 ( 労 調 法 42 施 行 令 11) 9. 必 要 な 場 合 出 頭 報 告 帳 簿 提 出 を 求 め 事 業 所 に 臨 検 し 業 務 状 況 の 検 査 の 実 施 ( 労 組 法 22) 10. 地 方 公 営 企 業 の 職 員 の 非 組 合 員 の 範 囲 を認 定 し 告 示 を 行 う( 地 公 労 法 5-2) 11. 事 業 所 における 同 盟 罷 業 作 業 所 閉 鎖 に 至 る 恐 れの 多 い 争 議 が 発 生 していること 無 制 限 に 求 職 者 を 紹 介 し 労 働 派 遣 がされることにより 当 該 争 議 の 解 決 が 妨 げられること を 公 共 職 業 安 定 所 に 通 報 すること( 職 業 安 定 法 20 労 働 者 派 遣 法 24) ( 上 述 中 1,3,8,10 の 事 項 は 公 益 委 員 ( 第 三 者 委 員 )のみの 権 限 に 属 する) 尚 地 方 公 営 企 業 等 の 労 働 関 係 に 関 する 法 律 第 5 条 第 2 項 に 基 く 労 働 組 合 員 の 範 囲 は 地 方 労 働 委 員 会 告 示 により 定 められることになり 地 域 の 組 織 次 第 では 異 なる 自 治 体 立 病 院 の 場 合 の 非 組 合 員 の 範 囲 は 概 ね 下 記 図 1.19 の 如 き 構 図 になり 組 織 自 体 は 組 合 員 と 非 組 合 員 にわ かれている23 地 方 公 営 企 業 の 企 業 職 員 の 複 雑 さは 本 来 地 方 公 営 企 業 の 職 員 はその 従 事 してい る業 務 が 独 立 採 算 制 原 則 のもと 民 間 企 業 における 類 似 の 業 務 と 共 有 している 性 格 を 有 している ことから 労 働 基 準 法 の 適 用 関 係 に 関 してはより 民 間 の 労 働 者 に 近 いものが 適 切 とする 制 度 的 構 図 になっていることにある この 結 果 ある 意 味 では 限 りなく 公 務 員 でありながら 別 の 側 面 で は 民 間 部 門 の 労 働 者 と 限 りなく 近 いという 性 格 を 帯 びることになる かかる 事 情 から 労 働 関 係 は 複 雑 化 する 側 面 があり 立 場 の 違 いで 問 題 がこじれた 場 合 その 解 決 には 時 間 を 要 することもあ る 23 どちらの 側 に 立 ち 論 理 を 構 築 するかで 全 く 異 なった 見 方 が 成 立 しうるからである 例 えば 経 営 管 理 事 項 と 管 理 者 が 判 断 しても 職 員 の 処 遇 に 係 わりうる 側 面 に 関 しては 組 合 と 企 業 職 員 は 不 当 労 働 行 為 として 労 働 委 員 会 へ の 救 済 の 申 し 立 てをすることが 労 働 基 準 法 上 可 能 になる 36
図 1.19: 自 治 体 立 病 院 における 非 組 合 員 の 範 囲 非 組 合 員 の 範 囲 院 長 副 院 長 事 務 局 長 医 療 局 長 看 護 部 長 次 長 等 総 括 担 当 を 命 じられたもの 総 括 担 当 を 命 じられたもの 人 事 労 務 管 理 予 算 編 成 職 員 の 人 事 給 与 服 務 そ の 他 勤 務 条 件 組 合 関 係 事 務 を 担 当 する 病 院 組 織 関 連 する 地 方 公 共 団 体 の 組 織 よって 自 治 体 立 病 院 の 組 織 に 絡 む 内 部 的 な 利 害 関 係 者 の 構 図 は 下 記 図 1.20 の 如 きものに なる 24 病 院 組 織 のあり 方 や 職 員 処 遇 に 関 し 何 等 かの 変 更 を 政 策 的 に 考 慮 する 場 合 には 管 理 者 による 一 方 的 な 裁 量 権 の 行 使 によりこれを 実 施 することは 難 しく 1. これら 多 様 な 内 部 利 害 関 係 者 との 合 意 形 成 手 続 きが 基 本 となること( 基 本 的 には 職 員 本 人 と 組 合 による 同 意 を 得 て 事 を 進 めること) 2. 当 該 自 治 体 立 病 院 の 管 理 体 制 や 状 況 によっては 合 意 形 成 の 対 象 や 手 順 も 異 なってくる こと( 地 方 公 営 企 業 法 の 全 部 適 用 の 場 合 には 事 業 経 営 を 委 ねられる 事 業 管 理 者 に 人 事 掌 理 が 委 ねられ 事 業 管 理 者 が 中 心 となり 関 係 者 の 合 意 形 成 を 図 る 一 部 適 用 の 場 合 に は 自 治 体 自 らがこれを 図 る 組 合 員 非 組 合 員 正 規 職 員 非 正 規 職 員 などの 職 員 の 立 場 の 差 異 にも 配 慮 が 必 要 になる) 25 3. 職 員 や 組 合 との 関 係 や 合 意 形 成 のあり 方 には 慎 重 を 期 すべきで 病 院 のあるべき 方 向 性 や 大 きな 方 針 に 対 する 理 解 を 得 ることがまず 必 要 であると 共 に 職 員 の 業 務 のあり 方 や 組 織 体 制 に 関 しても 関 連 当 事 者 の 合 意 形 成 を 取 得 することが 鍵 となること などに 留 意 することが 重 要 になる 24 図 は 地 方 公 営 企 業 法 全 部 適 用 自 治 体 の 場 合 を 示 している 25 制 度 の 運 用 によっても 自 治 体 立 病 院 のあり 方 は 大 きく 異 なりうる 例 えば 定 員 数 管 理 や 予 算 を 自 治 体 が 厳 格 に 運 用 すれば 例 え 全 部 適 用 の 地 方 公 営 企 業 であっても 事 業 管 理 者 の 実 務 上 の 権 限 は 大 きく 削 がれ 一 部 適 用 と 実 質 的 には 変 わらないということもありうる 37
図 1.20 : 全 部 適 用 の 場 合 の 自 治 体 立 病 院 関 係 者 の 全 体 の 構 図 議 会 経 営 運 営 人 事 掌 理 労 働 協 約 (ある 場 合 事 業 管 理 者 病 院 長 予 算 地 方 公 共 団 体 の 長 自 治 体 内 管 理 組 織 住 民 もあれば 無 い 場 合 もある) 企 業 管 理 規 定 身 分 取 扱 掌 理 ( 正 規 職 員 ) 組 合 員 非 組 合 員 非 正 規 職 員 ( 臨 時 非 常 勤 職 ) ポイント 地 方 公 営 企 業 としての 自 治 体 立 病 院 とその 職 に 従 事 する 企 業 職 員 は 様 々な 制 度 的 制 約 の 中 に 存 在 し その 組 織 や 人 員 布 陣 の 変 更 は 公 的 組 織 における 定 員 管 理 や 予 算 制 度 とも 絡 み 単 純 ではない また 管 理 者 は 企 業 職 員 に 対 し その 処 遇 の 変 更 を 強 制 することは 実 質 的 には 難 しい これが 為 に PFI の 企 画 実 践 が 職 員 の 処 遇 や 再 配 置 移 動 転 換 等 をもたら さざるを 得 ない 場 合 には 当 該 職 員 や 組 合 との 合 意 形 成 が 全 ての 前 提 になる よって 自 治 体 立 病 院 の 職 員 の 処 遇 の 変 更 や 組 織 変 更 に 際 しては 慎 重 な 配 慮 と 合 意 形 成 手 順 が 必 須 の 要 件 になる 自 治 体 立 病 院 は 制 度 的 には 一 般 行 政 組 織 から 切 り 離 された 主 体 として 民 間 的 な 経 営 運 営 に 馴 染 みやすい 組 織 として 構 成 されているが 予 算 人 事 の 実 体 は 行 政 機 構 の 中 に 組 み 込 まれ 単 純 な 組 織 形 態 となっていない 場 合 が 多 い 組 織 内 部 での 合 意 形 成 や 意 思 決 定 ある いは 費 用 管 理 が 曖 昧 となる 要 因 がここにある 個 別 自 治 体 における 実 態 を 考 慮 しながらも 課 題 を 如 何 に 克 服 し より 効 率 的 な 経 営 体 にするかは 如 何 なる 自 治 体 立 病 院 でも 共 通 で あろう 38