スライド 1

Similar documents
スライド 1

News Release 2019 年 4 月 5 日共働き世帯のおふろ掃除 調理などの 家事シェア 実態と意識調査女性が誰かに任せたいトップ 3 は おふろ掃除 食後の洗いもの 調理 25~34 歳ミレニアル世代男性のおふろ掃除率は 45~49 歳より 24.6 ホ イント高い ~IoT 家電を使

<4D F736F F F696E74202D E815B836C AE89E6947A904D B C98AD682B782E9837D815B F B835E2E707074>

1. よりそうスマートプロジェクト の概要 1 当社では IoT や AI などの新たな情報技術の進展を 成長の機会 ( チャンス ) と捉え 本年 4 月に バーチャルパワープラント実証プロジェクト を開始するなど お客さまサービスのさらなる向上や将来の事業領域の拡大につながる新たなビジネスモデル

情報セキュリティ 10 大脅威 大脅威とは? 2006 年より IPA が毎年発行している資料 10 大脅威選考会 の投票により 情報システムを取巻く脅威を順位付けして解説 Copyright 2018 独立行政法人情報処理推進機構 2

目次 調査概要調査サマリー 歩きスマホ は危ないと思うか?/ 歩きスマホ をしたことがあるか? 歩きスマホ をしてしまう理由は? 歩きスマホ をしている人に対して危ないと感じたことはあるか? 歩きスマホ が危ないと感じたのはどのようなシーンか? 歩きスマホ で最も危ないと感じたのはどのようなシーンか

結婚しない理由は 結婚したいが相手がいない 経済的に十分な生活ができるか不安なため 未婚のに結婚しない理由について聞いたところ 結婚したいが相手がいない (39.7%) で最も高く 経済的に十分な生活ができるか不安なため (2.4%) 自分ひとりの時間が取れなくなるため (22.%) うまく付き合え


表 6.1 横浜市民の横浜ベイスターズに対する関心 (2011 年 ) % 特に何もしていない スポーツニュースで見る テレビで観戦する 新聞で結果を確認する 野球場に観戦に行く インターネットで結果を確認する 4.

<4D F736F F D208B4C8ED294AD955C95CA8E F396EC816A2E646F63>

表紙(A4)

質問 1 何歳から 長生き だと思いますか? 男性 女性ともに 80 歳 がトップ ( 合計 :42.3% 男性 :43.2% 女性 41.3%) 平均すると 男性が 81.7 歳 女性が 83.0 歳 と女性の方がより高年齢を 長生き と思うという 傾向があり 女性の 5 人に 1 人 (20.8

<4D F736F F D C835894AD955C8E9197BF EE CC B83678E9E8E96816A8F4390B38CE32E646F63>

キリン食生活文化研究所レポート vol.75 情報と便利さ

「高齢者の日常生活に関する意識調査」結果(概要) 3

平成 18 年 1 月 デジタル アドバタイジング コンソーシアム株式会社 インターネット動画広告の効果を 複数の動画配信サービスにおいて本格検証! テレビ CM とインターネット動画広告の組み合わせで 15.1% 認知が向上 インターネット動画広告のみでも 12.4% の認知を獲得 など インター

前問で 知っているが使っていない と回答した方に 今後格安スマホを利用したいと思うかについて聞いたところ 利用したい ( とても利用したい + どちらかというと利用したい ) は合わせて 33.3% 利用したくない( 全く利用したくない + どちらかというと利用したくない ) の合計が 32.% と

スライド 1

2 クラウド連携版デバイス WebAPI Symphony を開発しました Symphony は開発コードネームです

目次 P. 1 調査の概要 P 年を振り返って P 年の展望 P 備えが必要 ( 経済的に不安 ) と感じること P 今 一番買いたいもの P お金の支払いをする際の決済方法 P 資産運用について

スマートリモコンおよびスマートスピーカーと連携した「はぴeみる電」の新たな家電制御サービスの開始について

質問 1 敬老の日 のプレゼントについて (1) 贈る側への質問 敬老の日 にプレゼントを贈りますか? ( 回答数 :11,202 名 ) 敬老の日にプレゼント贈る予定の方は 83.7% となり 今年度実施した父の日に関するアンケート結果を約 25% 上回る結果となった 敬老の日 父の日 贈らない

不要品を売買する頻度について 20 代は 3 カ月に一 他のは 数年に一 が最も高い結果に不要品 ( 中古品 を売買する頻度について聞いたところ 数年に (33.3% が高く 半年に (7.5% 3 カ月に (4.5% が続いた 30 代から 60 代では 数年に が最も高いのに対して 20 代のみ

目次 目次 2 調査概要 3 調査サマリー 4 歩きスマホ は危ないと思うか? / 歩きスマホ をしたことがあるか? 5 歩きスマホ をしてしまう理由は? 6 歩きスマホ をしている人に対して危ないと感じたことはあるか? 7 歩きスマホ が危ないと感じたのはどのようなシーンか? 8 歩きスマホ によ

Microsoft PowerPoint - グラフ

Microsoft Word - エコポイントに関する調査 _ver6.doc

1‘Í-1Łfl1’ß.qxd

2019 年 5 月 22 日 J.D. パワージャパン J.D. パワー 2019 年モバイルルーターサービス顧客満足度調査 J.D. パワー 2019 年ワイヤレスホームルーターサービス顧客満足度調査 ~ モバイルルーターは NTT ドコモが第 1 位 ワイヤレスホームルーターは UQ WiMA

モバイル端末市場動向調査レポート

PowerPoint プレゼンテーション

ニュースリリース 平成 3 1 年 3 月 2 8 日 消費者動向調査 : 軽減税率 株式会社日本政策金融公庫 消費税の 軽減税率制度 消費者の受け止め方を調査 ~ 約 7 割の消費者が制度を認知認知 制度運用には わかりやすさ を求める ~ < 平成 31 年 1 月消費者動向調査 > 日本政策金

「dカーシェア」、“カーシェア時代におけるクルマの使い方”意識調査を実施

<4D F736F F D F838B837E E A838A815B83588DC58F4994C52E646F6378>

満足感が得られないお風呂掃除は、「もうやりたくない家事」No.1 負担を減らすために有効なモノは?

<4D F736F F F696E74202D202895CA8E86816A89638BC694E996A78AC7979D8EC091D492B28DB88A E >

2017 年 2 月 27 日株式会社カカクコム 価格.com 生命保険 に関する調査結果を発表加入率は約 8 割 若年層ほど低い傾向 加入中の生命保険は終身タイプがトップ将来への不安?20 代の加入目的 老後保障 貯蓄 が他世代よりも高い結果に補償内容への理解度 十分理解できていない加入者が 53

別紙 1-2 移乗介助 ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器 移乗開始から終了まで 介助者が一人で使用することができる ベッドと車いすの間の移乗に用いることができる ( ベッドと車いすの間の移乗における使い勝手は ステージゲート審査での評価対象となる点に留

ご主人へはチョコレート ( または贈り物 ) を贈りましたか? 93% (6,740) 7% (534) 贈った 贈らなかった (n=7,274 バレンタイン直後実施アンケート結果 ) 夫はホワイトデーに贈り物をしない? ご主人にバレンタインデーの贈り物をした人に ご主人からホワイトデーの贈り物はあ

調査概要 調査対象 : 東京都 愛知県 大阪府 福岡県の GF シニアデータベース 有効回答件数 :992 件 標本抽出法 :GF RTD( ランダム テレフォンナンバー ダイアリング ) 方式 調査方法 : アウトバウンド IVR による電話調査 調査時期 : 平成 23 年 8 月 4 日 (

<4D F736F F F696E74202D20288DB791D B836792B28DB88C8B89CA288CF68A4A94C529288A5497AA94C E93785F72312E >

<4D F736F F F696E74202D C83728E8B92AE8AC28BAB82C68E8B92AE91D C98AD682B782E9837D815B F B835E C837294D E89E695D2816A2E707074>

2 SmaSvr SmaSvr システムの概要 テクノベインズでは 業務系周辺機器 業務系周辺機器が操作できる スマート端末 が操作できる スマート端末 が操作できる スマート端末アプリ環境 アプリ環境の提供 提供 を実現できる方法 実現できる方法 実現できる方法について研究してきた 研究してきた

<4D F736F F F696E74202D E71837D836C815B82C98AD682B782E9837D815B F B835E81408FC194EF8D7

1. 調査の目的 物価モニター調査の概要 原油価格や為替レートなどの動向が生活関連物資等の価格に及ぼす影響 物価動向についての意識等を正確 迅速に把握し 消費者等へタイムリーな情報提供を行う ( 参考 )URL:

<4D F736F F D A834182CC49548FEE95F1925B969682C98AD682B782E B836792B28DB88C8B89CA F E646F63>

目次 レポート 3. 概要 4. 主要なインサイト 5. 地域ごとの SEM 業界の支出増加率 6. 検索エンジンごとの SEM 業界の支出増加率 7. SEM 支出のシェア 8. Google の検索ビジネス売上予測 9. 世界全体での業界セクターごと SEM 支出増加 10. 世界全体でのディス


04_光BOX取扱説明書_AmazonAlexa編

アンケート調査実施概要実施期間 :2017 年 12 月 15 日 ~24 日対象者 : カレコ カーシェアリングクラブ個人会員サンプル数 :4,980 人 ( 内訳 ) 新規会員 (2016 年 12 月以降に入会された会員 )2,570 人既存会員 (2016 年 11 月以前より在籍されている

<4D F736F F D F815B A F A838A815B A8E718B9F8EE C98AD682B782E992B28DB85B315D2E646F63>

派遣社員の評価に関する 派遣先担当者調査結果

AI AI Artificial Intelligence AI Strategy& Foresight AI AI AI AI 1 AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI AI 2 AI 1 AI AI 3 AI 3 20 AI AI AI AI AI

日本の上位 50 サイトのウェブセキュリティレポート (Q2 2016) 本レポートでは ウェブ閲覧リサーチ会社 Alexaにて報告された日本のユーザーから 2016 年 5 月 5 日時点の閲覧されたウェブ

<4D F736F F F696E74202D C837282C98AD682B782E9837D815B F B835E91E688EA92652E707074>

顔認証システム顔認証とは 顔認証とは 人間の体の特徴を利用するバイオメトリクス認証の一種で 顔認識技術を用いて個人を認証するシステムのことです カメラから取り込んだ画像を解析して 顔の特徴を抽出し あらかじめ保存された顔データと照合することで個人を特定します カメラ画像取込み 顔特長データ蓄積 抽出

140327子ども用ヘルメット調査リリース(最終稿).pptx

東海 4 県若年層のスマートフォンネットワーク満足度調査 株式会社角川アスキー総合研究所 調査概要 (1) 調査時期 : 2014 年 12 月 3 日 ~9 日 (2) 調査方法 : ネットアンケート (3) 調査対象 : 東海 4 県在住の15 歳から34 歳までの男女 (4) 有効回答数 :

0/23 スマートメータを活用した HEMS で スマートライフを! ヘムス 平成 28 年 3 月 15 日 株式会社エネゲートソリューション事業開発室 2016 Enegate Co., ltd. All Rights Reserved.

「高齢者の健康に関する意識調査」結果(概要)1

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

『いい夫婦の日』夫婦に関するアンケート調査 【プレゼント編】調査報告書

相対的貧困率の動向: 2006, 2009, 2012年

「オリンピック・レガシーに関する意識調査」(第2回)結果概要

平成30年版高齢社会白書(全体版)

「いい夫婦の日」アンケート結果2011

2. アプレットを作成する IFTTT を利用したルールは アプレット と呼ばれ IFTTT 上ですでに作成されているアプレットを利用することも 自分の好きなアプレットを作ることもできます ここでは自分のアプレットを作成する方法をご紹介します 1. アプレットページを表示する 2

第5回 「離婚したくなる亭主の仕事」調査

Microsoft Word - 博士論文概要.docx

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

第 5 章管理職における男女部下育成の違い - 管理職へのアンケート調査及び若手男女社員へのアンケート調査より - 管理職へのインタビュー調査 ( 第 4 章 ) では 管理職は 仕事 目標の与え方について基本は男女同じだとしながらも 仕事に関わる外的環境 ( 深夜残業 業界特性 結婚 出産 ) 若

プレゼンテーション

News Release 平成 19 年 12 月 20 日 平成 28 年 10 月 6 日株式会社 MCJ マウスコンピューター Windows Hello 機能対応 生体認証の顔認証カメラと指紋認証リーダーを発売 簡単 安心セキュリティを コンパクトかつ低価格で実現 当社子会社である株式会社マ

PCでネット動画を見る人は5 割を超え、携帯/スマホでも2 割を超える

質問 今年のクリスマスについて 予算は全て 人当たり 今年のクリスマス イブは火曜日ですが ご自身のクリスマスは何日に行いますか? ( 回答者数 :,4 名 ) 全体では クリスマス イブ の 4 日 という人が一番多く (7.6%) 日 ( 日 ) (0.8%) 3 日 ( 祝 月 ) (0.%)


MKN704スマートスピーカー連携サービス使い方ガイド

6. 調査結果及び考察 (1) 児童生徒のスマホ等の所持実態 1 スマホ等の所持実態 54.3% 49.8% 41.9% 32.9% % 78.7% 73.4% 71.1% 76.9% 68.3% 61.4% 26.7% 29.9% 22.1% % 中 3 中 2 中 1

<4D F736F F D FCD81408FEE95F197CC88E682C68FEE95F18CB92E646F63>

メニュー STEP 1 ehome をダウンロード STEP 2-1 アプリへのアカウント登録 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Amazon Alexa Google Home と連携するには 最新アプリ ehome をご利用ください 事前に 下記手順に従って eremot

Microsoft PowerPoint - HDYnews pptx

「これからデンキ」サービス概要

日本機械学会 生産システム部門研究発表講演会 2015 資料

Microsoft Word - meti-report

1. 調査の背景 目的 (1) 本調査の背景 1 自動運転システムに関する技術開発が日進月歩で進化する中 自動運転システムの機能や性能限界等に関する消費者の認識状況 自動運転システムの普及に必要な社会的受容性への正しい理解等 解消すべき不安 ( リスク ) についての事前調査および議論がまだ広範かつ

報道関係者各位

1 見直したい費目のトップは 光熱費 で 82.9% 電力自由化の認知率も 97.1% を超える 各世帯の支出が発生している中で 見直したい費目の 1 位は 光熱費 で 82.9% 携帯電話料金 が 76.3% 食費 が 76.2% と続きました なお 光熱費を見直したい という意識は ライフステー

目次 目次 序章このテキストで学習する内容 1 第 1 章拡大表示 文字サイズの変更 拡大表示 文字サイズを大きくする 7 第 2 章電話に出よう 電話をかけよう 電話に出る方法 電話に出られない時 電話のかけ方 電話番

リスモン調べ 第4回 離婚したくなる亭主の仕事

スマートサーブセキュリティ機能についてサービスアダプターの配下に接続された機器は スマートサーブ が提供する安全な通信 (VPN 通信 : 注 2) セキュリティセンター ( 注 3) セキュリティセンター にて ネットワークに

3. 家族とのコミュニケーションを増やしたい さらに 家庭で使いやすい IT ツールがあれば使ってみたい と思う オンライン家族 予備軍は 41.2% 家族とのコミュニケーションに IT ツールを 2~3 日に 1 回以下 の頻度で使っている人の中には 今よりも 家族とのコミュニケーションを増やした

「いい夫婦の日」アンケート結果 2014

【プレスリリース】AAIF2018

<81798A6D92E8817A F925093C682C6834E838D83582E786C7378>

「はぴeみる電」によるIoTを活用した新サービス提供に向けた実証試験「スマートホームプロジェクト2018」の実施およびモニター募集について

夫婦間でスケジューラーを利用した男性は 家事 育児に取り組む意識 家事 育児を分担する意識 などに対し 利用前から変化が起こることがわかりました 夫婦間でスケジューラーを利用すると 夫婦間のコミュニケーション が改善され 幸福度も向上する 夫婦間でスケジューラーを利用している男女は 非利用と比較して

スライド 1

ic3_cf_p1-70_1018.indd

質問 年 ご自身の 1 年に何点をつけますか?(100 点満点 )( 回答者数 :6,709 名 ) 質問 を回答した方への質問 点数を決めるにあたって 最も大きな要素は何ですか? ( 回答者数 :6,709 名 ) 質問 年 ご自身へのご褒美のた

1: ミレニアル世代のシェアサービスに対する興味 関 場所 モノ 交通手段 3 分野のシェアサービスについて 利 実態 利 意向を調査利 に関 を持つミレニアル世代は6 割超 受容度は親世代の約 3 倍に! 今回は 場所 モノ 交通手段の3 分野におけるシェアサービスについて 調査を実施 その結果

(4) 市からのお知らせについて 西宮市では 市民のみなさまに市政への理解と関心を深めていただき また市民サービスを円滑に利用していただくために 広報紙や放送 ホームページなどさまざまな媒体により 市政情報をお届けしています 市民のみなさまのご意見をいただき 利用しやすく わかりやすい情報提供となり

Transcription:

- 目次 - - はじめに - 3 - まとめ - 5 - 第 1 章 - 7 IoT の今とこれから - 第 2 章 - 12 調査結果 - 第 3 章 - 22 消費者意識ギャップと IoT の課題 2

はじめに インターネットに接続される機器の数は毎日 550 万台ずつ増えていると言われている あらゆるものがインターネットにつながる IoT(Internet of Things= モノのインターネット ) の時代はもう動き始めている さまざまなセンサー技術の発展と低価格化に加え インターネット接続環境の整備とコストダウンにより 日常的なあらゆるデータの収集が容易になってきた さらに 収集された膨大なデータ (=Big Data) を AI (Artificial Intelligence= 人工知能 ) 技術を使って短時間に処理する事もできるようになってきた そこで マカフィーと BCN が共同で 2017 年 1 月の CES( 毎年ラスベガスで開催される世界最大規模の家電見本市 ) や同 2 月の MWC ( = Mobile World Congress 毎年バルセロナで開催される 世界最大規模の通信業界の見本市 ) 等で取材した情報をもとに消費者調査を実施し 本レポートにまとめた 第 1 章では 取材を通じて 2020 年までの 3 年程度で IoT が生活をどのように変えていくのかを いくつか例を挙げながら方向性を示した また CES と MWC 等で取材した傾向も提示し メーカーサイドでの IoT 機器の傾向をまとめた 第 2 章では デジタル環境が大きく変化し一般消費者の生活を大きく変える時代を IoT 時代 と定義 2020 年頃から本格的に実現し始めると想定し 消費が抱く IoT 時代への認識 期待や不安などについて聞いた 対象はデジタルリテラシーが高いと考えらえる全国 2000 名の男女 第 3 章では 現状の消費者意識とメーカーサイドのギャップを指摘 どうすればギャップを埋めることができるかについて考察し カテゴリーごとに 2020 年以降の動きについてさらに可能性を探った 4

まとめ なぜ IoT で生活が変わる? IoT がさまざまなデータを提供 AI 処理で有益な情報を生みフィードバック 何が変わる? レベル 4 の自動運転が日本でも >2020 年をめど 声によるコントロールが一般的に > リモコンいらず 調理家電が IoT 化 > 健康に導く献立や記録 > 保険料率の基礎データにも 家事のオートメーション > 勝手に掃除するロボット 洗濯ロボット 遠隔体験の本格的な実用化 > リビングでライブ参加やスポーツ観戦 生体認証の高度化 > 顔や声がパスワード代わりに メールで送れるスマートキー > 在宅把握の実現や民泊への応用 CES や MWC で目立ったのは Amazon Alexa 対応機器が 700 以上登場 音声認識環境が急加速 センサーの高度化で取得データの幅拡大 > 心電図までとれる活動量計 IoT はさまざまなものに搭載 > 歯ブラシ 机 ベッド 水筒などなど マカフィーブースではインターネットの元栓でセキュリティを守る McAfee Secure Home Platform を提唱 IoT に対する消費者の意識 IoT への理解はまだ浅い (31.8%) がイメージは良い センスが良い (75.9%) 品質が良い (73.2%) 高級感がある (63.0%) 導入ジャンルで最も期待するのは分野は医療 介護 (39.9%) > 理由は利便性向上 データ解析でよりよい社会が実現 IoT 進展に伴う不安は個人情報の漏洩 (80.5%) やウイルス感染 (74.9%) IoT 進展でセキュリティ不安が最も高い分野は住宅関連 (46.0%) 期待が不安を大きく上回るのは生活家電 (12.9 ポイント差 ) 不安が期待を非常に大きく上回るのは消費 金融 (27.6 ポイント差 ) 導入意向が最も高いのは自宅のセキュリティ対策を集約する Wi-Fi ルーター (67.1%) 導入意向が最も低いのはウェアラブルでの健康管理やスポーツ技術向上 (38.1%) 医療分野ではより具体的な活用が求められている 生活家電では節約への期待も大きい 住宅では利便性への期待が最も高い レジャーエンタメなどへの応用期待は低い 6

IoT の今とこれから 1) 生活を変える IoT さまざまなモノがインターネットにつながることで 消費者の生活は徐々に変わっていく 身の回りのモノがインターネットにつながっていく ということは 小さな機器であっても 見た目とは関係なくとても強力な機能を備えることを意味する インターネットの向こう側で動いている超高速なコンピュータと高度なソフトウェアが手軽に利用できるようになるからだ これまでとても実現できなかったことが 誰でも簡単に利用できるようになる世界がすぐそこに待っている 目に見えて変化し始めているのが自動車だ 近年 高齢者がペダルを踏み間違ったことによる重大事故が数多く報告されている こうした単純ではありながら死亡事故につながる重大なミスは 現時点でも ブレーキアシスト 機能などを活用すれば防ぐことができる 自動運転のレベルで言えばまだ入り口の レベル 1 に相当する技術だ 現在日本政府は 2020 年の東京オリンピックまでに完全な自動運転が可能な レベル 4 の自動運転車の普及を目指している 運転から解放されることで 移動時間が自由時間になることで より自由な生き方ができるようになるだろう もっと身近なものも IoT 化し始めている 一つはインターフェイスの変化だ すでに今年の CES 2017 では 数多くの ALEXA 対応製品が登場 音声コントロール元年を思わせる盛況だった これからほとんどの家電製品が何らかの形で音声コントロールに対応することになりそうだ 一声かけるだけで 家電がコントロールできるようになるため 明かりのスイッチを入れに 行く という作業や どこかに紛れ込んで行方不明になった リモコンを捜す という作業からも解放されるかもしれない 両手がふさがっていても 声で水を出したり止めたりというのが当たり前になるだろう 健康管理に欠かせない料理や食事についても 変化が予想される 冷蔵庫や電子レンジなどが IoT 化することで 特別な努力をしなくても自然に食事の履歴を残すこともできる その結果を分析することで 食事の偏りなどを発見し 健康に導く献立を提案することもできるようになる もちろん 現在の活動量計でも実現している日々の活動記録を通じて 健康のためのアドバイスやよりよい睡眠のための提案をすることもできるようになる 意識せずに家族の健康管理ができるわけだ またこうした健康管理データが 生命保険の保険料を決める基礎データになり 健康な食生活をしていれば 保険金が安くなる といった応用もできるようになりそうだ CES 2017 では数多くの自動運転車が展示されていた ( インテルブース ) 8

IoT の今とこれから 掃除や洗濯といった家事にも IoT が変化をもたらす 掃除ロボットはすでに数多く販売されているが さらに機能が強化される たとえば 吸い込んだごみの記録を取り分析することで 次にいつ掃除をすればいいかを掃除機自ら判断し 不在時に勝手に掃除させることもできるだろう 洗濯に関しても 衣類を入れるだけで 洗濯 乾燥 畳み 仕分け 収納まで一気に自動で行う洗濯機の開発も目前だ まさに高度な家庭内オートメーションが実現する日も近い 遠隔体験の本格的な実用化も近い 360 度カメラや VR ゴーグルなどとの組み合わせを洗練させ あたかもそこにいるような感覚を日常的に味わえるようになる リビングに居ながらにしてスタジアムでのサッカー観戦ができたり バーチャル遊園地を家庭で楽しめたりするようになるかもしれない エンターテインメントだけでなく 医療の分野でも ロボットアームと組み合わせた遠隔地からの手術なども より日常的に行われるようになるだろう 現実の 認証 も変化する IoT 時代の鍵 スマートロック だ スマホを使って鍵を操作するので メールで鍵のパターンを送ることができたり 特定の鍵に利用期限を設けたり 鍵に対してさまざまなコントロールをすることができるようになる ホテル業界で注目されているが これから増加が予想される民泊での応用への期待も大きい 日常的な利用でも 鍵をかけ忘れる不安から解消されるだけでなく 家族の在宅状況なども簡単に把握できるようになる コミュニケーションも変化する 例えば 翻訳 だ Google が提供する翻訳サービスはここ 1~2 年で飛躍的な品質の向上を遂げた 腕時計ほどの小さな IoT デバイスに日本語で話しかければ 瞬時に翻訳してスピーカーから英語で語りかける ということも実現し始めている 他国語の学習はほとんど必要なくなるかもしれない 言葉の壁が無くなれば 日本のコンテンツ市場は一気に世界に広がることになるかもしれない 認証 も変わる 生体認証と言われる指紋や虹彩による認証だけでなく カメラによる顔認証も個人レベルで使えるようになる すでに一部の機器では利用可能になってきているものの 精度の問題からまだ一般的には普及していない 高精度な生体認証が可能になれば 例えば PC の前に座るだけですべての認証が終了し 煩わしい パスワードの管理 から解放される 9

IoT の今とこれから 2) 2017 年 CES や MWC で大量に現れた IoT 機器群 2017 年の CES や MWC は まさに IoT 時代の到来を感じさせる製品が多数出展された 例えば CES 2017 では Amazon が提供する音声認識プラットフォーム ALEXA 対応の製品が 700 以上も登場し 音声コントロール元年ともいえる賑わいだった ファーウェイブースでは自社スマホを ALEXA に対応させ 多くの家電製品を制御するイメージの展示を行っていたほか BMW では自動車の中から ALEXA 経由で Amazon に商品を注文するシステムを紹介した 腕時計の Martian ブースでは ALEXA 対応の腕時計も登場し まさに音声認識花盛りだ ALEXA 対応デモ ( ファーウェイ ) センサー系では 日本の繊維メーカーミツフジがこれまで取得が困難だった心電図の取得も可能になる銀メッキ繊維をつけたウェアを出品 まだ研究段階だが リアルタイムに心電図の取得が可能になるため 疾病の予防や異常検知などにも活用できるという これまでの活動量計から一歩進んだ診断も可能な新世代のウェアラブル機器だ またインテルブースでも サングラスのオークリーが開発した自転車選手の心拍数を測りつつ ペダルにかけたパワーやペダルの回転数 回転速度なども取得し 総合的に状態を判断できるスマートサングラスのデモが行われていた 心電図が計測できるウエァ ( ミツフジ ) 自転車選手の状況を測るサングラス ( オークリー ) ALEXA 対応腕時計も登場 (Martian) 10

IoT の今とこれから IoT の広がりを示すものとして Ara が出品した AI 搭載の電動歯ブラシはどの程度磨けたかなどを AI で判断し ユーザーに教えてくれる またパナソニックが出品したのはスマートテーブル 木のテーブル上に画面が映し出され タッチ対応の PC の画面と同じように 画面を触ってコントロールする また Sleep Number の 360 Smart Bed は良い眠りを得られるよう 自動で足元を温かくしたり硬さを変えたり イビキが起きそうな時を認識してイビキが起きにくい角度に調整するなど 睡眠の質を徹底的に追求したベッドだ 水筒にも IoT が使われるようになってきた Moikit の seed だ 本体は通常の魔法瓶だが キャップ部分にセンサーとディスプレイが仕込まれており 水や湯の温度を表示したり 水分の摂取を促したり摂取の履歴をスマホで追跡するなどの機能がある AI 電動歯ブラシ (ara) 360 Smart Bed(SleepNumber) CES と MWC の両方で出展したインテルのマカフィーコーナーでは 家庭内の機器を一括で管理 コントロールする The McAfee Secure Home Platform を中心に展示 デモを行っていた MWC では このプラットフォームが Best Security Innovation Award を受賞 高く評価された ありとあらゆるものがインターネットにつながっていく IoT の時代にあって 個々の機器でそれぞれセキュリティー対策を施していくのは現実的ではない 家庭であれば元栓のような場所で一括管理すれば その中にいる間は安全な環境を安心して使うことができる また The McAfee Secure Home Platform は セキュリティーだけでなく 子どものインターネット利用を管理したり 照明やカメラなどの機器を一括管理することも可能で IoT 時代の総合コントローラー的な役割も備えている The McAfee Secure Home Platform 搭載のルーター ( マカフィー ) スマート水筒 moikit(moikit) The McAfee Secure Home Platform が MWC の Best Security Innovation Award を受賞 スマートテーブル ( パナソニック ) 11

- 調査概要 - 1. 調査目的 IoT 時代の到来について 現時点でデジタルリテラシーの高い消費者がどのように捉えているかを探ることで 今後訪れる生活変化の予測材料とする 2. 調査手法 インターネット調査 3. 本調査対象者 20~60 代のデジタルリテラシーが高い生活者 ( 予備調査において 自分は周りの人よりもインターネットサービスを利用している方だと思う かつ 生活が便利になるなら 積極的にインターネットサービスを利用したい とした回答者をデジタルリテラシーが高い層とし 本調査を実施 ) 4. 調査日とサンプル数 調査日 :2017 年 2 月 14-16 日の 3 日間 サンプル数 : 全 2000 13

調査結果 1) IoT に対する生活者の認識 理解と認知 IoT という言葉は モノのインターネットと訳されているが ようやく対応機器が登場し始めている段階でもあり デジタルリテラシーが高い消費者であっても 理解が十分進んでいるとは言い難い 類似する用語の中では 1950 年代に言葉が登場し歴史の古い AI の理解度が最も高かった 逆にエネルギーの節約に特化した HEMS (Home Energy Management System) はもっとも理解度が低かった IoT はそれに次いで理解度が低く 31.8% 認知も含めると 60% だった AI ビットコイン ウェアラブル機器などと比べると認知度は低い IoT の理解度のうち属性別で違いを見ると 男性が 40.6% であるのに対し 女性は 14.7% と大きな差があった 現時点では女性の理解度が特に低いことがポイントだ イメージ IoT 機器が普及の初期段階であるため まだ身近で具体的イメージはわかないながらも 消費者にとっては先進的でポジティブな存在と受け止められている もっともスコアが低い 親しみやすい でも 51.4% と過半だった 男女別では センスが良い が双方ともに 8 割弱で差がなかったが 男性のスコアが高かったのが 親しみやすい ( 男性が +7 ポイント ) 近代的だ ( 男性が +3.7 ポイント ) だったのに対し 女性は 品質が良い 高級感がある でほぼ +5 ポイント 安心安全だ でも +4 ポイントと男性よりもポジティブな評価が目立った 女性には IoT の内容の理解があまりなされてはいないものの 漠然としたイメージは良い IoT へのイメージ IoT への理解と認知 14

調査結果 2) IoT 導入への期待ジャンル 東京オリンピックが開催される 2020 年をイメージしながら IoT 導入をどんなジャンルで期待するかを聞いたところ 期待度が最も高かったのが 医療 介護 (39.9%) であった もっとも身近で想像しやすい 生活家電 (37.5%) を上回って医療 介護がもっとも高かった点は注目すべきだろう 以下 住宅 住まい (34.8%) 自動車 バイク (32.4%) デジタル機器 通信 (29.8%) と続く 現在すでに活動量計などで IoT 機器が販売されもっとも身近だと思われた フィットネス 健康 については 6 番目の 20.9% また 同じく活動量計などの機能として提供されている 睡眠 についても 12 番目の 15.8% であった IoT のわかりやすい応用例として提供されてきたウェアラブル機器を使った活動量測定には あまり関心が高いとは言えない 単に状態を 見える化 するだけでなく 一歩 IoT 導入を期待するジャンル 進んだ治療を伴う医療や実利の伴う介護の場面で IoT の活用が もっとも期待されていると言える またエンターテインメントやレジャーと言った分野よりも 実質的な具体的利便性向上を伴うジャンルへの導入への期待が高い 男女別では 医療 介護 は女性の期待度が特に高い 一方 自動車 バイク や デジタル機器 通信 という分野では男性の期待が高かった 年齢別では やはり 60 代の 医療 介護 に対する期待度は全体に比べ +12.5 ポイントと高い一方 20 代は -7.5 ポイントと低く 年齢による違いが如実に表れた 20 代で期待が高かった 飲食 料理 は 全体比で +7.2 ポイントだった また 未既婚 子どもの有無では似たような傾向になった また 居住形態では 一戸建てに住む層で 住宅 住まい が全体比で +3.2 ポイント 自動車 バイク が同 +2.7 ポイントと より期待が高いことが分かった 属性別の全般では 既婚層や高齢層が比較的実用的分野への導入を期待する一方 若年層や未婚層が飲食やレジャーなど楽しみの分野への導入を期待している姿が浮き彫りになった 15

調査結果 3) IoT 導入に期待する理由 IoT の導入を期待する理由では もっとも IoT 導入への期待が高かった 医療 介護 で 利便性が向上しそうだから (52.4%) が最も高く 身体や健康に良さそうだから (42.5%) が 2 番目 次いで データ解析を通じてよりよい社会が実現しそうだから (37.5%) さまざまなことが数値で明確に把握できそうだから (35.3%) と続く 医療 介護の場面で さまざまなものが数値で把握できるようになる事で 質の向上が期待されており IoT の活用が社会的に意義あるものになると受け止められているようだ 生活家電 では 利便性が 79.6% と圧倒的だったが 電気代や消耗品などの節約になりそうだから が 39.0% と続いた 利便性はもとより 節約に役立つのではと考えられている 住宅 住まい では 利便性が 81.2% と最高だったのは同じだが 安全性が向上しそうだから が 31.7% で続いており 安全性向上への期待が高めになっている この傾向がより強いのが 自動車 バイク 利便性は 71.1% だった一方 安全性も 53.8% と高かった 利便性向上への期待は当然だが 加えて安全性の向上への期待も大きい 医療 介護 への IoT 導入に期待する理由 住宅 住まい への IoT 導入に期待する理由 16

調査結果 4) IoT 時代の進展に伴う不安 IoT の進展に伴っての漠然とした不安をどの程度感じるかを聞いたところ 全体では 53.0% が不安に感じている 男性よりも女性が若年者よりも高齢者がより不安を感じる傾向があった 不安に感じる点としては 個人情報の流出の頻度が高まりそう (80.5%) が最高で ウイルス感染する可能性が高くなりそう (74.9%) が続いた より実害を心配する 犯罪に利用され自分の生活が脅かされそう (46.9%) IoT 社会のある種の宿命とも言える いつも誰かに監視されている気分になりそう (42.6%) は半数近くが不安に感じている また IoT 導入でセキュリティに関して不安に感じるジャンルでは 住宅 住まい (46.0%) が最多 以下 消費 金融 (41.7%) 自動車 バイク (35.9%) 医療 介護 (32.9%) デジタル機器 通信 (31.3%) が続いた 期待でも 2 番目に高かった住宅 住まいがセキュリティの不安では最多だった 消費者自らが恩恵を受ける一方 反作用としてのセキュリティ不安要素も生じるという事だろう 一方 医療 介護 は医者などのプロに対する信頼感が セキュリティに対する不安をやや和らげているといえる 2 番目に高かった 消費 金融 は 期待は 14% 程度であったのにもかかわらず 不安の値が大きく上回った 身近な利便性はあまり改善しない一方 リスクだけが高まるという印象も強いようだ 男女では やや女性が楽観的な傾向が見られた 特に 自動車 バイク では男性より女性が -17.1 ポイントで 男性ほど不安視していない IoT 時代の進展に伴う不安の内容 IoT 時代の進展でセキュリティに不安を覚えるジャンル 17

調査結果 5) IoT 技術導入への期待と不安 IoT 技術の導入を期待する分野と IoT 技術導入に伴ってセキュリティ的に不安を感じる分野を並べ比較した 最も不安を期待が上回ったのは 生活家電 で 12.9 ポイント差だった 導入期待が高いものの 不安は比較的小さかった IoT との親和性が高く導入後の姿がイメージしやすいこともあり 期待が大きく上回る結果になった 以下 フィットネス 健康 が 12.4 ポイント差 レジャー エンタメ が 10.2 ポイントといずれも 2 桁ポイント差で期待が上回った 期待値が 39.9% と最も高かった 医療 介護 は不安値も 32.9 と高めで期待と不安が拮抗しているものの 7.0 ポイント差で期待が上回った 一方 最も期待を不安が上回ったのは 消費 金融 で 27.6 ポイント差で不安が勝った IoT の導入事例がイメージしにくい事もさることながら IoT 社会の進展に伴いセキュリティ被害の機会が増えるとの考えから 最も実害を恐れる分野の不安値が高かったものと思われる 住宅 住まい も 11.3 ポイント差で不安が上回った これも身の危険につながる実害を恐れての事と思われる 自動車 バイク についても 3.6 ポイントとわずかながら不安が上回った 万一リスクにさらされた場合 命にかかわる可能性もあるため 不安が勝ったものと思われる IoT 技術導入への期待とセキュリティ上の不安比較 18

調査結果 5) IoT 導入例の利用意向 現時点でよく言われている典型的な 10 の IoT 導入例を挙げ利用意向を聞いた もっとも利用意向が高かったのは セキュリティ対策を PC やスマホ 1 台ずつにするのではなく 自宅の無線 LAN 機器 (Wi- Fi)1 つに対策することで 全ての通信機器をウイルスから守る で 67.1% だった あらゆるものがつながるような環境では 個々にセキュリティ対策を施すのは面倒で困難であるとの認識だろう 次に利用意向が高かったのが 自宅の窓に専用のシール を貼るだけで 振動や窓の開閉を察知し 異常を関係者のスマートフォンに通知してくれる で 62.3% だった 住まいの安全 安心のためであれば意向が高い 次が スマートフォン 1 つで 自宅内の電気 エアコン 水道 ガスの ON/OFF などの管理が自宅の外からも可能になる で 60.8% だった 2 位 3 位の双方とも外出先からの監視やコントロールに関するもの 外からの働き掛けに対する意向が高かった IoT 導入例の利用意向 19

調査結果 5) IoT 導入例の利用意向 以下 意向が半数を超えたものは順に 子どもや高齢者 ペットの状況を外出先から映像で見ることができ TV 電話として通話も可能になる (58.0%) 体の状態をセンサーで把握し 睡眠の質を把握することで ベッドの硬さや角度を調整するなどで より良い睡眠を取ることができる (56.2%) 買い物や通販で商品を購入する際 暗証番号やサインではなく 指紋や顔などの 生体認証 で決済を行うことができる (56.0%) 自動車の運転が自動化されることにより 自宅同様に移動中の車内で好きなことができたり 仕事ができる空間となる (54.0%) 実物の鍵ではなく スマートフォンをかざすことで 自宅への入出を可能にし セキュリティも強化される (50.7%) であった 逆に最も意向が低かったのは T シャツや靴 ゴルフクラブやラケットなど身に着けるものやスポーツ用品とデータ通信が可能になり 健康状態が把握できたりスポーツ上達のためにデータが活用できる (38.1%) だった 20

調査結果 6) 主要なペルソナが思い描く IoT の世界 家族と一緒に一戸建ての持ち家で暮らす高年齢層は PC やスマホについてはセキュリティ対策をしているし インターネットを安全に使うための心得を理解していると思っている しかし 機器をインターネットにつなぐ際 安全性はあまり気にしていない上 自宅や車の防犯対策についても比較的ルーズ 所得が高めである一方で 自分は大丈夫と考える人が多く 攻撃の標的になりやすい また IoT への期待については 医療 介護分野への応用についてとても期待度が高い 近い将来自らが利用したり対象になる可能性が高いという 差し迫った不安の裏返しとも言えるだろう 自動運転も他の世代よりも期待度が高い しかし 利便性ではなく安全性向上がその理由 高齢化による運転の不安を自動運転で解消してほしいとの考えが見て取れる 賃貸で一人暮らしの若者層は IoT への理解度はとても低く 関心は薄い しかし VR や AR といったエンターテインメントに関する理解度はとても高い 車やテレビがネットに接続することで利便性が高まるという理解はある一方で 家庭用や携帯用のゲーム機がネット接続することへの利便性向上に期待が高い さらに デジタル機器や通信といった 身近な機器への IoT 導入に対しても期待が高く 漠然とワクワクすると同時に これによって 安全性が高まるとも考えている 完全な自動運転にはとても興味があり よい睡眠がとれるような IoT 機器に関しても是非利用してみたいと考えている また スマホで各種機器の電源を ON/OFF できるような機器も使ってみたいと考えている マンションで夫婦と子どもで生活する標準的なファミリー層は PC やスマホのセキュリティ対策やインターネットを安全に使うための心得もやや自信がない そのため 機器をインターネットにつなぐ際の安全性に関して気にしており 自宅や車の防犯にも より気をつけている 自らを客観的に判断し 健全な危機意識を持っていると言えそうだ IoT については 比較的理解度が高く 近代的でセンスがいいと感じている また比較的安全 安心なものととらえており そのため さまざまな機器がインターネットにつながるようになることについての不安も比較的少ない 技術の進歩が安全性を高めるものとして信頼感が高い 住宅 住まいに対する IoT 応用の期待度が高く 利便性向上や安全性が向上すると考えている また電気代などの節約にもつながると期待している エンターテインメント用途よりも 利便性の向上を理由として車や生活家電への IoT の応用を強く期待している スマートキーや見守り製品などに対する利用意向が高い 21

消費者意識とのギャップから見た IoT の課題 1) 主要応用分野でのギャップと課題 < 医療 介護分野 > ギャップ 消費者の IoT への期待は大きい しかし 現在の IoT 機器が提供している生体情報を収集して健康管理に役立てるというライトな用途への期待が薄い一方 治療や予防といったより踏み込んだ分野への期待が高く 現状とのギャップが大きい 課題と今後 患者の病歴データベースと治療機器などとの連携により より柔軟でスピーディーな治療を実施するようなサービスの構築が必要 名医の知見を集積した AI を個人レベルでも気軽に使えるようにし 早期発見早期治療を実現する 医師同士の知見をリアルタイムに集約し 治療の精度を向上させることが重要 普段の生活の状態を IoT 機器で網羅的に記録できる環境を整え 基礎情報の充実を図る さらに DNA 解析なども活用し 確率的な罹病のリスクを算出 発病の前から薬を投与したり生活習慣の改善を指導する 保険金や年金の支給計算がより緻密になり 公平な受給が実現を目指す 介護分野での IoT の活用として 介護対象者の表情やしぐさなどを察知し最適な力加減や手法を選択するスマート介護ロボットを開発 ベッドの上り下りや入浴など 家族や介護士の負担が大きい部分の補助を実現する < 生活家電分野 > ギャップ 利便性向上への期待が高い一方で 電気代や消耗品の節約への期待も大きい 現状ではこうした節約の場面での IoT の応用はあまりアピールされておらず 消費者意識と現状のギャップが大きい 課題と今後 利便性への期待は高いものの IoT によってどう具体的に利便性が向上するかの中身に乏しい 節約の場面で活躍する IoT についても訴求する価値はある 顔や声の認識で誰がリビングにいるかを各家電が判断し 使用履歴をもとに待機電力を最小限に抑えるなどで節約に貢献できる 利便性の面では 個人認証機能により いつも見ているテレビ番組を常にスタンバイさせたり 顔や声の認証で 機器に触らなくても機器のロック解除ができるようにする また操作や入力のクセをディバイスが覚え 打ち間違いが自動的に修正する 冷蔵庫などがスマート化し 毎日の献立を医療の観点からチェックし 手持ちの材料と家族の好みを勘案してできる最善の献立を提案する 買い物エージェントの開発により 消耗品の購買については 最も条件のいい店舗に自動で発注できるようになる 来客や 旅行などによる消耗度合いの変化にも随時対応し 自動的に発注する などで具体的な利便性向上が期待できる < 住宅 すまい> ギャップ 利便性向上への期待が最も高い しかし 現状では利便性というより 安全性を訴求する製品群が多い 安全性向上への期待は利便性に次いで高く 特に女性の期待が大きい IoT 全体へのイメージでも 安心 安全と考えているのは女性 23

消費者意識とのギャップから見た IoT の課題 の方が多い 外出先から自宅の現状が把握できるなど IoT 応用による安全性向上でわかりやすい例があるからと考えられる 安全性に次いで期待が高いのが電気代や消耗品の節約だが この部分に関して 住宅 住まいという視点で訴求できる部分が少なく ギャップが大きい 課題と今後 顔や声などの認証によって 未知の第三者の訪問でも おおよそ誰が来たかを判断し ドアホンなどに通知する 来訪者が犯罪歴があるものや 犯罪を企てている者特有の動きをしている場合はドアホンに警告を行う などの製品であれば 期待する安心感も得られ受け入れられやすそうだ また 節約期待に応えるものとして 住宅全体で消費エネルギーをコントロールする HEMS 的な仕掛けを訴求すれば期待に応えられる しかし HEMS の認知度はとても低いため HEMS という言葉は使わず 別のわかりやすい表現で訴求すべきだ また 睡眠時間と質が最適になるよう 寝室で寝具や照明 音楽 アロマなどが連携して動作させたり 睡眠の質を自動取得して履歴化し 罹病リスクの計算に利用したり 必要に応じて最適な医師または医師 AI からアドバイスが得られるよう調整するなども組み合わせ 医療費の節約という観点から訴求するのもいいかもしれない < 車 バイク > ギャップ 車への IoT 利用そのものへの期待は男性が 10 ポイント近く高い しかし期待の理由では 利便性は男性が高いものの 安全性向上への期待は男女ともほぼ 同じだった 運転者の補助を前提とした自動運転が実現し ケアレスミスによる事故が減少する オートバイも同レベルの自動運転が可能になり 転倒リスクが減少するといった点に関しては男女とも同様に期待が大きい しかし 自動運転などへの利便性向上については 女性の期待が若干弱い 課題と今後 自動運転の具体的中身に対する認知がまだ十分でないため 利便性への理解度が低いものと思われる まだ法整備などが不十分な段階で 技術的な進展よりも社会制度的な整備が遅れている面もあり 十分な訴求ができないためやむを得ない部分も大きい しかし 今のうちから自動運転を中心とする利便性の本質について訴求しておく必要はあるだろう < その他ギャップ > ギャップ レジャー エンタメ スポーツ 睡眠といった分野では期待度は 2 割以下だった 現状ではそれぞれ製品もリリースされている分野であり IoT 機器の先鞭を付けた分野でもあるが それだけに現状でできることにまだ限りがあるため 今後の期待に結びついておらず 期待とのギャップがとても大きい 課題と今後 単にデータを収集し 簡単なアドバイスを返すだけの活動量計タイプのモデルではもはや消費者は満足しない あと1~2 歩前進し 新たな利用価値を訴求できるまでに進化する必要がある エンタメやスポーツなどのカテゴリーでは 収集した情報を蓄積して新しい価値を生み 24

消費者意識とのギャップから見た IoT の課題 2) その他の課題 出す事を考えるべきだろう また睡眠関連機器も多いが 精度が悪い製品も多い 精度を高めると同時に 実際に体に働きかける機器との組み合わせで 使用すると睡眠の質を向上させることができる機器に進化させる必要がある < その他の課題 > 大きく生活を変えそうな IoT 技術だが 課題もまた多い 最も心配なのが安全性 セキュリティだ 自動運転の精度のような物理的な安全性の問題も大きいが 同じくらい データのセキュリティに関しても問題が大きい 例えば 健康や医療の分野で扱うデータは きわめて個人的なデータであるため 漏洩は許されない またスマートロックのデータが漏洩すれば すぐさま家庭の戸締まりの安全性が脅かされてしまう もう一つの課題は通信量だ 無線接続する機器が爆発的に増え続けることで データの総量も同様に増えていく さらに 解像度の高い動画データなどきわめて重いデータを高速でやりとりする頻度も高まる 現在の 4G 環境ではまかなえない 早急に 10Gbps を実現する 5G 環境の整備が必要になるだろう さらに 家庭内の無線接続環境がボトルネックにならないよう 十分高速な整備に切り替えている必要性も大きい 一方で 多くの機器がインターネットにそれぞれ接続することになり その数が爆発的に増えていくことにもなるため それぞれにセキュリティ対策を施していくのは現実的ではない どこで安全を守るかという課題も生じる 今のところ 一番現実的な解決法は 家庭の中と外を隔てるルーターにセキュリティ機能を持たせ 家庭内の機器を一括して守るというのが 最も現実的だろう 25