第 24 章地域ごとの特徴 地域ごとの特徴 ベトナムの地域分類南北に長い国土をもつベトナムは その歴史 地理 気候風土に起因する発展形態の違いなどにより 北部 南部と 2 つの地域に分けて語られることが多い 歴史的背景からいえば 19 世紀以降でも フランス領インドシナ下で北部 中部 南部と異なった

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Ⅲ 参考

ベトナムの投資環境 第 2 章政治 外交 軍事 1. 政体ベトナムは憲法第 4 条において ベトナム共産党は ベトナム労働者階級の先導隊であり マルクス=レーニン主義およびホーチミン思想を思想的基礎として採用し 労働者階級 働く人民全ての民族の権利を忠実に代表する 国家と社会の指導勢力である と定め

第 1 章 ベトナムの 概 要 I. ベトナムの 社 会 面 積 33.1 万 km 2 ( 日 本 の 約 9 割 ) 人 口 8,876 万 人 (2012 年 ) 人 口 増 加 率 1.2%( 過 去 10 年 平 均 ) 首 都 ハノイ(684 万 人 )(2012 年 ) 民 族 キン

3 ベトナムの資源管理の状況 3.1 位置 概要 ベトナムの位置 社会の概要等について 以下に示す 図 3-1 ベトナムの位置 表 3-1 ベトナムの概要 1 項目 面積 人口 産業別就業 人口比率 首都 民族 言語 宗教 概要 32 万 9,241 平方キロメートル 約 8,784 万人 2011

2015 年 6 月 19 日 ジェトロバンコク事務所 タイ日系企業進出動向調査 2014 年 調査結果について ~ 日系企業 4,567 社の活動を確認 ~ 1. 調査目的 タイへの日系企業の進出状況については 2008 年当時の状況について ( 独 ) 中小企業基盤 整備機構が タイ日系企業進出

結  果  の  概  要

平成 21 年経済センサス 基礎調査確報集計結果 (2) 産業分類別 - 従業者数 ( 単位 : 人 %) 北海道 全国 従業者数従業者数 (*2 (*2 A~S 全産業 A~R 全産業 (S 公務を除く )

,112 1,630 1,992 1,879 2,674 3,912 はじめに ア

I 32 9,315km , ,

事業所

経済センサス活動調査速報

,010 1,889 1,608 1,895 2,588 3,608 はじめに ア

経済センサス活動調査速報

,051 1,961 1,703 1,935 2,493 3,640 はじめに ア

Ⅰ 事業所に関する集計 1 概況平成 26 年 7 月 1 日現在の本道の事業所数 ( 国及び地方公共団体の事業所を含む 事業内容不詳の事業所を含む ) は 25 万 3,139 事業所 従業者数は 245 万 7,843 人となっており 全国順位は 事業所数 従業者数ともに 東京都 大阪府 愛知県

第 2 章 我が国における IT 関連産業及び IT 人材の動向 1. IT IT IT 2-1 IT IT 大分類 A 農業, 林業 B 漁業 C 鉱業, 採 業, 砂利採取業 D 建設業 E 製造業 F 電気 ガス 熱供給 水道業 G 情報通信業 H 運輸業, 郵便業 I 卸売業, 小売業 J

第 24 章地域別の概要 地域別の概要 ミャンマーの地域分類ミャンマーの地域区分としては カチン カヤー カレン チン モン ラカイン シャンの 7 州と ザガイン タニンタリー バゴー マグウェー マンダレー ヤンゴン エヤワディの 7 管区に加え 連邦直轄区域であるネーピードーがあり 統計もこれ

①-1公表資料(本文 P1~9)

第 10 表 産業大中分類別, 性別, 常用労働者の1 人平均月間現金給与額 規模 5 人以上 TL 調査産業計 年次及び月次 平成 20 年 300, , ,080 48, , ,954 60, , ,246 32,505 平

第 10 表 産業大中分類別, 性別, 常用労働者の1 人平均月間現金給与額 規模 5 人以上 TL 調査産業計 年次及び月次 平成 17 年 313, , ,854 50, , ,534 61, , ,321 36,193 平

若年者雇用実態調査

30付属統計表(全体)

国勢調査結果の農業集落別集計論理書 国勢調査結果を用いて 以下の手法により農業集落別各種世帯数 人口 就業者数の集計 データを市区町村ごとに作成する 1 データ収集 整理 1.1 収集データ (1) 農業集落地図データ (GISデータ): 集落ごとのポリゴンデータ (2) 小地域 ( 町丁 字等 )

平成 22 年国勢調査産業等基本集計結果 ( 神奈川県の概要 ) 平成 22 年 10 月 1 日現在で実施された 平成 22 年国勢調査 ( 以下 22 年調査 という ) の産業等基本集計結果が平成 24 年 4 月 24 日に総務省統計局から公表されました 産業等基本集計は 人口の労働力状態

PowerPoint プレゼンテーション

第5回 「離婚したくなる亭主の仕事」調査

26公表用 栃木局版(グラフあり)(最終版)

所4. 事業所 1. 経営組織別全事業所数 男女別従業者数 総 数 事業所数 1km ( 人 ) 当たり市区町村従業者数 ( 事業内容等事業所数不詳を含む ) ( 注 ) 事業所数事業所数男女 従業者数 鹿 児 島 県 82,752 81, , , ,505 9.

鎌倉市

4

第1回「離婚したくなる亭主の仕事」調査

untitled

29付属統計表(全体)

28付属統計表(全体)

リスモン調べ 第4回 離婚したくなる亭主の仕事

Microsoft PowerPoint - ★グラフで見るH30年度版(完成版).

所4. 事業所 1. 経営組織別全事業所数 男女別従業者数 総 数 事業所数 1km 市区町村従業者数 ( 人 ) 当たり ( 事業内容等事業所数不詳を含む ) ( 注 ) 事業所数事業所数従業者数男女 鹿 児 島 県 82,752 81, , , ,505 9.

毎月勤労統計調査地方調査の説明 1 調査の目的この調査は 統計法に基づく基幹統計で 常用労働者の給与 出勤日数 労働時間数及び雇用について 東京都における毎月の変動を明らかにすることを目的としています 2 調査の対象本調査の産業分類は 平成 2 年 10 月改定の日本標準産業分類に基づき 鉱業, 採

28付属統計表(全体)

平成24年経済センサス-活動調査

第三章:保育士の就業・就職行動と意識

タイの投資環境 第30章 地域編⑥ 東北部 1 地域概要 (1) 概要 ①東北部地方の経済的地位 東北部地方は 20 の県から構成され 域内の北東部 6 県はラオスと 南部 4 県はカンボジアと接して いる 東北部地方は内陸に位置し海港を持たない 東北部地方の名目 GDP 2015 年 は 388

平成 22 年国勢調査 < 産業等基本集計結果 ( 大阪 平成 24 年 5 月 大阪市計画調整局

< アンケート結果 > 健康経営等に関する設問 Q. 貴社において 改善 解決したい課題はありますか Q. 貴社において 従業員が健康的に働けるよう独自に取り組んでいること ( または今後 取り組んでみたいことは何ですか Q. ご自身の健康のために独自に取り組んでいること ( または今後取り組んでみ

2010 年 12 月環境経済観測調査統計表 目次 ページ 表 1(1) 主業別 資本金別対象企業数及び回答率 1 表 1(2) 主業別 資本金別回答企業数及び構成比 1 表 2-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 資本金別 主業別 2 表 2-2 発展していると考える環境ビジネス 資本金別 主業別

事業所規模 5 人以上 (1 表 ) 月間現金給与額 産 業 ( 単位 : 円 %) 現金給与総額 きまって支給する給与 所定内給与 特別に支払われた給与 対前月増減差 対前年同月増減差 全国 ( 調査産業計 確報値 ) 278, , ,036

PowerPoint Presentation

調査分析シリーズ(冊子用).indb

外国人労働者の雇用実態に関するアンケート調査結果 速報版 平成 30 年 12 月 山形県商工労働部 1. 調査目的 県内における外国人労働者の実態等について調査を実施し 今後の外 国人材の活用施策の検討材料とする 2. 調査期間 平成 30 年 10 月中旬 ~11 月中旬 3. 調査対象 方法

CÔNG TY CỔ PHẦN KẾT NỐI ĐẦU TƯ ViỆT NAM

Ⅲ 卒業後の状況調査 1 中学校 (1) 卒業者数平成 29 年 3 月の中学校卒業者数は 7 万 8659 人で 前年度より 655 人 (0.8%) 減少している [ 表 57 図 25 統計表 ] 専修学校 ( 一般課程 ) 等入学者 58 人 (0.1%) 専修学校 (

平成25年毎月勤労統計調査

正 島根 公表資料(1P)

健康保険・船員保険          被保険者実態調査報告

第1回「若手社員の仕事・会社に対する満足度」調査   

①公表資料本文【ワード軽量化版】11月8日手直し版【1025部長レク⑤後】平成30年61本文(元データあり・数値1004版)

職業別 求人 求職バランスシート ( パート除く常用 ) 平成 30 年 8 月内容 ハローワーク旭川パート除く常用 有効求人数有効求職者数 1,400 有効求人倍率 ,200 1, ,

職業別 求人 求職バランスシート ( パート除く常用 ) 平成 30 年 9 月内容 有効求人数有効求職者数 1,400 ハローワーク旭川パート除く常用有効求人倍率 ,200 1, ,

職業別 求人 求職バランスシート ( パート除く常用 ) 平成 31 年 3 月内容 有効求人数有効求職者数 1,400 ハローワーク旭川パート除く常用有効求人倍率 , , ,

職業別 求人 求職バランスシート ( パート除く常用 ) 令和元年 6 月内容 有効求人数有効求職者数 1,400 ハローワーク旭川パート除く常用有効求人倍率 ,200 1, ,

★外国人公表資料【完成版】

調査概要 調査目的 : 調査方法 : 調査対象 : 調査期間 : 兼業 副業に対する企業の意識調査 電話調査法 2,000 社 帝国データバンクが所持している企業データより全国の中小 中堅 大企業をランダム抽出 ( 社員規模は 10 名以上 ) 2017 年 1 月 6 日 ~1 月 27 日 集計

< E81408A438A4F8FEE90A895F18D CFA984A8FC8208D918DDB89DB C96DA8E9F817C907D955C96DA8E9F817C967B95B62E696E6464>

毎月勤労統計調査 地方調査結果速報 平成30年11月分

結果の概要

HGS-2908

事業所規模 5 人以上 (1 表 ) 月間現金給与額 産 業 ( 単位 : 円 %) 現金給与総額 きまって支給する給与 所定内給与 特別に支払われた給与 対前月増減差 対前年同月増減差 全国 ( 調査産業計 確報値 ) 262, , ,075

平成29年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果

平成26年経済センサス‐基礎調査(確報)結果の公表

都道府県別有効求人倍率 ( 季節調整値 ) 令和元年 5 月 広島 東京 岡山 福井 岐阜 愛知 富山 石川 香川 大阪 鳥取 群馬 三重 長野 新潟 島根 宮城 愛媛 京都 茨城 山口 熊本 福岡 大分 静岡 徳島 山形 福島 宮崎 秋田 奈良 栃木 和歌山 兵庫 岩手 山梨 千葉 鹿児島 埼玉

Nghi Son Vung Ang Da Nang Dung Quat Thailand Laos China Phnom Penh Sawanaket Lao Bao Lao Cai Lang Son Cho Moi Doan Hung Ha Noi Hai Phong Mong Cai Ninh

厚生労働省発表

四校

H30情報表紙 (H30年度)

第5回 企業の取引リスクに対する意識調査

C 労働 (1) 総数 ( 単位人 ) 年齢 (5 歳階級 ) 総 総数主に仕事 C-1 労働力状態 (8 区分 ), 年齢 家事のほか仕事 通勤のかたわら仕事 休業者 98,762 59,160 56,303 45,585 8,703 1, ~19 歳 6,689 1,108 9

08飯山(__26.2月).xls


1 概況 ( 調査産業計 ) 賃金 労働時間及び雇用の動きについては (1) 現金給与総額が事業所規模 5 人以上で前年比 0.2% 減少 30 人以上で0.4% 増加 (2) 総実労働時間が事業所規模 5 人以上で前年比 0.9% 減少 30 人以上では変化なかった (3) 推計常用労働者数が事業

★外国人公表資料本文

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

42

第2回「離婚したくなる亭主の仕事」調査

(Microsoft Word - 11 \212T\227v\201i\216\226\213\306\217\212\201j.doc)

News Release 2018 年 8 月 1 日 香川県内民間企業の 2018 年夏季ボーナス支給見込み アンケート調査結果について 百十四銀行 ( 頭取綾田裕次郎 ) では 香川県内に本社または主工場をもつ民間企業 640 社を対象として 2018 年夏季ボーナスの支給予想について アンケー

⑤資料4~8高卒状況の推移

宮崎労働局 宮崎労働局発表平成 26 年 8 月 29 日解禁 報道関係者各位 雇用失業情勢 ( 平成 26 年 7 月分 ) Press Release 照会先 宮崎労働局職業安定部 部 長 上村有輝 職業安定課長 森山成人 労働市場情報官 多田真理子 ( 代表電話 )0985(38)8823 平

2 外国人労働者の属性 (1) 国籍別にみると 中国 ( 香港等を含む 以下同じ ) が全体の 57.4% を占め 次いで フィリピンが 15.0% となっている また ベトナムについては対前年同期比で 62 人 (52.1%) 増加しており 同 181 人 (4.2%) を占めている 図 1 別表

労働力調査(基本集計)平成29年(2017年)平均(速報)結果の概要

Microsoft Word - コピー ~ (確定) 61発表資料(更新)_

1 15 歳以上人口の就業状態 富山県の 15 歳以上人口 人のうち 有業者は 人 ( 全国 6621 万 3 千人 ) と 平成 24 年と比べると 人減少しています 有業率 (15 歳以上人口に占める有業者の割合 ) についてみると 59.5%( 全国 5

平成 24 年職種別民間給与実態調査の概要 今回の報告の基礎となった本委員会の職種別民間給与実態調査の概要は 次のとおりである 1 調査の目的と時期この調査は 本市職員の給与を検討するため 平成 24 年 4 月現在における民間給与の実態を調査したものである 2 調査機関 本委員会 人事院 広島県人

調査の方法と経緯

雇用の現状_季刊版2014年夏号

スライド 1

< 結果の要約 > 1. 概況 平成 21 年 7 月 1 日現在の我が国の企業グループ数は2 万 7 千 会社企業 180 万 7 千企業のうち 企業グループに属する会社企業数は9 万企業 (%) 子会社数は6 万 3 千社で 1 企業グループ当たりの子会社数は2.4 社 会社企業の従業者 412

我が国中小企業の課題と対応策

2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

目次 平成 30 年 6 月環境経済観測調査地域別統計表 ページ 表 A 地域別対象企業数及び回答率 1 表 1-1 我が国の環境ビジネス全体の業況 主業別 2 表 1-2 発展していると考える環境ビジネス 4 表 2-1(1) 現在行っている環境ビジネス数 主業別 6 表 2-1(2) 現在行って

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第 24 章地域ごとの特徴 地域ごとの特徴 ベトナムの地域分類南北に長い国土をもつベトナムは その歴史 地理 気候風土に起因する発展形態の違いなどにより 北部 南部と 2 つの地域に分けて語られることが多い 歴史的背景からいえば 19 世紀以降でも フランス領インドシナ下で北部 中部 南部と異なった植民地体制下に置かれたり ジュネーブ協定調印で設定された北緯 17 度線の軍事境界線によって南北に分割されたりするなど 幾度も地理的に分断されてきた 1976 年にベトナム社会主義共和国が成立し 南北が統一される以前には 北は社会主義体制 南は資本主義体制 と政治経済体制も異なっていた 南ベトナムには市場経済体制導入基盤が整備されていたため 外資の流入状況についても 南ベトナムが圧倒的にリードしてきた歴史的経緯がある また 北部の紅河デルタと南部のメコンデルタは ベトナムの農業生産高の約 5 割を占める穀倉地帯であるが それぞれのデルタで培われた農民の特徴が 地域の人々の気質に影響を与えているとも言われており 現地では北部の人は 我慢強く堅実 であり 南部の人は おおらかでその日暮らし と言われている このような歴史的経緯以外にも 地理的に中国に隣接する北部と ASEAN( カンボジア ) に隣接する南部 四季のある北部と常夏の南部 と対比して語られることも多い 尚 北部は行政都市ハノイを中心に発展し 南部は経済都市ホーチミンを中心に発展しており 両都市の関係を中国の北京と上海のそれに例えることもできる ベトナムの統計では 紅河デルタ 北部内陸 山間地域 北中部 中部沿岸地域 中部高原 南東部 メコン川デルタの 6 地域に分けられることが多い 次章より 地域編として紅河デルタと北部内陸 山間地域の 北部 北中部 中部沿岸地域と中部高原の 中部 南東部とメコン川デルタの 南部 に分けて それぞれの地域の特徴等を記している 北部と南部に次ぐ地域となる中部は ベトナム第 3 の商業都市ダナンを中心に発展している地域であるが 北部と南部の目覚ましい発展に比べると やや開発が遅れている 中部は地理的に細長い地形に山脈が走る構造により気候にも恵まれないことから農業生産量の成長も鈍く 工業基盤も脆弱となっている しかし 近年 重工業や観光業 IT 産業の投資が増加しており 今後の発展が注目されている 2018 年のベトナムの総人口は 9,467 万人で 北部と南部にそれぞれ 3,400~3,500 万人 中部に 2,600 万人強が分布している 行政区画は現在 5 市 58 省となっており 北部が 2 市 23 省 中部が 1 市 18 省 南部が 2 市 17 省で構成される 面積は 中部が最も広く 全体 ( 約 33 万 km 2 ) の 45% を占める 1km 2 あたり人口密度の地域平均は 北部 291 人 中部 172 人 南部 542 人であり 全国ベースでは 286 人である 特に人口が集中している地域は 北部の紅河デルタ地域 ( 同 1,014 人 ) と南部の南東地域 ( 同 725 人 ) となっている ( 図表 24-2) 183

ベトナムの投資環境 北部 : フンイェン省の寺院 中部 : 世界遺産のホイアン旧市街 南部 : ホーチミンの街中 南部 : ホーチミン サイゴン川河畔から臨む夜景 184

第 24 章地域ごとの特徴 図表 24-2 ベトナム各省市の面積 人口 (2018 年 ) ( 出所 ) 各種資料より作成 面積人口人口密度面積人口人口密度 (km 2 ) ( 構成比 ) ( 万人 ) ( 構成比 )( 人 /km 2 ) (km 2 ) ( 構成比 ) ( 万人 ) ( 構成比 )( 人 /km 2 ) 全国 331,236 100.0% 9,467 100.0% 286 紅河デルタ 21,260 6.4% 2,157 22.8% 1,014 中部高原 54,508 16.5% 587 6.2% 108 ハノイ 3,359 1.0% 752 7.9% 2,239 コントゥム 9,674 2.9% 54 0.6% 55 ヴィンフック 1,235 0.4% 109 1.2% 884 ザーライ 15,511 4.7% 146 1.5% 94 バクニン 823 0.2% 125 1.3% 1,516 ダクラク 13,031 3.9% 192 2.0% 147 クアンニン 6,178 1.9% 127 1.3% 205 ダクノン 6,509 2.0% 65 0.7% 99 ハイズオン 1,668 0.5% 181 1.9% 1,083 ラムドン 9,783 3.0% 131 1.4% 134 ハイフォン 1,562 0.5% 201 2.1% 1,289 南東部 23,553 7.1% 1,707 18.0% 725 フンイェン 930 0.3% 119 1.3% 1,278 ビンフック 6,877 2.1% 98 1.0% 142 タイビン 1,586 0.5% 179 1.9% 1,130 タイニン 4,041 1.2% 113 1.2% 280 ハナム 862 0.3% 81 0.9% 938 ビンズン 2,695 0.8% 216 2.3% 803 ナムディン 1,669 0.5% 185 2.0% 1,111 ドンナイ 5,864 1.8% 309 3.3% 526 ニンビン 1,387 0.4% 97 1.0% 702 バリア ヴンタウ 1,981 0.6% 111 1.2% 562 北部内陸 山間地域 95,222 28.7% 1,229 13.0% 129 ホーチミン 2,061 0.6% 860 9.1% 4,171 ハザン 7,930 2.4% 85 0.9% 107 メコン川デルタ 40,816 12.3% 1,780 18.8% 436 カオバン 6,700 2.0% 54 0.6% 81 ロンアン 4,495 1.4% 150 1.6% 334 バクカン 4,860 1.5% 33 0.3% 67 ティエンザン 2,511 0.8% 176 1.9% 702 トゥイェンクアン 5,868 1.8% 78 0.8% 133 ベンチェ 2,395 0.7% 127 1.3% 530 ラオカイ 6,364 1.9% 71 0.7% 111 チャヴィン 2,358 0.7% 105 1.1% 445 イェンバイ 6,888 2.1% 82 0.9% 118 ヴィンロン 1,526 0.5% 105 1.1% 689 タイグエン 3,527 1.1% 127 1.3% 360 ドンタップ 3,384 1.0% 169 1.8% 500 ランソン 8,310 2.5% 79 0.8% 95 アンザン 3,537 1.1% 216 2.3% 612 バクザン 3,896 1.2% 169 1.8% 434 キエンザン 6,349 1.9% 181 1.9% 285 フートー 3,535 1.1% 140 1.5% 397 カントー 1,439 0.4% 128 1.4% 891 ディエンビェン 9,541 2.9% 58 0.6% 60 ハウザン 1,622 0.5% 78 0.8% 479 ライチャウ 9,069 2.7% 46 0.5% 50 ソクチャン 3,312 1.0% 132 1.4% 397 ソンラ 14,124 4.3% 124 1.3% 88 バクリュウ 2,669 0.8% 90 0.9% 336 ホアビン 4,591 1.4% 85 0.9% 184 カマウ 5,221 1.6% 123 1.3% 236 北中部 中部沿岸地域 95,876 28.9% 2,006 21.2% 209 タインホア 11,115 3.4% 356 3.8% 320 ゲアン 16,482 5.0% 316 3.3% 192 ハティン 5,991 1.8% 128 1.3% 213 クアンビン 8,000 2.4% 89 0.9% 111 クアンチ 4,622 1.4% 63 0.7% 136 トゥアティン=フエ 4,902 1.5% 116 1.2% 237 ダナン 1,285 0.4% 108 1.1% 841 クアンナム 10,575 3.2% 150 1.6% 142 クアンガイ 5,156 1.6% 127 1.3% 247 ビンディン 6,066 1.8% 153 1.6% 253 フーイェン 5,023 1.5% 91 1.0% 181 カインホア 5,138 1.6% 123 1.3% 240 ニントゥアン 3,355 1.0% 61 0.6% 182 ビントゥアン 7,944 2.4% 124 1.3% 156 地域別の経済動向地域別の産業の特徴歴史的には 縫製業などを中心に南部への外資の進出が多く見られ 製造業の拠点としては南部が優位にあったが 北部でのバイクや完成車メーカーの進出や 韓国の携帯電話やディスプレイ製造工場進出などもあり 北部での製造業の位置づけが大きく変化してきた 中部では ダナンを中心に 観光や IT 分野への注力に加え クアンガイ省やタインホア省での大規模石油化学工場やハティン省での製鉄工場など 重化学工業分野での投資も多い 南部では 縫製や家電工場など多くの生産拠点が立地しているのに加え サービス業への投資も拡大している 185

ベトナムの投資環境 図表 24-3 では 市省別の 1 人あたり月間収入と種類を示している 全国平均は 388 万ドン ( 約 18,600 円 ) で この内の約半分にあたる 198 万ドン ( 約 9,500 円 ) を 給与 賃金 から得ている この他の主な収入源は農業による収入で 52 万ドン ( 約 2,500 円 ) と全体の 13% 程度を占めている これに対し 外国資本による商品作物の栽培が盛んな中部の 中部高原 地域では 給与 賃金は 108 万ドン ( 約 5,000 円 ) と全国平均の半分程度だが 農業での収入が 98 万ドン ( 約 4,700 円 ) と 2 倍程度となり 農業による収入が給与 賃金に同等になっている 尚 米作の盛んな南部の メコン川デルタ 地域では 給与 賃金の 134 万ドン ( 約 6,400 円 ) に対し農業での収入が 88 万ドン ( 約 4,200 円 ) で やはり農業による収入の比率が比較的高く 主要な産業の 1 つであることが分かる 図表 24-3 市 省 地域別の 1 人あたり月間収入と収入の種類 合計 (1~4) 1 給与 賃金 2 農業 3 非農業 4その他合計 (1~4) 1 給与 賃金 2 農業 3 非農業 4その他 ( 単位 :1,000 ドン ) ( 順位 ) ( 順位 ) ( 単位 :1,000 ドン ) ( 順位 ) ( 順位 ) 全国 3,876 1,981 516 882 497 紅河デルタ 4,834 2,795 330 1,078 631 中部高原 2,896 1,084 982 594 236 ハノイ 6,054 3 3,960 1 166 1,134 795 コントゥム 2,007 57 879 56 636 365 127 ヴィンフック 3,699 18 1,914 16 340 1,084 362 ザーライ 2,586 49 1,141 45 865 434 146 バクニン 5,446 5 2,498 8 264 2,037 647 ダクラク 2,748 45 1,070 48 886 548 244 クアンニン 4,777 9 2,649 7 528 1,081 519 ダクノン 3,030 35 726 59 1,414 647 244 ハイズオン 3,693 19 2,094 13 529 676 394 ラムドン 3,641 21 1,296 33 1,134 864 347 ハイフォン 5,116 7 2,811 5 341 1,117 848 南東部 5,709 3,297 303 1,443 667 フンイェン 3,843 15 2,057 14 449 925 412 ビンフック 3,604 23 1,579 25 1,108 687 230 タイビン 3,547 26 1,678 21 496 796 577 タイニン 4,258 11 2,140 11 649 1,038 432 ハナム 3,608 22 1,814 18 445 814 535 ビンズン 6,823 1 3,704 3 427 2,124 567 ナムディン 3,384 32 1,582 24 370 985 448 ドンナイ 5,300 6 2,701 6 500 1,409 690 ニンビン 3,778 17 1,800 19 566 851 560 バリア ヴンタウ 4,881 8 2,444 9 534 1,249 654 北部内陸 山間地域 2,455 1,190 514 492 259 ホーチミン 6,177 2 3,919 2 22 1,471 765 ハザン 1,725 60 667 60 517 376 166 メコン川デルタ 3,588 1,335 877 809 567 カオバン 1,856 59 1,058 50 408 215 176 ロンアン 4,215 12 1,911 17 895 855 555 バクカン 1,945 58 967 53 547 301 130 ティエンザン 3,984 14 1,783 20 981 762 458 トゥイェンクアン 2,262 55 1,052 51 501 428 282 ベンチェ 3,409 31 1,122 46 935 792 559 ラオカイ 2,324 52 1,001 52 472 659 192 チャヴィン 2,869 42 936 54 888 463 583 イェンバイ 2,290 54 1,068 49 496 457 269 ヴィンロン 3,089 33 1,159 44 680 688 563 タイグエン 4,015 13 2,239 10 527 957 293 ドンタップ 3,500 27 1,274 35 758 856 612 ランソン 2,047 56 908 55 511 414 215 アンザン 3,560 24 1,232 38 780 1,012 536 バクザン 3,450 29 1,673 22 609 742 426 キエンザン 3,779 16 1,279 34 1,099 717 684 フートー 2,892 41 1,605 23 358 591 338 カントー 4,371 10 1,964 15 498 1,073 837 ディエンビェン 1,477 63 572 62 420 305 181 ハウザン 3,548 25 1,074 47 793 975 706 ライチャウ 1,493 61 619 61 493 218 163 ソクチャン 3,653 20 1,235 37 1,041 775 602 ソンラ 1,483 62 511 63 692 160 120 バクリュウ 2,699 46 805 57 1,010 567 317 ホアビン 2,295 53 1,173 43 486 305 331 カマウ 2,986 38 798 58 1,015 813 360 北中部 中部沿岸地域 3,015 1,476 445 676 418 タインホア 3,015 37 1,529 27 446 683 357 ゲアン 2,543 50 1,190 40 437 435 480 ハティン 2,844 43 1,174 42 519 597 554 クアンビン 2,666 47 1,253 36 433 560 420 クアンチ 2,543 50 1,177 41 450 610 305 トゥアティン=フエ 3,084 34 1,489 29 283 857 456 ダナン 5,506 4 3,006 4 54 1,561 885 クアンナム 2,906 39 1,524 28 338 744 300 クアンガイ 2,900 40 1,383 30 400 660 456 ビンディン 3,024 36 1,326 31 564 716 418 フーイェン 2,837 44 1,307 32 599 638 294 カインホア 3,455 28 2,135 12 330 686 304 ニントゥアン 2,631 48 1,191 39 477 594 369 ビントゥアン 3,445 30 1,537 26 940 658 310 ( 出所 ) ベトナム統計総局より作成 地域別の労働人口と所得水準 2018 年時点 15 歳以上の人口は 5,535 万人と 全人口の約 6 割である 地域別では 北部の 紅河デルタ が 1,210 万人で全体の 21.9% を占め最も多く 次いで中部の 北中部 中部沿岸地域 が 1,196 万人で同 21.6% 南部の メコン川デルタ が 1,067 万人で 19.3% となっている 市省別 186

第 24 章地域ごとの特徴 では ホーチミンの 447 万人 (8.1%) が最も多く ハノイも 385 万人で 7.0% を占めている その他 ゲアン省 189 万人 (3.4%) ドンナイ省 169 万人 (3.1%) など 進出企業数が多い地域の労働人口が多い 識字率は高く 全国平均は 94.8% 地域別では北部の 紅河デルタ が 98.2% と最も高いが 最も低いのも北部である ( 北部内陸 山間地域 :89.7%) である 市省別での最高はハノイ (98.8%) で 最低は 北部内陸 山間地域 のライチャウ省 (63.3%) である 月間収入の全国平均は 388 万ドン ( 約 18,600 円 ) であるが 地域別にみると ホーチミンを含む 南東部 が 571 万ドン ( 約 27,300 円 ) と 全国平均の 1.5 倍の水準となっている 次いでハノイを含む 紅河デルタ が 483 万ドン ( 約 23,100 円 ) である 市省別では ホーチミンの北部に隣接し 外資も多く進出するビンズン省が最も高く 682 万ドン ( 約 32,600 円 ) で 全国平均の 1.8 倍の水準となっている 次いで ホーチミン 618 万ドン ( 約 29,600 円 ) ハノイ 605 万ドン ( 約 28,900 円 ) で 中部の中心都市ダナンは 551 万ドン ( 約 26,300 円 ) である 図表 24-4 省市別の 15 歳以上人口 識字率 競争指数 15 歳以上人口識字率競争指数 15 歳以上人口識字率 競争指数 全国 5,535 100.0% 94.8 ( 万人 ) ( 構成比 ) (%) (Index) ( 順位 ) ( 評価 ) ( 万人 ) ( 構成比 ) (%) (Index) ( 順位 ) ( 評価 ) 紅河デルタ 1,210 21.9% 98.2 中部高原 360 6.5% 90.1 ハノイ 385 7.0% 98.8 65.40 9 High コントゥム 32 0.6% 89.6 60.63 59 M id-low ヴィンフック 64 1.1% 97.4 64.55 13 M id-high ザーライ 89 1.6% 85.4 63.08 33 M id-high バクニン 68 1.2% 97.7 64.50 15 M id-high ダクラク 118 2.1% 90.4 62.48 40 M id-high クアンニン 72 1.3% 96.8 70.36 1 Excellent ダクノン 40 0.7% 92.9 58.16 63 Low ハイズオン 104 1.9% 98.2 60.98 55 M id-low ラムドン 81 1.5% 93.5 63.79 27 M id-high ハイフォン 115 2.1% 98.3 64.48 16 M id-high 南東部 935 16.9% 96.9 フンイェン 71 1.3% 98.2 60.66 58 M id-low ビンフック 59 1.1% 91.1 60.02 61 M id-low タイビン 111 2.0% 98.6 63.23 32 M id-high タイニン 66 1.2% 94.3 64.54 14 M id-high ハナム 47 0.9% 98.0 62.77 37 M id-high ビンズン 133 2.4% 96.5 64.04 20 M id-high ナムディン 115 2.1% 97.7 63.01 35 M id-high ドンナイ 169 3.1% 96.5 63.84 26 M id-high ニンビン 59 1.1% 97.5 63.55 29 M id-high バリア ヴンタウ 60 1.1% 97.2 64.02 21 M id-high 北部内陸 山間地域 768 13.9% 89.7 ホーチミン 447 8.1% 98.1 65.34 10 M id-high ハザン 54 1.0% 72.4 61.19 52 M id-low メコン川デルタ 1,067 19.3% 92.8 カオバン 36 0.7% 85.6 60.67 57 M id-low ロンアン 90 1.6% 95.8 68.09 3 High バクカン 23 0.4% 92.3 60.11 60 M id-low ティエンザン 114 2.1% 94.9 62.75 38 M id-high トゥイェンクアン 49 0.9% 94.7 63.01 34 M id-high ベンチェ 81 1.5% 93.8 67.67 4 High ラオカイ 44 0.8% 81.9 64.63 12 M id-high チャヴィン 62 1.1% 87.8 61.79 46 M id-low イェンバイ 53 1.0% 88.8 62.22 42 M id-low ヴィンロン 64 1.2% 93.1 65.53 8 High タイグエン 75 1.4% 98.3 64.24 18 M id-high ドンタップ 114 2.1% 91.6 70.19 2 Excellent ランソン 52 0.9% 96.3 61.70 50 M id-low アンザン 123 2.2% 91.7 63.65 28 M id-high バクザン 106 1.9% 97.5 63.01 36 M id-high キエンザン 101 1.8% 90.9 63.42 31 M id-high フートー 83 1.5% 98.1 63.95 24 M id-high カントー 73 1.3% 93.9 64.98 11 M id-high ディエンビェン 35 0.6% 75.4 61.77 47 M id-low ハウザン 48 0.9% 94.0 61.87 44 M id-low ライチャウ 28 0.5% 63.3 58.33 62 Low ソクチャン 74 1.3% 89.8 61.82 45 M id-low ソンラ 76 1.4% 77.5 60.79 56 M id-low バクリュウ 52 0.9% 93.7 62.53 39 M id-high ホアビン 56 1.0% 97.0 61.73 48 M id-low カマウ 72 1.3% 96.4 61.73 49 M id-low 北中部 中部沿岸地域 1,196 21.6% 95.3 タインホア 225 4.1% 95.9 63.94 25 M id-high ゲアン 189 3.4% 97.3 64.08 19 M id-high ハティン 72 1.3% 97.9 63.99 23 M id-high クアンビン 53 1.0% 97.5 61.06 54 M id-low クアンチ 35 0.6% 92.6 61.16 53 M id-low トゥアティン=フエ 64 1.1% 92.2 63.51 30 M id-high ダナン 58 1.0% 97.9 67.65 5 High クアンナム 93 1.7% 95.0 65.85 7 High クアンガイ 78 1.4% 93.0 62.40 41 M id-high ビンディン 94 1.7% 96.3 66.09 6 High フーイェン 55 1.0% 93.2 61.69 51 M id-low カインホア 71 1.3% 95.1 64.42 17 M id-high ニントゥアン 36 0.6% 86.8 62.21 43 M id-low ビントゥアン 73 1.3% 93.2 64.00 22 M id-high ( 出所 ) ベトナム統計総局 THE PROVINCIAL COMPETITIVENESS INDEX (PCI) 等より作成 187

ベトナムの投資環境 賃金水準 JETRO の 2018 年度アジア オセアニア投資関連コスト比較調査 (2019 年 3 月 ) に拠ると 日系企業の現地給与水準は図表 24-5 の通りである ハノイ ホーチミン ダナンの 3 都市での比較では 製造業のワーカー ( 一般工職 ) とエンジニア ( 中堅技術者 ) 非製造業のスタッフ( 一般職 ) でホーチミンが最も高い 一方 管理職については 製造業の中間管理職 ( 課長クラス ) 非製造業のマネージャー ( 課長クラス ) のいずれもハノイが最も高くなっている ダナンは 法定最低賃金ではハノイとホーチミンの 183 ドルに対して 163 ドルでハノイ ホーチミンの 9 割の水準となっているが 製造業のエンジニア ( 中堅技術者 ) と中間管理職 ( 課長クラス ) では両市の 7 割程度の水準となっている 図表 24-5 主要 3 都市の日系企業の給与水準 ( 月額 ) 製造業 非製造業 ( 単位 : ドル ) ハノイホーチミンダナン ワーカー ( 一般工職 ) エンジニア ( 中堅技術者 ) 中間管理職 ( 課長クラス ) スタッフ ( 一般職 ) マネージャー ( 課長クラス ) ヤンゴン ( 参考 ) プノンペン ( 参考 ) 217 242 203 162 201 413 436 464 311 349 648 728 957 943 621 1,016 1,117 1,559 543 568 499 415 501 789 1,281 1,209 1,058 1,028 1,273 1,755 法定最低賃金 183 183 163 3.13/ 日 182 9.64~10.32/ 日 ( 出所 )JETRO 2018 年度アジア オセアニア投資関連コスト比較調査 (2019 年 3 月 ) より作成 バンコク ( 参考 ) ひとくちメモ 17: インターネットによる労働者の募集も増加 現地日系企業によると ワーカーの求人広告の手段として 工業団地事務所の掲示板や工場の門に張り紙をする 地元情報誌への掲載 口コミなどを通して行うのが定番となっている エンジニアや中間管理職候補となるスタッフに関しては 人材紹介会社のほかにインターネットを通じて募集をかける企業も多い ひとくちメモ 18: ベトナムの労働者について 現地調査では ベトナム人労働者 ( ワーカークラス ) の評価はまじめで優秀 と評価する企業が多かった エンジニアもタイ ラオス等と比べてもかなり優秀なレベルに達していると評価を受けている しかし 管理職クラスについては 仲間意識が強いことから 企業からリーダーシップを求めると 求められたベトナム人も困るらしい ある作業工程の班長に指名したところ なりたくないと答えたベトナム人従業員もいたという 南部の人々の特徴として 明るくおおらかな気質がみられるが 反対にハングリー精神はあまりないとの声が多かった 北部でも 以前に比較するとがむしゃらさが薄らいできたと指摘する声もあった 188

第 24 章地域ごとの特徴 図表 24-6 月額法定最低賃金の推移と地域区分 ( 万ドン ) 450 地域 1 地域 2 地域 3 地域 4 400 350 300 250 200 150 100 50 0 2013 2014 2015 2016 2017 2018 ( 暦年 ) 地域 1 地域 2 地域 3 ハノイ市区部 Gia Lam Dong Anh Soc Son Thanh Tri Thuong Tin Hoai Duc Thach That Quoc Oai Thanh Oai Me Linh Chuong My Son Tay ハイフォン市区部 Thuy Nguyen An Duong An Lao Vinh Bao ホーチミン市区部 Cu Chi Hoc Mon Binh Chanh Nha Be ドンナイ省 Bien Hoa Nhon Trach Long Thanh Vinh Cuu Trang Bom ビンズン省 Thu Dau Mot Thuan An Di An Ben Cat Tan Uyen Bau Bang Bac Tan Uyen バリア ヴンタウ省ヴンタウ市 Tan Thanh 上記以外のハノイ市 ハイフォン市 ハイズオン省ハイズオン市 フンイェン省の一部 バクニン省の一部 ダナン市区部 カントー市区部 ドンナイ省の一部 ビンズン省の一部 ホーチミン市 Can Gio など ハイズオン省の一部の地域 バクニン省の一部の地域 クアンニン省の一部の地域 ドンナイ省の一部の地域など 地域 4 上記以外 ( 出所 )Decree No. 153/2016/ND-CP 等より作成 外国投資が多い地域と工業団地の分布 2017 年 10 月現在のベトナムにおける日系企業の拠点数は 1,816 拠点であり 地域別ではハノイ市 ホーチミン市 その周辺地域が主な進出先となっている 図表 24-7 は 大使館 総領事館の管轄地域別に集計したものである 北部と南部の 2 地域に分類されているデータだが 全国 1,816 拠点のうち 1,118 拠点はホーチミンの総領事館の管轄区域内に立地している 特に 卸売業 小売業 ( 全国 157 拠点 うち南部 101 拠点 ) で南部への進出が多い 製造業では 全国 801 拠点のうち 北部が 359 拠点 南部 442 拠点で南部の方が多いものの 北部の拠点数も拡大している 工業団地は 特にハノイ市 ハイフォン市とそれらの間に位置する地域 ( ハイズン省など ) や ホーチミン市とその周辺省のホーチミン市寄りに多数立地している 2018 年 6 月時点 ベトナムで稼動している工業団地は 251 ヵ所 ( 建設 販売中等を含めると 326 ヵ所 ) の工業団地がある 近年では レンタル工業団地の整備が進み 中小企業の進出をサポートしている 中部では沿岸 189

ベトナムの投資環境 部に大型の経済開発区などが設置され 大型インフラ投資が進められている 図表 24-7 地域別にみた日系進出企業の業種の内訳 (2017 年 10 月時点 ) 全地域 大使館 ( ハノイ ) ( 出所 ) 外務省 海外在留邦人数調査統計平成 30 年版 より作成 在ホーチミン総領事館 全業種 1,816 698 1,118 農業 林業 7 4 3 漁業 3 2 1 鉱業 採石業 5 2 3 建設業 128 64 64 製造業 801 359 442 電気 ガス 熱供給 水道業 13 5 8 情報通信業 80 31 49 運輸業 郵便業 98 45 53 卸売業 小売業 157 56 101 金融業 保険業 50 18 32 不動産業 物品賃貸業 22 6 16 学術研究 専門 技術サービス業 70 13 57 宿泊業 飲食サービス業 30 8 22 生活関連サービス業 娯楽業 24 3 21 教育 学習支援業 17 9 8 医療 福祉 16 6 10 複合サービス事業 17 8 9 サービス業 ( 他に分類されないもの ) 118 46 72 公務 ( 他に分類されるものを除く ) 3 1 2 分類不能の産業 4 4 0 区分不明 153 8 145 ひとくちメモ 19: 北部と南部で大きく異なる行政手続き費用指数 2018 年 8 月 ベトナム政府が 行政手続き費用評価指数 (APCI:Administrative Procedures Compliance Costs Index) 報告書 2018 を初めて公表した 個人や企業が現行の法規に従って行政手続きに費やす時間と費用を評価している 評価は 8 つの主要な行政手続きについて行われた ( 事業登録 税金 投資 事業許可 労働許可 土地 環境 建設 ) 8 項目を平均すると 費用面では北部と中部が南部よりも高い 一方 手続きにかかる時間に関しては 北部の省の方が他の省よりも短い 南部で投資許可を取得したい場合でもハノイに足を運ばなくてはならないケースもあり ( 条件付き投資分野など ) それが数値化したような報告書である 190

第 24 章地域ごとの特徴 ハノイのイオンモール ( 左 ) 2019 年 12 月に開業予定のホーチミンのユニクロ ( 右 ) 191

ベトナムの投資環境 参考 地域別気候ベトナムの気候については 北部は亜熱帯気候に属し 四季が見られる 1 年を通じた気温変化が大きく 1 月から 4 月は乾季で肌寒く 気温が 10 前後まで下がることもある 5 月から 10 月の雨季には気温は 30 を超え スコールのような雨が多い 南部は 熱帯モンスーン気候で 11 月から 4 月の乾期と 5 月から 10 月の雨季とに分かれている 年間を通じて気温が高く 3 月から 4 月が最も暑い 雨季にはスコールが見られる 中部は 北部と南部の中間にあたる気候であるが 8 月 9 月には台風の上陸が多く 8 月から 12 月にかけて降雨量も多いといった特徴がある ( 図表 24-9) 図表 24-9 地域別の気温と降水量 (2015 年 ) ( 注 ) 南部については ホーチミンの数字の公表がなかったため 公表されている都市の中で最もホーチミンに近いヴンタウの数字で比較した ( 出所 ) 中央統計局より作成 ひとくちメモ 20: 日本語とベトナム語 ベトナムには日本語人材が多いため 中小企業にとって事業がしやすい環境といえる 古くは漢字を使用していたこともあるため 日本語への理解も比較的スムーズなのかもしれない 2018 年 12 月に実施された日本語能力試験の受験者数を実施国別に見ると ASEAN で 3 分の 1 以上を占める約 36,000 人がベトナムで受験している 試験は N1~N5 の 5 段階で認定され 日本語で働いてもらうには N2~N3 以上 ( 受験者数の半数程度 ) が望ましいとされている 一方で 日本人にとって 6 つの声調を有するベトナム語は習得が難しい また ベトナム人労働者は 外国人との接点が少なかったせいか 苦労してベトナム語を話しても ちょっとした声調の違いで理解してくれない場合が多いという それでも通訳を介すとニュアンスが伝わらないために自分がベトナム語を話す方がよいとの考えもあるようだ そのため 社内での公用語は 日本人管理者とスタッフ部門の間では英語 工場ではベトナム人同士でベトナム語 というケースが多い 192