公的医療保険制度を活用しよう!

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障害福祉制度あらまし目次

第 2 問 問 4 問 5 1ロ 2チ 3ヲ 4ホ ⅰ)Aさんは 今 年 の 誕 生 日 で 40 歳 となるので 公 的 介 護 保 険 の(1 第 2 号 ) 被 保 険 者 資 格 を 取 得 し 介 護 保 険 料 を 負 担 することになる 40 歳 以 上 65 歳 未 満 の 医 療

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

年 間 収 入 が 130 万 円 未 満 (60 歳 以 上 75 歳 未 満 の 人 や 一 定 障 害 者 の 場 合 は 180 万 円 未 満 )であって かつ 被 保 険 者 の 年 間 収 入 の 2 分 の 1 未 満 である 場 合 は 被 扶 養 者 となります ( 同 居 の

 

平成16年度

給 与 所 得 控 除 所 得 税 の 簡 易 給 与 所 得 表 により 給 与 所 得 の 金 額 を 求 めますが 控 除 額 の 計 算 については 次 のとおりです 給 与 等 の 収 入 金 額 給 与 所 得 控 除 額 180 万 円 以 下 の 場 合 180 万 円 を 超 え

75 歳 以 上 の 方 の 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 75 歳 になると 全 ての 方 が 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 に 加 入 して 医 療 を 受 けます 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 は 東 京 都 後 期 高 齢 者 医 療 広 域 連 合 が 主 体 となり 区


目  次

後期高齢者医療制度

5 次 のいずれにも 該 当 する 従 業 員 は 子 が1 歳 6ヶ 月 に 達 するまでの 間 で 必 要 な 日 数 について 育 児 休 業 をするこ とができる なお 育 児 休 業 を 開 始 しようとする 日 は 原 則 として 子 の1 歳 の 誕 生 日 に 限 るものとする (1

Microsoft Word - 福祉医療費給付要綱

(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

自 分 にあった 健 康 保 険 を 見 つけよう! それぞれの 健 康 保 険 の 特 徴 を 踏 まえ 自 分 にあった 健 康 保 険 を 選 ぶようにしましょう! 今 までの 収 入 扶 養 家 族 の 有 無 によって どの 健 康 保 険 に 加 入 するとメリットがあるか 参 考 にし

全設健発第     号

老 齢 基 礎 年 金 の 計 算 式 (3) 支 給 開 始 年 齢 老 齢 基 礎 年 金 は 原 則 として 65 歳 から 受 け 取 ることができます なお 希 望 すれば 60 歳 から 64 歳 の 間 でも 年 齢 に 応 じて 一 定 割 合 を 減 額 された 年 金 を 受 け

平 成 34 年 4 月 1 日 から 平 成 37 年 3 月 31 日 まで 64 歳 第 2 章 労 働 契 約 ( 再 雇 用 希 望 の 申 出 ) 第 3 条 再 雇 用 職 員 として 継 続 して 雇 用 されることを 希 望 する 者 は 定 年 退 職 日 の3か 月 前 まで

スライド 1

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給 与 所 得 控 除 控 除 額 の 計 算 については 次 のとおりです 給 与 等 の 収 入 金 額 給 与 所 得 控 除 額 180 万 円 以 下 の 場 合 180 万 円 を 超 え 360 万 円 以 下 の 場 合 360 万 円 を 超 え 660 万 円 以 下 の 場 合

賃 金 報 酬 給 与 とは ( 労 働 基 準 法 の 賃 金 ) ( 労 働 基 準 法 この 法 律 ) で 賃 金 とは 賃 金 給 料 手 当 賞 与 その 他 名 称 の 如 何 を 問 わず 労 働 の 対 償 として 使 用 者 が 労 働 者 に 支 払 うすべてのものをいう (

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児童扶養手当(大阪府)


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毎 月 の 給 与 等 ( )を 一 定 の 等 級 区 分 にあてはめた 標 準 月 額 の 上 限 が 現 行 の47 等 級 から50 等 級 に 改 正 されます ( 別 紙 健 康 保 険 料 額 表 参 照 ) なお 法 改 正 に 伴 い 標 準 月 額 が 改 定 される 方 につい

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①表紙

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国民年金

保 険 料 の 軽 減 措 置 均 等 割 額 の 軽 減 1 以 下 の 基 準 によって 均 等 割 額 が 軽 減 されます 軽 減 割 合 は 被 保 険 者 と 世 帯 主 の 総 所 得 金 額 等 の 合 計 額 によって 判 定 します 軽 減 割 合 同 一 世 帯 内 の 被 保

Ⅰ 年 金 制 度 昭 和 37 年 12 月 1 日 に 地 方 公 務 員 等 共 済 組 合 法 が 施 行 され 恩 給 から 年 金 へ 昭 和 61 年 4 月 から 20 歳 以 上 60 歳 未 満 のすべての 国 民 が 国 民 年 金 に 加 入 厚 生 年 金 基 金 職 域

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(2) 国 民 年 金 の 保 険 料 国 民 年 金 の 第 1 号 被 保 険 者 および 任 意 加 入 者 は, 保 険 料 を 納 めなければなりま せん また,より 高 い 老 齢 給 付 を 望 む 第 1 号 被 保 険 者 任 意 加 入 者 は, 希 望 により 付 加 保 険

豆 知 識 2 やまがた 緑 環 境 税 について ~やまがた 緑 環 境 税 とは?~ やまがた 緑 環 境 税 は 荒 廃 が 進 む 森 林 の 整 備 や 県 民 参 加 による 森 づくり 活 動 に 取 り 組 むことなどを 目 的 として 県 民 の 皆 様 から 広 く ご 負 担

2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口

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平成21年10月30日

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[ 組 合 員 期 間 等 の 特 例 ] 組 合 員 期 間 等 については 年 齢 職 種 などにより 過 去 の 制 度 からの 経 過 措 置 が 設 けられ ており 被 用 者 年 制 度 の 加 入 期 間 ( 各 共 済 組 合 の 組 合 員 期 間 など)については 生 年 月 日

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2 任意継続組合員制度について

(2) 勤 続 5 年 を 超 え 10 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の140 (3) 勤 続 10 年 を 超 え 20 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の180 (4)

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第 7 条 職 員 の 給 与 に 関 する 規 程 ( 以 下 給 与 規 程 という ) 第 21 条 第 1 項 に 規 定 す るそれぞれの 基 準 日 に 育 児 休 業 している 職 員 のうち 基 準 日 以 前 6 月 以 内 の 期 間 にお いて 在 職 した 期 間 がある 職

職員退職手当規程

240709

7 月 は 算 定 基 礎 届 の 提 出 月 です 算 定 基 礎 届 と は 事 業 主 は 7月 1日 現 在 の 被 保 険 者 すべてについて その 年 の 4月 5月 6月 に 支 給 した 報 酬 について 届 出 をしなければなりません = 図 1 この 届 出 は 毎 年 1回 そ

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Q1 4 月 から 児 童 手 当 の 支 給 額 はどうなるのですか? Q2 児 童 手 当 には 所 得 制 限 が 設 けられるとのことですが 具 体 的 な 基 準 はどのよう になるのですか? Q3 4 月 以 降 児 童 手 当 を 受 け 取 るためには 手 続 きが 必 要 ですか?

川越市幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

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育児・介護休業等に関する規則

目 次 休 暇 関 係 Q1 妊 娠 中 健 康 診 査 を 受 けるための 休 暇 が 取 れるのですか? Q2 出 産 予 定 日 の 何 日 前 から 休 暇 が 取 れるのですか? Q3 出 産 後 何 日 まで 休 暇 が 取 れるのですか? Q4 妻 が 出 産 するのですが 休 暇 が

保 険 料 は 個 人 ごとに 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 では 被 保 険 者 一 人 ひとりに 保 険 料 を 負 担 していただくことになります 新 たに75 歳 になられた 方 (65 歳 以 上 75 歳 未 満 で 一 定 以 上 の 障 害 があり 認 定 を 受 けた 方 を

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目 次 事 例 法 別 5 法 別 5 70 歳 以 上 ( 患 者 負 担 割 ) 誕 生 が 昭 和 9 年 月 以 降 の 者 3 法 別 5 70 歳 以 上 ( 患 者 負 担 割 ) 特 例 措 置 対 象 者 法 別 歳 以 上 ( 患 者 負 担 割 ) 特 例 措 置

月 収 額 算 出 のながれ 給 与 所 得 者 の 場 合 年 金 所 得 者 の 場 合 その 他 の 所 得 者 の 場 合 前 年 中 の 年 間 総 収 入 を 確 かめてください 前 年 中 の 年 間 総 収 入 を 確 かめてください 前 年 中 の 年 間 総 所 得 を 確 かめ

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(1) 採 用 ( 第 3 条 第 4 条 第 1 号 及 び 第 5 条 (ただし 第 2 項 第 2 号 は 準 用 しない ) (2) 退 職 ( 第 13 条 ただし 第 1 項 第 3 号 及 び 第 4 号 は 準 用 しない ) (3) 解 雇 ( 第 14 条 から 第 18 条 )

年 支 給 開 始 年 齢 図 特 別 支 給 の 老 齢 厚 生 年 ( 給 料 比 例 部 分 ) 昭 和 29 年 10 月 1 日 生 まれ 以 前 ~ 特 別 支 給 の 退 職 共 済 年 老 齢 厚 生 年 昭 和 25 年 10 月 1 日 生 まれ 以 前 ~ 退 職 共 済 年

住民税

(2) 懲 戒 については 戒 告 は 3 ヵ 月 減 給 は 6 ヵ 月 停 職 は 9 ヵ 月 4 病 気 休 暇 休 職 欠 勤 により 勤 務 しなかった 職 員 が 再 び 勤 務 するに 至 った 場 合 において 他 の 職 員 との 均 衡 上 必 要 があると 認 められるときは

2 前 項 に 定 める 日 に 支 給 する 給 与 は 総 額 給 与 を12 分 割 した 額 ( 以 下 給 与 月 額 という ) 扶 養 手 当 住 居 手 当 通 勤 手 当 単 身 赴 任 手 当 寒 冷 地 手 当 及 び 業 績 手 当 並 びに 前 月 分 の 超 過 勤 務

厚 生 年 金 制 度 及 び 年 金 払 い 退 職 給 付 について 日 本 郵 政 共 済 組 合

標準報酬制について

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給 与 所 得 者 の 場 合 年 金 所 得 者 の 場 合 その 他 の 所 得 者 の 場 合 前 年 中 の 年 間 総 収 入 を 確 か 1 年 間 の 年 金 額 を 確 かめて 前 年 中 の 年 間 総 所 得 金 額 めてください ください を 確 かめてください 計 算 のしか

労災保険外国人むけパンフ第一編_

目 次 1. 社 会 保 障 分 野 でできること 1 1 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 制 度 の 改 善 2 保 険 証 機 能 の 一 元 化 3 自 己 診 療 情 報 の 活 用 4 給 付 可 能 サービスの 行 政 側 からの 通 知 2. 年 金 分 野 でできること 5

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資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国

1 支 給 認 定 新 制 度 では 幼 稚 園 ( 新 制 度 に 移 行 する 幼 稚 園 のことで 以 下 同 じ) を 利 用 する 場 合 には お 住 まいの 市 町 村 から 支 給 認 定 証 の 交 付 を 受 ける 必 要 があります 認 定 の 区 分 は 年 齢 や 保 育

(6) 31 年 以 上 の 期 間 については 1 年 につき100 分 の120 2 前 項 に 規 定 する 者 のうち 負 傷 若 しくは 病 気 ( 以 下 傷 病 という 傷 病 は 国 家 公 務 員 共 済 組 合 法 ( 昭 和 33 年 法 律 第 128 号 ) 第 81 条

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

該 介 護 休 業 が 終 了 する 日 までに, 当 該 介 護 休 業 に 係 る 対 象 家 族 が 死 亡 したとき 又 は 離 婚, 婚 姻 の 取 消, 離 縁 等 により 当 該 介 護 休 業 に 係 る 対 象 家 族 との 親 族 関 係 が 消 滅 した とき (3) 配 偶

税 市 民 税 県 民 税 家 屋 敷 課 税 の 申 告 書 の 提 出 豊 川 市 外 にお 住 まいで 1 月 1 日 現 在 で 市 内 に 事 務 所 事 業 所 または 家 屋 敷 を 有 する で 申 告 書 を 提 出 される 平 成 29 年 度 以 後 の 年 度 分 の 申 告

健 康 保 険 国 民 年 金 厚 生 年 金 労 災 公 的 保 険 の 保 障 内 容 新 聞 報 道 によると テレビ 東 京 の 大 橋 未 歩 アナウン サー(34)が 軽 度 の 脳 梗 塞 と 診 断 され 療 養 する ことが 分 かった 今 月 上 旬 に 自 宅 で 発 症 し

(2) 保 育 料 等 減 免 措 置 に 関 する 調 書 (3) 地 方 税 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 226 号 ) 第 5 条 第 2 項 第 1 号 に 規 定 する 市 町 村 民 税 の 課 税 の 状 況 を 証 明 する 書 類 又 は 生 活 保 護 法 ( 昭 和

高額療養費制度を利用される皆さまへ

社会資源について 

部 長 ( 地 方 警 務 官 を 除 く ) 参 事 官 首 席 監 察 官 警 務 部 長 参 事 所 属 長 ( 地 方 警 務 官 を 除 く ) そ の 他 の 職 員 所 属 長 2 指 定 権 者 は 勤 務 指 定 を 行 ったときは 職 員 に 対 し 速 やかにこれを 明 示 す

遡及処理

第14章 国民年金

次 世 代 育 成 支 援

Transcription:

内 藤 眞 弓 Naito Mayumi ファイナンシャルプランナー 一 人 一 人 の 暮 らしに 根 ざした 保 険 や 貯 蓄 運 用 などの 相 談 業 務 を 行 う セミナー 講 師 とし ても 活 動 している 主 な 近 著 に お 金 のプロがすすめるお 金 上 手 な 生 き 方 (コモンズ)など いつも 健 康 であることを 願 い 努 力 していても 万 一 の 病 気 やけがのリスクは 避 けられません 高 額 な 医 療 費 の 負 担 をどうするのか さまざまな 民 間 の 医 療 保 険 の 広 告 が 目 につきますが まず 知 っておきたいのは 公 的 な 医 療 保 険 制 度 の 中 身 です そこで 今 回 は いざというときに どんな 保 障 が 受 けられるのか どんな 制 度 を 利 用 できるのかなどについて 詳 しく 解 説 します 1 公 的 医 療 保 険 のしくみ 生 まれたときから 公 的 医 療 保 険 に 加 入 日 本 は 国 民 皆 保 険 制 度 の 国 で 生 まれたとき から 全 員 が 何 らかの 公 的 医 療 保 険 制 度 に 加 入 し ます( 表 1) 例 えば 会 社 員 の 親 の 元 に 生 まれ た 人 は 勤 務 先 の 健 康 保 険 等 の 被 扶 養 者 となり 親 が 自 営 業 者 であれば 国 民 健 康 保 険 の 被 保 険 者 となります 被 扶 養 者 とは 職 域 保 険 にのみある 制 度 で 被 扶 養 者 になれるのは 後 期 高 齢 者 に 該 当 しない 次 のいずれかの 範 囲 の 人 です 同 居 していなくても 被 扶 養 者 になれる 人 1 健 康 保 険 等 の 適 用 事 業 所 に 勤 務 している 人 ( 被 保 険 者 )の 直 系 尊 属 *1 配 偶 者 ( 事 実 婚 含 む) 子 孫 弟 妹 で 主 として 被 保 険 者 に 表 1 職 域 地 域 公 的 医 療 保 険 制 度 の 概 要 保 険 証 制 度 対 象 となる 人 保 険 者 組 合 管 掌 健 康 保 険 協 会 管 掌 健 康 保 険 共 済 組 合 国 民 健 康 保 険 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 大 企 業 の 従 業 員 と その 被 扶 養 者 中 小 企 業 の 従 業 員 とその 被 扶 養 者 公 務 員 等 とその 被 扶 養 者 75 歳 未 満 の 職 域 保 険 に 属 さない 人 75 歳 以 上 の 人 健 康 保 険 組 合 全 国 健 康 保 険 協 会 各 種 共 済 組 合 市 区 町 村 後 期 高 齢 者 医 療 広 域 連 合 生 計 を 維 持 されている 人 同 居 していれば 被 扶 養 者 になれる 人 2 主 として 被 保 険 者 の 収 入 により 生 計 を 維 持 されている 以 下 の 人 1 被 保 険 者 の 三 親 等 以 内 の 親 族 ( 1に 該 当 する 人 を 除 く) 2 被 保 険 者 の 配 偶 者 ( 事 実 婚 含 む)の 父 母 子 3 上 記 2の 配 偶 者 が 亡 くなった 後 の 父 母 子 さらに 収 入 要 件 として 被 保 険 者 の 年 収 の2 分 の1 未 満 であること かつ 年 収 130 万 円 未 満 (60 歳 以 上 または59 歳 以 下 の 障 害 年 金 受 給 者 は 180 万 円 未 満 )であることとされています 保 険 料 の 決 まり 方 職 域 保 険 の 保 険 料 は 被 保 険 者 の 所 得 に 応 じて 決 まり 被 扶 養 者 がいる 人 もいない 人 も また 被 扶 養 者 が 何 人 いても 保 険 料 負 担 は 変 わりませ ん 具 体 的 には 被 保 険 者 の 標 準 報 酬 月 額 およ び 標 準 賞 与 額 に 保 険 料 率 をかけた 金 額 となり 保 険 料 は 公 的 年 金 保 険 料 などとともに 事 業 主 と 被 保 険 者 の 折 半 となります 標 準 報 酬 月 額 とは 被 保 険 者 が 事 業 主 から 受 け 取 る 報 酬 の 月 額 を 第 1 級 の5 万 8 千 円 から 第 47 級 の121 万 円 までの 全 47 等 級 に 区 分 したも ので 標 準 賞 与 額 とは 3 月 を 超 える 期 間 の 賞 与 から 千 円 未 満 を 切 り 捨 てたものです 1 2013 2

協 会 管 掌 健 康 保 険 ( 協 会 けんぽ)の 保 険 料 率 は 都 道 府 県 ごとに 異 なり 組 合 管 掌 健 康 保 険 ( 組 合 健 保 )は 所 定 の 範 囲 内 で 組 合 ごとに 決 めるこ とができます 一 方 国 民 健 康 保 険 には 被 扶 養 者 という 概 念 はなく 加 入 者 全 員 が 被 保 険 者 です 保 険 料 の 計 算 方 法 は 自 治 体 によって 異 なり 世 帯 全 員 の 所 得 ( 所 得 割 ) 固 定 資 産 税 ( 資 産 割 ) *2 被 保 険 者 の 人 数 ( 均 等 割 ) 一 世 帯 当 たり 定 額 ( 平 等 割 )を 組 み 合 わせて 計 算 します 職 域 保 険 に 加 入 している 人 も 地 域 保 険 ( 国 民 健 康 保 険 )に 加 入 している 人 も 75 歳 になれば 全 員 が 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 に 移 行 します 全 国 どこでも 必 要 な 治 療 が 受 けられる 生 まれてから 亡 くなるまで 加 入 し 続 ける 公 的 医 療 保 険 制 度 は 私 たちにとって 最 も 身 近 な 社 会 保 障 といえます 誰 もがけがや 病 気 の 治 療 の ために 保 険 証 を 持 って 医 療 機 関 を 訪 れたこと があるのではないでしょうか 保 険 証 1 枚 で 全 国 どこの 医 療 機 関 でも 必 要 な 治 療 が 受 けられ 治 療 費 はすべて 公 定 価 格 です そして どの 保 険 制 度 に 加 入 していても 原 則 として 私 たちが 窓 口 で 支 払 うのは 治 療 費 の3 割 *3 です これを 療 養 の 給 付 といいます 入 院 中 に 私 たちが 負 担 する 食 費 は1 食 260 円 (2013 年 2 月 現 在 )の 標 準 負 担 額 ですが 差 額 は 入 院 時 食 事 療 養 費 と して 医 療 機 関 に 支 払 われます( 表 2) 1カ 月 に 支 払 う 医 療 費 が 所 定 の 金 額 を 超 えた 場 合 超 えた 分 が 還 付 される 高 額 療 養 費 の 制 度 や 1 年 間 にかかった 医 療 費 と 介 護 費 を 合 算 し て 所 定 の 金 額 を 超 えた 場 合 に 超 過 分 が 還 付 さ れる 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 療 養 費 制 度 もあり ます *1 直 系 とは 血 筋 が 親 子 でつながる 上 下 直 線 系 統 で 尊 属 とは 自 分 より 前 の 世 代 *2 資 産 割 を 廃 止 する 自 治 体 が 多 い *3 義 務 教 育 就 学 前 の 児 童 は2 割 70 歳 以 上 で 現 役 並 み 所 得 でない 人 は1 割 (2013 年 2 月 現 在 ) 出 産 したとき 正 常 なお 産 は 病 気 ではないとの 考 えで 療 養 の 給 付 の 対 象 外 です その 代 わり 出 産 育 児 一 時 金 として 現 金 の 給 付 が 受 けられ 現 在 は42 万 円 が 支 給 されています 従 来 は 出 産 時 にいった ん 病 院 等 の 窓 口 で 費 用 を 支 払 い その 後 申 請 を して 約 1カ 月 後 に 振 り 込 まれるという 流 れで した 現 在 は 出 産 をした 医 療 機 関 に 直 接 支 払 わ れるようになりましたので 多 額 のお 金 を 事 前 に 準 備 する 必 要 がなくなりました もし 出 産 費 用 が42 万 円 より 高 額 の 場 合 は 超 過 分 を 窓 口 で 支 払 います 反 対 に42 万 円 以 内 の 場 合 は 出 産 後 に 差 額 分 を 保 険 者 に 請 求 します 勤 務 先 の 健 康 保 険 に 加 入 している 本 人 が 出 産 したときは 出 産 手 当 金 の 支 給 対 象 となります 支 給 される 期 間 は 出 産 の 日 ( 実 際 の 出 産 が 予 定 日 後 のときは 出 産 の 予 定 日 ) 以 前 42 日 目 ( 多 胎 妊 娠 の 場 合 は98 日 目 )から 出 産 の 日 の 翌 日 以 後 56 日 目 までで 会 社 を 休 んだ 期 間 について 支 給 されます 支 給 額 は 標 準 報 酬 日 額 *4 の3 分 の2に 相 当 する 金 額 です 表 2 給 付 の 種 類 1 療 養 の 給 付 2 入 院 時 食 事 療 養 費 3 高 額 療 養 費 4 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 療 養 費 5 傷 病 手 当 金 6 出 産 育 児 一 時 金 7 出 産 手 当 金 8 葬 祭 料 公 的 医 療 保 険 の 主 な 給 付 給 付 の 内 容 診 察 薬 剤 または 治 療 材 料 の 支 給 処 置 手 術 その 他 の 治 療 在 宅 療 養 における 管 理 等 病 院 診 療 所 への 入 院 とそのため の 看 護 等 厚 生 労 働 大 臣 の 算 出 基 準 による 食 事 療 養 費 から 患 者 が 負 担 する 標 準 負 担 額 を 引 い た 金 額 1カ 月 ( 歴 月 )に 所 定 の 金 額 を 超 えた 自 己 負 担 金 が 発 生 したとき 超 過 分 が 還 付 される 1 年 間 にかかった 医 療 保 険 と 介 護 保 険 の 自 己 負 担 を 合 計 し 基 準 額 を 超 えた 場 合 に 超 過 分 を 支 給 療 養 のために 休 んだとき 出 産 したとき 死 亡 したとき 国 民 健 康 保 険 には57はない 8の 葬 祭 料 は 国 民 健 康 保 険 では 葬 祭 費 埋 葬 料 *4 標 準 報 酬 月 額 の30 分 の1 2 2013 2

けがや 病 気 で 休 んだとき 職 域 保 険 に 加 入 している 人 が 病 気 やけがの ために 会 社 を 休 み 給 与 の 支 払 いが 受 けられな いときには 傷 病 手 当 金 が 支 給 されます 会 社 を 休 んだ 日 が 連 続 して3 日 間 あったうえで 4 日 目 以 降 1 年 6カ 月 の 間 に 休 んだ 日 に 対 して 支 給 されます 支 給 額 は 標 準 報 酬 日 額 の3 分 の2 に 相 当 する 金 額 です 出 産 手 当 金 および 傷 病 手 当 金 は 休 んでいる 間 も 給 与 が 支 払 われているときは 支 給 されませ ん ただし 給 与 が 出 産 手 当 金 や 傷 病 手 当 金 よ り 少 ないときは その 差 額 が 支 給 されます な お 国 民 健 康 保 険 では 出 産 手 当 金 の 支 給 は 自 治 体 の 任 意 ですが 実 施 されてはいないようです 組 合 健 保 や 共 済 組 合 では 法 律 で 定 められた 給 付 より 給 付 額 を 上 乗 せしたり 支 給 期 間 を 延 長 するなど さらに 手 厚 い 付 加 給 付 の 制 度 を 設 けていることがあります 3 割 を 支 払 っても 後 日 還 付 手 続 きをすれば3 カ 月 後 くらいに 戻 ってきます これを 高 額 療 養 費 制 度 といいます もし 直 近 12カ 月 間 で 既 に 高 額 療 養 費 に 該 当 する 月 が3 回 以 上 あると 4 回 目 からは 自 己 負 担 の 限 度 額 が 下 がります また あらかじめ 病 院 の 窓 口 に 限 度 額 適 用 認 定 証 を 提 示 しておくと 上 限 を 超 えた 分 の 金 額 を 支 払 わなくてすみます 限 度 額 適 用 認 定 証 は 被 保 険 者 の 所 得 区 分 を 証 明 するものです 医 療 費 が 高 額 になりそうなときは 事 前 に 保 険 者 に 申 請 をして 限 度 額 適 用 認 定 証 を 交 付 してもら いましょう 入 院 だけでなく 外 来 での 治 療 も 上 限 額 までの 支 払 いで 大 丈 夫 になります サラリーマンで 健 康 保 険 組 合 や 共 済 組 合 に 加 入 している 人 は さらに 付 加 給 付 という 上 乗 せ の 保 障 があるかもしれません 例 えば 1カ 月 当 たりの 医 療 費 負 担 が3 万 円 や5 万 円 までです むなどです 一 度 調 べてみるとよいでしょう 2 高 額 療 養 費 とは 医 療 費 の 自 己 負 担 が 重 くなったとき 私 たちが 支 払 う 医 療 費 の 自 己 負 担 は 所 得 に 応 じて1カ 月 ( 暦 月 ) 当 たりの 上 限 が 決 まって います 例 えば 70 歳 未 満 で 所 得 区 分 が 一 般 に 該 当 する 人 の 場 合 窓 口 負 担 が8 万 100 円 を 超 えると 超 えた 部 分 の 自 己 負 担 は3 割 ではなく 1%になります( 表 3 図 ) いったん 窓 口 で 保 険 証 高 額 療 養 費 の 対 象 になるもの 高 額 療 養 費 が 適 用 になるのは 保 険 診 療 の 医 療 費 のみです 保 険 外 診 療 や 入 院 中 の 食 費 雑 費 治 療 上 の 必 要 からではなく 自 ら 希 望 した 差 額 ベ ッド 料 などは 全 額 自 己 負 担 となり 高 額 療 養 費 の 還 付 対 象 ではありません 差 額 ベッド 料 に 関 しては 誤 解 が 多 く 本 来 は 支 払 う 必 要 のないケースでも 支 払 いを 求 められ ることがあるようです 厚 生 労 働 省 は 差 額 ベッ 表 3 70 歳 未 満 の 高 額 療 養 費 図 高 額 療 養 費 のしくみ (70 歳 未 満 所 得 区 分 一 般 の 人 の 場 合 ) 所 得 区 分 自 己 負 担 限 度 額 4 回 目 以 降 上 位 所 得 者 *5 15 万 円 +( 医 療 費 -50 万 円 ) 1% 8 万 3400 円 自 己 医 療 費 負 担 一 般 *6 8 万 100 円 +( 医 療 費 -26 万 7000 円 ) 1% 4 万 4400 円 26 万 7000 円 1% ( 自 己 負 担 8 万 100 円 ) 低 所 得 者 *7 3 万 5400 円 2 万 4600 円 までが3 割 負 担 3 割 *5 国 民 健 康 保 険 加 入 者 は 基 礎 控 除 後 の 総 所 得 金 額 が600 万 円 以 上 健 康 保 険 加 入 者 は 標 準 報 酬 月 額 53 万 円 以 上 *6 上 位 所 得 者 低 所 得 者 以 外 の 人 *7 住 民 税 非 課 税 の 人 など 医 療 費 が100 万 円 の 場 合 8 万 100 円 +(100 万 円 -26 万 7000 円 ) 1%=8 万 7430 円 医 療 費 が200 万 円 の 場 合 8 万 100 円 +(200 万 円 -26 万 7000 円 ) 1%=9 万 7430 円 3 2013 2

ド 料 を 徴 収 してはいけないケースとして 以 下 の ように 医 療 機 関 へ 通 知 を 出 しています 1 同 意 書 による 同 意 の 確 認 を 行 っていない 2 患 者 本 人 の 治 療 上 の 必 要 により 特 別 療 養 環 境 室 に 入 院 させる 場 合 3 病 棟 管 理 の 必 要 性 から 特 別 療 養 環 境 室 に 入 院 させた 場 合 であって 実 質 的 に 患 者 の 選 択 に よらない 場 合 算 のしかたが70 歳 未 満 とは 異 なります( 表 4 表 5) まず 外 来 でかかった 医 療 費 を 個 人 ごとに 1カ 月 単 位 で 合 算 します 外 来 の 限 度 額 を 超 え ていれば それぞれに 超 過 分 の 還 付 を 受 けます 次 に70 歳 以 上 の 人 の 自 己 負 担 を 合 算 して 世 帯 の 限 度 額 を 超 えていれば 還 付 が 受 けられます 70 歳 以 上 の 人 が 入 院 した 場 合 限 度 額 適 用 認 定 証 がなくても 限 度 額 までの 負 担 ですみますが 同 じ 世 帯 で 医 療 費 のかかった 人 がいれば 世 帯 世 帯 合 算 を 忘 れずに 1つの 医 療 機 関 では 高 額 療 養 費 の 対 象 となら なくても 複 数 の 医 療 機 関 に 受 診 している 場 合 や 同 じ 医 療 保 険 に 加 入 している 同 一 世 帯 の 人 の 医 療 費 と 合 算 して 限 度 額 の 適 用 を 受 けること もできます 70 歳 以 上 の 人 の 場 合 は 支 払 った 金 合 算 の 申 請 をする 必 要 があります 70 歳 未 満 の 人 の 自 己 負 担 (2 万 1000 円 以 上 )と 合 算 する 場 合 は 70 歳 以 上 同 士 で 合 算 して 計 算 したうえで 次 に70 歳 未 満 の 方 の 医 療 費 を 合 算 します 70 歳 未 満 との 合 算 の 際 には 70 歳 未 満 の 限 度 額 を 適 用 します(6ページの 事 例 を 参 照 ) 額 に 関 わらず 合 算 できますが 70 歳 未 満 の 人 は 2 万 1000 円 以 上 の 自 己 負 担 があった 場 合 のみ 合 算 対 象 となります 75 歳 以 上 の 人 は 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 が 適 用 になりますので 75 歳 未 満 の 人 との 合 算 はできません 70 歳 以 上 の 人 は 70 歳 未 満 の 人 よりも1カ 月 当 たりの 自 己 負 担 限 度 額 は 低 くなりますが 計 介 護 費 用 との 合 算 もできる 世 帯 内 で 同 じ 医 療 保 険 に 加 入 している 人 は 毎 年 8 月 から1 年 間 にかかった 医 療 費 の 自 己 負 担 と 介 護 保 険 の 自 己 負 担 を 合 計 し 基 準 額 を 超 えたときはその 超 過 分 を 支 給 する 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 療 養 費 制 度 があります( 表 6) 表 4 70 歳 以 上 の 高 額 療 養 費 ( 外 来 ) 表 5 70 歳 以 上 の 高 額 療 養 費 ( 世 帯 合 算 入 院 含 む) 所 得 区 分 現 役 並 み 所 得 者 *8 一 般 低 所 得 者 Ⅱ*9 低 所 得 者 Ⅰ*10 限 度 額 ( 個 人 ごと) 4 万 4400 円 1 万 2000 円 8000 円 所 得 区 分 限 度 額 4 回 目 以 降 現 役 並 み 所 得 者 *8 8 万 100 円 +( 医 療 費 26 万 7000 円 ) 1% 4 万 4400 円 一 般 4 万 4400 円 低 所 得 者 Ⅱ*9 2 万 4600 円 低 所 得 者 Ⅰ*10 1 万 5000 円 *8 健 康 保 険 の 場 合 : 標 準 報 酬 月 額 ( 一 定 期 間 の 報 酬 の 平 均 額 から 定 められるもの)が28 万 円 以 上 など 国 民 健 康 保 険 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 の 場 合 : 課 税 所 得 145 万 円 以 上 など *9 世 帯 主 および 世 帯 全 員 が 住 民 税 非 課 税 の 人 *10 低 所 得 者 Ⅱの 条 件 に 加 え 各 種 所 得 から 必 要 経 費 控 除 を 引 いた 各 所 得 が0 円 となる 世 帯 に 属 する 人 表 6 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 療 養 費 制 度 ( 世 帯 の 負 担 上 限 額 ) 所 得 区 分 75 歳 以 上 世 帯 70 歳 ~ 74 歳 世 帯 70 歳 未 満 世 帯 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 + 介 護 保 険 職 域 保 険 または 国 民 健 康 保 険 + 介 護 保 険 現 役 並 み 所 得 者 (70 歳 以 上 ) 上 位 所 得 者 (70 歳 未 満 ) 67 万 円 67 万 円 126 万 円 一 般 56 万 円 56 万 円 67 万 円 低 所 得 者 Ⅱ(70 歳 以 上 ) 31 万 円 31 万 円 低 所 得 者 (70 歳 未 満 ) 34 万 円 低 所 得 者 Ⅰ 19 万 円 19 万 円 所 得 区 分 は 表 3 表 4に 準 じる (2013 年 2 月 現 在 ) 4 2013 2

介 護 保 険 にも 医 療 保 険 同 様 1カ 月 あたりの 自 己 負 担 が 所 得 区 分 に 応 じて 設 けられた 限 度 額 を 超 えると 超 過 分 が 還 付 される 高 額 介 護 サ ービス 費 というものがあります そのような 月 単 位 での 負 担 軽 減 があってもなお 負 担 が 重 い 場 合 年 単 位 で 更 なる 軽 減 を 図 る 制 度 が 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 療 養 費 制 度 です 医 療 費 と 介 護 費 の 両 方 を 負 担 している 世 帯 が 対 象 です 医 療 費 負 担 が 重 いと 税 金 が 安 くなる 納 税 者 が 自 分 もしくは 配 偶 者 その 他 の 親 族 の 医 療 費 を 支 払 った 場 合 一 定 の 金 額 を 所 得 か ら 引 くことができる 医 療 費 控 除 の 制 度 がありま す 課 税 対 象 となる 金 額 が 小 さくなることで 税 負 担 が 軽 くなる 可 能 性 があります 医 療 費 控 除 の 対 象 となる 金 額 は 実 際 にかか った 医 療 費 から 高 額 療 養 費 や 生 命 保 険 などか ら 給 付 を 受 けた 入 院 給 付 金 などを 差 し 引 いた 金 額 です 医 療 費 控 除 の 対 象 となる 医 療 費 は 医 師 また は 歯 科 医 師 による 診 療 や 治 療 の 対 価 風 邪 薬 な どの 購 入 代 金 介 護 保 険 制 度 の 下 で 提 供 された 一 定 の 施 設 居 宅 サービスの 自 己 負 担 額 などで その 病 状 などに 応 じて 一 般 的 に 支 出 される 水 準 を 著 しく 超 えない 部 分 の 金 額 とされています 3 こんなときにはこんな 給 付 保 海 外 でけがや 病 気 の 治 療 を 受 けたら 海 外 の 医 療 機 関 で 治 療 を 受 ける 際 には 当 然 日 本 の 保 険 証 は 使 えません その 国 の 医 療 制 度 のもとでの 治 療 費 を 支 払 います ただし 帰 国 後 に 公 的 医 療 保 険 から 治 療 費 の 一 部 が 支 給 され る 海 外 療 養 費 制 度 というものがあります 支 給 される 金 額 は 国 内 で 同 じ 治 療 を 受 けた 場 合 に 給 付 される 金 額 が 標 準 になります たと え 海 外 での 治 療 費 が 日 本 で 受 ける 場 合 よりも 高 険 証 額 になっても 国 内 の 治 療 費 を 標 準 に その7 割 が 給 付 されます 反 対 に 海 外 での 治 療 費 が 日 本 よりも 低 い 場 合 は 実 費 の7 割 が 給 付 され ます( 自 己 負 担 割 合 が3 割 のケース) ただし 日 本 国 内 で 保 険 適 用 となっていない 治 療 を 受 けたときは 給 付 対 象 とはなりません また 海 外 で 治 療 を 受 けることを 目 的 に 渡 航 す る 場 合 も 給 付 対 象 とはなりません 海 外 旅 行 に 出 かける 際 には 療 養 費 支 給 申 請 書 や 診 療 内 容 明 細 書 等 の 申 請 書 類 一 式 を 保 険 者 のサイトからダウンロードして 携 行 しておく と 安 心 です 交 通 事 故 でも 公 的 保 険 は 使 える 交 通 事 故 は 保 険 がきかない と 思 っている 方 は 多 いようです この 場 合 の 保 険 とは 健 康 保 険 などの 公 的 医 療 保 険 のことを 指 します 実 際 に 交 通 事 故 で 病 院 に 運 ばれた 際 に 病 院 の 職 員 から 交 通 事 故 は 保 険 が 使 えません と 言 わ れるケースがときどきあるようです ところが 公 的 医 療 保 険 が 交 通 事 故 のときに 使 えないとい うのは 事 実 に 反 します 1968 年 10 月 旧 厚 生 省 から 自 動 車 による 保 険 事 故 も 一 般 の 保 険 事 故 と 何 ら 変 りがなく 保 険 給 付 の 対 象 となるものであるので と 保 険 局 保 険 課 長 国 民 健 康 保 険 課 長 名 で 都 道 府 県 に 対 して 通 知 が 出 されており 現 在 もそのま ま 適 用 になります 加 害 者 がいる 場 合 は 加 害 者 が 医 療 費 の 負 担 をしますが 加 入 している 公 的 医 療 保 険 の 保 険 者 に 第 三 者 行 為 の 傷 病 届 を 出 すことにより い ったん 保 険 から7 割 部 分 の 医 療 費 が 支 払 われた 後 加 害 者 に 請 求 をするという 流 れになります たとえ 加 害 者 に100%の 過 失 があり 治 療 費 全 額 を 負 担 するにせよ 示 談 が 成 立 するまで 立 て 替 えなくてはならないケースもあります 多 少 なりとも 被 害 者 にも 過 失 があれば その 割 合 5 2013 2

に 応 じて 治 療 費 を 自 己 負 担 しなくてはなりませ ん 同 じ 治 療 でも 保 険 診 療 と 自 由 診 療 では 治 療 費 が 大 きく 違 いますから 交 通 事 故 でも 健 康 保 険 は 使 える ことを 覚 えておきましょう 知 っておきたい 公 費 負 担 医 療 費 制 度 国 や 地 方 自 治 体 が 医 療 費 の 全 額 もしくは 公 的 医 療 保 険 の 自 己 負 担 分 を 公 費 で 負 担 する 制 度 も あります 最 も 身 近 なものは 各 自 治 体 が 行 っ ている 子 どもに 対 する 医 療 費 助 成 制 度 でしょう 保 険 診 療 の 自 己 負 担 分 を 都 道 府 県 や 市 町 村 が 独 自 に 助 成 する 制 度 です ほかにも からだの 発 育 が 未 熟 なまま 生 まれ 入 院 を 必 要 とする 乳 児 が 入 院 治 療 を 受 ける 場 合 の 養 育 医 療 18 歳 以 上 の 身 体 障 害 者 手 帳 の 交 付 を 受 けている 人 が 所 定 の 医 療 を 受 けるときの 更 生 医 療 18 歳 未 満 の 身 体 に 障 害 がある 児 童 が 生 活 能 力 を 得 るために 医 療 を 受 けるときの 育 成 医 療 など さまざまな 公 費 による 医 療 給 付 があ ります また 特 定 疾 患 治 療 研 究 事 業 として 所 定 の 難 病 にかかった 人 が 医 療 費 の 助 成 を 受 けられる 制 度 もあります 難 治 度 重 症 度 が 高 く 患 者 数 が 比 較 的 少 ないため 公 費 負 担 の 方 法 をとらな いと 原 因 の 究 明 治 療 方 法 の 開 発 等 に 困 難 をき たすおそれがある 疾 患 を 対 象 としています 世 帯 合 算 の 事 例 Aさん(73 歳 ) 妻 のBさん(71 歳 )はともに 抗 がん 剤 の 通 院 治 療 を 受 けています ある 月 Bさんが 治 療 のため 入 院 し さらに 同 居 する 息 子 Cさん(45 歳 )も 骨 折 で 入 院 しました この 場 合 医 療 費 はいくら 還 付 されるでしょうか( 所 得 区 分 は 一 般 全 員 が 国 民 健 康 保 険 に 加 入 ) ❶ まず AさんとBさんの 外 来 分 を 計 算 します Aさん 外 来 3 万 円 自 己 負 担 限 度 額 1 万 2 千 円 イ(1 万 8000 円 還 付 ) Bさん 外 来 2 万 円 自 己 負 担 限 度 額 1 万 2 千 円 ロ(8000 円 還 付 ) ❷ 次 にBさんの 入 院 費 を 合 算 します Bさん 自 己 負 担 額 4 万 円 (1 万 2000 円 イ+1 万 2000 円 ロ+4 万 円 )-4 万 4400 円 ( 自 己 負 担 限 度 額 )ハ= 1 万 9600 円 ( 後 日 還 付 ) ❸ 最 後 にCさんの 入 院 費 を 合 算 します Cさん 自 己 負 担 額 9 万 円 4 万 4400 円 ハ+9 万 円 =13 万 4400 円 ニ( 世 帯 の 負 担 合 計 ) この 金 額 に70 歳 未 満 の 自 己 負 担 限 度 額 を 適 用 します 世 帯 でかかった 医 療 費 総 額 Aさん(1 割 負 担 )3 万 円 医 療 費 30 万 円 Bさん(1 割 負 担 )2 万 円 医 療 費 20 万 円 Bさん(1 割 負 担 )4 万 円 医 療 費 40 万 円 世 帯 の 医 療 費 総 額 120 万 円 ホ Cさん(3 割 負 担 )9 万 円 医 療 費 30 万 円 8 万 100 円 +(120 万 円 ホ-26 万 7000 円 ) 1%=8 万 9430 円 ヘ( 自 己 負 担 限 度 額 ) 13 万 4400 円 ニ-8 万 9430 円 ヘ= 4 万 6970 円 ( 後 日 還 付 ) 6 2013 2