一般演題 A―1

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○00表紙

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第7章

学校安全の推進に関する計画の取組事例

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

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(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

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経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : 円 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135, , , , , ,600 最

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4 松 山 市 暴 力 団 排 除 条 の 一 部 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び 業 務 の 適 正 化 等 に 関 する 法 律 等 の 改 正 に 伴 い, 公 共 工 事 から 排 除 する 対 象 者 の 拡 大 等 を 図 るものです 第 30 号 H H28.1

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別記

資料8(第2回水害WG)

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Transcription:

一 般 演 題 D 1 谷 川 岳 における 山 間 部 救 助 活 動 と 救 命 救 急 の 現 状 に 関 する 調 査 齋 藤 繁 1) 戸 部 賢 1) 木 村 雅 史 1) 須 藤 貴 史 1) 2) 嶋 田 均 1) 群 馬 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 2) 公 立 富 岡 総 合 病 院 警 察 庁 から 年 度 毎 の 救 助 依 頼 要 請 に 関 する 資 料 によると 遭 難 者 の 年 齢 構 成 は 60~70 歳 に 大 きなピークがあり これをもって 中 高 年 登 山 者 の 遭 難 急 増 と 騒 がれている しか し 同 時 期 の 入 山 者 数 でこの 年 齢 層 が 圧 倒 的 だとすると 入 山 者 数 分 の 遭 難 者 数 の 比 率 で は 他 の 年 齢 層 と 大 きく 違 わない 可 能 性 がある そこで 群 馬 県 谷 川 岳 において 最 もポ ピュラーなルートでの 入 山 者 数 とその 年 齢 居 住 地 などについて 調 査 を 行 った その 結 果 40 歳 以 上 のいわゆる 中 高 年 層 の 比 率 が 63% 60 歳 以 上 が 25%であった 一 方 30 歳 以 下 の 若 年 層 の 登 山 者 数 は 17%であった 若 年 層 の 登 山 者 比 率 は 1999 年 の 調 査 と 比 較 する と 増 加 していると 思 われた 群 馬 県 警 察 本 部 地 域 課 ならびに 山 岳 警 備 隊 の 遭 難 救 助 要 請 資 料 を 調 べたところ 岩 場 か らの 転 落 急 峻 な 雪 渓 での 滑 落 雪 崩 など もともと 危 険 度 の 高 いルートでの 遭 難 は 比 較 的 少 なく 尾 根 での 転 倒 道 迷 い 疾 病 の 悪 化 などが 62%と 主 要 な 救 助 要 請 の 理 由 となっ ていた 携 帯 電 話 での 救 助 要 請 は 38% 救 助 はヘリコプターを 使 用 したエアーレスキュー が 69%と 多 数 を 占 めていた こうした 社 会 的 背 景 を 鑑 み 2010 年 5 月 には 日 本 登 山 医 学 会 2010 年 度 学 術 集 会 の 一 環 として ヘリコプターによる 救 助 連 携 の 実 地 訓 練 を 実 施 した この 際 谷 川 岳 エリアに おけるエアーレスキューの 出 動 態 勢 はどのようになっているのかという 質 問 が 寄 せられた ため その 態 勢 を 正 確 に 把 握 するために 群 馬 県 警 察 山 岳 警 備 隊 ならびに 群 馬 県 防 災 航 空 隊 に 協 力 をあおぎ 日 本 登 山 医 学 会 第 30 回 学 術 集 会 の 宿 題 研 究 として 山 間 部 救 助 活 動 と 救 命 救 急 の 現 状 に 関 する 調 査 を 実 施 した その 結 果 谷 川 岳 エリアで 活 動 可 能 なヘリコプターは 県 機 関 が 所 有 する 防 災 ヘリ 県 警 ヘリ ドクターヘリに 加 え 民 間 の 赤 十 字 飛 行 隊 群 馬 支 隊 に4 機 自 衛 隊 相 馬 ヶ 原 駐 屯 地 に 防 衛 用 機 が 複 数 存 在 することがわかった ホイストによる 吊 り 上 げが 可 能 なものは 防 災 ヘリ 県 警 ヘリの 2 機 であった. 自 衛 隊 は 大 型 ヘリを 所 有 するが 防 衛 機 密 の 関 係 上 詳 細 は 公 開 不 可 とのことであった

一 般 演 題 D 2 国 際 山 岳 救 助 委 員 会 医 療 部 会 (ICAR-Medcom)の 活 動 について 大 橋 教 良 1) 梶 谷 博 2) 3) 大 城 和 恵 1) 帝 京 平 成 大 学 救 急 救 命 士 コース 2) いちいクリニック 3) 心 臓 血 管 センター 北 海 道 大 野 病 院 附 属 駅 前 クリニック 国 際 山 岳 救 助 委 員 会 (ICAR)は1948 年 にオーストリア フランス 南 チロル ド イツ スイスの 山 岳 救 助 関 係 者 が 集 まって 結 成 された 国 際 山 岳 連 盟 医 療 委 員 会 (UIA A) 国 際 登 山 医 学 会 (ISMM)と 密 接 な 協 力 関 係 にあり どちらかと 言 えばUIAAが 登 山 関 係 者 ISMM 登 山 医 学 関 係 者 が 主 役 なのに 対 してICARは 救 助 関 係 者 を 中 心 と した 集 まりである 原 則 として 1 カ 国 1 救 助 機 関 から 構 成 されるが 言 語 や 地 域 性 を 考 慮 して 例 えばスペインであればスペインとカタロニアの 機 関 が 参 加 し イギリスはイングラ ンドとスコットランドは 別 組 織 と 言 う 具 合 で 現 在 では 南 北 アメリカ アフリカ アジア を 含 めて33カ 国 ( 地 域 )62 団 体 で 構 成 されている わが 国 は 国 全 体 を 統 括 する 山 岳 救 助 機 関 がないのでICARに 対 しては 日 本 モンブランクラブが 正 式 メンバーとして 参 加 し ている ICARには 地 上 救 助 部 会 航 空 救 助 (ヘリ) 部 会 雪 崩 救 助 部 会 および 医 療 部 会 の4 委 員 会 があり それぞれの 立 場 で 様 々な 勧 告 や 研 究 報 告 山 岳 に 関 する 統 計 等 をリ リースしている これまでもICAR 医 療 部 会 により 山 中 でのAED:2006 年 山 中 でのヘビ 咬 傷 :2007 年 山 岳 救 助 での 一 次 救 命 処 置 における 換 気 の 問 題 :200 7 年 クレバスからの 救 助 におけるKED( 脊 椎 を 保 護 したまま 釣 り 上 げることのでき る 器 具 )の 有 用 性 :2008 年 と 様 々な 勧 告 が 行 われてきた 現 在 では 山 岳 救 助 に おけるヘリコプターレスキューの 標 準 化 山 中 での 心 肺 蘇 生 中 止 に 関 するガイドライン などについて 議 論 されており それぞれの 議 論 の 内 容 経 過 はICARのホームページ 上 で 広 く 公 開 されている ICARの 勧 告 を 加 盟 各 国 ( 地 域 )で 運 用 する 際 はそれぞれの 地 域 の 法 律 や 慣 例 が 優 先 することは 当 然 だが その 内 容 は 医 学 的 な 観 点 からの 世 界 標 準 もし くは 最 低 要 求 基 準 であり 現 在 の 論 点 も 含 めてその 考 え 方 の 基 本 は 今 後 ともわが 国 の 山 岳 救 助 関 係 者 救 急 医 療 関 係 者 に 広 く 周 知 する 必 要 があると 思 われる

一 般 演 題 D 3 富 士 山 八 合 目 富 士 吉 田 市 救 護 所 22 年 度 活 動 報 告 堀 内 治 美 前 田 宜 包 山 本 信 二 鈴 木 祥 司 渡 辺 美 香 額 谷 綾 子 郷 田 千 恵 実 富 士 吉 田 市 立 病 院 富 士 山 八 合 目 富 士 吉 田 市 救 護 所 は 標 高 3100m 太 子 館 内 に 併 設 されている 平 成 14 年 に 開 設 され 登 山 シーズンの 7 月 中 旬 より 8 月 末 までの 一 月 半 の 間 運 営 されている 運 営 母 体 は 平 成 19 年 より 富 士 吉 田 市 長 を 会 長 山 梨 大 学 付 属 病 院 院 長 富 士 吉 田 市 立 病 院 院 長 を 副 会 長 とする 富 士 吉 田 市 救 護 所 運 営 協 議 会 となっている 従 事 内 容 は 医 師 1 名 と 保 健 師 看 護 師 を 含 む 補 助 員 3 名 で 班 を 編 制 し 3 日 間 のローテーションを 組 んでいる ボランティ アの 医 療 活 動 として 応 急 処 置 助 言 に 当 たり 料 金 は 徴 収 していない 平 成 22 年 は 460 名 が 受 診 し 高 山 病 294 名 (63.9%)が 占 め 次 いで 外 傷 が 76 名 (16.5%) 感 冒 26 名 (5.7%) であった 富 士 山 吉 田 口 登 山 道 の 登 山 者 数 は 年 々 増 加 し 平 成 22 年 は 259,658 人 となった 登 山 者 が 入 山 する 時 間 ( 六 合 目 指 導 センター 通 過 )は 10~15 時 が 一 番 多 く いったんは 減 少 する ものの 19 時 から 23 時 に 再 び 増 加 する これらの 登 山 者 は 御 来 光 を 見 るために 夜 通 し 登 山 をしているものと 推 察 され 全 体 の 20%を 占 める 救 護 所 においても 21 時 から 午 前 6 時 までの 受 診 者 が 213 名 (46%)でその 多 くが 夜 通 し 登 山 者 であった 夜 間 に 登 山 をすることは 危 険 であることに 加 え 体 調 不 良 の 原 因 となっている また 御 来 光 に 間 に 合 わない 登 山 者 の 直 登 やもめ 事 などの 面 からも 安 全 を 脅 かしている 安 心 安 全 快 適 登 山 の 取 り 組 みからしても 夜 間 登 山 特 に 夜 通 し 登 山 の 状 況 は 早 急 に 改 善 し なければならない

一 般 演 題 D 4 登 山 者 検 診 ネットワークによる 事 前 検 診 受 診 者 の 高 所 ツアー 中 Lake Louise Score と 経 皮 的 動 脈 血 酸 素 飽 和 度 (SpO2) 原 田 智 紀 安 藤 隼 人 井 本 重 喜 梶 谷 博 上 小 牧 憲 寛 黒 川 惠 児 玉 康 小 林 俊 夫 齋 藤 繁 志 賀 尚 子 高 山 守 正 夏 井 裕 明 西 岡 隆 文 貫 田 宗 男 橋 本 しをり 花 岡 正 幸 増 山 茂 堀 井 昌 子 日 本 登 山 医 学 会 登 山 者 検 診 ネットワーク スタディー 実 行 委 員 会 目 的 日 本 登 山 医 学 会 登 山 者 検 診 ネットワークパイロットスタディーは 2010 年 11 月 末 までに 1000 名 以 上 の 高 所 ツアー 参 加 者 の 検 診 を 行 い 長 期 的 なスタディーに 移 行 した こ の 間 参 加 者 には 現 地 での 健 康 管 理 の 目 的 に 所 定 の 健 康 チェックシートに 急 性 高 山 病 (AMS)スコアである Lake Louise Score(LLS)と 経 皮 的 動 脈 血 酸 素 飽 和 度 (SpO2)など を 朝 と 夕 方 に 記 入 していただいた 今 回 そのシートを 解 析 した 方 法 ツアー 後 にシートのコピーを 提 供 していただいた 種 々のツアー 行 程 のシートが 混 在 するため LLS が 最 高 点 となった 日 の SpO2 および 標 高 逆 に SpO2 が 最 低 となった 日 の LLS および 標 高 を 抽 出 し 比 較 した また 検 診 結 果 と 合 せて 生 活 習 慣 病 である 高 血 圧 糖 尿 病 脂 質 異 常 症 の 罹 患 の 有 無 に 分 けて 分 散 分 析 を 行 った 結 果 すでにデータベースに 登 録 された 714 名 のうち 106 名 (15.0%)のシートが 提 出 されていた 高 所 ツアーの 目 的 地 はヒマラヤ キリマンジャロなどであり エベレスト 街 道 が 60.4%と 最 も 多 かった ツアーの 平 均 標 高 は 最 高 地 点 では 4918m(3892-5895; 範 囲 ) 最 高 宿 泊 地 では 4385m(3792-5100)であった LLS の 最 高 点 (0 点 の 11 名 と 無 記 入 の 6 名 を 含 む)は 平 均 2.5±1.9(SD)(0-8)であり このときの SpO2 は 85.6±6.0%(72-97) 標 高 は 3687±648m(2500-5100)であった SpO2 の 最 低 値 は 平 均 77.9±6.9%(50-91)であり このときの LLS は 1.3±1.6 点 (0-7) 標 高 は 4079±613m(2610-5140) であった 疾 患 毎 の 各 データに 有 意 な 変 動 を 認 めなかった 考 察 LLS 最 高 日 と SpO2 最 低 日 の LLS SpO2 標 高 は 優 位 に 異 なっており(t 検 定 ; p<0.001) LLS 最 高 日 が SpO2 最 低 日 より 早 いことが 多 かった LLS は 不 眠 や 登 頂 後 の 下 山 での 疲 労 で 3 点 を 超 えている 登 山 者 がおり 頭 痛 を 伴 い AMS と 診 断 できたのは 約 半 数 で あった 今 回 の 解 析 では LLS または SpO2 と 生 活 習 慣 病 の 間 に 関 係 を 認 めなかったが 今 後 も 解 析 を 継 続 し 検 診 時 のアドバイスに 生 かしていく 方 針 である また 下 痢 の 記 録 が 12 シートにあり 下 痢 のチェック 欄 を 加 えるなど より 有 効 に 使 っていただけるようにシー トを 改 善 していきたい

一 般 演 題 D 5 奥 穂 高 岳 登 山 者 の 実 態 調 査 大 平 幸 子 1) 加 藤 義 弘 2) 2) 澤 藤 裕 希 1) 岐 阜 大 学 医 学 部 看 護 学 科 2) 岐 阜 医 療 科 学 大 学 目 的 登 山 者 の 中 には 疾 患 を 持 つ 者 も 多 く 無 理 をしない ことが 重 要 だといわれてい る そこで 登 山 者 の 身 体 的 側 面 と 質 問 紙 から 実 態 を 把 握 することを 目 的 とした 方 法 2010 年 8 月 奥 穂 高 岳 山 荘 宿 泊 者 のうち 同 意 の 得 られた 30 歳 以 上 の 登 山 者 32 名 に 質 問 紙 調 査 血 圧 脈 拍 血 液 検 査 を 実 施 した 結 果 対 象 者 の 男 女 比 は 男 性 25 名 (78%) 女 性 7 名 (22%)であった 平 均 年 齢 は 58.7 歳 自 身 の 思 う 体 力 年 齢 は 実 年 齢 より 高 く 答 えている 人 はなく 平 均 -7.2 歳 であった 普 段 の 運 動 習 慣 と 体 力 年 齢 の 関 係 は 全 く 運 動 していない 人 (1 名 )は 体 力 年 齢 の 差 0 歳 月 に 1~2 回 運 動 をしている 人 (10 名 )は 体 力 年 齢 の 差 の 平 均 が-4.3 歳 週 に 3~4 回 運 動 をしてい る 人 (15 名 )は 体 力 年 齢 の 差 の 平 均 が-9.2 歳 週 に 5 回 以 上 運 動 をしている 人 (6 名 )は 体 力 年 齢 の 差 の 平 均 が-8.0 歳 であった 普 段 の 運 動 習 慣 と 自 覚 的 運 動 強 度 (ボルグ 指 数 )は 関 係 が 見 られなかった また 体 力 年 齢 の 差 と 自 覚 的 運 動 強 度 の 関 係 も 見 られなかった また 疾 患 を 持 った 人 は 16 名 (50%)であり 現 在 内 服 治 療 中 の 人 は 9 名 であった 収 縮 期 血 圧 140mmHg 以 上 の 人 は 11 名 (34%)であり 高 血 圧 と 指 摘 されていない 人 も 含 まれて いた 水 分 摂 取 状 況 については ほぼ 全 員 が 十 分 摂 るように 心 がけていたと 答 えていたが BUN21mg/dl 以 上 であった 人 は 20 名 (63%)であった 考 察 普 段 の 運 動 習 慣 と 体 力 年 齢 は 運 動 習 慣 のない 人 より 週 に 3~4 回 以 上 運 動 してい る 人 が 実 年 齢 と 自 覚 年 齢 の 差 が 大 きい 普 段 の 運 動 習 慣 が 体 力 への 自 信 につながっている ものと 考 えられる しかし 普 段 の 運 動 習 慣 があったり 体 力 年 齢 に 自 信 があったりして も 自 覚 的 運 動 強 度 はそれほど 低 いものではなかった また 約 半 数 は 疾 患 を 持 っており 3 割 以 上 に 高 血 圧 を 認 めている 水 分 摂 取 に 心 がけていても 6 割 以 上 が 脱 水 傾 向 となっていた 以 上 より 登 山 者 は 自 分 が 思 っている 以 上 に 身 体 に 負 担 がかかっており 自 己 の 体 力 を 過 信 し 過 ぎないことが 重 要 である

一 般 演 題 D 6 徳 沢 アンケートによる 登 山 中 医 療 ニーズ 調 査 平 田 衣 里 菜 1) 原 田 智 紀 2) 中 原 健 1) 清 水 翔 一 3) 早 川 彩 子 3) 相 澤 信 2) 4) 片 山 容 一 1) 日 本 大 学 医 学 部 山 岳 部 2) 日 本 大 学 医 学 部 機 能 形 態 学 3) 日 本 大 学 医 学 部 山 岳 部 OB 会 4) 日 本 大 学 医 学 部 徳 沢 診 療 所 目 的 日 本 大 学 医 学 部 徳 澤 診 療 所 は 夏 期 山 岳 診 療 所 として 主 に 登 山 者 を 対 象 に 北 アルプ ス 南 部 で 開 設 している ここ 5 年 の 受 診 者 数 は 毎 年 100 名 を 切 っており 多 くの 登 山 者 は 健 康 に 登 山 を 終 え 山 岳 診 療 所 を 受 診 することはほとんどないと 考 えられる そこで 登 山 者 が 登 山 中 に 医 療 を 必 要 と 感 じたことがあるか 調 査 を 行 った 方 法 日 本 大 学 医 学 部 徳 沢 診 療 所 の 2010 年 夏 期 開 設 期 間 中 に 徳 沢 ( 標 高 1,562m)に て 休 憩 中 の 登 山 者 に 健 康 状 態 に 関 するアンケート 調 査 を 行 った 調 査 項 目 に 登 山 中 の 受 診 歴 または 受 診 希 望 経 験 を 加 えた 質 問 は 高 山 病 と 高 山 病 以 外 の 病 気 に 分 けて 行 った 統 計 には t 検 定 を 用 いた 調 査 においては 匿 名 性 を 遵 守 した 結 果 徳 沢 ではアンケートの 回 答 を 128 名 から 得 た 回 答 者 の 平 均 年 齢 は 49.7±17.0(SD) ( 範 囲 11~76) 歳 であった 高 山 病 で 登 山 中 に 医 療 を 受 けたいと 思 ったことはあります か? との 質 問 には 125 名 が 回 答 され 15 名 12.0%が はい と 回 答 した しかし 実 際 に 受 けたことがある との 回 答 はなかった 一 方 高 山 病 以 外 の 病 気 で 登 山 中 に 医 療 を 受 けたいと 思 ったことはありますか? との 質 問 には 122 名 が 回 答 し 12 名 9.8%が は い または 受 診 したことがある と 回 答 した 受 診 歴 があったのは 3 名 2.5%であった 両 者 の 質 問 において 受 診 希 望 経 験 受 診 歴 があった 方 は 122 名 中 23 名 18.0%であり その 平 均 年 齢 は 54.1±15.1(21~70) 歳 であった どちらの 質 問 にも いいえ と 回 答 した 登 山 者 の 年 齢 と 有 意 な 違 いは 認 められなかった また 過 去 の 最 高 到 達 高 度 の 比 較 においても 有 意 差 を 認 めなかった 考 察 今 回 の 調 査 で 登 山 中 に 病 気 による 山 岳 診 療 所 受 診 歴 を 有 する 登 山 者 の 割 合 は 2.5%であった さらに 受 診 の 有 無 に 関 わらず 受 診 希 望 経 験 を 有 する 登 山 者 を 含 めると 登 山 中 に 病 気 により 医 療 ニーズが 発 生 した 登 山 者 は 18.0%であった 受 診 希 望 理 由 として は 高 山 病 の 方 が 高 山 病 以 外 の 病 気 よりもやや 高 かったが 高 山 病 以 外 の 病 気 すなわち 低 地 でも 遭 遇 する 病 気 を 理 由 に 受 診 したいと 思 ったことがある 登 山 者 も 多 かった これらの 数 字 は 外 傷 以 外 においても 登 山 中 に 医 療 ニーズが 発 生 することを 示 しており 山 岳 診 療 所 の 果 たす 意 義 は 高 いと 考 えられた

一 般 演 題 D 7 西 穂 高 診 療 所 における 潜 在 的 高 山 病 の 検 討 佐 藤 真 司 1) 和 久 井 紀 貴 2) 小 池 淳 一 2) 藤 岡 俊 樹 3) 4) 中 野 弘 一 1) 済 生 会 横 浜 市 東 部 病 院 消 化 器 内 科 2) 東 邦 大 学 医 療 センター 大 森 病 院 消 化 器 外 科 3) 東 邦 大 学 医 療 センター 大 橋 病 院 神 経 内 科 4) 東 邦 大 学 教 育 研 究 支 援 センター 目 的 高 山 では 空 気 が 地 上 と 比 べて 薄 いため 概 ね 2500m 以 上 で 様 々な 高 山 病 の 症 状 が 現 れる 一 方 その 高 度 に 満 たない 場 所 でも 交 通 機 関 の 発 達 により 急 激 に 高 度 を 稼 ぎうることから 高 地 順 化 が 追 い 付 かず 高 山 病 症 状 が 出 現 することもある また 自 覚 症 状 は 無 くても 高 所 における 潜 在 的 な 身 体 的 負 担 が 集 中 力 の 低 下 を 生 み 登 山 事 故 を 誘 因 する 可 能 性 もありうる 今 回 我 々は 一 般 健 常 人 を 対 象 として 比 較 的 低 山 における 入 山 直 後 と 順 化 後 の 身 体 兆 候 を 測 定 することにより 潜 在 的 な 高 山 病 兆 候 および 集 中 力 低 下 の 有 無 を 明 らかにした 対 象 および 方 法 健 常 ボランティア 14 人 ( 男 6 女 8 平 均 年 齢 29.1 歳 )を 対 象 とし 西 穂 高 診 療 所 (2385m) 入 所 時 と 丸 1 日 以 上 経 過 した 後 とで 酸 素 飽 和 度 (SAT) 脈 拍 (PR)の 測 定 number connection test(nct)を 実 施 し 比 較 した なおいずれも 6 時 間 以 上 の 睡 眠 時 間 は 確 保 された 状 態 であっ た 結 果 入 所 直 後 時 間 経 過 後 ともに 高 山 病 症 状 を 自 覚 する 者 は 無 く 酸 素 飽 和 度 にも 差 が 認 めら れなかった 一 方 脈 拍 では 前 後 で 有 意 に 差 異 が 認 められ(P=0.006) 時 間 経 過 とともに 低 下 する 傾 向 にあった また NCT でも 同 様 に 順 化 前 後 で 時 間 が 有 意 に 短 縮 された(P=0.028) 考 案 今 回 測 定 では SAT は 前 後 で 大 きな 差 異 を 認 めなかったものの PR では 有 意 な 減 少 を 認 め 身 体 が 低 酸 素 状 態 に 慣 れ 心 拍 数 が 減 少 したことを 示 していると 考 えられた また NCT にお いても 有 意 に 時 間 短 縮 が 認 められ 順 化 により 脳 活 動 性 が 改 善 していたものと 考 えられた 結 語 比 較 的 低 山 でも 順 化 前 後 には 身 体 活 動 の 変 動 をきたし 潜 在 的 高 山 病 が 存 在 した そして それは 登 山 にとって 必 要 な 集 中 力 に 影 響 を 及 ぼしうることが 示 唆 された

一 般 演 題 D 8 富 士 登 山 における 高 所 性 頭 痛 について 橋 本 しをり 1) 2) 沢 田 哲 治 1) 東 京 女 子 医 科 大 学 神 経 内 科 2) 東 京 医 科 大 学 病 院 リウマチ 膠 原 病 内 科 ( 背 景 ) 高 所 性 頭 痛 は 日 本 の 山 行 でもよく 認 められる 高 所 登 山 者 の common disease であ る 私 たちはこれまでの 高 所 における 臨 床 研 究 から 得 た 知 見 から 頭 痛 の 既 往 が 高 所 性 頭 痛 と 関 連 するという 印 象 を 持 っている しかしながら 国 際 頭 痛 学 会 の 高 所 性 頭 痛 分 類 (ICHD-II 10.1.1)では 平 地 での 頭 痛 の 既 往 と 高 所 性 頭 痛 との 関 連 は 低 い と 記 載 されて いる 今 回 私 たちは 富 士 登 山 者 を 対 象 に 抄 録 頭 痛 のアンケート 調 査 を 行 い 高 所 性 頭 痛 の 背 景 因 子 に 関 する 検 討 を 行 った ( 方 法 ) 対 象 は 26 名 ( 男 性 6 名 女 性 20 名 )で 平 均 年 齢 は 40.0± 12.3 才 ( 男 性 37.0 ± 12.4 才 女 性 41.0±12.4 才 )であった 富 士 登 山 は 2007 年 7 月 に 行 い 1 日 目 は 高 度 2500m( 富 士 宮 6 合 目 )に 宿 泊 し 2 日 目 は 2500mから 頂 上 (3776m)まで 往 復 した アンケートは 6 7 8 の 各 合 目 並 びに 頂 上 6 合 目 下 山 時 に 行 った ( 結 果 ) 今 回 の 富 士 山 行 における 高 所 性 頭 痛 の 発 現 率 は 61.5%であった 若 年 者 ( 高 所 性 頭 痛 は 40 才 以 下 の 若 年 で 69.2% 40 才 以 上 では 53.8%) 頭 痛 の 既 往 歴 あり( 頭 痛 歴 あり で 80.0% 頭 痛 歴 なしでは 50.0%) 男 性 ( 男 性 では 83.3% 女 性 55%)の 登 山 者 では 高 所 性 頭 痛 をきたす 頻 度 が 高 い 傾 向 があった ( 結 論 ) 若 年 および 頭 痛 の 既 往 歴 が 高 所 性 頭 痛 と 関 連 する 可 能 性 が 示 唆 された 少 なくと も 日 本 人 では 頭 痛 の 既 往 が 高 所 性 頭 痛 のリスクファクターである 可 能 性 があり 今 後 症 例 数 を 増 やした 検 討 を 行 いたい