第 2 章 返 済 金 利 と 返 済 方 法 をチェックする Q8 金 利 体 系 にはどんなタイプがあるの? A 固 定 金 利 型 変 動 金 利 型 それに 固 定 と 変 動 をミックスした 固 定 期 間 選 択 型 の3つのタイプ に 分 かれます フラット 35 や 一 部 の 民 間 ローンが 採 用 している 固 定 金 利 型 は 申 し 込 み 時 または 借 り 入 れ 時 ( 融 資 実 行 時 )に 全 返 済 期 間 にわたって 適 用 される 金 利 が 確 定 しているのが 特 徴 です 全 返 済 期 間 の 適 用 金 利 が 変 わらないタイプと 当 初 10 年 間 と 11 年 目 以 降 とで 適 用 金 利 が 変 わるタイプ ( 段 階 金 利 制 )があります が 段 階 金 利 制 を 採 用 しているのはごく 少 数 の 金 融 機 関 あるいは 商 品 です なお フラット 35 では 制 度 改 正 によって 2007 年 10 月 以 降 返 済 期 間 に 応 じた 融 資 金 利 を 設 定 するようになりました 詳 しくは Q23 でふれることにしましょう 一 方 変 動 金 利 型 は 返 済 期 間 中 金 融 情 勢 の 変 化 に 伴 って 金 利 が 変 動 するタイプです 短 期 プライムレートに 連 動 して 金 利 は 変 わりますが 実 際 には 半 年 ごとに 見 直 され 改 定 されます 変 動 した 金 利 に 基 づいて 算 出 する 返 済 額 は 5 年 ごとに 変 更 されます つまり 金 利 が 上 下 して も 返 済 額 は5 年 間 同 じで 6 年 目 に 前 5 年 間 の 金 利 変 動 に 応 じて 返 済 額 が 増 減 する 仕 組 みです この 変 動 金 利 型 は 主 に 民 間 ローンで 採 用 されています また 固 定 期 間 選 択 型 は 一 定 期 間 だけ 金 利 を 固 定 するタイプで ほとんどの 民 間 ローンで 採 用 されています 固 定 期 間 が 終 われば 変 動 金 利 型 に 切 り 換 えることも 可 能 で そのまま 再 度 固 定 期 間 選 択 型 を 選 ぶこともできます 利 率 にはその 時 点 の 金 利 が 適 用 されます 固 定 金 利 が 選 択 できる 期 間 は 1 年 2 年 3 年 5 年 7 年 10 年 が 一 般 的 です 金 融 機 関 によ っては 15 年 20 年 25 年 30 年 と 中 長 期 の 選 択 期 間 を 用 意 しているところもあります 選 択 期 間 が 短 いタイプは 金 利 が 低 めで 変 動 金 利 型 に 近 い 特 徴 を 持 ち 逆 に 選 択 期 間 が 長 いタイ プは 金 利 が 高 め で 固 定 金 利 型 に 近 いといえるでしょう なお 財 形 住 宅 融 資 は 5 年 ごとに 金 利 を 見 直 す5 年 固 定 金 利 制 です 要 するに 5 年 ごとに 金 利 が 変 わる 一 種 の 変 動 金 利 型 ともいえます
Q9 固 定 金 利 型 と 変 動 金 利 型 では どちらが 有 利 なの? A 各 住 宅 ローンの 金 利 をチェックすると 固 定 期 間 選 択 型 の 短 期 固 定 タイプも 含 めた 変 動 金 利 型 のほうが 固 定 金 利 型 に 比 べ 低 くなっています それだけを 見 ると 変 動 金 利 型 のほうが 有 利 なのではと 思 われますが 返 済 期 間 を 長 期 に 設 定 する 住 宅 ローンでは 長 い 目 で 金 利 の 動 向 を 見 る 必 要 があります 変 動 金 利 型 の 場 合 低 い 金 利 が 持 続 している 間 は 有 利 といえますが その 期 間 が 20 年 後 や 30 年 後 まで 持 続 するとは 思 えません 金 利 上 昇 期 に 入 れば 上 昇 した 金 利 が 反 映 されて 返 済 額 が 膨 らんでいきます 一 方 固 定 金 利 型 は 全 返 済 期 間 において 融 資 実 行 時 に 設 定 された 利 率 が 返 済 終 了 時 まで 適 用 されます そのため 市 場 金 利 の 動 きに 影 響 されることはありま せん 金 利 の 上 昇 によって 返 済 負 担 が 重 くなる 心 配 がない 半 面 金 利 上 昇 のピーク 時 に 利 用 した 場 合 には 高 い 金 利 のまま で 返 済 し 続 けることになります 変 動 金 利 型 か 固 定 金 利 型 か どちら 選 べばよいかを 判 断 するには 金 利 が 将 来 どう 動 くかを 見 極 めることがポイントです 昨 年 後 半 から 深 刻 化 した 不 況 の 影 響 もあって 低 金 利 の 状 態 が 今 後 ともしばらく 続 くことが 予 想 されます 現 状 において 固 定 金 利 型 よりもかなり 低 い 金 利 で 推 移 している 変 動 金 利 型 を 選 ぶケ ースが 増 えているのも そういったことによるものだと 思 われます ただし 返 済 期 間 を 長 期 に 設 定 するのであれば 固 定 金 利 型 の 住 宅 ローンを 軸 に 組 む 方 が 金 利 がアップしたときのリスクが 避 けられます 返 済 期 間 が 20 年 までの 短 中 期 であれば 変 動 金 利 型 ないし 固 定 期 間 選 択 型 20 年 以 上 の 中 長 期 であれば 固 定 金 利 型 を 選 ぶのが 妥 当 といえるでしょう Q10 元 利 均 等 返 済 と 元 金 均 等 返 済 どこがどう 違 うの? A 住 宅 ローンの 返 済 方 法 には 元 利 均 等 返 済 と 元 金 均 等 返 済 とがあります 元 利 均 等 返 済 は 毎 回 の 返 済 額 が 同 じに 設 定 されているため 返 済 計 画 が 立 てやすいのが 特 徴 です ただし 返 済 当 初 は 元 金 分 よりは 利 息 分 の 比 率 が 高 く 元 金 分 がなかなか 減 りません こ のため 元 金 均 等 返 済 よりも 返 済 総 額 が 多 くなります 一 方 元 金 均 等 返 済 はその 名 のとおり 毎 回 元 金 を 均 等 に 返 済 し 残 りの 元 金 に 対 して 利 息 がかかる 仕 組 みになっています 仮 に 10 万 円 を 元 金 均 等 返 済 で 10 回 返 済 すると 1 回 目 の 返 済 額 は1 万 円 の 元 金 分 + 残 りの 元 金 9 万 円 に 対 する 利 息 分 2 回 目 は1 万 円 の 元 金 分 + 残 りの 元 金 8 万 円 に 対 する 利 息 分 といっ た 返 済 額 になります 当 初 は 返 済 額 が 多 いのですが 回 を 追 って 元 金 が 確 実 に 減 っていくため 残 りの 元 金 に 対 する 利 息 負 担 が 徐 々に 軽 くなるというわけです マラソンでたとえる なら 同 じラップで 走 る 元 利 均 等 返 済 に 対 して スタート 時 点 では 大 幅 にペースアップし 徐 々にペースダウンするのが 元 金 均 等 返 済 ということになります
Q11 元 利 均 等 返 済 か 元 金 均 等 返 済 か どちらを 選 べばいいの? A どちらの 返 済 方 法 がいいかは 一 概 にはいえません 返 済 総 額 からいえば 元 金 均 等 返 済 の ほうがお 得 です しかし 返 済 のしやすさからいえば 返 済 額 が 毎 回 同 じ 元 利 均 等 返 済 のほうに 軍 配 が 上 がります 現 段 階 の 月 収 年 齢 それにライフサイクルなどを 見 定 めながら 家 計 負 担 の 変 化 などを 念 頭 に 置 いて 決 めるとよいで しょう 例 えば 若 い 世 代 で 共 働 きをしているような 家 庭 では 当 初 の 返 済 負 担 が 重 い 元 金 均 等 返 済 の ほうが 合 います 子 どもの 教 育 費 などの 負 担 が 重 くなる 時 期 には 住 宅 ローンの 返 済 負 担 が 軽 くな っているため 比 較 的 ラクに 暮 らせるというわけです なお 民 間 ローンの 中 には 元 金 均 等 返 済 を 採 用 していないケースもあります 元 金 均 等 返 済 を 選 択 しようとする 場 合 には 事 前 にチェックしておく 必 要 があります Q12 毎 月 返 済 のみとボーナス 時 併 用 返 済 どちらを 選 べばいいの? A ほとんどの 住 宅 ローンでは 毎 月 返 済 に 加 えてボーナス 時 返 済 を 認 めています ただし ボ ーナス 時 返 済 分 は 融 資 額 の4 割 ないし 半 分 までとしています 融 資 額 が 1000 万 円 であれば ボ ーナス 時 返 済 分 を 400 万 円 または 500 万 円 まで 設 定 することができます ボーナス 時 返 済 分 を 限 度 いっぱいに 設 定 する 人 がいますが できれば 毎 月 返 済 だけで 対 応 す るか ボーナス 時 返 済 分 を 少 なく 抑 えた 返 済 計 画 を 立 てることをお 勧 めします 余 ったボーナス 資 金 を 預 貯 金 に 回 し 一 定 額 に 達 した 時 点 で 繰 り 上 げ 返 済 の 資 金 に 充 てる といったやり 方 が 理 想 的 です 特 に 長 期 にわたって 返 済 するケースでは 早 い 段 階 から 繰 り 上 げ 返 済 を 繰 り 返 すことによって 元 金 分 を 減 らすことができる 上 膨 れ 上 がった 利 息 分 の 負 担 軽 減 にもつながり お 得 度 がアップ します
Q13 返 済 期 間 はどのくらいに 設 定 すればいいの? A 多 額 の 資 金 を 借 り 入 れる 住 宅 ローンでは 返 済 しやすいように 最 長 返 済 期 間 が 35 年 に 設 定 されています ただし だれでもが 35 年 を 選 べるわけではありません たとえば フラット 35 では 返 済 期 間 に 関 して (a) 15 年 以 上 35 年 以 内 ( 申 し 込 み 人 が 60 歳 以 上 の 場 合 には 10 年 以 上 35 年 以 内 )(b) 完 済 時 の 年 齢 が 80 歳 となるまでの 年 数 と2つの 条 件 があって (a) (b) のどちらか 短 いほうに 設 定 されます 申 し 込 み 時 の 年 齢 が 40 歳 の 人 は 返 済 期 間 を 最 長 の 35 年 に 設 定 できますが 50 歳 の 人 は 返 済 期 間 は 30 年 になります 完 済 時 の 年 齢 に 関 しては 民 間 ローンでも 80 歳 未 満 とするケースが 多 いのですが なかには 75 歳 としているも のもあります ただし 実 際 には どのくらいの 返 済 額 なら 収 入 に 見 合 う 妥 当 な 返 済 になるか という 点 が 前 提 に なります つまり 金 利 融 資 額 返 済 期 間 によって 返 済 額 を 算 出 した 上 で 収 入 に 見 合 った 適 正 な 範 囲 に 収 まらないようであれば 融 資 額 か 返 済 期 間 かのどちらかを 調 整 することになります 仮 に 融 資 額 を 優 先 するなら 調 整 できるのは 返 済 期 間 です 返 済 期 間 を 長 くすることで 毎 月 の 返 済 額 を 抑 えます この 場 合 には 返 済 期 間 の 上 限 を 念 頭 に 置 きながら 設 定 する 必 要 がありま す ただし 返 済 期 間 が 長 くなる 分 利 息 がかさみ 総 返 済 額 は 多 くなります 若 い 人 は 収 入 との 関 係 から 返 済 額 を 抑 えようとするために 返 済 期 間 をできるだけ 長 期 に 設 定 しています 年 齢 を 重 ねるにつれて 徐 々に 収 入 が 増 えるなら 一 部 を 繰 り 上 げ 返 済 して 返 済 期 間 を 縮 めるべきです そうすることで 総 返 済 額 を 少 しでも 減 らすことができます 返 済 能 力 があるのに 返 済 期 間 をあえて 長 期 に 設 定 し 繰 り 上 げ 返 済 を 目 指 す 人 がいます しか し 繰 り 上 げ 返 済 の 期 間 短 縮 型 というのは 当 初 設 定 した 返 済 期 間 を 短 くすることです 返 済 能 力 に 見 合 う 形 で 当 初 から 返 済 期 間 を 短 めに 設 定 しておくほうが 断 然 お 得 です Q14 将 来 繰 り 上 げ 返 済 したい! どんな 方 法 があるの? A 繰 り 上 げ 返 済 とは 住 宅 ローンの 元 金 ( 残 債 務 )の 全 額 ないし 一 部 を 繰 り 上 げて 返 済 するも のです 全 額 を 繰 り 上 げ 返 済 すれば 完 済 となります また 元 金 の 一 部 を 繰 り 上 げ 返 済 すれば その 分 の 利 息 負 担 がなくなり 総 返 済 額 を 減 らすことができます ここでは 一 部 繰 り 上 げ 返 済 ( 以 下 繰 り 上 げ 返 済 )について 説 明 しましょう 繰 り 上 げ 返 済 の 効 果 を 高 めるためには 返 済 期 間 中 のより 早 い 段 階 で 行 うことがポイントです つまり 元 金 を 少 しでも 早 い 段 階 で 減 らせば その 後 の 返 済 がラクになるというわけです 返 済 がラクになる ということの 意 味 は2つあります 1つは 返 済 期 間 が 短 くなること もう1つは 返 済 額 が 減 ること レースにたとえれば 負 担 は 変 わらないものの 走 る 距 離 が 短 くなること 当 初 に 設 定 した 距 離 は 変 わらないものの 身 軽 になって 走 れることを 意 味 します 前 者 を 期 間 短 縮 型 後 者 を 返 済 額 減 額 型 といいます そのどちらを 選 べばいいのかは 各 家 庭 の 家 計 状 態 によって 違 いますが 従 来 と 同 じ 返 済 額 でもOKであれば 期 間 短 縮 型 にする ほうが 総 返 済 額 を 減 らす 効 果 が 高 いといえるでしょう 例 えば 借 入 金 3000 万 円 ( 金 利 3% 返 済 期 間 30 年 )の 場 合 3 年 後 に 100 万 円 を 繰 り 上 げ 返 済 すると 期 間 短 縮 型 では 短 縮 できる 期 間 が1 年 6 カ 月 になり 節 約 できる 利 息 は 約 127 万 7000 円 一 方 返 済 額 減 額 型 では 毎 月 軽 減 される 返 済 額 が 約 4507 円 になり 節 約 できる 利 息 は 約 46 万 円 となります
Q15 返 済 方 法 を 変 更 したい! どんな 場 合 なら 可 能 なの? A 当 初 決 めた 返 済 方 法 を 途 中 から 変 えるということですが 具 体 的 にいえば (1)ボーナス 払 い 月 の 変 更 (2)ボーナス 払 いをなくし 毎 月 払 いのみへの 変 更 (3) 毎 月 払 いのみから 毎 月 払 いと+ボーナス 払 いの 併 用 への 変 更 (4) 毎 月 払 い 分 およびボーナス 払 い 分 の 金 額 内 訳 の 変 更 (5) 元 利 均 等 返 済 から 元 金 均 等 返 済 への 変 更 (6) 元 金 均 等 返 済 から 元 利 均 等 返 済 への 変 更 (7) 振 込 期 日 の 変 更 などがあります (1)から(7)までに 関 して フラット 35 の 場 合 にはいずれも 変 更 することができます 取 り 扱 い 金 融 機 関 に 収 入 等 の 変 化 により 返 済 方 法 の 変 更 を 希 望 する 旨 を 申 し 出 た 上 で 住 宅 金 融 支 援 機 構 が 承 認 する という 流 れになっています (1)から(7)まではいわば 利 用 者 の 都 合 による 変 更 ですが 月 々の 返 済 に 窮 した 場 合 でも 返 済 方 法 の 変 更 ができるケースがあります たとえば (a) 返 済 期 間 の 延 長 (b) 元 金 の 支 払 い 猶 予 期 間 の 設 定 (c) 返 済 が 滞 っている 場 合 遅 れている 返 済 分 を 今 後 の 返 済 に 均 等 に 分 割 した 上 での 返 済 額 の 増 額 (d) 一 定 期 間 の 返 済 額 の 減 額 などです (a)~(d) については 公 庫 融 資 (2007 年 3 月 末 で 廃 止 されたが 現 在 返 済 し 続 けている 人 は 相 当 数 いる)でも 同 様 の 扱 いとなっています 仮 に 返 済 に 困 るよう なことがあれば 住 宅 金 融 公 庫 の 業 務 を 引 き 継 いだ 住 宅 金 融 支 援 機 構 に まずは 相 談 されるとよいでしょう また 民 間 ローンを 利 用 している 場 合 でも 返 済 に 窮 して 返 済 方 法 を 変 更 したいのであれば 変 更 は 可 能 か どんな 条 件 なら 可 能 か などを 確 認 しておくことが 先 決 です 返 済 に 窮 したからとい って 消 費 者 金 融 に 手 を 出 す これほどバカバカしいことはありません