ボーダレスに 広 がる 生 産 システム 技 術 の 新 展 開 つながる 工 場 を 実 現 する 日 本 版 インダストリー4.0 部 門 長 法 政 大 学 デザイン 工 学 部 西 岡 靖 之
もくじ 1. これは 革 命 なのか? 2. 再 考 日 本 のものづくり 3. IT ICTとの 付 き 合 い 方 4. 日 本 版 が 必 要 な 理 由
産 業 革 命 インダストリー4.0 出 典 :DFKI (2011) 第 1 次 産 業 革 命 第 2 次 産 業 革 命 第 3 次 産 業 革 命 第 4 次 産 業 革 命 1 蒸 気 機 関 による 機 械 化 2 分 業 による 大 量 生 産 3エレクトロニクス による 自 働 化 4インターネットと モノの 融 合 3
生 産 革 命 インダストリー4.0 付 加 価 値 ネットワークを 通 じた 水 平 統 合 出 典 :Final report of the Industrie4.0 WG (2013) 全 体 バリュー チェーンにわたる End-to-end エンジニアリング 垂 直 統 合 とネットワーク 化 された 生 産 システム 4
標 準 化 と 参 照 アーキテクチャ 出 典 :Final report of the Industrie4.0 WG (2013) 5
Interoperability( 相 互 運 用 性 ) 複 数 の 異 なるものを 接 続 したり 組 み 合 わせて 使 用 したときに きとんと 全 体 として 正 しく 動 作 すること
我 が 国 の 貿 易 収 支 と 経 常 収 支 貿 易 赤 字 が 止 まらない! 5.4 兆 円 (4 月 ~9 月 )
オープン&クローズ 戦 略 出 典 : 小 川 紘 一 (2012) のびゆく 手 による 海 外 パートナーの 抱 え 込 み ネットワーク 型 ビジネス エコシステムの 確 立 日 本 的 ものづくりの 拡 大 (オープン)に 合 わせてブラックボックスを 埋 め 込 む 8
国 内 か 海 外 か? 国 内 海 外 中 間 財 最 終 財 最 終 財 連 続 生 産 ( 大 量 生 産 ) 素 材 原 料 部 品 加 工 品 資 本 財 消 費 財 繰 返 し 生 産 素 材 原 料 部 品 加 工 品 資 本 財 消 費 財 個 別 生 産 素 材 原 料 部 品 加 工 品 資 本 財 消 費 財 設 計 生 産 素 材 原 料 部 品 加 工 品 資 本 財 消 費 財 鉄 金 属 化 学 品 原 料 など 電 子 部 品 機 械 部 品 半 加 工 品 など 機 器 製 造 装 置 ロボットなど 自 動 車 家 電 日 用 品 など 9
知 財 戦 略 と のびゆく 手 高 度 な 日 本 のものづくりは いずれ 海 外 に 流 出 する! ならば 海 外 つながっていない 場 合 国 内 日 本 のものづくり 海 外 でのものづくりで 得 ら れる 付 加 価 値 を 日 本 国 内 に 還 元 するしくみをつくれ ばよい! $ 海 外 国 内 つながっている 場 合 日 本 のものづくり
我 が 国 の 強 みとは 現 場 の 人 が 主 体 的 に 改 善 のアイデアを 出 しながら 継 続 的 に 品 質 を 向 上 させていく 現 場 力 設 計 の 現 場 と 製 造 の 現 場 が 一 体 となった 組 織 づくり 現 場 現 物 現 実 を 重 視 し 想 定 外 から 常 に 学 ぶ 姿 勢 生 産 ライン 生 産 設 備 は 自 分 たちの 手 で 作 る 部 品 や 資 材 調 達 先 となる 企 業 との 間 での 長 期 的 視 野 に 立 った 協 力 関 係 と 柔 軟 な 企 業 連 携 設 計 時 点 から 品 質 コスト 工 法 などを 一 体 で 開 発 情 報 開 示 リスク 共 有 権 限 移 譲 によるスピード 経 営 異 なる 企 業 間 でも 仮 想 企 業 体 としての 一 体 感 11
すり 合 わせ という 強 みの 検 証 製 品 アーキテクチャとして 生 産 システム( 製 造 業 ) アーキテクチャとして モジュール 型 部 品 / 構 成 品 としての ビジネス 展 開 にて 優 位 モジュール 型 社 内 工 場 内 の 効 率 化 見 える 化 に 貢 献 機 能 すりあわせ 型 構 造 製 品 としての ビジネス 展 開 に 優 位?? 型 工 程 工 程 工 程 工 程 機 能 構 造 インタ フェース インタ フェース 工 程 見 えない 化 職 人 技?
すり 合 わせ とモジュール 化 の 統 合 すり 合 わせ 型 の 製 品 構 造 すり 合 わせ 型 の 生 産 工 程 すり 合 わせ 型 の 開 発 プロセス ライフサイクル 型 の 構 造 自 律 分 散 型 の 生 産 組 織 目 標 + 課 題 解 決 型 サイクル 擦 り 合 わせ 型 モジュール 型 引 き 算 割 り 算 型 足 し 算 掛 け 算 型 13
国 際 標 準 (IEC)の 活 動 Industry4.0のための SG8がスタート(2014/11/17) 1140 Experts (532 Experts) 47 Working Groups (WG, JWG, MT, PT) Membership: P:26/O:17 WG18:Cause and Effect Table Convenor: H.Weber (DE) WG19:Life-cycle mng. Sys&products Convenor: M.Ullemeyer P:28/O:14 P:24/O:16 (DE) P:25/O:15 P:22/O:4 統 合 さ れ る 可 能 性 こ れ ら の WG が 新 し い 委 員 会 と し て 14
国 際 標 準 の 種 類 強 制 法 規 型 利 用 者 の 安 心 安 全 のために 法 律 等 で 規 制 するための 基 準 やルールを 定 める 認 証 評 価 型 利 用 者 側 の 視 点 から 製 品 選 択 の 基 準 を 示 し 望 ましい 製 品 開 発 の 方 向 性 を 定 める 接 続 規 約 型 相 互 接 続 性 は 相 互 運 用 性 を 確 保 するためのインタ フェースや 接 続 手 順 を 定 める リファレンス 型 利 用 者 の 相 互 運 用 性 を 高 めるために 開 発 者 に 対 して 前 提 とする 用 語 やモデルを 定 める 15
標 準 化 で 何 を 決 めるのか? 決 めるためのルールを 決 める 変 えるためのルールを 決 める 評 価 のためのルールを 決 める 第 二 種 のシステム( 経 営 システム) システム 目 的 意 識 行 動 規 範 自 然 現 象 モノ システム 第 一 種 のシステム( 人 工 物 システム)
現 場 データを 中 核 とした 管 理 手 法 ISA-95(IEC62264)リファレンスモデル 日 本 はディスクリート 系 のこの 領 域 が 特 に 強 い レベル4 レベル3 レベル0,1,2 現 時 点 でのIECのIndustry4.0 の 標 準 はレベル0,1,2が 中 心 17
Confirm to ship Release to ship 機 能 モデル( 企 業 全 体 の 視 点 ) 原 材 料 Material and エネル energy control ギー 管 理 Production 生 産 スケ scheduling ジューリン グ Short term material and energy requirements Material and energy inventory 在 庫 オペレーション 管 理 Order 受 注 processing 管 理 生 産 オペレーション 管 理 Production 生 産 管 理 control Product 製 品 cost accounting 原 価 管 理 Process data In process waiver request Product 製 品 shipping 出 荷 管 ddmin 理 在 庫 オペレーション 管 理 品 質 オペレーション 管 理 Product 製 品 inventory 在 庫 管 control 理 Procurement 購 買 調 達 保 全 オペレーション 管 理 品 Quality 質 管 理 assurance 品 質 検 査 出 典 :IEC/ISO 62264.01 (2003) 日 本 語 化 および 一 部 情 報 追 加 Maintenance 保 全 管 理 management Research R&D development and 技 術 開 発 engineering 販 売 Marketing & マーケ sales ティング 18
PSLX3リファレンスモデル 純 国 産 業 務 オブジェ クトモデル 215 件 業 務 アクティ ビティモデル 162 件 PSLX3ドラフト06 デマンド サプライチェーン 需 要 情 報 エンジニアリング チェーン 製 品 要 求 /ニーズ 買 い 作 り 売 り こと しくみ もの 資 材 / 製 品 製 造 技 術 /シーズ 19
業 務 アクティビティの 記 述 販 売 実 績 の 集 計 名 称 概 要 説 明 販 売 実 績 の 集 計 販 売 実 績 を 期 間 得 意 先 商 品 カテゴリなどの 軸 ご とに 集 計 しレポートする 対 象 期 の 実 績 データがそろっていること 要 求 された 集 計 表 データが 得 られていること 月 末 あるいは 販 売 会 議 等 の 準 備 時 業 務 の 視 点 情 報 の 視 点 開 始 要 件 完 了 要 件 トリガー No アクションの 説 明 業 務 オブジェクト 操 作 1 実 績 データを 取 得 する 販 売 実 績 参 照 2 集 計 計 算 を 実 行 する 3 集 計 結 果 を 印 刷 または 登 録 する 備 考 : 販 売 実 績 集 計 追 加 仕 事 として 分 割 可 能 な 最 小 単 位 (アウトプットが 定 義 できる 単 位 ) 20
業 務 アクティビティの 例 受 注 製 品 の 開 発 日 程 を 設 定 する 投 資 対 効 果 を 製 品 ファミリ 単 位 で 把 握 する 製 品 の 実 際 原 価 を 計 画 する 製 品 構 造 素 材 工 法 などを 決 定 する 製 造 部 品 表 を 作 成 し 管 理 する 設 計 部 品 表 と 製 造 部 品 表 を 対 応 付 ける 工 程 検 査 結 果 を 生 産 オーダと 関 係 づける QC 工 程 表 を 作 成 し 管 理 する 生 産 オーダ 実 績 と 出 荷 実 績 とを 関 係 づける 作 業 標 準 の 内 容 を 実 績 ベースに 更 新 ロットにIDを する 設 定 して 管 理 する 設 計 変 更 を 確 定 し 関 連 部 署 に 通 知 する 作 業 者 の 編 成 とシフトを 管 理 する 製 造 上 の 問 題 から 設 計 を 変 更 する 作 業 工 程 における 作 業 方 法 を 定 義 する 製 造 装 置 の 製 品 レシピを 管 理 する 類 似 した 作 業 工 程 を 標 準 化 する オプション 部 品 オプション 工 程 を 定 義 加 する 工 条 件 を 記 録 し 再 利 用 する 出 荷 した 製 品 の 工 程 作 業 履 歴 を 調 べる 作 業 の 引 き 継 ぎを 容 易 にする トラブル 時 の 修 復 スケジュールを 作 成 する トラブル 原 因 により 対 策 を 立 案 する 設 備 の 稼 働 状 態 を 監 視 する 作 業 者 の 作 業 実 績 (スキル 面 )を 管 理 する 作 業 不 良 について 対 策 を 行 なう 21
工 場 におけるネットワーク 階 層 販 売 在 庫 CAD CAM CAE 品 質 トレサビ 設 備 保 全 工 場 系 ネットワーク(LAN) 大 量 の フィールド データ 表 示 器 I/O 表 示 器 HMI PLC ライフサイクル (OS 更 新 ) 問 題 制 御 用 ネット ワーク(LAN) PLC フィールドバス 表 示 器 FA 用 PC SCADA データロガー セキュリティの 制 御 装 置 問 題 PA 系 DCS プロコン 22
垂 直 統 合 水 平 統 合 の 行 方? 23
モノづくりの 現 場 が 重 要 戦 略 1. 製 品 ライフサイクル 2. 工 場 ライフサイクル 3. 技 術 ライフサイクル 4. ビジネスプロセス 戦 術 暗 黙 知 + アナログな コミュニケー ション オペレー ション 生 産 現 場 におけるスマートな 問 題 解 決 と 各 サイクルへのダイナミックなフィードバック 組 織 力 人 間 力 24
つなげることが 付 加 価 値 を 生 む! 大 手 製 造 業 中 小 製 造 業 製 品 (ワーク)のトレーサビリティ 中 堅 製 造 業 装 置 のトレーサビリティ 海 外 拠 点 製 造 ラインをパーツ として 再 構 成 する 情 報 のトレーサビリティ 国 内 拠 点 東 北 地 域 九 州 地 域 技 術 ( 知 財 )のトレーサビリティ 広 域 無 線 技 術 ユーザ 個 体 識 別 技 術 消 費 者 セキュアな OS 技 術 リアルとバーチャルの 融 合 で 新 たな 需 要 の 創 出 25
人 を 含 めた 情 報 連 携 企 業 内 水 平 連 携 企 業 間 連 携 ICTを 介 して 人 と 人 技 術 と 技 術 がつな がる 日 本 的 なつながる 工 場 の 特 徴 企 業 内 垂 直 連 携 企 業 経 営 製 造 現 場 コントローラー 機 器 レベル4 レベル3 レベル2 レベル1 企 業 経 営 製 造 現 場 コントローラー 機 器 M2Mの 世 界 26
日 本 版 インダストリー4.0へ 向 けて 製 造 現 場 のQCD 情 報 管 理 技 術 機 器 接 続 インタ フェースの 標 準 化 設 計 と 密 な 連 携 をする 製 造 現 場 製 造 技 術 と 管 理 技 術 の 統 合 化 中 小 製 造 業 の ネットワーク 連 携 仮 想 生 産 ラインの シミュレーション 生 産 管 理 のための ソフトウェア 連 携 設 備 保 全 と 製 造 実 行 の 統 合 管 理 生 産 管 理 と 原 価 計 算 の 高 度 化 消 費 者 参 加 型 の 生 産 システム 製 造 トレーサビリ ティと 品 質 保 証 生 産 ライン 立 ち 上 げ 時 の 問 題 分 析 日 本 的 なものづくり の 国 際 展 開 自 律 分 散 型 サプライ チェーン 管 理 インターネットを 活 用 した つながる 工 場 における 生 産 技 術 と 生 産 管 理 のイノベーション 研 究 分 科 会 製 造 現 場 つまりモノを 実 際 に 試 作 製 造 修 理 する 場 所 は これまでの 工 場 という 概 念 を 超 えてグローバルに あるいは 消 費 者 のローカルな 生 活 の 場 面 に 広 がっています そうしたモノづくりのしくみを 生 産 システムととらえ 新 たな 時 代 と 個 々の 環 境 に 適 合 した 機 器 機 械 情 報 知 識 そして 価 値 を 設 計 管 理 総 合 するための 技 術 を 研 究 します 27
日 本 的 な 製 造 現 場 の 参 照 モデル 販 売 マーケティンク 商 品 開 発 製 品 設 計 調 達 購 買 サフ ライチェーン 流 通 アフターサーヒ ス 機 械 装 置 MOM( 製 造 オペレーション 管 理 ) 生 産 技 術 情 報 作 業 者 制 度 法 律 基 準 標 準 MES ( 製 造 実 行 システム) 生 産 準 備 生 産 技 術 工 程 設 計 生 産 管 理 情 報 製 品 設 計 情 報 設 備 設 計 情 報 生 産 計 画 スケシ ューリンク 品 質 管 理 トレーサヒ リティ 保 全 計 画 設 備 診 断 人 員 計 画 人 材 育 成 28
どこが 日 本 的 なのか? 同 提 言 では ICTの 進 展 により 工 場 がデジタル 化 され 製 造 技 術 やノウハウを 簡 単 に 移 転 することが 可 能 となってコモ ディティー 化 する 恐 れを 指 摘 一 方 で 日 本 の 製 造 業 は 現 地 現 物 現 実 を 重 視 し 思 考 に よってカイゼンを 図 ることが 得 意 で 否 定 的 な 意 味 ではなく ICTの 限 界 を 理 解 して いるとし ている そのため ICTへの 過 度 な 依 存 に 走 る 欧 米 とは 注 意 深 く 一 線 を 画 し 現 場 とICT との 融 合 を 進 めるべきであり そこで 得 たものを 国 際 的 に 発 信 したい と 述 べている 日 本 的 な つながる 工 場 実 現 へ 向 けた 製 造 プロセスイノベーションの 提 言 http://www.jsme.or.jp/msd/html/92/msd_innovation2014.pdf 29
イノベーション 戦 略 の 例 1. 個 別 受 注 型 個 別 設 計 型 に 資 源 を 集 中 研 究 開 発 試 作 対 応 初 期 流 動 管 理 2. ハイエンド 日 本 品 質 というブランド 戦 略 国 内 の 量 産 品 は 高 付 加 価 値 なものに 特 化 3. 工 場 OSと 連 携 コントローラ(ハード) 国 産 化 ファクトリに 特 化 したデータ 通 信 のハブ 4. 現 場 のことばによる 工 場 管 理 のデファクト 化 生 産 技 術 を 核 としたグローバルPDCA 5. 海 外 工 場 のワンストップ 品 質 管 理 サービス 労 働 集 約 型 の 工 場 の 工 場 まるごと 連 携 30
工 場 まるごと 連 携 プラットフォーム コスト 競 争 で 海 外 へ 出 ざるを 得 ない 製 品 戦 略 その1 工 場 のハード ソフト 管 理 技 術 を 一 括 して 提 供 し その 後 はサービスや 保 守 管 理 を 遠 隔 ( 日 本 )で 請 け 負 う 工 場 まるごと 輸 出 中 小 製 造 業 および 高 付 加 価 値 製 造 業 戦 略 その2 中 小 製 造 業 がコア 技 術 の 提 供 者 とし て 大 手 とサイバー 空 間 上 で 連 携 し 自 律 分 散 型 の 仮 想 組 織 を 形 成 する 11 月 13 日,14 日 中 小 製 造 業 生 産 システム 見 え サイバー 連 携 る 化 展 工 場 まるご と 連 携 コーナーに て 連 携 デモ 31
まとめ グローバルな 競 争 ルールが 変 わってきた ボーダレス 化 における 標 準 化 の 意 味 モジュール 化 &すりあわせで 個 別 化 を 図 る 自 ら 変 化 するしくみのマネジメント 32