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第 22 章 細 胞 細 胞 は 生 命 の 最 小 単 位 です 細 胞 ではどのような 営 みがなされているのでしょうか? 今 回 はこの 細 胞 で 行 われている 働 きについて 勉 強 していきましょう 389

生 物 とは 何 か? そもそも 生 物 とは 何 でしょうか? 生 きているものという 言 い 方 ができますが 生 きてい るとはどういうことでしょうか? 動 いているだけでしたら 水 の 中 のゴミも 動 き 回 ってい ますし ロボットも 自 分 で 考 えて 動 くことが 可 能 になるでしょう 現 在 地 球 上 で 生 物 と して 認 められている 物 体 には 特 徴 があります まず 外 部 からエネルギーを 取 り 込 み 利 用 します これはたとえば 移 動 するときには 仕 事 をすることが 必 要 ですからエネルギーが 必 ず 必 要 になります また 生 物 は 成 長 し 生 殖 によって 遺 伝 物 質 を 子 孫 に 与 えて 種 としての 性 質 を 伝 えます もちろんこうした 生 殖 をしない 場 合 もあるのでしょうが それは 死 滅 して 現 在 まで 種 として 伝 えられていない わけです しかし 海 辺 にある 塩 の 結 晶 などでも 自 然 に 成 長 していき 大 きくなると 分 裂 するので 上 の 生 命 の 定 義 では こうした 結 晶 の 成 長 と 生 命 とは 区 別 できなくなってしまい ます それでは 生 命 はどのように 定 義 したらいいのでしょうか? 生 物 は 細 胞 を 持 つ それでは 生 物 を 決 定 的 に 特 徴 づけるのはいったいなんでしょ うか? 生 命 を 特 徴 づける 性 質 は 細 胞 があることです つまり 生 命 は 細 胞 という 膜 により 環 境 と 自 分 とを 分 けて 自 己 というも のを 持 っています また 細 胞 内 には 遺 伝 情 報 を 伝 えることがで きる 物 質 が 含 まれています そして そのための 生 命 と 生 殖 の 維 持 の 情 報 を 細 胞 内 に 持 っているのです このように この 細 胞 を 持 つということが 決 定 的 に 生 命 か 生 命 でないかを 分 けることにな ります ウイルスの 一 種 ウイルスは 細 胞 膜 を 持 たずに 遺 伝 情 報 とある 種 のタンパク 質 のみを 持 ちます このため ウイルスは 生 物 とは 認 定 されません しかし そもそもこう した 生 物 という 分 け 方 自 身 も 自 然 界 がではなく 人 間 が 決 めた 取 り 決 めであることにも 注 意 しましょう 人 間 が 生 物 と 認 定 するしないにかかわらず ウイルスも 進 化 して 現 在 ま で 生 き 残 っていることには 変 わりはありません また 今 後 地 球 外 の 生 物 が 見 つかると 分 類 法 が 変 わるかもしれません 細 胞 が 生 命 の 決 め 手 となるので 細 胞 は 生 命 体 における 最 小 の 単 位 です つまり こ れ 以 下 の 階 層 では 分 子 の 化 学 反 応 として 機 能 しており それ 自 身 で 生 きているというこ とを 定 義 できません 逆 に 言 うと 分 子 の 移 動 や 変 化 などの 過 程 の 多 くは 細 胞 の 中 のど こで どのようにして 起 こるかということで 理 解 できるのです 多 細 胞 の 器 官 では 様 々 なタイプの 細 胞 からなり それぞれが 独 自 の 働 きをします しかし 器 官 全 体 の 作 用 は 個 々 の 細 胞 のレベルで 理 解 する 必 要 があります 390

細 胞 の 理 論 生 物 学 にとって 最 初 の 革 命 がこの 細 胞 理 論 と 言 えるでしょう 物 質 の 最 小 単 位 が 原 子 で あったように 生 物 学 にとって 最 小 の 単 位 があることの 発 見 は 大 きかったのです 1665 年 にイギリスのロバート フックが 顕 微 鏡 でコルクの 構 造 を 調 べました 当 時 は 30 倍 の 倍 率 でしたが フックは 奇 妙 な 構 造 を 見 つけたのです 小 さな 穴 が 多 数 ある 構 造 でこれは 細 胞 と 呼 ばれました フックの 研 究 が 発 表 されてすぐに アントニ ファン レーウェンフックが もっと 強 力 な 顕 微 鏡 を 作 ることに 成 功 します その 倍 率 は 約 3000 倍 です その 顕 微 鏡 で 池 の 水 をみて ゾウリムシのような 単 細 胞 生 物 を 発 見 し ます 彼 はまた 血 液 細 胞 や 精 子 なども 観 察 しました 1670 年 代 に 入 ると 研 究 者 達 は 植 物 は 細 胞 の 集 まりか らできていることを 発 見 しました そそて 1800 年 代 に は それまでの 観 察 を 元 に 生 物 学 者 達 は すべての 生 物 は 細 胞 からなっていると 認 識 するようになっていきまし た 細 胞 の 理 論 と 科 学 的 方 法 科 学 的 方 法 では 次 のことが 重 要 です まず どの ようなパターンがあるのかを 認 識 することです そし て 次 に それがどのようなメカニズムでおこるのかを 解 明 することです 細 胞 の 理 論 のパターンとしては す べての 生 物 は 細 胞 から 構 成 されていることです そし て それがどのようにしてできたかについては それ 以 前 に 存 在 した 細 胞 から 作 られるのです しかし 腐 っ たものには 虫 が 自 然 にわいてくるように 見 えますし 放 置 した 牛 乳 や 水 が 腐 敗 していくのも 自 然 に 起 こります このため 生 命 が 必 ずそれ 以 前 の 生 命 から 作 られるということは 19 世 紀 になるまでそ んなに 明 らかではなかったのです 科 学 的 方 法 では 生 命 は 自 然 にはわいてこないという 仮 説 について 実 験 的 な 証 明 が 必 要 です ルイ パスツール (1822-1895) は 栄 養 素 を 入 れ 煮 沸 したフラスコに 外 気 か ら 遮 断 されていると 菌 が 育 たず 外 気 に 触 れていると 菌 が 繁 殖 することを 示 し 菌 は 自 然 にはわいてこないことを 明 らかにしました このような 実 験 は 多 数 試 みられており 生 命 が 自 然 と 現 れる 状 況 は 確 認 されていません もちろん 細 胞 が 元 の 細 胞 からどのようにして 作 られていくのかについては この 本 で 詳 しく 見 ていくことになります つまり 生 物 学 においても 科 学 的 方 法 は 循 環 して 回 ってい くのです 391

細 胞 には 原 核 生 物 と 真 核 生 物 がある 細 胞 には2 種 類 あります 一 つは 原 核 生 物 で 次 のような 特 徴 があります まず 一 つ の 細 胞 膜 で 覆 われており 内 部 には 取 り 立 てて 敷 居 がありません つまり 人 間 の 住 居 にたとえれば キッチンと 台 所 と 寝 室 の 敷 居 がない ワンルームマンション のような 構 造 をしています また 原 核 細 胞 は 単 細 胞 の 器 官 ではありますが ときには 細 胞 通 しで 共 同 の 作 業 もるこ ともあります 内 部 には 遺 伝 情 報 を 持 つ 染 色 体 が あります また プラスミドという 染 色 体 とは 別 に 遺 伝 情 報 を 独 立 に 持 つ 器 官 があります これは 細 胞 が 分 裂 するときに 染 色 体 同 様 に 複 製 されます 細 菌 が 原 核 生 物 の 代 表 です もう 一 つのクラスは 真 核 生 物 で 次 のような 特 徴 があります まず 細 胞 内 には 細 胞 小 器 官 と 呼 ばれる 多 数 の 小 器 官 から 構 成 されています しかも 細 胞 小 器 官 はそれ 自 身 膜 で 覆 われていて 次 の3つの 過 程 をするものに 分 けられます 1. 核 は 情 報 の 伝 達 のための 小 器 官 です 核 は 染 色 体 と 呼 ばれる 設 計 図 にあたるものを 持 っています 2. 糖 などを 分 解 してエネ ルギーを 取 り 出 す ミトコ ンドリアと 植 物 が 光 合 成 により 当 分 を 蓄 える 葉 緑 体 は エネルギーに 関 係 した 細 胞 小 器 官 です 3. 小 胞 体 ゴルジ 体 エ ンドソーム リソソームな どの 小 器 官 は 外 部 と 化 学 物 質 をやりとりしており 輸 送 にかかわっています 次 に これらの 細 胞 小 器 官 の 働 きについて 少 し 詳 しく 見 植 物 の 細 胞 ていきましょう 392

真 核 生 物 での 細 胞 真 核 生 物 は 海 や 池 などにいる 藻 アメーバから 動 物 植 物 も 含 みます 真 核 細 胞 は 原 核 細 胞 にくらべてどのくらい 大 きいのでしょうか? 原 核 細 胞 の 大 きさは 直 径 1マイクロ メートルから10マイクロメートルととても 小 さいのに 対 して ほとんどの 真 核 細 胞 の 大 きさは 直 径 約 5 マイクロメートルから100マイクロメートルの 大 きさです そして 真 核 生 物 の 細 胞 小 器 官 と 原 核 生 物 の 細 胞 とはほとんど 同 じ 大 きさです したがって 真 核 細 胞 は 原 核 生 物 の 細 胞 を 捕 食 して 内 部 に 細 胞 小 器 官 としたという 仮 説 が 成 り 立 ちそう です 実 際 千 以 上 の 単 細 胞 真 核 生 物 が 原 核 生 物 を 補 食 して 現 在 も 生 きています ただ し 通 常 は 捕 食 の 関 係 で 両 者 が 共 存 しているだけで 同 時 には 細 胞 分 裂 しません しかし 飲 み 込 んだ 細 胞 と 飲 み 込 まれた 細 胞 が 同 時 に 分 裂 するようになったときに 飲 み 込 まれた 原 核 生 物 の 細 胞 が 細 胞 小 器 官 となったと 考 えられます 大 きな 原 核 生 物 はなぜ 存 在 しないのでしょうか? 非 常 に 大 きな 原 核 生 物 があったとしま しょう 一 カ 所 で 製 造 した ATP やアミノ 酸 などが 細 胞 全 体 に 拡 散 して 行 き 渡 るには 時 間 がかかってしまいます すると 細 胞 の 一 カ 所 で ATP が 消 費 されたとき 他 の 箇 所 から ATP が 拡 散 してくるには 時 間 がかかりすぎて 活 動 が 停 滞 してしまいます また 化 学 物 質 は 大 量 に 作 らないと 大 きな 細 胞 では 濃 度 が 上 がらなく そのために 化 学 反 応 がしに くくなります それに 対 して 現 存 する 原 核 細 胞 では イオンや ATP が 拡 散 して 行 くに はちょうどいい 大 きさなのです このように 原 核 細 胞 の 大 きさは 化 学 物 質 の 拡 散 によ る 輸 送 という 制 限 によって 決 まっており このため 大 きな 原 核 細 胞 はないものと 考 えら れています それでは 真 核 細 胞 では この 大 きさの 問 題 をどのように 解 消 しているのでしょうか? そこで 細 胞 小 器 官 の 登 場 です 細 胞 小 器 官 で 区 切 られているからこそ 細 胞 小 器 官 の 中 で 原 核 細 胞 同 様 の 化 学 反 応 を 行 うことができるのです また このことにより ATP の 製 造 や アミノ 酸 の 製 造 などを 分 けて 行 うことができるので 混 ぜて 行 うと 都 合 が 悪 い 化 学 反 応 を 細 胞 小 器 官 内 で 分 けて 行 うことができます また 化 学 反 応 にかかわる 物 質 は 細 胞 小 器 官 の 狭 い 範 囲 の 中 で 行 われますので 分 子 同 士 の 濃 度 が 上 がり 衝 突 しやすくな りますので 効 率 よい 化 学 反 応 ができるのです このように 真 核 細 胞 では 様 々な 化 学 反 応 を 行 う 工 場 にわかれたコンビナートのよう になっており 原 核 生 物 よりも 複 雑 な 操 作 が 可 能 となります 393

タンパク 質 の 合 成 と 輸 送 細 胞 の 小 器 官 には 様 々なものがあります ここではまずタンパク 質 の 合 成 にかかわる 小 器 官 を 見 てみましょう タンパク 質 の 設 計 図 の 保 管 場 所 核 核 は 細 胞 小 器 官 の 中 でも 最 大 級 の 大 きさです この 核 の 中 には 染 色 体 があります この 染 色 体 の 役 割 や 構 造 は 後 の 章 で 詳 しく 説 明 します ここでは タンパク 質 の 合 成 に 必 要 な 情 報 がここから 発 進 されるところとして 覚 えておきましょう タンパク 質 の 合 成 場 所 リボソームと 粗 面 小 胞 体 細 胞 内 の 核 以 外 のところに 小 さな 球 形 の 泡 のようなものが 多 数 散 らばっています そ の 膜 の 中 をよく 見 ると 2つの 部 品 があります それは タンパク 質 と RNA です これ を 含 んだ 小 さな 泡 のようなものをリボソームと 言 います ここでは 主 にタンパク 質 の 合 成 が 行 われています 細 胞 内 に 多 数 のリボソームがありますが それ 以 外 に 膜 にリボソームが 多 数 くっついて いる 小 器 官 があります これには 数 百 から 数 千 のリボソームが 張 り 付 いているので ご つごつに 見 えます これを 粗 面 小 胞 体 と 言 います よく 見 ると これは 核 につながった 構 造 をしています 粗 面 小 胞 体 にくっついたリボソームは 核 からの 情 報 に 基 づき タンパク 質 を 合 成 し それ 自 身 が 細 胞 外 に 分 泌 されたり 後 で 見 るリソソームという 細 胞 小 器 官 に 運 ばれたりし ます 粗 面 小 胞 体 で 生 成 されたタンパク 質 は いろいろな 役 割 をもっています 他 の 細 胞 に 送 るメッセージの 役 割 をするものもあれば 細 胞 膜 からの 輸 送 に 使 われるタンパク 質 であっ たり はてまた 酵 素 であったりします ここで 生 成 されたタンパク 質 の 多 くは 細 胞 内 外 の 別 の 場 所 に 輸 送 されます ゴルジ 体 粗 面 小 胞 体 で 生 成 されたタ ンパク 質 の 多 くは ゴルジ 体 (ゴルジ 装 置 )と 呼 ばれる 小 器 官 に 運 ばれます ここで 送 る 場 所 ごとに 仕 分 けされ パック 詰 めされて 各 所 に 送 ら れるのです このように ゴ ルジ 体 が 行 っているのは 輸 送 業 務 なのです 394

脂 肪 生 成 の 小 器 官 滑 面 小 胞 体 粗 面 小 胞 体 をよく 見 ると ごつごつしてリボソームがくっついている 部 分 だけでなく リボソームの 輸 送 に 関 係 していない 部 分 があります リボソームがくっついていなくて ごつごつしていないのでこれを 滑 面 小 胞 体 と 言 います この 部 分 では 脂 質 の 合 成 や 分 解 を 行 う 酵 素 があります これにより 有 用 な 脂 肪 を 作 り 出 すとともに 細 胞 に 害 のある 脂 質 を 破 壊 しています 脂 質 は ステロイドなど ホルモンを 作 るために 必 要 な 脂 質 の 合 成 だけでなく 細 胞 膜 のためのリン 脂 質 も 合 成 します また 信 号 として 使 うためのカルシ ウムイオンを 蓄 えておく 部 分 としても 使 われています ここで 合 成 された 脂 質 は 輸 送 用 小 器 官 であるゴルジ 体 に 運 ばれて 細 胞 内 外 に 輸 送 されます タンパク 質 の 動 きをどのように 知 ったのか? サイエンスでは 帰 結 された 結 果 だけでなく どのようにしてその 事 実 を 知 ったのかも 重 要 です 科 学 は 再 現 可 能 な 実 験 や 観 測 により 自 然 界 を 知 ることでした そこで 十 分 な 証 拠 がなければ 理 論 は 信 用 できないものなのです そこでここでは タンパク 質 がどこに 運 ばれていくのかはどのようにしてわかったのかをみてみましょう 古 くからある 方 法 と しては ある 特 定 の 化 学 物 質 の 反 応 により 特 定 したい 物 質 に 色 をつけてそれを 観 測 する ことでした しかし 必 要 な 化 学 物 質 の 染 色 剤 はそうあるものではありません そこで 14 章 で 学 んだ 放 射 性 物 質 を 使 います ある 特 定 の 時 期 だけ 細 胞 の 養 分 として 放 射 性 物 質 を 大 量 に 投 与 します するとそれによって 合 成 されたタンパク 質 は ガンマ 線 などの 放 出 します そこでそのガンマ 線 を 検 出 することで 位 置 が 特 定 できるのです 放 射 線 の 放 出 箇 所 を 追 っていけば まるで 目 に 見 えるように 輸 送 の 仕 方 がわかるのです 生 物 学 におい てこのトレーサーと 呼 ばれる 技 術 は 非 常 に 重 要 な 技 術 です 目 的 地 がどうしてわかるのか? 郵 便 の 集 配 所 に 荷 物 が 運 ばれてきたとしましょう もしそれに 宛 名 がないと どこに 運 べばよいのかわかりませんね 細 胞 内 のタンパク 質 でも 同 様 です タンパク 質 が 生 成 され るとき それがどこで 必 要 なのかわからなければなりません どのようにしてそれがわか るのでしょうか? 実 は タンパク 質 の 合 成 のときに どこで 必 要 かという 情 報 も 一 緒 に 組 み 込 まれていま す そのため 必 要 なタンパク 質 にどこで 必 要 下 の 郵 便 番 号 となる 糖 分 がついた 形 で 合 成 されているのです 粗 面 小 胞 体 やゴルジ 題 などでは この 郵 便 番 号 に 基 づき 細 胞 小 器 官 や 細 胞 外 へと 仕 分 けするのです 395

消 化 の 小 器 官 リソソーム 老 廃 物 や 外 部 からの 栄 養 分 の 消 化 にかかわるのがリソソームです リソソームの 形 は 組 織 によってかなり 異 なります リソソームの 内 部 は 酸 性 で 40ほどの 消 化 酵 素 を 含 ん でいます これにより タンパク 質 核 酸 脂 質 炭 水 化 物 などあらゆるものを 分 解 します 外 部 から 運 ばれてきた 栄 養 分 は リソソームが 受 け 取 り 分 解 して 新 たに 栄 養 として 使 うことのできる 形 にします また 壊 れてしまった 細 胞 小 器 官 は リソソームが 分 解 しま す このように リソソームはリサイクル 工 場 です エネルギー 通 貨 の 生 産 ミトコンドリア 細 胞 小 器 官 の 生 成 するためには エネルギー 通 貨 ATP が 必 要 です ミトコンドリアで は グルコースの 分 解 の 最 終 段 階 である ATP の 合 成 が 行 われています 細 胞 によっては 一 つの 細 胞 に 百 万 以 上 のミトコンドリアを 含 むものもあります このミトコンドリアは 原 核 生 物 と 同 様 に 環 状 の DNA を 独 自 に 持 っています この 遺 伝 子 は ATP 合 成 の 酵 素 など の 遺 伝 情 報 を 持 っています エネルギー 生 産 工 場 葉 緑 体 植 物 では 葉 緑 体 という 光 合 成 を 行 うための 細 胞 小 器 官 があり 光 合 成 を 行 います これについては ほとんどの 人 がよく 知 っているので 詳 しくは 説 明 しません 植 物 ではこの 他 に 細 胞 内 の 圧 力 の 調 整 などに 使 われる 液 胞 が 発 達 しています 396

細 胞 の 代 謝 と ATP 代 謝 とは 体 外 から 取 り 入 れた 物 質 から 生 体 で 必 要 なエネルギー 源 を 取 り 出 す 化 学 反 応 のことです 体 内 で 好 くに 使 えるエネルギー 通 貨 は ATP です ここではまず ATP が なぜエネルギーを 多 く 含 むのか 考 えてみましょう 有 機 化 学 での 詳 しい 名 前 の 付 け 方 は ほとんどの 人 にとって 学 ぶ 必 要 はありません で もアデノシン 三 リン 酸 (adenosin triphosphate,atp) は リン 酸 が3つついた 形 をし ています 水 中 ではイオン 化 して 電 荷 はマイナス4のイオンとなっています つまり ATP 内 部 のリン 酸 はどれも 電 気 的 な 力 でお 互 いに 反 発 しあっており 中 間 に 位 置 する 酸 素 は 互 いに 反 発 するリン 酸 イオンを 必 死 に 結 びつけています そのため 内 部 の 酸 素 に よる 結 合 をきると お 互 いにクーロン 力 による 反 発 力 で 飛 んでいってしまいます このと きにエネルギーを 放 出 するわけです 特 に 一 個 のリン 酸 を 離 したときには お 互 いに 電 荷 がマイナス2 同 士 であるた め クーロン 力 による 反 発 は 大 きくなりますね ATP か ら リ ン 酸 が 一 つ 離 れて リン 酸 の 数 が 二 つ に な っ た も の を ア デ ノ シ ン 二 リ ン 酸 (Adenosine diphosphate, ADP)と 言 い ます エネルギーの 消 費 は ATP から ADP にするプロセス で す が ADP か ら ATP ATP の 構 造 リン 酸 同 士 がイオン 化 して 反 発 しあっている にするには エネルギーが 必 要 なのです 代 謝 のほとんどは この ATP をどのようなプロセスで 作 るかというプロ セスなのです 397

代 謝 のしくみ ATP は 私 たちの 体 でも 一 分 間 に 数 百 万 個 作 られています これにより この 本 を 読 み 考 えたりもしているのです 通 常 細 胞 では ATP の 生 産 がなしの 状 態 では 活 動 はわず か1 分 程 度 しか 持 ちません このため ATP の 生 産 過 程 は 非 常 に 素 早 く 行 われる 必 要 が あります そのためにまず 考 える 必 要 があるのは 通 常 の 代 謝 において 私 たちのエネルギー の 元 となるグルコースはどこで 生 成 されるのかということです グルコースは 主 に 光 合 成 によって 炭 水 化 物 として 作 られます 動 物 や 菌 類 古 細 菌 な どはそれを 食 べることによって 炭 水 化 物 を 得 ています 動 植 物 はグルコースを 脂 肪 として 蓄 えたりもします 炭 水 化 物 や 脂 肪 は お 金 にたとえれば 銀 行 に 預 けてある 貯 金 のよ うなものです それに 対 して ATP は 現 金 です 現 金 であるグルコースはデンプンなど 炭 水 化 物 などの 貯 金 から 得 られるのです 細 胞 内 の 代 謝 は 次 の3つのステップで 行 われます 1. 解 糖 系 まず 解 糖 系 という 代 謝 の 過 程 があります ここでは グルコースが3つの 炭 素 から なる 化 学 物 質 ピルビン 酸 に 分 解 されます ここで ATP と NAD と 呼 ばれる 物 質 を 還 元 し NADH と 呼 ばれる 物 質 にします この NADH は 他 の 分 子 にすぐ 電 子 を 手 渡 そうとする 物 質 です これまでの 過 程 で 特 徴 的 なのは 外 部 からの 酸 素 が 全 く 使 われていないことです 2.クエン 酸 回 路 次 に クエン 酸 回 路 と 呼 ばれる 経 路 を 利 用 します 酸 素 が 利 用 できる 環 境 では ピルビ ン 酸 からアセチル CoA という 化 合 物 が 作 られた 後 アセチル CoA が 酸 化 され 二 酸 化 炭 素 が 作 られます この 過 程 で ATP が 合 成 されると 共 に NAD+ と FAD+ と 呼 ばれ る 物 質 が 還 元 され NADH,FADH2 が 作 られます オキサロ 酢 酸 という 物 質 がアセチル CoA によりクエン 酸 となり 様 々な 酵 素 により 反 応 を 繰 り 返 した 後 ふたたびオキサロ 酢 酸 になることから 回 路 の 名 称 がついています グルコース1つを 処 理 するの に 解 糖 系 で ATP を2 個 消 費 し 4 個 放 出 します そしてクエン 酸 回 路 では ATP を2 個 しか 生 成 しません このため これら の 代 謝 では 肝 心 の ATP はわず かに4 個 しか 作 られていません 必 要 なエネルギーのほとんどは 還 元 された 物 質 として 蓄 えられ ているのです Ribo ADP Ribo ADP N N H O NH 2 NAD + H + 2e 398 H H NADH O NH 2

3. 電 子 伝 達 系 グ ル コ ー ス の 分 解 反 応 は C6H12O6+6O2 6CO2+6H2O + エ ネルギー ですので ここまででは 酸 素 と 結 合 するた めの 様 々な 還 元 された 物 質 が 登 場 してきまし た そして これまでのステップで 還 元 され た 化 合 物 が 酸 化 され そのときに ATP が 作 られるのがこの 電 子 伝 達 系 です 還 元 によっ て 蓄 えられた 電 子 により ADP とリン 酸 から ATP を 合 成 します この 余 った 電 子 が 伝 達 するときに 水 素 イオンの 濃 度 勾 配 を 作 り 出 し それにより ATP を 作 り 出 す ATP 合 成 酵 素 のエネルギー 源 とします このためこ の 過 程 を 電 子 伝 達 系 と 言 います 電 子 伝 達 系 の 代 謝 は 水 素 イオンをためる 場 所 が 必 要 な ため ミトコンドリアの 中 で 行 われます 電 子 伝 達 系 でおこっていることはたとえていうなら 電 気 によるポンプで 水 をくみ 上 げ それによって 水 車 を 回 すことです 電 子 伝 達 系 で 生 成 される ATP は グルコース1つあ たり 34 個 にもおよび 全 体 でグルコース1つにつき38 個 の ATP が 生 成 されるのです 代 謝 で 起 こっていること 細 胞 の 代 謝 では グルコース1つの 分 解 で 38 個 の ATP を 生 産 します これは グルコー スを 2 酸 化 炭 素 と 水 とにするときのエネルギーの 約 40パーセントに 相 当 するエネルギー です 残 りは 熱 となりますが 車 の 燃 焼 の 効 率 が30パーセント 前 後 ということに 比 べて 非 常 に 良 い 効 率 です 代 謝 では グルコースと 酸 素 を 一 気 に 二 酸 化 炭 素 と 水 にするよりも 遙 かに 高 いエネルギーを 利 用 できたことになります 代 謝 が 非 常 に 多 くの 化 学 変 化 を 含 む のも 高 効 率 でエネルギーを 取 り 出 すためなのです また 生 物 は 熱 を 生 体 の 温 度 維 持 に も 使 うことができるので あながち 放 出 される 熱 が 無 駄 になっているわけではありません ね それでは 生 命 はなぜグルコースのエネルギーをそのまま 利 用 しないのでしょうか? 言 ってみればグルコースが1 万 円 札 だとすれば ATP は100 円 玉 です 私 たちの 暮 ら しで 一 万 円 札 だけでは 不 便 で もっと 小 さい 単 位 の 通 貨 が 必 要 ですね それと 同 様 なこと が 生 物 のエネルギーについても 言 えるでしょう エネルギーの 使 用 に 際 して 適 度 なエネ ルギーで 使 いやすい 形 のものであるほうが 有 利 です 生 物 は グルコースを 燃 やしたとき のエネルギーを38 個 に 分 解 して 蓄 えており ATP は 生 体 内 で 通 貨 として 使 用 するに は 都 合 がよいのです また グルコースそのものをほとんどの 生 物 が 利 用 している 理 由 は 生 命 が 起 こった 初 期 にこの 利 用 が 始 まったからだと 考 えられています それでは 果 たしてグルコースでな く 他 の 物 質 でも 良 かったのかについては 他 の 生 物 が 存 在 しないので 実 証 できません 399

発 酵 とは? 生 体 内 では クエン 酸 回 路 や 電 子 伝 達 系 において 酸 素 を 利 用 します 酸 素 の 補 給 が 間 に 合 わなかったりす る 状 況 では それらの 代 謝 に 変 わって 発 酵 という 酸 素 を 利 用 しない 代 謝 で 急 場 をしのぎます たとえば 長 距 離 を 走 るときには 肺 からの 酸 素 が 筋 肉 細 胞 に 補 給 されにくくなります そのとき 電 子 伝 達 系 は 働 かな くなりますので 発 酵 がおこります 人 間 ではこの 発 酵 により 乳 酸 が 作 られるので 乳 酸 発 酵 と 言 います また 菌 の 中 には 発 酵 によりアルコールを 造 るもの があります 密 閉 した 中 で それらの 菌 が 増 えると すぐに 酸 素 を 使 い 果 たし その 後 発 酵 によりエチルア ルコールを 作 るのです アルコール 発 酵 は 人 類 にとって 必 須 の 代 謝 である タンパク 質 と 脂 肪 の 代 謝 炭 水 化 物 だけが 代 謝 の 元 となるわけではありません たとえば 脂 肪 分 にはもっとたく さんのエネルギーが 蓄 えられています 脂 肪 分 は 細 胞 内 で 分 解 され グリセロールと 脂 肪 酸 に 分 解 されます そして グリセロールは 解 糖 系 で 用 いられ 脂 肪 酸 は クエン 酸 回 路 で 用 いられます また タンパク 質 もエネルギー 源 として 用 いられます タンパク 質 はアミノ 酸 に 分 解 さ れた 後 アンモニアとピルビン 酸 になり ピルビン 酸 がクエン 酸 回 路 で 使 われるのです このように 生 物 は 様 々なものをエネルギー 源 として 用 いるのです ダイエットのとき 食 事 制 限 のみでやせると 脂 肪 だけでなく 筋 肉 のタンパク 質 が 代 謝 として 使 われます このため ATP の 消 費 量 の 激 しい 筋 肉 細 胞 が 減 少 するので 元 々 細 胞 維 持 に 必 要 なエネルギーが 少 ない 体 になってしまいます そこで 食 事 制 限 をやめ 以 前 の 食 生 活 に 戻 ると 今 度 は 以 前 よりも 多 くなった 余 分 のエネルギーは 脂 肪 として 蓄 え られやすくなります また 多 くの 脂 肪 細 胞 は 食 欲 を 引 き 出 す 信 号 を 発 してより 食 欲 が 増 加 し さらに 肥 満 となっていきます このため 食 事 制 限 をすると 返 って 肥 満 となること になります これをリバウンドと 言 います このため 長 期 的 なダイエットのためには 食 事 制 限 をすると 共 に 適 度 な 運 動 をして 筋 肉 をおとさないようにする 必 要 があります 運 動 抜 きのダイエットに 挑 戦 した 多 くの 人 は リバウンドを 経 験 していますので 気 をつけ ましょう 人 間 は ほとんどの 製 品 にエネルギー 効 率 の 良 さを 求 めているのに 人 間 自 身 に 対 してはエネルギー 効 率 が 悪 い 方 がいいというのは 皮 肉 なことですね 400

光 合 成 とは? 今 から30 億 年 ほど 前 に 光 合 成 が 始 まりました 光 を 吸 収 する 分 子 と 酵 素 が 共 同 作 業 して 二 酸 化 炭 素 と 水 に 光 のエネルギーにより 炭 水 化 物 と 酸 素 を 合 成 したのです この 光 合 成 の 登 場 は 大 気 中 の 二 酸 化 炭 素 濃 度 を 減 らし 酸 素 濃 度 を 劇 的 に 増 やすな ど 地 球 の 発 展 に 大 きな 影 響 を 与 えました グルコースを 作 るときの 反 応 は 6CO 2 +12H 2 O + 光 のエネルギー C 6 H 12 O 6 +6O 2 +6H 2 O となり 代 謝 の 逆 の 反 応 をするのです つまり 生 物 全 体 の 代 謝 とは 結 局 植 物 を 媒 介 とし て 太 陽 のエネルギーを 生 物 の 生 命 維 持 のエネルギーに 変 えることだとも 言 えます 光 の 吸 収 は? 光 の 吸 収 は 主 にクロロフィルという 物 質 によって 行 われます これは 青 と 赤 の 光 を 吸 収 し 緑 色 を 反 射 または 透 過 させます またもう 一 つの 色 素 カロチノイドが 青 と 緑 の 色 に 相 当 する 光 を 吸 収 します クロロフィルとカロチノイドにはそれぞれ 数 種 類 存 在 します そのため 全 体 としては 光 合 成 に 使 う 光 の 領 域 は 多 くなっています 広 葉 樹 では 秋 に なって 葉 っぱが 枯 れると まずクロロフィルが 分 解 されます その 後 に 黄 色 や 赤 の 色 が 残 りますが それがさまざまな 種 類 のカロチノイドの 色 なのです このように 紅 葉 の 色 はカ ロチノイドの 色 なのです またカロチノイドは 紫 外 線 などを 吸 収 し クロロフィルを 危 険 な 紫 外 線 から 守 る 役 割 をしています 光 合 成 で 行 われているのは? 光 合 成 で 行 われていることは 詳 しく 話 せば 代 謝 同 様 非 常 に 複 雑 な 構 造 をしています しかし おおむね 代 謝 の 逆 だと 思 っていいでしょう まず 光 のエネルギーにより 電 子 を 取 り 出 し 電 子 伝 達 系 で ATP や NADH などを 作 ります これを 酸 化 すると ATP が 生 成 されます また 生 成 された NADH や ATP を 利 用 して クエン 酸 回 路 を 逆 に 回 し て クエン 酸 を 合 成 し そこからグルコースを 作 るのです クエン 酸 回 路 の 逆 の 回 路 を 発 見 者 の 名 前 を 取 ってカルビン 回 路 (カルビンサイクル)と 言 います なぜ 生 成 物 がグルコースのような 炭 化 水 素 が 基 本 にな るのか 考 えてみましょう それは 光 合 成 では 空 気 中 の 二 酸 化 炭 素 などを 還 元 してエネルギーを 蓄 えることに 関 H 2 O O 2 係 しています 還 元 すると 炭 素 は 電 子 を 受 け 取 るのと 同 時 に 水 素 を 受 け 取 ります そのため C-H 結 合 が 基 本 となる 分 子 が 生 成 されていくのです このため 炭 化 水 素 が 作 られていくのです CO 2 おそらく 専 門 的 に 使 う 人 以 外 にはこれ 以 上 のことは 知 る 必 要 はありません 最 も 重 要 なことは 生 物 の 活 動 が 化 学 反 応 の 集 まりであり 光 合 成 と 代 謝 により 太 陽 の 光 のエネルギーが 私 たちのエネルギーの 源 であることを 認 識 することでしょう 401 ATP NADPH + NADP ADP + Pi

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