超高齢社会に向けた家計金融資産運用

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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

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連結計算書

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

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18 国立高等専門学校機構

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

スライド 1

16 日本学生支援機構

第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期


小山市保育所整備計画

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職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

公表表紙

Q IFRSの特徴について教えてください

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

第316回取締役会議案

別紙3

科 売 上 原 価 売 上 総 利 益 損 益 計 算 書 ( 自 平 成 26 年 4 月 1 日 至 平 成 27 年 3 月 31 日 ) 目 売 上 高 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 営 業 利 益 営 業 外 収 益 受 取 保 険 金 受 取 支 援 金 補 助 金 収 入 保

波佐見町の給与・定員管理等について

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

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Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

(1) 貸 借 対 照 表 ( 平 成 26 年 11 月 30 日 現 在 ) ( 単 位 : 千 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 4,623,985 流 動 負 債 3,859,994 現 金 及 び 預 金 31,763 支 払 手 形

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3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

平成29年2月期 第2四半期決算短信

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の


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就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

平成24年度 業務概況書

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している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

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平成16年度

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職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

建設特別・資産運用の基本方針

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1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

Q7 従 業 員 に 対 する 現 物 給 付 は 報 酬 給 与 額 に 含 まれます A7 法 人 が 役 員 又 は 使 用 人 のために 給 付 する 金 銭 以 外 の 物 又 は 権 利 その 他 経 済 的 利 益 (いわ ゆる 現 物 給 与 )については 所 得 税 において 給

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

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6-1 第 6 章 ストック オプション 会 計 設 例 1 基 本 的 処 理 Check! 1. 費 用 の 計 上 ( 1 年 度 ) 2. 費 用 の 計 上 ( 2 年 度 )- 権 利 不 確 定 による 失 効 見 積 数 の 変 動 - 3. 費 用 の 計 上 ( 3 年 度 )-

第4回税制調査会 総4-1

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

1. 本 市 の 保 育 所 運 営 費 と 保 育 料 の 現 状 2 (1) 前 回 (5/29 5/29) 児 童 福 祉 専 門 分 科 会 資 料 国 基 準 に 対 する 本 市 の 保 育 料 階 層 区 分 別 軽 減 率 国 基 準 に 対 する 本 市 の 保 育 料 階 層 区

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

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平成22年度

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

減 少 率 ) と 平 均 余 命 の 伸 びを 勘 案 した 一 定 率 (0.3%) の 合 計 である スライド 調 整 率 を 差 し 引 いて 年 金 額 の 改 定 が 行 われる( 図 表 ) ただし マクロ 経 済 スライドが 完 全 に 実 施 されるのは 賃 金 や 物 価 があ

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(5) 給 与 改 定 の 状 況 事 委 員 会 の 設 置 なし 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 A B A-B ( 改 定 率 ) 給 与 改 定 率 ( 参 考 ) 国 の 改 定 率 24 年 度 円 円 円 円 ( ) 改

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注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

目 次 1 報 酬 給 与 額 事 例 1 報 酬 給 与 額 に 含 める 賞 与 の 金 額 が 誤 っていた 事 例 1 事 例 2 役 員 退 職 金 ( 役 員 退 職 慰 労 金 )を 報 酬 給 与 額 として 申 告 して いなかった 事 例 1 事 例 3 持 株 奨 励 金 を

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

    平成11年度余市町私立幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

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特 集 超 高 齢 日 本 の 再 構 想 中 里 幸 聖 / 佐 川 あぐり/ 中 田 理 惠 要 約 超 高 齢 社 会 となるわが 国 は 家 計 の 金 融 資 産 の 減 少 要 因 を 抱 えている 家 計 の 金 融 資 産 の 減 少 は 最 終 需 要 にマイナス 要 素 であると 同 時 に 実 物 投 資 の 原 資 減 少 という 形 で 生 産 活 動 にもマイナス 要 素 となり 得 る こう した 問 題 認 識 の 下 家 計 の 金 融 資 産 の 現 状 と 将 来 について 世 帯 類 型 の 変 化 を 加 味 して 整 理 し 金 融 資 産 運 用 の 重 要 性 の 提 示 を 試 みた 具 体 的 には 現 役 世 代 の 多 数 派 である 20 代 50 代 が 世 帯 主 である 家 計 について 年 齢 別 世 帯 の 類 型 別 ( 単 身 男 性 単 身 女 性 夫 婦 のみ 親 子 ) に 家 計 収 支 と 金 融 資 産 残 高 を 推 計 し 現 状 踏 襲 シナリオと 積 極 運 用 シナリ オの 二 つのシナリオを 設 定 し 2030 年 の 年 齢 別 世 帯 類 型 別 の 金 融 資 産 残 高 を 試 算 した さらに 2014 年 と 2030 年 の 年 齢 別 世 帯 類 型 別 の 世 帯 数 の 変 化 を 加 味 して 対 象 世 帯 全 体 の 金 融 資 産 残 高 を 試 算 した 今 回 の 積 極 運 用 シナリオは 堅 めの 仮 定 に 基 づいたものであるが シミュ レーションの 結 果 リスク 資 産 の 構 成 比 を 高 めることが 金 融 資 産 増 加 に 有 効 であることを 確 認 できた 1 章 家 計 の 金 融 資 産 の 現 状 2 章 年 齢 世 帯 就 業 者 数 の 今 2030 年 3 章 家 計 の 金 融 資 産 の 将 来 シナリオ おわりに 超 高 齢 化 の 下 での 家 計 の 金 融 資 産 活 用 補 論 シミュレーションに 当 たっての 主 な 仮 定 4 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 1 章 家 計 の 金 融 資 産 の 現 状 1.はじめに 国 民 経 済 計 算 (GDP 統 計 ) ( 内 閣 府 )の 2013 年 度 確 報 によると 家 計 の 純 貯 蓄 が 2013 年 に 初 めてマイナスに 転 じた この 傾 向 が 今 後 と も 続 くのかは 注 目 していきたいが 純 貯 蓄 がマイ ナスとなっても 金 融 資 産 の 運 用 によって 金 融 資 産 を 増 加 させることは 可 能 である 一 般 的 に 高 齢 者 は 収 入 が 減 少 する 一 方 で 一 定 程 度 の 支 出 は 必 要 であり さらに 医 療 費 などの 支 出 増 加 要 素 もある そのため 年 金 などの 収 入 で 足 りない 分 は 貯 蓄 (= 金 融 資 産 )を 取 り 崩 して 支 出 に 充 てると 考 えられる 従 って 高 齢 化 の 進 展 は 基 本 的 に 貯 蓄 率 にマイナス 要 素 と 考 えられて いる 超 高 齢 社 会 となるわが 国 は 家 計 の 金 融 資 産 の 減 少 要 因 を 抱 えていると 言 える 家 計 の 金 融 資 産 の 減 少 は 最 終 需 要 にマイナス 要 素 であると 同 時 に 実 物 投 資 の 原 資 減 少 という 形 で 生 産 活 動 に もマイナス 要 素 となり 得 る 本 稿 では こうした 問 題 認 識 の 下 家 計 の 金 融 資 産 の 現 状 と 将 来 につ いて 世 帯 類 型 の 変 化 を 加 味 して 整 理 し 金 融 資 産 運 用 の 重 要 性 の 提 示 を 試 みる 2.ミクロの 視 点 から 見 た 家 計 金 融 資 産 家 計 の 金 融 資 産 について 総 務 省 全 国 消 費 実 態 調 査 家 計 調 査 のデータより 保 有 状 況 を 確 認 する 1)2014 年 家 計 金 融 資 産 は 約 1,800 万 円 家 計 調 査 (2014 年 調 査 ) によると 二 人 以 上 の 世 帯 における1 世 帯 当 たり 金 融 資 産 ( 家 計 調 査 では 貯 蓄 現 在 高 と 表 記 )は 平 均 値 1,798 万 円 で 前 年 に 比 べ 3.4%の 増 加 となった 資 産 の 内 訳 は 1 預 貯 金 1,138 万 円 (63.3%) 株 式 株 式 投 信 ( 以 下 株 式 )175 万 円 (9.7%) 債 券 公 社 債 投 信 ( 以 下 債 券 )64 万 円 (3.6%) その 他 ( 生 命 保 険 など)421 万 円 (23.4%)と なり リスク 性 資 産 ( 株 式 債 券 )の 保 有 比 率 は 13.3%であった( 図 表 1-1) 1) 金 融 資 産 ( 貯 蓄 現 在 高 )の 内 訳 については 家 計 調 査 ( 用 語 の 解 説 ) を 参 照 し 預 貯 金 株 式 株 式 投 信 債 券 公 社 債 投 信 その 他 の4つに 分 類 した うち 預 貯 金 は 通 貨 性 預 貯 金 定 期 性 預 貯 金 の 合 計 とした その 他 は 生 命 保 険 損 害 保 険 貸 付 信 託 金 銭 信 託 社 内 預 金 などを 含 む 5

2) 過 去 の 推 移 1979 年 から 2004 年 まで 10 15%での 推 移 が 続 いているといえる 増 加 その 後 は 横 ばい 過 去 の 推 移 を 図 表 1-2 で 確 認 する 全 国 消 費 3) 二 人 以 上 の 世 帯 における 状 況 実 態 調 査 によると( 図 表 左 ) 1 世 帯 当 たりの (1) 年 齢 別 の 状 況 40 代 以 下 と 50 代 以 上 で 金 融 資 産 は 1979 年 から 2004 年 まで 増 加 してい 資 産 格 差 が 大 きい たが 2009 年 には 前 回 調 査 比 で 2.2% 減 少 した 二 人 以 上 の 世 帯 における 世 帯 主 の 年 齢 別 に 見 た これは 調 査 開 始 (1966 年 ) 以 来 初 めての 減 金 融 資 産 の 状 況 を 図 表 1-3 に 示 した 年 齢 が 上 が 少 となった るごとに 金 融 資 産 は 増 えており 60 歳 以 上 の 世 2004 年 以 降 の 推 移 を 家 計 調 査 から 確 認 す 帯 においては 2,000 万 円 程 度 の 金 融 資 産 を 保 有 ると( 図 表 右 ) 2004 年 から 09 年 は 全 国 消 費 し その 割 合 は 家 計 金 融 資 産 全 体 の 約 6 割 にも 及 実 態 調 査 同 様 に 減 少 したが それ 以 降 は 1,600 ぶ さらに リスク 性 資 産 については 家 計 全 体 万 円 1,700 万 円 台 で 横 ばいの 状 況 が 続 いてい に 占 める 保 有 割 合 が7 割 近 くとなり 高 齢 世 帯 に る 金 融 資 産 が 偏 在 していることが 分 かる リスク 性 資 産 については 金 融 資 産 全 体 に 占 め 年 齢 別 に 見 た 金 融 資 産 残 高 の 推 移 を 見 ると る 割 合 を 折 れ 線 グラフで 示 した 1989 年 に 20% 1999 年 以 降 40 代 以 下 の 世 帯 では 金 融 資 産 の と 保 有 割 合 が 高 まったが これは 株 価 上 昇 に 伴 う 減 少 が 進 んでいる さらに 金 融 資 産 から 負 債 を 評 価 額 増 加 の 影 響 が 大 きいためであり その 影 響 引 いた 純 貯 蓄 で 見 ると 30 代 では 1999 年 以 降 を 考 慮 すれば リスク 性 資 産 については 過 去 から 20 代 では 2004 年 以 降 マイナスの 状 況 が 続 き 6 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 40 代 ではプラスを 保 っているものの 大 きく 減 少 している( 図 表 1-4) 一 方 で 50 代 60 代 に と 50 代 以 上 の 間 で 資 産 格 差 が 拡 大 しているよ うだ ついては 純 貯 蓄 はやや 減 少 しているが ほぼ 横 ばいの 状 況 である 約 20 年 の 間 に 40 代 以 下 7

(2) 夫 婦 世 帯 と 親 子 世 帯 の 比 較 負 債 額 の 差 により 資 産 格 差 が 生 じる 二 人 以 上 の 世 帯 を 夫 婦 のみ 世 帯 と 親 子 世 帯 2 に 分 けて 年 齢 別 で 金 融 資 産 と 負 債 の 状 況 を 確 認 し た( 図 表 1-5) 夫 婦 のみ 世 帯 では 20 代 で 純 貯 蓄 ( 金 融 資 産 - 負 債 )がマイナスとなっているが その 後 は 解 消 され 50 代 では 金 融 資 産 に 対 する 負 債 の 割 合 が 34% 程 度 まで 低 下 している これに 対 して 親 子 世 帯 では 20 代 から 40 代 まで 純 貯 蓄 がマ イナスの 状 況 が 続 き 50 代 で 負 債 額 は 減 少 する ものの 金 融 資 産 に 対 する 負 債 の 割 合 は 66%と 夫 婦 のみ 世 帯 の2 倍 近 くとなっている 家 計 における 負 債 の 多 くは 住 宅 ローン( 住 宅 ム 志 向 が 高 く 3 住 宅 宅 地 資 産 を 所 有 する 世 帯 は 82.1%( 全 国 消 費 実 態 調 査 (2009 年 調 査 ) より 二 人 以 上 の 世 帯 )である また 借 入 をし ている 世 帯 の 借 入 目 的 の 65% 強 は 住 宅 ローンで ある 4 特 に 親 子 世 帯 では 家 族 の 人 数 も 多 いため 夫 婦 のみ 世 帯 よりも 多 額 の 住 宅 ローン 負 債 を 抱 え る 世 帯 も 多 いと 思 われる 実 際 に 持 ち 家 を 保 有 する 世 帯 で 住 宅 ローンがない 世 帯 の 金 融 資 産 は 2,109 万 円 (1 世 帯 当 たり) 住 宅 ローンがある 世 帯 は 984 万 円 ( 同 )となっている( 全 国 消 費 実 態 調 査 (2009 年 調 査 ) より 二 人 以 上 の 世 帯 ) 年 齢 別 では 30 代 40 代 の 返 済 負 担 が 最 も 大 き いため 親 子 世 帯 ではリスク 性 資 産 の 保 有 比 率 が 上 がっていないのだろう 土 地 のための 負 債 )である わが 国 ではマイホー 2) 親 子 世 帯 の 金 融 資 産 については 年 齢 別 データが 得 られなかったため 子 供 の 人 数 と 就 学 状 態 で 分 類 された 世 帯 ごとの 世 帯 主 平 均 年 齢 から 集 計 し 年 齢 別 データとした データが 得 られなかった 20 代 については 親 子 世 帯 30 代 の 各 金 融 資 産 データと 単 身 男 性 20 代 30 代 の 金 融 資 産 の 比 率 から 推 計 し 20 代 データとした 3) 保 志 泰 矢 作 大 祐 アベノミクスと 家 計 資 産 ( 大 和 総 研 調 査 季 報 2013 年 夏 季 号 (Vol.11))を 参 照 4) 金 融 広 報 中 央 委 員 会 家 計 の 金 融 行 動 に 関 する 世 論 調 査 [ 二 人 以 上 世 帯 調 査 ] (2014 年 )を 参 照 8 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 4) 単 身 世 帯 における 状 況 女 性 はリスク 性 資 産 の 保 有 比 率 が 低 い 傾 向 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 ( 以 下 社 人 研 ) によれば 2030 年 に 単 身 世 帯 の 世 帯 数 が 2014 年 に 比 べて 約 126 万 世 帯 増 加 すると 推 計 されて おり 単 身 世 帯 における 金 融 資 産 の 保 有 状 況 につ いても 確 認 が 必 要 だろう 男 女 別 および 年 齢 別 に 見 た 金 融 資 産 の 保 有 状 況 を 図 表 1-6 に 示 した 男 女 ともに 年 齢 が 上 がるごとに 金 融 資 産 は 増 え 資 産 残 高 も 男 女 で 大 きな 差 はないが リスク 性 資 産 の 保 有 割 合 は 同 水 準 となる 50 代 以 外 は 女 性 の 方 が 低 い これは 単 身 女 性 の 可 処 分 所 得 5 が 男 性 に 比 べて 低 いことが 一 因 と 考 えられる 男 女 の 可 処 分 所 得 を 年 齢 別 に 見 ると 男 性 は 年 齢 と 共 に 増 えていくのに 対 し 女 性 は 20 代 では 男 性 と 同 水 準 であるが 30 代 から 50 代 では 増 えていな いのが 現 状 だ 今 後 アベノミクスの 成 長 戦 略 の 重 要 課 題 である 女 性 の 社 会 進 出 が 順 調 に 進 み 女 性 の 実 収 入 が 増 え 可 処 分 所 得 も 男 性 の 水 準 に 近 づいていくようになれば リスク 性 資 産 の 保 有 割 合 を 高 める 可 能 性 は 高 いと 思 われる 2 章 年 齢 世 帯 就 業 者 数 の 今 2030 年 本 章 では 超 高 齢 社 会 における 家 計 の 金 融 資 産 運 用 を 考 えるに 当 たり 前 提 となる 年 齢 構 成 世 帯 構 成 就 業 者 数 の 1990 年 から 2030 年 までの 動 向 を 捉 える 1. 年 齢 別 人 口 の 現 在 と 将 来 図 表 2-1 は 年 齢 別 人 口 の 1990 年 から 2014 年 までの 実 績 値 と 社 人 研 より 公 表 された 2020 年 2025 年 2030 年 における 予 測 値 を 示 したもの である わが 国 の 総 人 口 は 2000 年 代 後 半 以 降 減 5) 可 処 分 所 得 のデータについては 単 身 世 帯 のうち 勤 労 者 世 帯 を 対 象 としている なお 本 稿 シミュレーションの 基 本 データとなる 可 処 分 所 得 消 費 支 出 住 宅 ローン 返 済 額 についても 勤 労 者 世 帯 を 対 象 とした 9

少 傾 向 にあり 今 後 も 減 少 が 続 くと 見 込 まれてい る 平 均 寿 命 の 長 期 化 出 生 数 の 減 少 を 背 景 とし た 高 齢 化 も 進 行 していくことが 予 測 されており 2030 年 時 点 では 総 人 口 のうち 65 歳 以 上 の 割 合 が 32%に 達 するとされている 2. 世 帯 主 の 年 齢 階 層 別 世 帯 類 型 別 世 帯 数 の 現 在 と 将 来 本 シミュレーションでは 各 世 帯 主 年 齢 層 における 世 帯 ごとの 資 産 構 成 の 推 計 値 に 将 来 時 点 での 世 帯 数 を 掛 けて 将 来 の 家 計 金 融 資 産 の 全 体 像 を 求 める 図 表 2-2 は 世 帯 数 を 世 帯 主 の 年 齢 階 層 別 世 帯 類 型 別 に 表 したものである 世 帯 類 型 別 では 単 身 世 帯 が 今 後 も 増 加 することが 見 込 まれる 一 方 で 親 子 世 帯 ( 夫 婦 と 子 の 世 帯 と ひとり 親 と 子 の 世 帯 )は 2030 年 には 現 在 よりも 減 少 していると 予 測 されている また 高 齢 化 の 進 展 とと もに 各 世 帯 類 型 における 世 帯 主 の 年 齢 も 高 齢 層 の 割 合 が 増 加 する 見 込 みである 10 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 図 表 2-3 は 2014 年 時 と 2030 年 時 の 同 年 齢 層 の 各 世 帯 類 型 の 世 帯 数 を 比 較 したものであり 図 表 2-4 はこれを 構 成 比 で 表 したものである 高 齢 化 の 進 展 により 20 代 40 代 の 世 帯 数 総 数 は 減 少 することが 見 込 まれている 一 方 で 各 年 齢 層 における 世 帯 類 型 の 構 成 比 は 30 代 50 代 の 男 女 の 単 身 世 帯 の 割 合 がある 程 度 増 加 するものの 全 体 的 には 大 きく 変 化 しないと 想 定 されている 11

なお 世 帯 類 型 の 変 化 に 関 しては 簡 易 的 に 2014 年 時 と 2030 年 時 の 同 一 のコーホート( 同 期 間 に 出 生 した 集 団 )における 世 帯 類 型 の 構 成 の 変 化 から 求 めている( 図 表 2-5 参 照 ) 例 えば シミュレーションでは 2014 年 時 点 の 20 代 前 半 の 男 性 の 単 身 世 帯 数 と 2030 年 時 点 の 30 代 後 半 の 男 性 の 単 身 世 帯 数 を 比 較 した 際 の 減 少 分 は 婚 姻 したとみなし そのうち8 割 が 親 子 世 帯 2 割 が 夫 婦 のみ 世 帯 となったとして 推 計 している こ の 他 2030 年 時 点 で 50 代 後 半 以 降 の 親 子 世 帯 の 減 少 分 は 子 の 独 立 高 齢 世 代 における 単 身 世 帯 の 増 加 は 死 別 または 離 別 と 仮 定 している 3. 年 齢 別 性 別 就 業 者 数 の 現 在 と 将 来 将 来 の 金 融 資 産 を 推 計 するに 当 たって 本 来 は 就 業 から 得 られる 所 得 も 考 慮 すべきであり 将 来 時 点 の 就 業 者 数 および 就 業 率 も 把 握 する 必 要 があ ろう 図 表 2-6 と 図 表 2-7 は 1990 年 2000 年 2014 年 2030 年 時 点 での 各 年 齢 層 における 男 女 の 就 業 率 を 図 表 2-8 と 図 表 2-9 は 就 業 者 数 を 示 している 2030 年 - Aはゼロ 成 長 労 働 参 加 現 状 シナリオにおける 2030 年 時 点 での 値 を 2030 年 - Bは 経 済 再 生 労 働 参 加 進 展 シナリオ における 2030 年 時 点 での 値 を 示 している これまで 男 性 の 就 業 率 はほぼ 同 水 準 で 推 移 し 女 性 は 2000 年 以 降 M 字 カーブの 解 消 が 進 んで きた 2030 年 時 点 での 就 業 率 および 就 業 者 数 は 前 述 の2つのシナリオに 分 かれて 以 下 の 通 り 推 計 されている ゼロ 成 長 労 働 参 加 現 状 シナリオでは 2030 年 における 男 女 の 就 業 率 は 現 状 とほぼ 同 水 準 であることを 想 定 している この 場 合 では 男 女 ともに 2014 年 時 と 比 較 した 就 業 者 数 は 20 代 40 代 の 層 において 減 少 する 一 方 で 50 代 で は 増 加 するが 60 代 の 層 では 現 状 よりも 就 業 者 数 は 減 少 することが 見 込 まれている 経 済 再 生 労 働 参 加 進 展 シナリオでは 特 に 女 性 の 就 業 率 に 関 してはM 字 カーブが 解 消 され 20 代 後 半 から 50 代 までの 女 性 の 就 業 率 が 80%を 上 回 るとしている また 男 女 ともに 60 12 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 代 での 就 業 率 も 上 昇 することが 見 込 まれている この 場 合 現 状 と 比 較 した 男 性 の 就 業 者 数 は 20 代 40 代 において 減 少 する 一 方 で 50 代 以 上 においては 現 状 を 上 回 ることとなる また 女 性 の 就 業 者 数 は 20 代 の 層 では 現 状 と 同 程 度 の 就 業 者 数 の 維 持 が 可 能 であり 30 代 40 代 における 就 業 者 数 は 減 少 するものの 50 代 60 代 の 層 においては 就 業 者 数 が 現 状 を 上 回 ることが 想 定 されている 就 業 率 の 上 昇 は 各 年 齢 層 における 可 処 分 所 得 を 増 加 させるため 保 有 金 融 資 産 残 高 の 増 加 にもつな がりやすい 今 回 の 推 計 では 将 来 時 点 の 金 融 資 13

産 保 有 状 況 を 推 計 するに 当 たり 就 業 率 を 考 慮 する までには 至 っていない しかしながら 本 来 は 就 業 状 況 の 変 化 が 金 融 資 産 保 有 残 高 に 与 える 影 響 を 考 慮 して 推 計 をする 必 要 があるだろう 3 章 家 計 の 金 融 資 産 の 将 来 シナ リオ 1.シミュレーションの 眼 目 と 考 え 方 前 章 まで 記 述 してきた 世 帯 類 型 別 に 見 た 家 計 金 融 資 産 の 状 況 世 帯 類 型 別 世 帯 数 の 現 在 と 将 来 推 計 を 基 に 本 章 では 15 年 後 (2030 年 )の 家 計 金 融 資 産 をシミュレーションした 結 果 を 提 示 す る シミュレーションの 眼 目 は リスク 資 産 の 構 成 比 を 高 めた 場 合 と 現 状 のままにした 場 合 の 比 較 である 世 帯 主 の 年 齢 別 に 単 身 世 帯 夫 婦 のみ 世 帯 親 子 世 帯 といった 世 帯 類 型 について 現 状 の 金 融 資 産 に 新 たな 金 融 資 産 を 積 み 上 げていく 形 で 6 2030 年 の 金 融 資 産 をシミュレーションした 新 たな 金 融 資 産 の 積 み 上 げ 額 については 大 和 総 研 の 予 測 を 参 考 にして 可 処 分 所 得 と 消 費 支 出 を 算 出 し 7 その 差 額 からローン 返 済 を 差 し 引 いた 額 を 純 貯 蓄 として 積 み 上 げ 額 とした 新 たな 金 融 資 産 の 積 み 上 げ 額 について 2014 年 の 各 世 帯 類 型 の 金 融 資 産 構 成 比 で 資 産 配 分 したものを 現 状 踏 襲 シナリオ 米 欧 の 家 計 金 融 資 産 構 成 比 を 参 考 に 資 産 配 分 比 を 設 定 したものを 積 極 運 用 シナリオ としている 8 積 極 運 用 シナリオと 現 状 踏 襲 シナ リオの 主 な 差 異 は 株 式 ( 株 式 投 信 含 む 以 下 同 じ) 運 用 を 増 やすか 否 かである 純 貯 蓄 がマイナスの 場 合 は 預 貯 金 を 取 り 崩 し て 対 応 し 株 式 や 債 券 の 売 却 は 行 わないという 仮 定 にしている つまり 既 存 資 産 のリバランスは しない 前 提 としている こうして 算 出 した 2030 年 の 年 齢 別 世 帯 類 型 別 の 金 融 資 産 額 に 社 人 研 の 日 本 の 世 帯 数 の 将 来 推 計 ( 全 国 推 計 ) (2013( 平 成 25) 年 1 月 推 計 )の 該 当 世 帯 数 を 掛 けて 全 体 額 を 算 出 した シミュレーションの 対 象 は 現 役 世 代 の 多 数 派 と 考 えられる 20 代 50 代 とした 1 章 で 見 たよ うに 金 融 資 産 は 高 齢 世 代 に 偏 在 している 傾 向 が ある 超 高 齢 社 会 において わが 国 が 経 済 活 力 を 維 持 していくためには 現 状 で 高 齢 世 代 に 偏 在 し ている 金 融 資 産 を 有 効 活 用 していくことが 重 要 で ある そのためには 高 齢 世 代 から 若 年 世 代 への 資 産 移 転 や 高 齢 世 代 自 体 が 積 極 的 に 運 用 する 姿 勢 を 高 めることなどが 課 題 となろう その 場 合 相 続 や 贈 与 に 関 する 税 制 リスク 資 産 運 用 に 関 する 税 優 遇 や 投 資 知 識 の 普 及 などが 求 められ それだ けで 大 きなテーマである しかし 本 稿 では 現 在 の 現 役 世 代 が 年 齢 を 重 ねていく 中 で 日 々の 経 済 活 動 にいそしむだけでなく 金 融 資 産 の 運 用 に も 目 を 向 けることが 望 ましいという 観 点 から シ 6) 全 国 消 費 実 態 調 査 (5 年 ごとに 実 施 )の 最 新 調 査 結 果 である 2014 年 の 数 値 は 本 稿 執 筆 時 点 では 未 公 表 であっ たため 1999 年 2004 年 2009 年 の 数 値 と 家 計 調 査 の 数 値 を 基 に 2014 年 の 家 計 の 収 支 金 融 資 産 残 高 を 推 計 した 7)2024 年 以 前 は 大 和 総 研 経 済 調 査 部 日 本 経 済 中 期 予 測 (2015 年 2 月 )-デフレ 脱 却 と 財 政 再 建 時 間 との 戦 い- ( 大 和 総 研 リサーチレポート 2015 年 2 月 3 日 ) 2025 年 以 降 は 大 和 総 研 理 事 長 武 藤 敏 郎 監 修 大 和 総 研 調 査 本 部 超 高 齢 日 本 の 30 年 展 望 持 続 可 能 な 社 会 保 障 システムを 目 指 し 挑 戦 する 日 本 - 未 来 への 責 任 ( 大 和 総 研 リサーチレポート 2013 年 5 月 14 日 )の 数 値 を 参 考 としている 8) 日 本 銀 行 資 金 循 環 の 日 米 欧 比 較 (2015 年 3 月 23 日 )によると 家 計 の 資 産 構 成 のうち 現 金 預 金 は 日 本 52.5%に 対 し 米 国 13.4% ユーロエリア 34.9% 株 式 出 資 金 は 日 本 9.5%に 対 し 米 国 33.4% ユーロエリア 17.5% 投 資 信 託 は 日 本 5.5%に 対 し 米 国 13.1% ユーロエリア 7.5%である 14 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 ミュレーションを 実 施 した なお シミュレーションに 当 たっての 主 な 仮 定 は 本 稿 末 尾 の 補 論 にまとめた また 金 融 資 産 や 世 帯 数 などの 現 在 の 数 値 は 2014 年 時 点 の ものを 用 いているが 単 純 化 のため 2014 年 の 15 年 後 を 2030 年 時 点 での 年 齢 として 記 述 して いる 2. 世 帯 類 型 別 に 見 た 家 計 金 融 資 産 の 将 来 シナリオ ここでは 年 齢 別 に 世 帯 ごとの 金 融 資 産 の 現 状 と 将 来 シナリオについて 記 述 する 図 表 3-1 は 年 齢 別 世 帯 類 型 別 の 世 帯 ごとの 金 融 資 産 残 高 の 現 状 と 2030 年 の 試 算 金 額 図 表 3-2 は 世 帯 ごとの 金 融 資 産 残 高 の 構 成 比 である また 図 表 3-3 図 表 3-6 は 各 年 齢 層 の 世 帯 類 型 別 の 2014 年 の 金 融 資 産 残 高 積 極 運 用 シナリオの 2030 年 の 金 融 資 産 残 高 積 極 運 用 シナリオと 現 状 踏 襲 シナリオ の 2030 年 の 金 融 資 産 残 高 の 差 額 をグラフ 化 した ものである 1) 現 在 20 代 の 将 来 シナリオ 現 在 20 代 の 世 代 は 2030 年 には 30 代 後 半 40 代 となる 厚 生 労 働 省 人 口 動 態 統 計 によると 2014 年 の 平 均 初 婚 年 齢 は 男 性 が31.1 歳 女 性 が 29.4 歳 である また 第 1 子 出 生 の 母 親 の 平 均 年 齢 は 30.6 歳 である これらの 平 均 値 から 推 測 するならば 現 在 20 代 の 世 代 は 2030 年 まで の 間 に 結 婚 や 出 産 などのイベントを 経 験 する 可 能 性 が 高 い 世 代 と 言 える そのため 本 シミュレーションでは 20 代 の 単 身 世 帯 が 夫 婦 のみ 世 帯 や 親 子 世 帯 になる ある いは 夫 婦 のみ 世 帯 が 親 子 世 帯 になる ということ もシナリオに 入 れて 将 来 の 金 融 資 産 を 計 算 して いる なお 20 代 では 学 校 在 籍 や 親 元 から 通 勤 しているなどの 人 も 多 いと 思 われ この 年 齢 層 の 将 来 の 世 帯 類 型 別 世 帯 数 の 変 化 を 計 算 する 際 に そうした 点 も 考 慮 して 試 算 を 行 っている 2014 年 時 点 での 20 代 の 金 融 資 産 残 高 は 夫 婦 のみが 一 番 多 く 353 万 円 であり 次 いで 親 子 が 252 万 円 単 身 女 性 が 209 万 円 単 身 男 性 が 186 万 円 と 推 計 される どの 世 帯 類 型 も 預 貯 金 の 構 成 比 が 最 も 高 く 親 子 56.4% 夫 婦 のみ 77.1% 単 身 男 性 76.7% 単 身 女 性 80.7%となっている 親 子 以 外 の 世 帯 類 型 の 預 貯 金 の 構 成 比 が8 割 前 後 であるのに 対 し 親 子 の 構 成 比 が 相 対 的 に 小 さいが 保 険 など が 含 まれる その 他 の 構 成 比 の 違 いによる 部 分 が 大 きい 親 子 世 帯 の その 他 の 構 成 比 が 他 の 世 帯 類 型 よりも 大 きいのは 全 年 齢 共 通 であり 子 供 を 持 つことが 保 険 などに 加 入 あるいは 増 額 する 誘 因 になっていると 推 測 される 一 方 株 式 ( 株 式 投 信 含 む 以 下 同 じ)の 構 成 比 は 2.1%( 単 身 女 性 ) 4.5%( 単 身 男 性 )となっ ており 他 の 年 齢 層 と 比 べて 構 成 比 が 低 くなって いる 若 年 層 がリスク 性 資 産 をあまり 購 入 してい ない 姿 が 浮 かび 上 がるが 若 いうちの 方 が 積 極 的 にリスクを 取 れると 考 えるならば 若 年 層 が 積 極 運 用 するようにすることが 今 後 の 課 題 であろう シミュレーションでは 積 極 運 用 した 場 合 の 金 融 資 産 残 高 は 2030 年 には 夫 婦 のみ 2,296 万 円 親 子 1,191 万 円 単 身 男 性 958 万 円 単 身 女 性 904 万 円 という 試 算 結 果 となった 積 極 運 用 と 現 状 踏 襲 の 差 額 は 夫 婦 のみが 191 万 円 親 子 が 88 万 円 単 身 男 性 が 67 万 円 単 身 女 性 が 65 万 円 である 現 在 20 代 の 将 来 シナリオでは 親 子 世 帯 と 夫 15

図 表 3-1 年 齢 別 世 帯 類 型 別 の 金 融 資 産 残 高 ( 世 帯 当 たり) ( 万 円 ) 2030 年 2014 年 ( 推 計 値 ) 積 極 運 用 と 現 状 踏 襲 の 差 額 現 状 踏 襲 積 極 運 用 親 子 夫 婦 の み 単 身 男 性 単 身 女 性 2030 年 時 年 齢 30 代 後 半 40 代 40 代 後 半 50 代 50 代 後 半 60 代 60 代 後 半 70 代 2014 年 時 年 齢 20 代 30 代 40 代 50 代 20 代 30 代 40 代 50 代 20 代 30 代 40 代 50 代 20 代 30 代 40 代 50 代 金 融 資 産 残 高 252 735 1,115 1,585 1,102 2,097 2,014 1,742 1,191 2,220 2,104 1,807 88 123 90 65 預 貯 金 142 414 569 844 694 1,200 958 699 509 984 870 658-186 -216-89 -41 株 式 株 式 投 信 11 33 57 108 66 162 177 257 381 614 502 408 315 452 325 151 債 券 公 社 債 投 信 5 13 21 46 19 44 48 74 49 85 76 82 30 41 28 8 その 他 94 274 467 587 324 691 831 711 252 538 656 658-72 -153-175 -53 金 融 資 産 残 高 353 739 1,205 1,794 2,104 2,344 2,822 2,012 2,296 2,499 2,984 2,068 191 155 162 55 預 貯 金 272 500 686 1,021 1,610 1,529 1,525 908 1,002 1,137 1,290 863-608 -391-235 -45 株 式 株 式 投 信 8 42 70 130 76 208 266 309 785 770 830 438 709 561 564 128 債 券 公 社 債 投 信 1 11 35 51 12 43 99 82 95 98 132 89 83 55 33 7 その 他 72 185 414 592 406 564 932 713 414 494 732 678 8-70 -200-35 金 融 資 産 残 高 186 541 916 1,159 891 1,665 2,284 2,384 958 1,753 2,394 2,479 67 88 110 95 預 貯 金 142 363 535 644 668 1,062 1,249 1,207 428 793 1,038 1,069-240 -269-211 -139 株 式 株 式 投 信 8 46 83 135 59 210 320 446 322 557 726 747 263 348 406 301 債 券 公 社 債 投 信 1 8 32 33 7 28 92 80 39 67 112 102 32 39 20 22 その 他 34 125 267 347 158 365 624 651 170 335 519 562 12-30 -105-89 金 融 資 産 残 高 209 429 890 1,190 839 796 852 1,151 904 821 854 1,151 65 25 1 0 預 貯 金 169 293 500 695 669 519 385 544 428 422 382 544-241 -96-4 0 株 式 株 式 投 信 4 23 43 84 26 70 89 172 283 194 97 172 257 125 8 0 債 券 公 社 債 投 信 2 10 48 50 11 22 67 69 37 32 67 69 26 10-0 0 その 他 34 102 299 360 133 185 311 366 157 172 308 366 23-13 -3 0 ( 注 )2014 年 時 点 で 親 子 世 帯 の 40 代 50 代 は 2030 年 時 点 で 夫 婦 世 帯 に 移 行 している 世 帯 が 多 いと 推 測 されるが 本 図 表 では 親 子 世 帯 のまま 掲 載 している ( 出 所 ) 大 和 総 研 作 成 30 代 後 半 40 代 40 代 後 半 50 代 50 代 後 半 60 代 60 代 後 半 70 代 30 代 後 半 40 代 40 代 後 半 50 代 50 代 後 半 60 代 60 代 後 半 70 代 16 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 図 表 3-2 年 齢 別 世 帯 類 型 別 の 金 融 資 産 残 高 の 構 成 比 ( 世 帯 当 たり) (%) 親 子 夫 婦 の み 単 身 男 性 単 身 女 性 2030 年 時 年 齢 2014 年 ( 推 計 値 ) 30 代 後 半 40 代 40 代 後 半 50 代 2030 年 現 状 踏 襲 積 極 運 用 2014 年 時 年 齢 20 代 30 代 40 代 50 代 20 代 30 代 40 代 50 代 20 代 30 代 40 代 50 代 金 融 資 産 残 高 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 預 貯 金 56.4 56.4 51.1 53.3 63.0 57.2 47.6 40.1 42.7 44.3 41.3 36.4 株 式 株 式 投 信 4.5 4.5 5.1 6.8 6.0 7.7 8.8 14.8 32.0 27.6 23.9 22.6 債 券 公 社 債 投 信 1.8 1.8 1.9 2.9 1.7 2.1 2.4 4.2 4.1 3.8 3.6 4.6 その 他 37.3 37.3 41.9 37.0 29.3 33.0 41.3 40.8 21.2 24.2 31.2 36.4 金 融 資 産 残 高 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 預 貯 金 77.1 67.7 56.9 56.9 76.5 65.2 54.0 45.1 43.7 45.5 43.2 41.7 株 式 株 式 投 信 2.2 5.7 5.8 7.3 3.6 8.9 9.4 15.4 34.2 30.8 27.8 21.2 債 券 公 社 債 投 信 0.4 1.5 2.9 2.8 0.6 1.8 3.5 4.1 4.1 3.9 4.4 4.3 その 他 20.4 25.0 34.4 33.0 19.3 24.1 33.0 35.4 18.0 19.8 24.5 32.8 金 融 資 産 残 高 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 預 貯 金 76.7 67.1 58.4 55.6 75.0 63.8 54.7 50.6 44.6 45.3 43.4 43.1 株 式 株 式 投 信 4.5 8.4 9.0 11.6 6.6 12.6 14.0 18.7 33.6 31.8 30.3 30.1 債 券 公 社 債 投 信 0.6 1.5 3.5 2.9 0.7 1.7 4.0 3.3 4.0 3.8 4.7 4.1 その 他 18.1 23.1 29.1 29.9 17.7 21.9 27.3 27.3 17.8 19.1 21.7 22.7 金 融 資 産 残 高 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 預 貯 金 80.7 68.4 56.2 58.4 79.7 65.2 45.2 47.3 47.3 51.5 44.7 47.3 株 式 株 式 投 信 2.1 5.4 4.8 7.1 3.1 8.8 10.4 14.9 31.3 23.7 11.4 14.9 債 券 公 社 債 投 信 1.1 2.3 5.4 4.2 1.3 2.8 7.9 6.0 4.1 3.9 7.9 6.0 その 他 16.1 23.9 33.6 30.3 15.9 23.3 36.5 31.8 17.3 20.9 36.1 31.8 ( 注 )2014 年 時 点 で 親 子 世 帯 の 40 代 50 代 は 2030 年 時 点 で 夫 婦 世 帯 に 移 行 している 世 帯 が 多 いと 推 測 されるが 本 図 表 では 親 子 世 帯 のまま 掲 載 している ( 出 所 ) 大 和 総 研 作 成 50 代 後 半 60 代 60 代 後 半 70 代 30 代 後 半 40 代 40 代 後 半 50 代 50 代 後 半 60 代 60 代 後 半 70 代 17

婦 のみ 世 帯 で 金 融 資 産 残 高 に 大 きな 差 が 生 じるこ とが 読 み 取 れる 若 い 年 齢 で 子 供 を 生 み 育 てなが ら 金 融 資 産 を 積 み 上 げていくのは 大 変 である 高 齢 世 代 からの 資 産 移 転 策 のさらなる 検 討 や 少 子 化 対 策 の 観 点 も 含 めて 育 児 等 に 関 連 する 税 優 遇 や 補 助 金 などの 支 援 が 求 められよう 一 方 夫 婦 のみ 世 帯 は 相 対 的 に 金 融 資 産 の 積 み 上 げに 有 利 な 状 況 にあるといえ より 積 極 的 にリ スクを 取 っていくのもよいのではないだろうか 2) 現 在 30 代 の 将 来 シナリオ 現 在 30 代 の 世 代 は 2030 年 には 40 代 後 半 50 代 となる 平 均 初 婚 年 齢 が 30 歳 前 後 第 1 子 出 産 の 平 均 年 齢 が 30 代 であることを 考 えれば 20 代 と 同 様 にこの 世 代 でも 2030 年 までに 結 婚 や 出 産 などのイベントを 経 験 する 可 能 性 は 高 いと 言 えよ う 従 って 30 代 では 単 身 世 帯 から 夫 婦 のみ 世 帯 や 親 子 世 帯 30 代 全 体 で 夫 婦 のみ 世 帯 から 親 子 世 帯 となる 世 帯 数 もそれなりに 多 いとい うシナリオに 立 って 将 来 の 金 融 資 産 を 計 算 して いる 2014 年 時 点 での 30 代 の 金 融 資 産 残 高 は 夫 婦 のみが 一 番 多 く 739 万 円 であり 次 いで 親 子 が 735 万 円 単 身 男 性 が 541 万 円 単 身 女 性 が 429 万 円 と 推 計 される 20 代 と 比 較 すると 夫 婦 のみと 親 子 の 差 が 小 さい 1 章 で 記 述 した 親 子 世 帯 の 金 融 資 産 残 高 の 推 計 方 法 による 影 響 もあると 思 われるが 30 代 では 子 供 が 幼 少 であり 消 費 が 大 きく 増 えない 状 態 で 所 得 が 向 上 していると 推 測 される 子 供 がい ることによる 消 費 支 出 の 増 大 は 子 供 が 進 学 する につれて 教 育 費 を 中 心 に 増 加 するのが 通 常 であ ろう また 単 身 男 性 と 単 身 女 性 の 金 融 資 産 残 高 の 大 小 が 20 代 と 逆 転 しており 可 処 分 所 得 の 差 の 拡 大 が 影 響 していると 推 測 される(20 代 でも 単 身 男 性 の 方 が 可 処 分 所 得 は 多 いが その 差 は 20 代 で 年 間 10 万 円 台 であり 30 代 では 50 万 円 弱 ) どの 世 帯 類 型 も 預 貯 金 の 構 成 比 が 最 も 高 いのは 20 代 と 変 わらないが 56.4%( 親 子 ) 68.4%( 単 身 女 性 )と 親 子 以 外 の 世 帯 類 型 で 20 代 よりも 構 成 比 が 低 くなっている 株 式 の 構 成 比 は 4.5% ( 親 子 ) 8.4%( 単 身 男 性 )となっている ど の 年 齢 層 でも 金 融 資 産 に 占 める 株 式 の 構 成 比 は 単 身 男 性 が 最 も 高 く 世 帯 類 型 別 に 見 ると 現 状 では 単 身 男 性 が 最 もリスクを 取 っていると 言 えよう シミュレーションでは 積 極 運 用 した 場 合 の 金 融 資 産 残 高 は 2030 年 には 夫 婦 のみ 2,499 万 円 親 子 2,220 万 円 単 身 男 性 1,753 万 円 単 身 女 性 821 万 円 という 試 算 結 果 となった 積 極 運 用 と 現 状 踏 襲 の 差 額 は 夫 婦 のみが 155 万 円 親 子 が 123 万 円 単 身 男 性 が 88 万 円 単 身 女 性 が 25 万 円 である 単 身 女 性 で 差 額 が 相 対 的 に 小 さ いのは ローン 返 済 により 2010 年 代 後 半 に 純 貯 蓄 がマイナスと 想 定 している 影 響 による 現 在 30 代 の 将 来 シナリオでは 現 在 20 代 と 比 較 して 夫 婦 のみ 世 帯 と 親 子 世 帯 の 差 が 縮 小 し ているという 特 徴 が 挙 げられる 20 代 に 比 べれ ば 収 入 が 増 加 している 状 況 での 育 児 等 は 金 融 資 産 の 積 み 上 げの 観 点 からも ある 程 度 の 余 裕 を 持 てるとも 言 えよう ただし この 年 齢 層 の 子 供 は 義 務 教 育 年 齢 が 多 いと 推 測 され これから 高 等 教 育 に 進 むにつれ 教 育 費 をはじめとする 子 供 関 連 費 用 が 増 加 するはずである 子 供 が 小 さいうちに 積 極 的 にリスクを 取 って 金 融 資 産 の 増 加 を 図 るこ とで 将 来 の 支 出 増 大 に 備 えるのが 賢 明 ではない だろうか 18 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 19

3) 現 在 40 代 の 将 来 シナリオ 現 在 40 代 の 世 代 は 2030 年 には 50 代 後 半 60 代 となる 子 供 が 四 年 制 大 学 卒 業 後 に 社 会 人 になるとした 場 合 第 1 子 出 産 の 平 均 年 齢 から 考 えれば 50 代 半 ばに 第 1 子 が 独 立 する 可 能 性 がある 短 大 卒 や 高 卒 で 独 立 すると 考 えればもっと 早 いであろう その 点 も 踏 まえて 現 在 40 代 の 世 代 は 2030 年 までに 親 子 世 帯 から 夫 婦 のみ 世 帯 となることを 想 定 している ただし 親 子 世 帯 から 夫 婦 のみ 世 帯 になった 場 合 でも 図 表 上 は 親 子 世 帯 として 掲 載 している また 60 歳 定 年 制 が 多 数 派 であると の 仮 定 の 下 に 定 年 退 職 および 再 雇 用 も 想 定 した シナリオとしている 2014 年 時 点 での 40 代 の 金 融 資 産 残 高 は 夫 婦 のみが 一 番 多 く 1,205 万 円 であり 次 いで 親 子 が 1,115 万 円 単 身 男 性 が 916 万 円 単 身 女 性 が 890 万 円 と 推 計 される 30 代 と 比 較 すると 夫 婦 のみと 親 子 の 差 が 大 きくなっている 40 代 では 子 供 が 高 校 や 大 学 に 進 学 する 時 期 と 推 測 され 教 育 費 や 子 供 に 関 連 す る 支 出 が 増 加 していることが 影 響 していると 思 わ れる 預 貯 金 の 構 成 比 はどの 世 帯 類 型 でも 30 代 より も 小 さくなっている 株 式 の 構 成 比 は 4.8%( 単 身 女 性 ) 9.0%( 単 身 男 性 )となっている 単 身 女 性 の 株 式 の 構 成 比 は 30 代 よりも 小 さくなっ ている シミュレーションでは 積 極 運 用 した 場 合 の 金 融 資 産 残 高 は 2030 年 には 夫 婦 のみ 2,984 万 円 単 身 男 性 2,394 万 円 親 子 2,104 万 円 単 身 女 性 854 万 円 という 試 算 結 果 となった 20 代 30 代 と 比 較 すると 単 身 男 性 と 親 子 の 金 融 資 産 残 高 の 大 小 が 逆 転 している 可 処 分 所 得 と 消 費 支 出 の 差 としての 貯 蓄 には 大 きな 差 はないが ローン 返 済 を 差 し 引 いた 純 貯 蓄 の 差 が 影 響 している( 単 身 男 性 の 方 が 住 宅 ローンの 額 が 小 さい) 積 極 運 用 と 現 状 踏 襲 の 差 額 は 夫 婦 のみが 162 万 円 単 身 男 性 が 110 万 円 親 子 が 90 万 円 単 身 女 性 が1 万 円 である 単 身 女 性 で 差 額 がほとん どないのは ローン 返 済 により 2010 年 代 後 半 に 純 貯 蓄 がマイナスと 想 定 している 影 響 と その 後 も 純 貯 蓄 の 絶 対 額 が 少 ないことによる また 親 子 では 30 代 と 比 較 して 積 極 運 用 と 現 状 踏 襲 の 差 額 が 小 さくなっている ローン 返 済 の 額 が 30 代 よりも 相 対 的 に 大 きいことが 影 響 している 現 在 40 代 の 将 来 シナリオでは 親 子 世 帯 と 単 身 女 性 世 帯 のローン 負 担 の 影 響 が 大 きいことが 特 徴 的 である 親 子 世 帯 では 子 供 の 教 育 費 が 増 大 している 時 期 とも 重 なると 推 測 され 退 職 後 に 備 えた 金 融 資 産 の 積 み 上 げには 厳 しい 環 境 である ローン 負 担 に 対 する 何 らかの 緩 和 策 を 検 討 しても よいかもしれない 単 身 女 性 については 女 性 の 所 得 向 上 を 図 る 方 向 で 所 得 の 男 女 格 差 を 縮 小 して いくような 政 策 が 待 たれる 4) 現 在 50 代 の 将 来 シナリオ 現 在 50 代 の 世 代 は 2030 年 には 60 代 後 半 70 代 となる 現 在 40 代 の 世 代 と 同 様 に 考 え この 世 代 も 子 供 の 独 立 による 夫 婦 のみ 世 帯 への 移 行 や 定 年 退 職 および 再 雇 用 を 想 定 したシナリオとなっている 親 子 世 帯 から 夫 婦 のみ 世 帯 になった 場 合 でも 図 表 上 は 親 子 世 帯 として 掲 載 しているのも 同 様 であ る 2014 年 時 点 での 50 代 の 金 融 資 産 残 高 は 夫 婦 のみが 一 番 多 く 1,794 万 円 であり 次 いで 親 子 が 1,585 万 円 単 身 女 性 が 1,190 万 円 単 身 20 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 21

男 性 が 1,159 万 円 と 推 計 される 40 代 と 比 較 すると 単 身 男 性 と 単 身 女 性 の 金 融 資 産 残 高 の 大 小 が 逆 転 している 可 処 分 所 得 は 男 性 の 方 が 年 間 180 万 円 以 上 多 く 女 性 の 方 が 確 実 に 金 融 資 産 を 積 み 上 げてきた 姿 が 想 像 され る 株 式 の 構 成 比 は 6.8%( 親 子 ) 11.6%( 単 身 男 性 )となっている どの 世 帯 類 型 でも 20 代 40 代 よりも 株 式 の 構 成 比 が 高 くなっている シミュレーションでは 積 極 運 用 した 場 合 の 金 融 資 産 残 高 は 2030 年 には 単 身 男 性 2,479 万 円 夫 婦 のみ 2,068 万 円 親 子 1,807 万 円 単 身 女 性 1,151 万 円 という 試 算 結 果 となった 40 代 と 比 較 すると 単 身 男 性 と 夫 婦 のみの 金 融 資 産 残 高 の 大 小 が 逆 転 している 夫 婦 のみと 親 子 は 2020 年 代 に 入 ると 貯 蓄 がマイナスになり 金 融 資 産 のうち 現 金 を 取 り 崩 すと 想 定 していることが 影 響 している( 他 の 資 産 は 売 却 はしないがリバ ランスもしないという 仮 定 なので 資 産 収 益 率 分 だけ 積 み 上 がる 計 算 となる 従 って 現 金 取 崩 額 が 大 きければ 金 融 資 産 残 高 は 前 年 比 マイナスとな る ) 積 極 運 用 と 現 状 踏 襲 の 差 額 は 単 身 男 性 が 95 万 円 親 子 が 65 万 円 夫 婦 のみが 55 万 円 単 身 女 性 が0 万 円 である 単 身 女 性 で 差 額 がないのは ローン 返 済 により 推 計 期 間 を 通 じて 純 貯 蓄 がマイ ナスと 想 定 しているためである( 金 融 資 産 の 積 み 上 がりが 生 じないので 積 極 運 用 と 現 状 踏 襲 の 間 での 資 産 構 成 比 の 変 化 も 生 じない) また 50 代 の 全 世 帯 類 型 で 積 極 運 用 と 現 状 踏 襲 の 差 額 が 40 代 と 比 較 して 小 さくなっている 2014 年 時 点 での 50 代 は 2030 年 までには 退 職 していると 想 定 していることが 影 響 している 現 在 50 代 の 将 来 シナリオからは 退 職 再 雇 用 による 影 響 をどう 考 えるかが 問 われよう 長 寿 命 化 が 進 む 中 で 退 職 後 の 人 生 も 長 くなっている 元 気 と 意 欲 ある 人 が 引 き 続 き 働 きやすい 環 境 を 整 えていくことが 重 要 である また 親 子 世 帯 で は 子 供 が 独 立 している 場 合 も 多 いであろうから 金 融 資 産 の 運 用 により 精 力 を 傾 けてもよいであろ う 単 身 女 性 については 自 助 努 力 だけでは 限 界 があると 思 われ 何 らかの 対 策 が 求 められる 3. 現 在 現 役 世 代 の 将 来 シナリオ 前 節 では 世 帯 ごとの 現 状 と 将 来 シナリオを 記 述 してきたが 本 節 では 世 帯 数 の 変 化 を 考 慮 した 現 在 現 役 世 代 全 体 での 将 来 シナリオについて 記 述 する 社 人 研 の 日 本 の 世 帯 数 の 将 来 推 計 ( 全 国 推 計 ) (2013( 平 成 25) 年 1 月 推 計 )に 基 づいて 15 年 後 (2030 年 )の 世 帯 数 を 見 てみると 現 在 20 代 の 世 帯 では 単 身 が 男 女 ともに 世 帯 数 が 減 少 し 夫 婦 のみと 親 子 の 世 帯 数 が 増 加 する 現 在 30 代 の 世 帯 では 単 身 の 男 性 の 世 帯 数 は 減 少 するが 単 身 の 女 性 の 世 帯 数 は 増 加 する 男 女 ともに 現 在 30 代 の 単 身 世 帯 数 は 減 少 する が 現 在 30 代 後 半 の 単 身 世 帯 数 が 増 加 する 見 込 みである 夫 婦 のみと 親 子 の 世 帯 数 は 増 加 するが 30 代 の 夫 婦 のみ 世 帯 は 減 少 する これは 子 供 の 誕 生 により 親 子 世 帯 となる 世 帯 数 が 結 婚 に より 夫 婦 のみとなる 世 帯 数 より 多 いことによると 推 測 される 現 在 40 代 の 世 帯 では 親 子 の 世 帯 数 が 減 少 す る 一 方 で 他 の 世 帯 類 型 は 全 て 増 加 する 見 込 みで ある 現 在 の 40 代 は 2030 年 には 50 代 後 半 60 代 となっており 子 供 が 独 立 して 夫 婦 の みに 移 行 する 世 帯 数 が 多 いと 推 測 される 現 在 50 代 の 世 帯 では 親 子 の 世 帯 数 が 減 少 す 22 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 るのは 現 在 40 代 世 帯 と 同 様 であるが さらに 単 身 男 性 の 世 帯 数 も 減 少 すると 見 込 まれる これは 死 去 などによるものと 思 われる 2014 年 の 現 役 世 代 (20 代 50 代 )の 金 融 資 産 総 額 は 約 253 兆 円 と 推 計 した( 図 表 3-7) 日 銀 の 資 金 循 環 統 計 によると 2014 年 末 の 家 計 の 金 融 資 産 残 高 は 約 1,694 兆 円 なので 約 15%のカバー 率 ということになる 今 回 の 推 計 対 象 とした 世 帯 数 は 世 帯 数 全 体 の 約 5 割 に 相 当 するが 金 融 資 産 を 多 く 持 つ 60 歳 以 上 の 世 帯 が 対 象 でないことが 影 響 していると 思 われる ただ し 今 回 のシミュレーションの 眼 目 は リスク 資 産 の 構 成 比 を 高 めた 場 合 と 現 状 のままにした 場 合 の 比 較 であり その 傾 向 を 把 握 するという 目 的 に は 差 し 支 えないであろう シミュレーションでは 現 状 踏 襲 シナリオで は 2030 年 に 全 体 で 約 518 兆 円 (2014 年 比 約 105% 増 )の 金 融 資 産 残 高 という 試 算 結 果 と なった 積 極 運 用 シナリオでは 約 544 兆 円 ( 同 約 115% 増 )である その 差 額 は 2014 年 の 金 融 資 産 残 高 の 10.1%に 相 当 する 積 極 運 用 シナリオについては 積 極 運 用 と いう 名 称 ではあるものの 新 たな 金 融 資 産 の 積 み 上 げ 部 分 について 株 式 ( 株 式 投 信 を 含 む 以 下 同 じ)を 35%など 堅 めの 仮 定 にしているが 既 存 資 産 のリバランスをして 早 い 段 階 から 資 産 全 体 で 株 式 の 構 成 比 を 35%になるようにする ある いは 米 国 並 みの 50%の 配 分 で 積 み 上 げていくと すれば もっと 差 が 出 たであろう( 資 産 配 分 比 や 資 産 収 益 率 の 仮 定 については 補 論 末 尾 参 照 ) あるいは 株 式 の 収 益 率 を 2000 年 以 降 の 実 績 に 基 づいて 4.6%と 設 定 しているが 今 後 も 株 式 相 場 が 堅 調 であると 想 定 するのであれば( 例 えば 民 主 党 から 自 民 党 への 政 権 交 代 以 降 の 31.9%) もっと 高 くなると 見 込 まれる 図 表 3-8 は 今 回 対 象 とした 世 帯 を 合 計 した 金 融 資 産 残 高 について 2014 年 現 状 踏 襲 シナ リオの 2030 年 積 極 運 用 シナリオの 2030 年 の 内 訳 を 図 示 したものである 現 状 踏 襲 シナリオに 比 べて 積 極 運 用 シナリオでは 預 貯 金 の 残 高 が 少 なく 株 式 の 残 高 が 多 くなっている こうした 資 産 構 成 で ポートフォリオ 全 体 の 収 益 率 を 今 回 仮 定 した 各 資 産 の 収 益 率 で 計 算 すると 全 年 齢 層 合 計 では 2014 年 時 が 0.4% 現 状 踏 襲 シナリオの 2030 年 時 は 0.6% 積 極 運 用 シナリオの 2030 年 時 は 1.4%である 各 資 産 の 収 益 率 の 前 提 が 堅 めであることは 差 し 置 いても 今 後 の 超 高 齢 日 本 において それなりの 生 活 水 準 を 維 持 するために は 今 回 のシミュレーションのシナリオよりもよ り 積 極 的 な 運 用 が 求 められるのではないだろう か ちなみに 積 極 運 用 シナリオにおいて 世 帯 ごと の 金 融 資 産 残 高 における 株 式 の 構 成 比 が 2030 年 に 30% 超 の 水 準 になるのは 現 在 20 代 の 全 世 帯 類 型 単 身 男 性 の 全 年 齢 現 在 30 代 の 夫 婦 のみ といった 世 帯 である( 前 掲 図 表 3-2) なお 20 代 のシナリオ 間 の 差 額 の 比 率 が 高 く なっているのは( 図 表 3-7 右 下 ) 分 母 である 2014 年 の 数 値 が 小 さいこともあるが 学 校 在 籍 や 親 元 から 通 勤 していた 人 などが 新 たに 夫 婦 の み 世 帯 や 単 身 世 帯 となってこの 類 型 の 世 帯 数 が 増 加 したことの 影 響 が 大 きい 23

図 表 3-7 年 齢 別 世 帯 類 型 別 の 金 融 資 産 残 高 ( 合 計 ) 合 計 親 子 夫 婦 の み 単 身 ( 男 ) 単 身 ( 女 ) 2030 年 時 年 齢 2014 年 推 計 値 合 計 合 計 30 代 後 半 40 代 2030 年 現 状 踏 襲 積 極 運 用 40 代 後 半 50 代 50 代 後 半 60 代 60 代 後 半 70 代 合 計 30 代 後 半 40 代 40 代 後 半 50 代 50 代 後 半 60 代 ( 十 億 円 ) 2014 年 時 年 齢 20 代 30 代 40 代 50 代 20 代 30 代 40 代 50 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 後 半 70 代 金 融 資 産 残 高 252,654 8,906 44,501 90,425 108,822 518,377 65,438 138,287 188,066 126,586 544,011 70,749 146,170 196,473 130,620 預 貯 金 141,649 6,610 27,184 48,235 59,619 277,336 45,093 82,398 94,057 55,788 231,785 30,826 65,654 83,095 52,211 株 式 株 式 投 信 16,283 311 2,444 5,235 8,293 54,661 3,515 12,121 19,076 19,949 144,505 23,096 41,730 49,423 30,255 債 券 公 社 債 投 信 6,435 86 784 2,313 3,253 15,189 839 2,825 6,151 5,374 22,853 2,897 5,624 8,323 6,008 その 他 88,287 1,900 14,090 34,642 37,656 171,190 15,991 40,943 68,782 45,475 144,868 13,929 33,162 55,632 42,146 金 融 資 産 残 高 146,865 1,621 25,807 58,053 61,385 287,976 36,808 81,243 104,886 65,039 302,763 39,752 85,962 109,579 67,469 預 貯 金 77,815 914 14,557 29,654 32,689 144,767 23,185 45,562 49,910 26,110 124,696 16,981 37,845 45,299 24,572 株 式 株 式 投 信 8,395 73 1,161 2,966 4,195 27,128 2,202 6,108 9,208 9,610 77,616 12,729 23,481 26,161 15,244 債 券 公 社 債 投 信 3,378 30 474 1,104 1,771 7,608 618 1,744 2,482 2,764 11,940 1,633 3,284 3,949 3,074 その 他 57,278 604 9,615 24,329 22,730 108,474 10,803 27,829 43,286 26,555 88,511 8,409 21,352 34,170 24,579 金 融 資 産 残 高 41,453 1,216 6,760 10,655 22,823 84,340 13,047 24,842 29,151 17,300 89,293 14,234 26,457 30,825 17,777 預 貯 金 24,563 937 4,575 6,060 12,991 49,731 9,983 16,192 15,751 7,806 39,011 6,213 12,060 13,323 7,415 株 式 株 式 投 信 2,693 27 388 619 1,659 8,116 469 2,242 2,747 2,659 25,342 4,866 8,137 8,576 3,764 債 券 公 社 債 投 信 1,071 4 105 314 648 2,267 75 458 1,027 706 3,761 587 1,038 1,366 769 その 他 13,126 248 1,692 3,661 7,526 24,226 2,520 5,951 9,626 6,129 21,179 2,567 5,223 7,561 5,829 金 融 資 産 残 高 41,577 3,473 8,298 14,418 15,389 105,394 10,433 24,803 41,862 28,296 110,635 11,216 26,118 43,878 29,423 預 貯 金 25,195 2,663 5,564 8,417 8,551 60,867 7,820 15,822 22,896 14,329 48,532 5,006 11,821 19,025 12,681 株 式 株 式 投 信 3,941 157 698 1,299 1,786 14,962 686 3,122 5,856 5,298 34,239 3,766 8,304 13,303 8,866 債 券 公 社 債 投 信 1,089 23 122 500 444 3,123 78 418 1,680 947 4,711 452 1,004 2,047 1,208 その 他 11,353 630 1,914 4,201 4,608 26,441 1,849 5,442 11,428 7,721 23,153 1,992 4,989 9,503 6,668 金 融 資 産 残 高 22,759 2,597 3,636 7,301 9,224 40,667 5,150 7,399 12,168 15,951 41,320 5,547 7,633 12,189 15,951 預 貯 金 14,076 2,097 2,487 4,103 5,389 21,971 4,105 4,823 5,500 7,543 19,545 2,626 3,928 5,448 7,543 株 式 株 式 投 信 1,255 54 196 351 654 4,455 159 650 1,265 2,381 7,308 1,735 1,808 1,384 2,381 債 券 公 社 債 投 信 898 29 84 395 390 2,191 67 205 962 957 2,441 226 298 960 957 その 他 6,530 418 869 2,451 2,792 12,050 819 1,721 4,441 5,069 12,025 960 1,598 4,398 5,069 24 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 合 計 親 子 夫 婦 の み 単 身 ( 男 ) 単 身 ( 女 ) 2030 年 時 年 齢 合 計 ( 十 億 円 ) (%) 2030 年 2030 年 積 極 運 用 と 現 状 踏 襲 の 差 額 積 極 運 用 と 現 状 踏 襲 の 差 額 の 2014 年 比 30 代 後 半 40 代 40 代 後 半 50 代 50 代 後 半 60 代 60 代 後 半 70 代 合 計 30 代 後 半 40 代 40 代 後 半 50 代 50 代 後 半 60 代 60 代 後 半 70 代 2014 年 時 年 齢 20 代 30 代 40 代 50 代 20 代 30 代 40 代 50 代 金 融 資 産 残 高 25,634 5,310 7,883 8,406 4,035 10.1 59.6 17.7 9.3 3.7 預 貯 金 -45,551-14,267-16,744-10,963-3,577-32.2-215.8-61.6-22.7-6.0 株 式 株 式 投 信 89,843 19,581 29,609 30,347 10,307 551.8 6303.9 1211.7 579.6 124.3 債 券 公 社 債 投 信 7,664 2,059 2,799 2,172 634 119.1 2402.2 357.1 93.9 19.5 その 他 -26,322-2,062-7,781-13,150-3,329-29.8-108.6-55.2-38.0-8.8 金 融 資 産 残 高 14,787 2,944 4,719 4,694 2,430 10.1 181.6 18.3 8.1 4.0 預 貯 金 -20,070-6,204-7,717-4,611-1,538-25.8-678.5-53.0-15.5-4.7 株 式 株 式 投 信 50,488 10,528 17,373 16,953 5,634 601.4 14433.6 1496.0 571.7 134.3 債 券 公 社 債 投 信 4,332 1,014 1,540 1,468 310 128.3 3409.7 325.2 133.0 17.5 その 他 -19,963-2,394-6,477-9,116-1,976-34.9-396.4-67.4-37.5-8.7 金 融 資 産 残 高 4,953 1,186 1,615 1,675 477 11.9 97.6 23.9 15.7 2.1 預 貯 金 -10,721-3,770-4,132-2,428-391 -43.6-402.5-90.3-40.1-3.0 株 式 株 式 投 信 17,226 4,398 5,895 5,829 1,104 639.7 16488.0 1519.2 941.0 66.6 債 券 公 社 債 投 信 1,494 512 580 339 63 139.5 11504.0 554.0 108.1 9.7 その 他 -3,046 47-728 -2,065-300 -23.2 18.9-43.0-56.4-4.0 金 融 資 産 残 高 5,241 783 1,315 2,017 1,127 12.6 22.5 15.8 14.0 7.3 預 貯 金 -12,335-2,814-4,001-3,871-1,648-49.0-105.7-71.9-46.0-19.3 株 式 株 式 投 信 19,276 3,080 5,182 7,446 3,568 489.2 1958.4 742.4 573.2 199.7 債 券 公 社 債 投 信 1,588 374 586 367 260 145.8 1661.3 481.0 73.4 58.6 その 他 -3,288 143-453 -1,925-1,053-29.0 22.7-23.7-45.8-22.8 金 融 資 産 残 高 652 397 234 21 0 2.9 15.3 6.4 0.3 0.0 預 貯 金 -2,425-1,478-895 -52 0-17.2-70.5-36.0-1.3 0.0 株 式 株 式 投 信 2,853 1,576 1,159 118 0 227.4 2931.2 590.4 33.7 0.0 債 券 公 社 債 投 信 250 158 93-1 0 27.8 546.4 111.3-0.4 0.0 その 他 -25 142-123 -44 0-0.4 33.9-14.2-1.8 0.0 ( 注 )2014 年 時 点 で 親 子 世 帯 の 40 代 50 代 は 2030 年 時 点 で 夫 婦 世 帯 に 移 行 している 世 帯 が 多 いと 推 測 されるが 本 図 表 では 親 子 世 帯 のまま 掲 載 している ( 出 所 ) 大 和 総 研 作 成 25

おわりに 超 高 齢 化 の 下 での 家 計 の 金 融 資 産 活 用 今 回 のシミュレーションでは リスク 資 産 の 構 成 比 を 高 めた 場 合 と 現 状 のままにした 場 合 の 比 較 を 実 施 し 様 々な 仮 定 の 下 ではあるが リスク 資 産 の 構 成 比 を 高 めることが 金 融 資 産 の 増 加 に 有 効 であることを 確 認 した こうした 結 果 を 踏 まえれ ば 各 家 計 が 現 状 よりも 積 極 的 な 資 産 運 用 を 実 施 していくことが 望 まれる 超 高 齢 化 が 進 行 するわが 国 において 金 融 資 産 の 有 効 活 用 を 図 っていくためには 各 家 計 の 行 動 に 期 待 するだけではなく 様 々な 方 策 が 必 要 とな ろう 具 体 的 には 1 高 齢 世 帯 から 若 年 世 帯 への 資 産 移 転 促 進 策 2ライフサイクルを 考 慮 した 投 資 活 性 化 策 3 金 融 仲 介 機 能 の 再 考 ( 年 金 等 機 関 投 資 家 と 証 券 市 場 ) 4 海 外 市 場 の 活 用 など について 議 論 を 深 め その 成 果 を 活 用 していくこ とが 求 められる また 2 章 で 記 述 した 経 済 再 生 労 働 参 加 進 展 シナリオが 実 現 すれば さらに 金 融 資 産 残 高 の 増 加 が 期 待 される 今 回 のシミュレーションでは 労 働 参 加 が 進 展 するシナリオを 反 映 するに 至 らな かったが 今 後 の 課 題 としたい 補 論 シミュレーションに 当 たっ ての 主 な 仮 定 今 回 のシミュレーションでは 金 融 資 産 の 積 み 上 げ 額 を 推 計 するのに 必 要 な 可 処 分 所 得 や 消 費 支 出 ローン 支 払 い 等 を 算 出 するために 一 定 のシ ナリオを 仮 定 した 結 婚 子 供 誕 生 退 職 ロー 26 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 ン 完 済 などのライフステージにおけるイベント 発 生 年 齢 は 様 々な 客 観 統 計 を 参 考 にしつつも あ る 程 度 主 観 的 に 設 定 している そうした 主 な 仮 定 は 以 下 の 通 りである 2014 年 の 平 均 初 婚 年 齢 は 男 性 31.1 歳 女 性 29.4 歳 で その 差 が 1.7 歳 平 均 第 1 子 出 産 年 齢 は 30.6 歳 である これらより 男 性 の 第 1 子 誕 生 年 齢 は 32.3 歳 と 単 純 計 算 した 子 供 は 23 歳 ( 四 年 生 大 学 卒 業 年 齢 )で 独 立 と 設 定 した 現 時 点 での 定 年 退 職 は 60 歳 が 大 半 であろう これらを 基 にライフステージの 各 種 シナリオを 想 定 した 収 支 については 勤 労 者 世 帯 金 融 資 産 残 高 につ いては 全 世 帯 の 数 値 を 各 世 帯 類 型 に 当 てはめて いる なお 親 子 世 帯 の 金 融 資 産 残 高 は 夫 婦 と 子 の 世 帯 の 数 値 を 用 いているが 世 帯 数 については ひとり 親 と 子 の 世 帯 も 含 まれて いる イベント 年 齢 は 各 世 代 の4 歳 を 基 準 に 計 算 した 女 性 単 身 を 除 く 各 類 型 の 年 齢 は 男 性 の 年 齢 を 用 いている 住 宅 ローンは 50 代 は 2024 年 ( 基 準 年 齢 64 歳 ) 60 代 は 2014 年 ( 基 準 年 齢 64 歳 )で 完 済 とした その 他 の 年 齢 層 は 2030 年 まで 返 済 継 続 とした 単 身 世 帯 の 住 宅 以 外 のローンは 2019 年 で 完 済 (5 年 で 完 済 を 想 定 )とした 全 類 型 で 可 処 分 所 得 消 費 支 出 の 前 年 比 は 同 一 とした(2024 年 以 前 は 日 本 経 済 中 期 予 測 (2015 年 2 月 ) 2025 年 以 降 は 超 高 齢 日 本 の 30 年 展 望 を 敷 衍 ) 子 供 が 誕 生 する 場 合 夫 婦 のみ 世 帯 20 代 は 男 性 33 歳 で 子 供 誕 生 夫 婦 のみ 世 帯 30 代 は 男 性 38 歳 で 子 供 誕 生 とした 夫 婦 と 子 世 帯 は 男 性 が 56 歳 で 子 供 独 立 以 降 は 夫 婦 のみ 世 帯 へ 移 行 するとした 消 費 支 出 は 2014 年 時 点 の 50 代 の 夫 婦 のみ 世 帯 の 消 費 性 向 を 適 用 した 単 身 世 帯 が 結 婚 する 場 合 20 代 は 30 歳 30 代 は 35 歳 で 同 年 代 と 結 婚 すると 仮 定 した さ らに 子 供 ができる 場 合 20 代 は 男 性 が 33 歳 30 代 は 男 性 が 38 歳 で 子 供 誕 生 とした 単 身 世 帯 が 結 婚 した 場 合 可 処 分 所 得 ローン 返 済 は 単 純 合 算 にした 消 費 支 出 は 2014 年 時 点 において 結 婚 時 年 齢 と 同 世 代 の 夫 婦 のみ 世 帯 の 消 費 性 向 を 適 用 した 60 歳 で 定 年 退 職 再 雇 用 とした その 際 の 可 処 分 所 得 と 消 費 支 出 は 前 年 までと 同 様 に 計 算 した 額 に 同 類 型 の 世 帯 の 2014 年 時 の 60 代 図 表 補 -1 世 帯 当 たりの 前 年 比 の 前 提 数 値 (%) 2015 2016 2017 2018 2019 可 処 分 所 得 100.3 99.9 100.9 100.6 100.6 消 費 支 出 100.8 101.6 99.7 101.0 101.0 2020 2021 2022 2023 2024 可 処 分 所 得 101.4 101.5 100.8 101.2 100.9 消 費 支 出 101.4 101.6 101.5 101.3 101.2 2025 2026 2027 2028 2029 2030 可 処 分 所 得 103.3 103.0 103.0 103.1 103.1 103.1 消 費 支 出 103.2 102.9 102.9 103.0 103.0 103.0 ( 出 所 ) 大 和 総 研 理 事 長 武 藤 敏 郎 監 修 大 和 総 研 調 査 本 部 超 高 齢 日 本 の 30 年 展 望 持 続 可 能 な 社 会 保 障 システムを 目 指 し 挑 戦 する 日 本 - 未 来 への 責 任 (2013 年 5 月 14 日 ) 大 和 総 研 経 済 調 査 部 日 本 経 済 中 期 予 測 (2015 年 2 月 )-デフレ 脱 却 と 財 政 再 建 時 間 との 戦 い- (2015 年 2 月 3 日 ) 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 日 本 の 世 帯 数 の 将 来 推 計 ( 全 国 推 計 ) (2013( 平 成 25) 年 1 月 推 計 )を 基 に 大 和 総 研 作 成 27

と 50 代 の 金 額 の 比 率 を 掛 けて 算 出 した( 親 子 世 帯 は 定 年 退 職 時 は 夫 婦 のみ 世 帯 に 移 行 して いると 仮 定 ) 純 貯 蓄 のマイナスは 預 貯 金 取 り 崩 しで 対 応 する とした 他 の 資 産 は 売 却 しない 純 貯 蓄 プラス の 場 合 は 現 状 踏 襲 は 2014 年 時 の 資 産 構 成 比 積 極 運 用 は 2014 年 の 米 欧 の 資 産 構 成 比 を 参 考 にした 仮 定 により 配 分 した 積 極 運 用 シナリオ における 新 たな 積 み 上 げ 額 の 資 産 配 分 比 は 預 貯 金 40% 株 式 ( 株 式 投 信 含 む)35% 債 券 ( 公 社 債 投 信 含 む)5% その 他 20%である 収 益 率 は 預 貯 金 1.001 株 式 1.046 債 券 1.020 その 他 1.001 で 計 算 した( 株 式 は 配 当 込 みのT OPIX 債 券 はDBI(ダイワ ボンド イ ンデックス)の 2000 年 1 月 以 降 の 前 年 同 期 比 平 均 ) ちなみに 政 権 交 代 (2012 年 12 月 ) 以 降 で 計 算 すると 株 式 は 1.319 債 券 は 1.023 となるので 積 極 運 用 シナリオと 現 状 踏 襲 シナ リオの 差 がより 明 確 となる 28 大 和 総 研 調 査 季 報 2015 年 夏 季 号 Vol.19

超 高 齢 社 会 に 向 けた 家 計 金 融 資 産 運 用 [ 著 者 ] 中 里 幸 聖 (なかざと こうせ い ) 金 融 調 査 部 主 任 研 究 員 担 当 は 公 共 ファイナンス インフラファイナンス 佐 川 あぐり(さがわ あぐり) 金 融 調 査 部 研 究 員 担 当 は 金 融 資 本 市 場 中 田 理 惠 (なかだ りえ) 金 融 調 査 部 研 究 員 担 当 は 金 融 資 本 市 場 29