地 方 公 共 団 体 における 職 員 の 健 康 管 理 施 策 推 進 に 資 する 地 方 公 務 員 の 健 康 状 況 等 に 関 する 実 態 調 査 一 般 財 団 法 人 地 方 公 務 員 安 全 衛 生 推 進 協 会 1 地 方 公 務 員 安 全 衛 生 推 進 協 会 について ⑴ はじめに 地 方 公 務 員 安 全 衛 生 推 進 協 会 ( 以 下 協 会 という )は 地 方 公 務 員 の 安 全 と 健 康 の 確 保 公 務 災 害 の 未 然 防 止 及 び 快 適 な 職 場 環 境 の 形 成 の 促 進 を 図 ることを 目 的 に 平 成 3 年 3 月 に 設 立 されました 協 会 は 地 方 公 務 員 の 安 全 衛 生 の 向 上 のための 様 々な 調 査 研 究 を 実 施 し その 成 果 を 提 供 する とともに 冊 子 DVD 等 の 安 全 衛 生 の 教 育 教 材 制 作 による 普 及 啓 発 活 動 や 職 員 の 心 身 の 健 康 づ くり 対 策 を 充 実 させるためのメンタルヘルス 対 策 に 関 する 研 修 会 等 の 開 催 など 時 代 の 要 請 ニー ズに 合 った 事 業 を 積 極 的 に 展 開 しています 特 に 地 方 公 共 団 体 の 安 全 衛 生 における 人 材 育 成 のための 各 種 研 修 会 セミナーについては 協 会 設 立 以 来 協 会 主 催 事 業 や 地 方 公 共 団 体 との 共 催 事 業 市 町 村 研 修 支 援 事 業 等 に 約 14 万 5 千 人 の 方 々にご 参 加 いただいており 毎 年 約 1 万 人 の 方 が 参 加 されております 現 在 協 会 では 理 事 会 のもとに 事 務 局 を 設 けて 総 務 部 及 び 業 務 部 を 置 き 総 務 部 に 総 務 課 業 務 部 に 企 画 課 研 修 課 調 査 研 究 課 を 設 置 して 各 種 事 業 の 運 営 に 当 たっています ⑵ 事 業 内 容 について 平 成 26 年 度 は 下 記 の 事 業 を 実 施 しています 1ノウハウ 開 発 提 供 事 業 教 育 用 教 材 の 作 成 安 全 シリーズ 衛 生 シリーズ 公 務 災 害 発 生 状 況 の 分 析 2 人 材 育 成 事 業 新 任 安 全 衛 生 担 当 者 研 修 会 安 全 管 理 研 修 会 職 場 巡 視 安 全 衛 生 点 検 セミナー 職 場 の 衛 生 管 理 研 修 会 メンタルヘルス マネジメント 実 践 研 修 会 清 掃 事 業 安 全 衛 生 管 理 セミナー 学 校 給 食 事 業 安 全 衛 生 管 理 セミナー 消 防 職 員 安 全 衛 生 研 修 会 病 院 等 における 災 害 防 止 対 策 研 修 会 警 察 職 員 安 全 衛 生 セミナー 学 校 における 安 全 衛 生 管 理 者 研 修 会 及 び 重 大 公 務 災 害 防 止 対 策 セミナー( 市 町 村 研 修 支 援 コース 含 む)の 開 催 等 3 健 康 づくり 支 援 事 業 地 方 公 務 員 の 健 康 状 況 等 に 関 する 実 態 調 査 の 実 施 職 域 担 当 看 護 職 研 究 会 の 開 催 4 情 報 交 流 事 業 広 報 誌 地 方 公 務 員 安 全 と 健 康 フォーラム の 発 行 職 場 環 境 改 善 アドバイザー 派 遣 事 業 ホー ムページの 運 用
5 資 格 取 得 研 修 事 業 衛 生 管 理 者 受 験 講 習 会 安 全 衛 生 推 進 者 養 成 講 習 会 及 び 産 業 医 研 修 会 の 開 催 6 受 託 事 業 ( 地 方 公 務 員 災 害 補 償 基 金 より 受 託 ) 公 務 災 害 等 発 生 状 況 調 査 公 務 災 害 防 止 優 良 事 例 調 査 事 業 職 場 環 境 改 善 アドバイザー 優 良 事 例 活 用 事 業 公 務 災 害 防 止 啓 発 映 像 教 材 ( 学 校 給 食 事 業 ) 制 作 事 業 の 実 施 7その 他 の 事 業 情 報 資 料 の 収 集 講 師 等 の 派 遣 紹 介 この 稿 では 上 記 の 各 種 事 業 の 中 から 全 国 市 町 村 振 興 協 会 からの 助 成 金 により 実 施 している 健 康 づくり 支 援 事 業 のうち 地 方 公 務 員 の 健 康 状 況 等 に 関 する 実 態 調 査 についてご 紹 介 いたします 2 地 方 公 務 員 の 健 康 状 況 等 に 関 する 実 態 調 査 について ⑴ 調 査 の 概 要 協 会 では 地 方 公 共 団 体 における 健 康 診 断 の 実 施 状 況 や 地 方 公 務 員 の 健 康 状 況 等 について 総 務 省 自 治 行 政 局 公 務 員 部 安 全 厚 生 推 進 室 の 協 力 のもと 全 国 的 規 模 で 調 査 し その 結 果 を 各 団 体 に おける 職 員 の 健 康 管 理 施 策 の 充 実 に 役 立 てていただくこととしています この 稿 では 本 調 査 の 平 成 26 年 度 実 施 分 ( 平 成 25 年 度 の 状 況 )について 紹 介 いたしますが そ の 調 査 対 象 団 体 は 次 のとおりとなっています(( ) 内 は 回 答 団 体 数 ) 都 道 府 県 指 定 都 市 都 道 府 県 及 び 政 令 指 定 都 市 の 全 団 体 (67 団 体 ) 特 別 区 特 別 区 (23 団 体 ) 市 (A) 指 定 都 市 を 除 く 県 庁 所 在 市 及 び 人 口 30 万 人 以 上 の 市 の 全 団 体 (64 団 体 ) 市 (B) 都 道 府 県 ごとに 人 口 5 万 人 10 万 人 規 模 の 市 のうち 2 団 体 を 選 定 (94 団 体 ) 町 村 都 道 府 県 ごとに 人 口 1 万 人 2 万 人 規 模 の 町 村 のうち 2 団 体 を 選 定 (94 団 体 ) 市 (B) 及 び 町 村 については 各 都 道 府 県 総 務 部 ( 局 ) 市 町 村 担 当 課 において 任 意 の 2 団 体 ずつを 選 定 しています また 調 査 の 対 象 となる 職 員 は 主 に 首 長 部 局 の 一 般 職 の 職 員 となっています なお 本 調 査 では 所 定 の 把 握 方 法 によることができない 場 合 は 地 方 公 共 団 体 で 既 に 集 計 した 結 果 に 基 づく 数 値 等 により 回 答 を 得 ることとしています したがって 今 般 調 査 した 健 康 診 断 等 の 検 査 項 目 と 対 象 者 検 査 結 果 に 基 づく 判 定 区 分 の 基 準 分 析 の 方 法 長 期 病 休 者 又 は 在 職 死 亡 者 の 把 握 の 方 法 等 については 団 体 により 異 なる 部 分 が 少 なくないことをあらかじめご 承 知 おき 願 います ⑵ 長 期 病 休 者 の 状 況 に 関 する 調 査 結 果 本 調 査 においては 健 康 診 断 の 実 施 状 況 定 期 健 康 診 断 結 果 在 職 職 員 の 死 亡 状 況 等 も 調 べて いますが この 稿 では 近 年 メンタルヘルス 疾 患 による 病 休 者 の 増 加 で 関 心 が 高 まっている 長 期 病 休 者 の 状 況 に 関 する 調 査 結 果 について 紹 介 します 本 調 査 は 平 成 25 年 度 ( 暦 年 で 回 答 があった 団 体 は 平 成 25 年 ( 暦 年 )) 中 における 長 期 病 休 者 の 状 況 を 調 査 したものです 本 調 査 における 長 期 病 休 者 とは 公 務 災 害 又 は 通 勤 災 害 によるものと 認 定 された 者 も 含 め
疾 病 等 により 年 次 有 給 休 暇 病 気 休 暇 及 び 休 職 等 休 業 の 種 類 を 問 わず 休 業 30 日 以 上 又 は 1 か 月 以 上 の 療 養 者 としました ただし 前 記 の 方 法 で 把 握 できない 場 合 は 各 団 体 の 取 り 扱 いによ るものとしています 1 職 員 10 万 人 当 たりの 長 期 病 休 者 の 率 長 期 病 休 者 数 (10 万 人 率 )の 推 移 は 図 表 1 のとおりです 調 査 対 象 となった 職 員 10 万 人 当 たりの 長 期 病 休 者 数 は 平 成 25 年 度 は2,366.5 人 となっています 図 表 1 からわかるとおり この 数 は 平 成 20 年 度 の2,465.7 人 をピークに 年 々 減 少 しており 平 成 20 年 度 と 平 成 25 年 度 を 比 較 すると 全 体 としては 約 100 人 の 減 少 となっています しかし そのうち 精 神 及 び 行 動 の 障 害 については 前 年 度 の1,215.6 人 から1,219.3 人 と 増 加 しており 同 様 に 平 成 20 年 度 と 比 較 をすると 約 80 人 の 増 加 となっています ( 図 表 1 ) 長 期 病 休 者 数 (10 万 人 率 )の 推 移 2 長 期 病 休 者 の 疾 病 分 類 長 期 病 休 者 の 疾 病 分 類 別 構 成 比 は 図 表 2 のとおりです 疾 病 分 類 別 に 見 ると 精 神 及 び 行 動 の 障 害 の 割 合 が51.5%と 最 も 高 くなっており 次 いで 新 生 物 (がん 等 ) が11.2% 筋 骨 格 系 及 び 結 合 組 織 の 疾 患 が7.5% 損 傷 中 毒 及 びその 他 の 外 因 の 影 響 が7.3%の 順 となっています このなかでも 精 神 及 び 行 動 の 障 害 が 長 期 病 休 者 に 占 める 割 合 は 年 々 増 加 しており 平 成 24 年 度 には 5 割 を 超 え 今 年 度 の 調 査 結 果 でもその 割 合 はさらに 増 加 しています 一 方 新 生 物 循 環 器 系 の 疾 患 及 び 消 化 器 系 の 疾 患 については 近 年 ゆるやかに 減 少 を 続 けています なお 男 女 別 に 見 た 場 合 男 性 職 員 では 精 神 及 び 行 動 の 障 害 が56.0%と 最 も 高 く 次 い で 新 生 物 損 傷 中 毒 及 びその 他 の 外 因 の 影 響 筋 骨 格 系 及 び 結 合 組 織 の 疾 患 循 環 器 系 の 疾 患 消 化 器 系 の 疾 患 の 順 となっています 一 方 女 性 職 員 では 精 神 及 び 行 動 の 障 害 が45.2%と 最 も 高 く 次 いで 妊 娠 分 娩 及 び 産 じょく 新 生 物 筋 骨 格 系 及 び 結 合 組 織 の 疾 患 損 傷 中 毒 及 びその 他 の 外 因 の 影 響 神 経 系 の 疾 患 の 順 となっています
( 図 表 2 ) 長 期 病 休 者 の 疾 病 分 類 別 構 成 比 の 推 移 3 疾 病 分 類 別 長 期 病 休 者 の 推 移 主 な 疾 病 分 類 別 の 職 員 10 万 人 当 たりの 長 期 病 休 者 の 推 移 は 図 表 3 のとおりです このうち 精 神 及 び 行 動 の 障 害 については 職 員 10 万 人 当 たり1,219.3 人 であり 100 人 に 1 人 を 超 える 割 合 で 発 生 していることがわかります 新 生 物 循 環 器 系 の 疾 患 及 び 消 化 器 系 の 疾 患 と 比 べてみた 場 合 精 神 及 び 行 動 の 障 害 のグラフだけが 右 肩 上 がりとなっており 15 年 前 と 比 べて 約 4.5 倍 10 年 前 と 比 べても 約 2.1 倍 の 増 となっているのがわかるかと 思 います ( 図 表 3 ) 主 な 疾 病 分 類 別 長 期 病 休 者 (10 万 人 率 )の 推 移 4 調 査 結 果 から 見 た 今 後 の 課 題 本 調 査 では 初 めに 述 べたとおり 回 答 の 対 象 となった 職 員 の 範 囲 等 が 団 体 により 異 なるため 回 答 内 容 は 厳 密 には 統 一 されたものとはなっていませんが 全 国 的 な 地 方 公 務 員 の 健 康 状 況 等
を 把 握 する 上 では 有 益 なものであると 考 えています 近 年 の 調 査 結 果 を 見 ると 職 員 10 万 人 当 たりの 長 期 病 休 者 数 は 平 成 21 年 度 から 全 体 としては 減 少 傾 向 にありますが 疾 病 分 類 別 では 精 神 及 び 行 動 の 障 害 によるものの 割 合 が 年 々 増 加 しているとともに 長 期 病 休 者 に 占 める 割 合 も 平 成 24 年 度 には 5 割 を 超 え 今 年 度 の 調 査 結 果 ではさらにその 割 合 が 増 加 しています この 調 査 結 果 を 踏 まえれば 職 員 数 が 約 100 名 の 職 場 であれば 疾 病 等 により 1 カ 月 以 上 休 ま れている 方 が 2 名 以 上 いて そのうち 1 名 が 精 神 及 び 行 動 の 障 害 によるものということに なります このことからも 地 方 公 共 団 体 における 職 員 の 安 全 衛 生 管 理 上 メンタルヘルス 対 策 が 引 き 続 き 重 要 な 課 題 であると 考 えられます また 第 186 回 国 会 で 成 立 した 労 働 安 全 衛 生 法 の 一 部 を 改 正 する 法 律 ( 平 成 26 年 法 律 第 82 号 ) により 平 成 27 年 12 月 1 日 から 職 員 50 人 以 上 の 事 業 場 において 職 員 の 心 理 的 な 負 担 の 程 度 を 把 握 するための 医 師 保 健 師 等 による 検 査 (ストレスチェック)の 実 施 が 義 務 づけられることと なりました 現 在 厚 生 労 働 省 においてチェック 項 目 等 具 体 的 な 制 度 設 計 が 検 討 されておりま すが その 動 向 を 十 分 に 踏 まえておく 必 要 があります 協 会 としては 管 理 監 督 者 及 び 衛 生 管 理 者 人 事 厚 生 担 当 者 向 けの 各 種 メンタルヘルス 対 策 研 修 会 の 開 催 メンタルヘルス 対 策 に 関 する 小 冊 子 やDVD 等 の 作 成 を 行 い 引 き 続 き 啓 発 に 努 めてまいります 今 回 の 調 査 結 果 と 併 せ 職 場 のメンタルヘルス 対 策 のより 一 層 の 推 進 に 積 極 的 に 活 用 していただければ 幸 いです 3 最 後 に これまで 協 会 では 全 国 の 地 方 公 共 団 体 のほか 全 国 市 町 村 振 興 協 会 をはじめとする 関 係 機 関 団 体 のご 理 解 とご 支 援 に 支 えられて 事 業 を 推 進 してまいりました 協 会 で 実 施 している 事 業 については 地 方 行 政 の 担 い 手 である 地 方 公 務 員 の 安 全 と 健 康 の 確 保 快 適 な 職 場 環 境 の 形 成 その 他 の 安 全 衛 生 に 関 する 施 策 についてのノウハウの 開 発 提 供 人 材 育 成 広 報 啓 発 等 を 行 うことで 公 務 災 害 を 未 然 に 防 止 し 地 方 公 務 員 の 福 祉 の 向 上 を 図 るとともに 地 方 行 政 の 能 率 的 な 運 営 の 確 保 と 地 域 住 民 の 福 祉 の 向 上 並 びに 地 域 社 会 の 健 全 な 発 展 に 資 することを 目 的 として 実 施 しています 今 後 とも 地 方 公 共 団 体 の 皆 様 のニーズに 適 した 事 業 を 適 宜 適 切 に 実 施 できるよう 業 務 の 充 実 に 努 めて 参 りますので 関 係 機 関 団 体 の 皆 様 には 引 き 続 き 当 協 会 へのご 支 援 を 賜 りますことを 心 からお 願 い 申 し 上 げますとともに 今 回 一 般 財 団 法 人 全 国 市 町 村 振 興 協 会 会 報 に 寄 稿 する 機 会 をくださいました 全 国 市 町 村 振 興 協 会 にお 礼 を 申 し 上 げまして この 稿 の 結 びとさせていただきます