文化財の復旧支援等について

平 成 23 年 4 月 19 日 文 化 庁 文 化 財 の 復 旧 支 援 等 について 1. 国 指 定 等 文 化 財 の 被 害 状 況 被 害 件 数 :506 件 (1 都 1 道 18 県 )( 平 成 23 年 4 月 19 日 12:00 現 在 ) 内 訳 国 宝 重 要 特 別 史 跡 特 別 名 勝 天 然 重 要 伝 統 的 重 要 有 そ の 他 小 計 文 化 財 史 跡 名 勝 記 念 物 建 築 物 群 形 民 俗 保 存 地 区 文 化 財 5 139 5 72 4 15 14 7 3 251 515 重 複 指 定 があるため 合 計 は 一 致 しない 被 害 を 受 けた 主 な 文 化 財 (カッコ 内 は 主 な 被 害 状 況 ) 国 宝 : 瑞 巌 寺 庫 裏 及 び 廊 下 ( 宮 城 県 )( 漆 喰 壁 に 一 部 崩 落 亀 裂 ) 国 宝 : 瑞 巌 寺 本 堂 ( 元 方 丈 )( 宮 城 県 )( 彫 刻 に 軽 微 破 損 一 部 の 柱 にずれ) 国 宝 : 大 崎 八 幡 宮 ( 宮 城 県 )( 板 壁 漆 塗 装 彫 刻 に 破 損 ) 国 宝 : 阿 弥 陀 堂 ( 福 島 県 )( 扉 まわりに 軽 微 な 破 損 ) せいはくじ 国 宝 : 清 白 寺 仏 殿 ( 山 梨 県 )( 内 部 の 欄 間 の 破 損 等 ) 特 別 名 勝 : 松 島 ( 宮 城 県 )( 各 所 で 地 震 及 び 津 波 による 甚 大 な 被 害 ) たがじようあとつけたりてらあと 特 別 史 跡 : 多 賀 城 跡 附 寺 跡 ( 宮 城 県 )( 整 備 した 正 殿 基 壇 の 舗 装 の 亀 裂 の 増 大 等 ) りくぎ 特 別 名 勝 : 六 義 園 ( 東 京 都 )(ツツジ 茶 屋 柱 ずれ 等 ) 特 別 史 跡 重 要 文 化 財 : 旧 弘 道 館 ( 茨 城 県 )( 学 生 警 鐘 の 全 壊 弘 道 館 の 壁 漆 喰 の 落 下 等 ) ほうばい 特 別 名 勝 特 別 史 跡 : 旧 浜 離 宮 庭 園 ( 東 京 都 )( 芳 梅 亭 屋 根 へこみ 給 水 管 破 裂 灯 篭 倒 壊 ) かんとく 特 別 名 勝 特 別 史 跡 : 小 石 川 後 楽 園 ( 東 京 都 )( 涵 徳 亭 入 り 口 階 段 ひび 割 れ 等 ) 特 別 史 跡 : 江 戸 城 跡 ( 東 京 都 )( 石 垣 等 崩 落 ) 2. 文 化 財 調 査 官 の 派 遣 各 教 育 委 員 会 から 要 請 があった 場 合 に 比 較 的 地 震 被 害 が 少 なかった 首 都 圏 等 から 順 次 文 化 庁 の 職 員 を 派 遣 することとしている その 際 現 時 点 においては 被 害 の あった 文 化 財 建 造 物 の 応 急 措 置 など 緊 急 性 の 高 いものから 対 応 しているところである 実 績 3 月 17 日 ( 木 ) 茨 城 県 桜 川 市 ( 重 要 伝 統 的 建 造 物 群 保 存 地 区 桜 川 市 真 壁 伝 統 的 建 造 物 保 存 地 区 ) 3 月 29 日 ( 火 ) 茨 城 県 牛 久 市 ( 重 要 文 化 財 シャトーカミヤ 旧 醸 造 場 施 設 ) おい ね づ かはに わ かま あと 埼 玉 県 鴻 巣 市 ( 重 要 文 化 財 埼 玉 県 生 出 塚 埴 輪 窯 跡 出 土 品 ) 群 馬 県 立 歴 史 博 物 館 ( 重 要 文 化 財 群 馬 県 舞 台 一 号 噴 出 土 品 ) -1-

4 月 4 日 ( 月 ) 茨 城 県 水 戸 市 ( 特 別 史 跡 重 要 文 化 財 旧 弘 道 館 史 跡 名 勝 常 磐 公 園 重 要 文 ぶつしようじ 化 財 佛 性 寺 本 堂 ) 4 月 6 日 ( 水 ) 千 葉 県 松 戸 市 ( 重 要 文 化 財 まつ ど と じよう てい 旧 徳 川 家 住 宅 松 戸 戸 定 邸 ) 千 葉 県 柏 市 ( 重 要 文 化 財 旧 吉 田 家 住 宅 ) 千 葉 県 成 田 市 ( 重 要 文 化 財 旧 学 習 院 初 等 科 正 堂 旧 御 子 神 家 住 宅 ) 千 葉 県 栄 町 ( 史 跡 り ゆ う かく じ け い だい とう し 龍 角 寺 境 内 ノ 塔 址 史 跡 龍 角 寺 古 墳 群 岩 屋 古 墳 ) 4 月 7 日 ( 木 ) 茨 城 県 常 陸 太 田 市 ( 史 跡 水 戸 德 川 家 墓 所 ) 茨 城 県 神 栖 市 ( 重 要 文 化 財 山 本 家 住 宅 ) 茨 城 県 鹿 嶋 市 ( 重 要 文 化 財 鹿 島 神 宮 本 殿 ) 茨 城 県 北 茨 城 市 ( 重 要 文 化 財 石 岡 第 一 発 電 所 施 設 ) 青 森 県 八 戸 市 ( 名 勝 たねさし かい がん かぶ しま 種 差 海 岸 天 然 記 念 物 蕪 島 ウミネコ 繁 殖 地 重 要 有 形 民 俗 文 化 財 八 戸 及 び 周 辺 地 域 の 漁 撈 用 具 と 浜 小 屋 ) 4 月 12 日 ( 火 ) 千 葉 県 香 取 市 ( 重 要 伝 統 的 建 造 物 群 保 存 地 区 香 取 市 佐 原 伝 統 的 建 造 物 群 保 存 地 区 史 跡 伊 能 忠 敬 旧 宅 ) 千 葉 県 旭 市 ( 史 跡 大 原 幽 学 遺 跡 ) 4 月 12 日 ( 火 )~14 日 ( 木 ) 宮 城 県 東 松 島 市 塩 竈 市 松 島 町 七 ヶ 浜 町 利 府 町 ( 特 別 名 勝 松 島 ) 4 月 14 日 ( 木 )~15 日 ( 金 ) 福 島 県 郡 山 市 ( 重 要 文 化 財 旧 福 島 県 尋 常 中 学 校 本 館 ) てんきようかく 福 島 県 猪 苗 代 町 ( 重 要 文 化 財 旧 馬 場 家 住 宅 重 要 文 化 財 天 鏡 閣 重 要 文 化 財 きゆうたかまつの みやおきなしまべつ てい 旧 高 松 宮 翁 島 別 邸 ( 福 島 県 迎 賓 館 )) 福 島 県 桑 折 町 ( 重 要 文 化 財 旧 伊 達 郡 役 所 ) 4 月 18 日 ( 月 )~19 日 ( 火 ) あり かべ じ ゆ く ほん じん 宮 城 県 仙 台 市 栗 原 市 大 崎 市 ( 史 跡 仙 台 城 跡 史 跡 旧 有 壁 宿 本 陣 史 跡 山 ゆう び かん 畑 横 穴 群 史 跡 名 勝 旧 有 備 館 および 庭 園 ) 3. 滅 失 毀 損 の 場 合 の 届 出 義 務 等 の 期 間 延 長 について 特 定 非 常 災 害 の 被 害 者 の 権 利 利 益 の 保 全 等 を 図 るための 特 別 措 置 に 関 する 法 律 ( 平 成 8 年 法 律 第 85 号 ) 及 び 平 成 23 年 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 による 災 害 につい ての 特 定 非 常 災 害 及 びこれに 対 し 適 用 すべき 措 置 の 指 定 に 関 する 政 令 ( 平 成 23 年 政 令 19 号 )により 履 行 期 限 のある 義 務 について 東 日 本 大 震 災 により 本 来 の 履 行 期 限 までに 履 行 されなかった 場 合 においても 平 成 23 年 6 月 30 日 までに 履 行 され た 場 合 には 行 政 上 及 び 刑 事 上 の 責 任 を 問 われないこととされた これを 踏 まえ そ の 対 象 となる 文 化 財 保 護 法 上 の 義 務 ( 重 要 文 化 財 等 の 滅 失 毀 損 等 に 係 る 届 出 義 務 な ど) 等 について 各 都 道 府 県 教 育 委 員 会 に 通 知 した (4 月 8 日 付 け 文 化 財 部 長 通 知 ) -2-

4. 埋 蔵 文 化 財 調 査 の 弾 力 的 な 運 用 等 について 東 日 本 大 震 災 に 伴 う 復 旧 工 事 に 係 る 埋 蔵 文 化 財 に 関 する 文 化 財 保 護 法 の 規 定 の 適 用 については 文 化 財 保 護 法 に 基 づく 埋 蔵 文 化 財 の 関 係 規 定 ( 届 出 及 び 通 知 )の 取 扱 い に 関 し その 弾 力 的 な 運 用 及 び 対 象 となる 復 旧 工 事 の 範 囲 ( 仮 設 住 宅 の 建 設 等 )につ いて 文 化 庁 から 関 係 都 道 府 県 教 育 委 員 会 に 通 知 した (3 月 25 日 付 け 文 化 庁 次 長 通 知 ) また 東 日 本 大 震 災 に 伴 う 災 害 復 旧 事 業 で 該 当 県 市 内 の 史 跡 名 勝 天 然 記 念 物 の 指 定 に 係 る 土 地 で 行 われるものについては 文 化 庁 長 官 の 許 可 を 要 しない 非 常 災 害 のた めに 必 要 な 応 急 措 置 を 執 る 場 合 に 当 たるとし その 対 象 となる 災 害 復 旧 事 業 の 範 囲 について 文 化 庁 から 関 係 都 道 府 県 教 育 委 員 会 に 通 知 した (3 月 25 日 付 け 文 化 庁 次 長 通 知 ) 5. 文 化 財 レスキュー 事 業 について 東 日 本 大 震 災 によって 被 災 した 文 化 財 等 を 緊 急 に 保 全 するとともに 損 壊 建 物 の 撤 去 等 に 伴 う 貴 重 な 文 化 財 の 廃 棄 散 逸 を 防 止 するため 独 立 行 政 法 人 国 立 文 化 財 機 構 東 京 文 化 財 研 究 所 を 事 務 局 とし 被 災 文 化 財 等 救 援 委 員 会 を 組 織 し 国 立 文 化 財 機 構 文 化 財 美 術 関 係 団 体 及 び 各 県 教 育 委 員 会 が 協 力 し 緊 急 に 保 全 措 置 を 必 要 とす る 文 化 財 等 の 救 出 応 急 措 置 博 物 館 等 における 一 時 保 管 を 行 う 文 化 財 レスキュー 事 業 を 開 始 した -3-

平 成 23 年 3 月 30 日 文 化 庁 次 長 決 定 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 被 災 文 化 財 等 救 援 事 業 ( 文 化 財 レスキュー 事 業 ) 実 施 要 項 1 事 業 の 目 的 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 被 災 文 化 財 等 救 援 事 業 ( 以 下 救 援 事 業 という )は 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 によって 被 災 した 文 化 財 等 を 緊 急 に 保 全 するとともに 今 後 に 予 想 される 損 壊 建 物 の 撤 去 等 に 伴 う 我 が 国 の 貴 重 な 文 化 財 等 の 廃 棄 散 逸 を 防 止 することを 目 的 とす る 2 事 業 の 内 容 地 震 等 による 直 接 の 被 災 や 被 災 地 各 県 内 の 社 寺 個 人 及 び 博 物 館 美 術 館 資 料 館 等 の 保 存 展 示 施 設 の 倒 壊 又 は 倒 壊 等 の 恐 れ 等 により 緊 急 に 保 全 措 置 を 必 要 とする 文 化 財 等 について 救 出 し 応 急 措 置 をし 当 該 県 内 又 は 周 辺 都 県 ( 以 下 当 該 県 内 等 という ) の 博 物 館 等 保 存 機 能 のある 施 設 での 一 時 保 管 を 行 う 3 事 業 の 対 象 物 国 地 方 の 指 定 等 の 有 無 を 問 わず 当 面 絵 画 彫 刻 工 芸 品 書 跡 典 籍 古 文 書 考 古 資 料 歴 史 資 料 有 形 民 俗 文 化 財 等 の 動 産 文 化 財 及 び 美 術 品 を 中 心 とする 4 事 業 の 実 施 体 制 1) 文 化 庁 は 救 援 事 業 の 実 施 に 当 たって 被 災 地 各 県 と 基 本 方 針 を 協 議 する 2) 救 援 事 業 は 独 立 行 政 法 人 国 立 文 化 財 機 構 ( 以 下 国 立 文 化 財 機 構 という ) 及 び 文 化 財 美 術 関 係 団 体 ( 以 下 関 係 団 体 という )の 連 携 協 力 により 行 うこと とする そのための 組 織 として 文 化 庁 は 国 立 文 化 財 機 構 及 び 関 係 団 体 に 対 し 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 被 災 文 化 財 等 救 援 委 員 会 ( 以 下 救 援 委 員 会 という ) の 設 置 等 を 要 請 する 3) 文 化 庁 は 必 要 に 応 じて 各 都 道 府 県 教 育 委 員 会 に 対 し 学 芸 員 等 の 専 門 職 員 の 派 遣 及 び 被 災 文 化 財 等 の 一 時 保 管 等 について 協 力 を 要 請 する 4) 文 化 庁 は 当 該 県 内 等 の 博 物 館 等 保 存 機 能 のある 施 設 に 対 し 被 災 文 化 財 等 の 一 時 保 管 について 協 力 を 要 請 する 5) 文 化 庁 は 所 有 者 又 は 救 援 委 員 会 の 要 請 に 応 じて 救 援 委 員 会 と 協 力 して 文 化 庁 職 員 を 派 遣 し 被 災 した 文 化 財 等 に 関 し 被 災 状 況 の 調 査 応 急 処 置 一 時 保 管 等 の 活 動 に 当 たらせる 5 事 業 の 実 施 期 間 事 業 の 実 施 期 間 は 平 成 23 年 4 月 1 日 から 平 成 24 年 3 月 31 日 までとする 6 その 他 文 化 庁 における 救 援 事 業 の 事 務 は 長 官 官 房 政 策 課 及 び 文 化 財 部 各 課 の 協 力 を 得 て 文 化 財 部 美 術 学 芸 課 が 行 う

国 指 定 等 文 化 財 の 災 害 復 旧 に 対 する 国 庫 補 助 金 の 補 助 率 について 1. 通 常 の 重 要 文 化 財 ( 建 造 物 美 術 工 芸 品 ) 修 理 防 災 国 庫 補 助 事 業 の 場 合 (1) 補 助 事 業 者 が 地 方 公 共 団 体 又 は 営 利 法 人 の 場 合 50% (2) 補 助 事 業 者 が 非 営 利 法 人 又 は 個 人 の 場 合 50%を 基 礎 に 補 助 事 業 者 の 財 政 規 模 等 に 応 じて 補 助 率 の 加 算 (5% 単 位 で 最 高 35%まで) 総 事 業 費 地 方 公 共 団 体 通 常 の 国 庫 補 助 率 財 政 規 模 等 に 応 補 助 事 業 者 の 負 担 分 じた 補 助 率 の 加 算 50% 国 庫 補 助 2. 災 害 復 旧 事 業 の 場 合 通 常 の 国 庫 補 助 事 業 の 場 合 に 加 え 補 助 率 20%の 加 算 がある( 最 高 85%まで) 総 事 業 費 地 方 公 共 団 体 通 常 の 国 庫 補 助 率 財 政 規 模 等 に 応 災 害 復 旧 の 補 助 事 業 者 の 負 担 分 じた 補 助 率 の 加 算 場 合 の 加 算 50% 20% 国 庫 補 助 ( 最 高 85%まで) * 地 方 公 共 団 体 の 負 担 割 合 は 各 地 方 公 共 団 体 の 割 合 による

国 宝 重 要 文 化 財 等 の 災 害 復 旧 防 災 対 策 予 算 について ( 単 位 : 千 円 ) 事 項 平 成 23 年 度 予 定 額 ( 前 年 度 予 算 額 ) (8,469,614) 建 造 物 9,516,373 ( 修 理 防 災 設 備 整 備 耐 震 診 断 等 ) (1,041,942) 美 術 工 芸 品 1,091,900 ( 修 理 防 災 設 備 及 び 保 存 施 設 整 備 等 ) (5,956,500) 記 念 物 ( 史 跡 名 勝 天 然 記 念 物 ) 3,211,000 ( 保 存 整 備 防 災 設 備 整 備 復 元 整 備 等 ) (668,500) 埋 蔵 文 化 財 0 ( 防 災 設 備 整 備 等 ) (140,000) 文 化 的 景 観 200,000 ( 修 理 防 災 設 備 整 備 等 ) (1,174,030) 伝 統 的 建 造 物 群 1,074,030 ( 修 理 防 災 設 備 整 備 等 ) (210,073) 民 俗 文 化 財 220,073 ( 修 理 防 災 設 備 整 備 等 ) (133,589) 管 理 費 133,589 ( 防 災 設 備 保 守 点 検 等 ) 特 別 要 望 枠 ( 記 念 物 埋 蔵 文 化 財 等 ) (0) ( 史 跡 等 復 元 防 災 設 備 等 ) 3,840,000 対 応 する 予 算 は 予 算 額 の 内 数 災 害 復 旧 事 業 ( 修 理 防 災 等 )については 通 常 の 修 理 事 業 の 補 助 率 (50%)に20%を 加 算 ( 上 限 85%)