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特 定 が 必 要 であり, 法 7 条 の 裁 量 的 開 示 を 求 める 第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 1 本 件 開 示 請 求 について 本 件 開 示 請 求 は, 処 分 庁 に 対 して, 特 定 法 人 が 大 森 税 務 署 に 提 出 した, 特 定 期 間 の 事 業 年 度 に 係 る 法 人 税 確 定 申 告 書 に 添 付 された 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 のう ち, 売 掛 金 ( 未 収 入 金 )の 内 訳 書 及 び 預 貯 金 の 内 訳 書 の 開 示 を 求 めるものであ る 2 本 件 対 象 文 書 について 内 国 法 人 である 普 通 法 人 は, 法 人 税 法 74 条 に 基 づき, 原 則 として 事 業 年 度 終 了 の 日 の 翌 日 から2 月 以 内 に 税 務 署 長 に 確 定 申 告 書 及 びその 添 付 書 類 を 提 出 しなければならないとされている また, 確 定 申 告 書 には, 法 人 税 法 施 行 規 則 ( 以 下 規 則 という )35 条 1 項 に 基 づく 当 該 事 業 年 度 の 貸 借 対 照 表 及 び 損 益 計 算 書 ( 以 下 決 算 書 等 とい う ) 及 び 同 条 3 項 に 基 づく 当 該 決 算 書 等 に 係 る 勘 定 科 目 内 訳 書 明 細 を 添 付 する こととされている 本 件 対 象 文 書 は, 規 則 35 条 3 項 に 規 定 された 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 のうち, 売 掛 金 ( 未 収 入 金 ) 及 び 預 貯 金 の 内 訳 明 細 書 である 通 常, 確 定 申 告 書 に 添 付 される 決 算 書 等 における 資 産 や 負 債 等 の 各 項 目 は, 一 般 的 な 勘 定 科 目 ( 売 掛 金 及 び 預 貯 金 等 )を 用 いて 表 示 されており,そ れら 各 勘 定 科 目 の 詳 細 な 説 明 資 料 として, 規 則 35 条 3 項 は, 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 を 添 付 することを 義 務 付 けている これは, 国 税 当 局 においては, 法 人 の 決 算 が 税 法 に 定 められている 諸 規 定 や 企 業 会 計 原 則 に 従 って 公 正 妥 当 に 行 われ, その 結 果 が 決 算 書 等 に 適 正 に 表 現 されているかどうかを 確 認 する 必 要 があるた めである また, 確 定 申 告 書 に 添 付 すべき 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 は, 当 該 事 業 年 度 の 決 算 書 等 に 係 るものに 限 定 されているところ, 当 該 決 算 書 等 に 記 載 のない 勘 定 科 目 に 係 る 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 については 提 出 する 必 要 はないとされてい る 3 原 処 分 について 処 分 庁 は, 平 成 23 年 2 月 24 日 付 け 大 森 総 総 第 5002 号 により, 本 件 対 象 文 書 の 存 否 を 明 らかにすることは, 当 該 法 人 の 財 務 状 況 や 経 営 状 況 等 を 公 に することになり, 当 該 法 人 が 同 業 他 社 との 競 争 関 係 において 不 利 となるなど, 当 該 法 人 の 正 当 な 利 益 を 害 するおそれがあるため, 法 5 条 2 号 イの 不 開 示 情 報 を 開 示 することになるとして, 法 8 条 の 規 定 により, 原 処 分 を 行 った これに 対 し 審 査 請 求 人 は, 原 処 分 の 取 消 し 及 び 本 件 対 象 文 書 の 開 示 を 求 め, 平 成 23 年 2 月 25 日 に 審 査 請 求 を 行 ったことから, 以 下, 原 処 分 の 妥 当 性 に 2

ついて 検 討 する 4 原 処 分 の 妥 当 性 ついて 本 件 対 象 文 書 の 存 否 を 答 えることは, 特 定 法 人 が 特 定 の 事 業 年 度 ( 終 了 の 日 時 点 )において, 売 掛 金 ( 未 収 入 金 ) 及 び 預 貯 金 を 有 しているか 否 かに 関 する 情 報 ( 以 下 本 件 存 否 情 報 という )を 明 らかにする 結 果 を 生 じさせる ものと 認 められる 以 下, 本 件 存 否 情 報 の 不 開 示 情 報 該 当 性 について 検 討 する (1) 法 5 条 2 号 イ 該 当 性 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 は, 上 記 2のとおり, 法 人 の 決 算 書 等 の 内 容 を 具 体 的 に 反 映 するものであり,それらは 一 体 として 当 該 法 人 の 財 務 状 況 等 を 明 らか にするものである したがって, 本 件 存 否 情 報 は,これを 公 にした 場 合, 特 定 法 人 の 財 務 状 況 等 が 明 らかとなり, 当 該 法 人 が 同 業 他 社 との 競 争 関 係 において 不 利 となるな ど, 特 定 法 人 の 正 当 な 利 益 を 害 するおそれがあるため, 法 5 条 2 号 イの 不 開 示 情 報 に 該 当 すると 認 められる (2) 法 5 条 6 号 柱 書 き 及 びイ 該 当 性 我 が 国 においては, 申 告 納 税 制 度 が 採 用 されているところ, 国 税 庁 は 納 税 者 の 自 発 的 な 納 税 義 務 の 履 行 を 適 正 かつ 円 滑 に 実 現 することをその 使 命 とし ている そのため, 善 良 な 納 税 者 が 課 税 の 不 公 平 感 を 持 つことがないよう, 納 税 義 務 が 適 正 に 果 たされていないと 認 められる 納 税 者 に 対 しては, 的 確 な 指 導 や 調 査 を 実 施 することによって 誤 りを 確 実 に 是 正 することとしている このような 国 税 庁 の 使 命 に 鑑 みると, 法 人 から 提 出 される 法 人 税 確 定 申 告 書 及 びその 添 付 書 類 は, 国 税 当 局 において, 当 該 法 人 の 納 税 義 務 が 適 正 に 果 たされているかどうかを 確 認 するための 重 要 な 手 掛 かりとなるものであると 認 められる 本 件 存 否 情 報 を 公 にした 場 合, 上 記 (1)のとおり, 特 定 法 人 の 正 当 な 利 益 を 害 するおそれがあるため,じ 後, 書 類 の 提 出 をちゅうちょするなど, 適 正 な 申 告 が 行 われなくなるおそれがある そして,このような 事 態 が 生 ずれば, 国 税 当 局 が 行 う 調 査 事 務 等 において, 特 定 法 人 の 内 部 関 係 や 財 務 状 況 を 把 握 することが 困 難 となり,ひいては, 正 確 な 税 額 の 計 算 が 困 難 になるなど, 税 務 行 政 の 適 正 な 遂 行 に 支 障 を 及 ぼすお それがある したがって, 本 件 存 否 情 報 は, 法 5 条 6 号 柱 書 き 及 びイの 不 開 示 情 報 に 該 当 するものと 認 められる 5 審 査 請 求 人 の 主 張 について 3

審 査 請 求 人 は, 上 記 第 2の2(1)ないし(5)のとおり 主 張 するが, 以 下 のとおり,その 主 張 に 理 由 はない (1) 上 記 第 2の2(1)ないし(3)について 処 分 庁 は, 本 件 対 象 文 書 の 存 否 を 答 えるだけで, 本 件 存 否 情 報 という 不 開 示 情 報 を 開 示 することになるため,その 存 否 を 明 らかにせずに 開 示 請 求 を 拒 否 する 旨 の 原 処 分 を 行 ったのであり, 上 記 4のとおり,その 処 分 は 妥 当 であ る (2) 上 記 第 2の2(4)について 審 査 請 求 人 は, 本 件 対 象 文 書 に 係 る 特 定 法 人 が 破 綻 状 態 にあることを 前 提 として 開 示 請 求 している しかしながら, 特 定 法 人 が 破 綻 状 態 にあるか 否 かは 不 明 であること, 本 件 存 否 情 報 を 公 にした 場 合, 当 該 法 人 の 財 務 状 況 等 が 明 らかとなり, 当 該 法 人 が 同 業 他 社 との 競 争 関 係 において 不 利 となるなど, 当 該 法 人 の 正 当 な 利 益 を 害 するおそれがあるため, 法 5 条 2 号 イの 不 開 示 情 報 に 該 当 することから, 審 査 請 求 人 の 主 張 には 理 由 がない (3) 上 記 第 2の2(5)について 法 に 定 めた 開 示 請 求 権 制 度 においては, 開 示 請 求 者 が 誰 であるか, 開 示 請 求 に 係 る 行 政 文 書 に 記 録 されている 情 報 について 利 害 関 係 を 有 しているかど うかなどの 個 別 的 事 情 は, 当 該 行 政 文 書 の 開 示 決 定 等 の 結 論 に 影 響 を 及 ぼさ ない したがって, 特 定 法 人 に 対 し 民 事 訴 訟 において 強 制 執 行 付 与 判 決 が 出 ているとの 審 査 請 求 人 の 主 張 は, 当 該 結 論 に 何 ら 影 響 しない また, 法 7 条 に 規 定 する 裁 量 的 開 示 とは, 開 示 請 求 に 係 る 行 政 文 書 に 不 開 示 情 報 が 記 録 されている 場 合 であっても, 行 政 機 関 の 長 が, 公 益 上 特 に 必 要 と 認 めるときは,これを 開 示 することができるとするものである その 判 断 は, 当 該 不 開 示 情 報 を 公 にすることについて, 保 護 すべき 利 益 を 上 回 る 公 益 上 の 必 要 性 があると 認 められるかどうかによって 行 われる 本 件 において, 審 査 請 求 人 の 主 張 をもって, 本 件 存 否 情 報 を 開 示 すること に,これを 不 開 示 とすることにより 保 護 される 利 益 を 上 回 る 公 益 上 の 必 要 性 があるかどうかの 判 断 はできない 6 結 論 以 上 のことから, 本 件 開 示 請 求 につき, 本 件 対 象 文 書 の 存 否 を 答 えるだけで, 特 定 法 人 が 特 定 の 事 業 年 度 において, 売 掛 金 ( 未 収 入 金 ) 及 び 預 貯 金 を 有 しているか 否 かに 関 する 情 報 ( 本 件 存 否 情 報 )という 法 5 条 2 号 イ 並 びに 同 条 6 号 柱 書 き 及 びイの 不 開 示 情 報 を 開 示 することになるため, 処 分 庁 が 行 った 法 8 条 に 基 づく 原 処 分 は 妥 当 であると 判 断 する 4

第 4 調 査 審 議 の 経 過 当 審 査 会 は, 本 件 諮 問 事 件 について, 以 下 のとおり, 調 査 審 議 を 行 った 1 平 成 23 年 5 月 19 日 諮 問 の 受 理 2 同 日 諮 問 庁 から 理 由 説 明 書 を 収 受 3 平 成 24 年 4 月 12 日 審 議 4 同 月 26 日 審 議 第 5 審 査 会 の 判 断 の 理 由 1 本 件 対 象 文 書 について 本 件 開 示 請 求 は, 開 示 請 求 書 の 記 載 によれば, 別 紙 に 掲 げる 文 書 ( 本 件 対 象 文 書 )の 開 示 を 求 めるものである 処 分 庁 は, 原 処 分 において, 本 件 対 象 文 書 の 存 否 を 答 えるだけで 法 5 条 2 号 イの 不 開 示 情 報 を 開 示 することとなるため, 法 8 条 に 基 づき 開 示 請 求 を 拒 否 し ており, 諮 問 庁 は 該 当 条 項 に 同 条 6 号 柱 書 き 及 びイを 加 えた 上 で, 原 処 分 は 妥 当 であるとしている これに 対 し, 審 査 請 求 人 は, 法 7 条 に 基 づく 裁 量 的 開 示 を 求 めるなどと 主 張 し, 原 処 分 の 取 消 しを 求 めていることから, 以 下, 本 件 対 象 文 書 の 存 否 応 答 拒 否 の 適 否 について 検 討 する 2 法 人 が 提 出 する 確 定 申 告 書 の 添 付 書 類 について 内 国 法 人 は, 法 人 税 法 74 条 1 項 に 基 づき, 原 則 として 事 業 年 度 終 了 の 日 の 翌 日 から2 月 以 内 に 税 務 署 長 に 対 し 確 定 申 告 書 を 提 出 しなければならないとさ れ, 同 条 3 項 により, 当 該 事 業 年 度 の 貸 借 対 照 表, 損 益 計 算 書 その 他 の 財 務 省 令 で 定 める 書 類 を 添 付 しなければならないとされている そして, 法 人 税 法 74 条 3 項 ( 確 定 申 告 書 の 添 付 書 類 )に 規 定 する 財 務 省 令 で 定 める 書 類 について, 規 則 35 条 1 号 で, 当 該 事 業 年 度 の 貸 借 対 照 表 及 び 損 益 計 算 書, 同 条 3 号 で, 同 条 1 号 に 掲 げるものに 係 る 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 を 添 付 する 書 類 として 規 定 している 3 本 件 対 象 文 書 の 存 否 応 答 拒 否 について 本 件 対 象 文 書 は, 特 定 法 人 が, 国 税 当 局 に 対 して 売 掛 金 ( 未 収 入 金 )の 内 訳 明 細 書 及 び 預 貯 金 の 内 訳 明 細 書 を 提 出 していることを 前 提 としたものであり, 本 件 対 象 文 書 の 存 否 を 明 らかにすることは, 特 定 法 人 が 特 定 の 事 業 年 度 ( 終 了 の 日 時 点 )において, 売 掛 金 ( 未 収 入 金 ) 及 び 預 貯 金 を 有 しているか 否 かに 関 する 情 報 ( 本 件 存 否 情 報 )を 明 らかにすることと 同 様 の 結 果 を 生 じさせること から, 以 下, 本 件 存 否 情 報 の 不 開 示 情 報 該 当 性 について 検 討 する (1) 法 5 条 2 号 イ 該 当 性 について ア 諮 問 庁 は, 理 由 説 明 書 において, 次 のとおり 説 明 する 5

確 定 申 告 書 に 添 付 すべき 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 は, 当 該 事 業 年 度 の 決 算 書 等 ( 本 件 においては, 貸 借 対 照 表 )に 係 るものに 限 定 されているところ, 当 該 決 算 書 等 に 記 載 のない 勘 定 科 目 に 係 る 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 については, 提 出 する 必 要 はないとされている そして, 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 は, 法 人 の 決 算 書 等 の 内 容 を 具 体 的 に 反 映 するものであり,それらは 一 体 として 特 定 法 人 の 財 務 状 況 等 を 明 らかにす るものである したがって, 本 件 存 否 情 報 は,これを 公 にした 場 合, 法 人 の 財 務 状 況 等 が 明 らかとなり, 当 該 法 人 が 同 業 他 社 との 競 争 関 係 において 不 利 となるな ど, 当 該 法 人 の 正 当 な 利 益 を 害 するおそれがあるため, 法 5 条 2 号 イの 不 開 示 情 報 に 該 当 する イ 上 記 アの 諮 問 庁 の 説 明 を 踏 まえ, 本 件 存 否 情 報 の 法 5 条 2 号 イ 該 当 性 に ついて 検 討 する (ア) 会 社 を 設 立 した 場 合 には, 会 社 法 911 条 1 項 及 び3 項 により, 商 号 や 本 店 所 在 地 など 必 要 事 項 を 登 記 しなければならないと 規 定 されており, 登 記 した 事 項 については, 何 人 も 手 数 料 を 納 付 して, 登 記 簿 ( 登 記 すべ き 事 項 が 記 録 される 帳 簿 )に 記 録 されている 事 項 を 証 明 した 書 面 の 交 付 を 請 求 できる( 商 業 登 記 法 10 条 1 項 )とされていることからすると, 特 定 法 人 が 存 在 するか 否 かについては, 制 度 上, 公 にすることが 予 定 さ れているものである そして, 特 定 法 人 は, 諮 問 庁 の 説 明 及 び 審 査 請 求 人 の 主 張 から 内 国 法 人 であることは 明 らかであるので, 当 該 法 人 は 上 記 2のとおり, 原 則 と して, 確 定 申 告 書 及 びその 添 付 書 類 を 税 務 署 長 に 対 し 提 出 しなければな らない 法 人 であるので, 特 定 法 人 が 確 定 申 告 書 の 添 付 書 類 である 本 件 対 象 文 書 を 提 出 することは, 法 人 税 法 等 によって 当 然 に 予 定 されているこ とであると 言 える したがって, 本 件 存 否 情 報 は, 特 定 法 人 が 法 人 税 法 等 で 提 出 すること が 規 定 されている 書 類 を 提 出 したか 否 かを 明 らかにする 情 報 にすぎない ものと 認 められる (イ) 諮 問 庁 は, 本 件 対 象 文 書 ( 売 掛 金 ( 未 収 入 金 ) 及 び 預 貯 金 の 内 訳 明 細 書 )について, 上 記 アのとおり, 決 算 書 等 と 一 体 として 特 定 法 人 の 財 務 状 況 等 を 明 らかにするものであると 説 明 する しかし, 法 人 が 事 業 活 動 を 行 うに 際 して, 売 掛 金 ( 未 収 入 金 ) 又 は 預 貯 金 を 有 していることは 一 般 的 なことである また, 売 掛 金 ( 未 収 入 金 ) 及 び 預 貯 金 については, 法 人 が 継 続 的 に 事 業 活 動 を 行 う 中 で 増 減 するの 6

が 通 常 であり, 本 件 存 否 情 報 は, 事 業 年 度 終 了 の 時 点 という 特 定 の 時 点 において, 売 掛 金 ( 未 収 入 金 ) 及 び 預 貯 金 を 有 しているか 否 かを 表 して いるにすぎないことから, 本 件 対 象 文 書 の 存 否 を 明 らかにすることによ って, 特 定 法 人 の 財 務 状 況 等 が 明 らかになるとまでは 言 えない (ウ) 以 上 のことから, 本 件 存 否 情 報 を 明 らかにすることにより, 直 ちに 特 定 法 人 の 権 利, 競 争 上 の 地 位 その 他 正 当 な 利 益 を 害 するおそれがあると まで 認 められる 事 情 は 存 しないことから, 本 件 存 否 情 報 は 法 5 条 2 号 イ の 不 開 示 情 報 には 当 たらない (2) 法 5 条 6 号 柱 書 き 及 びイ 該 当 性 について ア 諮 問 庁 は, 理 由 説 明 書 において, 次 のとおり 説 明 する 本 件 存 否 情 報 を 明 らかにすることにより, 特 定 法 人 の 正 当 な 利 益 を 害 す るおそれがあるため,じ 後, 書 類 の 提 出 をちゅうちょするなど, 適 正 な 申 告 が 行 われなくなるおそれがある そして,このような 事 態 が 生 ずれば, 国 税 当 局 が 行 う 調 査 事 務 等 におい て, 法 人 の 内 部 関 係 や 財 務 状 況 を 把 握 することが 困 難 となり,ひいては, 正 確 な 税 額 の 計 算 が 困 難 になるなど, 税 務 行 政 の 適 正 な 遂 行 に 支 障 を 及 ぼ すおそれがある したがって, 本 件 存 否 情 報 は, 法 5 条 6 号 柱 書 き 及 びイの 不 開 示 情 報 に 該 当 する イ そこで 検 討 すると, 上 記 (1)イのとおり, 本 件 存 否 情 報 を 明 らかにす ることにより, 直 ちに 特 定 会 社 の 権 利, 競 争 上 の 地 位 その 他 正 当 な 利 益 を 害 するおそれがあるとまで 認 められる 事 情 は 存 しない そして, 本 件 対 象 文 書 は 法 人 税 法 等 で 提 出 が 義 務 付 けられている 勘 定 科 目 内 訳 明 細 書 であることからすると, 法 人 が,これを 提 出 するか 否 かを 判 断 する 余 地 はなく, 当 然 に 提 出 されるべきものであり,これが 提 出 されな い 場 合 には,その 必 要 性 に 応 じて, 国 税 当 局 が 法 人 に 対 して 提 出 を 促 すな どの 措 置 を 講 ずることが 当 然 に 想 定 される 以 上 のことからすると, 本 件 存 否 情 報 を 明 らかにすることにより,じ 後, 特 定 法 人 が 当 該 明 細 書 の 提 出 をちゅうちょするなど, 適 正 な 申 告 が 行 われ なくなるおそれがあるとする 諮 問 庁 の 説 明 は 首 肯 できず, 国 税 当 局 が 行 う 調 査 事 務 等 において, 法 人 の 内 部 関 係 や 財 務 状 況 を 把 握 することが 困 難 と なり,ひいては, 正 確 な 税 額 の 計 算 が 困 難 になるなど, 税 務 行 政 の 適 正 な 遂 行 に 支 障 を 及 ぼすおそれがあると 認 められないことから, 本 件 存 否 情 報 は, 法 5 条 6 号 柱 書 き 及 びイの 不 開 示 情 報 には 当 たらない 4 本 件 不 開 示 決 定 の 妥 当 性 について 7

以 上 のことから, 本 件 対 象 文 書 につき,その 存 否 を 答 えるだけで 開 示 するこ ととなる 情 報 は 法 5 条 2 号 イに 該 当 するとして,その 存 否 を 明 らかにしないで 開 示 請 求 を 拒 否 した 決 定 について, 諮 問 庁 が 当 該 情 報 は 同 条 2 号 イ 並 びに6 号 柱 書 き 及 びイに 該 当 するとして 当 該 決 定 を 妥 当 としていることについては, 当 該 情 報 は 同 条 2 号 イ 並 びに6 号 柱 書 き 及 びイに 該 当 せず, 本 件 対 象 文 書 の 存 否 を 明 らかにして 改 めて 開 示 決 定 等 すべきであることから, 同 決 定 を 取 り 消 すべ きであると 判 断 した ( 第 4 部 会 ) 委 員 森 田 明, 委 員 大 橋 洋 一, 委 員 中 曽 根 玲 子 8

別 紙 ( 本 件 対 象 文 書 ) 特 定 会 社 代 表 取 締 役 Aが 作 成 した 平 成 21 年 度 (22 年 3 月 期 ) 法 人 税 申 告 書 に 添 付 された 総 勘 定 元 帳 元 内 訳 書 の 売 掛 金 ( 未 収 入 金 )の 内 訳 書 及 び 預 貯 金 の 内 訳 書 9