Ministry of I nternal Affairs and C ommunications
C o n t e n t s 01 先輩からの メッセージ 政策の最前線から 7 国家公務員は社会の重要な基盤 吉開 正治郎 9 政府のレビュー機能の中核を担う 新井 誠一 11 13 想像すること 創ることのおもしろさ 新田 一郎 02 38 39 幅広く広がる フィールド 地方から海外まで 全てを受け止め そして返す 上月 良祐 グローバル スタンダードを獲りに行こう 井田 俊輔 活躍の場は地方へ 41 現場を基点に社会を考える 田林 信哉 地方はグローバル 尾﨑 祐子 立場を変えて仕事をするということ 国 県 市での勤務経験から 寺田 雅一 15 ICT利活用 による新たな価値創造への挑戦 吉田 恭子 いろいろな命 暮らしを想う 久保 歩美 17 愚か者 たちに加わらないか 中村 朋浩 活躍の場は海外へ 43 職員の思い It s総務省 大臣官房 19 いざ霞ヶ関に そして総務省に 笠置 隆範 行政制度の管理運営 20 省益を超えた視点 簡素で効率的な政府を実現するために 栗原 淳 21 政府統計の中核を担う 久保 奨 22 坂の上の雲を信じて 安藤 毅 23 懸命に生きる人が 明日に希望を持てる社会に 是永 愉里 地方自治行政 24 夢見る頃を過ぎても 山﨑 重孝 25 現場主義 この国のあり方 を考えませんか 風早 正毅 26 改革マインドを持って 松隈 健一 27 何色の絵の具で日本を彩ろうか 夢見る官僚 南里 明日香 欧州の中心にて 谷口 謙治 アジアの喧噪の中で 石谷 寧希 肌で感じる米国政治 行政の現場 長岡 丈道 01 先輩からの メッセージ 情報通信 郵政行政 28 躍動する世界へ ICTのグローバル展開 湯本 博信 29 輝く未来に向けて 50年後の社会を見据えて 柴山 佳徳 30 31 地デジ で 情報通信 で 世界が変わる 鎌田 俊介 総務省というところ 4年目の所感 成相 寿一 他省庁から 32 ニュースな職場へ 原 邦彰 育休 産休経験者 33 すべてに全力投球 飯村 由香理 留学便り 34 留学の効用 佐藤 啓 35 アメリカはミシガン州からこれまでを振り返ってみて 前田 京太郎 1年生のメッセージ 5 36 みんなのふるさと 守りませんか 宮崎 正志 37 学生から総務省職員へ 松本 惇 6
Schedule
第二章 幅広く広がるフィールド イースト ランシング ダーラム 活躍の場は海外へ オックスフォード ストラスブール プロバンス メルボルン 欧州の中心にて 在ベルギー日本国大使館一等書記官 谷口 謙治 私は今 ヨーロッパの十字路といわれるベルギー王 国の日本国大使館に勤務しています その中のベルギ ー班に所属し 当地の政治 経済 社会の動きに関する 情報収集や関係者への働きかけ等を班員の方と協力 して行っています 皆さんベルギーについてはどのようなイメージを お持ちでしょうか チョコレートでできた 小便小 僧 フランダースの犬の舞台 少なくとも 当地に赴 任する前に私が持っていたイメージはその程度であ り 平穏な生活が待っているものとばかり思っていま した しかしながら 面積 人口共に日本の12分の1 ほどの欧州の中心にあるこの小国に ゲルマン民族と ラテン民族が同居し 経済格差問題も絡んだ実に複雑 な政治事情を抱え 建国以来常に分裂と隣り合わせで あったということ そして分裂を回避するための累次 の国家制度改革の果てに 6つの議会 49人の大臣を 擁する連邦国家となっているという現実は 島国であ る日本から来た私にはなかなか理解しがたいもので した 昨年6月に連邦議会選挙が行われた後 これを 書いている現在約7ヶ月が経過していますが 交渉が 紛糾していまだに連邦政府が組閣されない状況の中 で 交渉の行方を報じる新聞からは目が離せず また 様々な有識者に会って今後の見通しを聞いてまわり フランス語のやり取りを半泣きになりつつメモを取 り 上司が真っ赤に直してくれた報告書を清書して東 京に送るという日々を過ごしています それにしても7ヶ月もの間新たな政府が組織され ないのに 国民の日常生活には支障が生じていない ように見える のは驚きです それだけ地方政府へ の権限移譲が進んでいるのか 中央政府への期待が 薄いのか いずれにしても日本では考えられないこ とです このように 海外情勢を肌身で感じることで 日本を相対的に見る目を養うことができるという意 味において 在外勤務は大変良い経験だと思います その点 総務省では 留学 在外勤務等の機会に恵ま れており そこで培われた多角的な視点は幅広い分 43 アジアの喧噪の中で 肌で感じる米国政治 行政の現場 在マレーシア日本国大使館二等書記官 在サンフランシスコ日本国総領事館領事 石谷 寧希 野を所管する総務省で仕事をする上で必ず活きてき ます カルチャーショックをばねに自分を成長させ たいという気概をお持ちの方 是非総務省の門を叩 いてください 最後に ベルギーは国民一人当たりのレストランの 数が世界一とのことで フランスと並ぶ美食の国であ ります また 国内に400種類以上の地ビールがひし めく ドイツと並ぶビール大国でもあります ラテン とゲルマンが出会う国ならではの長所といえるでし ょう 総務省で皆さんにお会いするときに私だと分 かっていただけるよう 少なくともここに掲載して いる写真以上に太らないことを自らの戒めにしたい と思います 経 歴 平成12年 4月 総務庁採用 同 恩給局審議課法規係 平成13年 1月 総務省人事 恩給局恩給企画課法規係 平成13年 7月 島根県総務部地方課 平成14年 7月 総務省自治税務局企画課企画係 平成15年 9月 同 大臣官房総務課審査第一係長 平成17年 4月 同 人事 恩給局総務課総括係長 平成18年 10月 同 人事 恩給局公務員高齢対策課 課長補佐心得 平成19年 7月 同 人事 恩給局公務員 高齢対策課課長補佐 平成20年 7月 同 内閣官房情報通信技術 IT 担当室主幹 平成22年 7月 現職 ギラギラと照りつける太陽 昼夜絶え間なく続く建 設ラッシュの喧噪 私は現在 在マレーシア日本国大 使館の情報通信政策の担当者として マレーシア ク アラ ルンプールに来ている ここマレーシアも 他のアジア諸国や新興国と同 様 猛烈な勢いで経済開発が進められている マレー シア政府は 原子力発電所の導入 上下水道の整備と いった開発政策を矢継ぎ早に打ち出し 民間セクター でも 格安航空エアアジアの羽田就航など 世界にお いて存在感を高めつつある 情報通信技術 ICT 分野においても その動きは例 外ではない 先進国のみならず新興国においても 携 帯電話をはじめとするICTは 国民に必要不可欠なイ ンフラとして急激に普及が進んでいる また ビジネ ス 教育 医療などの他の分野の生産性を高める経済 成長のキー ドライバーとして ICTは他の分野以上に 重要視されている マレーシアでも 1990年代よりICTの重要性が叫 ばれ ICTのグローバル ハブ化を目指した都市開発が 進められてきた 2009年には携帯電話は普及率が 100%を超え 2010年には光ファイバを利用した超 高速ブロードバンド サービスが開始された これに 伴い中国 韓国企業などの進出も加速しており ICT は これまで以上に注目が集まっている このような状況の中 大使館での業務は 任国のICT 政策に関する情報収集をはじめとして ICT分野の貿 易自由化交渉 我が国のICT産業の国際展開支援など 多岐にわたる 特に ICT産業の国際展開支援においては 地上デジ タル放送の日本方式の採用などに向けて世界各国で トップ外交を推進している 新興国では 政府主導で 経済開発やインフラ整備を進めることが多いためト ップ外交により売り込みを図ることが特に重要であ り 中国や韓国などもその動きを活発化させている 日本も負けてはいられない マレーシアにおいても 2011年1月に総務大臣と 長岡 丈道 マレーシア首相との会談が実現 総理の親書を携え 原子力 水分野とともに超高速ブロードバンドの普及 のための協力に向けた働きかけが行われた 私も そ の最前線でマレーシア政府と交渉するなど その実現 に奔走した 異国の地において 言葉や文化の違いな ど様々な困難はあっても 自らの行動が日本や世界に インパクトを与えることができると実感できる ICT分野の世界的な重要性の高まりにより 総務省 では グローバルなフィールドで活躍する機会も多い 私は これまで総務省で 電気通信事業の規制改革 携 帯電話事業の新規参入の実現 2010年12月から新た にスタートした次世代携帯電話 LTE の導入などの業 務に従事し 国民の目に見える政策の最前線に携わる という貴重な経験を得ることができた マレーシアと いうアジアの最前線での経験も これまでの業務と同 様に 何物にも代え難い貴重な経験となるだろう こうした最前線で活躍する機会を与えてくれる総 務省というフィールド 国内外問わず ダイナミック で刺激的な舞台を求める皆さんには ぜひ総務省の門 を叩いて欲しい 霞が関という限定された場所でパソコンに向かう こうした業務の遂行にあたっては 素地として 日 毎日では 国家公務員として日本の将来像をおぼろげ 本の政治 行政事情 選挙制度なども含む に通じてお にしか描けないのではないか そんな思いを抱いてい り 日本側の要請に即した情報を適時適切に入手 分 た学生時代の私は 日本全国で様々な人々と出会いそ 析し または自身の経験から 外交工作上鍵となる重 の生活 文化を肌で感じ 地に足のついた 日本 を語 要人物を早期に探り当てるなどの能力が必要となり る先輩方に憧れ 総務省に入省しました 以来約8年 ます 在外公館に総務省の人材が求められる理由はこ 和歌山県庁 消防 選挙 地方分権改革と 地方と国か こにあり 日本の国 地方を通じた行政制度のプロと ら様々な内政事項に携わってきた私は 現在 米国カ しての活躍が求められているわけです リフォルニア州サンフランシスコの日本総領事館で 州政府 議会に深く分け入るほど その泥臭い現状 領事 すなわち外交官の任務に就いています ひとえ もよく見え 現場を 肌で感じる という私の希望も に 米国の政治 行政の現場を肌で感じ その有り様か 着々と達成しています 今はこれらの体験をどう日本 ら将来の日本に活用可能なヒントを発見したいとい に持ち帰るのかを総括しようとしているところです う思いから この任務を希望しました 将来 私の感じた生の米国政治 行政を皆さんにお伝 現在の私の業務は 米国カリフォルニア州及びネバダ えし 日本の将来について地に足のついた議論ができ 州について ①政府 議会の動向の把握 分析 報告 ②州 る日が来ることを楽しみにしています 知事や議会議員などに対する親日化工作 ③地方間の 国際交流 姉妹都市交流など の促進 支援 です 特に カリフォルニア州は 州単独で世界第8位のGDPを 誇る米国経済のエンジンであり 日本との関係という 経 歴 平成14年 4月 総務省採用 平成14年 8月 同 総合通信基盤局 電気通信事業部事業政策課 平成16年 7月 同 電波部電波環境課 平成17年 1月 同 電波環境課 兼 移動通信課 平成17年 8月 財務省主計局法規課調査主任 観点からも 州レベルでの規制法ひとつが日系投資や 対日輸出入に大きな影響を与える可能性があります ①は日本政府が外交政策を立案するための基礎情報の 提供であり 在外公館の任務として非常に重要です ② 同 自治財政局調整課 は例えば政治リーダーの訪日を促し政治経済 文化の直 平成15年 8月 和歌山県総務部総務管理局市町村課 接体験等を通じて親日感を醸成 深い協力関係を構築 平成16年 4月 同 総務部総務管理局財政課 するというものであり 外交 という単語からはこち 平成17年 4月 総務省消防庁予防課 らの方がイメージしやすいかもしれません 昨年9 平成19年 7月 総務省総合通信基盤局 電波部電波政策課専門職 月 シュワルツェネッガー知事の訪日時にも 準備段 平成20年 7月 同 移動通信課課長補佐 整をしていました ③は民間 地方レベルで交流を深 平成21年 6月 現職 経 歴 平成15年 4月 総務省採用 階から日本側窓口として州政府等関係機関と日夜調 め 裾野広く対日理解を増進しようというものです 平成18年 4月 同 自治行政局選挙部選挙課 平成20年 4月 内閣府地方分権改革推進委員会事務局 同 本府地方分権改革推進室 平成21年 3月 現職 44