日血外会誌 2巻1号 86 図1症例1 術前DSA. a 右上 上肢下垂時 b 右下 上肢挙上時 e 左 前腕部多発性塞栓 恰 J' J, 7.,, E:7,. 図3症例1 a 上 切除標本 図2症例1 術後動脈造影 矢印は吻合部を示す a 上 上肢挙上時 b 下 上肢下垂時 鎖骨下動脈瘤の内腔に壁在血栓を認 める b 下 :EVG染色の病理像
1993年2月 古屋ほか 上肢動脈病変を伴った胸郭出口症候群 87 -= 薦ドリ こi こj : J'.'l.一万 i=j?; :ミlj,2?'; Sar-V 牡牛乙.yl 4 E一. 一一.に'.. I '-a : 1. j づ仁斤二 = 'll' j=lj ' 白白丿 '.., j. トンガ1 l ぷ '. l..r '. II."-, 2.11 --- 31ご 二 こ J..',I石ド一一フ フ一一,-.r - I..,-., 11.... リ:. y.に.'. レ..べ1'r'ぺI! 図4症例2 図5 症例2 a 上 b 下 矢印は順肋を示す a 上 上肢下垂時 b 下 上肢挙上時 頭肋 細い白矢印 を乗り越えるところで狭窄 黒矢印 動脈瘤が3例あり 鎖骨下動脈の閉塞は2例 上腕動 し その後 瘤化 太い白矢印 脈 僥骨動脈 尺骨動脈の閉塞はそれぞれ3例で 無 症状の1例を除き 4例が多発性の閉塞であった 動脈瘤切除 自家静脈移植を行った 術後の動脈造影 術式は頚肋切除を4例に 第一肋骨切除を1例に を図2に示す 矢印は吻合部を示すが 上肢挙上時(図 血行再建を4例に行った 鎖骨下動脈に対する処置を 2a),上肢下垂時(図2b)ともに狭窄は認めず 血流は 3例 自家静脈によるバイパスを2例に行って,全例開 良好である 存し 症状の改善を得ている 切除標本(図3a)では 内腔に器質化した壁在血栓 を認め 病理(図3b)では 中膜弾性線維の乱れ 壁 症 例 のeccentricな肥厚 壁在血栓を認めた 症例1 62歳 男性 症例2 右前腕の冷感で発症 入院時現症で血圧は右104/70 右鎖骨上郷に拍動性腫瘤を自覚 冷感 疼痛といっ mmhg,左120/70 た虚血症状はない 入院時現症として 右鎖骨上郷に mmhg と 左右差を認めた. Adson 60歳 女性 testは陰性, Wright testは陽性であった 1 3cmの拍動性腫瘤を認め その下に骨様の突起を 胸部X線にて両側に頚肋を認める. 触知した 血圧に左右差は認めない DSAでは,上肢 下垂時 鎖骨下動脈の瘤様拡張を認め(図la 白矢 胸部X線で 両側に頚肋を認める(図4a, b).動脈 印) 上肢挙上時 同部は著明な狭窄を呈する(図lb. 造影では 上肢下垂時(図5a),頚肋(細い白矢印)を 黒矢印) また,前腕部動脈には多発 生塞栓を認める(図 乗り越える部位で狭窄し(黒矢印) 鎖骨と交差する部 lc 黒矢印) 位で瘤を形成する(太い白矢印) 上肢挙上時(図 手術は 鎖骨上到達法により 右頚肋切除 鎖骨下 5b),順肋部で鎖骨下動脈の屈曲は増強するが,狭窄は
日血外会誌 2巻1号 88 症例3 64歳 男性 ノ1 左上肢の疼痛 知覚異常 脱力感に対し 他医にて 77;1 バージャー病の診断のもとに 左胸部交感神経節切除 上七 入院時現症では 左鎖骨上高にbruitを聴取し 4冪 づ淳一菊 一 J 亀島一 y J j Adson体位でbruitは増強した 胸部X線で 両側に 幅が細く急な角度で下降する 異常第一肋骨を認める 図6 動脈造影では鎖骨下動 脈は鎖骨と交差する部位にnotchを認め 図7a 黒矢 a 公一 九J 一ぞ 矢汚 jjj冽づ 大 ぶ j1丿i k 咄彫に竪ぼ一万言忿 術が行われたが 半年後症状が再び悪化した 印 上腕動脈は閉塞し 上腕深動脈 上腕回旋動脈な 図6症例3 ど側副路の発達を認める 矢印は異常第一肋骨 手術はまず肢高到達法により左第一肋骨を切除し 後日 鎖骨上到達法により 左鎖骨下動脈の血栓内膜 悪化しない 頚肋による右鎖骨下動脈瘤の診断で 末 摘除 TEA と上腕動脈から僥骨動脈へ自家静脈によ 梢塞栓防止のため 鎖骨上到達法により頚肋切除 動 るバイパスを行った 術後の動脈造影 図7b で太い 脈瘤切除 端端吻合を施行した 白矢印はTEA後の拡張を 細い白矢印は近位吻合部 病理では 内膜の線維性肥厚と内膜 中膜の粘液様 を示す 変性がみられた 図8aは 血栓内膜で 図8bはその病理像である II I i 一 ご l ぃl 芯li lii を をφ 一 一 バー心 j I ylじごy いlj に ドード り i l I I I 孝 I I I [fmfj i!{ ini:j!m!jillf[ii:jijnnji 2 1 : =) J7: : j 1 j にノ?こj lj l :フ=こ回ミ:1ヰ才藻E診宍ズムと j1 = ' 'II I 'II I - IIlj:. ' り乙-II.. ':ご...,.. ;.. yl.i,,.'.. l!=こ一一ダー,'i 図7症例3 図8症例3 a 上 術前 黒矢印はnotchを示す a 上 血栓内膜 b 下 EVG染色の病理像 b 下 術後 太い白矢印は血栓内膜摘除後を 細い矢 印は近位吻合部 'y,1 7.ふ.aiJ..I.,.: i :
1993年2月 古屋ほか 上肢動脈病変を伴った胸郭出口症候群 内膜および中膜の肥厚 弾性線維の乱れを認める 症例4 53歳 男性 数年前より右手の冷感,知覚異常があった 1年4ヵ 月前 急に右上肢の疼痛 冷感が出現し 近医入院 動脈造影にて 上腕動脈閉塞を認めたため 血栓除去 を施行するも 術後の造影にて 肘部までの開存しか 得られなかった 4ヵ月前より 右肩から上肢にかけて 易疲労感 冷感 脱力を呈するようになった 胸部X線上 頚肋を認め DSAにて 右鎖骨下動 脈 上腕動脈 僥骨動脈は閉塞 上腕部の側副路を介 して 尺骨動脈は開存していた 血行再建は断念し 神経圧迫症状に対して頚肋切除を行った 症例5 57歳 男性. 3 4年前より ゴルフの際 右第2指にレイノー現 症出現 3ヵ月前,他医にて動脈造影を施行し 右鎖骨 動脈以下の閉塞を認めた 右上腕動脈血栓症の診断で 血栓除去 星状神経節ブロック 硬膜外ブロックなど 施行するも 疼痛 冷感は悪化した 当院受診時 右 前腕と右全手指は湿性壊死の状態であった(図9b). 胸部X線で 両側に頚肋を認める(図9a 黒矢 印) DSA(図10a, b)では右鎖骨下動脈瘤とその末梢 図9 症例5 の閉塞を認める 手術は右頚肋切除に加え 右鎖骨下 a 上 黒矢印は頚肋を示す 動脈から上腕回旋動脈へ自家静脈をバイパスした 術 b 下 術前の右上肢 手部および前腕の一部は壊死と なっている Irゆ1111 I111 hd ぎ I s にノ 吋いに 図10 症例5 a 右 右鎖骨下動脈瘤の閉塞 b 左 右上腕深動脈の発達と 上腕動脈の閉塞 89