[ 常 勤 研 究 者 の 部 ] 高 視 聴 率 番 組 は 宣 伝 効 果 を 持 つのか 山 下 玲 子 武 蔵 大 学 社 会 学 部 教 授 1. 本 研 究 の 目 的 本 研 究 は 娯 楽 番 組 ( 主 にバラエティ 番 組 )とその 番 組 に 挿 入 されるCMに 着 目 し 高 視 聴 率 番 組 に 対 して 視 聴 者 が 持 つイメージを 明 らかにし その 上 で 高 視 聴 率 番 組 に 挿 入 されたCMの 認 知 度 CMや 宣 伝 された 製 品 提 供 スポン サーのイメージとの 関 連 性 について 検 討 することを 目 的 としたものである 高 視 聴 率 番 組 に 対 し 広 告 主 側 は 番 組 の 合 間 に 流 されるCMの 認 知 機 会 の 増 大 や 人 気 番 組 のポジティブイメージのCMへの 転 移 を 期 待 していると 思 われ る しかし 近 年 のさまざまな 報 告 や 研 究 から 人 気 番 組 にCMを 挿 入 する 効 果 に 疑 問 が 投 げかけられている(ex. 野 村 総 合 研 究 所 2005; 榊 ら 2003;リ ンストローム 2008) 特 に これらの 研 究 では 番 組 と 宣 伝 される 製 品 のイメ ージとの 合 致 や CMの 挿 入 方 法 がCMの 効 果 にとって 重 要 であることが 示 さ れている また そもそも 高 視 聴 率 番 組 のイメージも 評 価 軸 により 評 価 が 分 かれることが 示 されている(ex. 武 蔵 メディアと 社 会 研 究 会 2007) そこで 本 研 究 では 対 象 とする 番 組 を 人 気 はあるが 悪 評 も 立 つことの 多 い 娯 楽 番 組 とした 高 視 聴 率 だが 評 価 の 低 い 番 組 へ 挿 入 されたCMやそのスポンサ ーがマイナスイメージを 持 たれた 場 合 企 業 は 広 告 費 配 分 の 再 考 をし このこ とが 番 組 が 視 聴 者 にとって 良 質 なものへ 変 化 する 契 機 となるかもしれない ま た 同 一 の 番 組 内 で 特 定 のCMやスポンサーの 認 知 や 評 価 が 高 い 場 合 には よ り 効 果 的 な 広 告 宣 伝 手 法 や 効 率 のよい 出 稿 の 仕 方 について 模 索 する 手 がかり となると 思 われる -89-
本 研 究 は 無 作 為 抽 出 によるオムニバス 調 査 による 高 視 聴 率 の 娯 楽 番 組 に 対 するイメージ 調 査 学 生 を 対 象 とした 実 験 一 般 を 対 象 とした 実 験 で 構 成 され ている まずオムニバス 調 査 で 高 視 聴 率 の 娯 楽 番 組 のイメージを 確 認 した そして 学 生 一 般 を 対 象 とした 実 験 では 実 際 に 番 組 とCMを 視 聴 してもら い 番 組 に 対 する 評 価 CMの 精 緻 化 の 度 合 いやイメージ スポンサーに 対 す るイメージを 調 べ 高 視 聴 率 の 娯 楽 番 組 の 中 に 挿 入 されたCMやスポンサーの 記 憶 評 価 を 明 らかにし 番 組 に 対 する 評 価 との 関 連 性 について 検 討 した 2.オムニバス 調 査 について < 調 査 の 概 要 > オムニバス 調 査 の 一 部 として 首 都 30 km 圏 の 満 15 歳 ~65 歳 の 一 般 男 女 に クイズ!ヘキサゴン2 と ぐるぐるナインティナイン に 対 するイメージ を 回 答 してもらった( 有 効 回 答 者 数 720) 質 問 は この2 番 組 の 視 聴 頻 度 およ び 視 聴 経 験 のある 人 に 限 り 両 番 組 について おもしろい 役 に 立 つ 反 社 会 的 だ 質 がよい の4 項 目 を5 件 法 で 回 答 してもらった(この4 項 目 は 筆 者 らによる 番 組 評 価 指 標 QUAE の4 側 面 の 内 容 を 代 表 している) その 他 にテレビ 視 聴 時 間 テレビ 視 聴 環 境 についても 回 答 してもらった < 結 果 の 概 要 > クイズ!ヘキサゴン2 ぐるぐるナインティナイン ともに 10 代 を 中 心 によく 認 知 され 見 られていることが 示 された 特 に クイズ!ヘキサゴン 2 の 場 合 10 代 での 知 名 度 人 気 ともに 非 常 に 高 かった 番 組 の 評 価 については クイズ!ヘキサゴン2 は いずれも 女 性 の 評 価 が 男 性 より 高 かった また 全 般 的 に おもしろい はプラス 評 価 である 一 方 質 がよい はマイナス 評 価 であり おもしろいが 決 して 質 の 良 い 番 組 とは 評 価 さ れていなかった 反 社 会 的 だ はともにマイナスで 反 社 会 的 な 内 容 が 含 まれ ているとはとらえられていなかった 年 代 別 では 10 代 の 評 価 がいずれの 項 目 でも 高 く おもしろい 役 に 立 つ は 年 代 が 上 がるほど 評 価 が 低 くなる 傾 向 が 見 られた また 質 がよい も 10 代 のみプラス 評 価 で 10 代 を 中 心 として 若 年 層 に 人 気 の 番 組 といえる ぐるぐるナインティナイン は クイズ!ヘ キサゴン2 同 様 に 女 性 の 評 価 が 男 性 より 平 均 して 高 い 傾 向 が 見 られた また -90-
質 がよい は 平 均 してマイナス 評 価 である 一 方 おもしろい はプラス 評 価 であり この 番 組 もおもしろいが 質 がいいとはいえない 番 組 という 評 価 であっ た また 役 に 立 つ の 評 価 もマイナスであった この 番 組 も 10 代 の 評 価 が 高 く 特 に おもしろい では クイズ!ヘキサゴン2 の 評 価 を 上 回 っていた また 質 がよい 役 に 立 つ も 10 代 のみプラス 評 価 であった おもしろい は 年 代 が 上 がるごとに 評 価 が 低 くなる 傾 向 だったが それ 以 外 の 項 目 は 10 代 とその 他 の 年 代 の 人 との 間 で 評 価 が 分 かれていた ただし 反 社 会 的 だ は 男 女 ともに またどの 年 代 でもマイナス 評 価 で 反 社 会 的 内 容 を 含 むものとは みなされていなかった 視 聴 頻 度 による 番 組 に 対 する 評 価 は 両 番 組 とも 反 社 会 的 だ を 除 き 視 聴 頻 度 が 多 い 方 が 少 ないよりも 番 組 に 対 する 評 価 が 高 かった 満 足 度 が 高 い = よく 視 聴 する というのは 当 たり 前 の 結 果 であるが 今 回 の 結 果 から 番 組 を 実 際 に 見 たことがないのに 良 くない 番 組 と 判 断 している 人 の 存 在 が 示 唆 された 3. 学 生 を 対 象 とした 実 験 について < 実 験 の 概 要 > 大 学 生 90 名 ( 男 23 名 女 67 名 18 歳 ~23 歳 平 均 19.53 歳 )を 対 象 に 実 験 を 行 った 実 験 の 素 材 は ビデオリサーチ 社 の 視 聴 率 調 査 の 結 果 を 勘 案 し クイズ!ヘキサゴン2 2008 年 6 月 25 日 ( 水 )19 時 ~ ぐるぐるナインテ ィナイン 2008 年 6 月 20 日 ( 金 )19 時 ~ の 一 部 分 を 使 用 した 実 験 は3ブロックに 分 けて 実 施 した 最 初 に 条 件 ごとにおよそ 27 分 間 の 番 組 を 視 聴 した 画 面 に 提 供 スポンサー 名 が 表 示 されてから 提 供 時 間 帯 が 終 了 す るまでを 目 安 とした 番 組 視 聴 終 了 後 CMの 記 憶 印 象 を 測 定 した 最 初 に 番 組 の 印 象 を 尋 ねる 20 項 目 の 質 問 ( 筆 者 らが 開 発 中 の 番 組 評 価 指 標 QUAE の 項 目 ) 当 該 番 組 の 視 聴 経 験 および 平 日 土 曜 日 休 日 の1 日 の 平 均 テレビ 視 聴 時 間 を 回 答 してもらった 次 に CMの 記 憶 と 印 象 について 調 べる 項 目 に 回 答 してもらった ここでは 番 組 に 含 まれていたCMの 個 数 を 提 示 し それら をできる 限 り 思 い 出 してもらい さらにその 印 象 を 尋 ねた 再 生 項 目 は 商 品 のジャンル 商 品 名 企 業 名 CMに 出 ていたタレントの 名 前 その 他 覚 えて いることであった CMの 印 象 は 11 項 目 で 測 定 した さらに そのCMの 視 聴 -91-
経 験 も 尋 ねた このCMの 記 憶 印 象 への 回 答 は 全 員 一 斉 に 回 答 を 開 始 し 回 答 時 間 を 10 分 間 に 制 限 した 回 答 時 間 の 終 了 後 いったん 回 答 用 紙 を 回 収 し 次 の 回 答 用 紙 を 配 布 し 自 分 のペースで 回 答 してもらった ここでは 企 業 名 とその 企 業 に 対 する 印 象 を 尋 ねる4 項 目 その 企 業 を 知 っていたか その 企 業 のCMを 先 ほどのビデオで 見 たかを 尋 ねた 企 業 名 には 番 組 の 提 供 スポンサー すべてとダミーの 企 業 が 含 まれていた < 結 果 の 概 要 > クイズ!ヘキサゴン2 の 番 組 に 対 する 評 価 は 娯 楽 評 価 品 質 評 価 実 用 評 価 倫 理 評 価 すべての 評 価 項 目 において 中 央 値 を 上 回 っており 比 較 的 高 い 評 価 を 受 けていた 男 女 差 はほとんど 見 られなかった ぐるぐるナインティ ナイン の 番 組 に 対 する 評 価 は 娯 楽 評 価 品 質 評 価 倫 理 評 価 は クイズ! ヘキサゴン2 よりも 高 い 一 方 実 用 評 価 は 中 央 値 を 下 回 っており 実 用 的 な 評 価 は 低 いものとなった 男 女 差 は 見 られなかった 視 聴 頻 度 による 評 価 は クイズ!ヘキサゴン2 では 視 聴 頻 度 が 多 いほど 評 価 が 高 い 傾 向 が 見 られた が ぐるぐるナインティナイン では 見 られず その 点 はオムニバス 調 査 の 結 果 とは 異 なっていた CMの 再 生 については 両 番 組 を 通 じまったく 再 生 されなかったCMは1 本 のみであった そして CMの 想 起 位 置 は 放 送 されたブロックが 早 いほど 想 起 位 置 も 早 い 傾 向 があり 対 象 者 は 放 送 順 を 追 って 再 生 作 業 をしていたと 思 われ る また 再 生 率 は 比 較 的 各 ブロックの 最 初 のものが 高 く 中 間 のブロックの CMで 再 生 率 が 下 がる 傾 向 があり CMに 対 する 飽 きが 見 られていたと 考 えら れる お 笑 い 芸 人 を 用 いたCMは 再 生 されたが 想 起 内 容 がタレントに 特 化 し CMの 質 に 対 する 評 価 も 低 かった CMに 対 する 評 価 は 再 生 できたいずれのCMも 質 の 良 さ 好 ましさの 平 均 値 は 中 央 値 以 上 で それぞれのCMに 対 しての 評 価 は 低 くなかった ただし CMの 価 値 は クイズ!ヘキサゴン2 では 最 初 と 最 後 で 評 価 がやや 高 いもの の 中 間 のCMで 低 めの 傾 向 があり ぐるぐるナインティナイン では 全 般 的 に 中 央 値 より 低 い 傾 向 が 見 られた したがって 続 けて 多 くのCMを 見 ること がCMの 存 在 に 対 する 価 値 評 価 を 低 めた 可 能 性 が 示 唆 される 説 得 力 や 効 果 に ついての 評 価 には 一 貫 した 傾 向 が 見 られなかった 番 組 評 価 とCMの 再 生 数 に -92-
ついては クイズ!ヘキサゴン2 の 品 質 評 価 以 外 には 関 連 性 が 見 られなかっ た 番 組 に 対 する 評 価 と 企 業 評 価 との 関 連 性 については クイズ!ヘキサゴン 2 では 番 組 評 価 各 項 目 と 企 業 評 価 との 間 で 正 方 向 での 相 関 の 見 られたもの が1 社 ずつあったが それぞれ 重 複 してはいなかった ぐるぐるナインティナ イン では 娯 楽 評 価 は 外 食 産 業 やお 菓 子 化 粧 品 テレビなど 娯 楽 や 休 息 を 提 供 する 企 業 との 間 実 用 評 価 は 製 薬 会 社 との 間 品 質 評 価 は 製 薬 会 社 や 自 動 車 食 品 メーカー 教 育 産 業 などの 間 で 倫 理 評 価 は 教 育 産 業 や 化 粧 品 メーカ ーなどとの 間 で 評 価 に 正 方 向 での 相 関 が 見 られた 企 業 の 再 認 については 企 業 により 再 生 率 よりも 再 認 率 が 低 くなったり ダミー 企 業 と 誤 認 されたりした ものもあり 一 部 のスポンサー 企 業 を 同 業 他 社 と 混 同 して 認 識 していた 可 能 性 が 示 唆 される 再 認 できた 企 業 はおおむね 評 価 が 高 かったが CM 視 聴 の 効 果 というより もともと 評 価 の 高 い 企 業 のCMに 着 目 した 可 能 性 が 高 い 4. 一 般 を 対 象 とした 実 験 について < 実 験 の 概 要 > 都 内 近 郊 に 在 住 の 一 般 市 民 103 名 ( 男 11 名 女 92 名 26 歳 ~85 歳 平 均 50.73 歳 )を 対 象 に 実 験 を 行 った 実 験 の 素 材 は ビデオリサーチ 社 の 視 聴 率 調 査 を 勘 案 し クイズ!ヘキサゴン2 2008 年 10 月 15 日 ( 水 )19 時 ~ 笑 点 2008 年 10 月 26 日 ( 金 )17 時 30 分 ~ の 一 部 分 を 使 用 した 対 象 が 一 部 オムニバス 調 査 と 違 うが 安 定 して 視 聴 率 が 高 く CMの 挿 入 に 際 し 非 常 に 伝 統 的 な 手 法 を 用 いている 番 組 である 笑 点 を 比 較 のため 採 用 した 実 験 は3ブロックに 分 けて 実 施 したが やや 簡 素 化 した 最 初 に 条 件 ごと におよそ 27 分 間 の 番 組 を 視 聴 した 番 組 は 画 面 に 提 供 スポンサー 名 が 表 示 され てから 提 供 時 間 帯 が 終 了 するまでを 目 安 とした 番 組 視 聴 終 了 後 番 組 の 印 象 とCMの 記 憶 印 象 を 測 定 した 最 初 に 番 組 の 印 象 を 尋 ねる 20 項 目 の 質 問 ( Q UAE ) 当 該 番 組 の 視 聴 経 験 および 平 日 土 曜 日 休 日 の1 日 の 平 均 テレビ 視 聴 時 間 を 回 答 してもらった 次 に CMの 記 憶 と 印 象 について 番 組 内 C Mの 商 品 名 CMのスポンサー CMでその 他 覚 えているものを 自 由 記 述 で 回 答 してもらった このCMの 記 憶 印 象 への 回 答 は 全 員 一 斉 に 回 答 を 開 始 し 回 答 時 間 を5 分 間 に 制 限 した 回 答 時 間 終 了 後 いったん 回 答 用 紙 を 回 収 し -93-
次 の 回 答 用 紙 を 配 布 して 自 分 のペースで 回 答 してもらった ここでは 企 業 名 とその 企 業 に 対 する 印 象 を 尋 ねる4 項 目 その 企 業 を 知 っていたか その 企 業 のCMをさきほどビデオで 見 たかを 尋 ねた 企 業 名 には 番 組 の 提 供 スポンサー すべてとダミーの 企 業 が 含 まれていた < 結 果 の 概 要 > クイズ!ヘキサゴン2 の 番 組 評 価 は 娯 楽 評 価 品 質 評 価 実 用 評 価 と もに 中 央 値 を 下 回 り 学 生 評 価 よりも 低 かった 倫 理 評 価 は 中 央 値 より 評 価 は 高 かったがやはり 学 生 よりも 評 価 されていなかった 年 齢 別 では 倫 理 評 価 を 除 き 30 代 40~50 代 に 比 べ 60 代 以 上 の 評 価 が 低 かった これらの 結 果 か ら この 番 組 は 若 年 層 により 高 く 評 価 されていると 推 測 できる 視 聴 頻 度 別 で は 視 聴 頻 度 が 高 いほど 倫 理 評 価 をのぞき 評 価 が 高 かった 笑 点 の 番 組 評 価 は 娯 楽 評 価 と 品 質 評 価 の 平 均 値 は 中 央 値 を 上 回 り こ の 部 分 の 評 価 は 高 かったが 実 用 評 価 はさほど 高 い 評 価 を 得 ていなかった ま た 倫 理 評 価 は 非 常 に 高 く 反 社 会 的 表 現 はほとんどないとみなされていた 視 聴 頻 度 別 で 番 組 評 価 に 有 意 な 差 は 見 られなかったが 対 象 者 数 が 少 ないため 明 言 はできない 企 業 の 認 知 率 は クイズ!ヘキサゴン2 の 場 合 いずれも 80~90% 程 度 の 認 知 率 でありダミー 企 業 との 誤 認 も 少 なかった 再 認 率 とCMの 挿 入 位 置 を 見 た 場 合 真 ん 中 のブロックのCMは 再 認 されにくく またCMブレークの 間 の 後 ろのCMほど 認 知 されにくい 傾 向 が 見 られた 笑 点 では 企 業 の 認 知 率 がスポンサー 企 業 の6 企 業 中 4 社 が 100%で それ 以 外 の2 社 も 非 常 に 高 かっ た また ダミー 企 業 の 誤 認 率 が 極 めて 低 い 一 方 実 際 のスポンサーで 再 認 率 がもっとも 低 い 企 業 でも 60% 以 上 であり 全 体 的 にスポンサー 企 業 の 再 認 率 が 高 い 傾 向 が 見 られた クイズ!ヘキサゴン2 では 番 組 スポンサー 企 業 に 対 する 評 価 が 各 番 組 評 価 の 高 群 低 群 の 間 で 異 なるかどうか 検 定 した その 結 果 娯 楽 評 価 の 高 低 で 企 業 評 価 に 何 らかの 差 が 見 られた 企 業 は3 社 延 べ6 項 目 であった いずれ も 娯 楽 評 価 が 高 い 人 の 方 が 企 業 評 価 が 高 く 娯 楽 と 結 びつきやすい 企 業 のイ メージが 番 組 の 娯 楽 イメージと 関 連 づけられた 可 能 性 がある 品 質 評 価 の 高 低 で 企 業 評 価 に 何 らかの 差 が 見 られた 企 業 は8 社 延 べ 22 項 目 であった いずれ -94-
も 品 質 評 価 が 高 い 人 の 方 が 企 業 評 価 が 高 く 製 薬 会 社 や 保 険 不 動 産 といっ た 健 康 や 信 用 に 関 連 する 企 業 のイメージと 番 組 の 品 質 とが 結 びつけられた 可 能 性 が 示 唆 された 実 用 評 価 の 高 低 で 企 業 評 価 に 何 らかの 差 が 見 られた 企 業 は 10 社 延 べ29 項 目 であった いずれも 実 用 評 価 が 高 い 人 の 方 が 企 業 評 価 が 高 く スポンサー 企 業 11 社 中 1 社 以 外 は 何 らかの 差 が 見 られていることから 実 用 評 価 の 高 い 番 組 へのCMの 挿 入 は 効 果 的 といえるかもしれない 倫 理 評 価 の 高 低 で 企 業 評 価 に 差 が 見 られた 企 業 は3 社 各 1 項 目 ずつであったが 差 が 見 られ た 企 業 の 業 種 もまたそれぞれの 企 業 で 差 が 見 られた 項 目 も 異 なることから 番 組 の 倫 理 評 価 との 関 連 性 は 一 貫 していないと 思 われる 笑 点 では 番 組 に 対 する 評 価 と 企 業 評 価 との 関 連 性 について 企 業 評 価 を 測 定 した 各 項 目 と 番 組 評 価 尺 度 得 点 との 相 関 係 数 を 計 算 した その 結 果 番 組 の 品 質 に 対 する 評 価 が 高 いほど 何 らかの 評 価 が 高 い 企 業 が4 社 実 用 評 価 と 正 方 向 の 相 関 があった 企 業 が1 社 あった 娯 楽 評 価 倫 理 評 価 と 企 業 評 価 とは 有 意 な 相 関 が 見 られなかった ここから 番 組 の 品 質 の 良 さが 企 業 評 価 の 高 さ と 特 に 関 連 付 けられた 可 能 性 が 示 唆 される 番 組 やCMに 関 連 する 事 項 の 再 生 では クイズ!ヘキサゴン2 の 場 合 娯 楽 評 価 品 質 評 価 実 用 評 価 と 製 品 スポンサーに 関 する 項 目 の 想 起 数 との 間 に 有 意 な 正 の 相 関 が 見 られた ここから 番 組 に 高 い 評 価 をする 人 ほど CM の 記 憶 が 良 いことが 示 唆 される これに 対 し 笑 点 では 番 組 の 品 質 に 対 す る 評 価 とCMに 関 連 した 想 起 との 間 に 関 連 性 があまりなかった 5. 総 合 考 察 < 番 組 の 評 価 について> 本 研 究 では いわゆる バラエティ 番 組 については 若 年 層 ほどよく 視 聴 しており また 娯 楽 性 や 番 組 の 品 質 実 用 性 を 高 く 評 価 していたことが 示 さ れた 番 組 の 倫 理 性 はどの 年 代 の 人 も 特 に 問 題 とはしていないようであった ただし 今 回 対 象 とした 一 部 の 番 組 は 子 どもに 見 せたくない 番 組 とされてお り なぜそのような 評 価 になるのかさらに 検 討 が 必 要 である また 今 回 対 象 とした2つのバラエティ 番 組 は 若 年 層 に 人 気 も 評 価 も 高 いことが 示 されたが 中 高 年 には 概 して 不 人 気 であった 若 者 のテレビ 離 れはテレビ 視 聴 時 間 から 間 接 的 に 示 されており ゴールデンタイムには 若 者 にターゲットを 絞 った 番 組 に -95-
偏 らない 編 成 が 今 後 さらに 期 待 されるかもしれない <CMの 認 知 と 評 価 について> 本 研 究 では CMの 再 生 にCMの 挿 入 位 置 が 関 係 していることが 示 唆 された CMブレークの 最 初 のCMは その 後 のCMに 比 べ 再 生 率 が 高 かったが CM ブレークも 短 時 間 に 数 回 続 くとその 効 果 が 下 がるようであった CMの 認 知 に はある 程 度 番 組 に 集 中 させる 時 間 を 作 り 少 ない 数 のCMで 構 成 したCMブレ ークを 入 れるのが 理 想 的 であるように 思 われる また 複 数 のスポンサーのC Mが 数 多 く 並 ぶ 中 でCMに 注 視 させるには 一 定 以 上 のインパクトは 必 要 だが 製 品 やスポンサーに 関 連 しない 部 分 が 目 立 っても 製 品 やスポンサーの 認 知 に はつながりにくいことも 示 唆 された さらに スポンサー 名 の 再 認 は 笑 点 がもっとも 良 かったが これは この 番 組 のCMが 一 段 落 CM の 形 で 挿 入 されていることや 中 高 年 を 明 らかにターゲットとしたCMに 特 化 していたこと にも 関 連 があると 思 われる クイズ!ヘキサゴン2 や ぐるぐるナインティ ナイン の 場 合 全 般 的 に 笑 点 より 企 業 の 再 認 率 は 低 く 顕 著 な 誤 認 が 見 られたスポンサーもあった 特 にダミー 企 業 を 入 れた 場 合 同 業 他 社 どうしで の 誤 認 と 思 われる 回 答 が 数 多 く 見 られた 企 業 がスポンサーとなる 場 合 自 社 よりも 知 名 度 やシェアが 高 い 企 業 とのバッティングは 非 常 に 不 利 に 働 くことが あらためて 示 されたといえる 再 生 されたCMに 対 する 評 価 は ごく 一 部 のCMをのぞきどれも 高 かった しかし CMの 価 値 は 両 番 組 を 通 じ 平 均 値 を 下 回 るものが 数 多 く 見 られ CM は よくできている と 評 価 する 一 方 で CMの 存 在 自 体 はあまり 価 値 がない と 認 識 していることが 示 唆 された 近 年 CMはスキップして 見 ないとする 人 が 非 常 に 多 いことから このような 評 価 は 納 得 できる しかし 再 生 できるほ ど 印 象 的 なCMであればその 評 価 は 低 くないため 番 組 同 様 いかにCMを 見 て もらうようにするかが 重 要 といえる なお 番 組 に 対 する 評 価 とCMの 再 生 数 にはほとんど 関 連 がなかった その 点 では 番 組 評 価 に 対 する 高 評 価 がCMの 記 憶 にポジティブな 影 響 をもたらす という 確 証 は 残 念 ながら 得 られなかった ただし クイズ!ヘキサゴン2 で は 学 生 一 般 を 対 象 とした 実 験 ともに 番 組 に 対 する 品 質 評 価 がCMの 再 生 数 に 影 響 を 及 ぼす 傾 向 があること また 番 組 の 視 聴 頻 度 が 高 いほどCMの 再 生 -96-
数 が 多 いことも 示 された この 番 組 は 視 聴 頻 度 が 高 い 人 ほど 番 組 に 対 する 評 価 も 高 いことから 間 接 的 には 番 組 の 品 質 に 対 する 評 価 の 高 さが 高 いCM 認 知 度 につながる 可 能 性 も 示 唆 される <スポンサーの 評 価 について> 番 組 評 価 とスポンサーの 評 価 との 関 連 性 は 番 組 の 品 質 評 価 や 実 用 評 価 とス ポンサーの 評 価 との 間 に 正 方 向 での 相 関 が 見 られる 傾 向 があった 特 に 品 質 評 価 では 健 康 関 連 商 品 や 信 用 がセールスポイントの 企 業 のイメージと 関 連 が 高 い 傾 向 が 見 られた 質 が 高 いとされる 番 組 にこのような 企 業 のCMを 挿 入 す ることは ある 程 度 効 果 的 であると 思 われる 番 組 の 品 質 の 高 さは スポンサ ーとなる 企 業 の 製 品 サービスの 質 の 高 さを 想 像 させる 可 能 性 があるといえる 実 用 評 価 では 食 品 や 自 動 車 メーカーの 評 価 との 間 に 正 方 向 での 相 関 が 見 られ る 傾 向 があった 食 品 や 自 動 車 は 生 活 に 密 着 した 製 品 のため 実 用 評 価 と 関 連 が 見 られたのかもしれない 娯 楽 評 価 については 外 食 産 業 や 化 粧 品 など 楽 しさを 想 像 させる 企 業 の 評 価 と 正 方 向 の 相 関 が 見 られる 傾 向 があった 人 々 に 娯 楽 や 休 息 を 提 供 するような 製 品 サービスを 提 供 する 企 業 の 場 合 このよ うな 娯 楽 評 価 の 高 い 番 組 へのCM 出 稿 は 理 にかなっているだろう これらの 結 果 は 番 組 のイメージとスポンサーが 提 供 する 製 品 サービスのイメージが 合 致 していることが スポンサーのイメージを 高 める 可 能 性 があるということを 示 唆 している 6. 参 考 資 料 < 参 考 文 献 > マーティン リンストローム(2008) 買 い 物 する 脳 驚 くべきニューロマーケ ティングの 世 界 ( 千 葉 敏 生 訳 ) 早 川 書 房 武 蔵 メディアと 社 会 研 究 会 (2007) 視 聴 者 によるテレビ 番 組 評 価 調 査 ~ 番 組 指 標 の 開 発 研 究 ~ 2006 年 度 活 動 報 告 書 榊 博 文 今 井 美 樹 岡 田 美 咲 出 羽 かおり(2003) 番 組 内 CM 提 示 のタイミン グが 視 聴 者 の 態 度 に 及 ぼす 影 響 ( 上 ) 日 経 広 告 研 究 所 報 211 号 pp.2-9 -97-
< 参 考 URL> 野 村 総 合 研 究 所 NEWSRELEASE 2005 年 5 月 31 日 企 業 の 広 告 宣 伝 手 法 は マスメディアから 個 別 対 応 の IT メディアへ~HDR ユーザの 過 半 数 がテレビ CM80%スキップ 今 年 の 損 失 総 額 は 約 540 億 円 に~ http://www.nri.co.jp/news/2005/050531.html(2009 年 3 月 4 日 最 終 確 認 ) ビデオリサーチ 種 目 別 高 視 聴 率 番 組 2008 年 バックナンバー http://www.videor.co.jp/data/ratedata/backnum/2008/index.htm (2009 年 3 月 4 日 最 終 確 認 ) -98-