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Transcription:

ラグジュアリーな 女 神 ラクシュミー 京 都 大 学 人 文 科 学 研 究 所 教 授 田 中 雅 一 LAKSHMI, HINDU GODDESS OF LUXURY Masakazu TANAKA, Professor, The Institute for Research in Humanities, Kyoto University There are many deities in Hinduism. One of the distinguished features of Hindu deities is the variety in appearance and function. Some are well known all-over India, others only to local people. In this paper, I analyze the luxury nature of Laksmi, a well known Hindu goddess. She is Visnu s consort. She is in charge of wealth and fertility. Laksmi is depicted in with jewelries and a red dress, which reminds us of auspiciousness and wedding ceremony. Actually she symbolizes the female auspiciousness represented by married women. They are in a marked contrast to inauspicious widows. In popular paintings, Laksmi sits on a big lotus flower and flanked with two elephants. Gold coins are pouring out of her palms. These luxuary items are symbols of wealth, royalty and fertility. By worshipping her, Hindus expect wellbeing in life. In addition, I argue that Laksmi shows the married life and husband as the most valued for women, thus supporting a patriarchal hegemony. Laksmi, however, also suggests the significance of female auspiciousness in Hindu society to empower women. ラグジュアリーという 記 号 ラグジュアリーは 多 くの 人 にとって 憧 れであろう ラグジュアリーは 贅 沢 とか 奢 侈 あるいは 蕩 尽 を 意 味 する 最 近 はやりのセレブやゴージャスという 言 葉 もラグジュアリーを 想 起 させる その 反 対 語 は 質 素 や 倹 約 であろうか 奢 侈 か 質 素 かというのは 相 対 的 なものでもある ある 人 にとって 贅 沢 でもなん でもない 行 為 やモノが ほかの 人 には 人 生 最 大 の 贅 沢 ということさえあるからだ ある 人 にとっての 日 常 がほかの 人 には 贅 沢 に 見 える あえて 絶 対 的 な 基 準 を 設 けるとすると それは 生 存 に 関 わるか 関 わら ないか ということになるだろうか 生 存 に 必 要 なものはラグジュアリーとはいえない 日 々の 生 存 を 目 的 とする 生 活 のあり 方 からみれば ラグジュアリーは 無 駄 であり 過 剰 であり 余 裕 である さらに ラグジュアリーの 追 求 はそうした 基 本 的 な 生 存 のあり 方 をときに 裏 切 ることさえある 人 びとはある 服 を 選 び 着 ることで そこに 経 済 的 能 力 や 社 会 的 地 位 さらには 思 想 を 顕 示 しようとす る そのとき 衣 服 は それを 着 ている 人 びとについて あるいはそれを 着 ていく 場 についてのさまざま パフォーマティヴ な 意 味 を 伝 達 する 記 号 となる 記 号 として 作 用 するだけではない 衣 服 は また 実 践 的 かつ 行 為 遂 行 的 で ある というのも 例 えばラグジュアリーな 衣 服 や 装 飾 品 は 経 済 力 や 洗 練 された 趣 味 などを 示 し 類 似 のモノを 用 意 できない 人 を 圧 倒 し 排 除 するからである それでは ラグジュアリーな 衣 服 や 装 飾 品 を 人 間 ではなく 神 がまとったらどうだろう そこにどんな 意 味 や 機 能 が 認 められるのだろうか 本 稿 で は このような 問 題 を 念 頭 に 日 本 では 吉 祥 天 として 知 られているラクシュミーというインドの 女 神 像

について 考 えてみようと 思 う 神 がみの 本 質 は 力 (シャクティ) ヒンドゥー 社 会 の 神 がみは 多 様 で あらゆるものがヒンドゥー 教 徒 にとって 献 身 や 信 愛 の 対 象 となる にもかかわらずそれらは 本 質 的 に 同 じである と 人 びとは 考 えている ヒンドゥー 教 徒 にとって 神 の 本 質 は 力 (シャクティ)である 神 がみに 祈 るのは その 力 を 必 要 とするからである しかし 力 は 抽 象 的 な 形 のままではうまく 利 用 することはできない 力 が 有 効 に 働 くためには 具 体 的 な 形 を 必 要 とする プージャーとは 礼 拝 単 なる 偶 像 崇 拝 ではなく 形 に 力 を 与 える 技 術 である 礼 拝 を 通 じて 力 が 特 定 の 場 に 神 の 姿 を ともなって 現 れる これは 寺 院 の 石 像 でも 彫 像 でも 家 庭 の 壁 にかけられている 神 の 絵 でも 同 じである したがって こうした 絵 への 礼 拝 は そこに 描 かれている 神 に 祈 っているというのは 正 確 ではない 礼 拝 という 行 為 を 通 じて そこに 神 を 招 き もてなし 祈 願 するというのが 正 しい 解 釈 である 勧 請 する ことで 力 はもはや 抽 象 的 な 観 念 ではなく 特 定 の 姿 をとる 神 となる こうして 神 は 具 現 化 し 病 気 治 しなど 特 殊 な 能 力 を 発 揮 する 具 体 的 な 存 在 となる ラグジュアリーの 伝 統 的 な 文 脈 スペクタクルな 大 祭 ヒンドゥーの 神 がみの 多 くは 寺 院 で 祀 られている 寺 院 の 規 模 や 格 によって 御 神 体 も 異 なる 正 式 かんじょう なものは 石 工 が 作 った 像 で 安 置 されるときに 厳 かな 儀 礼 ( 大 灌 頂 祭 )がなされている 同 じ 石 でで きていても 自 然 石 や それにすこし 手 を 加 えられているだけというものもある また 壷 を 御 神 体 と して 祀 っている 場 合 もある こうした 外 見 上 の 相 異 は 多 くの 場 合 神 格 の 序 列 を 暗 に 示 唆 している そ れはまた 礼 拝 が 毎 日 なされているのか 毎 日 何 回 なされているのか あるいは 特 定 の 曜 日 だけなのか 年 に 一 度 の 祭 りで 山 車 の 巡 行 があるのかどうかなど 儀 礼 の 規 模 や 回 数 によって 表 現 される さらに 司 祭 が 地 位 の 高 い 菜 食 のバラモンなのか 地 位 の 低 い 非 菜 食 のバラモンなのかといった 相 違 とも 連 関 する 菜 食 のバラモンが 司 祭 なら その 神 も 菜 食 であり 非 菜 食 の 神 よりも 格 が 高 い 格 式 の 高 い 寺 院 では 石 でできた 神 像 が 薄 暗 い 内 陣 に 安 置 されている これは 寺 院 を 身 体 にたとえ るなら 子 宮 に 対 応 する 場 所 で 実 際 にそのように 表 現 される 内 陣 にある 石 像 は 日 々 礼 拝 の 対 象 とな る 司 祭 たちは 毎 朝 石 像 に 灌 頂 をおこなう 灌 頂 とは 呪 文 を 唱 えながら 水 やミルク ヨーグルトな どを 石 像 にかける 行 為 である このあと 花 やサリー そしてネックレスなどの 装 飾 品 で 着 飾 る 司 祭 が 献 花 し 供 物 を 供 えるのもこの 神 像 だ しかし 神 像 は 内 陣 に 安 置 されている 不 動 の 石 像 だけではない もうひとつ この 神 像 の 分 身 に 当 た る 像 がある これが 大 祭 用 の 神 像 である これは 金 属 製 の 神 像 で 祭 りのときに 山 車 に 乗 せられて 寺 院 や 町 なかを 一 周 する 大 祭 用 の 神 像 が きれいに 着 飾 り 高 価 な 宝 石 をあしらった 装 飾 品 をつけて 町 を 行 進 する これこそ ラグジュアリーのきわみである 山 車 は 大 きな 寺 院 の 場 合 ひとつではない 複 数 の 山 車 が 町 なかを 巡 行 する(Fig. 1) 10メートルは 優 にある 山 車 その 山 車 を 力 いっぱい 曳 く 千 名 ち かい 信 者 たち 山 車 に 鎮 座 する 華 やかな 神 がみの 装 い ときには 激 しいリズムを 刻 む 音 楽 こうした 諸

要 素 が 幾 重 にも 重 なって 祭 りはスペクタクルとなる そして スペクタクルを 盛 り 上 げ 増 幅 するの がラグジュアリーな 要 素 なのである 日 々の 礼 拝 でも 神 像 は 着 飾 るが 大 祭 のときほどではない 伝 統 的 には 祭 りという 特 別 な 機 会 におい てのみ ヒンドゥー 教 徒 たちは 宝 石 などで 着 飾 ったラグジュアリーな 神 がみ( 神 像 )に 接 することがで きた 普 段 金 庫 に 保 管 されている 特 別 な 宝 石 が 取 り 出 され 神 像 を 飾 る それは ひとつの 寺 院 でせい ぜい 年 に 一 度 か 二 度 しか 得 られないような まれな 経 験 であったろう 人 びとは 山 車 に 鎮 座 する 神 ( 像 ) に 目 をあわせ その 力 に 触 れようとする そこには 直 截 的 なラグジュアリーの 体 験 が 認 められる ラグジュアリーの 新 しい 文 脈 民 衆 画 の 世 界 人 びとが 参 拝 するのは 格 式 の 高 い 寺 院 だけではない 病 気 治 しなどは こうした 格 式 の 高 い 寺 院 に 祀 られている 神 よりも 小 祠 に 祀 られている 神 のほうが 効 験 あらたかだと 信 じられている そんな 小 さ な 社 では 像 の 代 わりに 神 の 絵 が 飾 られている 場 合 もある 現 代 のヒンドゥー 教 徒 が 接 する 神 のイメージ を 決 定 しているのは こうした 神 の 絵 である(Fig. 2) これは カレンダーアートとも 呼 ばれ カレンダー の 台 紙 などに 描 かれてきたかなり 様 式 化 した 絵 であるが ここでは 民 衆 画 と 名 づけておくことにする インドの 大 都 市 の 路 上 や 寺 院 の 門 前 の 露 店 で 印 刷 された 神 の 絵 がしばしば 売 られている また タ クシーに 乗 ってふとフロントガラスを 見 ると 上 のほうに 類 似 のステッカーが 貼 られていたりする そ れは 運 転 手 が 信 仰 している 神 であったり 人 生 の 師 と 崇 める 聖 者 であったりする 注 意 して 観 察 してい ると こうした 神 あるいは 聖 者 の ブロマイド が いたるところに 見 られる しかし これは 単 なる 装 飾 品 ではない もとは 一 枚 の 彩 色 画 だが 信 仰 の 対 象 でもある ヒンドゥー 教 徒 の 家 では 同 じ 絵 を 額 縁 に 入 れて 壁 にかけてある 毎 朝 こうした 絵 に 対 して 神 がみを 勧 請 し 礼 拝 を 行 い 供 物 を 供 える タクシーの 運 転 手 も 仕 事 を 始 めるにあたって 事 故 が 起 こらないようにと 絵 の 神 に 向 かって 線 香 を 一 本 灯 して 祈 りを 捧 げる 民 衆 画 は 安 く 大 量 に 生 産 され 人 びとの 日 常 生 活 に 宗 教 色 をつけ 加 える そこに 描 かれているのはあ まりにもけばけばしくて 安 っぽく 日 本 人 にはありがたみのわかない 神 である その 背 後 に 認 められる 神 がみの 世 界 はきわめて 人 間 的 である また 神 がみや 聖 者 だけでなく 政 治 家 や 偉 人 たちも 民 衆 画 の 対 象 となっている 数 のうえでも 多 いのは 特 定 の 神 ( 神 がみ)を 描 写 したものである シヴァやヴィシュヌなどヒンドゥー 教 の 主 要 な 神 だけでなく 限 られた 地 域 でしか 信 仰 されていないような 神 も 描 写 の 対 象 となる 神 は 一 人 でポーズをとっているものもあれば 配 偶 神 や 子 供 たちを 従 えた 家 族 の 描 写 もある また 神 話 の 一 場 面 を 描 いている 場 合 もある 民 衆 画 の 描 く 神 がみのほとんどがインド 中 に 知 れわたっているが 中 には 地 方 神 を 題 材 とし 特 定 の 巡 礼 地 あるいは 門 前 町 にしか 売 られていないものもある こうした 絵 の 起 源 はそれほど 古 いものとはいえない 民 衆 画 は ラージャー ラヴィ ヴァルマー [1845-1906]という 名 の 南 インドの 洋 画 家 が 始 めた というのが 定 説 である 彼 は 油 絵 の 技 術 をマス

ターした 初 期 のインド 人 画 家 として 有 名 である ヴァルマーは1894 年 にインドの 神 話 を 題 材 とした 自 分 の 絵 を 印 刷 することを 示 唆 された そして 当 時 インドに 滞 在 していたドイツ 人 技 師 の 協 力 を 得 てリト グラフを 製 作 したところたいへん 評 判 となった これが 現 在 普 及 しているインド 民 衆 画 の 始 まりだとい う 彼 のオリジナルに 基 づくと 思 われる 絵 を 見 ると 今 の 方 がより 華 美 になったとはいえ すでにラ ヴィ ヴァルマーによって 現 代 の 民 衆 画 のスタイルは 確 立 されたと 考 えることができる(Fig. 3) 民 衆 画 は いまから115 年 ほど 前 に 生 まれ 印 刷 技 術 の 発 展 によって 大 量 に 生 産 されてきた ヒンドゥー 教 の 長 い 歴 史 から 見 れば つい 最 近 の 出 来 事 だといえよう 最 近 ではコンピュータ グラフィックスな どの 技 術 も 導 入 されている それは 近 代 の 印 刷 技 術 (ドイツの 思 想 家 ヴァルター ベンヤミンの 言 葉 に 従 えば 複 製 技 術 ( 註 1))の 産 物 である しかし 重 要 なことは こうした 大 量 生 産 の いかにも 安 っ ぽい 絵 画 にも 石 像 や 金 属 像 に 示 すのと 同 じ 深 い 信 仰 が 認 められるということである その 理 由 のひと つは 冒 頭 に 述 べたヒンドゥーの 神 観 念 と 結 びついている ヒンドゥー 教 徒 にとって 神 の 本 質 は 力 (シャ クティ)である 力 がそこにある と 理 解 されれば それがどんなモノか 場 所 かは 重 要 ではない それ は 一 枚 の 紙 片 でも 国 宝 級 の 石 像 でも 関 係 ないのである 印 刷 や 撮 影 などの 複 製 技 術 を 本 質 とするメディアの 時 代 にあって 真 正 性 はますます 希 求 されている かにみえる 大 量 消 費 を 目 的 とする 製 品 ではなく えりすぐりの 材 料 と 手 間 暇 かけた 作 品 こそラグジュ アリーであるのはたしかだ しかし 本 稿 の 主 題 にそって 考 えてみると 神 がみは 祭 りという 伝 統 的 なスペクタクルを 通 じて そのラグジュアリーさを 人 びとに 伝 えるだけではない 民 衆 画 に 描 かれたき らびやかな 宝 石 をたくさんまとった 神 がみに 接 したとき 人 びとはそこに 類 似 のラグジュアリーを 体 験 するのである ラグジュアリーな 女 神 ラクシュミーあるいはシュリーは インドの2 大 神 として 知 られるシヴァとヴィシュヌのうち 後 者 の 配 偶 神 として 貞 淑 な 女 性 を 代 表 する( 註 2) 彼 女 は また 富 や 幸 福 華 々しさなどと 結 びついた 女 神 であ る シュリーという 言 葉 は 古 代 より 美 輝 き 栄 華 高 位 に 結 びつき とくに 王 権 に 関 連 するさまざ まな 特 質 を 表 していた それはまた 裕 福 や 豊 饒 を 意 味 する ラクシュミーが 崇 拝 対 象 となるのは 光 の 祭 りとしてインド 全 土 で 祝 われるディーパーヴァリのとき である これもまたラクシュミーの 華 やかさにふさわしい 祭 りといえよう ラクシュミーは なにより も 蓮 の 花 と 象 とともに 描 かれることが 多 い 蓮 の 花 は 仏 教 においても 重 要 な 象 徴 であるが それは 植 生 の 豊 かさを 意 味 する それは より 一 般 には 有 機 的 生 命 を また 世 界 全 体 を 象 徴 する 蓮 の 花 はまた 泥 ( 不 浄 )に 汚 されていない 清 浄 さを 表 す 蓮 の 花 に 鎮 座 するラクシュミーは 豊 穣 や 生 殖 だけでなく むしろ 物 質 的 世 界 からの 超 越 を 表 すとも 解 釈 できる(Fig. 4) ラクシュミーが2 頭 の 象 にはさまれ 両 側 から 水 をかけられているモチーフもよく 見 られる(Fig. 5) 象 がかける 水 は 豊 穣 の 雨 である さらに 象 は 王 の 権 威 を 表 す これとの 関 係 からか ラクシュミーはし ばしば 象 頭 で 太 鼓 腹 の 神 ガネーシャ( 歓 喜 天 )と 一 緒 に 安 置 され 崇 拝 される ガネーシャは シヴァ

神 の 長 男 で 富 と 吉 をもたらす 神 である この 点 でも ラクシュミーとガネーシャは 共 通 する(Fig. 6) ヴィシュヌとともに 描 かれる 場 合 ラクシュミーは 従 順 で 貞 淑 な 妻 である(Fig. 7) 力 の 象 徴 である 腕 も 単 独 像 の 際 の4 本 でなく2 本 である より 抽 象 的 には 夫 婦 の 調 和 的 関 係 相 互 理 解 家 庭 の 秩 序 を ラクシュミーは 示 唆 している ラクシュミーがもたらす 奇 跡 は しばしば 直 裁 的 である 貧 窮 に 苦 しむ 庶 民 たちがラクシュミーに 祈 ると 突 如 金 貨 の 雨 が 天 から 降 ってくる 一 瞬 にして 金 貨 の 山 に 囲 まれる 彼 女 のイコンに 目 を 移 すと しばしば 両 手 のひらから 金 貨 が 降 りそそいでいる 蓮 の 花 や 象 についてはすでに 指 摘 したが ラクシュミーはたくさんの 宝 石 や 装 飾 品 を 体 にまとい 真 っ 赤 なサリーを 着 て 描 かれている これは 人 生 最 大 の 吉 なる 時 である 婚 姻 儀 礼 を 想 起 させる(Fig. 8) つ まり 単 体 で 描 かれていても ラクシュミーは ヴィシュヌの 配 偶 神 であることを 強 く 想 起 させるとい えよう 女 神 が 着 飾 るのは 当 然 と 思 われるかもしれない しかし ドゥルガーやサラスヴァティーなど ヴィシュヌとならんで 重 要 な 男 神 とされるシヴァやブラフマンの 配 偶 神 が ラクシュミーほど 着 飾 った 形 で 描 かれることはない(Fig. 6) シヴァのもうひとりの 妻 パールヴァティーの 場 合 も ラクシュミー ほど 華 やかに 描 かれるわけではない 最 後 に ラクシュミーについて 指 摘 しておきたいのは 吉 兆 が 女 性 の 人 生 と 密 接 に 関 係 するという 事 実 だ ヒンドゥー 教 徒 にとって 女 性 の 理 想 的 な 一 生 とは 彼 女 の 成 熟 したセクシュアリティがつねに 夫 によって 統 御 されていることである この 理 想 からはずれるのは 初 潮 が 始 まってから 結 婚 することと 夫 が 先 に 死 ぬこと そして 姦 通 の3つである 成 熟 したセクシュアリティは 初 潮 とともに 始 まる したがっ て 理 想 的 な 結 婚 は 初 潮 前 に 行 い 夫 の 管 理 下 にはいらなければならない 初 潮 のあと 夫 との 同 居 がある ただし インドでは 植 民 地 時 代 の 一 連 の 改 革 によって 幼 少 の 結 婚 は 法 的 に 禁 じられた ここで 重 要 なのは こうした 統 御 の 終 焉 として 夫 の 死 をとらえなければならないということである 高 位 カースト の 場 合 寡 婦 は 再 婚 が 禁 じられている 彼 女 は だれにも 管 理 されていない 危 険 な 存 在 となるのであ る 寡 婦 は しばしば 夫 を 殺 害 した 存 在 とさえみなされ 吉 なる 儀 式 に 参 加 することもできないし 家 族 と 一 緒 に 食 事 をすることが 禁 じられていることもある 寡 婦 は 白 やベージュ つまり 無 色 のサリーを 着 て 装 飾 品 とは 縁 のない 生 活 を 送 る これは 彼 女 が 不 吉 であることを 意 味 するが 同 時 にみずから を 禁 欲 者 として 律 しようとする 決 意 をも 示 しているといえよう 寡 婦 に 対 立 するのは スマンガリー すなわち 吉 なる 女 性 と 形 容 される 既 婚 女 性 であり また 夫 より 先 に 死 ぬ 女 性 である ヒンドゥー 社 会 に おいて 既 婚 の 女 性 こそが 吉 なる 存 在 で さまざまな 儀 礼 に 参 加 し 重 要 な 役 割 を 果 たす また 死 後 も 礼 拝 の 対 象 となる ラクシュミーの 装 いは 人 生 最 大 の 吉 なる 儀 礼 婚 姻 を 想 起 させると 述 べたが ラクシュミーは 花 嫁 そして 既 婚 女 性 を より 抽 象 的 には スマンガリーが 体 現 するめでたさや 豊 饒 性 を 表 しているといえよう ラクシュミーが 表 現 するラグジュアリーとは 物 質 的 豊 かさとともに 既 婚 女 性 であることの 吉 兆 なのである ラクシュミーと 女 性 たち

高 位 カーストに 限 っていえば すべての 女 性 は 処 女 のまま 結 婚 することが 理 想 だが かならずしもこ の 理 想 を 実 現 するとはいえない 結 婚 しても 夫 に 先 立 たれるかもしれない ラクシュミーという 吉 兆 を 具 現 化 するラグジュアリーな 神 格 は むしろ 人 間 の 不 完 全 さによって その 完 全 さが 際 立 つのである さらにいえば こうした 女 性 の 理 想 化 こそ 生 身 の 女 性 を2つの 極 貞 淑 な 妻 とそうでない 女 性 スマン ガリーと 寡 婦 などに 分 断 し その 優 劣 の 評 価 を 正 当 化 するといえよう これが 女 神 像 のイデオロギー 的 な 機 能 である( 註 3) しかし ラグジュアリーな 女 神 ラクシュミーは 既 婚 女 性 の 可 能 性 をあますところ なく 表 現 し その 力 を 讃 えるという 点 においてエンパワーメントの 源 泉 ともなりうる ここにラクシュ ミーの 人 気 の 秘 密 が 隠 されているのではないだろうか 註 1. 複 製 技 術 についてはヴァルター ベンヤミン 著 複 製 技 術 時 代 の 芸 術 作 品 および 写 真 小 史 ( 両 論 ともに ベンヤミン コレク ション1 近 代 の 意 味 久 保 哲 司 訳 筑 摩 文 庫 1995 所 収 )を 参 照 2. ラクシュミーについては 以 下 の 文 献 を 参 照 した David Kinsley, Hindu Goddess: Visions of the Divine Feminine in the Hindu Religious Tradition, Berkeley: The Regents of the University of California Press, 1986, Vasudha Narayanan, "The Goddess Sri: The Blooming Lotus and Breast Jewel of Viṣṇu," in John S. Hawley and Donna A. Wulff, eds., The Divine Consort: Radhā and The Goddesses of India, Berkeley: The Regents of the Universityu of California Press, 1982, Vasudha Narayanan, "Śrī :Giver of Fortune, Bestower of Grace," in John S. Hawley and Donna A. Wulff, eds., Devī : Goddesses of India, Berkeley: The Regents of the University of California Press, 1996. ラクシュミーの 彫 刻 や 図 絵 については C. Sivaramamurti, Śrī Lakshmī in Indian Art and Thought, New Delhi: Kanak Publications, 1982. とChitralekha Singh and Prem Nath, Lakshmī, New Delhi: Crest Publishing House, 2001. に 詳 し い. 3. 女 神 のイデオロギー 的 機 能 については 田 中 雅 一 女 から 女 神 へ 南 アジアにおける 神 格 化 をめぐって ( 女 神 聖 と 性 の 人 類 学 田 中 雅 一 編 平 凡 社 1998)に 詳 しい 図 版 Fig. 1 Fig. 2 Fig. 3 Fig. 4 Fig. 5 Fig. 6 Fig. 7 Fig. 8 山 車 のでる 風 景 ( 南 インドの 大 祭 );Big festival chariots in South India. 神 の 絵 を 首 にかけている 巡 礼 者 ;A Hindu pilgrim putting a picture of gods around the neck. ラヴィ ヴァルマーが 描 いたとされるラクシュミー;Hindu goddess Lakshmi said to shave drawn by Ravi Varma. 蓮 の 花 の 上 に 座 るラクシュミー;Lakshmi sitting on the lotus flower. ラクシュミーと2 頭 の 象 ;Lakshmi with two elephants. サラスヴァティー ラクシュミー ガネーシャ;Saraswati, Lakshmi, and Ganesha. ヴィシュヌとラクシュミー;Vishnu and Lakshmi. 結 婚 式 花 婿 とその 後 に 立 つ 花 嫁 ;Wedding in India: a bride in a red sari. 田 中 雅 一 (たなかまさかず) 1955 年 和 歌 山 市 生 まれ ロンドン 大 学 経 済 政 治 学 院 (LSE) 博 士 号 ( 人 類 学 )) 取 得 主 な 著 書 に 供 犠 世 界 の 変 貌 南 アジアの 歴 史 人 類 学 編 著 に 暴 力 の 文 化 人 類 学 女 神 共 編 著 に ミクロ 人 類 学 の 実 践 ジェンダーで 学 ぶ 文 化 人 類 学 ジェンダー で 学 ぶ 宗 教 学 など ( 肩 書 は 掲 載 時 のものです )