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Transcription:

明 治 学 院 大 学 機 関 リポジトリ http://repository.meijigakuin 自 由 主 義 経 済 学 者 猪 間 驥 一 の 人 口 問 題 研 究 およびそ Title の 近 代 史 認 識 -1920~1940 年 代 の 考 察 - Author(s) 和 田, みき 子 ; WADA Mikiko Citation Issue Date 2016-05-12T07:02:11Z URL http://hdl.handle.net/10723/2662 Rights Meiji Gakuin University Institutional Rep http://repository.meijigakuin.ac.jp/

論 文 要 旨 今 日 の 日 本 近 代 史 研 究 では 満 州 事 変 から 日 中 戦 争 にいたる 期 間 を いわゆる 十 五 年 戦 争 の 一 部 をなすものとして 準 戦 時 期 としてとらえられるのが 通 例 である ところが ここに 猪 間 驥 一 という 知 られざる 自 由 主 義 経 済 学 者 を 登 場 させると 1930 年 代 の 状 況 は まった く 別 のものに 見 えてくる 猪 間 は 東 京 帝 国 大 学 経 済 学 部 の 草 創 期 を 知 り 石 橋 湛 山 や 上 田 貞 次 郎 とともに 調 査 研 究 を 行 い 終 戦 直 後 には 自 ら 日 本 近 代 史 を 叙 述 するなど 日 本 の 経 済 史 上 重 要 な 場 所 に 存 在 し その 意 味 では 歴 史 の 目 撃 者 でもあった ここでは 猪 間 がどん な 活 動 を 行 ってきたのかをたどり その 目 を 通 して 日 本 の 近 代 史 とくに 1930 年 代 を 概 観 する 第 1 部 は 1930 年 代 への 導 入 の 時 代 として 1920 年 代 を 中 心 に 論 じる 第 1 章 では 猪 間 の 東 京 帝 国 大 学 経 済 学 部 における 体 験 と 彼 が 東 洋 経 済 新 報 社 の 石 橋 湛 山 に 出 会 うまでを 追 った 1919 年 9 月 猪 間 は 東 京 帝 国 大 学 経 済 学 部 第 一 期 生 として 入 学 し その 翌 年 1 月 森 戸 事 件 に 遭 遇 する 一 般 には 知 られていないが 経 済 学 部 の 学 生 団 体 経 友 会 は 森 戸 大 内 の 休 職 処 分 を 決 定 した 教 授 会 に 対 して 他 に 先 駆 けて 学 問 の 独 立 をかかげ 反 省 を 促 す という 声 明 を 出 す その 草 案 を 作 ったのが 経 友 会 の 代 表 委 員 であった 猪 間 であった 猪 間 は 糸 井 靖 之 の 演 習 に 参 加 して 統 計 学 に 開 眼 し マルクス 主 義 者 の 有 沢 広 巳 大 森 義 太 郎 とともに 助 手 として 大 学 に 残 るが その 直 後 に 病 に 倒 れて 1 年 半 の 入 院 生 活 を 余 儀 なく される 幸 いにも 関 東 大 震 災 の 後 再 び 大 学 に 復 帰 し 物 価 指 数 をテーマにした 処 女 論 文 が 評 価 されて 1924 年 4 月 講 師 に 就 任 するが 同 年 12 月 糸 井 のドイツでの 客 死 を 機 に 大 内 の 推 薦 で 大 森 とともに 助 手 から 一 足 飛 びに 助 教 授 になった 有 沢 によって 東 大 を 追 放 さ れる これを 伝 え 聞 いた 石 橋 湛 山 は 東 洋 経 済 新 報 の 主 幹 に 就 任 したばかりであったが すぐさま 猪 間 に 会 って 東 洋 経 済 新 報 社 における 新 入 社 員 向 けの 統 計 学 の 講 義 を 依 頼 する 湛 山 の 発 案 により 統 計 学 講 義 の 誌 上 連 載 も 始 まる この 連 載 は 好 評 につき 9 ヵ 月 の 長 期 に 及 び さらに 統 計 学 入 門 書 として 発 売 される 猪 間 のデザインによる 日 本 初 の 対 数 方 眼 紙 も 同 時 発 売 される この 書 は 各 界 に 大 きな 反 響 を 呼 び ロングセラーの 書 となる 第 2 章 では 1925 年 東 京 市 政 調 査 会 の 研 究 員 となった 猪 間 が 意 欲 的 に 取 り 組 んだ 人 口 問 題 研 究 を 取 り 上 げた 1925 年 猪 間 は 後 藤 新 平 がニューヨーク 市 政 調 査 会 にならって 設 立 した 東 京 市 政 調 査 会 の 研 究 員 となる 1925 年 に 実 施 された 日 本 初 の 失 業 統 計 調 査 の 結 果 を 受 けて 猪 間 は 1926 年 都 市 問 題 誌 上 に 失 業 者 は 意 外 に 少 ない という 当 局 者 の 発 言 に 反 論 を 試 みる そして この 調 査 には 労 働 者 総 数 を 多 く 取 ってしまうという 不 手 際 があったこ とを 背 理 法 を 用 いて 導 き 出 し 失 業 者 の 実 態 を 示 す 調 査 としては 使 えないことを 明 らか にする 1926 年 に 上 梓 された 最 近 帝 国 人 口 の 実 状 では すべての 政 治 的 経 済 的 課 題 は 実 は 人 口 問 題 に 帰 結 するという 画 期 的 な 視 点 を 提 供 している 1927 年 から 1928 年 に

かけて 猪 間 は 失 業 統 計 調 査 に 代 わるものとして 都 市 とその 周 辺 地 域 の 人 口 動 態 調 査 を 用 いて 都 市 周 辺 への 人 口 集 中 現 象 に 失 業 問 題 の 実 態 を 見 ることを 着 想 する ここで 猪 間 は 地 方 からの 人 口 が 直 接 都 市 に 向 かうのではなく いったん 隣 接 近 郊 外 郊 町 村 に 定 着 し その 後 都 市 を 目 指 すという 特 有 の 現 象 を 発 見 する 第 3 章 では 猪 間 の 妊 産 婦 保 護 事 業 と 乳 児 死 亡 統 計 に 関 するレポートを 取 り 上 げた 1926 年 から 1927 年 に 及 ぶ 妊 産 婦 保 護 事 業 乳 児 死 亡 統 計 の 研 究 では 各 地 の 妊 産 婦 保 護 事 業 の 実 態 を 詳 細 にレポートし それが 乳 児 死 亡 率 を 下 げるためにどれだけ 有 効 に 働 く か イギリス 等 先 進 国 での 調 査 研 究 を 踏 まえ 十 分 でない 統 計 データを 駆 使 して 明 らかに する 中 でも 家 庭 を 訪 問 して 出 産 を 介 助 する 巡 回 産 婆 事 業 の 成 果 を 強 調 した 1920 年 代 後 半 多 産 か 少 産 かをめぐって 白 熱 した 議 論 が 交 わされた 人 口 論 争 からは 距 離 をおき 人 口 が 過 剰 な 時 代 にあっても 重 要 なのは 人 口 の 増 加 を 押 えることではなく 生 れた 子 供 を 死 なせないで 育 て 上 げること つまり 乳 児 死 亡 率 を 減 少 させることであるという 所 説 を 展 開 する 当 時 不 健 全 な 子 供 を 作 るような 結 婚 は 罪 悪 とする いわゆる 優 生 思 想 が 識 者 の 間 でも 根 強 く 支 持 されていた 猪 間 の 衛 生 思 想 の 普 及 や 生 活 指 導 によって 人 の 資 質 は 変 えうるとする 考 え 方 は これとは 対 極 にあるものであった 第 4 章 では 猪 間 の 昭 和 恐 慌 期 の 経 済 分 析 と 失 業 問 題 をめぐる 議 論 を 取 り 上 げた 昭 和 恐 慌 期 猪 間 は 職 業 紹 介 統 計 から 日 本 の 労 働 市 場 がいかに 深 刻 な 状 況 にあるか とくに 知 識 階 級 の 厳 しい 就 職 難 の 実 態 を 明 らかにした 紹 介 所 に 登 録 しておきながら 再 度 来 所 する 人 が 多 く 見 られたことから それを 焦 燥 率 として 表 現 し 失 業 の 深 刻 さを 計 る 一 つ の 指 標 とした さらに 石 橋 湛 山 高 橋 亀 吉 らの 新 平 価 による 金 解 禁 を 訴 えるキャンペーン に 呼 応 して 二 つの 試 みをなす 一 つは ケインズ 主 義 的 政 策 を 提 言 する 失 業 問 題 は 何 処 へ 行 く? の 発 表 であり もう 一 つは 日 本 経 済 図 表 における データ 分 析 による 浜 口 内 閣 のデフレ 政 策 批 判 であった 1931 年 12 月 犬 養 内 閣 が 成 立 し その 蔵 相 に 就 任 した 高 橋 是 清 の 新 平 価 による 金 解 禁 の 実 施 金 本 位 制 の 停 止 により その 後 景 気 が 急 速 に 回 復 し ていった 第 2 部 は 1930 年 代 を 中 心 に 高 橋 財 政 期 の 経 済 成 長 を 背 景 に 繰 り 広 げられた 様 々な 活 動 にせまる 第 5 章 では 従 来 同 じテーブルで 論 じられることのなかった 湛 山 と 上 田 貞 次 郎 が 1930 年 代 に 自 由 通 商 運 動 をめぐって 共 闘 関 係 にあったことを 東 洋 経 済 誌 上 にて 確 認 し た 1932 年 上 田 は 日 本 経 済 研 究 会 を 設 立 し 本 格 的 な 人 口 問 題 研 究 に 取 り 組 む そして 日 本 の 将 来 人 口 を 予 測 し その 成 果 を 携 えて 1933 年 バンフ 太 平 洋 会 議 に 出 席 する 彼 はそ の 席 上 日 本 の 人 口 も 諸 外 国 の 人 々が 脅 威 とするほど 無 限 には 殖 えないことを 示 した 上 で 産 児 制 限 は 悪 くはないがもう 遅 く 何 としても 職 を 与 えなければならない 人 口 はすでに 生 まれており その 数 は 今 後 20 年 間 に 1,000 万 に 達 すること この 人 口 に 職 業 を 与 えるため に 世 界 は 日 本 に 対 して 原 料 を 供 給 し 市 場 を 開 放 する 必 要 があり そうでなければ 満 州 事 変

同 様 の 国 際 的 危 機 が 招 来 されると 訴 えた この 発 言 は 要 職 人 口 一 千 万 として 世 界 的 な 反 響 を 呼 んだ 人 口 問 題 の 解 決 には 仕 事 を 殖 す 以 外 にないという 持 論 を 有 していた 湛 山 は 上 田 のこの 主 張 に 共 感 し 東 洋 経 済 誌 上 に 上 田 の 人 口 問 題 研 究 の 成 果 をまとめた 大 論 文 を 掲 載 する その 一 方 で 湛 山 は 高 橋 蔵 相 町 田 商 工 相 ら 政 府 要 人 とのインタビューを 行 って 自 由 通 商 をめざして 関 税 障 壁 の 緩 和 を 世 界 に 訴 える 方 針 を 確 認 した 二 二 六 事 件 の 後 国 際 関 係 において 日 本 が 孤 立 する 中 ヨセミテ 太 平 洋 会 議 に 参 加 した 上 田 は 日 本 が 世 界 貿 易 に 進 出 することは 国 民 生 活 上 絶 対 の 条 件 であること また 日 本 の 貿 易 は 高 関 税 や 輸 入 割 当 てによって 妨 害 されているが 日 本 には 外 国 の 市 場 を 荒 らす 意 図 はなく 必 要 に 応 じて 自 ら 調 節 する 用 意 があることを 明 言 した 一 方 の 湛 山 は この 会 議 の 直 後 貿 易 に 関 する 限 りすべての 国 に 平 等 に 門 戸 を 開 放 すること 主 旨 とした 世 界 開 放 主 義 を 提 唱 する これらの 活 動 が 功 を 奏 して 翌 年 初 め 日 本 に 有 利 な 条 件 で 日 米 綿 業 協 定 が 締 結 される また 湛 山 の 主 張 に 共 鳴 した 有 田 外 相 は 中 央 アフリカにおける 通 商 上 の 均 等 待 遇 の 原 則 を うたったコンゴ 盆 地 条 約 の 精 神 の 適 用 を 提 唱 し 佐 藤 外 相 は 中 国 に 経 済 使 節 団 を 派 遣 する 一 方 で 通 商 の 自 由 を 含 む 自 由 三 原 則 を 提 唱 して いずれも 日 本 の 国 際 連 盟 脱 退 以 後 も 協 力 を 続 けていた 首 藤 商 務 書 記 官 によって 原 料 品 調 査 委 員 会 で 表 明 された この 活 動 は 日 中 戦 争 の 開 始 まで 続 けられていた 第 6 章 では 上 田 グループの 人 口 問 題 研 究 と 猪 間 の 人 口 の 都 市 移 住 計 画 ( 仮 称 )を 取 り 上 げる 1933 年 上 田 が 主 宰 する 日 本 経 済 研 究 会 に 猪 間 が 加 わる 猪 間 は 都 市 に 集 中 する 人 口 の 年 齢 に 着 目 した 論 文 を 発 表 し 出 生 の 増 加 は 都 市 でなく 農 村 で 起 っていること そして その 農 村 で 生 まれ 育 った 子 供 が 生 産 年 齢 に 達 して 都 市 に 流 入 するという 構 造 を 明 らかに する これを 受 けて 上 田 は 1 都 市 と 農 村 が 別 個 の 経 済 組 織 ではなく 国 民 経 済 上 の 分 業 を 行 っていること 2 農 村 の 青 年 が 都 会 へ 行 くのは よりよい 生 活 を 目 指 すからであって 彼 らが 農 村 にとどまるなら 農 村 は 疲 弊 すること 3 都 市 集 中 は 日 本 の 経 済 の 工 業 化 に 伴 う 現 象 であり 問 題 の 解 決 は 工 業 化 の 過 程 を 速 やかにすることであって 青 年 の 離 村 を 食 い 止 めることではないという 結 論 を 導 き 出 す そして 人 口 政 策 として 農 村 から 都 市 への 国 内 移 住 を 提 言 する 猪 間 は この 国 内 移 住 を 具 体 化 する 都 市 計 画 を 作 成 する その 計 画 は 都 市 問 題 誌 上 に 発 表 が 予 告 されていた ところが まさにそのとき 日 中 戦 争 が 勃 発 するのである 日 中 戦 争 の 開 始 後 上 田 は 国 立 人 口 問 題 研 究 所 の 設 立 に 向 けて 動 き 始 めるとともに 民 族 衛 生 研 究 会 が 1939 年 に 発 表 した 産 めよ 殖 やせよ という 標 語 に 危 機 感 を 覚 え そばに 病 ますな 育 てよ という 標 語 を 並 置 させるようになる つまり 多 産 を 奨 励 するより 生 まれた 者 を 死 なせないようにするほうが 得 策 だというのである 上 田 の 多 産 が 多 死 をもたらし 少 産 が 少 死 をもたらすという 所 説 を 知 る 者 には これが 軍 国 主 義 キ ャンペーンに 反 対 を 唱 えているものであることが 了 解 される 第 7 章 では これまで 知 られることのなかった 湛 山 と 猪 間 が 共 同 で 取 り 組 んだ 地 方 財 政

問 題 を 取 り 上 げた 1920 年 代 の 湛 山 の 地 租 委 譲 論 はよく 知 られているが 1930 年 代 の 高 橋 財 政 期 政 友 会 の 爆 弾 動 議 によって この 議 論 が 再 燃 したことは 知 られていない 興 味 深 いのは 湛 山 が 政 府 要 人 とのインタビューや 猪 間 も 参 加 した 座 談 会 を 通 して 地 方 分 権 のためには 地 租 の 委 譲 だけでは 不 十 分 という 認 識 をもつようになったことである 従 って 地 方 財 政 交 付 金 制 度 についても 否 定 的 にとらえるのでなく 公 平 な 配 分 という 観 点 から 検 討 されている それ らは 今 日 の 地 方 財 政 問 題 の 議 論 とも 重 なるようなハイレベルな 議 論 であった 第 8 章 では 湛 山 ら 東 洋 経 済 新 報 社 のバックアップを 受 けて 京 城 時 代 の 鈴 木 武 雄 が 力 を 注 いだ 大 陸 前 進 兵 站 基 地 構 想 を 取 り 上 げた 鈴 木 の 大 陸 前 進 兵 站 基 地 構 想 は 従 来 日 本 と 満 州 を 直 接 つないでいた 海 と 陸 地 の 輸 送 路 を 朝 鮮 半 島 を 経 由 させることによって 朝 鮮 の 工 業 化 を 推 進 しようというプログラムであ った 工 業 化 を 推 進 することによって 植 民 地 の 実 質 的 な 経 済 的 独 立 を 実 現 しようと 考 えた のである 鈴 木 はこれを 時 局 協 力 を 装 いながら 行 った 実 はここには 東 洋 経 済 新 報 社 京 城 支 局 を 立 ち 上 げ 大 陸 東 洋 経 済 を 創 刊 した 石 橋 湛 山 と 支 局 長 の 小 倉 政 太 郎 による 強 力 なバックアップがあった 湛 山 は 農 村 工 業 計 画 の 延 長 線 上 にこの 構 想 をとらえていたので ある 戦 後 になって 鈴 木 は 自 らの 時 局 協 力 を 認 め それを 反 省 しながら 日 本 の 立 場 を 弁 護 するという 一 見 矛 盾 した 言 論 活 動 を 行 う しかしここには 南 北 朝 鮮 を 分 断 せずに 工 業 化 を 実 現 しようとする 鈴 木 の 意 図 があったのである ところが 戦 後 の 歴 史 学 は 鈴 木 の 日 本 を 擁 護 する 発 言 を 問 題 視 することはあっても 時 局 協 力 の 内 容 そのものを 問 うことは なかった 第 3 部 は 1940 年 代 GHQ 占 領 期 に 焦 点 を 当 てる 第 9 章 では 従 来 植 民 地 支 配 を 肯 定 する 立 場 から 書 かれたとされる 日 本 人 の 海 外 活 動 に 関 する 歴 史 的 調 査 の 成 立 過 程 に 湛 山 の 関 与 があったことを 猪 間 のエッセー 集 湛 山 の 日 記 を 用 いて 検 証 した 終 戦 直 後 の 1946 年 9 月 第 一 次 吉 田 内 閣 時 GHQ の 指 令 により 大 蔵 省 内 に 在 外 財 産 調 査 会 が 設 置 される このときの 大 蔵 大 臣 は 石 橋 湛 山 であった 当 初 朝 鮮 篇 を 担 当 した 鈴 木 武 雄 らによって 報 告 書 の 編 纂 作 業 が 進 められ その 約 3 ヵ 月 後 満 州 から 引 揚 げてきた 猪 間 が これに 加 わる 猪 間 は 日 本 の 海 外 活 動 の 正 当 性 を 示 すには 歴 史 が 欠 かせないと 考 えた 編 纂 作 業 中 の 1947 年 5 月 湛 山 が 突 然 GHQ の 指 令 により 公 職 追 放 になるが 猪 間 はその 後 も 湛 山 と 接 触 を 保 ちながら これを 完 成 させる 第 10 章 では 猪 間 が 執 筆 した 日 本 人 の 海 外 活 動 総 論 の 具 体 的 内 容 を 明 らかにし 日 本 の 近 代 史 は 正 常 な 資 本 主 義 発 達 史 であり 帝 国 主 義 的 発 展 史 ではないとする 主 張 を 検 証 した 猪 間 は 日 本 の 近 代 史 を 二 つの 大 きな 逸 脱 とその 回 避 そして 回 避 できなかった 三 つ 目 の 逸 脱 の 歴 史 としてとらえた 一 つ 目 の 逸 脱 とは 第 1 次 世 界 大 戦 後 の 武 力 的 大 陸 進 出 であ り 二 つ 目 の 逸 脱 が 浜 口 内 閣 によるデフレ 政 策 の 実 施 で この 最 中 に 満 州 事 変 が 起 こる

三 つ 目 の 逸 脱 は 日 中 戦 争 の 開 始 であるが 日 本 はこれを 回 避 できず 太 平 洋 戦 争 にいたら しめた ここで 二 つの 大 きな 逸 脱 の 回 避 に 大 きな 役 割 を 果 たしたのが 小 日 本 主 義 をか かげた 湛 山 の 言 論 活 動 であり その 結 果 実 現 したのが 1920 年 代 の 幣 原 外 交 であり ま た 1930 年 代 の 高 橋 財 政 であったとするのである 大 正 時 代 のリベラリズムには 政 治 を 重 視 する 黎 明 会 系 と 経 済 を 重 視 する 東 洋 経 済 系 の 二 つの 流 れがあり 金 解 禁 論 争 では 旧 平 価 金 解 禁 派 と 新 平 価 金 解 禁 派 に 分 かれて 対 立 したが この 報 告 書 は 明 確 に 後 者 を 支 持 する 立 場 で 書 かれ 湛 山 の 経 済 思 想 が 色 濃 く 反 映 されているのが 見 て 取 れる 今 日 の 湛 山 研 究 には 多 くの 誤 解 がある それを 集 めたのが 終 章 である それらの 誤 解 の 中 でも 最 も 問 題 視 されるのが いわゆる 十 五 年 戦 争 の 初 期 の 頃 から 湛 山 は 消 極 的 抵 抗 に 転 じたとするものである 金 解 禁 論 争 においても 高 橋 財 政 期 においても 湛 山 は 積 極 的 な 活 動 を 展 開 していた 湛 山 が 満 州 事 変 が 昭 和 恐 慌 の 真 っ 只 中 に 起 ったこと を 指 摘 し 不 景 気 は 人 間 社 会 最 大 の 罪 悪 としていることの 意 味 を 彼 らは 理 解 していな いように 思 われる 最 後 に 確 認 すべきことは 日 中 戦 争 の 開 始 直 前 日 本 には 貿 易 の 自 由 化 都 市 のさらな る 工 業 化 農 村 工 業 化 人 口 の 都 市 移 住 地 方 分 権 化 のための 条 件 はすべて 整 っていたとい うことである 高 度 経 済 成 長 期 の 出 現 も 可 能 だったとさえいわれる それは およそ 準 戦 時 下 では 考 えられないことであり 十 五 年 戦 争 と 呼 ぶにはふさわしくない 状 況 であった