障 害 者 の 所 得 の 状 況 と 求 められる 所 得 保 障 政 策 日 本 障 害 者 協 議 会 連 続 講 座 2015 東 京 しごとセンター 講 堂 2016 年 1 月 25 日 自 己 紹 介 百 瀬 優 流 通 経 済 大 学 1
OECD 諸 国 における 障 害 者 の 貧 困 率 (OECD,2010) 2
OECD 諸 国 における 障 害 関 連 現 金 給 付 費 の 規 模 (2011 年 ) Country 対 GDP 対 公 的 社 会 支 出 Australia 1.5% 8.4% Austria 1.6% 5.7% Belgium 1.6% 5.6% Canada 0.8% 4.5% Denmark 2.4% 8.1% Finland 2.2% 7.9% France 1.2% 3.8% Germany 0.9% 3.6% Ireland 1.1% 4.9% Italy 1.6% 5.7% Korea 0.3% 3.8% Netherlands 2.0% 8.4% New Zealand 2.1% 10.2% Norway 2.2% 10.1% Portugal 1.7% 6.7% Spain 1.5% 5.5% Sweden 1.5% 5.5% Switzerland 1.6% 8.4% United Kingdom 1.8% 8.0% United States 1.2% 6.2% 出 所 :OECD, Social Expenditure Database より 算 出 注 1: 障 害 関 連 現 金 給 付 はpublic incapacity related cash benefitsからpublic paid sick leaveを 除 いた 数 値 としている 注 2: 表 中 の 青 の 網 掛 けはOECD(2010)で 障 害 のある 人 の 貧 困 率 が30%を 超 えている 国 障 害 者 の 貧 困 率 が 高 い 国 は 障 害 関 連 現 金 給 付 費 の 規 模 が 小 さ い 傾 向 一 方 で 障 害 者 の 貧 困 率 が 低 い 国 で 障 害 関 連 現 金 給 付 費 の 規 模 が 大 きいという 訳 ではない 現 物 給 付 や 雇 用 政 策 の 役 割 日 本 の 位 置 づけ 障 害 者 の 貧 困 率 は 不 明 対 GDP 対 公 的 社 会 支 出 Japan 0.6% 2.6% 3
障 害 者 の 所 得 や 貧 困 の 統 計 的 把 握 障 害 者 の 貧 困 障 害 者 の 貧 困 は その 問 題 の 大 きさに 比 して 注 目 を 集 めていない 障 害 者 については 低 位 な 生 活 状 態 にあることが 社 会 的 に 容 認 されやすく さらに 家 族 扶 養 が 強 調 されるなか でその 貧 困 が 家 族 に 包 摂 されて 見 えにくくなっている ( 鈴 木, 2010) 同 時 に 障 害 者 の 貧 困 に 関 する 統 計 データが 不 足 してい る 子 どもの 貧 困 との 対 比 障 害 者 の 所 得 の 状 況 1 厚 生 労 働 省 平 成 23 年 生 活 のしづらさなどに 関 する 調 査 内 閣 府 平 成 19 年 度 障 害 者 施 策 総 合 調 査 平 成 25 年 度 東 京 都 福 祉 保 健 基 礎 調 査 障 害 者 の 生 活 実 態 きょうされん 障 害 のある 人 の 地 域 生 活 実 態 調 査 2012 年 障 害 者 生 活 実 態 調 査 研 究 会 障 害 者 生 活 実 態 調 査 2005 2006 年 4
障 害 者 の 所 得 や 貧 困 の 統 計 的 把 握 障 害 者 の 所 得 の 状 況 2 調 査 の 実 施 主 体 調 査 の 対 象 者 調 査 時 期 は 様 々であるにも かかわらず 本 人 年 収 で 見 た 場 合 障 害 者 の 半 数 近 くは100 万 円 程 度 以 下 の 収 入 しかないことが 共 通 して 確 認 できる 生 活 保 護 と 家 族 の 扶 養 の 役 割 障 害 者 の 貧 困 率 1 ( 相 対 的 ) 貧 困 率 = 等 価 可 処 分 所 得 の 中 央 値 の 半 分 (or 60%)の 額 を 貧 困 線 と 定 義 し それを 下 回 る 等 価 可 処 分 所 得 しか 得 ていない 者 の 割 合 等 価 可 処 分 所 得 = 世 帯 の 可 処 分 所 得 を 世 帯 人 員 数 の 平 方 根 で 割 って 調 整 した 所 得 貧 困 は 所 得 面 の 把 握 だけでは 不 十 分 だが 日 本 の 障 害 者 の 貧 困 率 の 推 計 は 先 行 研 究 が 事 実 上 存 在 せず 山 田 百 瀬 四 方 (2015)で 政 府 推 計 でも 用 いられる 国 民 生 活 基 礎 調 査 から 初 めて 障 害 者 の 貧 困 率 を 推 計 5
障害者の所得や貧困の統計的把握 障害者の貧困率② 障害のある人々をどのように定義し 把握するかの難しさ 国民生活基礎調査 では 障害や身体機能の低下など で 手助けや見守りを必要としていますか という設問 の回答から判断するしか方法がない 要介助障害者 そのため 推計結果は 障害のある人のごく一部につい てのものになる 障害者の貧困率 推計結果 要介助障害の有無別の貧困率 本人市場所得に基づく貧困率 本人可処分所得に基づく貧困率 等価可処分所得に基づく貧困率 差の 差の 差の 検定 要介助障害者 検定 要介助障害者 検定 要介助障害者 要介助障害者 要介助障害者 要介助障害者 以外 以外 以外 20 39歳 40 49歳 50 64歳 46.6% 39.8% 52.6% 89.2% *** 81.5% *** 81.6% *** 47.3% 40.0% 43.5% 78.5% *** 56.4% *** 59.2% *** 13.8% 13.4% 14.6% 28.8% *** 26.7% *** 27.5% *** 出典 厚生労働省 平成25年国民生活基礎調査 個票に基づき推計 山田 百瀬 四方 2015 の表を一部改変して使用 注 *** ** *は それぞれ1 5 10 水準で有意 6
要 介 助 障 害 者 のみ 障 害 者 の 所 得 や 貧 困 の 統 計 的 把 握 要 介 助 障 害 者 の 就 労 所 得 の 有 無 別 の 貧 困 率 本 人 市 場 所 得 に 基 づく 貧 困 率 本 人 就 労 所 得 無 本 人 就 労 所 得 有 差 の 検 定 本 人 可 処 分 所 得 に 基 づく 貧 困 率 本 人 就 労 所 得 無 要 介 助 障 害 者 の 年 金 の 有 無 別 の 貧 困 率 要 介 助 障 害 者 の 同 居 の 有 無 別 の 貧 困 率 本 人 就 労 所 得 有 本 人 就 労 所 得 無 本 人 就 労 所 得 有 20-39 歳 100.0% 68.2% *** 92.1% 52.1% *** 29.5% 27.5% 40-49 歳 99.1% 37.8% *** 73.8% 13.2% *** 35.8% 3.9% *** 50-64 歳 96.8% 35.6% *** 70.6% 24.3% *** 34.0% 7.5% ** 要 介 助 障 害 者 のみ 本 人 市 場 所 得 に 基 づく 貧 困 率 差 の 検 定 本 人 可 処 分 所 得 に 基 づく 貧 困 率 差 の 検 定 等 価 可 処 分 所 得 に 基 づく 貧 困 率 本 人 公 的 年 金 恩 給 無 本 人 公 的 年 金 恩 給 有 本 人 公 的 年 金 恩 給 無 本 人 公 的 年 金 恩 給 有 本 人 公 的 年 金 恩 給 無 本 人 公 的 年 金 恩 給 有 20-39 歳 83.4% 97.4% * 78.0% 79.2% 36.2% 18.3% 40-49 歳 74.6% 92.5% *** 56.3% 56.7% 25.9% 28.0% 50-64 歳 70.1% 88.1% *** 63.0% 57.0% 28.2% 27.1% 差 の 検 定 等 価 可 処 分 所 得 に 基 づく 貧 困 率 差 の 検 定 差 の 検 定 要 介 助 障 害 者 のみ 本 人 市 場 所 得 に 基 づく 貧 困 率 本 人 可 処 分 所 得 に 基 づく 貧 困 率 等 価 可 処 分 所 得 に 基 づく 貧 困 率 差 の 差 の 検 定 検 定 同 居 単 身 同 居 単 身 同 居 単 身 差 の 検 定 20-39 歳 91.3% 71.7% 83.5% 36.4% ** 27.9% 36.4% 40-49 歳 84.1% 72.3% 63.6% 30.8% * 25.6% 30.8% 50-64 歳 83.0% 78.4% 63.0% 50.1% 18.0% 50.1% ***
障 害 者 に 対 する 所 得 保 障 政 策 障 害 年 金 の 基 礎 データ(2013 年 度 末 ) 障 害 年 金 受 給 者 数 は 約 200 万 人 基 礎 年 金 のみが 約 150 万 人 国 民 年 金 の 障 害 年 金 の 受 給 者 数 は 約 180 万 人 総 人 口 に 占 め る 割 合 は1.42% 1986 年 度 末 では 国 民 年 金 の 障 害 年 金 の 受 給 者 数 は 約 100 万 人 (0.83%) 増 加 の 要 因 は 高 齢 化 などの 人 口 構 成 の 変 化 精 神 の 障 害 による 受 給 権 者 数 の 増 加 それ 以 外 の 傷 病 は 受 給 者 数 全 体 の 増 加 にほ とんど 寄 与 していない ( 百 瀬,2014) 障 害 年 金 給 付 費 総 額 は 約 2 兆 円 20 年 間 で1.4 倍 に 老 齢 年 金 約 45 兆 円 遺 族 年 金 約 7 兆 円 それでも 欧 米 諸 国 に 比 べた 場 合 受 給 者 率 給 付 総 額 とも に 少 ない( 百 瀬,2011) 平 均 年 金 月 額 は 障 害 基 礎 年 金 のみの 場 合 1 級 で8.2 万 円 2 級 で6.6 万 円 障 害 厚 生 年 金 3 級 は 約 5.4 万 円 障 害 基 礎 年 金 では 2013 年 度 末 現 在 受 給 者 の6 割 弱 同 年 度 新 規 裁 定 受 給 者 の8 割 弱 が2 級 該 当 8
障 害 年 金 受 給 者 の 所 得 の 状 況 障 害 者 に 対 する 所 得 保 障 政 策 障 害 年 金 は 多 くの 障 害 者 にとって 最 大 の 収 入 源 である 平 成 25 年 度 東 京 都 福 祉 保 健 基 礎 調 査 では 平 成 24 年 中 の 収 入 のな かで 主 のものが 年 金 恩 給 となっている 者 は 身 体 障 害 者 で64.3% 知 的 障 害 者 で49.0% 精 神 障 害 者 で33.7% 障 害 年 金 受 給 者 のいる 世 帯 では 約 3 割 は 世 帯 の 主 な 収 入 源 が 障 害 年 金 のみ 残 りの 世 帯 もその 多 くが 障 害 年 金 と 家 族 の 収 入 の 組 み 合 わせが 世 帯 の 主 な 収 入 源 ( 厚 生 労 働 省 平 成 21 年 障 害 年 金 受 給 者 実 態 調 査 ) ただし 受 給 者 の 多 い 障 害 基 礎 年 金 (のみ)の 給 付 額 は そ れだけで 自 立 した 生 活 を 可 能 とするような 考 え 方 で 設 定 され ている 訳 ではない 国 際 的 に 見 ても 低 い 水 準 障 害 基 礎 年 金 のみの 受 給 者 (65 歳 未 満 )の 就 業 率 は 約 3 割 で あるが その 就 業 する 受 給 者 の6 割 弱 は 仕 事 による 年 間 収 入 が50 万 円 未 満 障 害 年 金 受 給 者 のいる 世 帯 の 年 間 収 入 の 中 央 値 は 受 給 者 のい ない 世 帯 の 年 間 収 入 と 比 較 して 明 らかに 低 い 9
障 害 年 金 と 生 活 保 護 の 併 給 障 害 者 に 対 する 所 得 保 障 政 策 障 害 基 礎 年 金 のみ 受 給 者 の 場 合 約 3 割 が 障 害 厚 生 年 金 3 級 受 給 者 の 場 合 約 2 割 が 世 帯 の 年 間 収 入 100 万 円 未 満 障 害 厚 生 年 金 の 受 給 者 の5.3% 障 害 基 礎 年 金 のみの 受 給 者 の6.5%が 生 活 保 護 を 受 給 年 金 と 生 活 保 護 の 併 給 状 況 (2013 年 度 末 ) 出 典 :(A)は 厚 生 労 働 省 平 成 25 年 度 厚 生 年 金 保 険 国 民 年 金 事 業 年 報 に (B)は 厚 生 労 働 省 平 成 25 年 度 被 保 護 者 調 査 に 基 づく 注 1: 各 年 金 の(A)は 厚 生 年 金 保 険 と 同 一 の 年 金 種 別 の 基 礎 年 金 を 併 給 している 者 の 重 複 分 を 控 除 した 場 合 の 数 値 である 注 2: 老 齢 年 金 の(B)は 通 算 老 齢 年 金 も 含 めた 数 値 となっているため 老 齢 年 金 の(A)にも 通 算 老 齢 年 金 を 含 めている 年 金 生 保 併 給 率 は 障 害 年 金 では 他 の 種 類 の 年 金 より 高 い また 併 給 率 は 増 加 傾 向 にある 10 年 前 の 同 時 受 給 は 約 7.2 万 件 障 害 年 金 受 給 者 に 占 める 割 合 は 4.2% 10
障害者に対する所得保障政策 障害年金を受給していない障害者① 障害種類別 手帳の程度別の年金 生活保護受給率および就業率 2013年度 東京都 単位 出典 東京都福祉保健局総務部総務課 障害者の生活実態 東京都福祉保健基礎調査報告書(統計編) 平成 25年度 より筆者作成 注1 年金受給率 生活保護受給率 は 障害種類 手帳の程度別の有効 回答数に占める年金 恩給 生活保護 を受給している者の割合である 注2 就業率 は 障害種類 手 帳の程度別の有効回答数に占める収入を伴う仕事をしている者の割合である 表中の数値には 福祉的就労 をしている者も含めている 内の数値は 福祉的就労を除いた場合の就業率である 注3 収入な し は 障害種類 手帳の程度別の有効回答数に占める年金 恩給 手当 生活保護を受けておらず その 11 他の収入もなかった者の割合である
障害者に対する所得保障政策 障害年金を受給していない障害者② 障害種類別 仕事の有無別の年金受給率 2013年度 東京都 単位 精神障害者 知的障害者 身体障害者 仕事の有無 仕事をしている 仕事をしていない 福祉的就労をしている 仕事をしている 仕事をしていない 福祉的就労をしている 仕事をしている 仕事をしていない 福祉的就労をしている 年金受給率 38.3 49.6 44.7 43.9 72.2 76.4 56.0 83.7 84.4 出典 前表に同じ 障害者手帳を所持していても年金を受給していない障害者が一 定割合存在することが分かる 特に 精神障害者や軽度の知的 障害者では無年金となっている者が多い 傾向的には 障害の程度が軽度になるほど 年金受給率が低下 する一方で 就業率が増加する しかし 仕事をしている障 害者でも年金を受給している者がいる一方で 仕事をしてい 12 ない障害者で 年金も受給していない者が少なくない
障害者に対する所得保障政策 生活保護を受給する障害者① 生活保護を受給する障害者の動向 出典 厚生省 平成10年被保護者全国一斉調査 厚生労働省 平成15年被保護者全国一斉調査 平成 20年被保護者全国一斉調査 平成25年度被保護者調査 より筆者作成 生活保護を受給する障害者は 障害年金との同時受給者も含めて 約36万人 この人数は 過去15年間で大きく増加 特に精神障 害と高齢の身体障害での被保護者の増加が全体の伸びを牽引 13
障 害 者 に 対 する 所 得 保 障 政 策 生 活 保 護 を 受 給 する 障 害 者 2 厚 生 労 働 省 被 保 護 者 調 査 では 把 握 できない 被 保 護 障 害 者 被 保 護 者 調 査 において 障 害 者 は 障 害 者 加 算 を 受 けている 者 または 障 害 知 的 障 害 等 の 心 身 上 の 障 害 のため 働 くことができない 者 もしくはそれと 同 等 の 状 態 にある 者 と 定 義 ただし 精 神 障 害 については 障 害 者 加 算 を 受 けている 者 のみとさ れ 障 害 者 加 算 を 受 けていない 精 神 病 ( 精 神 障 害 )を 主 傷 病 とする 者 は 含 まれていない さらに 障 害 者 加 算 は 身 体 障 害 者 手 帳 の3 級 以 上 ( 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 の2 級 以 上 )あるいは 障 害 年 金 の 障 害 等 級 2 級 以 上 で 認 定 されるため それに 該 当 しない 程 度 の 障 害 で 働 くことができると 判 断 された 者 は 統 計 上 障 害 者 に 含 まれていない しかし 東 京 都 調 査 では 精 神 障 害 者 保 健 福 祉 手 帳 の3 級 所 持 者 で も3 割 強 身 体 障 害 者 手 帳 の4 級 ~6 級 所 持 者 でも5~7%は 生 活 保 護 を 受 けている また 厚 労 省 調 査 では 3 級 の 障 害 厚 生 年 金 受 給 者 の8.9%が 生 活 保 護 を 受 けている いずれの 調 査 でも 傾 向 として は 障 害 の 程 度 が 軽 いほど 生 活 保 護 の 受 給 割 合 が 高 い 結 果 として 生 活 保 護 を 受 ける 障 害 者 は 被 保 護 者 調 査 で 把 握 されている 人 数 よりも 多 い 現 在 でも 生 活 保 護 受 給 者 の 相 当 数 を 障 害 者 が 占 めていることになる 14
障 害 者 に 対 する 所 得 保 障 政 策 障 害 年 金 も 生 活 保 護 も 受 給 していない 障 害 者 障 害 の 状 態 にあって 就 労 が 難 しい 場 合 でも 障 害 年 金 生 活 保 護 ともに 受 け 取 っていないケースも 存 在 する スライド11 番 の 表 中 の 収 入 なし は 障 害 種 類 別 と 手 帳 の 程 度 別 に 年 金 恩 給 手 当 生 活 保 護 を 受 けておらず その 他 の 収 入 もなかった 者 の 割 合 を 示 している 精 神 障 害 者 や 軽 度 の 知 的 障 害 者 を 中 心 に そうした 状 態 にある 者 が 一 定 程 度 いることが 分 かる また 無 年 金 障 害 者 の 会 (2005)でも 無 年 金 障 害 者 で 生 活 保 護 を 受 給 する 者 の 割 合 は1 割 未 満 であり その 多 くは 家 族 の 経 済 的 援 助 を 通 じて 生 活 していることが 示 されている その 他 きょうされん 障 害 のある 人 の 地 域 生 活 実 態 調 査 や 公 益 社 団 法 人 やどかりの 里 障 害 年 金 を 受 給 してい ないやどかりの 里 登 録 者 の 生 活 実 態 に 関 するアンケート 調 査 などからも 障 害 年 金 も 生 活 保 護 も 受 給 せずに 家 族 の 援 助 を 主 たる 生 活 費 とする 障 害 者 の 存 在 を 読 み 取 ること ができる 15
これまでの 内 容 から まとめとこれから 1 障 害 者 本 人 の 所 得 が 極 めて 低 いこと 2 障 害 者 の 就 労 が 相 対 的 貧 困 を 回 避 する 要 因 として 大 きいこと 3 就 労 所 得 がない 場 合 は 世 帯 員 の 所 得 を 考 慮 しても 障 害 者 の 貧 困 率 が 高 くなること 4 障 害 年 金 の 受 給 者 数 給 付 規 模 は 増 加 傾 向 にあること 5 障 害 年 金 の 防 貧 機 能 には 限 界 があり その 機 能 も 低 下 しつつあ ること 6 生 活 保 護 の 受 給 に 至 る 障 害 者 が 多 くなっていること 7 いずれの 所 得 保 障 制 度 からも 漏 れる 障 害 者 がいること 8 中 高 年 の 単 身 障 害 者 精 神 障 害 者 や 軽 度 の 知 的 障 害 者 が 貧 困 状 態 に 陥 りやすいこと などが 確 認 できる こうした 状 況 の 中 で 障 害 者 の 貧 困 問 題 への 政 策 対 応 が 強 化 さ れることを 期 待 したいが 16
年 金 改 革 と 障 害 年 金 2004 年 改 正 : 国 庫 負 担 率 引 上 げ 保 険 料 率 上 限 を 固 定 実 質 的 な 給 付 水 準 の 引 下 げ(マクロ 経 済 スライド) 財 政 検 証 公 的 年 金 の 三 種 類 の 年 金 ( 老 齢 遺 族 障 害 )は 年 金 財 政 的 には 区 別 されていないので マクロ 経 済 スライドは 障 害 年 金 にも 適 用 される 障 害 年 金 では 受 給 者 が 公 的 年 金 以 外 の 資 産 形 成 を 受 給 前 に 行 うことは 難 しく また 受 給 者 の 多 くは 基 礎 年 金 部 分 しか 受 給 しておらず さらに 企 業 年 金 などの 私 的 年 金 で 公 的 年 金 の 縮 小 を 補 うことも 難 しい 2012 年 改 正 による 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 の 限 界 ( 低 所 得 とは 言 えない 障 害 年 金 受 給 者 にも 給 付 金 が 支 給 される 可 能 性 がある 一 方 で 3 級 の 障 害 厚 生 年 金 受 給 者 に 対 しては 低 所 得 であっても 支 給 されない)» 障 害 者 の 貧 困 率 上 昇 や 年 金 生 保 併 給 率 の 上 昇 の 予 測 三 種 類 の 年 金 のゼロサムゲームに 障 害 年 金 の 充 実 や 対 象 者 の 拡 大 がより 困 難 な 状 況 に» 出 生 状 況 や 経 済 状 況 によっては 17
障 害 年 金 と 就 労 二 つの 相 反 する 考 え 方 欧 米 諸 国 の 動 向 ( 現 金 給 付 重 視 から 雇 用 統 合 政 策 へ 年 金 受 給 者 に 対 する 就 労 インセンティブの 強 化 など) 全 体 で 見 た 場 合 就 労 する 障 害 年 金 受 給 者 は 多 い ゼロかイチの 取 扱 いの 問 題 点 ( 就 労 意 欲 への 大 きな 悪 影 響 恒 常 的 な 不 安 感 や 不 公 平 感 )をどう 解 消 するか 障 害 年 金 と 手 当 1 級 加 算 の 位 置 づけ 欧 米 諸 国 の 事 例 ( 年 金 受 給 者 向 け 住 宅 手 当 年 金 を 補 完 する 無 拠 出 給 付 など) 特 別 障 害 者 手 当 特 別 障 害 給 付 金 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 をど う 活 用 するか おわりに 障 害 関 連 に 向 けられる 財 源 の 少 なさ(スライド2 番 ) 足 りないのはアイデアよりも 財 源 18
障害者の所得や貧困の統計的把握の意義と課題 貧困率推計の精緻化 政府統計調査の設問項目の改訂が必要 勝又,2008 政府統計等では把握の難しい貧困の存在 軽度の知的障害や精神疾患を有する路上生活者の存在な ど 森川,2012 文献リスト 勝又幸子 2008 国民生活基礎調査 からみた障害者の生活実態 障害者の所得保障と 自立支援施策に関する調査研究 平成19年度総括研究報告書 厚生労働科学研究費補助金 障害保 健福祉総合研究事業 きょうされん 2012 日本の障害の重い人の現実 きょうされん地域生活実態調査最終報 告 鈴木勉 2010 障害児者の貧困の諸相と固有性を明らかにする 障害者問題研究 37(4) 無年金障害者の会 2005 無年金障害者の実態 調査結果報告書 無年金障害者の会 百瀬優 2011 欧米諸国における障害者に係る所得保障制度と日本への示唆 欧米諸国に おける障害年金を中心とした障害者に係る所得保障制度に関する研究 平成22年度 総括 分担研 究報告書 厚生労働科学研究費補助金 政策科学総合研究事業 政策科学推進研究事業 百瀬優 2014 なぜ障害年金の受給者は増加しているのか 早稲田商學 439 森川すいめい(2012) ホームレス化する日本の障がい者 池袋の取り組みと調査 精神神経 学雑誌 2012 特別号電子版 山田篤裕 百瀬優 四方理人 2015 障害等により手助けや見守りを要する人の貧困の実 態 貧困研究 15 OECD 2010 Sickness, Disability and Work, OECD. 岡部史信 田中香織訳 2012 図 19 表でみるメンタルヘルスと仕事 明石書店