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どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

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16年度第一回JACB品質技術委員会

目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標

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実地審査チェックリスト (改 0) QA-057_____

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説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 利害関係者の特定 QMS 適用範囲 3. ISO 9001:2015への移行 リーダーシップ パフォーマンス 組織の知識 その他 ( 考慮する 必要に応

9100 Key Changes Presentation

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4.4 マネジメントシステム プロセス 5 リーダーシップ 5.1 リーダーシップ コミットメント 組織の状況を考慮し リスク ( 不確かさに影響 ) 及び機会 ( 何かをするのによい時期 ) として取り組むことを決定した情報から適用範囲に含まれていない範囲が存在していませんか恣意的に限定した適用範

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ISO/TC176/SC2/N1291 品質マネジメントシステム規格国内委員会参考訳 ISO 9001:2015 実施の手引 目次 1.0 序文 2.0 ISO 9001:2015 改訂プロセスの背景 3.0 ユーザグループ 4.0 実施の手引 4.1 一般的な手引 4.2 ユーザグループのための具

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説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 関連する利害関係者の特定 プロセスの計画 実施 3. ISO 14001:2015への移行 EMS 適用範囲 リーダーシップ パフォーマンス その他 (

ISO/FDIS ISO 9001 の主要な変更点 1. 附属書 SL の適用 2. 組織の状況の理解と QMS の適用範囲の決定 3. プロセスアプローチの適用向上それを支援する PDCA サイクルとリスクに基づく考え方 4. リーダーシップの強化 5. 組織の意図した結果 顧客満足の向上 パフォ

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何故 2 つの規格としたのですか (IATF 16949:2016 及び ISO 9001:2015)? 2 つの規格となると 1 つの規格の場合より, 読んで理解するのが非常に難しくなります 1 まえがき 自動車産業 QMS 規格 IATF と ISO との間で,IATF を統合文書と

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する 2 利害関係者がこれを入手できる ISO14001 では利害関係者が入手可能なものとして 環境方針がある 環境方針と併せて利害関係者が要請した場合 渡すことが出来る状態にすることが必要である 一般的には自社のホームページに掲載していれば 誰でも入手可能な状態と言える (3) 環境マニュアルの例

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1 主要機関の情報 ISO 改訂に関する情報 ( 調べ ) (1)( 一社 ) 日本規格協会 (JAS) の情報 第 21 回 ISO/TC207( 環境管理 ) 総会報告

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2 序文この規格は,2004 年に第 2 版として発行された ISO 14001:2004,Environmental management systems -Requirements with guidance for use を翻訳し, 技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工

5. 規格はどこから入手できますか? 規格は 国家標準化機関又は ISO から購入することができます また 多くの国では 現地の言語で入手できます 6. ISO 9000 ファミリー規格に関する情報はどこから入手できますか? ISO 9000 の品質マネジメントシステ

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目 次 1. 適用範囲 P4 2. 引用規格 P5 3. 用語及び定義 P5 4. 組織の状況 P6 4.1 組織及びその状況の理解 P6 4.2 利害関係者のニーズ及びと期待の理解 P6 4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定 P6 4.4 環境マネジメントシステム P6 5. リーダー

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

目 次 1. 適用範囲 P4 2. 引用規格 P5 3. 用語及び定義 P5 4. 組織の状況 P7 4.1 組織及びその状況の理解 P7 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 P7 4.3 個人情報保護マネジメントシステムの適用範囲の決定 P7 4.4 個人情報保護マネジメントシステム P7

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パデセア黒柳 ISO 改訂版対応 - 環境マニュアル改訂文例 第 4 回 :ISO14001:2015 逐条解説と環境マニュアルの例 (6.2~7.4.3) ISO 改訂版対応 - 環境マニュアル改訂文例 として今回は 6.2 環境目標及びそれを達 成するための計画策定 7.

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組織 (organization) 自らの目的を達成するため 責任 権限及び相互関係を伴う独自の機能をもつ 個人 又は人々の集まり 注記 1 組織という概念には 法人か否か 公的か私的かを問わず 自営業者 会社 法人 事務所 企業 当局 共同経営会社 非営利団体若しくは協会 又はこれらの 一部若しく

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2 序文この規格は,2015 年に第 5 版として発行された ISO 9001 を基に, 技術的内容及び構成を変更することなく作成した日本工業規格である なお, この規格で点線の下線を施してある参考事項は, 対応国際規格にはない事項である 0.1 一般品質マネジメントシステムの採用は, パフォーマン

Transcription:

ISO/TS 16949:2009 から IATF 16949:2016 へ 移行ガイド

効率的な品質マネジメントシステムの導入は 自動車産業において成功を収める重要なキーポイントと言われています 組織は品質マネジメントシステムを通じて 継続的改善を組織内部に促すことができます また顧客の要望に対応し 顧客満足度を向上させることができる体制を構築することも可能です このガイドは 2016 年に新たに発行された自動車産業向 け規格 IATF 16949:2016 における要求事項を満たす際の 手引きとして作成されました IATF 16949:2016 は 2015 年に改定された ISO 9001:2015 に基づいて策定されています この規格には 規模の大小に関わらず 自動車産業すべての組織が品質マネジメントシステムを確立し 実施 維持 そして継続的に改善するための要求事項が記されています 規格はなぜ変わるのですか? 自動車産業における品質マネジメントシステムの運営を行っている IATF (International Automotive Task Force) は より良い品質マネジメントシステムの確立のため 新しく改定された ISO 9001:2015 に基づいた規格を策定することを決定しました この決定により IATF 16969:2016 を必要とする自動車産業の 組織は ISO 9001:2015 にを遵守した組織体制の構築が必須 になります 2015 年の ISO 9001 の改定により 規格は ビジネスの変化に対応し 今日の事業環境と関連性を維持しています 新しい規格の利点は下記の通りです 他のマネジメントシステムと統合が可能 組織的マネジメントに統合的アプローチを提供 組織を取り巻く新しいトレンドやグローバル化による 複雑な環境に対応 すべての潜在的ユーザーグループのニーズを反映したスタンダードの確立 顧客を満足させる組織能力の強化と 継続的改善を促進 注記 : この移行ガイドは IATF 16949:2016 と ISO 9001:2015 両方の 品質マネジメントシステムの要求事項とともに読んでいただくためのも のです ここには規格のすべてが記されているわけではありません したがって 規格そ のものの代替となる主要な参考資料や 発行されている規格の代わりとしてとし て利用することはできませんので ご注意願います 2

新規格の新たな点及び 組織にとっての利点は何ですか? ISO 9001 は世界で最も認められているマネジメントシステム規格であり 世界中の 100 万以上の組織で採用され ています ISO 9001 改定版は 今日の市場における適切さを保ちつつ 組織に対し 引き続きパフォーマンスと 事業の向上を提供するために作成されました IATF 16949:2016 は 組織に継続的改善を促し 欠陥を防止する仕組みを強化し サプライチェーンにおける ばらつきとムダの削減を通じて 効果的な品質マネジメントシステムを構築します これは製品安全や組込みソフトウェアも対象範囲として考慮されています 新しい規格の利点は下記の点で役に立ちます 他のマネジメントシステム規格と統合されたアプローチの導入 品質と継続的な改善を 組織の中心に据える トップマネジメントの関与の強化 リスクベースの考えをあらゆる範囲に適用して リスクを軽減し 機会のマネジメントを改善する IATF 16949:2016 に加えられた大きな変更点の 1 つが 品質マネジメント と継続的改善を組織の中心に据えた点です すなわち 組織にとってこの規格の変更は 自らの戦略的方向性と品質マネジメントシステムを一致させることができる絶好の機会になります まず初めに取り組むことは 品質マネジメントシステムに関する内外の関係者の特定と課題の特定です 新規格は 高い戦略的レベルに基づく 監視を通じて 組織パフォーマンスの向上を目指しています BSI では お客様から ISO/TS 16949 の要求事項を満たすシステムを採用 し 実施したことで 複数の効果が出たという声を頂いております 今回の IATF 16949:2016 においても 同様の効果をもたらし さらな る付加価値を生むはずです IATF 16949:2016 は 下記を貴組織にもたらします 継続的改善の促進 : 定期的に行われる審査によって 事業プロセスの規格への適合を確実にし パフォーマンス監視 改善が行われます マーケットにおける事業機会の向上 : サプライチェーンを通じて 貴組織の卓越した製品安全 信頼性 トレーサビリティを顧客に実証することができます 効率性の向上 : 時間 コストの削減と 適切なリソース数が保持できます コンプライアンスの保証 : 定期審査によってコンプライアンス体制を強化し リスクの軽減へと繋がります 従業員の参画促進と モチベーションの向上 : より効率的な内部プロセスの構築へと繋がります 取引の支援 : 自動車産業の殆どの自動車メーカー (OEM) 企業が サプライヤーに対して IATF 16949 認定を必須要件として求めており 市場へ のアピールができます 移行にあたって 非常に役に立つ規格のご紹介 ISO 9001 は 品質マネジメントファミリー規格のひとつです ISO 9001 に加え さらに下記規格もご参照ください 1 ISO 9000 品質マネジメントシステム 基本及び用語 2 ISO 9004 組織の持続的成功のための運営管理品質マネジメントアプローチ 3 ISO 10001 品質マネジメント 顧客満足 組織のための行動規範の指針 6 ISO 10004 品質マネジメント 顧客満足 監視及び測定に関する指針 7 ISO 10014 品質マネジメント 財務的及び経済的便益を実現するための指針 8 ISO 19011 マネジメントシステム監査のための指針 4 ISO 10002 品質マネジメント 顧客満足 組織における苦情対応の指針 5 ISO 31000 リスクマネジメント 原則及び指針 3

最新版 IATF 16949 と 旧版 ISO/TS 16949 との比較 最新版 IATF 16949は 新たなハイレベルストラクチャーである 附属書 SLに基づ 図 1 いています 附属書 SL は ISOマネジメントシステムに共通するフレームワークで マネジメントシステム間の一貫性を保ち 異なるマネジメントシステム規格に 組織及びその状況 (4) 品質マネジメントシステム (4) 支援及び運用 (7 8) 整合性を持たせ 上位構造の箇条を一致させ 共通テキスト及び共通用語を提 Plan Do 顧客満足 供します 組織は自らの品質マネジメント システムを中核的な事業プロセスに組み込みやすくなる上 トップマネジメントが関与しやすくなります 計画 実行 評価 改善 (PDCA) サイクルは すべてのプロセス及び品質マネジメントシステム全体に適用することができます 顧客要求事項 計画 (6) Act リーダーシップ (5) Check パフォーマンス評価 (9) 製品及びサービス QMS の結果 この図表 ( 図 1) は 箇条 4 から箇条 10 は PDCA との関連で 1 つにまとめられること を示しています 密接に関連する利害関係者のニーズ及び期待 (4) 改善 (10) 注記 () 内の数字はこの規格の箇条番号を示しています 新たな / 更新された概念 解説 組織の状況課題利害関係者リーダーシップ脅威と機会に関連したリスクコミュニケーション文書化した情報パフォーマンス評価不適合及び是正処置マネジメントレビュー製品安全 内部及び外部の要素 並びに製品 サービス 投資 利害関係者に対する組織のアプローチに影響を 与える状況の組み合わせを考慮する 課題には 内的又は外的なものも プラス又はマイナスなものもあり 組織に影響を与える又は組織が 影響を及ぼす環境状態も含まれる ある決定又は行動により 影響を与える 影響を受ける又は 影響を受けると自らが感じる人又は 組織 サプライヤーや顧客 競合など 最高位で組織を指揮し 管理する個人又は人々の集まりと定義されるトップマネジメント特有の要求事項 予防処置は精密な計画プロセスに置き換えて見直しされ リスクは 期待される結果に対する不確か さの影響 と定義される 内部と外部両方のコミュニケーションについては 要求事項がより明確で詳細になる 文書と記録を置き換える 情報を維持された文書 ( 手順や指示等 ) と 記録記載など保持された文書 妥当な結果を確実にするための品質パフォーマンス及び品質マネジメントシステムの有効性の 測定で 適切な場合は 監視 測定 分析 評価の手法が含まれる 不適合及び必要な是正処置の両方に関する評価がより詳細になる 人的要因は 不適合及び是正処置分析のための重要な要素として 新しく追加された レビューのインプットとアウトプットに関連した要求事項がより詳細になる 製品安全に関する製品及び製品工程の運用管理に対する文書化された専用のプロセスの所持が 新しい要求事項として定義された 組込みソフトウェア企業責任サプライヤーマネジメント内部監査 組込みソフトウェアをもつ製品の開発に関しての要求事項が詳細になる 組織は 組込みソフトウェアを持つ製品に対する品質保証システムを実施し 維持する必要がある 企業責任の方針を明確にする要求事項 贈収賄防止 従業員行動規範 倫理の向上 ( 内部告発など ) に対する方針が含まれる 供給者選定プロセスに関する要求事項が追加された 内部監査の頻度の要件が変更された 4

IATF 16949:2016 の主要な要求事項 箇条 1: 適用範囲箇条 1 は 規格の適用範囲について記しており 組込みソフトウェアをもつ製品の対応が補足事項として記載されています 箇条 2: 引用規格 ISO 9000:2015 品質マネジメントシステム 基本及び用語 が引用されており 貴重な手引きを提供しています 箇条 3: 用語と定義用語と定義はすべて ISO 9000:2015 品質マネジメントシステム 基本及び用語 に含まれています 新しいIATF 16949では ISO 9001:2015の箇条 3と若干異なっています " アクセサリー部品 " " チャレンジ部品 " " 製造サービス " アウトソースしたプロセス " 生産シャットダウン 特別状態 TPM(Total productive maintenance)" 等 本項目にいくつかの追加用語と自動車産業に関連した定義を記載しています 箇条 4: 組織の状況これは新しい箇条で 品質マネジメントシステムの状況並びに これをビジネス戦略がサポートする手法を規定しています 組織の状況 は 新規格の他の部分 ( 箇条 要求事項 ) の基盤となります また この箇条は 自分たちを取り巻く環境のなかで品質マネジメントシステムを支えている要素や関係者を特定し 理解する機会を組織に与えます まず組織は 自らの目的に関連する内外の課題 すなわち組織の活動に影響を及ぼす あるいはマネジメントシステムの意図する結果を達成する能力に影響を及ぼす内部と外部の課題を決定する必要があります ここで注意すべきは 課題 という言葉には 旧規格で予防処置の対象とされていた問題だけではなく 市場への保証や経営目標など マネジメントシステムが取り組むべき重要なトピックも含まれているという点です 次に 組織は品質マネジメントシステムに関連する 利害関係者 も特定する必要があります この利害関係者には 株主 従業員 顧客 サプライヤー 法定機関 そして圧力団体や取締機関も含まれます 組織はそれぞれ固有の 利害関係者 を特定しますが この利害関係者は 組織の戦略的方向性に応じて変わっていく可能性があります 次は 品質マネジメントシステムの適用範囲を決めなければなりません 適用範囲は組織全体とすることも 特定の機能だけに限定することもできます 外部委託された他の機能やプロセスも 品質マネジメントシステムに関連するものであれば 組織の適用範囲の中で 考慮する必要があります また 規格の要求事項に従い 品質マネジメントシステムを確立し 実施し 維持し 継続的に改善するとこと必要です そのためにはプロセスアプローチを採用する必要がありますが たとえそれぞれの組織で違いがあっても プロセス図や手順書などの文書化した情報を使えば可能です " 製品安全 " は 規格の新しい要求事項です 自動車産業が現在直面している問題や, 今後起こり得る問題に対処するために 要件がより強化されています 規格では 製品安全に関係する製品及び製品工程の運用間に対する文書化したプロセスを 組織が所持する必要があることが記載されています 5

箇条 5: リーダーシップこの箇条は要求事項を 組織を最上層で指導 管理する個人又は集団を指す トップマネジメント に課しています ISOでは 組織が企業責任を取り入れることを要求することで ISOの要求事項を補完してます これは市場や政府から高まる期待に反映しており 社会的及び環境的な問題を改善することを目指しています 品質マネジメントシステムの責任の 所在 は 個人から人々の集団へと重心が移ってきています 新しいIATF 16949ではトップマネジメントが QMS 関連で有能かつ やるべき役割を理解した " プロセスオーナー " を特定する必要があります 今やトップマネジメントはマネジメントシステムに深く関与するようになり マネジメントシステムの要求事項を組織のプロセスに統合すること そして方針や目標が組織の戦略的方向性と両立することを確実にしなければならなくなりました 品質方針は 組織の中核にある 生きた文書でなければなりません それを確実にするために品質マネジメントシステムを利用可能にし 伝達し 維持し すべての当事者たちに理解させる責任は トップマネジメントにあります また 顧客満足度に影響する可能性のあるリスクや機会を特定し対応することで 顧客満足度を向上させることについても トップマネジメントの関与がより強く求められています トップマネジメントは 顧客の要求や 法令上 規制上の要求事項をどのように満たし 顧客満足度の向上を組織がどのように維持しているかを示すことで 一貫性のある顧客中心の姿勢を証明していく必要があります これと同様の文脈で トップマネジメントは組織内の強みや弱点並びに その強みや弱点が製品やサービスを顧客に届ける上で どう影響するかも把握する必要があります それが 業務プロセスマネジメントの概念強化につながるのです さらにトップマネジメントは それぞれのプロセスに関連した主要なリスク並びに そのリスクを管理 削減又は他に移すためのプロセスとアプローチを理解していると証明する必要もあります 最後に この箇条は品質マネジメントシステムに関連する責任と権限を割 6 り当てることをトップマネジメントに求めていますが 品質マネジメントシステムの有効性についてはトップマネジメントが責任を持たなければなりません 箇条 6: 計画自動車産業の規格にとって 計画はなじみのある要素ですが 今回の改定により 計画を箇条 4.1 組織の状況 並びに箇条 4.2 利害関係者 とともに検討することがいっそう重視されるようになりました この箇条の最初の部分は リスク評価を 次の部分ではリスク対策を取り上げています リスクと機会を特定するための取り組みを決定する場合 その取り組みは そのリスクが製品とサービスの適合性に与えうる影響に見合ったものでなければなりません 機会には 地理的範囲の拡大 新しいパートナーシップ または新しい技術が含まれる可能性があります 組織は リスクと機会に対する取り組みや その取り組みをマネジメントシステムプロセスに統合 実施する方法 そのような取り組みの有効性の評価を計画する必要があります 取り組みは 組織全体で監視し 管理し 伝達しなければなりません この箇条でもう1つ重要な要素となるのが 測定可能な品質目標の設定です 品質目標は 品質方針との一貫性や 製品及びサービスの適合性との関連性 顧客満足度の強化が求められています 新しいIATF 16949には この箇条にいくつかの補足的な要求事項も含まれています これらは 自動車業界に関連する特定のリスクを考慮する必要性を認識したリスク分析 リスクの悪影響を軽減減少させる予防措処置 ISO / TS 16949に記載されている要求事項を強化した緊急事態対応計画が含まれています 顧客の期待に応える重要性は既にISO / TS 16949にも記載されていましたが IATF 16949では組織全体を通してあらゆるレベルで実施するように強化されています この箇条の最後では 計画的 体系的に実施しなければならない変更の計画について取り上げており 変更によって生じる可能性のある結果を特定し 関与する人々 変更実施の時期 割り当てられる資源ニーズを決定しなければなりません

箇条 7: 支援 箇条 8: 運用 箇条 7 は 組織の目標を達成するうえで必要な資源や人々 インフラが揃っていることを確実にするためのものです この箇条は 品質マネジメントシステムを確立し 実施し 維持し 継続的に改善するうえで必要な資源を決定し 提供することを組織に求めています 簡単に言えば これは必要な品質マネジメントシステムの資源すべてを対象とした非常に強力な要求事項であり 内部と外部 両方の資源を対象としています 法律および規制の要件を満たすため, いくつか追加要求事項があり インフラ面と プロセス運営のための環境面が考慮されています 組織が労働安全衛生の貢献を示す必要がある場合 IATF はこれから発行 される ISO 45001 が労働安全衛生を証明するものとして参照にしていま す また 監視や測定は変更され 要員や訓練と同様に 資源 ( 箇条 7.1) に含まれました IATF 16949 では 校正 検証の記録を強化する要求事項があります これは 測定に関連する従業員所有や顧客所有の機器にインストールされたソフトウェアも含まれます さらに追加要求事項として 内部 外部の機関における検証やテスト 校正サービスなども対象として含まれます 組織の知識は新たな要求事項であり 品質マネジメントシステムの要求事項である力量 認識及びコミュニケーションと同様に取り扱われていま す 要員は 品質方針を承知しているだけでなく QMS の有効性に自分 がどう貢献しているか QMS の要求事項に従わないとどのようなことに なるかも理解していなければなりません この箇条はまた 職場での訓練 (on-the-job training) と従業員の意識向上 が更なる要求事項として追加されており 不適合の一連の結果に関しても 各関係者への連絡が徹底されることが求められます また内部監査の要求事項は詳細に定義されており 必要最低限の能力と 内部監査のトレーニングの文書化が必要になります 二者監査による必要能力も詳細に定義されています 製品及びサービスの適合を確実にするために 組織による知識の維持は重要な要求事項です これには 組織の知的財産などと同様に 個人に帰属する知識も含まれます プランの変更や追加知識が必要になった場合 組織は維持している知識で十分対応できるかどうか常にチェックが行われます その際 内部 外部のフィードバックも対象の情報として含まれます 最後に 文書化した情報 についての要求事項もあります 文書化した情報 は 旧版の規格で使われていた 文書 及び 記録 という用語の代わりとなる新しい用語です 組織は 品質マネジメントシステムの管理に必要な文書化した情報のレベルを決定する必要があります これは 組織の規模や複雑さにより組織ごとに異なります また情報セキュリティの重要性が増しているため パスワードの利用など 文書化した情報へのアクセス管理の強化も重視されています 組織は IT システムがクラッシュした際のバックアップを提供するシステムも 用意すべきでしょう この箇条は 組織が顧客の要求を満たし 製品とサービスを設計するための計画とプロセスの実施について述べています 旧版の箇条 7 の大半は ここに残っていますが プロセスの管理 特に 計画された変更や意図しない変更の結果についてレビューし 必要に応じて有害な影響を軽減することがさらに重要視されています ここでの要求事項は ISO 9001:2015 や旧版の ISO/TS 16949 以上に重要視されており 注意深く検証する必要が あります IATF 16949 では 顧客が契約した製品やプロジェクトに関しての機密性を 重要なポイントして挙げています また記述された又は口頭のコミュニケーションは 顧客と合意した言語である要求事項が記載されており コンピュータ言語のような場合でも同様の扱いになります この箇条では 引き続き ISO / TS 16949:2009 に関連して既に強化されている多くの要求事項をカバーしています これは プロトタイププログラムや 記録保持とアウトソーシングされた製品とサービス 法定および規制要件に重点が置かれた製品承認プロセスが含まれます 供給者の選定 測定 マネジメントに関して 箇条に従属している要求事項がいくつか存在します これはサプライチェーンにおける効果的なリスク管理の重要性を認識しており 特に製品の品質に関して記載されています 自動車におけるコンピュータ技術適用の増加に反映して 製品に対する組込みソフトウェアの品質保証プロセスをカバーする新しい要求事項が存在します また二者監査の使用に関しても新しく定義されており 組織の供給者の管理方法などが記載されている 最後に IATF 16949には不適合品や再加工品の管理に関する要求事項が追加されています これには 処分前に使用不可能品と判断された製品や 顧客の許可無しでは使用できない製品も 検証できるようなことが含まれます 7

箇条 9: パフォーマンス評価 パフォーマンス評価には 旧版の箇条 8 で扱われていた多くの分野が含まれています ここには監視 測定 分析 評価のための要求事項が含まれており 測定すべきものや 採用する手法 データの分析や報告を行う時期及びその間隔について検討する必要があります この証拠となる文書化した情報は保持しておかなければなりません 今では 組織が顧客にどう見られているかについての情報を直接求めることも重視されるようになりました したがって組織は 顧客の認識に関する情報を積極的に求めなければなりません そのような情報は 満足度調査や市場占有率の分析 苦情の記録など さまざまな方法で入手することができます また改定版では このデータの分析や評価がどのように使われるか 特に品質マネジメントシステムの改善の必要性に関してどう使われるかを組織は明らかにしなければならない という明確な要求事項も加わりました 内部監査はリスクベースアプローチに基づいて実施する必要があります 監査基準 の定義及び 監査結果の報告が 関連のあるマネジメント ( 管理層 ) に報告されることを確実にするための要求事項が追加されています IATF 16949には 内部監査員の育成と能力の強化を目的とした 新しい要求事項が含まれています マネジメントレビューは引き続き求められていますが 品質マネジメントシステムに関連した外的及び内的な課題の変化に対する考慮など 新たな要求事項も追加されました 文書化した情報は マネジメントレビューの証拠として保持しておかなければなりません 箇条 10: 改善この箇条は 顧客満足を強化するための改善プロセスなど 改善の機会を組織は決定し特定する という新たなセクションから始まります また 製品やサービス 品質マネジメントシステムを改善するための機会 また 望ましくない影響の修正 防止 低減のための機会を 将来の顧客のニーズ及び期待を念頭に置きながら積極的に捜す必要もあります 予防処置については新たな方法ができたため この箇条に予防処置の要求事項はありません これは箇条 6に移っています しかし是正処置に関する新たな要求事項はいくつかあります 1つめは 不適合に応じ 該当する場合 不適合を管理し 修正するための処置をとり その不適合によって起った結果に対応するというものです 2つめは 同様の不適合が存在するか あるいは起こる可能性を判断するというものです 根本原因は 人的要因を含むため 広範囲に及ぶ予定です 不適合及び是正処置のため 手順を示した文書化された情報が 保持された文書として要求されます この情報は 外部提供者に至るまでの適切な手順を示す必要があります 継続的改善のための要求事項は拡大され 品質マネジメントシステムの適切さ及び妥当性も含むようになりましたが 組織がこれを達成する方法は規定されなくなりました この変更によっていくつかの用語が変更されています IATF 16949には 顧客苦情及び市場不具合の試験 分析をカバーする新しい要求事項が含まれ 組織は市場不具合や回収された部品を分析する必要があります 顧客から分析を要求された場合 組織の製品内の組込みソフトウェアが最終顧客の製品のシステム内でどのように実行されるかにまで及ぶ可能性があります 文書化した情報 他のマネジメントシステムの規格と整合性を持たせるために 文書化した情報 という共通箇条が採用されました したがって 文書化した手順 及び 記録 という用語はどちらも 要求事項の文書全体で 文書化した情報 に置き換えられました 旧版で文書化した手順 ( たとえば管理の定義やプロセスの支援のための ) と表現していたものは 文書化した情報を保持するための要求事項と呼ばれるようになりました また 旧版で記録と呼んでいたものは 現在では 文書化した情報を保持するための要求事項と表現されています 文書化した情報を保持するための要求事項は 規格全体で詳細に述べられており 例もいくつか挙げられています 規格 とくに箇条 7.5 を注意深くお読みください 4.3 QMS の適用範囲 8.3 設計及び開発 4.4 QMS とそのマニュアル含んだそのプロセス 8.4 外部から提供される製品及びサービスの管理 5.2 QMS の方針 ( 外部提供者登録を含む ) 6.2 QMS の目標 8.5 製品及びサービス提供 7.1 資源 ( 校正レジスターを含む ) 8.6 製品及びサービスのリリース 7.2 力量の証拠 ( 維持された文書 手順を含む ) 7.5 QMS の有効性のために必要であると組織が決定した文書化された情報 8.7 不適合なアウトプットの管理 8.1 運用の計画及び管理 9.1 監視 測定 分析及び評価の管理 8.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化 9.2 監査プログラム及び監査結果の証拠 9.3 マネジメントレビュー結果の証拠 10.2 不適合の性質及びそれに対してとったあらゆる処置及び結果 ( 維持された文書 手順を含む ) 8

移行の指針 IATF 16949 移行スケジュール 2016 2017 2018 2016 年 10 月 IATF 16949:2016 発行 2016 年 11 月 IATF 承認取得ルール発行 2017 年 10 月 1 日以降 全ての審査は 新しい IATF 16949:2016 での審査になります IATF 16949:2016 移行期間 : 2018 年 9 月 14 日まで 移行の流れ BSI は 移行作業及び IATF 16949:2016 の利点をご理解して 頂けるように支援しています BSI が提供する資料やその他サービスをぜひご利用頂き 移行において必要な知識と情報を取得して頂けるようにサポート致します 国際規格 ISO 9001:2015 を購入します ISO 9001:2015 の要求事項や用語を確認して頂くことで 全体 像が把握できます BSI ジャパンのウェブサイト www.bsigroup.com/ja-jp/our-services/downloads/ にアクセスし 規格の変更について理解する上で役立つホワイトペーパーなど 資料ダウンロードサイトから移行関連資料をご覧ください 移行はよい機会である では 何を行えばよいのか? 1. 品質マネジメントシステムを最初から改めて見直す 2. BSI ジャパンの移行トレーニングコースを受講し 新旧の違いをより詳しく理解する 3. 主要な変更を改善の機会として強調する 4. 新たな要求事項に反映するために ( 必要に応じて ) 文書作成方法を変更する 5. リーダーシップ リスク 組織の状況に関する新たな要求事項を実施する 6. 現行のマネジメントシステムの有効性をレビューする ISO 9001 改定版資料をご参照下さい 貴組織内において どのように実施し 要求事項の変化に対してどのように取り組むかを理解できるよう サポートするツールになります BSI 研修コース受講をご検討下さい IATF 16949:2016 の要求事項や変更点を効率的に理解すること ができます IATF 16949:2016 の規格をご購入下さい 自動車産業における 最新の要求事項が 貴組織の品質マネジメントシステムが要求事項を満たしているか 改めて確認ができます 一般財団法人日本規格協会 (JSA) の Web Store で購入することができます www.jsa.or.jp/store/index.html 7. すべての変更点に対する対応の完了を確認する 8. 影響評価を実施する ISO 9001:2008 と ISO9001:2015 を比較する 行作業を実施する上で役に立つ更なるサービスについてご検討下さい BSI ジャパンでは 文書レビューサービスや業務 改善ツールなど システムや移行を管理するあなたを支援する幅広いサービスをご用意しています こちらのサービスは 貴組織に迅速な移行の実現と 更なるパフォーマンス及び事業の向上をもたらします 箇条対応表を下記よりダウンロードしていただくと ISO 9001:2008 が ISO 9001:2015 に改定された際の変更や 削除箇所 新たな又は強化された要求事項の概要がわかります www.bsigroup.com/ja-jp/our-services/downloads/ 9

BSI ジャパンのトレーニングコース 様々なお客様のニーズにこたえられるよう BSI では移行に関わるトレーニングコースを幅広くご用意しております 全てのコースは 規格開発に直接関わった各分野の専門家がコース設計を行っています お客様やお客様の組織における 懸念点を解決できるように BSI の経験豊富な講師陣がお客様のお手伝いをいたします IATF 16949:2016 の理解を促すトレーニングコース IATF 16949:2016 要求事項解説トレーニングコース IATF 16949:2016 内部監査員養成トレーニングコース 2 日間のトレーニングコース 2 日間のトレーニングコース IIATF 16949:2016 の規格の目的 発行の背景を理解する 品質マネジメントシステム ISO 9001:2015 と IATF 16949:2016 の関係を 理解する IATF 16949:2016 及び ISO 9001:2015 の規格要求事項を理解する 新旧の規格の差分についてのみを取り上げて解説するのではなく 最新の IATF 16949:2016 について 規格の正しい意図を全体として理解することを目的としたカリキュラムになっています IIATF 16949:2016 に基づく自動車産業品質マネジメントシステ ム監査をどのように実践すべきか学ぶ ISO 19011 に準拠した監査のプロセスを理解する監査の計画 準備 実施 報告のプロセスを管理する監査責任者の役割を理解する IATF 16949:2016 規格要求事項を理解していることを前提にしたカリキュラムとなっています 10

その他の資料 移行にあたって 様々なサポート資料をご用意しています 下記 BSI ジャパン資料ダウンロードサイトより入手ください www.bsigroup.com/ja-jp/our-services/downloads/ リーダーシップの重要性新規格には リーダーシップだけを取り上げた箇条があり 今回の最も大きな変更の1つとなっています このホワイトペーパーは QMS の実施 組み込み 伝達 維持を確実にする上で マネジメントがより積極的な役割を求められるようになった理由も説明しています IATF 16949:2016 FAQ( よくある質問 ) 新規格へ移行を行うお客様から多くいただく質問に答えることを目的としています 附属書 SL の紹介 コアテキスト 共通の用語と定義 今後すべてのマネジメン トシステム規格のための骨格となる新たな汎用フレームワー クである附属書 SL このホワイトペーパーで詳細説明をして います 構造についての理解を深めることができます ISO 9001 ホワイトペーパー 品質マネジメントにおけるリスクの重要性改定の背景や 改定された規格にリスクがどのように組み込まれているか ISO 9001 のお客様にとっての利点を説明しています その他 : ISO 9001 箇条対応表 (2008 年版 vs 2015 年版 ) 自己評価チェックリスト IATF 16949:2016 新規格が組織にもたらす利点 追加サービス BSI ジャパンでは 進捗状況を理解する上で役立つさまざまなサービスをご用意しています 業務改善ツール改定された規格を組織に適用させ 運用を定着させるためには できるだけ効率的に運用管理とその維持をできるようにすることが非常に重要です そのため 成功している組織はBSI Action Manager や Entropy などの業務改善ツールを導入しています これにより マネジメントシステム運用を 50% 効率化されたお客様もいらっしゃいます 11

Why BSI? BSI (英国規格協会) は TS規格のコンセプトが確立した時からIATFの契約認証機関として活動し ています ISO/TS規格やIATF規格は BSIが1994年から国際委員会の事務局を務めているISO 9001をベースに策定されたものであり ISO 9001は今日 世界中で最も認められているマネジ メントシステムです 故に BSIはお客様の新たな規格への移行を支援するにあたって最適な環境 にいます BSIは 規格を通じてお客様のビジネスの成功をけん引し より卓越したビジネスの創造を目指し ています 私たちは より良いパフォーマンス 組織レジリエンスの構築 リスク管理を通じ て 継続的改善を実施し エクセレンスの習慣へと導きます BSIはエキスパートとして 1世紀以上に渡り より卓越した方法を人々や製品に根付かせてき ました 世界182ヶ国 約80,000の組織を手助けしてきた経験を基に 世界中のあらゆる組織 に向けてエクセレンスなサービスを提供し続けていきます BSIの製品及びサービス 私たちは サポート製品とサービスのユニークな組み合わせを 知識 保証 コンプライアンスという3つの流れのなかでご提供しています コンプライアンス 保証 BSIは ビジネスエキスパート プロセスや製品が特定の規格に 政府機関 事業者団体 消費者 グループと協力し 組織が成功 するうえで必要なベストプラク ティスを見つけ 知識を構築し ています 実際 世界で最も認められた10 の規格のうち BSIが起源で作成 されたものは8規格になります 適合していることを証明する独 立した評価を通じ お客様のパ フォーマンスの卓越性が保証さ れます BSIは お客様が自らのパフォー マンスを理解するお手伝いをす ることで 組織の内側からでき る改善分野を洗い出します お客様が実際に長期的な利益 を得るためには 規格を継続 的に順守する必要があり 継 続することで規格の順守は確 固とした習慣になります BSIでは 付加価値及び差別 化されたマネジメントツール を提供するだけでなく 規格 やその導入方法を理解するの に役立つトレーニングを提供 することで お客様の継続的 な規格の順守プロセスをお手 伝いしています 最新情報は下記 BSI-JP-667_00-MD-0217 知識 をご覧ください https://www.bsigroup.com/ja-jp/ts16949/isots-16949-/ グループジャパン株式会社