第 2 章 電 気 の 取 扱 いについて 電 気 は 我 々の 生 活 と 密 接 なかかわりを 持 ち 重 要 なライフラインの 一 つになっている しかしながら 身 近 でありながら 目 に 見 えない 存 在 であるため 安 全 への 配 慮 が 忘 れがち となり ちょっとした 油 断 が 感 電 事 故 や 電 気 火 災 を 引 き 起 こすことになる この 章 では 感 電 死 傷 事 故 や 電 気 火 災 事 故 などを 防 止 するための 基 礎 的 な 知 識 守 らなければならな い 事 項 について 述 べる 1. 感 電 事 故 とその 防 止 感 電 は 電 気 災 害 のうちもっとも 直 接 的 なものであり 一 般 に 電 圧 が 高 い 場 合 には 注 意 を 払 うが 低 い 場 合 には 油 断 しがちである しかし 電 圧 が 100V 以 下 の 場 合 でも 条 件 次 第 では 生 命 に 関 わることがあるので 軽 視 してはならない 感 電 事 故 における 通 電 電 流 と 蘇 生 率 の 関 係 を 調 査 した 統 計 によると 50~60mA の 電 流 が 流 れたと 推 測 されるケースでは 蘇 生 率 が 20% 以 下 になっており 80% 以 上 が 助 かっていない 20W の 蛍 光 灯 スタンドに 流 れる 電 流 が 200mA であることと 比 較 すると いかに 少 ない 電 流 で 死 亡 してしまうかがわかる この 例 からも たとえ 消 費 電 力 の 小 さい 電 気 機 器 であっても 生 命 にかかわる 事 故 に つながる 危 険 性 が 高 く 電 気 は 慎 重 に 取 り 扱 うことがいかに 重 要 であるかが 認 識 でき る 1) 感 電 事 故 の 原 因 感 電 事 故 は さまざまな 状 況 で 発 生 するが 主 として 次 のような 場 合 におきる 場 合 が 多 い (1) 電 圧 がかかっている 裸 導 線 に 直 接 触 れた 場 合 (2) 絶 縁 の 悪 い 電 気 器 具 や 装 置 のフレームなどに 触 れた 場 合 (3) 高 電 圧 部 に 近 づいたために 閃 絡 した 場 合 2) 通 電 電 流 と 症 状 通 電 電 流 と 人 体 におこる 症 状 を 表 2.1に 示 す 電 撃 傷 ( 体 内 を 電 流 が 流 れる ことによって 受 ける 損 傷 のこと)は 人 体 を 流 れる 電 流 の 大 きさによって 異 なり この 電 流 の 値 は 次 のような 因 子 で 決 まる (1) 通 電 電 流 の 大 きさ (2) 通 電 経 路 ( 電 流 が 人 体 のどの 部 分 を 流 れたか) (3) 電 源 の 種 類 ( 直 流 か 交 流 か) (4) 通 電 時 間 と 電 撃 印 加 相 ( 心 臓 脈 動 周 期 のどの 位 相 で 通 電 したか) (5) 周 波 数 および 波 形 心 臓 に 流 れる 電 流 がある 値 以 上 に 達 すると 心 臓 が 痙 攣 を 起 こし 正 常 の 脈 動 を
打 てなくなり 血 液 を 送 り 出 す 心 室 が 細 動 を 起 こし 極 めて 危 険 な 状 態 となり 死 亡 することが 多 い このときの 電 流 を 特 に 心 室 細 動 電 流 と 呼 ぶ 表 2.1 通 電 電 流 の 周 波 数 電 流 値 と 症 状 の 関 係 電 流 の 周 波 数 電 流 (ma) 男 女 直 流 5.2 1.3 50Hz 11 0.7 10,000Hz 12.1 8 少 しちくちくする 症 状 直 流 62 41 筋 肉 の 自 由 は 利 く 50Hz 9 6 10,000Hz 55 37 苦 痛 をともなう 直 流 74 50 筋 肉 が 痙 攣 する 50Hz 16 10.5 10,000Hz 75 50 電 線 をつかんだまま 離 れられない 直 流 90 60 筋 肉 が 硬 直 し 不 随 状 態 となり 呼 吸 困 難 に 陥 る 50Hz 23 15 10,000Hz 94 63 苦 痛 を 伴 う 激 しいショック 直 流 500 500 50Hz 100 100 心 臓 麻 痺 を 起 こし 呼 吸 が 停 止 する 10,000Hz 500 500 3) 安 全 電 圧 の 目 安 人 体 に 流 れる 電 流 は 電 気 の 流 出 入 部 の 抵 抗 ( 皮 膚 の 抵 抗 手 袋 や 履 物 などの 抵 抗 など)によって 影 響 をうけるが これらの 抵 抗 が 同 じ 条 件 であるとすると 電 圧 が 高 いほど 危 険 になる 表 2.2に 電 圧 の 人 体 への 影 響 を 示 す この 表 からも 電 圧 が 高 いほど またぬれているほど 危 険 であることがわかる 表 2.2 電 圧 が 人 体 に 及 ぼす 影 響 電 圧 (V) 人 体 への 影 響 10 全 身 が 水 中 にあるときは 電 位 傾 度 10V/m が 限 界 20 ぬれた 手 で 安 全 な 限 界 30 乾 いた 手 で 安 全 な 限 界 50 生 命 に 危 険 のない 限 界 100~200 危 険 度 が 急 に 増 大 200 以 上 生 命 に 危 険 3,000 充 電 部 に 引 きつけられる 10,000 以 上 跳 ね 飛 ばされて 助 かるときがある 4) 感 電 防 止 のための 留 意 事 項 一 般 的 な 機 器 の 場 合 には (1) 電 気 機 器 の 接 地 (アース)は 確 実 にとる 特 に ぬれた 状 態 で 扱 う 可 能 性 の
ある 機 器 は 必 ず 接 地 する (2) 湿 気 の 多 い 場 所 などへの 機 器 類 の 接 地 は 避 ける やむを 得 ず 湿 気 やほこり の 多 い 場 所 に 設 置 しなければならないときには 漏 電 遮 断 器 を 取 り 付 ける (3) 破 損 した 差 込 プラグやテーブルタップ 端 子 劣 化 したコード 類 は 使 用 しな い (4) 電 気 機 器 の 電 源 部 に 埃 が 付 着 している 場 合 には 埃 が 水 分 を 吸 収 して 漏 電 の 原 因 となるので 使 用 しない (5) 修 理 などで 機 器 類 の 内 部 に 触 れるときには 必 ず 電 源 コードを 抜 いてから 作 業 に 取 り 掛 かる また 内 部 にコンデンサーを 使 っている 装 置 ではコンデンサ ーの 端 子 を 接 地 して 電 荷 を 逃 がしてから 作 業 にかかること (6) コードを 抜 くことができないような 大 型 機 器 の 場 合 には 第 三 者 が 間 違 えて スイッチをいれたりすることがないような 処 置 をとる (7) ぬれた 手 で 電 気 器 具 を 操 作 しない (8) 複 数 の 人 数 で 実 験 をするときには スイッチの 投 入 を 大 声 で 知 らせる また 高 電 圧 を 取 り 扱 う 場 合 には 下 記 の 事 項 にも 留 意 すること (1) 充 電 部 分 に 直 接 触 れることのないように 絶 縁 物 で 遮 蔽 する 危 険 区 域 を 指 定 し 近 づけないように 柵 などを 設 ける (2) 感 電 して 動 けなくなったときに 救 助 を 要 請 できるように 実 験 は 必 ず 複 数 の 人 数 で 行 なう (3) 作 業 するために 装 置 にふれるときには 必 ず 接 地 棒 で 接 地 する (4) 接 地 後 両 手 で 同 時 に 触 らないこと まず 心 臓 から 遠 い 右 手 で 触 れて 安 全 を 確 認 する その 際 も 手 のひらで 触 れると 筋 肉 が 収 縮 して 充 電 部 を 握 って しまう 可 能 性 があるので 指 の 外 側 で 軽 く 触 れて 安 全 を 確 認 する 確 実 に 安 全 を 確 認 してから 両 手 で 作 業 を 開 始 する (5) 装 置 は 確 実 に 設 置 する 高 圧 用 機 器 は 第 1 種 設 置 工 事 をするように 法 律 で 定 められている 5) 感 電 事 故 発 生 時 の 措 置 速 やかに 以 下 の 措 置 をとる (1) 急 いで 電 源 ( 本 体 及 び 分 電 盤 内 )を 切 る (2) 電 源 を 切 れない 場 合 には 素 手 で 感 電 者 に 触 れず 服 を 脱 いで 手 に 巻 くなど 絶 縁 処 置 をしてから 感 電 者 を 充 電 部 から 引 き 離 す( 足 で 蹴 飛 ばしてもよい) (3) 安 全 な 場 所 に 移 し 着 衣 をゆるめてからだ 全 体 を 楽 にさせる (4) 外 傷 の 有 無 に 関 わらず 早 急 に 医 師 に 連 絡 して 手 当 てを 受 けさせる
(5) 心 臓 や 呼 吸 が 停 止 している 場 合 には 至 急 AED( 自 動 体 外 式 除 細 動 器 )を 利 用 し 蘇 生 措 置 を 行 うか 人 工 呼 吸 や 心 臓 マッサージを 施 す 死 因 のほとんどは 心 室 細 動 であるので 現 場 での 素 早 い 心 肺 蘇 生 は 非 常 に 有 効 である 2. 電 気 火 災 電 気 火 災 とは 漏 電 短 絡 せん 絡 などにより 電 気 設 備 に 異 常 が 発 生 し それが 原 因 となって 発 熱 発 火 がおこり 火 災 となる 場 合 をさし 電 気 器 具 の 取 扱 い 不 注 意 から の 発 火 は 含 まない 過 去 の 電 気 火 災 事 故 を 原 因 別 にみると 設 備 不 備 および 保 守 不 完 全 によるものが6 割 以 上 を 占 めている 表 2.3に 電 気 火 災 の 主 たる 誘 因 を 示 す 過 熱 火 花 表 2.3 火 災 の 主 たる 誘 因 漏 えい 電 流 によるジュール 熱 の 発 生 過 負 荷 による 機 器 および 電 線 の 過 熱 電 線 接 続 部 の 接 続 不 良 による 局 部 的 スイッチ 開 閉 時 のスパークやアーク 電 線 間 短 絡 時 のスパーク 静 電 的 耐 電 によるスパーク 1) 漏 電 による 火 災 トラッキング 火 災 漏 電 とは 電 気 回 路 と 大 地 との 間 の 絶 縁 が 異 常 に 低 下 し アークまたは 導 電 性 物 質 によって 橋 絡 されたために 電 気 回 路 または 機 器 の 外 部 に 危 険 な 電 圧 が 現 れ たり 電 流 が 流 れたりする 現 象 をいう 原 因 不 明 の 火 災 が 発 生 した 場 合 に 漏 電 で はないかという 疑 念 が 持 たれることが 多 い また 差 し 込 んだままのコンセント に 埃 や 湿 気 が 付 着 すると 炭 化 誘 電 路 (トラック)が 形 成 され 絶 縁 破 壊 による 火 災 の 原 因 になる 2) 過 熱 による 火 災 (1) 熱 器 具 からの 過 熱 による 火 災 過 熱 による 火 災 は 分 類 上 電 気 火 災 には 含 まれないが 電 熱 器 への 直 接 接 触 や 輻 射 による 過 熱 が 原 因 となる 火 災 例 は 非 常 に 多 い 可 燃 物 を 電 熱 器 などの 近 くに 置 かないことは 当 然 であるが コードやコンセントなども 高 温 になり 劣 化 しやすいので 定 期 的 な 点 検 をしなければならない (2) 電 線 の 過 熱 による 火 災 電 線 が 過 熱 されて 火 災 に 発 展 する 原 因 としては 以 下 のようなものが 考 えら れる 1 過 電 流 による 場 合 容 量 を 超 えた 電 流 が 流 れることにより 芯 線 が 過 熱 し 被 覆 が 燃 えることによ
り 発 生 する 屋 内 配 線 にはすべて 過 電 流 遮 断 器 が 設 置 されているので 引 火 段 階 以 前 に 回 路 が 遮 断 される 2 短 絡 による 場 合 短 絡 によるスパークで 着 火 する 着 火 段 階 で 赤 熱 溶 断 した 電 線 は 急 激 に 温 度 が 下 がり 落 下 しても 天 井 裏 の 埃 などに 着 火 する 可 能 性 はほとんどなく 着 火 したとしても 独 立 燃 焼 までには 発 展 しない 3 局 部 過 熱 による 場 合 電 線 間 や 器 具 端 子 の 接 続 部 が 不 完 全 であると その 部 分 での 接 触 抵 抗 が 原 因 となって 発 熱 し 電 線 が 燃 焼 する 過 去 の 事 例 から 10A 以 上 の 場 合 には 発 生 しや すいとされるが スパークを 伴 った 場 合 にはそれ 以 下 でも 起 こりうると 考 えら れる 4 金 属 管 へ 漏 洩 した 場 合 接 地 された 金 属 管 に 被 覆 の 破 損 した 電 線 が 接 触 することによってスパーク が 生 じて 着 火 することがある 上 記 に 電 線 の 過 熱 による 火 災 の 原 因 を 列 挙 したが いずれの 場 合 でも 規 定 の 電 線 を 使 用 して 電 流 遮 断 器 を 接 地 していれば 電 線 自 体 が 過 熱 発 火 することは ほとんどないことがなく 火 災 を 防 止 できることがわかる 3)アーク 火 災 アークは 電 線 間 の 絶 縁 が 破 れて 芯 線 と 芯 線 とが 接 触 してショートする 場 合 や 電 流 が 流 れている 状 態 でスイッチを 切 ったとき 電 線 が 切 断 したとき 接 続 部 分 が 接 触 不 良 のときなどに 一 種 の 爆 発 現 象 のように 発 生 する アークで 火 傷 した 場 合 にはその 温 度 が 3,000 くらいあるため 通 常 の 火 傷 と 比 べると3 倍 ほど 深 く 組 織 内 におよび 発 生 した 銅 鉛 アルミなどの 金 属 蒸 気 が 皮 膚 に 付 着 して 悪 性 の 症 状 となることがある 4) 静 電 気 による 火 災 人 体 は 導 体 と 考 えてよいが 絶 縁 性 の 高 い 靴 を 履 いている 人 などが 帯 電 する 人 体 帯 電 による 放 電 で 火 災 爆 発 となる 場 合 や 絶 縁 されたサンプリング 容 器 などの 物 体 が 帯 電 し それが 放 電 して 火 災 爆 発 となる 場 合 などがある 人 体 が 帯 電 して いる 静 電 気 が 人 体 から 接 地 体 へ あるいは 物 体 に 帯 電 している 静 電 気 が 人 体 へ 放 電 したときに 発 生 するエネルギーE は で 表 すことができる 1 E = CV 2 2 ここで C; 静 電 容 量 V; 帯 電 電 位
人 体 の 静 電 容 量 を 120pF としたときの 電 撃 の 症 状 を 表 2.4に 示 す 表 2.4 電 圧 と 電 撃 症 状 の 関 係 耐 電 電 圧 (kv) 放 電 エネルギー(mJ) 電 撃 の 症 状 1 0.06 ほとんど 感 じない 2 0.24 痛 みを 感 じる 場 合 があり 放 電 音 が 聞 3 0.54 痛 みを 感 じ 衝 撃 をうける 4 1.5 激 しい 痛 みを 感 じる 6 2.6 痛 みを 感 じ 指 先 がしびれる 5) 電 気 火 災 の 予 防 (1) 漏 電 警 報 器 漏 電 遮 断 器 を 接 地 する (2) 漏 電 警 報 器 が 作 動 した 場 合 は すぐに 原 因 箇 所 を 探 索 し 点 検 を 行 なう 経 験 的 に 警 報 ブザーが 鳴 る 直 前 に 操 作 したスイッチや 装 置 の 関 連 部 分 を 調 べると 原 因 が 判 明 することが 多 い (3) 水 気 および 湿 気 のある 場 所 に 設 置 する 配 線 器 具 には 防 湿 をほどこし 電 源 部 には 漏 電 遮 断 器 を 取 り 付 ける (4) 腐 食 性 ガスの 発 生 する 場 所 では 電 気 機 器 は 使 用 しない (5) 配 電 系 統 の 露 出 部 分 は 埃 などが 蓄 積 しないようにする フロアコンセントは 埃 をためたり 水 をこぼしたりしないように 注 意 する (6) タコ 足 配 線 は 指 定 された 電 気 容 量 を 超 えることがあり 電 線 や 器 具 が 過 熱 す るなど 火 災 の 原 因 となるので 絶 対 にしない (7) 差 し 込 みプラグは 踏 みつけたりして 刃 の 部 分 を 曲 げないようにすること 変 形 していると 接 触 不 良 による 発 熱 の 原 因 となるので その 場 合 には 平 行 にな るように 直 すこと (8) 実 験 室 や 研 究 室 から 退 出 するときには 支 障 のない 限 り 実 験 動 力 盤 などのス イッチを 切 る (9) 定 期 的 な 機 器 の 保 守 点 検 を 励 行 する 6) 電 気 火 災 の 消 火 手 順 (1) 出 火 を 発 見 したら 直 ちに 近 くのものに 火 事 だ と 大 声 で 知 らせ 火 災 報 知 器 のボタンを 押 す そして 勤 務 時 間 内 であれば 総 務 係 ( 内 線 :8507) 夜 間 など 勤 務 時 間 外 であれば 守 衛 室 ( 事 務 棟 1 階 116 室 )( 内 線 :8513 携 帯 からは 029-888-8513)に 通 報 する (2) 分 電 盤 の 電 気 系 統 のスイッチを 切 る (3) 農 学 部 に 設 置 してある 消 火 器 はすべて 電 気 火 災 に 対 応 できる 粉 末 ABC 消 火 器 であるので これを 使 用 して 消 火 活 動 を 行 なう
3. 実 験 室 での 電 気 使 用 に 関 する 基 礎 知 識 1) 配 電 方 式 農 学 部 の 電 力 は 下 記 のような 方 式 によって 変 電 され 研 究 室 や 実 験 室 に 供 給 されている 以 下 にそれぞれの 特 徴 と 留 意 事 項 について 述 べる (1) 単 相 2 線 式 (100V) この 方 式 は 線 数 が 少 なく 工 事 や 保 守 が 簡 単 であるが 電 圧 降 下 による 配 電 線 の 電 力 損 失 が 大 きいことにより 供 給 力 が 小 さいため 小 容 量 負 荷 への 供 給 に 使 用 する (2) 単 相 3 線 式 (200/100V) 単 相 2 線 式 に 比 べて 電 力 損 失 や 電 線 の 所 要 銅 量 の 点 から 経 済 的 に 有 利 であ るが 中 性 線 ( 変 圧 器 の 中 性 点 から 引 出 した 線 のこと)の 両 側 の 負 荷 に 不 均 衡 があると 受 電 端 において 両 外 側 の 電 圧 線 と 中 性 線 間 との 線 間 電 圧 に 不 均 衡 を 生 じ 電 気 機 器 を 損 傷 する 恐 れがある 用 途 としては 100V および 200V 電 灯 負 荷 単 相 100V および 200V 機 器 用 外 側 の2 線 を 使 用 すると 200V 中 央 の 線 と 外 側 のいずれかの 線 を 使 用 すると 100V となるので 接 続 時 には 注 意 すること (3) 三 相 3 線 式 (100V 200V) これは 最 も 一 般 的 に 用 いられている 配 電 方 式 である その 理 由 は 中 性 線 を 持 たないため 経 済 的 に 電 力 を 供 給 できるからである 三 相 交 流 は 3 本 の 線 の 間 で 電 圧 の 瞬 時 値 が 2/3πずつずれており 向 かって 左 側 から R,S,T と 記 号 をつ けて 呼 んでいる モーターを 接 続 するときには 順 番 を 間 違 えると 逆 転 するの で 注 意 しなければならない もし 逆 転 する 場 合 には 外 側 の2 線 をつなぎかえ る 2) 分 電 盤 幹 線 から 配 線 を 分 岐 する 箇 所 に 設 け 開 閉 器 と 過 電 流 遮 断 器 を 組 み 合 わせたも のであり 火 災 事 故 や 感 電 事 故 を 防 止 するために 漏 電 遮 断 器 を 組 み 合 わせる 場 合 もある 日 常 使 用 している 電 力 は 建 物 内 に 引 き 込 まれた 幹 線 から 各 階 に 設 けた 分 電 盤 を 経 由 して 研 究 室 や 実 験 室 の 分 電 盤 に 供 給 されている 盤 面 下 部 にはアー ス 端 子 が 設 置 してある 3) 過 電 流 遮 断 器 (ブレーカー ヒューズ) 低 圧 電 路 を 保 護 するためには 過 負 荷 や 短 絡 などにより 過 電 流 が 流 れた 場 合 に 保 護 する 過 電 流 遮 断 器 と 配 線 や 電 気 機 器 の 絶 縁 低 下 や 一 線 地 路 などにより 接 地 事 故 が 発 生 した 場 合 のための 漏 電 遮 断 器 地 絡 継 電 器 がある 幹 線 および 分 岐 回 路 には 各 線 路 を 保 護 する 過 電 流 遮 断 器 を 施 設 することになっており これらには ヒューズと 配 線 用 遮 断 器 がある 配 線 用 遮 断 器 は 一 般 にブレーカとよばれており バイメタルや 電 磁 コイルなど
が 利 用 されている 遮 断 の 都 度 ヒューズのように 交 換 する 必 要 がなく ハンド ル 操 作 だけで 簡 単 に 投 入 できる 構 造 になっており 投 入 すればそのまま 継 続 して 使 用 できる 4)コンセント コンセントは 容 易 に 電 源 を 確 保 することができるため つい 接 続 しすぎてタコ 足 配 線 になりがちである この 場 合 すべての 電 流 がコンセントを 流 れるので 温 度 上 昇 につながりやすく 電 線 や 被 覆 ゴム 塩 化 ビニールなどが 劣 化 したり 溶 けたりして 漏 電 感 電 火 災 の 原 因 となるので 容 量 以 上 の 接 続 は 絶 対 してはな らない 5)アース 接 地 とは 機 器 と 大 地 を 電 気 的 に 接 続 することであり 感 電 防 止 や 漏 電 防 止 の 意 味 からも 重 要 なことである 電 気 機 器 の 通 電 部 分 と 筐 体 部 分 は 通 常 絶 縁 されてい るので 正 常 であれば 筐 体 に 触 れても 感 電 することはない しかし 絶 縁 部 が 劣 化 したり 損 傷 したりすると 内 部 に 絶 縁 不 良 が 発 生 し 筐 体 に 漏 電 した 場 合 には 感 電 する ところが このように 絶 縁 不 良 が 起 きている 場 合 でも アースが 正 しくと られていれば 漏 電 および 感 電 の 危 険 性 は 低 くなる 大 地 と 接 地 極 ( 銅 棒 など)と の 表 面 接 触 抵 抗 が 十 分 低 くなければ 事 故 時 の 電 位 上 昇 を 低 く 抑 えることができ ないので 電 気 設 備 技 術 基 準 によって 接 地 抵 抗 地 の 限 度 (100Ω)が 定 められてい る 実 験 室 における 設 置 の 方 法 は 実 験 室 の 分 電 盤 についているアース 端 子 に 接 続 する 水 道 管 からアースをとっているのを 散 見 するが 蛇 口 が 金 属 でも 水 道 管 は 塩 ビ 管 が 使 われている 場 合 が 多 いのでほとんど 効 果 がない また ガス 管 からのアー スは 火 災 の 原 因 となるので 絶 対 に 行 なってはならない 6) 実 験 室 内 の 配 線 実 験 室 や 研 究 室 で 配 線 を 行 なう 場 合 には 次 のことに 注 意 しなければならない ( 電 気 配 線 は 有 資 格 者 に 依 頼 すること) (1) 電 線 と 電 線 の 接 続 1 電 線 を 接 続 する 場 合 には 電 気 抵 抗 を 増 加 させないように 接 続 すること 2 電 線 の 強 さ( 引 張 荷 重 )を 20% 以 上 減 少 させないようにすること 3 接 続 部 分 には 接 続 管 などの 器 具 を 使 用 するか ろう 付 けすること 4 絶 縁 電 線 同 士 を 接 続 する 場 合 には 絶 縁 物 と 同 等 以 上 の 絶 縁 効 力 のあるもの で 十 分 に 被 覆 すること (2) 接 続 端 子 への 電 線 の 接 続 1 端 子 への 接 続 の 締 め 付 けがゆるいと 接 触 抵 抗 が 大 きくなり 発 熱 の 原 因 とな るので 端 子 への 締 め 付 けはしっかりすること
2 心 線 のネジ 止 めは 線 をネジに の の 字 に 巻 きつけて 締 めること 3 ヨリ 線 の 場 合 には 圧 着 端 子 を 用 いて 接 続 すること 4 分 電 盤 には 通 常 20A および 30A のヒューズが 入 っているが ブレーカが 設 置 されている 場 合 にはその 容 量 を 超 えないようにすること 5 電 流 値 はスイッチ 端 に 接 続 されている 機 器 類 の 定 格 電 流 の 合 計 から 計 算 す る (3) 配 線 上 の 注 意 事 項 1 電 線 は 接 続 される 電 気 機 器 の 定 格 電 流 の 合 計 以 上 の 許 容 電 流 がある 線 を 使 用 すること 2 モーターを 接 続 する 場 合 には 起 動 時 や 負 荷 変 動 時 のことを 配 慮 して 定 格 電 流 の 1.25 倍 の 許 容 電 流 がある 線 を 使 用 すること 3 電 熱 機 器 への 配 線 は 相 対 的 に 熱 に 強 いケーブルを 使 用 すること 4 たこ 足 配 線 は 特 定 の 電 線 に 許 容 値 以 上 の 電 流 が 流 れる 場 合 が 多 くなり 発 熱 による 火 災 の 原 因 となるので 行 なわないこと 5 使 用 中 の 余 分 なコードを 小 さく 丸 めて 束 ねると 放 熱 が 悪 くなり 過 熱 の 原 因 となるので 直 径 30cm 程 度 の 輪 を 作 り 束 ねること (4) 電 気 機 器 の 無 人 運 転 に 関 する 注 意 事 項 1 装 置 に 異 常 が 発 生 した 場 合 に 備 えて 安 全 に 停 止 するような 措 置 あるいは 警 報 装 置 の 設 置 などの 対 策 を 講 じること 2 下 記 の 事 項 を 明 記 したカードなどを 備 えておくこと 実 施 責 任 者 非 常 時 の 連 絡 方 法 停 止 方 法 ( 第 三 者 が 異 常 を 発 見 した 場 合 の ため) 4. 安 全 点 検 1) 分 電 盤 の 安 全 点 検 (1) 漏 電 遮 断 器 は 作 動 するか( 赤 いテストボタンを 押 して 動 作 確 認 をする) (2) 分 電 盤 の 外 箱 は 接 地 してあるか (3) 電 源 盤 のスイッチに 電 圧 区 分 が 明 示 されているか( 三 相 200V 単 相 3 線 式 100V など) (4) 配 電 必 要 のないスイッチが ON されていないか (5) ナイフスイッチのカバーは 壊 れていないか (6) 電 源 の 締 め 付 け つなぎ 込 み 部 分 の 被 覆 は 完 全 か (7) 接 続 されている 機 器 に 対 して 電 線 の 容 量 は 適 切 か (8) ヒューズは 適 正 か(ヒューズ 以 外 の 物 を 使 っていないか) (9) 分 電 盤 内 に 埃 がたまっていないか (10) 分 電 盤 の 前 に 物 が 置 かれていないか
2) 研 究 室 内 の 安 全 点 検 (1) たこ 足 配 線 をしていないか( 許 容 電 流 内 か) (2) コードやテーブルタップが 熱 くなっていないか (3) 不 必 要 なコードが 接 続 されたままになっていないか (4) 使 用 していない 機 器 や 装 置 の 電 源 がはいったままになっていないか (5) コードが 損 傷 していないか (6) コードの 接 続 部 に 絶 縁 テープ 以 外 のものを 巻 いていないか (7) 絶 縁 テープが 剥 がれていないか (8) コードがドアに 挟 まれたり 重 量 物 の 下 敷 きになっていないか (9) コードが 電 熱 機 器 に 触 れていないか (10) 配 線 を 日 常 的 に 踏 みつけていないか (11) 差 込 やテーブルタップが 破 損 していないか (12) コンセントとプラグの 接 続 部 分 に 埃 がたまっていないか 参 考 文 献 1. 工 学 部 安 全 マニュアル 茨 城 大 学 工 学 部 安 全 管 理 委 員 会 編