介 護 保 険 ~ 改 めて 今 何 を 議 論 すべきなのか~ 2014 年 7 月 17 日 医 療 介 護 福 祉 政 策 研 究 フォーラム 厚 生 労 働 省 年 金 局 長 香 取 照 幸
社 会 に 定 着 した 介 護 保 険 制 度 制 度 発 足 から10 年 余 総 体 としてみれば 介 護 保 険 制 度 は 国 民 生 活 に 定 着 し よく 機 能 している 介 護 保 険 は 今 なお 現 在 進 行 形 の 制 度 だが 大 事 なことは 将 来 の 社 会 経 済 の 大 きな 変 化 を 見 通 して 制 度 の 基 本 理 念 を 踏 まえた 課 題 を 整 理 し 改 革 の 方 向 性 を 提 示 すること 近 視 眼 的 妥 協 的 な 制 度 改 正 は 制 度 理 念 を 曖 昧 にし 将 来 に 重 大 な 禍 根 を 残 す 合 成 の 誤 謬 部 分 合 理 性 と 全 体 合 理 性 制 度 理 念 と 現 場 実 践 とはよい 意 味 で 緊 張 関 係 にある
介 護 保 険 の 先 進 性 日 本 の 介 護 保 険 の 先 進 性 革 新 性 をよく 認 識 することが 必 要 高 い 給 付 水 準 寛 大 な 給 付 範 囲 客 観 的 で 公 平 な 要 介 護 認 定 システム ケアマネジメントの 制 度 的 導 入 小 規 模 多 機 能 サービス 個 室 ユニットケア など 我 が 国 の 介 護 保 険 制 度 に 対 する 国 際 的 な 評 価 は 極 めて 高 い 諸 外 国 はこぞって 我 が 国 の 介 護 保 険 制 度 を 研 究 し 自 国 の 制 度 設 計 に 生 かしている 改 革 すべき 点 は 積 極 的 に 見 直 していくことが 必 要 だが 目 先 のことにとら われてこの 制 度 の 本 質 的 価 値 を 見 失 ってはいけない 介 護 保 険 の 先 進 性 は 制 度 の 基 本 設 計 を 支 える 理 念 に 由 来 する 市 民 的 権 利 としての 介 護 ー 市 民 自 治 型 福 祉 (VS 公 権 力 主 導 型 福 祉 ) 介 護 の 社 会 化 ー 普 遍 的 一 般 的 サービスとしての 介 護 当 事 者 責 任 ー 高 齢 者 自 身 の 拠 出 を 含 む 市 民 の 費 用 負 担 制 度 参 加
制 度 と 現 場 理 念 と 実 践 制 度 には 理 念 があり 現 場 には 実 践 がある 制 度 理 念 と 現 場 実 践 は 相 互 に 支 えあう 関 係 制 度 は 現 場 の 実 践 を 支 え 現 場 の 実 践 は 制 度 の 理 念 を 実 現 する 現 場 の 問 題 提 起 を 受 けとめる 制 度 改 革 改 革 の 理 念 を 実 践 を 通 じて 実 現 する 現 場 制 度 とは 常 に 現 在 進 行 形 のもの
現 場 の 実 践 から 生 まれた 制 度 はたくさんある 認 知 症 グループホーム 小 規 模 多 機 能 型 在 宅 介 護 24 時 間 巡 回 ケア 個 室 ユニットケア 現 場 の 実 践 を 制 度 ( 介 護 保 険 )が 体 系 化 し 制 度 化 された 実 践 (ケア)をさらに 現 場 が 進 化 させる 上 位 概 念 としての 制 度 理 念 ~ケア 理 念 の 重 要 性 ~ 介 護 の 社 会 化 自 立 支 援 尊 厳 の 保 障 ~
社 会 経 済 システムとしての 介 護 保 険 社 会 保 障 は 壮 大 な 制 度 政 策 の 体 系 給 付 負 担 の 規 模 は100 兆 円 GDPの20%を 超 える 政 治 経 済 システム 全 体 を 構 成 する 不 可 欠 の 要 素 常 に 全 体 連 関 の 中 でいかに 機 能 するのかを 考 える 他 方 個 々の 市 民 にとっては 社 会 保 障 は 日 々の 生 活 に 直 結 する 個 別 具 体 のサービス 社 会 保 障 ( 制 度 政 策 )の 構 築 には 経 済 (マクロ ミクロ) 政 治 制 度 地 域 政 策 家 庭 ( 家 族 )との 関 わりなど 広 範 な 背 景 知 識 が 必 要 同 時 に 個 人 にとっての 社 会 保 障 が 個 別 的 多 面 的 であり 年 齢 や 社 会 階 層 生 活 形 態 等 によって 果 たしている 機 能 役 割 は 様 々に 異 なること を 忘 れてはいけない
改 めての 問 題 提 起 1 選 択 と 集 中 優 先 課 題 の 明 確 化 1 要 支 援 者 軽 度 要 介 護 者 に 対 するサービスのあり 方 生 活 支 援 をめぐる 混 乱 自 立 支 援 とは 何 か~ケアの 基 本 論 制 度 論 的 整 理 の 必 要 性 要 支 援 と 予 防 保 険 給 付 の 意 味 マネジメントスキームの 再 構 築 介 護 予 防 マネジメントのあるべき 姿 2 重 度 化 複 合 化 する 要 介 護 者 への 対 応 最 優 先 課 題 としての 要 医 療 要 介 護 の 中 重 度 者 に 対 するケア 保 障 ケア 体 系 全 体 の 再 構 成 医 療 の 位 置 付 けの 明 確 化 と 施 設 機 能 の 再 定 義 ( 介 護 療 養 型 医 療 施 設 の 位 置 付 け ターミナルケアへの 取 組 み 等 )
2 地 域 包 括 ケア~ 包 括 継 続 伴 走 1 日 常 生 活 圏 域 で 完 結 する 包 括 ケアサービス : 医 療 - 介 護 施 設 - 在 宅 を 通 じた 切 れ 目 のない 支 援 :それを 可 能 にする 多 様 なサービス 類 型 の 整 備 居 住 の 保 障 医 療 の 保 障 ~ 在 宅 支 援 医 療 サービス( 訪 問 看 護 在 宅 支 援 診 療 所 ) : 生 活 支 援 の 意 味 介 護 保 険 でできる(やるべき)ことは? 2 個 別 制 度 を 超 える 制 度 横 断 マネジメント : 個 々 人 に 応 じたオーダーメードのケアサービスを 個 別 制 度 を 超 えて 横 串 でつないで 組 み 立 てる( メタ 制 度 の 仕 組 み) :ケアマネジメントの 再 生 改 めて サービスのパッケージ 化 ケアの 標 準 化 アセスメント マネジメントの 専 門 性 アドボカシー 自 立 支 援 マネジメントとは 個 人 におもねることではない
3 新 たなケアモデルの 構 築 と 制 度 の 再 構 築 1 認 知 症 ケアの 確 立 医 学 的 知 見 の 進 展 に 対 応 した 給 付 設 計 ( 精 神 医 療 モデル への 回 帰 ではない!) 身 体 ケアモデルからの 脱 却 標 準 仕 様 としての 認 知 症 ケア ( ケアモデルの 転 換 GHケアの 先 進 性 の 再 確 認 ) サービスの 絶 対 量 の 確 保 GH 小 規 模 多 機 能 地 域 支 援 在 宅 医 療 2 独 居 モデルの 構 築 日 常 生 活 圏 域 で 完 結 できるケア 体 制 ~ 地 域 コミュニティの 再 生 介 護 保 険 サービスを 支 えるサブシステムの 構 築 居 住 保 障 ー 住 宅 対 策 小 規 模 多 機 能 ケア 付 き 住 宅
3 ケア 論 に 立 脚 した 制 度 の 構 築 ケアモデルの 転 換 が 提 起 するものとは 制 度 が 保 障 すべき 市 民 福 祉 としての 介 護 とは 何 か? ケア 論 としてのユニットケア GH 小 規 模 多 機 能 何 故 個 別 ケア が 必 要 となるのか 現 場 レベルで 高 齢 者 の 自 立 を 支 えるシステムとしての 地 域 包 括 ケア と ケアマネジメント 個 別 制 度 を 超 えた 包 括 支 援 サービス 統 合 制 度 の 基 礎 は 科 学 であり 情 念 ではない 要 介 護 認 定 を 巡 る 議 論 の 混 乱 市 民 的 権 利 と 参 加 責 任 市 民 = 被 保 険 者 = 介 護 サービスを 利 用 する 権 利 を 持 つ 者 には 介 護 保 険 の 運 営 に 参 加 し 制 度 を 支 えていく 当 事 者 責 任 がある
4 地 域 再 生 と 介 護 保 険 地 域 政 策 のツール(サブシステム)としての 介 護 保 険 人 口 減 少 地 域 の 消 滅 の 危 機 地 域 再 生 コミュニティ 再 生 という 視 点 からのサービス 再 構 築 共 生 という 視 点
地 域 包 括 ケアの 実 現 に 向 けて1 要 介 護 高 齢 者 の 重 度 化 要 医 療 化 が 今 後 一 層 進 んでいることを 考 えれば 地 域 包 括 ケアにおける 医 療 ( 医 療 看 護 )の 位 置 つけは 極 めて 重 要 なテーマ 要 介 護 者 ごとの 医 療 と 介 護 のニーズバランスに 応 じて 両 者 を 組 み 合 わせる (その 意 味 で 医 療 と 介 護 の 一 体 提 供 ) という 発 想 に 立 つことが 重 要 重 度 者 認 知 症 患 者 こそ 多 職 種 連 携 資 源 活 用 の 最 適 化 が 必 要 すなわち 1 およそ 在 宅 要 介 護 者 全 般 について 居 宅 ケア 付 き 住 宅 有 料 GHなど どこにいても 必 要 な 医 療 が 保 障 される 仕 組 み 2 それを 支 えるサービス 基 盤 の 整 備 と 多 職 種 連 携 協 働 を 実 現 するマネジメ ントの 再 構 築 ( 伴 走 型 地 域 包 括 型 ケアマネジメント) 3 老 健 特 養 (= 重 介 護 者 施 設 )における 日 常 的 な 医 療 の 確 保 4 施 設 入 所 者 在 宅 要 介 護 者 を 通 じた 要 介 護 者 の 急 性 増 悪 や 原 疾 患 以 外 の 急 性 期 発 症 ( 肺 炎 事 故 脳 梗 塞 等 々)に 対 応 できる 医 療 のバックアップ 体 制 ( 地 域 医 療 体 制 )の 整 備 が 求 められる - 12 -
地 域 包 括 ケアの 実 現 に 向 けて2 要 医 療 重 介 護 の 高 齢 者 や 認 知 症 高 齢 者 を 地 域 で 支 えていくためには 従 来 の 在 宅 サービス ケアマネジメントのままでは 対 応 できない 医 療 サイドでの 取 り 組 み 強 化 と 合 わせて 介 護 サービスについても 1 医 療 看 護 との 連 携 医 療 介 護 サービスの 一 体 提 供 2 重 度 者 認 知 症 高 齢 者 の 心 身 状 態 に 対 応 したケアの 構 築 を 進 めていくことが 必 要 GH 小 規 模 多 機 能 における 重 度 化 対 応 の 強 化 :マネジメント 機 能 ( 身 体 機 能 評 価 と 多 職 種 連 携 ケアの 連 続 性 )の 強 化 デイサービスの 見 直 し( 制 度 面 からの 見 直 しも 含 む) : 軽 度 者 を 支 えるデイサービス : 重 度 者 認 知 症 高 齢 者 を 支 えるデイサービス :デイの 多 機 能 化 小 規 模 化 医 療 型 ショート 重 介 護 対 応 型 ショート ホームヘルプの 機 能 分 化 - 13 -
地 域 包 括 ケアの 実 現 に 向 けての 課 題 2( 続 ) ケアマネジメントの 再 構 築 : 医 療 介 護 の 一 体 提 供 多 職 種 連 携 協 働 を 支 えるマネジメント :ケアマネ 自 身 の 意 識 変 革 ソーシャルワーク 的 機 能 +ケアワーク 的 機 能 重 度 者 認 知 症 患 者 の 生 活 を 支 える 医 療 看 護 介 護 のトータルな ケア を 機 能 させるのが 地 域 包 括 ケアにおけるマネジャーの 役 割 情 報 共 有 ケアのプラットホームの 確 立 : 多 職 種 連 携 を 支 える ケア 情 報 健 康 情 報 の 共 有 制 度 面 での 課 題 の 整 理 と 解 決 方 策 の 提 言 現 場 からの 発 信 : 特 養 老 健 居 住 系 施 設 における 医 療 提 供 の 隘 路 ( 点 滴 問 題 PEG 対 応 問 題 看 護 管 理 と 訪 問 看 護 など) : 生 活 支 援 系 ケアと 心 身 機 能 支 援 系 ケアの 再 整 理 : 認 知 症 医 療 における 診 断 治 療 ガイドライン の 確 立 ( 安 易 な 多 剤 投 与 過 鎮 静 (ドラッグロック)の 改 善 ) - 14 -
日 常 生 活 圏 域 内 において 医 療 介 護 予 防 住 まいが 切 れ 目 なく 継 続 的 かつ 一 体 的 に 提 供 される 地 域 包 括 ケアシステム の 確 立 を 図 る 小 中 学 校 区 レベル( 人 口 1 万 人 程 度 の 圏 域 )において 日 常 的 な 医 療 介 護 サービスが 提 供 され 人 口 20 ~30 万 人 レベルで 地 域 の 基 幹 病 院 機 能 都 道 府 県 レベルで 救 命 救 急 がんなどの 高 度 医 療 への 体 制 を 整 備 医 療 提 供 体 制 の 充 実 と 重 点 化 効 率 化 都 道 府 県 域 から 市 町 村 域 まで 重 層 的 に 医 療 サービスを 提 供 & 市 町 村 レベル: 主 治 医 ( 総 合 医 を 含 む)による 日 常 の 診 療 対 応 診 療 所 の 機 能 強 化 外 来 往 診 在 宅 支 援 人 口 20~30 万 レベル: 救 急 病 院 など 地 域 の 基 幹 病 院 を 中 心 とする 医 療 機 関 のネットワーク 救 急 病 院 専 門 病 院 地 域 の 多 様 な ニーズに 対 応 地 域 に 密 着 した 病 院 機 能 分 化 連 携 強 化 効 率 化 重 点 化 医 師 数 増 などの 強 化 重 点 化 医 療 介 護 の 提 供 体 制 の 将 来 像 ~ 機 能 分 化 し 重 層 的 に 住 民 を 支 える 医 療 介 護 サービスのネットワーク 構 築 ~ 連 携 在 院 日 数 減 リハビリ 等 を 担 う 病 院 リハ 機 能 の 強 化 速 やかな 在 宅 復 帰 特 養 老 健 施 設 等 早 期 の 地 域 復 帰 家 庭 復 帰 救 急 患 者 の 確 実 な 受 入 れ 地 域 連 携 の 強 化 認 知 症 等 専 門 医 療 へ 円 滑 な 紹 介 地 域 包 括 ケアの 実 現 ( 包 括 的 ケアマネジメントの 機 能 強 化 ) 複 合 型 サービス 訪 問 看 護 在 宅 療 養 支 援 診 療 所 有 床 診 療 所 薬 局 等 医 療 人 材 小 中 学 校 区 レベル( ): 日 常 生 活 の 継 続 支 援 に 必 要 な 医 療 介 護 サービス 提 供 体 制 地 域 密 着 型 特 養 ク ルーフ ホーム 在 宅 医 療 連 携 拠 点 機 能 専 門 医 療 に 円 滑 に 紹 介 小 規 模 多 機 能 かかりつけ 医 緊 急 時 も 確 実 に 入 院 可 能 包 括 的 マネジメント 機 能 自 らの 住 まいで 終 末 期 まで 生 活 ( 医 療 介 護 の 連 携 ) 地 域 で 安 心 して 暮 らし 続 けられる よう 整 備 地 域 包 括 支 援 センター ケア 付 き 高 齢 者 住 宅 ケアマネシ ャー 休 日 深 夜 でも 安 心 30 分 以 内 に 訪 問 介 護 人 材 (ヘルハ ー 等 ) 24 時 間 地 域 巡 回 型 訪 問 サーヒ ス 新 しい 公 共 (ハ ートナーシッフ )= 地 域 の 支 え 合 い 認 知 症 サポーター 生 活 介 護 支 援 サポーター NPO 住 民 参 加 等 都 道 府 県 レベル: 救 命 救 急 高 度 な 医 療 など 広 域 ニーズへの 対 応 体 制 整 備 がん 治 療 や 高 度 先 進 医 療 15 高 度 な 医 療 を 提 供 する 病 院 ドクターヘリなど 広 域 救 急 人 口 1 万 人 程 度 の 圏 域