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平 成 25 年 (213 年 )9 月 2 日 ローン 減 税 の 拡 充 と 消 費 税 率 引 き 上 げが 着 工 に 与 える 影 響 について 要 旨 214 年 4 月 に 予 定 される 消 費 税 率 引 き 上 げの 最 終 決 定 が いよいよ 1 月 の 初 旬 に 迫 ってきた 消 費 税 率 引 き 上 げは その 前 後 に 発 生 する 駆 け 込 み 需 要 と 反 動 減 により 家 計 の 需 要 を 大 きく 変 動 させて 景 気 のかく 乱 要 因 と なるほか 税 率 引 き 上 げ 後 の 実 質 所 得 減 少 を 通 じて 中 期 的 に 需 要 を 押 し 下 げる 要 因 にもなり 得 る 本 稿 では 消 費 税 率 が 引 き 上 げられた 場 合 に 市 場 で 想 定 されるマイナス 影 響 に 対 して ローン 減 税 の 拡 充 がど の 程 度 の 緩 和 効 果 を 持 つのか 着 工 戸 数 に 着 目 して 析 した まず ローン 減 税 拡 充 が 税 率 引 き 上 げに 伴 う 取 得 時 の 負 担 をどの 程 度 軽 減 するのか 一 定 の 仮 定 を 置 いたうえで 試 算 してみると 高 所 得 世 帯 ほど 減 税 拡 充 のメリットが 大 きくなることがわかる 高 所 得 世 帯 では 税 率 が 8%に 引 き 上 げられた 後 に を 取 得 した 方 が 有 利 となる 場 合 もある 一 方 取 得 世 帯 の 4 割 前 後 を 占 める 年 収 6 万 円 未 満 の 世 帯 では 税 額 控 除 の 対 象 となる 所 得 税 個 人 民 税 の 納 税 額 が 少 ないことなどで ローン 減 税 拡 充 による 負 担 軽 減 効 果 は 相 対 的 に 小 さくなる ただし 現 在 検 討 されている 給 付 措 置 が 実 施 された 場 合 は 減 税 拡 充 の 効 果 が 限 定 的 な 世 帯 層 の 負 担 も 相 応 に 軽 減 されることになる ローン 減 税 の 拡 充 により 駆 け 込 み 需 要 と 反 動 減 による 着 工 戸 数 の 変 動 は 平 準 化 される 見 込 みだ 税 率 引 き 上 げと 減 税 拡 充 がなかった 場 合 から の 乖 離 率 でみた 駆 け 込 み 需 要 の 影 響 は 1 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 前 で 合 計 +13% 程 度 2 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 前 は 合 計 +17% 程 度 と 試 算 され ロー ン 減 税 が 拡 充 される 1 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 時 の 変 動 幅 のほうが 小 さくなる また 税 率 引 き 上 げに 伴 う 価 格 の 上 昇 により 二 段 階 の 税 率 引 き 上 げ 後 には 着 工 水 準 が 約 7.3% 低 下 すると 想 定 されるが ローン 減 税 拡 充 によ る 負 担 の 軽 減 効 果 を 勘 案 すると 低 下 幅 は 約 5.1%に 縮 小 すると 考 えられる 1

1. ローン 減 税 の 改 正 内 容 日 本 経 済 の 回 復 基 調 が 強 まる 中 安 倍 政 権 は 1 月 初 旬 に 214 年 4 月 の 消 費 税 率 引 き 上 げを 予 定 通 り 実 施 することを 決 定 する 見 通 しである その 場 合 には 取 得 時 の 税 負 担 が 増 加 する 影 響 を 平 準 化 緩 和 することを 目 的 に ローン 減 税 が 拡 充 されることが 決 まっている ローン 減 税 は ローンを 利 用 して の 新 築 取 得 または 増 改 築 等 ( 以 下 取 得 等 )をした 場 合 に 一 定 の 要 件 を 満 たせば その 取 得 等 にかかる ローンの 年 末 残 高 を 基 に 計 算 した 金 額 を 各 年 の 所 得 税 額 から 控 除 できる 制 度 である( 第 1 2 表 ) 仮 に 所 得 税 額 から 控 除 しきれない 金 額 がある 場 合 は 翌 年 度 の 個 人 民 税 額 から 限 度 額 内 で 控 除 できる ローン 減 税 が 適 用 される 期 間 は 居 年 から 1 年 間 である 第 1 表 : ローン 減 税 の 主 な 利 用 条 件 第 2 表 : ローン 減 税 の 控 除 額 の 計 算 の 仕 組 み 対 象 等 条 件 合 計 所 得 金 額 3, 万 円 以 下 の 新 築 または 新 築 を 取 得 増 改 築 等 の 場 合 床 面 積 5 平 方 メートル 以 上 既 存 を 取 得 する 場 合 ( ) 一 般 の 場 合 ( 資 料 ) 財 務 省 資 料 等 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 1 床 面 積 5 平 方 メートル 以 上 2 築 後 2 年 以 内 であること 等 各 年 の 税 額 控 除 額 借 入 金 等 の 年 末 残 高 ( 借 入 限 度 額 以 内 ) 控 除 率 実 際 の 控 除 額 (1) 各 年 の 所 得 税 額 各 年 の 税 額 控 除 額 の 場 合 税 額 控 除 額 を 所 得 税 額 から 控 除 (2) 各 年 の 所 得 税 額 < 各 年 の 税 額 控 除 額 の 場 合 税 額 控 除 額 を 所 得 税 額 から 控 除 し 所 得 税 額 から 控 除 しきれない 金 額 を 翌 年 度 の 個 人 民 税 額 から 限 度 額 内 で 控 除 ( )213 年 の 一 般 の 場 合 借 入 限 度 額 は2, 万 円 控 除 率 は1.% 翌 年 度 の 個 人 民 税 額 からの 控 除 限 度 額 は 前 年 の 課 税 総 所 得 金 額 等 の 5%( 上 限 額 9.75 万 円 ) ( 資 料 ) 各 種 資 料 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 3 月 29 日 の 関 連 法 案 成 立 により 今 年 の 12 月 末 で 終 了 する 予 定 であった ロー ン 減 税 は 217 年 12 月 末 まで 4 年 間 延 長 されるとともに 214 年 4 月 からは 1 年 間 の 最 大 控 除 額 が 一 般 の 場 合 で 2 万 円 から 4 万 円 に 増 額 されることとなった ( 第 3 表 ) あわせて 所 得 税 の 納 税 額 が 少 ない 所 得 層 も 恩 恵 を 受 けやすくするため 個 人 民 税 からの 控 除 限 度 額 を 引 き 上 げることも 決 定 している さらに ローン ( 1) 減 税 の 拡 充 後 も 負 担 の 軽 減 効 果 が 限 定 的 な 所 得 層 には 追 加 策 として 給 付 措 置 の 実 施 が 検 討 されており 6 月 には 取 得 者 の 収 入 を 基 準 として 現 金 を 給 付 する す まい 給 付 金 制 度 について 与 党 の 合 意 内 容 が 公 表 されている ( 1) 与 党 の 平 成 25 年 度 税 制 改 正 大 綱 では ローン 減 税 の 拡 充 措 置 を 講 じてもなお 効 果 が 限 定 的 な 所 得 層 に 対 しては 別 途 良 質 な ストックの 形 成 を 促 す 政 策 の 観 点 から 適 切 な 給 付 措 置 を 講 じ 税 制 において 当 面 特 例 的 な 措 置 を 行 う 平 成 29 年 末 まで 一 貫 して これら 減 税 措 置 とあわせ 取 得 に 係 る 消 費 税 負 担 増 をかなりの 程 度 緩 和 する ものとされている 第 3 表 : ローン 減 税 の 改 正 内 容 借 入 限 度 額 控 除 率 控 除 期 間 1 年 間 の 最 大 控 除 額 各 年 の 控 除 限 度 額 現 行 213 年 末 まで 2, 万 円 1.% 1 年 2 万 円 2 万 円 拡 充 後 入 居 時 期 214 年 1 月 ~3 月 214 年 4 月 ~217 年 12 月 ( ) 一 般 の 場 合 2, 万 円 1.% 1 年 2 万 円 2 万 円 4, 万 円 1.% 1 年 4 万 円 4 万 円 個 人 民 税 からの 控 除 限 度 額 所 得 税 の 課 税 総 所 得 金 額 等 5% ( 最 高 9.75 万 円 ) 所 得 税 の 課 税 総 所 得 金 額 等 5% ( 最 高 9.75 万 円 ) 所 得 税 の 課 税 総 所 得 金 額 等 7% ( 最 高 13.65 万 円 ) 2

2. 取 得 世 帯 の 特 徴 と ローンの 利 用 状 況 ローン 減 税 の 拡 充 による 負 担 の 軽 減 効 果 は 取 得 者 の 所 得 や の 取 得 条 件 等 によって 異 なる ここでは どのような 世 帯 が を 取 得 しているのか また 取 得 世 帯 はどのようにして 資 金 を 手 当 てしているのか 改 めて 確 認 しておく 国 土 交 通 省 の 調 査 (212 年 度 時 点 )によると 取 得 世 帯 のうち 年 収 6 万 円 未 満 の 世 帯 が で 約 5% で 約 35%と 大 きな 割 合 を 占 めていることが わかる( 第 1 図 ) また 取 得 世 帯 は 購 入 資 金 のうち 6% 程 度 を ローン によって 手 当 てしており 年 収 に 対 する 返 済 負 担 率 は 2% 弱 である( 第 4 表 ) この ことから 期 間 35 年 で 固 定 金 利 2~3%の ローンを 元 利 均 等 返 済 で 借 りる 場 合 を 考 えると 年 収 の 4~5 倍 程 度 の 金 額 について ローンを 利 用 するケースが 多 いと 推 察 される 1 9 8 7 6 5 4 3 第 1 図 : 取 得 世 帯 の 年 収 布 (212 年 度 ) 1.4 9.7 9.3 7.3 世 帯 年 収 不 明 9.2 14.3 1 万 円 以 上 21.2 8~1 万 円 未 満 32.8 6~8 万 円 未 満 31.7 4~6 万 円 未 満 第 4 表 : ローンの 利 用 状 況 (212 年 度 ) 購 入 資 金 うち ローン ローンの 利 用 比 率 3,614 2,25 56. 19.1 3,597 2,4 66.7 17.3 ( ) ローン は 民 間 金 融 機 関 と 金 融 支 援 機 構 その 他 公 的 機 関 勤 務 先 からの 借 入 の 合 計 ローンの 返 済 負 担 率 ( 年 収 比 %) 2 31.7 4 万 円 未 満 1 18.2 4.2 同 調 査 では の 取 得 判 断 に 影 響 する 要 因 についてもアンケートが 行 われている が 現 状 ローン 減 税 等 の 取 得 時 の 税 制 等 の 行 政 施 策 は 金 利 動 向 と 並 んで 大 きなプラス 要 因 となっているようだ( 第 2 図 ) ローン 減 税 の 拡 充 は 取 得 を 検 討 している 世 帯 の 意 思 決 定 に 相 応 のプラス 影 響 を 与 えると 考 えられる 5 45 4 35 3 25 2 15 1 5 第 2 図 : の 建 築 購 入 に 影 響 を 与 える 要 因 (212 年 度 ) プラス 要 因 として 影 響 マイナス 要 因 として 影 響 取 得 時 の 税 制 等 の 行 政 施 策 金 利 動 向 景 気 の 先 行 き 感 家 計 収 入 の 見 通 し 地 価 / の 価 格 相 場 従 前 の 売 却 価 格 3

3. ローン 減 税 の 拡 充 は 消 費 税 率 引 き 上 げに 伴 う 負 担 をどの 程 度 軽 減 するのか 続 いて ローン 減 税 の 拡 充 が 消 費 税 率 引 き 上 げに 伴 う 取 得 時 の 負 担 をどの 程 度 軽 減 するのか 取 得 世 帯 における ローンの 利 用 状 況 等 を 基 に 一 定 の 前 提 を 置 いたうえで 試 算 を 行 ってみた 試 算 結 果 からは 取 得 世 帯 の 年 収 等 に 関 わらず ローン 減 税 の 拡 充 は 消 費 税 率 引 き 上 げに 伴 う 税 負 担 を 軽 減 するが その 効 果 は 高 所 得 世 帯 ほど 大 きくなりやすい といえる( 第 5 表 ) これは 高 所 得 世 帯 ほど 所 得 税 個 人 民 税 の 納 税 額 や ロ ーンの 借 入 額 が 大 きい 場 合 が 多 く ローン 減 税 の 拡 充 による 追 加 の 控 除 額 も 大 き くなるためである 例 えば 年 収 8 万 円 の 世 帯 では 消 費 税 率 8% 時 に を 取 得 する 場 合 の 負 担 軽 減 額 は 1 年 間 の 合 計 で 127 万 円 にのぼり 消 費 税 率 引 き 上 げに 伴 う 負 担 増 加 額 である 95 万 円 を 32 万 円 上 回 る 計 算 となる こうした 場 合 には 消 費 税 率 引 き 上 げ 後 に を 購 入 した 方 が 有 利 となる 一 方 取 得 世 帯 のうち 4 割 前 後 を 占 める 年 収 6 万 円 未 満 の 世 帯 では ロ ーン 減 税 拡 充 後 も 消 費 税 率 引 き 上 げの 影 響 を 相 殺 できないことに 加 え 税 額 控 除 額 を 所 得 税 額 と 個 人 民 税 額 から 控 除 しきれなかった 金 額 として 計 算 した 未 控 除 額 が 残 る 場 合 もある 例 えば 年 収 3 万 円 の 世 帯 では ローン 減 税 の 拡 充 による 負 担 軽 減 額 が 1 年 間 の 合 計 で 13 万 円 にとどまる 一 方 未 控 除 額 は 同 じく 1 年 間 で 42 万 円 に 達 し 減 税 拡 充 の 効 果 が 十 に 及 ばない 形 となる (1) 消 費 税 率 8% 時 に を 取 得 する 場 合 年 収 3 4 5 6 7 8 9 1, 消 費 税 率 5% 時 と 比 較 した 負 担 額 の 増 減 (1+2) 22 23 43 26 3 32 6 73 1 消 費 税 率 引 き 上 げ(+3%ポイント )による 影 響 36 47 59 71 83 95 17 119 2 ローン 減 税 の 拡 充 による 影 響 13 24 17 45 86 127 167 192 未 控 除 額 42 14 (2) 消 費 税 率 1% 時 に を 取 得 する 場 合 年 収 3 4 5 6 7 8 9 1, 消 費 税 率 5% 時 と 比 較 した 負 担 の 増 減 (1 +2 ) 46 55 8 71 49 28 7 4 1 消 費 税 率 引 き 上 げ(+5%ポイント )による 影 響 59 79 99 119 138 158 178 198 2 ローン 減 税 の 拡 充 による 影 響 13 25 19 48 89 13 171 194 未 控 除 額 44 16 ( )1. ローン 減 税 の 拡 充 による 影 響 は 1 年 間 の 合 計 2. 未 控 除 額 は 税 額 控 除 額 を 所 得 税 と 個 人 民 税 から 控 除 しきれなかった 金 額 の1 年 間 の 合 計 3. 試 算 の 前 提 は 以 下 の 通 り (1) 世 帯 モデル 世 帯 収 入 は 給 与 所 得 のみとし 将 来 の 所 得 増 加 は 考 慮 しない 給 与 取 得 者 は 一 人 のみ( 夫 婦 のうち 一 人 は 配 偶 者 控 除 の 対 象 )であり 扶 養 控 除 の 対 象 となる 子 供 はいない 所 得 控 除 は 給 与 所 得 控 除 基 礎 控 除 配 偶 者 控 除 社 会 保 険 料 控 除 を 勘 案 (2) 取 得 条 件 と 土 地 を ローン65% 自 己 資 金 35%で 購 入 する 取 得 費 用 の 内 訳 は 消 費 税 率 5% 時 点 で 6% 土 地 4% 但 し 消 費 税 率 引 き 上 げ 後 は 税 率 引 き 上 げ だけ 価 格 が 上 昇 し 取 得 費 用 の 内 訳 も 変 化 する ローンは 消 費 税 率 5% 時 点 で 年 収 の4.5 倍 の 金 額 を 組 成 但 し 消 費 税 率 引 き 上 げ 後 は 税 率 引 き 上 げ だけ 価 格 が 上 昇 し ローンの 組 成 額 は 給 与 所 得 の4.5 倍 を 上 回 る ローンの 条 件 は 期 間 35 年 元 利 均 等 返 済 年 利 2.5% ( 資 料 ) 国 土 交 通 省 資 料 等 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 第 5 表 : の 取 得 時 期 別 にみた 税 負 担 額 の 試 算 4

ローン 減 税 の 拡 充 後 も 負 担 軽 減 の 効 果 が 限 定 的 な 所 得 層 に 対 しては 給 付 措 置 の 実 施 が 検 討 されており 与 党 合 意 に 基 づく すまい 給 付 金 制 度 は 取 得 者 の 収 入 を 基 準 として 現 金 を 給 付 する 内 容 になっている( 第 6 表 ) 消 費 税 率 引 き 上 げと ローン 減 税 拡 充 の 影 響 に すまい 給 付 金 制 度 が 与 党 合 意 の 内 容 で 実 施 された 場 合 を 勘 案 すると 減 税 拡 充 後 も 負 担 軽 減 効 果 が 限 定 的 であった 年 収 層 のうち 年 収 4 万 円 以 下 の 世 帯 では 税 率 引 き 上 げに 伴 う 負 担 がほぼ 相 殺 されることになる( 第 3 図 ) 一 方 年 収 5 万 円 ~8 万 円 の 世 帯 では すまい 給 付 金 制 度 の 実 施 を 勘 案 して も 負 担 増 加 の 影 響 が 残 る 傾 向 にあり 相 対 的 に 税 率 引 き 上 げの 影 響 を 受 けやすい 年 収 層 であるといえる 第 6 表 : 与 党 合 意 に 基 づく すまい 給 付 金 制 度 の 概 要 (1) 消 費 税 率 8% 時 に を 取 得 する 場 合 収 入 額 の 目 安 都 道 府 県 税 の 所 得 割 額 給 付 基 礎 額 425 万 円 以 下 6.89 万 円 以 下 3 万 円 425 万 円 超 ~475 万 円 6.89 万 円 超 ~8.39 万 円 2 万 円 475 万 円 超 ~51 万 円 8.39 万 円 超 ~9.38 万 円 1 万 円 (2) 消 費 税 率 1% 時 に を 取 得 する 場 合 収 入 額 の 目 安 都 道 府 県 税 の 所 得 割 額 給 付 額 45 万 円 以 下 7.6 万 円 以 下 5 万 円 45 万 円 超 ~525 万 円 7.6 万 円 超 ~9.79 万 円 4 万 円 525 万 円 超 ~6 万 円 9.79 万 円 超 ~11.9 万 円 3 万 円 6 万 円 超 ~675 万 円 11.9 万 円 超 ~14.6 万 円 2 万 円 675 万 円 超 ~775 万 円 14.6 万 円 超 ~17.26 万 円 1 万 円 ( )1. 収 入 額 の 目 安 は 夫 婦 ( 妻 は 収 入 なし)および 中 学 生 以 下 の 子 供 が2 人 の 世 帯 において を 取 得 する 場 合 の 夫 の 収 入 額 の 目 安 2. 実 際 の 給 付 額 は 給 付 基 礎 額 に 不 動 産 登 記 上 の 持 割 合 を 乗 じた 金 額 3. ローン 等 を 利 用 しない 場 合 は 5 歳 以 上 で 収 入 額 の 目 安 が65 万 円 以 下 のものに 限 られる 3 25 2 15 1 5-5 -1 第 3 図 : 世 帯 年 収 別 にみた 消 費 税 率 引 き 上 げに 伴 う 取 得 時 の 税 負 担 額 の 試 算 消 費 税 率 5% 時 と 比 べた 税 率 引 き 上 げに 伴 う 負 担 の 変 化 同 ( ローン 減 税 拡 充 の 影 響 を 勘 案 した 場 合 ) 同 ( ローン 減 税 拡 充 の 影 響 と すまい 給 付 金 制 度 の 実 施 を 勘 案 した 場 合 ) 3 4 5 6 7 8 9 1, 3 4 5 6 7 8 9 1, ( 世 帯 年 収 万 円 ) 消 費 税 率 8% 時 消 費 税 率 1% 時 ( )1. ローン 減 税 拡 充 の 影 響 は 1 年 間 の 合 計 2. 試 算 の 前 提 は 第 5 表 中 の 釈 を 参 照 ( 資 料 ) 国 土 交 通 省 資 料 等 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 4. 消 費 税 率 引 き 上 げ 時 の 需 要 はどうなるか 最 後 に 消 費 税 率 の 引 き 上 げと ローン 減 税 の 拡 充 によって 需 要 がどのよ うに 変 化 すると 考 えられるのか 着 工 戸 数 に 着 目 して 概 観 したい ポイントは 駆 け 込 み 需 要 と 反 動 減 の 影 響 により 消 費 税 率 引 き 上 げ 前 後 の 着 工 戸 数 がどの 程 度 変 動 するのか 税 率 引 き 上 げ 後 の 着 工 水 準 がどうなるかである まず 前 回 の 消 費 税 率 引 き 上 げ 時 の 状 況 を 振 り 返 ると 税 率 引 き 上 げの 影 響 を 緩 和 5

するため 当 時 も ローン 減 税 は 拡 充 された( 第 4 図 ) ただ 最 大 控 除 額 の 引 き 上 げ 額 は2 万 円 ( 各 年 の 控 除 限 度 額 が1~2 年 目 :3 万 円 3~6 年 目 :25 万 円 の 合 計 16 万 円 1~3 年 目 :35 万 円 4~6 年 目 :25 万 円 の 合 計 18 万 円 )と 小 幅 であったため 駆 け 込 み 需 要 と 反 動 減 の 影 響 を 平 準 化 する 効 果 はみられず 税 率 引 き 上 げ 後 の 需 要 の 落 ち 込 みを 抑 える 効 果 も 限 定 的 だった 税 率 引 き 上 げ 後 には 景 気 後 退 の 影 響 も 加 わって 着 工 戸 数 は 減 少 傾 向 で 推 移 し 1999 年 1 月 に ローン 減 税 の 最 大 控 除 額 が 合 計 587.5 万 円 ( 各 年 の 控 除 限 度 額 が1~6 年 目 :5 万 円 7~11 年 目 :37.5 万 円 12 ~15 年 目 :25 万 円 )まで 一 気 に 引 き 上 げられたことなどで 漸 く 底 打 ちした 22 2 18 ( 年 率 万 戸 ) 第 4 図 : 前 回 の 消 費 税 率 引 き 上 げ 前 後 における 着 工 戸 数 と ローン 減 税 の 最 大 控 除 額 の 推 移 1999 年 1 月 : ローン 減 税 拡 充 (18 万 円 587.5 万 円 ) 8 7 6 16 5 14 12 1 1997 年 4 月 : 消 費 税 率 引 き 上 げ(3% 5%) 8 着 工 戸 数 左 目 盛 1 ローン 減 税 の 最 大 控 除 額 右 目 盛 6 94 95 96 97 98 99 1 ( 年 ) ( )1. ローン 減 税 の 最 大 控 除 額 は 一 般 の 場 合 2. 網 掛 け 部 は 景 気 後 退 期 間 ( 資 料 ) 国 土 交 通 省 統 計 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 214 年 4 月 の 消 費 税 率 引 き 上 げ 時 には ローン 減 税 の 最 大 控 除 額 は2 万 円 から 4 万 円 へと 大 きく 拡 充 される 予 定 である 前 述 の 通 り 年 収 や ローン 利 用 額 な ど 取 得 時 の 諸 条 件 によっては 税 率 引 き 上 げ 後 に 購 入 した 方 が 有 利 となる 場 合 も ある ( 2) 一 方 215 年 1 月 の 税 率 引 き 上 げ 時 については ローン 減 税 の 更 なる 拡 充 は 今 のところ 予 定 されておらず 購 入 者 は 消 費 税 率 引 き 上 げ(+2%ポイント) の 負 担 がほぼそのまま 増 加 することになる また の 用 途 類 のうち 貸 家 につ いては 個 人 事 業 主 が 建 築 する 場 合 原 則 として ローン 減 税 の 対 象 とはならない ため 二 段 階 の 税 率 引 き 上 げ の 負 担 がそのまま 増 加 すると 考 えられる ( 3) ( 2) 消 費 税 の 課 税 は 物 件 の 引 き 渡 し 時 が 原 則 となる ただし 取 得 者 が 建 築 工 事 の 請 負 契 約 を 締 結 す る 場 合 経 過 措 置 として 消 費 税 率 引 き 上 げの 半 年 前 (214 年 4 月 の 5%から 8%への 引 き 上 げ 時 は 213 年 9 月 末 215 年 1 月 の 8%から 1%への 引 き 上 げ 時 は 215 年 3 月 末 )までに 契 約 が 完 了 していれば 物 件 の 引 き 渡 しが 税 率 引 き 上 げ 後 となっても 引 き 上 げ 前 の 税 率 が 適 用 される また 拡 充 後 の ロー ン 減 税 は 消 費 税 率 8%または 1%が 適 用 される が 対 象 となる ( 3)212 年 の 貸 家 の 新 設 着 工 戸 数 のうち 建 築 主 が 個 人 であった 割 合 は 約 68%と 大 部 を 占 めている 4 3 2 こうした ローン 減 税 拡 充 の 効 果 や 前 回 の 消 費 税 率 引 き 上 げ 時 の 動 向 を 基 に 今 回 の 税 率 引 き 上 げが 着 工 戸 数 に 与 える 影 響 について 試 算 を 行 った まず 税 率 引 き 上 げ 前 後 に 発 生 する 駆 け 込 み 需 要 と 反 動 減 の 影 響 を 用 途 類 別 にみていくと ローン 減 税 の 拡 充 が 実 施 される 1 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 時 は 駆 け 込 み 需 要 が 抑 制 され ることで 持 家 や の 着 工 増 加 も 小 規 模 に 止 まると 考 えられる( 第 5 図 ) 6

12 8 第 5 図 : 今 回 の 消 費 税 率 引 き 上 げ 時 に 想 定 される 駆 け 込 み 需 要 と 反 動 減 の 着 工 戸 数 への 影 響 試 算 消 費 税 率 引 き 上 げ (5% 8%) 消 費 税 率 引 き 上 げ (8% 1%) 4 駆 け 込 み 需 要 の 影 響 ( 持 家 ) -4 同 ( 貸 家 ) 同 ( ) 反 動 減 の 影 響 ( 持 家 ) -8 同 ( 貸 家 ) 同 ( ) -12 合 計 12 13 14 15 16 ( 年 ) ( )1. 消 費 税 率 引 き 上 げ がなかったとした 場 合 に 比 べての 乖 離 率 2. ローン 減 税 が 予 定 通 り 拡 充 された 場 合 を 想 定 給 付 措 置 の 実 施 は 勘 案 せず ( 資 料 ) 国 土 交 通 省 統 計 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 一 方 前 述 の 通 り 原 則 として ローン 減 税 の 対 象 とならない 貸 家 については 1 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 時 にも 駆 け 込 み 需 要 による 着 工 増 加 が 相 応 の 規 模 で 発 生 すると みられる 着 工 戸 数 全 体 では 税 率 引 き 上 げと 減 税 拡 充 がなかった 場 合 からの 乖 離 率 としてみた 駆 け 込 み 需 要 の 影 響 は 1 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 前 で 合 計 +13% 程 度 2 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 前 には 合 計 で+17% 程 度 と 見 込 まれ 税 率 引 き 上 げ 後 には 反 動 減 によ り それぞれの 駆 け 込 み 需 要 の 影 響 と 同 規 模 の 着 工 減 少 が 生 じると 想 定 される 次 に 消 費 税 率 引 き 上 げが 着 工 戸 数 の 水 準 に 与 える 影 響 を 検 討 する 税 率 引 き 上 げに 伴 う 価 格 の 上 昇 は 実 質 所 得 の 減 少 を 通 じて 需 要 の 押 し 下 げ 要 因 にな ると 考 えられる 着 工 戸 数 と 価 格 ( 投 資 デフレーター)により 実 質 化 した 可 処 所 得 の 関 係 を 調 べると 実 質 可 処 所 得 1%の 増 減 に 対 して 着 工 戸 数 は 約 1.9% 増 減 するとの 結 果 になった( 第 6 図 ) この 結 果 を 基 に 消 費 税 率 引 き 上 げに 伴 う 価 格 の 上 昇 が 着 工 水 準 に 与 える 影 響 を 試 算 すると 着 工 水 準 は 1 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 後 に 約 4.4% 2 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 後 に 約 2.9% 合 わせて 約 7.3% 低 下 するこ とになる ここに ローン 減 税 の 拡 充 による 負 担 軽 減 効 果 を 加 味 すると 1 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 後 の 押 し 下 げ 幅 は 約 2.2%まで 縮 小 する 2 回 目 の 税 率 引 き 上 げによる 押 し 下 げ 幅 である 約 2.9%と 合 わせると 着 工 水 準 の 低 下 は 約 5.1%となる( 第 7 図 ) ( 14.6 14.4 着 工 14.2 戸 数 14. 対 13.8 数 値 ) 13.6 13.4 第 6 図 : 着 工 戸 数 と 実 質 可 処 所 得 の 関 係 (199 年 1-3 月 期 ~212 年 1-3 月 期 ) 着 工 戸 数 = 1.92 実 質 可 処 所 得 -7.6 13.2 11.16 11.2 11.24 11.28 11.32 ( 実 質 可 処 所 得 対 数 値 ) ( ) 実 質 可 処 所 得 は 当 室 にて 季 節 調 整 した 名 目 可 処 所 得 を 投 資 デフレーター で 除 したもの ( 資 料 ) 内 閣 府 国 土 交 通 省 統 計 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 -2-4 -6-8 -1 第 7 図 : 今 回 の 消 費 税 率 引 き 上 げ 時 に 想 定 される 実 質 所 得 の 減 少 による 着 工 戸 数 への 影 響 試 算 実 質 可 処 所 得 の 変 化 による 影 響 (5% 8%への 引 き 上 げ 時 ) 同 (8% 1%への 引 き 上 げ 時 ) 13 14 15 16 13 14 15 16 ( 年 ) 消 費 税 率 引 き 上 げの 影 響 同 ( ローン 減 税 拡 充 の 影 響 を 勘 案 した 場 合 ) ( ) ローン 減 税 拡 充 の 影 響 は 消 費 税 率 引 き 上 げ 後 に 想 定 される 価 格 の 上 昇 から ローン 減 税 の 拡 充 による 負 担 軽 減 を 控 除 して 試 算 着 工 戸 数 への 影 響 は 消 費 税 率 引 き 上 げの1 四 半 期 前 から 現 れるものとした ( 資 料 ) 国 土 交 通 省 統 計 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 7

既 に 確 認 したように 与 党 合 意 による すまい 給 付 金 制 度 がそのまま 実 施 される と 持 家 や を 取 得 する 世 帯 での 負 担 軽 減 効 果 はかなり 大 きくなる この 場 合 駆 け 込 み 需 要 の 影 響 による 着 工 増 加 は 1 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 前 で 合 計 +9% 程 度 2 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 前 で 合 計 +13% 程 度 まで 縮 小 し 着 工 戸 数 の 変 動 を 平 準 化 する 効 果 はより 大 きくなる また 着 工 水 準 の 低 下 も 1 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 後 で 約 1.5% 2 回 目 の 税 率 引 き 上 げ 後 で 約 2.% 合 計 約 3.5%まで 縮 小 すると 考 えられる 以 上 (H25.9.2 鶴 田 零 rei_tsuruta@mufg.jp 坂 東 輝 昭 teruaki_bandou@mufg.jp) 発 行 : 株 式 会 社 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 1-8388 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 2-7-1 当 資 料 は 情 報 提 供 のみを 目 的 として 作 成 されたものであり 金 融 商 品 の 売 買 や 投 資 など 何 らかの 行 動 を 勧 誘 するも のではありません ご 利 用 に 関 しては すべてお 客 様 御 自 身 でご 判 断 下 さいますよう 宜 しくお 願 い 申 し 上 げます 当 資 料 は 信 頼 できると 思 われる 情 報 に 基 づいて 作 成 されていますが 当 室 はその 正 確 性 を 保 証 するものではありま せん 内 容 は 予 告 なしに 変 更 することがありますので 予 めご 了 承 下 さい また 当 資 料 は 著 作 物 であり 著 作 権 法 により 保 護 されております 全 または 一 部 を 転 載 する 場 合 は 出 所 を 明 記 してください 8