4 社 会 とあなたを 支 える - 税 金 と 社 会 保 険 制 度 - 社 会 では お 互 いに 支 えあって さまざまな 制 度 や 仕 組 みが 成 り 立 っています その 支 えあい として 税 金 を 納 めること と 社 会 保 険 へ 加 入 すること があります また 事 業 主 には 労 働 者 が 仕 事 上 の 原 因 で 事 故 にあったり 病 気 になったりしな あんぜんはいりょ ぎ む いように 配 慮 する 義 務 ( 安 全 配 慮 義 務 )があります 1 所 得 税 と 住 民 税 (1) 所 得 税 国 に 納 める 税 金 で 個 人 の 所 得 に 対 してかかります 労 働 者 の 所 得 税 は 毎 月 の 賃 金 や 賞 与 から 引 かれます これを 源 泉 徴 収 といいます その 年 の 最 後 の 給 与 (または 賞 与 )の 支 給 時 に 精 算 されます これを 年 末 調 整 といい ます (2) 住 民 税 都 道 府 県 や 市 町 村 に 納 める 税 金 です 前 年 の 収 入 に 対 してかかります 税 金 と 社 会 保 険 料 は 毎 月 の 給 料 から 引 かれ 事 業 主 を 通 じて 納 められます 20
社 会 保 険 制 度 ふたん 労 働 者 事 業 主 がそれぞれに 保 険 料 を 負 担 し 労 働 者 のケガ 病 気 失 業 老 後 の 生 活 などに 備 え 助 け 合 う 制 度 です ここがポイント! - 社 会 保 険 制 度 - 社 会 保 険 制 度 は 社 会 保 険 と 労 働 保 険 に 分 けられます 社 会 保 険 制 度 社 会 保 険 = 健 康 保 険 + 年 金 保 険 労 働 保 険 = 雇 用 保 険 + 労 災 保 険 就 職 した 人 は 社 会 保 険 労 働 保 険 に 加 入 する 必 要 があります (パート アルバイ ト 派 遣 などで 働 く 人 も 一 定 の 条 件 を 満 たす 場 合 は 加 入 する 必 要 があります (P45 P51 参 照 ) また すべての 法 人 事 業 所 ( 株 式 会 社 など)と 一 部 のサービス 業 農 業 漁 業 等 を 除 く 常 時 5 人 以 上 の 従 業 員 がいる 個 人 事 業 所 は 社 会 保 険 に 加 入 しなければなりません 1 健 康 保 険 ふよう 被 保 険 者 やその 扶 養 家 族 が 仕 事 以 外 でのケガや 病 気 出 産 などの 場 合 に その 医 療 費 または 手 当 金 等 を 給 付 する 制 度 です 保 険 料 は 給 料 の 額 に 応 じて 算 定 された 額 を 労 働 者 ( 被 保 険 者 )と 事 業 主 で 半 額 ずつ 負 担 します 会 社 等 に 勤 める 人 以 外 ( 自 営 業 者 など)は 国 民 健 康 保 険 に 加 入 することになります 2 年 金 保 険 加 入 者 の 老 後 の 生 活 のためや ケガや 病 気 で 障 がいが 残 ったとき あるいは 亡 くなっ てしまったときに 請 求 していただくことにより 年 金 や 一 時 金 が 本 人 またはその 家 族 に 支 給 される 制 度 です 年 金 には 日 本 に 住 所 を 有 する 20 歳 以 上 60 歳 未 満 のすべての 人 が 加 入 する 国 民 年 21
金 ( 基 礎 年 金 )と 会 社 に 勤 務 する 原 則 70 歳 未 満 の 人 などが 加 入 する 厚 生 年 金 保 険 が あります 国 民 年 金 からは すべての 国 民 に 共 通 する 基 礎 年 金 が 支 給 され 厚 生 年 金 保 険 からは 基 礎 年 金 に 上 乗 せする 報 酬 比 例 の 年 金 が 支 給 されるという 2 階 建 ての 年 金 給 付 の 仕 組 みになっています 厚 生 年 金 保 険 の 保 険 料 負 担 については 健 康 保 険 と 同 様 に 被 保 険 者 と 事 業 主 で 半 額 ずつ 負 担 します < 公 的 年 金 の 種 類 > 厚 生 年 金 基 金 国 民 年 金 基 金 厚 生 年 金 保 険 国 民 年 金 ( 基 礎 年 金 ) 自 営 業 者 とその 配 偶 者 会 社 員 公 務 員 等 の 会 社 員 公 務 員 等 20 歳 以 上 の 学 生 無 職 の 人 など 被 扶 養 配 偶 者 第 1 号 被 保 険 者 第 3 号 被 保 険 者 第 2 号 被 保 険 者 厚 生 年 金 保 険 に 加 入 している 人 は 同 時 に 国 民 年 金 ( 基 礎 年 金 )にも 加 入 しているこ とにもなり 別 途 手 続 きや 追 加 の 保 険 料 は 必 要 ありません 通 常 厚 生 年 金 保 険 と 健 康 保 険 は セットで 加 入 します これまで 民 間 企 業 に 勤 めている 人 は 厚 生 年 金 に 加 入 し 公 務 員 等 は 共 済 年 金 に 加 入 していましたが 平 成 27 年 10 月 からは 公 務 員 等 も 厚 生 年 金 に 加 入 することに なりました ここがポイント! - 若 者 にも 無 縁 ではない 公 的 年 金 - 若 い 人 にとって 年 金 は 今 は 関 係 ない まだまだ 先 のことだ と 思 われがちですが 決 してそうではありません 次 ページへ 続 く 22
前 ページから 続 く 公 的 年 金 ( 国 民 年 金 厚 生 年 金 保 険 )には 老 後 の 生 活 を 支 えるだけでなく 障 がいの 状 態 になったときの 生 活 や 自 分 が 死 亡 した 場 合 の 遺 族 の 生 活 を 支 える 役 目 もあります また 自 分 が 負 担 している 保 険 料 が 親 の 世 代 の 老 後 の 生 活 を 支 えることにもつながっ ています 具 体 的 には 国 民 年 金 制 度 では 国 民 生 活 の 安 定 維 持 向 上 を 目 的 とし 老 齢 になっ ろうれい たときのために 老 齢 基 礎 年 金 障 がいの 状 態 になったときのために 障 害 基 礎 年 金 死 亡 したときのために 遺 族 基 礎 年 金 が 用 意 されています また 厚 生 年 金 制 度 では 会 社 員 等 及 びその 遺 族 の 生 活 の 安 定 や 福 祉 の 向 上 を 目 的 とし 老 齢 になったときのために 老 齢 厚 生 年 金 障 がいの 状 態 になったときのために 障 害 厚 生 年 金 保 険 死 亡 したときのために 遺 族 厚 生 年 金 が 用 意 されています 公 的 年 金 の 加 入 手 続 きや 保 険 料 の 納 付 を 怠 った 場 合 年 金 を 受 ける 資 格 を 得 られない 恐 れがあります ( 経 済 的 な 理 由 等 で 国 民 年 金 保 険 料 を 納 めることが 困 難 なときは 申 請 めんじょ により 納 付 が 免 除 される 場 合 があります ) 20 歳 になったときや 会 社 を 退 職 したとき 等 の 国 民 年 金 第 1 号 被 保 険 者 の 加 入 手 続 き は 自 動 的 に 行 われるのではなく 本 人 が 住 所 地 の 市 区 町 村 の 窓 口 で 行 わなければなりま せん 会 社 員 等 になったときの 厚 生 年 金 保 険 の 加 入 手 続 きや 会 社 員 等 に 扶 養 されている 配 偶 者 の 国 民 年 金 第 3 号 被 保 険 者 の 加 入 手 続 きは 事 業 主 が 行 います 自 分 がどの 公 的 年 金 に 加 入 しているかを 常 に 知 っておくことが 大 切 です 公 的 年 金 は 世 代 と 世 代 の 支 え 合 いによって 成 り 立 つ 制 度 です 正 しい 理 解 と 自 覚 を 持 って 加 入 の 義 務 を 果 たしましょう 3 雇 用 保 険 労 働 者 が 退 職 または 解 雇 等 で 失 業 したとき 育 児 介 護 休 業 等 により 賃 金 が 低 下 した とき 自 ら 職 業 に 関 する 教 育 訓 練 を 受 けたときなどに 必 要 な 給 付 を 行 い 労 働 者 の 生 活 や 雇 用 の 安 定 を 図 る 制 度 です 一 部 の 例 外 を 除 いて 労 働 者 を 一 人 でも 雇 用 した 事 業 主 は 雇 用 保 険 に 加 入 しなけれ ばならず また パート 派 遣 社 員 などの 呼 び 名 にかかわらず 次 の 2 つの 要 件 を 満 た す 労 働 者 に 適 用 されます 11 週 間 の 所 定 労 働 時 間 が 20 時 間 以 上 である 231 日 以 上 の 雇 用 見 込 みがある 23
失 業 等 給 付 ( 基 本 手 当 )を 受 けるためには 就 職 しようとする 意 思 といつでも 就 職 できる 能 力 があり 積 極 的 に 求 職 活 動 を 行 じゅきゅうしかく っているにもかかわらず 職 業 に 就 くことができない 状 態 で 受 給 資 格 (P42 参 照 ) を 満 たしていることが 必 要 です また 基 本 手 当 を 受 給 できる 期 間 ( 受 給 期 間 )は りしょく 原 則 として 離 職 した 日 の 翌 日 から 1 年 間 です 詳 しくは 最 寄 りのハローワークへ P64 4 労 災 保 険 業 務 上 のこと 又 は 通 勤 が 原 因 で ケガや 病 気 等 になることを 労 働 災 害 といいます 労 働 災 害 にあったときには 労 働 者 災 害 補 償 保 険 ( 労 災 保 険 )の 適 用 により 補 償 給 付 が 受 けられます 労 働 者 災 害 補 償 保 険 法 労 災 保 険 は 一 人 でも 労 働 者 を 雇 っている 事 業 場 はすべて 適 用 されます また パー ト アルバイトも 含 むすべての 労 働 者 が 対 象 となり 給 付 が 受 けられます なお 保 険 料 は 全 額 事 業 主 負 担 ですが 保 険 給 付 の 請 求 は 原 則 として 本 人 が 行 う 必 要 があります 労 働 安 全 衛 生 - 働 く 人 の 健 康 と 安 全 な 職 場 - 1 事 業 者 の 責 務 事 業 者 は 労 働 安 全 衛 生 法 で 定 める 労 働 災 害 防 止 のための 最 低 基 準 を 守 るだけでなく 快 適 な 職 場 環 境 の 実 現 と 労 働 条 件 の 改 善 を 通 じて 職 場 での 労 働 者 の 安 全 と 健 康 を 確 保 す るようにしなければなりません 労 働 安 全 衛 生 法 第 3 条 2 事 業 者 の 安 全 配 慮 義 務 事 業 者 には 労 働 者 が 仕 事 上 の 原 因 で 事 故 にあったり 病 気 になったりしないようにす る 安 全 配 慮 義 務 があります 労 働 契 約 法 第 5 条 3 健 康 診 断 事 業 者 は 労 働 者 に 対 し 健 康 診 断 を 実 施 する 義 務 があります 労 働 者 を 採 用 したとき その 後 1 年 以 内 ごと( 深 夜 業 等 の 特 定 業 務 に 従 事 するものに ついては 6 か 月 以 内 ごと)に 1 回 医 師 による 健 康 診 断 を 実 施 しなければなりません 24
ほうしゃ せん ゆうきようざい また 特 に 有 害 な 業 務 ( 放 射 線 業 務 有 機 溶 剤 業 務 鉛 業 務 等 )に 就 いている 人 に は 特 殊 健 康 診 断 ( 初 めて 有 害 業 務 に 就 く 時 と その 後 6 か 月 以 内 ごとに 1 回 など) を 実 施 することになっています 労 働 安 全 衛 生 法 第 66 条 なまり ここがポイント! - 労 働 災 害 の 認 定 を 受 けると 労 災 保 険 の 給 付 が 受 けられます- 病 気 やケガになり 診 療 を 受 けたとき しんりょうひ 労 災 保 険 の 指 定 病 院 にかかれば 診 療 費 ( 治 療 入 院 )は 原 則 として 無 料 です 指 定 されていない 病 院 にかかれば 立 替 分 が 後 で 支 払 われます 病 気 やケガを 治 すために 仕 事 を 休 み 賃 金 がもらえないとき 休 業 4 日 目 より 給 付 基 礎 日 額 ( 平 均 賃 金 に 相 当 する 額 )の 約 8 割 が 支 給 されま す 病 気 やケガは 治 ったが 体 に 障 がいが 残 ったとき 障 がいの 程 度 に 応 じて 年 金 または 一 時 金 が 支 給 されます 亡 くなったとき ほしょう その 遺 族 に 対 し 遺 族 ( 補 償 ) 給 付 金 が 支 給 されます 労 災 保 険 の 保 険 料 は すべて 事 業 主 が 負 担 します かんかつ 労 災 保 険 の 給 付 を 受 けるときは 働 いている 事 業 場 を 管 轄 する 労 働 基 準 監 督 署 に 本 人 が(または 事 業 主 が 協 力 して) 申 請 します しょうびょうて あ て き ん - 傷 病 手 当 金 ( 健 康 保 険 )- し しょうびょう 労 働 災 害 ではない 病 気 やケガ( 私 傷 病 といいます)により 4 日 以 上 休 業 し 賃 金 がもらえない 場 合 または 一 部 減 額 された 場 合 健 康 保 険 から 傷 病 手 当 金 として 標 準 報 酬 日 額 の 3 分 の 2 程 度 が 支 給 開 始 日 から 1 年 6 か 月 の 期 間 内 で 支 給 されます 傷 病 手 当 金 に 関 する 問 い 合 わせ 等 は 全 国 健 康 保 険 協 会 大 阪 支 部 (P79)まで 25