Prostate Cancer 泌 尿 器 科 畠 山 真 吾 弘 前 大 学 泌 尿 器 科 における 前 立 腺 癌 の 診 断 と 治 療 前 立 腺 癌 はゆっくり 進 行 する 病 気 です 前 立 腺 癌 と 診 断 されても 慌 てる 必 要 はありません ゆっくり 治 療 法 を 選 択 し 治 療 に 向 かいましょう
はじめに 前 立 腺 癌 は 世 界 的 に 罹 患 率 の 高 い 癌 です. 男 性 の 癌 の 約 10%を 占 めるといわれています 一 般 的 には 欧 米 人 に 多 くアジア 人 には 比 較 的 少 ない 癌 と 考 えられていましたが 生 活 慣 習 の 欧 米 化 にともない 日 本 でも 増 加 傾 向 の 著 しい 癌 の ひとつとなっています
部 位 別 癌 死 亡 率 の 推 移 ( 男 性 ) 部 位 別 癌 死 亡 率 の 推 移 胃 癌 は 肺 癌 に 越 され 大 腸 癌 前 立 腺 癌 が 増 えている 厚 生 労 働 省 人 口 動 態 統 計 より 100 年 齢 調 整 死 亡 率 ( 10 10 万 人 対 ) 胃 肺 癌 大 腸 癌 1 前 立 腺 癌 1950 1960 1970 1980 1990 年
図 2 2015 年 の 部 位 別 癌 罹 患 率 増 加 予 測 ( 男 性 ) 前 立 腺 大 腸 胆 嚢 No.1 肺 膵 膀 胱 肝 食 道 胃 厚 生 労 働 省 大 臣 官 房 統 計 情 報 部 ( 編 ) 人 口 動 態 統 計 2001 黒 石 ほか:がん 統 計 白 書 罹 患 / 死 亡 / 予 後 1999を 基 に 作 成 1 2 3 4 5 1985 年 の 罹 患 率 を1とした 場 合 の 罹 患 率
前 立 腺 の 解 剖 機 能 前 立 腺 は 男 性 だけが 持 ってい る 生 殖 器 官 の 一 部 です 膀 胱 のほぼ 真 下 にあります 大 きさ は 栗 の 実 程 度 体 積 にして10-20mlです. 膀 胱 前 立 腺 直 腸 前 立 腺 は 精 液 の 一 部 となる 前 立 腺 液 を 分 泌 したり 膀 胱 の 出 口 を 開 け 閉 めしたりする 働 き をしていますが 詳 しい 働 きは 十 分 には 分 かっていません 精 巣 前 立 腺
前 立 腺 癌 の 特 徴 1 死 亡 数 増 加 率 はすべてのがんの 中 でトップ アメリカではすでに10 年 ほど 前 から 男 性 のがん の 中 で 最 も 高 い 発 生 率 となっています 日 本 では まだ 患 者 数 は 少 ないですが 近 年 急 激 に 増 え てきています 日 本 人 の 前 立 腺 がんによる 死 亡 者 数 は2015 年 には2000 年 の2 倍 以 上 1995 年 の 約 3 倍 になると 推 定 されています この 死 亡 数 増 加 率 は すべて の がん の 中 で 最 も 高 く 今 後 増 える がん と 言 えます
前 立 腺 癌 の 特 徴 2 前 立 腺 がんが 急 増 している 背 景 日 本 人 の 寿 命 が 延 びたこと 食 生 活 の 欧 米 化 PSA 検 査 の 開 発 普 及 以 前 は 前 立 腺 がんは 早 期 発 見 も 難 しかったのです が 近 年 PSA 検 査 が 登 場 し 早 期 から 前 立 腺 がん を 発 見 することが 出 来 るようになりました これは 血 液 検 査 だけでできることから 50 歳 前 後 の 比 較 的 若 い 方 にも 検 査 が 実 施 され がんが 発 見 されるようになってき ました
前 立 腺 癌 の 特 徴 3 初 期 には 自 覚 症 状 がほとんどありません 前 立 腺 がんの 多 くは 尿 道 や 膀 胱 から 離 れた 場 所 に 発 生 します そのため 排 尿 障 害 が 起 きにくく 発 見 が 遅 れ ます. また 癌 が 骨 に 転 移 すると 痛 みが 出 ますが この 場 合 は 進 行 癌 状 態 と 言 えます. よって 症 状 が 出 る 前 にがんを 発 見 することが 非 常 に 大 切 で そのためには 検 診 などで 定 期 的 にPSA 検 査 を 受 け ることがもっとも 重 要 です.
前 立 腺 癌 の 特 徴 4 進 行 が 遅 い 前 立 腺 がんは1つの 癌 細 胞 が 増 殖 し 治 療 を 要 するよう になるまでに 一 般 的 には40 年 近 くかかるといわれていま す つまり 60 歳 を 越 えたくらいから 前 立 腺 がんの 発 見 率 も 高 くなっていきます 進 行 が 遅 いので 他 の 病 気 で 亡 く なった 高 齢 者 の 方 を 解 剖 してはじめて 小 さな 前 立 腺 がん が 見 つかる 場 合 もあります.(ラテント 癌 ) このことから 高 齢 者 の 早 期 前 立 腺 癌 は 治 療 の 必 要 が あるのかどうかは 現 在 活 発 に 議 論 されています.
前 立 腺 癌 の 検 査 診 断 の 流 れ 現 在 ほとんどの 前 立 腺 癌 は 検 診 のPSAで 発 見 されます 1 次 検 診 :PSA 採 血 を 行 います 2 次 検 診 : 直 腸 診 +PSA 再 検 を 行 います 3 次 検 診 : 前 立 腺 生 検 を 行 います
1 次 検 査 1 次 検 査 :PSA(ピーエスエー) 採 血 前 立 腺 から 分 泌 されるPSAという 物 質 の 血 液 中 濃 度 を 測 定 し ます 値 が 正 常 値 4.0ng/mlよりも 高 ければ 前 立 腺 の 病 気 が ある 可 能 性 が 高 く 次 の2 次 検 査 に 進 みます 一 般 的 にはPSAが4 10では 約 20% 10 20では40% 程 度 PSAが20 以 上 では50% 以 上 の 患 者 さんに 前 立 腺 癌 が 発 見 さ れる と 言 われています PSAで 発 見 された 癌 のうち85%は1 回 目 のスクリーニングで 見 つかっており 2 回 目 発 見 される 癌 は 11% 程 度 と 報 告 されています.
2 次 検 査 2 次 検 査 :PSA 再 検 査 と 直 腸 診 と 超 音 波 (エコー) 検 査 直 腸 診 肛 門 から 指 を 入 れ 前 立 腺 の 表 面 を 触 診 します. 患 者 さんは 診 察 台 に 仰 向 きに 寝 た 状 態 で 行 われます 前 立 腺 が 石 のように 硬 い 場 合 がんの 疑 いが 高 くな ります 超 音 波 検 査 お 腹 の 上 から 前 立 腺 の 大 きさ 内 部 構 造 形 体 など を 画 像 で 確 認 することが 出 来 ます
3 次 検 査 3 次 検 査 : 経 直 腸 エコー 針 生 検 1 次 2 次 検 査 の 結 果 がんの 疑 いがある 場 合 行 います. 組 織 を 採 取 し 顕 微 鏡 で 確 認 しますので 確 定 診 断 になりま す.また がん であれば 悪 性 度 も 判 明 します 前 立 腺 の 位 置 を 肛 門 からのエコーで 観 察 しながら 針 で 前 立 腺 の 組 織 を 約 10ヶ 所 とって 顕 微 鏡 で 観 察 します 比 較 的 安 全 に 出 来 ますが 出 血 感 染 症 などの 合 併 症 の 危 険 が 数 %あるため 当 科 では 安 全 のため1 泊 2 日 の 入 院 検 査 をお 勧 めしています.
前 立 腺 癌 の 検 査 診 断 の 流 れ 1 次 検 査 : P S A 採 血 ( 正 常 4.0 ng /m l 以 下 ) ー + 陰 性 ( 4.0 以 下 ) 陽 性 ( 4.0 以 上 ) 採 血 PSA ー ー 2 次 検 査 : P S A 再 検 査 直 腸 診 超 音 波 検 査 + ー 3 次 検 査 : 経 直 腸 超 音 波 検 査 前 立 腺 生 検 定 期 的 にP S A 採 血 を 受 けながら 経 過 観 察 + 前 立 腺 癌 病 期 (ステージ) を 診 断 します
前 立 腺 癌 と 診 断 されたら 前 立 腺 癌 の 悪 性 度 診 断 前 立 腺 癌 と 診 断 された 患 者 さんは 治 療 の 前 に 癌 がどの 程 度 進 行 しているかを 検 査 します 必 要 な 検 査 は CT 骨 シンチグラム MRIなどです. その 評 価 は 癌 が どのくらいの 大 きさになっているか:T 周 辺 のリンパ 節 に 転 移 しているか:N 遠 隔 臓 器 への 転 移 はあるか:M の3つの 要 素 で 決 められています これをTNM 分 類 と 言 います TNM 分 類 は 国 際 的 な 規 約 で 様 々な 癌 ごとに 決 められています.
前 立 腺 癌 と 診 断 されたら TNM 分 類 : 病 期 分 類 癌 のもうひとつの 分 類 に 悪 性 度 があります 高 中 低 の3 段 階 で 分 類 します 高 分 化 癌 は 大 人 しい 癌 低 分 化 癌 は 転 移 しやすい 癌 です. 最 近 では グリソンスコア と 呼 ばれる 点 数 で 分 類 し その 悪 性 度 を 評 価 し 治 療 方 針 を 決 定 しています.( 癌 の 中 でも 2 点 が 顔 つき が 良 い 癌 10 点 が 顔 つきが 悪 い 癌 です) グリソンスコア: 2~10 点 で 評 価 します よい 2 3 4 5 6 7 8 9 10 悪 い
TNM 分 類 TURP: 前 立 腺 肥 大 症 の 手 術 Tx T0 T1 T2 T3 T4 Nx N0 N1 Mx M0 M1 原 発 巣 の 評 価 が 不 可 能 原 発 巣 なし 触 知 不 能 画 像 診 断 不 可 能 な 癌 前 立 腺 に 限 局 する 癌 被 膜 を 越 えて 浸 潤 する 癌 精 嚢 以 外 の 隣 接 臓 器 に 浸 潤 する 癌 所 属 リンパ 節 転 移 の 評 価 が 不 可 能 所 属 リンパ 節 転 移 なし 所 属 リンパ 節 転 移 あり 遠 隔 転 移 の 評 価 が 不 可 能 遠 隔 転 移 なし 遠 隔 転 移 あり T1a: TURPで 切 除 標 本 の5% 以 下 T1b: TURPで 切 除 標 本 の5% 以 上 T1c: PSA 高 値 で 診 断 された 癌 T2a: 片 葉 に 限 局 する 癌 T2b: 両 葉 に 浸 潤 する 癌 T3a: 被 膜 外 へ 浸 潤 する 癌 T3b: 精 嚢 に 浸 潤 する 癌 M1a: 所 属 リンパ 節 転 移 以 外 のリンパ 節 転 移 M1b: 骨 転 移 M1c: リンパ 骨 以 外 の 他 部 位 への 転 移
A,B,C,Dによる 病 期 の 評 価 病 気 の 全 身 での 状 態 を 病 期 といいます A B C Dに 分 類 し 評 価 します. 病 期 A 病 期 B 病 期 C 病 期 D 前 立 腺 肥 大 症 として 手 術 されて 癌 が 偶 然 に 見 つかった もしくはPSA 高 値 で 生 検 し 癌 が 偶 然 に 見 つかった 状 態 癌 が 前 立 腺 内 のみに 存 在 し 外 に 出 ていない 状 態 癌 が 前 立 腺 から 少 しだけ 外 に 出 ている が 転 移 がない 場 合 リンパ 節 や 骨 などに 転 移 がある 場 合 病 期 Bまでが 早 期 がん C Dは 進 行 がんです
A,B,C,Dによる 病 期 の 評 価 病 期 A 偶 発 性 前 立 腺 癌 通 常 の 検 査 では 発 見 困 難 な 微 小 癌. A1 : 限 局 性 高 分 化 A2 : 中 分 化 以 上 あるいは 複 数 の 病 巣 が 存 在 病 期 B 限 局 性 前 立 腺 癌 前 立 腺 内 に 限 局 した 癌. B1 : 片 側 に 限 局 し 単 発 性 B2 : 両 方 に 癌 が 存 在 する 病 期 C 局 所 浸 潤 性 前 立 腺 癌 前 立 腺 を 越 えて いるが 周 囲 にと どまっている 状 態. 被 膜 外 に 浸 潤 していれば C1 膀 胱 頚 部 に 浸 潤 あるいは 尿 閉 と なれば C2 と 分 類 する 病 期 D 転 移 性 前 立 腺 癌 転 移 を 有 する 状 態. D1 : 骨 盤 リンパ 節 転 移 のみ D2 :それ 以 外 の 転 移 がある. D3 : D2 に 対 し 治 療 後 ホルモン 不 応 性 となり PSA 再 上 昇 した 状 態
前 立 腺 癌 の 治 療 治 療 方 針 はがんの 病 期 (ステージ 進 行 度 ) 組 織 学 的 分 化 度 ( 悪 性 度 ) 患 者 さんの 年 齢 合 併 症 の 有 無 などによって 選 択 さ れます 最 終 的 には 医 師 と 患 者 さんが 話 し 合 い 合 意 納 得 の 上 で 決 定 されます いくつかの 治 療 法 を 組 み 合 わせて 行 うこと もあります 病 期 A B C D 内 分 泌 療 法 手 術 療 法 放 射 線 療 法 経 過 観 察
臨 床 病 期 に 基 づいた 治 療 方 針 T1/T2 T3 T4/N1/M1 < 前 立 腺 にしか 癌 がない> 前 立 腺 全 摘 除 術 放 射 線 療 法 Watchful Waiting( 待 機 療 法 ) < 前 立 腺 を 超 えた 癌 > 放 射 線 療 法 内 分 泌 療 法 進 行 した 癌 転 移 のある 癌 内 分 泌 療 法
限 局 性 前 立 腺 癌 の 治 療 経 過 観 察 ( 様 子 を 見 れる 癌 ) 適 応 は 70 歳 以 上 で T1a(TUR-P 時 に 発 見 された 癌 )Gleason score 6 以 下 ( 高 分 化 癌 )の 場 合 です. 15 年 で 癌 特 異 的 生 存 率 :81%と 良 好 ですが 10 年 経 過 をみると 10 25%の 進 展 がみられると 報 告 されています. また 限 局 性 前 立 腺 癌 の10 年 以 上 の 観 察 で66%の 患 者 が 癌 転 移 で 死 亡 しているという 報 告 もあり W-Wの 判 断 は 随 時 データを 見 ながら 治 療 開 始 時 期 を 逃 さないようにしなくてはなりません. メリット:ほとんど 生 命 に 影 響 しない 癌 であり 時 間 の 余 裕 がある デメリット: 治 療 開 始 時 期 を 逃 してはいけないこと
限 局 性 前 立 腺 癌 の 治 療 根 治 的 前 立 腺 全 摘 除 術 前 立 腺 全 摘 除 術 は がんを 含 めた 前 立 腺 精 嚢 骨 盤 内 リンパ 節 を 取 ってし まう 方 法 です 転 移 がなくStage Bまでであれば 前 立 腺 全 摘 除 術 によって 完 全 に 治 る 可 能 性 が 高 いと 言 えます. 特 に 低 分 化 型 であれば この 方 法 が 現 在 最 も 効 果 の 高 い 治 療 方 法 です. 現 在 当 院 では もっとも 標 準 的 な 手 術 恥 骨 後 式 前 立 腺 全 摘 除 術 をさらに 改 良 した 負 担 と 侵 襲 が 小 さく 手 術 創 の 短 いミニマム 創 前 立 腺 全 摘 除 術 を 行 っています 貧 血 のない 人 には 自 己 血 輸 血 を 行 っていますので 術 前 に 自 分 の 血 液 を 貯 血 します ただ 手 術 ですので 合 併 症 があります とくに 尿 失 禁 がみられたり 性 機 能 障 害 がみられたりすることがあります.
癌 りんご= 膀 胱 みかん= 前 立 腺 バナナ= 尿 道 病 理 検 査 へ 癌 癌 前 立 腺 全 摘 膀 胱 尿 道 吻 合
根 治 的 前 立 腺 全 摘 除 術 の 実 際 膀 胱 術 後 膀 胱 膀 胱 切 断 前 立 腺 縫 合 X ドレーン 尿 道 尿 道 尿 道 全 身 麻 酔 (+ 硬 膜 外 麻 酔 ) 手 術 時 間 3 時 間 出 血 500 1500ml 尿 の 管 尿 の 管
限 局 性 前 立 腺 癌 の 治 療 手 術 療 法 の 適 応 基 本 的 に 下 記 のことに 注 意 して 術 前 検 査 を 進 めます. 適 応 に 関 しては それぞれの 状 況 により 異 なりますので ス タッフ 全 員 で 十 分 に 検 討 して 決 定 します. 年 齢 と 肉 体 的 年 齢 家 族 の 平 均 寿 命 余 命 全 身 状 態 など 心 疾 患 肺 疾 患 の 既 往 の 有 無 重 大 な 全 身 疾 患 がないこと コントロール 不 良 な 糖 尿 病 高 血 圧 症 精 神 的 疾 患 がないこと 以 上 の 検 査 結 果 の 総 合 判 断 メリット: 確 実 に 取 りきる 唯 一 の 方 法 最 も 一 般 的 な 治 療 法 デメリット: 手 術 の 合 併 症 がある 再 発 することもある
限 局 性 前 立 腺 癌 の 治 療 手 術 療 法 の 合 併 症 1 我 々は 合 併 症 が 起 きないよう 十 分 に 注 意 して 治 療 手 術 を 行 っておりますが どんな 治 療 手 術 にも 合 併 症 は 起 こる 場 合 があることをご 理 解 ご 了 承 ください. 一 般 的 な 手 術 の 合 併 症 として 出 血 感 染 症 縫 合 不 全 等 が 起 こりえます. また 必 要 な 場 合 には 輸 血 を 行 う 可 能 性 があります. まれですが 肺 血 栓 症 も 起 こることがあります. 前 立 腺 全 摘 除 術 の 合 併 症 として 尿 失 禁 尿 閉 勃 起 不 全 が 起 こることがあります.
限 局 性 前 立 腺 癌 の 治 療 手 術 療 法 の 合 併 症 2 尿 失 禁 の 頻 度 は20%くらいと 言 われており 70 歳 以 上 では2 倍 の 頻 度 で 起 こりやすいと 報 告 されています. 尿 閉 は 膀 胱 と 尿 道 を 吻 合 部 の 狭 窄 によって 起 こります. 必 要 な 場 合 はカメラによる 再 手 術 により 狭 窄 を 解 除 する 場 合 もあ ります. 前 立 腺 の 脇 には 勃 起 神 経 が 走 っています. 前 立 腺 癌 の 根 治 性 を 考 えた 場 合 神 経 を 残 せないことがあります 勃 起 不 全 でお 困 りの 場 合 には 薬 物 による 治 療 が 可 能 です. ご 相 談 ください.
限 局 性 前 立 腺 癌 の 治 療 放 射 線 療 法 1 放 射 線 で 癌 細 胞 を 死 滅 させる 方 法 です 手 術 療 法 放 射 線 療 法 の 治 療 効 果 について どちらも 同 程 度 と 言 われています.ただし10 年 癌 特 異 的 生 存 率 は 手 術 療 法 で10~15% 高 い 傾 向 がある とする 報 告 もあります. 放 射 線 をあてる 方 法 には 体 の 外 から 前 立 腺 を 狙 う 外 部 照 射 がんに 針 を 刺 し その 先 端 からあ てる 組 織 内 照 射 小 線 源 刺 入 法 があります 当 院 では 機 械 の 関 係 上 外 照 射 のみ 施 行 可 能 で す.
限 局 性 前 立 腺 癌 の 治 療 放 射 線 療 法 2 一 般 的 な 放 射 線 療 法 の 副 作 用 としては 皮 膚 がただれた り 直 腸 から 出 血 したりという 一 種 のやけどのようになるこ とがあります 膀 胱 炎 8% 尿 道 狭 窄 4% 腸 炎 下 痢 3% 直 腸 炎 2% 勃 起 障 害 14% 合 併 症 による 入 院 : 放 射 線 5-6% 手 術 2%. メリット: 手 術 とほぼ 同 じ 成 績 ハイリスクの 患 者 でも 治 療 可 能 デメリット: 良 く 効 くが 合 併 症 で 悩 まされる 場 合 もある 治 療 に 時 間 がかかる (1 2ヶ 月 )
限 局 性 or 進 行 性 前 立 腺 癌 の 治 療 内 分 泌 療 法 1 転 移 を 有 する 前 立 腺 癌 に 対 しては, 残 念 ながら 完 治 を 望 むことは 困 難 です このような 場 合 には ホルモン 剤 による 内 分 泌 療 法 を 選 択 します 前 立 腺 癌 は 男 性 ホルモンに 大 きく 依 存 しており 男 性 ホルモンの 働 きを 抑 える 治 療 法 を 内 分 泌 療 法 (ホルモ ン 療 法 )と 言 います ほとんどの 前 立 腺 癌 がこの 治 療 によく 反 応 します
限 局 性 or 進 行 性 前 立 腺 癌 の 治 療 内 分 泌 療 法 2 ホルモン 療 法 ( 通 称 MAB)には2 種 類 あります 1つは 体 内 のほとんどの 男 性 ホルモンを 産 生 してい る 精 巣 ( 睾 丸 )を 手 術 的 に 除 去 する 方 法 つまり 除 睾 術 です. もう1つは 薬 によって 男 性 ホルモンを 押 さえ 込 む 方 法 (LH-RHアナログ)があります しかし 残 念 ながら 内 分 泌 療 法 に 反 応 しない 例 や 始 めは 反 応 しても 徐 々に 効 かなくなってくる 例 (ホルモ ン 不 応 性 の 癌 )も 約 20%あります
限 局 性 or 進 行 性 前 立 腺 癌 の 治 療 内 分 泌 療 法 3 薬 によるホルモン 療 法 は 1ヶ 月 に1 回 注 射 と 毎 日 の 内 服 を 行 う 薬 が 高 価 なこと 副 作 用 として 一 時 的 ( 投 与 後 1 週 間 頃 )に 症 状 が 悪 化 したり 顔 がほてったりする(フレアーアップ 現 象 ) 乳 首 が 硬 くなったり する( 軽 度 の 女 性 化 乳 房 など) 心 血 管 系 の 病 気 を 持 っている 患 者 さんには 使 いにくい などのデメリットもあります メリット : 薬 で 治 療 でき 身 体 的 な 負 担 が 少 ない デメリット: 万 能 ではない 再 発 したとき 手 術 は 困 難 副 作 用 がある 薬 が 高 価 ずっと 続 けなければならない
進 行 性 前 立 腺 癌 の 治 療 抗 癌 剤 による 化 学 療 法 いわゆる 抗 がん 剤 を 使 う 治 療 法 ですが 前 立 腺 がんの 場 合 あまり 効 果 が 高 くありません. そのため 内 分 泌 療 法 に 反 応 しなくなったstage D3の 前 立 腺 癌 に 対 して 行 われます 一 時 的 に 症 状 の 改 善 や 腫 瘍 に 対 す る 縮 小 効 果 が 得 られることがあります 保 険 適 応 がありませんので 適 応 に 関 しては 効 果 負 担 な どを 十 分 に 説 明 と 御 理 解 をいただいてから 決 定 いたします 現 在 は 一 部 の 大 学 病 院 のみで 行 っています
進 行 性 前 立 腺 癌 の 治 療 前 立 腺 癌 が 再 発 したら 手 術 療 法 など 治 癒 的 な 治 療 を 行 っても 約 3 割 で 前 立 腺 癌 が 再 発 すると 言 われていま す. 手 術 後 の 再 発 に 対 しては 内 分 泌 療 法 の 薬 剤 変 更 や 放 射 線 療 法 で 対 応 しています ゆっくりとした 再 発 に 対 しては ある 程 度 癌 が 大 きくなるまでPSAで 経 過 を 観 察 し 症 状 などがあらわれた 時 点 で 内 分 泌 療 法 を 開 始 することもあります 内 分 泌 療 法 が 無 効 になった 前 立 腺 癌 に 対 しては 治 療 が 非 常 に 困 難 となります し かし このような 前 立 腺 癌 に 対 しても 種 々の 薬 剤 を 使 用 してできるかぎり 癌 の 進 行 を 押 さえ 込 む 努 力 をします 骨 への 転 移 による 疼 痛 に 対 しては 麻 薬 性 剤 による 痛 み 止 め あるいは 放 射 線 をあ てたりします 症 状 の 軽 減 を 目 指 した 対 処 療 法 が 中 心 になります 新 しく 開 発 された 抗 癌 剤 を 使 用 する 治 療 法 も 元 気 な 患 者 さんに 対 しては 積 極 的 に 選 択 します