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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

資料2 年金制度等について(山下委員提出資料)

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代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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年 金 払 い 退 職 給 付 制 度 における 年 金 財 政 のイメージ 積 立 時 給 付 時 給 付 定 基 (1/2) で 年 金 を 基 準 利 率 で 付 利 給 付 定 基 ( 付 与 利 の ) 有 期 年 金 終 身 年 金 退 職 1 年 2 年 1 月 2 月 ( 終 了 )

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

減 少 率 ) と 平 均 余 命 の 伸 びを 勘 案 した 一 定 率 (0.3%) の 合 計 である スライド 調 整 率 を 差 し 引 いて 年 金 額 の 改 定 が 行 われる( 図 表 ) ただし マクロ 経 済 スライドが 完 全 に 実 施 されるのは 賃 金 や 物 価 があ

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

プラス 0.9%の 年 金 額 改 定 が 行 われることで 何 円 になりますか また どのような 計 算 が 行 われているのですか A これまでの 年 金 額 は 過 去 に 物 価 が 下 落 したにもかかわらず 年 金 額 は 据 え 置 く 措 置 をと った 時 の 計 算 式 に 基

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m07 北見工業大学 様式①

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

注 雇 促 進 税 制 と 本 制 度 のどちらかを 利 する 可 能 性 があるが あらかじめどちらの 制 度 を 利 するか 判 断 できない という 場 合 雇 促 進 税 制 の 事 前 届 出 ( 雇 促 進 計 画 の 提 出 )をした 上 で 申 告 の 際 にどちらを 利 するかご

 

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第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

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公表資料02【案1】0806印刷用<厚生年金・国民年金の平成26年度収支決算の概要>

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第25回税制調査会 総25-1

女性のための年金学

◆併給の調整◆

退職手当とは

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

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職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

賃 金 報 酬 給 与 とは ( 労 働 基 準 法 の 賃 金 ) ( 労 働 基 準 法 この 法 律 ) で 賃 金 とは 賃 金 給 料 手 当 賞 与 その 他 名 称 の 如 何 を 問 わず 労 働 の 対 償 として 使 用 者 が 労 働 者 に 支 払 うすべてのものをいう (

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03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

別紙3

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波佐見町の給与・定員管理等について

事務連絡

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

税制改革について

16 日本学生支援機構

小山市保育所整備計画

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

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Microsoft Word

給 与 所 得 控 除 控 除 額 の 計 算 については 次 のとおりです 給 与 等 の 収 入 金 額 給 与 所 得 控 除 額 180 万 円 以 下 の 場 合 180 万 円 を 超 え 360 万 円 以 下 の 場 合 360 万 円 を 超 え 660 万 円 以 下 の 場 合

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公表表紙

Taro-38 H 財形貯蓄事務取

給 与 所 得 控 除 所 得 税 の 簡 易 給 与 所 得 表 により 給 与 所 得 の 金 額 を 求 めますが 控 除 額 の 計 算 については 次 のとおりです 給 与 等 の 収 入 金 額 給 与 所 得 控 除 額 180 万 円 以 下 の 場 合 180 万 円 を 超 え

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,


損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

スライド 1

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子ども手当見直しによる家計への影響~高所得者層の可処分所得は大幅減少に

賦課の根拠となった法律及び条例(その2)

目 次 1. 社 会 保 障 分 野 でできること 1 1 高 額 医 療 高 額 介 護 合 算 制 度 の 改 善 2 保 険 証 機 能 の 一 元 化 3 自 己 診 療 情 報 の 活 用 4 給 付 可 能 サービスの 行 政 側 からの 通 知 2. 年 金 分 野 でできること 5

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就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

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2 職 員 の 平 均 給 与 額 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 額 及 び 平 均 給 与 額 の 状 況 ( 平 成 27 年 4 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 東 京 二 十 三 清 掃 一 部 事 務 組 合 平 均 年 齢 平 均 給 料 額

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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第一部【証券情報】

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

Taro-02 調査概要(280705).jtd

賦課の根拠となった法律及び条例(その2)

(2) 国 民 年 金 の 保 険 料 国 民 年 金 の 第 1 号 被 保 険 者 および 任 意 加 入 者 は, 保 険 料 を 納 めなければなりま せん また,より 高 い 老 齢 給 付 を 望 む 第 1 号 被 保 険 者 任 意 加 入 者 は, 希 望 により 付 加 保 険

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

公営住宅法施行令の一部を改正する政令―公営住宅法施行令例規整備*

    平成11年度余市町私立幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

●幼児教育振興法案

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

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18 国立高等専門学校機構

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 26 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 副 理 事 長 A 理 事 16,638 10,332 4,446 1,

Transcription:

研 究 ノ ー ト 平 成 26 年 財 政 検 証 を 踏 まえた 若 齢 世 代 の 老 後 資 金 の 準 備 について 三 井 住 友 信 託 銀 行 ペンション リサーチ センター 主 任 研 究 員 藤 本 裕 三 1.はじめに < 要 旨 > 本 稿 においては 最 低 日 常 老 後 生 活 費 を 22.0 万 円 ゆとりのある 老 後 生 活 費 を 35.4 万 円 として 標 準 モデル 世 帯 の 老 後 の 支 出 総 額 を 世 代 別 ( 生 年 度 別 )に 算 定 し それから 厚 生 労 働 省 の 生 年 度 別 に 見 た 年 金 受 給 後 の 年 金 額 の 見 通 し 結 果 に 基 づき 算 定 された 公 的 年 金 の 受 給 総 額 を 控 除 するこ とでその 不 足 額 を 自 助 努 力 で 準 備 を 要 する 資 金 として 世 代 別 ( 生 年 度 別 )に 定 量 的 に 把 握 する それにより 現 在 の 老 齢 世 代 と 若 齢 世 代 との 老 後 資 金 準 備 に 関 して 置 かれた 状 況 の 相 違 点 を 明 らかに し そこから 若 齢 世 代 は 早 い 時 期 より 老 後 ( 資 金 )の 準 備 を 始 める 必 要 があることを 結 論 付 けて いる 厚 生 労 働 省 は 平 成 26 年 6 月 3 日 に 国 民 年 金 及 び 厚 生 年 金 に 係 る 財 政 の 現 況 及 び 見 通 し 平 成 26 年 財 政 検 証 結 果 を 公 表 した 公 的 年 金 の 財 政 検 証 とは 平 成 16 年 の 法 改 正 により そ れまで 実 施 されてきた 財 政 の 状 況 を 踏 まえて 保 険 料 を 再 算 定 する 財 政 再 計 算 に 代 えて 国 民 年 金 法 第 四 条 の 三 および 厚 生 年 金 保 険 法 第 二 条 の 四 において 政 府 は 少 なくとも 五 年 ごと に 国 民 年 金 厚 生 年 金 の 財 政 に 係 る 収 支 についてその 現 況 及 び 財 政 均 衡 期 間 における 見 通 し( 以 下 財 政 の 現 況 及 び 見 通 し と 言 う )を 作 成 しなければならない と 定 められて いることから 5 年 に 1 度 公 的 年 金 の 財 政 の 現 況 および 現 時 点 から 約 100 年 間 における 財 政 状 況 の 見 通 しについて 検 証 を 行 うものである 特 に 平 成 16 年 の 制 度 改 正 によって 保 険 料 の 上 限 を 定 めるとともに 給 付 水 準 を 適 正 化 していく 仕 組 み(マクロ 経 済 スライド)が 導 入 されたことを 受 けて 財 政 検 証 においては 現 役 世 代 の 平 均 賃 金 に 対 する 厚 生 年 金 の 給 付 水 準 の 割 合 ( 所 得 代 替 率 )が 将 来 50%を 割 り 込 むよう なことはないのかという 点 に 焦 点 があたるようになった 今 回 の 平 成 26 年 財 政 検 証 においては 我 が 国 の 経 済 成 長 が 高 い 水 準 で 推 移 するケースも 経 済 成 長 が 低 い 水 準 で 推 移 するケースも 含 めた 8 つのケースについて 検 証 を 行 い その それぞれの 場 合 の 将 来 の 所 得 代 替 率 等 を 報 告 している また 今 回 は 上 記 のような 通 常 の 検 証 結 果 に 加 えて マクロ 経 済 スライドの 仕 組 みの 見 直 し 被 用 者 保 険 の 更 なる 適 用 拡 大 保 険 料 拠 出 期 間 と 受 給 開 始 年 齢 の 選 択 制 の 3 点 について オプション 試 算 の 結 果 も 公 表 している さらに 平 成 26 年 6 月 27 日 には 平 成 26 年 財 政 検 証 関 連 資 料 として 実 質 的 な 運 用 利 回 り(スプレッド)の 一 時 的 な 変 動 が 年 金 財 政 に 与 える 影 響 試 算 生 年 度 別 に 見 た 年 金 受 給 後 の 年 金 額 の 見 通 し 公 的 年 金 の 負 担 と 給 付 の 構 造 ( 世 帯 類 型 との 関 係 ) 賃 金 水 準 (1 人 あたり) 別 の 年 金 月 額 及 び 所 得 代 替 率 についての 資 料 を 社 会 保 険 審 議 会 年 金 部 会 へ 提 出 した 本 論 稿 においては 上 記 の 生 年 度 別 に 見 た 年 金 受 給 後 の 年 金 額 の 見 通 し 結 果 及 びその 他 のいくつかの 統 計 を 元 に 世 代 別 ( 生 年 度 別 )の 老 後 の 支 出 総 額 と 公 的 年 金 の 受 給 総 額 を 算 定 し その 差 額 を 自 助 努 力 で 準 備 を 要 する 資 金 とし 世 代 別 ( 生 年 度 別 )の 自 助 努 力 で 準 備 を 要 する 資 金 額 やその 65 歳 時 点 での 現 役 世 代 の 平 均 賃 金 に 対 する 比 率 等 を 算 出 し 各 世 代 毎 の 状 況 を 見 える 化 し そして 最 終 的 には 若 齢 世 代 が 自 らの 老 後 資 金 を 蓄 えるための 自 助 努 力 について 一 定 の 示 唆 を 示 すことを 目 的 とする 以 下 本 稿 においては 第 2 章 にて 厚 生 労 働 省 による 生 年 度 別 に 見 た 年 金 受 給 後 の 年 金 額 の 見 通 し の 結 果 概 況 を 示 し 第 3 章 計 算 手 法 計 算 前 提 にて 本 稿 のテーマである 世 代 別 ( 生 年 度 別 )の 自 助 努 力 で 準 備 を 要 する 資 金 に 関 する 計 算 手 法 や 計 算 前 提 を 示 し 第 4 章 分 析 結 果 にてその 試 算 結 果 を 提 示 するとともに その 概 況 や 特 徴 を 整 理 し 最 後 に 第 5 章 若 齢 世 代 の 老 後 を 見 据 えた 自 助 努 力 の 必 要 性 にて 試 1

算 結 果 に 加 えて 退 職 給 付 の 見 通 しなどの 考 察 を 加 えた 上 で 若 齢 世 代 への 自 助 努 力 に 対 する 一 定 の 示 唆 を 示 す 2. 生 年 度 別 に 見 た 年 金 受 給 後 の 年 金 額 の 見 通 し 6 月 3 日 に 公 表 された 検 証 結 果 にはケースAからケースH までの 8 通 りのケースが 記 載 されており その 内 のケースC E Gの 3 通 りについて 生 年 度 別 に 見 た 年 金 受 給 後 の 年 金 額 の 見 通 し が 6 月 27 日 に 示 された その 概 要 は 以 下 の 通 りである (1)ケースCの 場 合 ケースCの 場 合 の 経 済 前 提 は 物 価 上 昇 率 1.6% 実 質 賃 金 上 昇 率 1.8% 実 質 運 用 利 回 り 3.2% 実 質 経 済 成 長 率 0.9% で 人 口 前 提 は 出 生 中 位 死 亡 中 位 としている 図 表 1に 世 代 別 ( 生 年 度 別 )に 見 た 年 金 受 給 開 始 (65 歳 ) 時 点 および 年 金 受 給 開 始 後 の 厚 生 年 金 および 基 礎 年 金 の 年 金 月 額 の 見 通 しおよび 所 得 代 替 率 の 見 通 しを 示 す 表 中 で 上 段 が 厚 生 年 金 の 標 準 的 な 年 金 月 額 ( 夫 婦 2 人 の 基 礎 年 金 を 含 む) の 見 通 し 中 段 が 所 得 代 替 率 の 見 通 し 下 段 が 基 礎 年 金 年 金 月 額 の 見 通 しである また 表 中 左 から 第 二 列 が 各 世 代 の 65 歳 時 点 での 現 役 男 子 の 平 均 賃 金 ( 手 取 り: 賞 与 含 む)である ( 金 額 はすべて 平 成 26 年 度 の 価 格 である 以 下 同 じ ) 図 表 1 生 年 度 別 厚 生 年 金 年 金 月 額 等 の 見 通 し(ケースC) 生 年 度 ( 平 成 26 (2014) 年 度 にお ける 年 齢 ) 1949 年 度 生 (65 歳 ) 1954 年 度 生 (60 歳 ) 1959 年 度 生 (55 歳 ) 1964 年 度 生 (50 歳 ) 1969 年 度 生 (45 歳 ) 1974 年 度 生 (40 歳 ) 1979 年 度 生 (35 歳 ) 1984 年 度 生 (30 歳 ) 65 歳 時 点 の 現 役 男 子 の 平 均 賃 金 ( 手 取 り) 34.8 万 円 34.7 万 円 38.1 万 円 41.3 万 円 45.1 万 円 49.2 万 円 53.7 万 円 58.6 万 円 ( 単 位 : 万 円 % 上 段 : 厚 生 年 金 中 段 : 所 得 代 替 率 下 段 : 基 礎 年 金 ) 65 歳 70 歳 75 歳 80 歳 85 歳 90 歳 21.8 万 円 20.3 万 円 19.8 万 円 19.2 万 円 19.9 万 円 20.7 万 円 62.7% 58.4% 52.0% 46.5% 44.2% 42.2% 6.4 万 円 5.9 万 円 5.7 万 円 5.4 万 円 5.5 万 円 5.5 万 円 20.8 万 円 20.3 万 円 19.8 万 円 19.9 万 円 20.7 万 円 21.9 万 円 60.0% 53.4% 47.8% 44.2% 42.2% 40.8% 6.1 万 円 5.8 万 円 5.5 万 円 5.5 万 円 5.5 万 円 5.6 万 円 22.3 万 円 21.7 万 円 21.0 万 円 20.7 万 円 21.9 万 円 23.9 万 円 58.7% 52.5% 46.5% 42.2% 40.8% 40.8% 6.4 万 円 6.1 万 円 5.7 万 円 5.5 万 円 5.6 万 円 6.1 万 円 23.7 万 円 22.8 万 円 21.9 万 円 21.9 万 円 23.9 万 円 26.1 万 円 57.2% 50.7% 44.5% 40.8% 40.8% 40.8% 6.7 万 円 6.3 万 円 5.8 万 円 5.6 万 円 6.1 万 円 6.7 万 円 24.9 万 円 23.9 万 円 23.2 万 円 23.9 万 円 26.1 万 円 28.5 万 円 55.3% 48.5% 43.2% 40.8% 40.8% 40.8% 6.8 万 円 6.3 万 円 6.0 万 円 6.1 万 円 6.7 万 円 7.3 万 円 25.9 万 円 25.2 万 円 25.2 万 円 26.1 万 円 28.5 万 円 31.1 万 円 52.7% 47.0% 43.0% 40.8% 40.8% 40.8% 6.8 万 円 6.5 万 円 6.5 万 円 6.7 万 円 7.3 万 円 7.9 万 円 27.4 万 円 27.4 万 円 27.4 万 円 28.5 万 円 31.1 万 円 34.0 万 円 51.0% 46.7% 42.8% 40.8% 40.8% 40.8% 7.0 万 円 7.0 万 円 7.0 万 円 7.3 万 円 7.9 万 円 8.7 万 円 29.9 万 円 29.9 万 円 29.9 万 円 31.1 万 円 34.0 万 円 - 51.0% 46.7% 42.8% 40.8% 40.8% - 7.6 万 円 7.6 万 円 7.6 万 円 7.9 万 円 8.7 万 円 - ( 出 典 ) 厚 生 労 働 省 平 成 26 年 財 政 検 証 関 連 資 料 現 在 の 65 歳 世 代 ( 以 下 歳 世 代 により 平 成 26 年 度 時 点 における 年 齢 を 示 すこととする)は 65 歳 時 点 での 所 得 代 替 率 が 62.7%であるのに 対 して 30 歳 世 代 は 65 歳 時 点 での 所 得 代 替 率 が 51.0%と 低 下 していくことが 読 み 取 れる また 65 歳 世 代 も 90 歳 時 点 では 所 得 代 替 率 は 42.2%に 低 下 することが 分 かる なお 30 歳 世 代 の 85 歳 時 点 での 所 得 代 替 率 は 40.8%と 65 歳 世 代 に 比 べてそれほど 大 きく 低 下 して いないことが 分 かる (2)ケースEの 場 合 ケースEの 場 合 の 経 済 前 提 は 物 価 上 昇 率 1.2% 実 質 賃 金 上 昇 率 1.3% 実 質 運 用 利 回 り 3.0% 実 質 経 済 成 長 率 0.4% で 人 口 前 提 はケースCと 同 じく 出 生 中 位 死 亡 中 位 で そ の 結 果 は 図 表 2の 通 りである 30 歳 世 代 は 65 歳 時 点 での 所 得 代 替 率 が 50.6%とケースC の 51.0%に 比 べてやや 低 下 していくことが 読 み 取 れる また 65 歳 世 代 も 90 歳 時 点 では 所 得 代 替 率 は 41.8%に 低 下 するこ とが 分 かる(これもケースCの 42.2%に 比 べてやや 低 下 ) なお 30 歳 世 代 の 85 歳 時 点 での 所 得 代 替 率 は 40.4%であり と 65 歳 世 代 の 43.9%に 比 べて 大 きくは 低 下 していないこと が 分 かる 図 表 2 生 年 度 別 厚 生 年 金 年 金 月 額 等 の 見 通 し(ケースE) 生 年 度 ( 平 成 26 (2014) 年 度 にお ける 年 齢 ) 1949 年 度 生 (65 歳 ) 1954 年 度 生 (60 歳 ) 1959 年 度 生 (55 歳 ) 1964 年 度 生 (50 歳 ) 1969 年 度 生 (45 歳 ) 1974 年 度 生 (40 歳 ) 1979 年 度 生 (35 歳 ) 1984 年 度 生 (30 歳 ) 65 歳 時 点 の 現 役 男 子 の 平 均 賃 金 ( 手 取 り) 34.8 万 円 34.7 万 円 38.1 万 円 40.4 万 円 42.9 万 円 45.8 万 円 48.8 万 円 52.0 万 円 ( 単 位 : 万 円 % 上 段 : 厚 生 年 金 中 段 : 所 得 代 替 率 下 段 : 基 礎 年 金 ) 65 歳 70 歳 75 歳 80 歳 85 歳 90 歳 21.8 万 円 20.2 万 円 19.6 万 円 19.1 万 円 18.8 万 円 19.2 万 円 62.7% 58.1% 51.6% 47.3% 43.9% 41.8% 6.4 万 円 5.9 万 円 5.7 万 円 5.4 万 円 5.2 万 円 5.1 万 円 20.7 万 円 20.2 万 円 19.6 万 円 19.0 万 円 19.2 万 円 19.7 万 円 59.7% 53.0% 48.6% 44.2% 41.8% 40.4% 6.1 万 円 5.8 万 円 5.5 万 円 5.2 万 円 5.1 万 円 5.1 万 円 22.2 万 円 21.6 万 円 20.9 万 円 20.2 万 円 20.0 万 円 21.0 万 円 58.3% 53.4% 48.6% 44.1% 41.0% 40.4% 6.4 万 円 6.1 万 円 5.8 万 円 5.4 万 円 5.2 万 円 5.4 万 円 22.9 万 円 22.2 万 円 21.5 万 円 21.0 万 円 21.3 万 円 22.4 万 円 56.8% 51.7% 46.9% 43.1% 41.0% 40.4% 6.5 万 円 6.1 万 円 5.8 万 円 5.6 万 円 5.6 万 円 5.8 万 円 23.6 万 円 22.8 万 円 22.3 万 円 22.3 万 円 22.7 万 円 23.9 万 円 54.8% 49.8% 45.7% 42.9% 40.9% 40.4% 6.5 万 円 6.1 万 円 5.9 万 円 5.9 万 円 5.9 万 円 6.2 万 円 23.9 万 円 23.4 万 円 23.4 万 円 23.4 万 円 23.9 万 円 25.5 万 円 52.3% 48.0% 45.1% 42.3% 40.4% 40.4% 6.4 万 円 6.1 万 円 6.1 万 円 6.1 万 円 6.2 万 円 6.6 万 円 24.7 万 円 24.7 万 円 24.7 万 円 24.7 万 円 25.5 万 円 27.2 万 円 50.6% 47.4% 44.5% 41.8% 40.4% 40.4% 6.3 万 円 6.3 万 円 6.3 万 円 6.3 万 円 6.6 万 円 7.0 万 円 26.3 万 円 26.3 万 円 26.3 万 円 26.3 万 円 27.2 万 円 - 50.6% 47.4% 44.5% 41.8% 40.4% - 6.8 万 円 6.8 万 円 6.8 万 円 6.8 万 円 7.0 万 円 - ( 出 典 ) 厚 生 労 働 省 平 成 26 年 財 政 検 証 関 連 資 料 (3)ケースGの 場 合 ケースGの 場 合 の 経 済 前 提 は 物 価 上 昇 率 0.9% 実 質 賃 金 上 昇 率 1.0% 実 質 運 用 利 回 り 2.2% 実 質 経 済 成 長 率 はマ イナス 0.2%で 人 口 前 提 はケースC Eと 同 じく 出 生 中 位 死 亡 中 位 でその 結 果 は 図 表 3の 通 りである 30 歳 世 代 は 65 歳 時 点 での 所 得 代 替 率 が 44.7%とケースE の 50.6%に 比 べて 大 きく 低 下 していくことが 読 み 取 れる ま た 65 歳 世 代 も 90 歳 時 点 では 所 得 代 替 率 は 40.8%に 低 下 す ることが 分 かる(これはケースEの 41.8%と 比 べて 大 きくは 2

低 下 していない) なお 30 歳 世 代 の 85 歳 時 点 での 所 得 代 替 率 は 35.4%であり 65 歳 世 代 の 44.0%に 比 べてかなり 低 下 し ていることが 分 かる 図 表 3 生 年 度 別 厚 生 年 金 年 金 月 額 等 の 見 通 し(ケースG) 生 年 度 ( 平 成 26 (2014) 年 度 にお ける 年 齢 ) 1949 年 度 生 (65 歳 ) 1954 年 度 生 (60 歳 ) 1959 年 度 生 (55 歳 ) 1964 年 度 生 (50 歳 ) 1969 年 度 生 (45 歳 ) 1974 年 度 生 (40 歳 ) 1979 年 度 生 (35 歳 ) 1984 年 度 生 (30 歳 ) 65 歳 時 点 の 現 役 男 子 の 平 均 賃 金 ( 手 取 り) 34.8 万 円 34.7 万 円 37.1 万 円 38.7 万 円 40.6 万 円 42.7 万 円 44.8 万 円 47.1 万 円 ( 単 位 : 万 円 % 上 段 : 厚 生 年 金 中 段 : 所 得 代 替 率 下 段 : 基 礎 年 金 ) 65 歳 70 歳 75 歳 80 歳 85 歳 90 歳 21.8 万 円 20.2 万 円 19.3 万 円 18.5 万 円 17.9 万 円 17.4 万 円 62.7% 58.3% 52.1% 47.6% 44.0% 40.8% 6.4 万 円 5.9 万 円 5.7 万 円 5.4 万 円 5.2 万 円 4.9 万 円 20.8 万 円 19.8 万 円 19.0 万 円 18.4 万 円 17.9 万 円 17.6 万 円 59.9% 53.5% 48.9% 45.2% 41.9% 39.2% 6.1 万 円 5.8 万 円 5.6 万 円 5.3 万 円 5.1 万 円 4.9 万 円 21.2 万 円 20.3 万 円 19.6 万 円 19.1 万 円 18.7 万 円 18.2 万 円 57.3% 52.4% 48.4% 44.9% 41.6% 38.7% 6.2 万 円 6.0 万 円 5.7 万 円 5.5 万 円 5.2 万 円 5.0 万 円 21.1 万 円 20.4 万 円 19.9 万 円 19.4 万 円 18.9 万 円 18.6 万 円 54.4% 50.3% 46.6% 43.3% 40.2% 37.6% 6.2 万 円 5.9 万 円 5.7 万 円 5.4 万 円 5.2 万 円 5.0 万 円 21.1 万 円 20.5 万 円 20.0 万 円 19.6 万 円 19.1 万 円 19.0 万 円 51.9% 48.2% 44.7% 41.5% 38.6% 36.6% 6.1 万 円 5.8 万 円 5.6 万 円 5.3 万 円 5.1 万 円 5.0 万 円 21.0 万 円 20.5 万 円 20.0 万 円 19.6 万 円 19.3 万 円 19.5 万 円 49.3% 45.8% 42.5% 39.5% 37.1% 35.7% 5.8 万 円 5.6 万 円 5.3 万 円 5.1 万 円 5.0 万 円 5.0 万 円 21.0 万 円 20.5 万 円 20.0 万 円 19.8 万 円 19.8 万 円 20.0 万 円 46.8% 43.5% 40.5% 38.0% 36.2% 34.9% 5.6 万 円 5.3 万 円 5.1 万 円 5.0 万 円 5.0 万 円 5.0 万 円 21.1 万 円 20.6 万 円 20.3 万 円 20.3 万 円 20.3 万 円 - 44.7% 41.6% 39.1% 37.2% 35.4% - 5.4 万 円 5.1 万 円 5.0 万 円 5.0 万 円 5.0 万 円 - ( 出 典 ) 厚 生 労 働 省 平 成 26 年 財 政 検 証 関 連 資 料 3. 計 算 手 法 計 算 前 提 本 章 では 本 稿 の 主 題 である 世 代 別 ( 生 年 度 別 )の 自 助 努 力 で 準 備 を 要 する 資 金 に 関 する 計 算 手 法 や 計 算 前 提 を 示 す (1)65 歳 時 点 の 平 均 余 命 図 表 4 65 歳 時 点 の 平 均 余 命 の 前 提 ( 単 位 : 年 ) 65 歳 平 均 余 命 ( 直 線 近 似 値 ) 65 歳 平 均 余 命 ( 四 捨 五 入 後 ) 男 子 女 子 男 子 女 子 平 成 22 年 18.86 23.89 19 24 平 成 26 年 19.14 24.20 19 24 平 成 31 年 19.48 24.58 19 25 平 成 36 年 19.83 24.96 20 25 平 成 41 年 20.18 25.35 20 25 平 成 46 年 20.53 25.73 21 26 平 成 51 年 20.87 26.11 21 26 平 成 56 年 21.22 26.49 21 26 平 成 61 年 21.57 26.88 22 27 平 成 72 年 22.33 27.72 22 28 各 世 代 の 65 歳 時 点 の 平 均 余 命 は 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 が 平 成 24 年 1 月 に 公 表 した 日 本 の 将 来 推 計 人 口 の 中 位 仮 定 として 使 用 された 平 成 22 年 (2010 年 )の 男 性 18.86 年 女 性 23.89 年 と 平 成 72 年 (2060 年 )の 男 性 22.33 年 女 性 27.72 年 より 線 形 近 似 により 求 めたものを 設 定 した ( 図 表 4) (2) 試 算 対 象 世 帯 今 回 の 試 算 においては 厚 生 年 金 の 標 準 モデル 世 帯 を 想 定 し ているが 通 常 標 準 モデル 世 帯 においては 夫 婦 の 年 齢 差 は 示 されていない 今 回 は 平 成 22 年 の 国 勢 調 査 結 果 をもとに 夫 が 妻 より 3 歳 年 上 であるものとした (3) 公 的 年 金 の 受 給 総 額 の 算 出 方 法 夫 が 65 歳 になってから 3 年 間 は 夫 の 老 齢 基 礎 年 金 およ び 夫 の 老 齢 厚 生 年 金 ( 報 酬 比 例 部 分 )および 加 給 年 金 が 支 払 われるものとした 各 年 度 の 年 金 額 は 2. 生 年 度 別 に 見 た 年 金 受 給 後 の 年 金 額 の 見 通 し に 示 された 各 ケース 各 生 年 度 ( 世 代 ) 各 年 度 の 厚 生 年 金 年 金 月 額 ( 夫 婦 2 人 の 基 礎 年 金 を 含 む)および 基 礎 年 金 年 金 月 額 を 使 用 した( 以 下 同 じ) なお 生 年 度 別 に 見 た 年 金 受 給 後 の 年 金 額 の 見 通 しに 示 され た 年 金 月 額 はすべて 実 質 額 (インフレ 分 調 整 後 )であるため そのまま 加 算 している また 加 給 年 金 は 平 成 26 年 度 の 加 給 年 金 (222,400 円 )の 老 齢 基 礎 年 金 (772,800 円 )に 対 す る 比 率 を 各 年 度 の 基 礎 年 金 額 に 乗 じて 算 出 した 夫 が 68 歳 妻 が 65 歳 になった 後 は 夫 が 死 亡 する 年 度 まで 各 年 度 の 厚 生 年 金 の 標 準 的 な 年 金 額 ( 夫 婦 2 人 の 基 礎 年 金 を 含 む)が 支 払 われるものとした その 後 妻 が 死 亡 するまで の 年 度 は 妻 の 老 齢 基 礎 年 金 および 遺 族 厚 生 年 金 ( 老 齢 厚 生 年 金 ( 報 酬 比 例 部 分 )の 4 分 の 3)が 支 払 われるものとした (4) 老 後 の 支 出 総 額 の 算 出 方 法 老 後 の 支 出 総 額 の 算 出 にあたっては 平 成 25 年 度 生 命 保 険 文 化 センター 生 活 保 障 に 関 する 調 査 結 果 をもとに 平 成 26 年 度 時 点 での 夫 婦 世 帯 の 最 低 日 常 生 活 費 を 22.0 万 円 ゆとりのある 老 後 生 活 費 を 35.4 万 円 とした また 老 後 生 活 が 開 始 される 時 点 での 生 活 費 は 現 役 世 代 の 収 入 レベルに 比 例 すると 通 常 言 われているため ここでは 平 成 26 年 度 時 点 の 現 在 年 齢 から 65 歳 になるまでの 現 役 であ った 期 間 について 賃 金 上 昇 率 (インフレ 含 む)によって 生 活 費 用 が 増 えるものと 仮 定 した そして 年 金 生 活 に 入 った 後 の 生 活 費 は 賃 金 上 昇 ではなく インフレ 率 のみによって 増 加 するものと 仮 定 した( 試 算 結 果 はすべて 実 質 額 で 表 示 しているため 実 質 額 が 変 わらないも のとして 算 出 した 結 果 と 同 額 である) また 妻 だけの 単 身 世 帯 になった 後 は 夫 婦 世 帯 の 生 活 費 を 1.414(2 の 平 方 根 )で 除 した 額 になるものと 仮 定 して 算 出 し 3

た (5) 自 助 努 力 で 準 備 を 要 する 資 金 の 算 出 方 法 自 助 努 力 で 準 備 を 要 する 資 金 額 は 老 後 の 支 出 総 額 から 公 的 年 金 の 受 給 総 額 を 控 除 した 額 とした 計 算 結 果 は 以 下 の 2 通 りを 行 った 1 最 低 限 の 老 後 生 活 を 維 持 するのに 必 要 な 額 ( 最 低 水 準 : 以 下 同 じ) 2ゆとりある 老 後 生 活 を 実 現 するのに 必 要 な 額 ( 余 裕 水 準 : 以 下 同 じ) (6) 上 記 資 金 の 平 均 手 取 年 収 に 対 する 倍 率 上 記 の 2 種 類 の 老 後 生 活 に 必 要 な 自 助 努 力 額 を 65 歳 時 点 の 現 役 男 子 の 平 均 賃 金 ( 手 取 り: 賞 与 含 む)で 割 ったものを さらに 12 で 割 って 年 収 に 対 する 倍 率 を 算 出 した 4. 分 析 結 果 各 ケースの 計 算 結 果 は 図 表 5~ 図 表 7の 通 りである (1)ケースCの 場 合 最 低 水 準 の 自 助 努 力 によって 準 備 を 要 する 資 金 額 は 65 歳 世 代 で 860 万 円 であるのに 対 し 世 代 を 追 うごとに 次 第 に 増 加 し 30 歳 世 代 で 2,815 万 円 となる しかもその 額 の 65 歳 時 点 の 平 均 賃 金 年 額 ( 手 取 り)に 対 する 倍 率 は 65 歳 世 代 で 2.06 年 分 から30 歳 世 代 では 4.00 年 分 に 倍 増 することが 分 か る なお 余 裕 水 準 については 自 助 努 力 によって 準 備 を 要 する 資 金 額 は 65 歳 世 代 で 4,825 万 円 であるのに 対 してやはり 世 代 を 追 うごとに 次 第 に 増 加 していき 30 歳 世 代 においては 10,559 万 円 となる そしてその 額 の 65 歳 時 点 の 平 均 賃 金 年 額 ( 手 取 り)に 対 する 倍 率 は 65 歳 世 代 で 11.55 年 分 から 30 歳 世 代 では 15.02 年 分 に 増 加 することが 分 かる 図 表 5 分 析 結 果 (ケースCの 場 合 ) 世 代 ( 平 成 26 年 度 における 年 齢 ) 65 歳 60 歳 55 歳 50 歳 45 歳 40 歳 35 歳 30 歳 公 的 年 金 の 受 給 総 額 ( 万 円 ) 1 5,649 5,856 6,331 6,723 7,522 8,092 8,781 9,900 老 後 の 支 出 総 額 最 低 水 準 2 6,509 6,768 7,551 8,255 9,377 10,252 11,209 12,714 ( 万 円 ) 余 裕 水 準 3 10,474 10,890 12,150 13,284 15,089 16,497 18,036 20,458 自 助 努 力 によって 準 備 最 低 水 準 4 860 912 1,220 1,533 1,855 2,160 2,428 2,815 を 要 する 資 金 額 ( 万 円 ) 余 裕 水 準 5 4,825 5,034 5,819 6,561 7,567 8,404 9,255 10,559 上 記 資 金 の 平 均 年 収 に 最 低 水 準 6 2.06 2.19 2.67 3.09 3.43 3.66 3.77 4.00 対 する 倍 率 ( 年 ) 余 裕 水 準 7 11.55 12.09 12.73 13.24 13.98 14.23 14.36 15.02 ( )4=2-1,5=3-1,6=4 年 間 平 均 賃 金 ( 手 取 ),7=5 年 間 平 均 賃 金 ( 手 取 ) 図 表 6 分 析 結 果 (ケースEの 場 合 ) 世 代 ( 平 成 26 年 度 における 年 齢 ) 65 歳 60 歳 55 歳 50 歳 45 歳 40 歳 35 歳 30 歳 公 的 年 金 の 受 給 総 額 ( 万 円 ) 1 5,563 5,676 6,144 6,380 6,953 7,240 7,643 8,413 老 後 の 支 出 総 額 最 低 水 準 2 6,509 6,768 7,551 8,055 8,927 9,522 10,158 11,242 ( 万 円 ) 余 裕 水 準 3 10,474 10,890 12,150 12,961 14,364 15,322 16,344 18,089 自 助 努 力 によって 準 備 最 低 水 準 4 947 1,091 1,407 1,674 1,974 2,282 2,514 2,829 を 要 する 資 金 額 ( 万 円 ) 余 裕 水 準 5 4,912 5,213 6,006 6,580 7,411 8,082 8,701 9,676 上 記 資 金 の 平 均 年 収 に 最 低 水 準 6 2.27 2.62 3.08 3.45 3.83 4.15 4.29 4.53 対 する 倍 率 ( 年 ) 余 裕 水 準 7 11.76 12.52 13.14 13.57 14.40 14.71 14.86 15.51 ( )4=2-1,5=3-1,6=4 年 間 平 均 賃 金 ( 手 取 ),7=5 年 間 平 均 賃 金 ( 手 取 ) 図 表 7 分 析 結 果 (ケースGの 場 合 ) 世 代 ( 平 成 26 年 度 における 年 齢 ) 65 歳 60 歳 55 歳 50 歳 45 歳 40 歳 35 歳 30 歳 公 的 年 金 の 受 給 総 額 ( 万 円 ) 1 5,440 5,476 5,740 5,796 6,074 6,106 6,165 6,508 老 後 の 支 出 総 額 最 低 水 準 2 6,509 6,767 7,353 7,728 8,439 8,869 9,322 10,165 ( 万 円 ) 余 裕 水 準 3 10,474 10,889 11,831 12,435 13,579 14,271 14,999 16,356 自 助 努 力 によって 準 備 最 低 水 準 4 1,070 1,291 1,613 1,932 2,365 2,764 3,157 3,656 を 要 する 資 金 額 ( 万 円 ) 余 裕 水 準 5 5,034 5,413 6,092 6,639 7,505 8,166 8,834 9,847 上 記 資 金 の 平 均 年 収 に 最 低 水 準 6 2.56 3.10 3.62 4.16 4.85 5.39 5.87 6.47 対 する 倍 率 ( 年 ) 余 裕 水 準 7 12.06 13.00 13.68 14.30 15.40 15.94 16.43 17.42 ( )4=2-1,5=3-1,6=4 年 間 平 均 賃 金 ( 手 取 ),7=5 年 間 平 均 賃 金 ( 手 取 ) 4

(2)ケースEの 場 合 最 低 水 準 の 自 助 努 力 によって 準 備 を 要 する 資 金 額 は 65 歳 世 代 で 947 万 円 であるのに 対 し 30 歳 世 代 は 2,829 万 円 と なる その 額 の 65 歳 時 点 の 平 均 賃 金 年 額 ( 手 取 り)に 対 す る 倍 率 は 65 歳 世 代 で 2.27 年 分 から 30 歳 世 代 では 4.53 年 分 にやはり 倍 増 することが 分 かる なお 余 裕 水 準 については 自 助 努 力 によって 準 備 を 要 する 資 金 額 は 65 歳 世 代 で 4,912 万 円 であるのに 対 して 30 歳 世 代 においては 9,676 万 円 となる その 額 の 65 歳 時 点 の 平 均 賃 金 年 額 ( 手 取 り)に 対 する 倍 率 は 65 歳 世 代 で 11.76 年 分 か ら 30 歳 世 代 では 15.51 年 分 に 増 加 することが 分 かる(ケー スCに 比 べて 大 きな 違 いはない) (3)ケースGの 場 合 最 低 水 準 の 自 助 努 力 によって 準 備 を 要 する 資 金 額 は 65 歳 世 代 で 1,070 万 円 であるのに 対 し 30 歳 世 代 は 3,656 万 円 と 大 きく 増 加 する しかもその 額 の 65 歳 時 点 の 平 均 賃 金 年 額 ( 手 取 り)に 対 する 倍 率 は 65 歳 世 代 で 2.56 年 分 から 30 歳 世 代 では 6.47 年 分 に 2.5 倍 以 上 に 増 加 することが 分 かる (ケースC ケースEに 比 べて 格 差 が 増 加 している) なお 余 裕 水 準 については 自 助 努 力 によって 準 備 を 要 する 資 金 額 は 65 歳 世 代 で 5,034 万 円 であるのに 対 して 30 歳 世 代 においては 9,847 万 円 となる その 額 の 65 歳 時 点 の 平 均 賃 金 年 額 ( 手 取 り)に 対 する 倍 率 は 65 歳 世 代 で 12.06 年 分 か ら30 歳 世 代 では 17.42 年 分 に 大 きく 増 加 することが 分 かる 5. 若 齢 世 代 の 老 後 を 見 据 えた 自 助 努 力 の 必 要 性 本 章 では 以 上 の 試 算 結 果 をもとに 若 齢 世 代 の 老 後 資 金 準 備 について 考 察 を 行 うが その 前 提 として 企 業 の 退 職 給 付 の 動 向 についても 簡 単 に 考 察 する 必 要 がある (1) 企 業 の 退 職 給 付 に 関 する 考 察 厚 生 労 働 省 平 成 25 年 就 労 条 件 総 合 調 査 によると 大 卒 者 の 定 年 時 の 退 職 給 付 額 の 平 均 は 1,941 万 円 であるが これ が 平 成 26 年 財 政 検 証 の 前 提 である 物 価 上 昇 および 賃 金 上 昇 にリンクして 増 額 するかどうかが 重 要 なポイントと 考 えられる 大 山 [9]によると 近 年 の 退 職 給 付 はベースア ップと 切 り 離 されている 例 が 大 多 数 であり インフレの 進 行 や 賃 金 水 準 の 増 加 に 伴 って 自 動 的 に 増 額 することは 考 えられ ない 本 稿 では 詳 細 な 検 討 は 行 わないものとするが 筆 者 の 感 覚 としては 平 成 26 年 財 政 検 証 で 前 提 としているインフ レも 進 行 し さらに それを 上 回 って 賃 金 水 準 が 増 加 する 世 界 においても 退 職 給 付 の 水 準 の 増 加 はインフレにリンクす る 程 度 がせいぜいなのではないかと 感 じている そのためこ こでは 一 旦 退 職 金 額 は 実 質 価 値 で 1,941 万 円 のままに 留 まるという 仮 定 のもとに 考 察 を 進 めることとする (2) 若 齢 世 代 の 老 後 資 金 準 備 における 自 助 努 力 上 記 の 退 職 金 を 前 提 にすると 65 歳 世 代 については 3 つの ケースのすべての 場 合 について 最 低 限 度 の 生 活 を 維 持 する ための 資 金 は 退 職 金 で 準 備 されていることが 分 かる また ゆとりのある 生 活 を 実 現 するために 必 要 な 資 金 についても 3 千 万 円 程 度 の 自 助 努 力 による 資 金 準 備 で 賄 えることが 分 かる (この 金 額 は 平 均 年 間 賃 金 の 7 年 分 程 度 の 金 額 となる) 一 方 30 歳 世 代 については 3 つのケースすべてについて 最 低 限 の 生 活 を 維 持 するために 必 要 な 資 金 が 退 職 金 で 賄 われ ないことが 分 かる 最 も 厳 しい 想 定 であるケースGにおいて 3,656-1,941=1,715 万 円 不 足 することが 分 かる これは 平 均 年 間 賃 金 の 3 年 分 に 相 当 する 通 常 住 宅 は 年 収 の 5 倍 以 内 の 物 件 しか 買 えないと 言 われることを 考 えると 平 均 年 間 賃 金 の 3 年 分 というのはそれなりに 貯 蓄 するのに 労 力 を 要 する 金 額 であると 考 えることができる しかもそれが 最 低 限 の 生 活 を 維 持 するために 必 要 となる 点 が 重 要 なポイントである さらに ゆとりある 老 後 生 活 を 実 現 するために 必 要 な 資 金 となると 最 も 厳 しいケースGにおいて 9,847-1,941=7,906 万 円 必 要 であり この 金 額 は 平 均 年 間 賃 金 の 約 14 年 分 に 相 当 する 額 となる 住 宅 購 入 の 目 安 となる 年 収 の 5 倍 の 3 倍 近 い 金 額 となることから その 貯 蓄 はかなり 困 難 なものに なることが 想 定 されよう 以 上 の 考 察 から 現 在 の 老 齢 世 代 は 退 職 給 付 と 公 的 年 金 だけで 最 低 水 準 を 充 足 しかつ 超 えることが 期 待 できるのに 対 して 現 在 の 若 齢 世 代 は 退 職 給 付 と 公 的 年 金 だけでは 最 低 限 の 老 後 生 活 も 実 現 できないと 考 えることができる そのため 現 在 の 若 齢 世 代 にとっては 老 後 生 活 を 見 据 えて 若 い 今 の 時 点 からの 自 助 努 力 による 老 後 資 金 の 準 備 が 必 須 の ものであると 言 うことができよう ここで 最 低 水 準 と 余 裕 水 準 の 中 間 として30 歳 から65 歳 ま での 間 に 前 述 の 1,715 万 円 と 7,906 万 円 の 単 純 平 均 4,811 万 円 を 老 後 資 金 として 準 備 することを 考 えよう 実 質 運 用 利 回 りはケースGの 前 提 である 2.2%であるとすると 単 純 なエク 5

セル 計 算 により 平 均 賃 金 年 額 ( 手 取 : 賞 与 込 )の 19.1%を 老 後 資 金 に 充 てなければならない 計 算 になる 手 取 年 収 の 2 割 であればかなり 苦 しい 水 準 ではあるが 不 可 能 な 水 準 でもない と 言 えないだろうか なお 検 討 の 途 中 でケースGを 中 心 に 検 討 したが 将 来 の ことに 備 える 場 合 なるべく 厳 しめの 前 提 に 立 って 検 討 すべ きだと 思 われるためにそれを 用 いた (3) 若 齢 世 代 の 老 後 資 金 準 備 のための 政 府 の 支 援 現 在 若 齢 世 代 が 老 後 資 金 を 自 助 努 力 によって 準 備 しよう とした 場 合 企 業 型 確 定 拠 出 年 金 のある 企 業 の 社 員 の 場 合 は マッチング 拠 出 の 実 施 が 企 業 年 金 のない 企 業 の 社 員 の 場 合 は 個 人 型 確 定 拠 出 年 金 制 度 が また そうした 場 合 も 含 む 一 般 の 会 社 員 の 場 合 については 少 額 投 資 非 課 税 制 度 (NISA) が 税 制 優 遇 のあるプランとして 考 えられる しかし 前 述 のとおりこれまでの 老 齢 世 代 と 異 なり 若 齢 世 代 は 公 的 年 金 と 退 職 給 付 のみで 老 後 資 金 を 準 備 することができない 世 代 で あるため 政 府 もインセンティブの 意 味 も 踏 まえ 税 制 的 に 優 遇 措 置 のある 制 度 のバリエーションをさらに 加 えていくこ とが 必 要 であろう そのバリエーションとしては 米 国 の 個 人 退 職 勘 定 (IRA)や 独 国 のリースター 年 金 などの 制 度 が 参 考 となろう また (1)において 企 業 の 退 職 給 付 の 水 準 はインフレの 進 行 にリンクするのがせいぜいであると 仮 定 したが 政 府 とし てはこれまで 見 たような 公 的 年 金 水 準 の 弱 体 化 を 踏 まえ 企 業 に 対 して 企 業 年 金 の 普 及 退 職 給 付 全 体 の 水 準 の 引 き 上 げ を 促 すような 施 策 の 推 進 を 行 うことも 重 要 であろう さらに 現 代 の 若 齢 世 代 が 老 齢 を 迎 える 時 代 を 見 据 えては 現 在 の 年 金 制 度 や 労 働 法 制 が 前 提 としている 65 歳 での 引 退 から 社 会 全 体 として 現 役 年 齢 を 引 き 上 げるための 施 策 の 推 進 も 重 要 となろう (4) 最 後 に 期 に 気 付 き 計 画 的 に 貯 蓄 することが 望 まれる さらに 事 前 の 貯 蓄 のみならず 老 後 の 所 得 を 増 やすこと も 老 後 準 備 の 一 つと 考 えられるので 若 い 世 代 の 方 々は 65 歳 以 降 の 就 労 を 可 能 とするための 対 策 準 備 について 早 い 時 期 に 検 討 (できれば 着 手 )することも 望 まれる なお 本 稿 は 筆 者 の 属 する 団 体 とは 無 関 係 であり 内 容 は 筆 者 の 個 人 的 見 解 である ( 参 考 文 献 ) [1] 厚 生 労 働 省 国 民 年 金 及 び 厚 生 年 金 に 係 る 財 政 の 現 況 及 び 見 通 し 平 成 26 年 財 政 検 証 結 果 平 成 26 年 6 月 [2] 厚 生 労 働 省 平 成 26 年 財 政 検 証 関 連 資 料 平 成 26 年 6 月 [3] 内 閣 府 平 成 24 年 版 高 齢 社 会 白 書 平 成 24 年 6 月 [4] 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 日 本 の 将 来 推 計 人 口 平 成 24 年 1 月 [5] 総 務 省 統 計 局 平 成 22 年 国 勢 調 査 平 成 23 年 10 月 [6] 厚 生 労 働 省 平 成 25 年 就 労 条 件 総 合 調 査 平 成 25 年 11 月 [7] 日 本 年 金 機 構 HP [8] 生 命 保 険 文 化 センター 平 成 25 年 度 生 活 保 障 に 関 する 調 査 平 成 25 年 9 月 [9] 大 山 義 広 企 業 年 金 とインフレーション 平 成 26 年 6 月 ( 三 井 住 友 トラストペンションジャーナル ペンショ ン リサーチ センター 特 集 号 vol.3) マクロ 経 済 スライドによる 公 的 年 金 の 給 付 水 準 の 低 下 およ び 平 均 余 命 の 伸 長 を 主 な 原 因 として 現 在 の 若 齢 世 代 は 老 後 の 生 活 資 金 を 退 職 給 付 ではない 本 来 の 自 助 努 力 によって 準 備 することが 必 須 となっている また 30 歳 から 65 歳 まで 収 入 の 一 部 を 老 後 資 金 準 備 に 充 て かつ 個 人 の 運 用 成 果 が 巨 大 資 産 である 公 的 年 金 の 運 用 成 果 と 同 じになる 前 提 にたっても 手 取 年 収 の 約 2 割 を 老 後 資 金 の 準 備 に 回 さなければならない ことが 結 果 として 得 られた 若 い 世 代 の 方 々はこのことに 早 6