理 不 尽 な 公 務 員 バッシング に 対 して 反 論 します 2012 年 1 月 全 労 働 省 労 働 組 合 多 くのメディアが 連 日 のように 公 務 員 バッシング を 続 けています 日 本 社 会 が 抱 える 諸 問 題 は すべて 公 務 員 のせいと 言 わんばかりの 論 調 も 少 なくあ りません もとより 多 様 なメディアが 公 務 や 公 務 員 を 厳 しく 監 視 し その 問 題 点 を 広 く 発 信 ( 批 判 ) していくことは 民 主 主 義 社 会 にとって 重 要 な 営 みです ですから 行 政 ( 公 務 )の 側 も 情 報 公 開 に 努 めながら 多 くの 正 当 な 批 判 を 受 け 止 めて よりよい 行 政 運 営 に 努 めるべきです しかしながら 昨 今 の 批 判 の 中 には 20 年 前 のことを 取 り 上 げてまるで 昨 日 のこ とのように 描 いたり 統 計 や 制 度 を 意 図 的 にねじまげて 解 説 したりするなど およそ 公 正 とは 言 えないものもあります このような 事 態 は 多 くの 国 民 に 行 政 ( 公 務 )に 対 する 誤 解 と 偏 見 を 植 え 付 け 真 に 必 要 な 改 革 方 向 を 見 いだすことを 困 難 にするおそれがあります ついては メディアが 好 んで 報 じる 代 表 的 な 公 務 員 バッシング を 取 り 上 げ 事 実 に 即 して 考 え 方 を 明 らかにします 人 事 院 が 公 表 している 国 家 公 務 員 ( 行 政 職 )の 平 均 年 収 は637 万 円 それに 対 して 国 税 庁 民 間 給 与 実 態 統 計 調 査 によると 民 間 サラリーマンの 平 均 年 収 は412 万 円 単 純 比 較 で1.5 倍 もの 給 与 を 得 ている 国 家 公 務 員 は 優 遇 され ている 公 的 な 調 査 統 計 は 多 種 多 様 に 存 在 していますが それぞれの 行 政 目 的 に 即 して 設 計 ( 調 査 対 象 調 査 時 期 等 )されていることから それを 無 視 して 利 用 することは 適 当 ではありません 前 出 の 国 税 庁 調 査 は 租 税 収 入 等 の 税 務 行 政 の 基 本 資 料 を 得 ることを 目 的 としてい ますから 給 与 所 得 者 のすべて すなわち 労 働 者 1 人 以 上 を 使 用 する 事 業 所 で 勤 務 す るパート アルバイト 等 の 非 正 規 雇 用 を 含 むすべての 給 与 所 得 者 全 員 を 対 象 としてい ます つまり この 統 計 の 中 には 半 日 勤 務 の 方 や 隔 日 勤 務 の 方 の 給 与 まで 含 ま れており 平 均 年 収 が 低 く 出 るのは 必 然 です また 国 家 公 務 員 の 場 合 この 間 の 定 員 削 減 採 用 抑 制 の 影 響 で 若 年 層 が 極 端 に 少 なく 年 齢 構 成 はいびつになっています こうした 中 で 双 方 の 単 純 平 均 をとれば 民 間 給 与 の 方 が 低 くなる 可 能 性 が 高 いのです 他 方 現 在 国 家 公 務 員 給 与 の 官 民 比 較 で 利 用 されている 人 事 院 の 職 種 別 民 間
給 与 実 態 調 査 を 見 ると 公 務 と 民 間 の 同 種 同 等 ( 役 職 段 階 勤 務 地 域 学 歴 年 齢 )の 者 を 対 比 させて 比 較 する 方 式 (ラスパイレス 方 式 )を 採 用 しています( 約 1. 1 万 事 業 所 回 収 率 約 90% ) この 方 法 は 国 公 法 及 び 給 与 法 が 職 務 給 を 原 則 を 定 めていることからも 妥 当 と 言 えるでしょう もとより 非 正 規 雇 用 労 働 者 も 官 民 比 較 対 象 に 含 めるべきとの 意 見 もあるでしょう この 点 では 官 民 給 与 の 比 較 方 法 の 在 り 方 に 関 する 研 究 会 報 告 書 ( 座 長 : 神 代 和 欣 横 浜 国 大 名 誉 教 授 平 成 18 年 7 月 )が 非 正 規 雇 用 及 び 派 遣 労 働 者 は 短 期 雇 用 が 前 提 で 時 給 制 が 多 く 賃 金 形 態 が 常 勤 職 員 と 明 確 に 異 なっており 官 民 比 較 の 対 象 とすることは 困 難 と 述 べています 実 際 常 勤 非 常 勤 ( 民 間 ) と 常 勤 のみ( 公 務 ) と 比 較 するのは 如 何 にも 不 合 理 です 常 勤 非 常 勤 ( 民 間 ) と 比 較 するなら 常 勤 非 常 勤 ( 公 務 ) をも ってこなければスジが 通 らず この 点 でも 適 当 な 意 見 とは 言 えません なお 公 務 員 給 与 の 在 り 方 を 不 断 に 議 論 することは 賛 成 です その 際 公 務 員 の 給 与 は 高 ければ 高 いほどよいとか 低 ければ 低 いほどよいとい うようなものではないので 各 職 務 に 応 じた 公 正 なものを 設 定 すべきと 考 えます とくに 公 正 の 基 準 とは 何 なのか 考 慮 すべき 要 素 や 公 正 な 給 与 決 定 のプロセスは どうあるべきかなどを 広 く 議 論 し その 結 果 として 導 き 出 された 給 与 に 国 民 も また 国 家 公 務 員 自 身 も 納 得 できる 仕 組 みが 必 要 です 国 家 公 務 員 人 件 費 が 国 の 財 政 逼 迫 の 原 因 となっているから 官 が 身 を 削 る 国 家 公 務 員 給 与 の 引 き 下 げを 速 やかに 行 うべきである 国 の 財 政 状 況 はたいへん 厳 しく その 再 建 が 重 要 な 課 題 となっています そうであるからこそ このような 財 政 状 況 を 招 来 させた 原 因 がどこにあるのかを 見 極 めることが 大 事 です まず 確 認 したいのは 国 家 公 務 員 人 件 費 は 大 きく 減 少 しているにもかかわらず その 一 方 で 財 政 赤 字 がふくらみ 続 けている 事 実 です 具 体 的 に 見 ると 平 成 12 年 3 月 から 平 成 22 年 3 月 までの10 年 間 に 国 家 公 務 員 ( 自 衛 官 を 除 く)は 約 84 万 人 から 約 30 万 人 まで 減 少 していますが その 一 方 で 国 債 等 残 高 は 約 493 兆 円 から 約 855 兆 円 にまで 急 増 しています このことからも 国 家 公 務 員 の 人 件 費 が 財 政 赤 字 を 増 大 させた 原 因 でないことは 明 瞭 です 逆 に 国 家 公 務 員 人 件 費 は 先 進 諸 外 国 に 比 べ きわめて 少 ないとさえ 言 えます 例 えば 公 務 員 数 ( 地 方 公 務 員 等 も 含 めた 総 数 )を 比 較 した 場 合 日 本 は 人 口 1 千 人 当 たりで31.6 人 であるのに 対 し ドイツ54.3 人 イギリス77.2 人 アメリ カ77.4 人 フランス86.6 人 でOECD( 経 済 協 力 開 発 機 構 ) 加 盟 国 中 最 低 で す( 下 図 参 照 )
図 2 公 的 部 門 における 職 員 数 の 国 際 比 較 ( 人 口 千 人 当 たり)( 単 位 : 人 ) 6.7 フランス(2006) 27.7 12.4 39.8 86.6 アメリカ(2009) 2.4 4.0 64.1 6.9 77.4 4.3 イギリス(2008) 7.2 30.4 35.2 77.2 2.2 3.4 ドイツ(2008) 日 本 (2009) 10.2 2.5 4.6 22.4 38.4 2.1 31.6 54.3 中 央 政 府 職 員 政 府 企 業 職 員 地 方 政 府 職 員 軍 人 国 防 職 員 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 結 局 このような 財 政 状 況 を 生 じさせた 主 要 な 原 因 は 財 政 構 造 自 体 ( 赤 字 構 造 ) にあると 言 うべきです 加 えてこの 間 数 次 にわたって 大 型 の 緊 急 経 済 対 策 や 為 替 介 入 などが 求 められたことから 大 規 模 な 財 政 出 動 を 何 度 もせざるを 得 なかったことも 影 響 しているでしょう 国 家 公 務 員 人 件 費 を 財 政 逼 迫 の 原 因 とする 指 摘 は こうした 歪 んだ 財 政 構 造 を 温 存 したいがためのカムフラージュなのではないでしょうか 激 しい 公 務 員 バッシングを 演 出 し 世 論 を 誘 導 したい 人 たちの 思 惑 が 見 え 隠 れします いずれにしても 財 政 状 況 の 悪 化 をめぐる 正 確 な 議 論 ( 原 因 分 析 )が 全 く 進 んでい ないことが 最 大 の 問 題 です 復 興 財 源 を 確 保 するため 官 がまず 身 を 削 る 給 与 特 例 法 案 ( 給 与 引 き 下 げ 法 案 ) を( 単 独 で) 速 やかに 成 立 させるべきである 今 回 の 給 与 特 例 法 案 ( 給 与 引 き 下 げ 法 案 )は 震 災 復 興 に 向 けた 財 源 確 保 を 理 由 に していますが 実 は 総 務 大 臣 の 当 初 の 提 案 (2011 年 5 月 13 日 )は 復 興 財 源 のために まず 隗 ( 公 務 員 )より 始 めよ というようなことではない つまり 復 興 財 源 の 確 保 が 目 的 ではないとしていました 実 際 復 興 財 源 は 国 家 公 務 員 給 与 の 削 減 で 確 保 できる 金 額 とは 桁 違 いで 今 後 に 予 想 される 原 子 力 損 害 賠 償 法 に 基 づく 国 の 負 担 も 膨 大 となります そればかりか このような 復 興 財 源 の 確 保 を 国 家 公 務 員 の 給 与 減 額 で 措 置 す べきとする 発 想 ( 考 え 方 ) 自 体 が 本 当 に 適 切 なのか そのことが 問 われなければなり ません と 言 うのも こうした 発 想 は 震 災 にあたって 多 くの 国 民 が 共 有 してきた 価 値
観 ( 日 本 は 一 つ 絆 など)と 大 きくかけ 離 れたものだからです 本 当 に 必 要 な 財 源 であるならば 所 得 や 資 産 に 関 わる 課 税 を 増 やし 公 務 員 を 含 め た 国 民 全 体 ( 当 然 法 人 を 含 む)が 応 分 の 負 担 をする すなわち 所 得 や 資 産 のより 多 い 者 がより 多 く 負 担 する 仕 組 みこそ 合 理 的 ではないでしょうか それにもかかわらず 復 興 財 源 の 確 保 にこと 寄 せて 給 与 特 例 法 案 の 成 立 を 求 め る 動 きは 公 務 員 叩 き(うっぷん 晴 らし) 以 外 の 何 ものでもありません なお 国 家 公 務 員 の 給 与 削 減 は 約 650 万 人 の 労 働 者 の 賃 金 に 波 及 するとの 試 算 ( 労 働 総 研 )があります こうした 事 態 は 日 本 経 済 のデフレを 一 層 悪 化 させ 逆 に 税 収 を 大 き く 減 らすこととなり 経 済 政 策 財 政 政 策 の 観 点 から 見 ても 愚 策 です 会 社 が 赤 字 の 時 に 労 働 者 をリストラするのは 当 たり 前 であり 国 家 公 務 員 の 給 与 引 き 下 げも 当 然 である 会 社 が 赤 字 のときに やむを 得 ず 労 働 者 の 給 与 が 削 減 されることがありますが 使 用 者 には 労 働 者 の 雇 用 や 労 働 条 件 を 維 持 するため 努 力 を 尽 くす 義 務 があり リスト ラは 決 して 当 たり 前 のことではありません そのことをふまえた 上 で 国 が 赤 字 であるから 公 務 員 給 与 を 引 き 下 げるべきとの 主 張 をどう 見 るべきでしょうか 最 初 に 見 ておかなければならないのは 会 社 の 赤 字 と 国 の 赤 字 は 根 本 的 に 異 なると いう 点 です 国 は 赤 字 となるのは 歳 入 が 歳 出 を 下 回 るからですが 国 の 財 政 運 営 は いくつもの 政 治 判 断 を 重 ねる 中 で 毎 年 度 の 国 家 予 算 の 策 定 すなわち 国 会 を 中 心 とした 民 主 制 のプロセスの 中 で 決 定 されるものであり 国 家 公 務 員 (まして 一 般 公 務 員 )がこれ を 自 由 に 決 めることはできません このことは 従 来 公 務 員 の 労 働 基 本 権 を 制 約 す る 根 拠 として 指 摘 されてきたことです だからこそ 国 家 公 務 員 の 給 与 は 労 働 基 本 権 の 制 約 のもと 第 三 者 機 関 である 人 事 院 の 勧 告 に 基 づいて 決 定 されてきたのです 身 を 切 る という 言 葉 がありますが 多 くの 国 民 の 中 に 国 家 公 務 員 = 国 とい う 捉 え 方 があるかもしれません 確 かに 国 家 公 務 員 が 一 定 の 権 限 を 行 使 するとき この 図 式 ( 国 家 公 務 員 = 国 )が 成 り 立 ちます しかし 少 なくとも 労 働 条 件 の 設 定 に 関 わっては 国 は 使 用 者 であり 国 家 公 務 員 は 労 働 者 です そして 使 用 者 ( 国 であっても)は 労 働 者 の 適 切 な 労 働 条 件 を 確 保 する 責 任 を 負 っているのであり こうした 構 図 を 全 く 無 視 して もっぱら 給 与 削 減 を 煽 るメディアの 主 張 は 不 適 切 です 民 間 の 年 金 制 度 は 二 階 建 て( 厚 生 年 金 )なのに 公 務 員 の 年 金 制 度 は 三 階 建 て ( 職 域 加 算 )の 部 分 があり 優 遇 であるから 廃 止 すべきである 公 務 員 の 年 金 ( 共 済 年 金 ) にある 職 域 加 算 部 分 ( 掛 金 が 労 使 折 半 月 額 2 万 円 程 度 ) は どのような 趣 旨 で 設 けられているのでしょうか
この 点 を 政 府 答 弁 から 見 ていくと 再 就 職 の 制 約 とか その 給 付 水 準 は 民 間 企 業 の 退 職 金 としての 企 業 年 金 の 支 給 水 準 との 関 係 で 設 定 ( 平 成 18 年 3 月 9 日 総 務 大 臣 )などとしています この 答 弁 からも 明 らかなように まず 民 間 の 制 度 は 二 階 建 てなのに 公 務 員 は 三 階 建 てで 優 遇 という 前 提 自 体 が 不 正 確 なのです 民 間 企 業 における 三 階 建 てとは どのような 制 度 でしょう 代 表 的 なものとしては 1 適 格 退 職 年 金 ( 平 成 21 年 度 末 で 対 象 者 647 万 人 ) 2 確 定 給 付 型 企 業 年 金 ( 同 250 万 人 ) 3 確 定 拠 出 年 金 ( 同 340 万 人 ) 4 厚 生 年 金 基 金 ( 同 対 象 者 460 万 人 ) 等 があります つまり 民 間 にも 幅 広 く 三 階 建 ての 年 金 制 度 が 確 立 されているのです そして 給 付 水 準 は 企 業 によって 様 々ですが 大 企 業 を 例 にとれば 月 額 30 万 円 ( 公 的 年 金 と 併 せて50 万 円 )を 超 えるものも 少 なくありません( 実 際 民 間 の 企 業 年 金 退 職 金 等 の 調 査 結 果 ( 平 成 18 年 11 月 人 事 院 )によると 年 金 ( 使 用 者 拠 出 分 )+ 退 職 手 当 の 退 職 給 付 総 額 を 官 民 で 比 較 したところ 民 間 が0.68% 上 回 り 仮 に 職 域 加 算 部 分 を 除 いて 比 較 した 場 合 には 民 間 が8.82% 上 回 るとして います ) 職 域 加 算 部 分 は こうした 状 況 も 考 慮 し 適 切 な 水 準 を 設 定 すべきです 他 方 再 就 職 の 規 制 はどう 考 えるべきでしょう 国 家 公 務 員 法 第 103 条 第 2 項 は 職 員 が 離 職 後 2 年 間 は 離 職 前 5 年 間 に 在 職 し ていた 国 の 機 関 等 と 密 接 な 関 係 にある 営 利 企 業 の 地 位 に 就 くことを 原 則 として 禁 止 し ています 職 務 の 公 正 さとともに 当 該 職 務 に 対 する 国 民 の 信 頼 を 確 保 するために 必 要 な 規 制 であり 公 務 員 側 から 見 れば 離 職 後 の 経 済 活 動 の 大 きな 制 約 となりますが 合 理 的 な ものです そして こうした 公 務 員 ( 退 職 者 )に 対 する 経 済 活 動 の 制 約 に 対 し 年 金 を 通 じて 一 定 の 配 慮 を 講 じているのは 先 進 諸 国 に 共 通 した 制 度 的 特 徴 です もっとも こうした 措 置 があるにもかかわらず 中 央 省 庁 のあっせんによって 当 該 省 庁 と 密 接 に 関 連 した 企 業 に 天 下 り( 例 えば 経 済 産 業 省 から 電 力 会 社 ) 高 給 を 得 ている 公 務 員 ( 退 職 者 )がいるとするなら 問 題 であり 職 域 換 算 は 優 遇 だとの 批 判 も 当 然 と 言 わなければなりません 私 たちは こうした 行 為 ( 民 間 企 業 への 天 下 りのあっせん 等 )を 厳 格 に 禁 止 するこ とに 大 賛 成 です 家 賃 が 民 間 の 半 分 以 下 の 膨 大 な 数 (22 万 戸 )の 公 務 員 宿 舎 がある しかも 都 心 の 一 等 地 に 豪 華 なマンションのような 宿 舎 があるのは おかしい 公 務 員 宿 舎 への 批 判 は 次 のように 整 理 できます 1つは 宿 舎 は 約 22 万 戸 もあり 国 家 公 務 員 全 体 の4 割 にも 相 当 し 多 すぎると いう 指 摘 です
国 家 公 務 員 の 約 半 数 (24 万 人 強 )は 自 衛 官 です 自 衛 官 は 指 定 された 場 所 に 居 住 する 義 務 があるので 必 然 的 に 基 地 内 外 の 宿 舎 に 入 ることとなり 多 くの 宿 舎 を 必 要 としています また 全 国 転 勤 の 多 い 国 家 公 務 員 ( 自 衛 官 以 外 )にとっても 職 業 生 活 の 多 くの 部 分 で 二 重 生 活 ( 単 身 赴 任 )が 避 け 難 いという 面 があります こうした 実 態 から 適 正 な 数 の 宿 舎 は 公 務 の 運 営 にとって 必 要 です この 間 政 府 は 宿 舎 削 減 計 画 (25% 削 減 )を 決 めていますが 公 務 の 運 営 に 支 障 が 生 じないのか 懸 念 があります もう1つは 家 賃 が 安 く 優 遇 だという 指 摘 です 宿 舎 使 用 料 が 民 間 の 家 賃 の 半 分 以 下 との 指 摘 ですが そもそも 業 務 の 必 要 性 から 入 居 を 指 定 される 宿 舎 の 使 用 料 と 家 賃 相 場 と 比 較 することが 妥 当 なのでしょ うか 民 間 でも 事 業 の 必 要 から 労 働 者 が 転 居 を 伴 う 異 動 を 行 う 企 業 などでは 自 社 保 有 社 宅 または 借 り 上 げ 社 宅 を 保 有 しているのが 一 般 的 であり 国 家 公 務 員 も 同 様 な 事 情 から 宿 舎 が 設 置 されているのですから その 企 業 が 保 有 する または 借 り 上 げた 社 宅 の 使 用 料 を 比 べることが 適 当 なのではないでしょうか この 点 では 人 事 院 が 平 成 22 年 民 間 企 業 の 勤 務 条 件 制 度 等 調 査 の 中 で 社 宅 の 状 況 等 を 調 べています( 下 表 参 照 ) 平 成 22 年 民 間 企 業 の 勤 務 条 件 制 度 等 調 査 ( 単 位 ; 円 ) 社 宅 の 自 社 保 有 社 宅 借 上 げ 社 宅 種 類 55 m2 55 m2 以 70 m2 以 80 m2 以 55 m2 55 m2 以 70 m2 以 8 0 m2 未 満 上 70 m2 上 80 m2 上 未 満 上 70 m2 上 80 m2 以 上 企 業 規 模 未 満 未 満 未 満 未 満 500 人 以 17,134 21,100 27,375 28,157 22,151 26,630 29,609 33,119 上 100 人 以 18,097 21,513 23,056 28,988 21,111 26,274 30,399 31,485 上 ( 母 集 団 : 世 帯 用 社 宅 がある 企 業 のうち 使 用 料 が 不 明 の 企 業 を 除 いた 企 業 ) これを 見 ると 宿 舎 使 用 料 は 優 遇 とばかりは 言 えないでしょう しかも 多 くの 民 間 企 業 の 社 宅 には 管 理 人 が 置 かれているなど 管 理 も 行 き 届 いてい ますが 公 務 員 宿 舎 はほとんどの 場 合 管 理 人 は 入 居 者 の 持 ち 回 りですし 補 修 費 用 の 大 部 分 を 入 居 者 が 自 費 で 賄 っています そして 退 去 時 には わずか 数 年 の 入 居 で あっても 数 十 万 円 (ひどいときには 百 万 円 近 く)の 原 状 回 復 費 を 支 払 わなければな らないのです こうした 点 はむしろ 改 善 すべき 部 分 でしょう さらに 都 心 の 一 等 地 にある 宿 舎 (70m2 以 上 の 幹 部 用 )への 批 判 があります
このような 広 いタイプの 幹 部 用 宿 舎 は99%の 国 家 公 務 員 にとって 無 縁 なのです が たしかに 幹 部 用 宿 舎 とは 言 え 都 心 の 一 等 地 である 必 要 があるのか ( 国 会 議 員 宿 舎 の 必 要 性 とも 比 較 し)きちんと 検 証 すべきでしょう なお 公 務 員 宿 舎 と 言 うと テレビ 番 組 等 で 紹 介 される 国 会 議 員 宿 舎 のようなもの を 想 像 される 方 がいるかもしれませんが 全 く 違 います 老 朽 化 が 進 んだものが 多 く 周 辺 地 域 からもが 美 観 を 損 ねるなどと 苦 情 が 寄 せられ るものまであります 若 手 職 員 の 場 合 は こうした 老 朽 化 した 世 帯 用 宿 舎 に 見 ず 知 らずの 複 数 人 で 入 居 し 鍵 もかからないふすま1 枚 で 仕 切 られた 一 部 屋 を 宿 舎 としてあてがわれてい る 現 状 があります 公 務 員 宿 舎 の 見 直 しも 必 要 だと 思 いますが 一 部 を 誇 張 した 議 論 ではなく 全 体 像 をとらえた 議 論 が 必 要 です 公 務 員 には 身 分 保 障 があり 民 間 企 業 の 労 働 者 に 比 べて 雇 用 が 安 定 してい て 優 遇 されている 国 家 公 務 員 の 身 分 保 障 が 優 遇 の 代 名 詞 のように 使 われていますが ここで 言 う 身 分 保 障 とは 国 家 公 務 員 法 第 75 条 及 び 第 78 条 のことをさしていると 思 われます これらの 条 文 を 見 てみましょう < 国 家 公 務 員 法 第 75 条 > 職 員 は 法 律 又 は 人 事 院 規 則 に 定 める 事 由 による 場 合 でなければ その 意 に 反 して 降 任 され 休 職 され 又 は 免 職 されることはない 人 事 院 規 則 が 掲 げる 事 由 は 勤 務 実 績 が 不 良 なことが 明 らかなとき 当 該 職 員 の 能 力 評 価 又 は 業 績 評 価 による 場 合 等 です < 国 家 公 務 員 法 第 78 条 > 職 員 が 下 記 の 各 号 の 一 に 該 当 する 場 合 においては 人 事 院 規 則 に 定 めるところに より その 意 に 反 して これを 降 任 し 免 職 することができる 1 勤 務 実 績 がよくない 場 合 2 心 身 の 故 障 のため 職 務 の 遂 行 に 支 障 があり 又 はこれに 堪 えない 場 合 3 その 他 その 官 職 に 必 要 な 適 格 性 を 欠 く 場 合 4 官 制 若 しくは 定 員 の 改 廃 又 は 予 算 の 減 少 により 廃 職 又 は 過 員 を 生 じた 場 合 これらの 規 定 からも 明 らかなように 民 間 の 労 使 関 係 に 適 用 されている 解 雇 権 濫 用 法 理 整 理 解 雇 要 件 等 を 定 めたにすぎず 一 部 で 指 摘 される 公 務 員 はクビにならない 安 定 している などは 全 くの 誤 解 なのです では このような 規 定 がわざわざ 設 けられているのはどうしてでしょうか この 点 では 人 事 の 公 正 を 確 保 することが 公 務 の 民 主 的 かつ 能 率 的 な 運 営 を 図 る 上 で
重 要 であり そのために 情 実 人 事 ( 不 当 な 圧 力 )を 排 除 し 成 績 主 義 (メリット システ ム)の 原 則 を 保 障 するものと 位 置 付 けられています つまり 身 分 保 障 は 公 務 の 公 正 を 担 保 する 上 で 重 要 な 制 度 であり 先 進 諸 国 が 共 通 し て 採 用 する 制 度 なのです そして 身 分 保 障 がきちんと 機 能 してこそ 一 党 一 派 に 偏 るこ とのない 全 体 の 奉 仕 者 として 公 正 な 職 務 が 行 い 得 るのです 問 題 なのは むしろそれがきちんと 機 能 していないことです 国 は 社 会 保 険 庁 の 解 体 に 伴 って525 名 の 国 家 公 務 員 を 分 限 免 職 しましたが こ れは 民 間 における 整 理 解 雇 の 要 件 に 照 らしても 違 法 なものです 政 治 的 思 惑 で 乱 暴 に 首 を 切 られる 実 態 こそ 改 善 しなければなりません