Microsoft Word - 老乞大概説.doc



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m07 北見工業大学 様式①

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

0605調査用紙(公民)

2 出 願 資 格 審 査 前 記 1の 出 願 資 格 (5) 又 は(6) により 出 願 を 希 望 する 者 には, 出 願 に 先 立 ち 出 願 資 格 審 査 を 行 いますので, 次 の 書 類 を 以 下 の 期 間 に 岡 山 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 等

せ ず 素 稿 以 外 訓 み を す べ て カ ラ 見 出 シ と し た 一 二 頚 印 を 必 ず 連 用 す る 場 合 不 期 身 後 京 山 蔵 よ う に し て 掲 出 し 三 思 山 蔵 を も 別 に 立 て カ ラ 見 出 シ と し た 一 所 蔵 者 名 は 通 称 雅

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

1 口 速 報 集 計 について 県 において 国 に 提 出 した 調 査 書 をもとに 速 報 値 として 集 計 したものである したがって 国 における 審 査 の 結 果 次 第 では 国 がこの2 月 に 公 表 する 予 定 の 口 速 報 集 計 値 と 一 致 しないことがある ま

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

ブライダル総研 第1回恋愛観調査

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

や 会 社 等 の 種 類 名 を 表 す 文 字 等 を 結 合 したものは 原 則 として ありふれ た 名 称 に 該 当 する ただし 国 家 名 又 は 行 政 区 画 名 に 業 種 名 が 結 合 したものに 更 に 会 社 の 種 類 名 を 表 す 文 字 を 結 合 してなるもの

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答申第585号

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財政再計算結果_色変更.indd

16 日本学生支援機構

公表表紙

一般競争入札について

事 業 概 要 利 用 時 間 休 館 日 使 用 方 法 使 用 料 施 設 を 取 り 巻 く 状 況 や 課 題 < 松 山 駅 前 駐 輪 場 > JR 松 山 駅 を 利 用 する 人 の 自 転 車 原 付 を 収 容 する 施 設 として 設 置 され 有 料 駐 輪 場 の 利 用

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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1

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,


Microsoft Word - 目次.doc

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平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財

b) 参 加 表 明 書 の 提 出 時 において 東 北 地 方 整 備 局 ( 港 湾 空 港 関 係 を 除 く) における 平 成 年 度 土 木 関 係 建 設 コンサルタント 業 務 に 係 る 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 認 定 を 受 けて

職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 () 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 ( 年 4 月 日 現 在 ) 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 44. 歳 6,4, 歳,44 4,7 7,6 4. 歳 7,

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

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個人向け国債の事務取扱いに関する細則

Taro-給与公表(H25).jtd

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第081号.doc

(5) 給 与 改 定 の 状 況 事 委 員 会 の 設 置 なし 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 A B A-B ( 改 定 率 ) 給 与 改 定 率 ( 参 考 ) 国 の 改 定 率 24 年 度 円 円 円 円 ( ) 改

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考


公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

2 基 本 財 産 は 評 議 員 会 において 別 に 定 めるところにより この 法 人 の 目 的 を 達 成 するために 善 良 な 管 理 者 の 注 意 をもって 管 理 しなければならず 基 本 財 産 の 一 部 を 処 分 しようとするとき 及 び 基 本 財 産 から 除 外 し

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

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中根・金田台地区 平成23年度補償説明業務

定款  変更

(1) 言 語 資 料 の 収 集 ( 看 護 師 国 家 試 験 ) (2) 言 語 資 料 の 調 査 基 準 に 沿 った 単 位 への 分 割 (3) データベースとしての 年 度 別 付 加 情 報 付 単 位 語 表 の 作 成 例 : 1 単 位 語 2 見 出 し 語 3 読 み 4

公営住宅法施行令の一部を改正する政令―公営住宅法施行令例規整備*

別 添 1 女 性 国 家 公 務 員 の 登 用 状 況 資 料 1 指 定 職 に 占 める 女 性 の 割 合 は3.0%( 平 成 27 年 11 月 1 日 現 在 ) ( 前 年 9 月 1 日 現 在 から0.2ポイント 増 ) 本 省 課 室 長 相 当 職 以 上 に 占 める 女

第316回取締役会議案

表紙(第1巻)

労働時間と休日は、労働条件のもっとも基本的なものの一つです

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経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

130117_『高齢社会をむかえた東京23区の将来 人口と建物の関係から見て

2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに

                         庁議案件No

別紙3

18 国立高等専門学校機構

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

(5) 給 与 改 定 の 状 況 該 当 なし ( 事 委 員 会 を 設 置 していないため) 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 ( 参 考 ) 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 給 与 改 定 率 国 の 改 定 率 A B AB ( 改 定 率 ) 年 度 ( )

Taro-01-1_入札公告(産廃)

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

1 資 料 編 我 が 国 の 人 口 の 推 移 厚 労 働 全 般 平 成 24 年 版 厚 労 働 白 書 5

4 調 査 の 対 話 内 容 (1) 調 査 対 象 財 産 の 土 地 建 物 等 を 活 用 して 展 開 できる 事 業 のアイディアをお 聞 かせく ださい 事 業 アイディアには, 次 の 可 能 性 も 含 めて 提 案 をお 願 いします ア 地 域 の 活 性 化 と 様 々な 世

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

長 は10 年 ) にすべきことを 求 める ⑸ 改 善 意 見 として 事 務 引 継 書 にかかる 個 別 フォルダーの 表 示 について 例 えば 服 務 休 暇 全 般 ( 事 務 引 継 書 を 含 む) といったように 又 は 独 立 した 個 別 フォルダーとして 説 明 を 加 え

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(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 (H20.4.1) 96.7 (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.4.1), (H25.4.1) 参 考 値 98.3 (H25.7.1) (H20.4.1) (H25.4

平成27年度大学改革推進等補助金(大学改革推進事業)交付申請書等作成・提出要領

耐 震 診 断 受 付 期 間 4 月 16 日 ( 月 )~1 月 31 日 ( 木 ) 予 定 戸 数 100 戸 1 補 助 の 条 件 次 のすべての 要 件 に 該 当 すること (1) 市 民 自 らが 所 有 し 居 住 していること (2) 昭 和 56 年 5 月 31 日 以 前

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(6) Qualification for participating in the tendering procedu

国 家 税 務 総 局 による 輸 出 貨 物 還 付 ( 免 ) 税 に 関 する 若 干 問 題 の 通 知 国 税 発 [2006]102 号 2006 年 7 月 12 日 国 家 税 務 総 局 各 省 自 治 区 直 轄 市 及 び 計 画 単 列 市 国 家 税 務 局 : 一 部 の

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した このような 分 析 を 有 する 本 論 文 の 意 義 は 2 つある 第 一 に 現 代 中 国 政 治 研 究 において 従 来 あまり 論 じられてこなかった 党 と 司 法 機 関 の 指 導 関 係 を 取 り 上 げていることである 従 来 の 研 究 において 人 民 法 院

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募集要項

12 大 都 市 の 人 口 と 従 業 者 数 12 大 都 市 は 全 国 の 人 口 の 約 2 割 従 業 者 数 の 約 3 割 を 占 める 12 大 都 市 の 事 業 所 数 従 業 者 数 及 び 人 口 は 表 1 のとおりです これらの 12 大 都 市 を 合 わせると 全

原 則 として 事 業 主 は 従 業 員 から 扶 養 控 除 等 申 告 書 の 提 出 を 受 けた 後 に 給 与 の ( 事 業 主 )の 番 号 を 記 載 しなければならない ただし 事 業 主 が 人 の 場 合 には 人 番 号 は 一 般 に 公 表 されている 番 号 であるた

中国会社法の改正が外商投資企業に与える影響(2)

3 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 43.7 歳 32, , ,321

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

スライド 1

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 ( 単 位 : 円 ) 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 413,

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

PowerPoint プレゼンテーション

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

Transcription:

古 代 文 字 資 料 館 いろいろな 概 説 老 乞 大 概 説 1. 老 乞 大 という 書 名 老 乞 大 という 書 名 の 由 来 については 諸 説 あるが 北 方 中 国 の 民 を 表 すモンゴル 語 Kitad の 音 訳 乞 大 に 習 熟 しているという 意 味 の 中 国 語 老 を 冠 した 中 国 通 というほ どの 意 味 であると 考 えられている 2. 成 立 年 代 と 編 者 老 乞 大 は 朴 通 事 とともに 朝 鮮 半 島 で 最 も 古 くから 用 いられた 中 国 語 教 科 書 であ り 両 書 の 成 立 年 代 はほぼ 同 時 期 であると 考 えてよい これらの 名 が 文 献 上 に 初 めて 現 れ るのは 李 氏 朝 鮮 の 世 宗 5 年 (1423)のことで 世 宗 實 録 におけるその 記 載 は 両 書 の 刊 行 を 命 じる 内 容 であるから 成 立 年 代 はさらに 古 いことになる 朱 徳 煕 (1958)は 朴 通 事 に 高 麗 の 名 僧 歩 虚 ( 普 愚 1301-1382)が 大 都 で 法 会 を 開 いたというエピソードが 見 られる ことから 両 書 の 成 立 を 彼 の 入 元 (1346)から 元 朝 滅 亡 (1368)までの 間 と 推 定 している 編 者 は 未 詳 であるが 高 麗 の 通 文 館 がその 成 立 に 関 与 したであろうことは 疑 いない 3. 内 容 と 形 式 老 乞 大 は 高 麗 に 住 む 商 人 が 中 国 人 と 連 れ 立 って 元 の 大 都 ( 後 の 北 京 )に 商 売 に 出 か け 戻 ってくるまでの 話 で 対 中 交 易 に 関 する 実 用 会 話 指 南 書 といった 趣 きの 内 容 である 通 訳 が 商 業 活 動 にも 積 極 的 に 関 与 していた 時 代 のことであるから これが 通 訳 の 養 成 機 関 において 教 科 書 として 用 いられたのもさほど 不 自 然 ではない そのあらすじを 金 文 京 等 (2002)によって 紹 介 すると 以 下 の 通 り: ある 高 麗 の 商 人 ( 名 前 は 不 明 )が 自 分 の 二 人 の 従 兄 弟 ( 姓 は 金 と 李 )および 近 所 の 住 人 ( 姓 は 趙 ただしこの 人 物 は 途 中 から 消 えてしまう)と 高 麗 特 産 の 馬 高 麗 人 参 毛 施 布 (からむし) 帖 裏 布 ( 一 種 の 麻 布 )を 売 りに 高 麗 の 王 京 から 大 都 に 出 かける 途 中 遼 陽 ( 現 在 の 遼 寧 省 遼 陽 )を 過 ぎたあたりで やはり 馬 を 大 都 に 売 りに 行 く 中 国 人 の 商 人 で 遼 陽 に 住 む 王 客 なる 者 と 道 づれになり 道 中 いっしょに 宿 屋 に 泊 まったり 宿 屋 のないところでは 民 家 に 強 引 に 泊 めてもらったりしながら 大 都 に たどり 着 く 大 都 に 着 いた 高 麗 商 人 は まず 大 都 に 在 住 する 親 戚 を 訪 ねて 商 品 の 値 段 などについての 情 報 を 仕 入 れ ついで 泊 まった 宿 の 主 人 の 紹 介 で 馬 を 大 都 の 商 人 に 売 る それからさらに 大 都 の 南 の 涿 州 ( 現 在 の 河 北 省 涿 州 )まで 商 売 に 行 くという 王 客 が 羊 や 反 物 弓 矢 鍋 食 器 などの 商 品 を 仕 入 れるのに 付 き 合 い また 弓 の 試 合 を したり 中 華 料 理 を 作 っていっしょに 酒 を 飲 んだりする 酒 の 飲 みすぎで 医 者 にかか った 王 客 がようやく 涿 州 に 行 くと 高 麗 商 人 はその 間 に 高 麗 人 参 と 毛 施 布 帖 裏 布 1

を 売 り やがて 涿 州 からもどった 王 客 とともに 高 麗 に 帰 ってから 売 るさまざまな 日 用 品 書 籍 などを 仕 入 れ 占 師 のところで 出 発 の 日 取 りを 見 てもらい ついでに 運 勢 を 占 ってもらう 最 後 は 王 客 に 別 れを 告 げ 高 麗 への 帰 途 に 着 くところで 物 語 は 終 わっている ごくわずかなト 書 きを 除 いて 以 上 のようなストーリーがほぼ 登 場 人 物 の 対 話 のみによ って 描 かれている(ただし 話 者 の 区 別 はない) この 他 に 人 としての 生 き 方 を 説 く 処 世 訓 や 放 蕩 の 末 落 ちぶれる 道 楽 息 子 の 話 が 独 白 体 で 挿 入 されている 一 般 には 全 書 を 107 もしくは 111 の 套 話 に 分 ける 4.テキスト (1) 諺 解 と 改 訂 諺 解 とは 諺 文 すなわちハングルによる 漢 字 音 注 と 朝 鮮 語 訳 を 施 すことで ハン グルの 公 布 (1446 年 ) 直 後 から 李 朝 の 末 期 まで 広 く 用 いられた 形 式 である 老 乞 大 にも 漢 字 のみで 記 された 漢 字 本 と ハングルを 用 いた 諺 解 本 の 両 様 が 存 在 する 司 訳 院 では 中 国 語 の 会 話 教 科 書 類 に 対 して 改 訂 を 加 える 作 業 を 歴 代 行 ってきたが 老 乞 大 に 関 しては 大 幅 な 改 訂 が 少 なくとも 二 回 あり 第 一 次 改 訂 は 15 世 紀 末 に 第 二 次 改 訂 は 18 世 紀 後 半 に 行 われたとされる 一 般 に 原 本 に 最 も 近 いものを 旧 本 ( 古 本 ) 系 第 一 次 改 訂 を 経 たものを 新 本 ( 今 本 ) 系 第 二 次 改 訂 を 経 たものを 清 代 改 訂 本 系 と 呼 ぶ 改 訂 はまず 漢 字 本 について 行 われ 新 しいテキストに 基 づいた 諺 解 本 が 出 版 される という 形 を 取 るが 漢 字 部 分 には 大 きな 変 更 を 加 えずに 諺 解 の 部 分 のみを 改 訂 する 場 合 も ある (2) 現 存 のテキスト 群 現 在 我 々が 見 ることのできる 老 乞 大 のテキストは 以 下 の 9 種 である: 漢 字 本 諺 解 本 旧 本 ( 古 本 ) 系 1 旧 本 老 乞 大 (14 世 紀 末 頃 ) 3 翻 訳 老 乞 大 (1517 年 以 前 ) 新 本 ( 今 本 ) 系 2 漢 字 本 老 乞 大 (1483 年 頃 ) 4 老 乞 大 諺 解 (1670 年 ) 5 重 刊 本 老 乞 大 諺 解 (1745 年 ) 6 老 乞 大 新 釈 (1761 年 ) 7 老 乞 大 新 釈 諺 解 (1763 年 ) 清 代 改 訂 本 系 8 重 刊 老 乞 大 (1795 年 ) 9 重 刊 老 乞 大 諺 解 (1795 年 以 後 ) なお 老 乞 大 は 司 訳 院 において 中 国 語 の 教 科 書 としてのみならず 他 の 外 国 語 の 教 科 書 としても 用 いられた そのモンゴル 語 版 である 蒙 語 老 乞 大 (1741) 満 洲 語 版 である 清 語 老 乞 大 (1703)が 現 存 しているほか 日 本 語 版 も 編 纂 されたことが 知 られている( 存 否 未 詳 ) おそらく 東 アジアで 最 も 長 期 間 最 も 広 範 囲 にわたって 流 通 した 会 話 教 科 書 と 言 えるであろう 2

(3) 各 テキストの 概 要 1 旧 本 老 乞 大 < 図 版 1 参 照 > 1998 年 に 韓 国 の 大 邱 市 で 私 人 の 蔵 書 中 から 発 見 されたテキスト 内 容 言 語 の 面 から 見 て それまでに 知 られていたどの 版 本 よりも 古 いバージョンであることは 明 らかであり 今 のところ 最 も 早 い 段 階 で 刊 行 された 老 乞 大 のテキストであると 考 えられている 内 題 は 老 乞 大 であるが この 中 で 使 用 される 幾 つかの 語 彙 が 崔 世 珍 の 著 した 老 乞 大 朴 通 事 の 注 釈 書 老 朴 集 覽 の 中 で 旧 本 または 古 本 として 言 及 されているも のと 一 致 することから 一 般 に 旧 本 老 乞 大 または 古 本 老 乞 大 と 呼 ばれる(この 他 に 元 本 原 本 を 冠 する 場 合 もある) その 版 式 や 紙 質 から 見 て 李 氏 朝 鮮 の 太 宗 年 間 (1401-1418) 以 前 に 刊 行 されたものと 考 えられている 現 存 のテキストは 木 版 本 で 序 跋 なし 不 分 巻 一 冊 ( 全 40 張 ) 毎 半 葉 10 行 各 行 21 字 句 点 はなく 套 話 を 分 けない 韓 国 では 慶 北 大 学 校 (2000) 中 国 では 鄭 光 主 編 (2000) 汪 維 輝 編 (2005)として 翻 字 付 きの 影 印 本 が 出 版 されている また 金 文 京 等 (2002)はその 日 本 語 による 訳 注 鄭 光 (2004) はその 朝 鮮 語 による 訳 注 である 2 漢 字 本 老 乞 大 < 図 版 2 参 照 > 老 乞 大 の 第 一 次 改 訂 は 成 宗 11 年 から 14 年 (1480-1483)の 間 に 房 貴 和 葛 貴 とい う 二 人 の 中 国 人 によってなされたとされる 改 訂 を 経 たテキストは 老 朴 集 覽 の 中 で 新 本 または 今 本 と 称 されているが その 系 統 の 中 で 最 も 古 形 を 存 していると 思 われる のが 漢 字 本 老 乞 大 と 呼 ばれるテキストである 内 題 は1と 同 様 老 乞 大 であるが 他 と 区 別 するために 一 般 に 漢 字 本 を 冠 する 韓 国 には 同 系 統 ではあるものの 同 版 では ないテキストが 4 種 類 ほど 現 存 しているので 正 確 にはテキスト 群 に 対 する 総 称 であるが その 中 の 一 つ ソウル 大 学 校 奎 章 閣 所 蔵 の 奎 6293 が 最 も 普 及 しているので 狭 義 には これを 指 す 刊 行 年 は 未 詳 木 版 本 で 序 跋 なし 不 分 巻 一 冊 ( 全 48 張 ) 毎 半 葉 10 行 各 行 17 字 句 点 はなく 套 話 も 分 けないが もとの 所 蔵 者 が 筆 で 書 き 込 んだ 句 点 や 套 話 の 表 示 がある 京 城 帝 国 大 学 (1944)の 影 印 本 とその 再 影 印 本 ( 亜 細 亜 文 化 社 1973 聯 経 出 版 1977) 及 び 奎 章 閣 (2003a)によって 見 ることができるが 京 城 帝 国 大 学 本 では 欄 外 に 編 者 が 影 印 の 段 階 で 付 け 加 えた 書 き 込 みがある 本 書 に 基 づく 英 語 訳 に Dyer(1983)がある 3 翻 訳 老 乞 大 < 図 版 3 参 照 > 李 氏 朝 鮮 初 期 を 代 表 する 文 臣 の 一 人 崔 世 珍 (1467-1543)が 編 纂 したとされる 老 乞 大 最 古 の 諺 解 本 内 題 はやはり 老 乞 大 であるが 一 般 には 翻 訳 老 乞 大 と 呼 ばれてい る 崔 世 珍 の 編 んだ 韻 書 四 聲 通 解 (1517)の 巻 末 に 飜 譯 老 乞 大 朴 通 事 凡 例 が 収 めら れることから( 翻 訳 老 乞 大 という 通 称 はこれに 由 来 する) 成 立 した 年 代 が 1517 年 以 前 であることは 疑 いない 1970 年 代 に 発 見 された 現 存 のテキストは 木 版 本 であるが 乙 亥 字 3

( 乙 亥 の 年 =1455 年 に 鋳 造 された 銅 活 字 )によって 刊 行 された 書 物 と 書 体 がよく 似 ている ことから もとの 乙 亥 字 本 を 覆 刻 したものと 考 えられている 序 跋 なし 上 下 二 巻 二 冊 ( 上 巻 71 張 下 巻 73 張 ) 毎 半 葉 9 行 各 行 19 字 漢 字 本 文 が 大 字 で 示 され 一 字 ごとにハ ングルで 二 種 類 の 漢 字 音 を 示 すとともに の 記 号 でフレーズを 区 切 り その 後 に 小 字 双 行 で 朝 鮮 語 訳 が 挿 入 されるというスタイルを 取 る(これは 以 後 の 諺 解 本 にも 踏 襲 される) 套 話 を 分 けない ハングルによる 漢 字 音 注 では 声 点 という 朝 鮮 語 のアクセント 記 号 に よって 中 国 語 の 声 調 が 示 されており 漢 字 音 の 研 究 資 料 として 価 値 が 高 い 漢 字 部 分 は 若 干 の 字 体 の 異 同 を 除 いて2の 漢 字 本 と 概 ね 同 じである 現 在 の 所 蔵 は 上 巻 が 白 淳 在 氏 下 巻 が 趙 炳 舜 氏 上 巻 は 中 央 大 學 校 (1972) 及 び 大 提 閣 (1974;1985) 下 巻 は 仁 荷 大 學 校 (1975) 及 び 大 提 閣 (1988) 上 下 巻 を 合 わせたものは 亞 細 亞 文 化 社 (1980)により 影 印 されている 漢 字 本 文 は 金 文 京 等 (2002)に1と 対 照 する 形 で 収 められている また 本 書 のハングル 漢 字 音 注 は 遠 藤 光 暁 (1990)に 索 引 の 形 でまとめられている 4 老 乞 大 諺 解 < 図 版 4 参 照 > 3の 改 訂 版 であるが 漢 字 本 文 にはほとんど 手 を 加 えず ハングル 音 注 と 朝 鮮 語 訳 の 部 分 を 改 訂 している 内 題 は 老 乞 大 諺 解 司 訳 院 の 沿 革 を 記 した 通 文 館 志 によれば 本 書 は 顕 宗 11 年 (1670)に 刊 行 されたといい 現 存 するのは 戊 申 字 (1668 年 鋳 造 )の 銅 活 字 本 である 序 跋 なし 上 下 二 巻 二 冊 ( 上 巻 64 張 下 巻 66 張 ) 毎 半 葉 10 行 各 行 19 字 諺 解 のスタイルは3と 同 様 であるが 魚 尾 の 記 号 によって 全 体 を 107 の 套 話 に 分 け ることと ハングル 音 注 に 声 点 を 欠 いている 点 が 異 なる 韓 国 及 びアメリカに 伝 本 が 数 種 存 在 しており それぞれに 若 干 の 異 同 があるようだが そのうちソウル 大 学 校 奎 章 閣 に 所 蔵 される 奎 2044 の 影 印 を 京 城 帝 国 大 学 (1944)とその 再 影 印 本 ( 亜 細 亜 文 化 社 1973 聯 経 出 版 1977 汪 維 輝 編 2005) 及 び 奎 章 閣 (2003a)によって 見 ることができる( 汪 維 輝 本 は 翻 字 を 含 む) 漢 字 部 分 の 翻 字 に 劉 堅 等 (1995) 第 1-4 話 に 詳 細 な 注 釈 を 施 したものに 太 田 辰 夫 (1957) また 本 書 に 基 づく 中 国 語 の 語 彙 索 引 として 陶 山 信 男 (1973)がある 5 重 刊 本 老 乞 大 諺 解 < 図 版 5 参 照 > 4の 音 注 と 朝 鮮 語 訳 部 分 をさらに 改 訂 し 木 版 本 として 刊 行 したもの 内 題 は 同 じく 老 乞 大 諺 解 であるが 一 般 には 平 安 監 営 重 刊 本 平 壌 版 の 名 を 冠 するか あるいは 現 存 本 の 表 紙 に 基 づき 旧 刊 老 乞 大 とも 言 われる 巻 首 には 卞 熤 による 英 祖 21 年 (1745) の 老 乞 大 諺 解 序 があり 銅 活 字 本 老 乞 大 諺 解 の 伝 本 がわずかとなり また 古 今 の 漢 字 音 の 相 違 が 甚 だしくなったため 改 訂 を 行 ったとの 記 述 がある また 巻 尾 には 改 訂 に 携 わった 校 正 官 5 名 書 写 官 3 名 の 名 前 と 平 安 監 營 重 刊 という 刊 記 がある 平 安 監 營 は 現 在 の 平 壌 にあった 地 方 行 政 機 関 である 上 下 二 巻 二 冊 ( 上 巻 64 張 下 巻 66 張 ) 毎 半 葉 10 行 各 行 19 字 で4に 等 しく 諺 解 のスタイルも 全 く 同 様 である ソウル 大 学 校 奎 章 閣 に 所 蔵 される 奎 2303 の 影 印 を 弘 文 閣 (1984) 及 び 奎 章 閣 (2003a)によって 見 るこ 4

とができる 6 老 乞 大 新 釈 < 図 版 6 参 照 > 18 世 紀 の 後 半 になって 漢 字 部 分 の 第 二 次 改 訂 が 行 われる 改 訂 は 比 較 的 短 期 間 のうち に 二 度 行 われているが そのうち 最 初 に 出 た 漢 字 本 がこのテキストである 巻 首 には 洪 啓 禧 による 英 祖 37 年 (1761)の 老 乞 大 新 釋 序 があり その 前 年 勅 命 によって 北 京 に 赴 い た 折 同 行 した 訳 官 邊 憲 が 北 京 で 改 訂 を 行 ったとの 記 述 がある また 巻 尾 には 検 察 官 2 名 校 正 官 7 名 書 写 官 4 名 の 名 前 が 挙 げられている 内 題 は 老 乞 大 新 釋 木 版 本 で 不 分 巻 一 冊 ( 全 46 張 ) 毎 半 葉 10 行 各 行 20 字 句 点 は 予 め 刻 されている また の 記 号 によって 套 話 を 分 けているが それによると 全 体 で 111 套 話 となり 従 来 のものに 比 べ 4 話 多 い これは 話 数 を 増 やしたのではなく 区 切 りを 変 えたことによる 本 書 は 長 らく 一 般 に 普 及 していなかったが 近 年 になりソウル 大 学 校 奎 章 閣 所 蔵 の 奎 4871 が 奎 章 閣 (2003b) 及 び 汪 維 輝 編 (2005)の 影 印 ( 後 者 は 翻 字 を 含 む)によって 見 られるようになった 7 老 乞 大 新 釈 諺 解 6の 諺 解 本 通 文 館 志 によれば 本 書 は 同 じく 邊 憲 の 著 で 英 祖 39 年 (1763)に 刊 行 されたという この 書 の 一 部 は 現 在 アメリカ コロンビア 大 学 の East Asian Liblary に 所 蔵 されている 内 題 は 老 乞 大 新 釋 諺 解 木 版 本 で 三 巻 三 冊 のうち 巻 一 (59 張 )だけが 現 存 する 毎 半 葉 10 行 各 行 20 字 諺 解 のスタイルは4と 同 様 だが 魚 尾 ではなく 改 行 に よって 套 話 を 分 ける 点 ( 現 存 本 では 第 36 話 まで)と 各 話 ごとに 小 字 双 行 で 一 世 代 前 のテ キスト(4の 系 統 と 推 測 される)をハングル 音 注 付 きで 引 用 している 点 が 異 なり そのた め 現 存 の 老 乞 大 テキストでは 唯 一 三 巻 構 成 を 取 っている 影 印 本 は 刊 行 されていない なお 以 上 の 記 述 は ソウル 大 学 校 がコロンビア 大 学 所 蔵 本 のマイクロフィルムを 焼 き 付 け た 影 照 本 による 8 重 刊 老 乞 大 < 図 版 8 参 照 > 6の 老 乞 大 新 釈 から 約 30 年 の 後 に 再 度 漢 字 部 分 の 改 訂 が 行 われている 序 跋 はない が 巻 尾 に 校 検 官 7 名 校 整 官 10 名 書 写 官 10 名 監 印 官 1 名 の 名 前 と 乙 卯 仲 秋 本 院 重 刊 という 刊 記 がある 乙 卯 は 正 祖 19 年 (1795)に 当 たる 内 題 は 重 刊 老 乞 大 木 版 本 で 不 分 巻 一 冊 (44 張 ) 毎 半 葉 10 行 各 行 20 字 で 張 数 以 外 は6と 同 様 句 点 を 予 め 刻 し によって 套 話 を 111 に 分 ける 点 も 同 じである 全 体 的 に 見 て 6の 表 現 を 旧 来 のものに 戻 す 方 向 で 改 訂 している 箇 所 が 目 立 つ 韓 国 及 び 日 本 にいくつかの 伝 本 が 現 存 するが ソウル 大 学 校 奎 章 閣 所 蔵 の 奎 4869 の 影 印 を 奎 章 閣 (2003b)によって 見 るこ とができる 9 重 刊 老 乞 大 諺 解 < 図 版 9 参 照 > 5

8の 諺 解 本 序 跋 はなく 他 に 刊 行 年 代 を 示 す 資 料 もないが 8と 同 時 期 かもしくはそ の 数 年 後 に 刊 行 されたものと 思 われる 内 題 は 重 刊 老 乞 大 諺 解 木 版 本 で 上 下 二 巻 二 冊 ( 上 巻 65 張 下 巻 67 張 ) 毎 半 葉 10 行 各 行 20 字 諺 解 のスタイルは4 以 降 のものを 踏 襲 しているが 7と 同 様 改 行 によって 套 話 を 111 に 分 けている 点 が 異 なる 韓 国 及 び 日 本 に いくつかの 伝 本 があるが そのうちソウル 大 学 校 奎 章 閣 所 蔵 の 奎 2049 の 影 印 を 弘 文 閣 (1984) 及 び 汪 維 輝 編 (2005)によって( 後 者 は 漢 字 部 分 の 翻 字 を 含 む) また 奎 2050 の 影 印 を 奎 章 閣 (2003b)によって 見 ることができる (4) 注 釈 書 10 老 朴 集 覽 < 図 版 10 参 照 > 本 書 は 崔 世 珍 の 手 になる 老 乞 大 朴 通 事 の 注 釈 書 で 刊 行 年 代 は 不 明 だが3と 同 様 1517 年 以 前 には 成 立 していたとされている 1960 年 代 に 発 見 された 銅 活 字 本 ( 乙 亥 字 本 ) は 單 字 解 累 字 解 一 巻 (10 張 ) 老 乞 大 集 覽 二 巻 ( 上 巻 3 張 下 巻 4 張 ) 朴 通 事 集 覽 三 巻 ( 上 巻 15 張 中 巻 9 張 下 巻 13 張 )という 構 成 を 持 つ 單 字 解 累 字 解 が 毎 半 葉 9 行 他 は 毎 半 葉 10 行 いずれも 各 行 19 字 見 出 し 字 が 大 字 で 掲 げられ その 下 に 小 字 双 行 で 注 釈 が 記 されている 單 字 解 累 字 解 は 老 乞 大 朴 通 事 の 常 用 語 彙 に 対 する 注 釈 で 前 者 は 漢 字 一 字 後 者 は 二 字 以 上 の 単 語 を 対 象 とする 老 乞 大 集 覽 朴 通 事 集 覽 はそれぞれの 書 物 に 特 有 の 語 彙 を 解 説 したもの 現 在 は 韓 国 東 国 大 学 校 図 書 館 蔵 これを 李 丙 疇 (1966)に 収 められた 影 印 によって 見 ることができる なお 後 述 の 朴 通 事 諺 解 (1677)には 朴 通 事 集 覽 が 注 の 形 で 組 み 込 まれているほか 同 書 の 巻 末 には 單 字 解 の 一 部 と 老 乞 大 集 覽 が 附 録 として 収 められている (5) 参 考 書 遠 藤 光 暁 (1990)は3のハングル 漢 字 音 注 索 引 であるとともに 巻 末 に 老 乞 大 朴 通 事 の 現 存 諸 テキストと 研 究 文 献 がまとめられており 有 用 である 中 国 語 の 語 彙 索 引 と しては4を 対 象 とする 陶 山 信 男 (1973)があるが 現 在 は 台 湾 中 央 研 究 院 のコーパス( 漢 籍 電 子 文 献 ;http://www.sinica.edu.tw/)も 利 用 できる また 老 乞 大 朴 通 事 の 流 伝 に 重 要 な 役 割 を 果 たした 崔 世 珍 については 金 俊 憲 (1999)による 略 年 譜 が 参 考 となる こ の 他 1469の 漢 字 部 分 を 対 照 の 形 で 配 置 したテキストに 李 泰 洙 (2003)があり また 2345における 漢 字 部 分 の 異 同 をまとめたものに 竹 越 孝 (2005)がある <この 項 の 参 考 文 献 > 亞 細 亞 文 化 社 (1973) 老 乞 大 朴 通 事 諺 解 ソウル: 亞 細 亞 文 化 社 ( 國 語 國 文 學 資 料 叢 書 ). 亞 細 亞 文 化 社 (1980) 原 本 老 乞 大 諺 解 全 ソウル: 亞 細 亞 文 化 社 ( 國 語 國 文 學 資 料 叢 書 ). 遠 藤 光 暁 (1990) 翻 譯 老 乞 大 朴 通 事 漢 字 注 音 索 引 東 京 : 好 文 出 版 ( 開 篇 単 刊 3) 太 田 辰 夫 (1953) 老 乞 大 の 言 語 について 中 國 語 學 研 究 会 論 集 1:1-14; 中 国 語 史 通 考 : 6

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< 図 版 1> 旧 本 老 乞 大 ( 慶 北 大 學 校 2000 による) 8

< 図 版 2> 漢 字 本 老 乞 大 ( 京 城 帝 國 大 學 1944 による) 9

< 図 版 3> 翻 訳 老 乞 大 ( 亞 細 亞 文 化 社 1980 による) 10

< 図 版 4> 老 乞 大 諺 解 ( 京 城 帝 國 大 學 1944 による) 11

< 図 版 5> 重 刊 本 老 乞 大 諺 解 ( 弘 文 閣 1984 による) 12

< 図 版 6> 老 乞 大 新 釈 ( 奎 章 閣 2003b による) 13

< 図 版 8> 重 刊 老 乞 大 ( 奎 章 閣 2003b による) 14

< 図 版 9> 重 刊 老 乞 大 諺 解 ( 弘 文 閣 1984 による) 15

< 図 版 10> 朴 通 事 諺 解 附 載 老 乞 大 集 覽 ( 京 城 帝 國 大 學 1944 による) 16