Working Paper Series No.200801 利 益 稼 得 プロセスと 収 益 の 早 期 認 識 岡 部 孝 好 著 2013 年 12 月 第 3 版 Income Earning Process and premature Recognition of Revenue By Takayoshi Okabe 0
マーケット ドリブンの 激 烈 な 市 場 圧 力 にさらされている 会 社 の 経 営 者 は 市 場 にみせ る 収 益 の 会 計 数 値 を 裁 量 的 に 嵩 上 げし この 収 益 数 値 制 御 行 動 (revenue management) 収 益 調 整 とか 収 益 マネジメント ということもある によって 自 己 に 有 利 な 経 済 的 帰 結 を 導 こうとすることが 少 なくない アメリカでは 1990 年 代 の IT バブル 期 に 多 数 の 収 益 数 値 制 御 行 動 が 露 見 したが その 中 でも 特 に 目 立 ったのが 早 期 収 益 認 識 (premature revenue recognition)である 早 期 収 益 認 識 は 意 図 的 に 公 表 会 計 数 値 を 歪 める 機 会 主 義 的 行 動 (opportunism)の 一 種 であり 売 上 高 計 上 のタイミングを 繰 り 上 げ 売 上 高 と 利 益 の 数 値 を 膨 らませるアグレッシブな 会 計 政 策 である (1) 伝 統 的 な 利 益 測 定 モデルは 収 益 費 用 アプローチによっているが この 収 益 費 用 アプ ローチでは まず 利 益 稼 得 プロセス(earnings-process)を 通 じて 会 社 内 部 で 徐 々に 収 益 が 創 出 され 次 に 外 部 の 顧 客 への 販 売 を 通 じて 内 部 に 密 かに 稼 得 されていた 収 益 が 突 如 とし て 実 現 されると 考 えられている この 考 え 方 によると 社 内 で 創 出 されていない 未 稼 得 の 収 益 が 実 現 されることはありえないし また 稼 得 済 みであっても 販 売 ステップを 経 る 前 に 収 益 が 実 現 されることもありえない 収 益 が 実 現 されるためには 稼 得 済 みという 要 件 と 販 売 済 みという 要 件 の2つが 満 たされていなければならない 一 般 に 認 められた 会 計 原 則 (Generally Accepted Accounting Principles: GAAP)はこの 考 えから 実 現 原 則 と 販 売 基 準 によって 収 益 認 識 時 点 を 特 定 するとともに さらに 未 稼 得 利 益 (unearned income)の 認 識 と 未 実 現 利 益 (unrealized income)の 認 識 を 厳 格 に 制 限 している しかし それにもかか わらす 外 形 的 には GAAP への 準 拠 を 装 いながら 売 上 高 の 計 上 時 点 の 前 倒 しを 通 じて 未 稼 得 利 益 とか 未 実 現 利 益 が 認 識 される 例 がいまでも 少 なくない 本 稿 は 機 会 主 義 的 な 動 機 にもとづく 収 益 の 早 期 認 識 を 取 り 上 げ この 裁 量 行 動 に 含 ま れている 基 本 的 な 論 点 を 整 理 することを 目 的 としている 次 節 では まず 収 益 認 識 の 基 本 的 な 会 計 ルールを 再 検 討 し 早 期 収 益 認 識 においては 販 売 基 準 のどの 側 面 から 問 題 が 発 生 しているのかを 明 らかにする この 検 討 を 受 けて 第 2 節 では 返 品 条 項 がつけられた 売 買 契 約 を 取 り 上 げ それが 合 意 の 成 立 という 販 売 基 準 の 要 件 をどのように 変 質 させてい るのかを 解 明 する 第 3 節 では 売 り 手 から 買 い 手 への 財 サービスの 引 渡 しという 販 売 基 準 の 要 件 に 目 を 転 じ この 要 件 にも 早 期 収 益 認 識 にいたる 裁 量 の 余 地 が 多 数 あること を 指 摘 する 最 後 の 結 びは 本 稿 の 論 点 のまとめと 将 来 の 展 望 に 充 てられている 1. 販 売 基 準 と 早 期 収 益 認 識 会 社 が 行 った 財 サービスの 生 産 に 社 会 的 意 義 があったのかどうかを 最 終 的 に 判 定 する のは 市 場 であり 製 商 品 が 市 場 で 実 際 に 売 れたのかどうかによって この 評 定 が 下 される 売 り 手 の 製 商 品 は 買 い 手 が 購 買 の 決 断 を 下 すことによって 市 場 側 に 受 容 され はじめて その 落 ち 着 き 先 が 決 まる 支 払 対 価 が 売 り 手 のコストをカバーしている 場 合 には 製 商 品 1
の 価 格 に 相 当 する 犠 牲 を 買 い 手 があえて 引 き 受 けることによって 売 り 手 の 生 産 コストへ の 償 いをしていることになる 実 現 原 則 はこの 市 場 テスト(market test)によっており 収 益 の 売 上 高 が 認 識 される 時 点 を 製 商 品 が 販 売 されたときだけに 限 定 している 製 商 品 が 未 販 売 なのに 収 益 を 認 識 することは 堅 く 禁 じられているし また 製 商 品 が 販 売 済 みなのに 収 益 の 認 識 を 先 延 ばしにすることも 許 されていない 若 干 の 例 外 はあるものの GAAP にお ける 収 益 認 識 は 販 売 基 準 (sales basis)だけによりかかっている 販 売 基 準 では 次 の3 要 件 がすべて 満 たされる 時 点 においてのみ 収 益 の 認 識 が 行 われ る 1 売 り 手 と 買 い 手 の 間 に 合 意 が 成 立 していること 2 売 り 手 から 買 い 手 に 財 サービスが 引 き 渡 されていること 3 買 い 手 から 売 り 手 に 貨 幣 か 貨 幣 請 求 権 が 引 き 渡 されていること 会 社 における 実 際 の 収 益 の 認 識 がこの 販 売 基 準 を 充 足 しているかどうかは 個 別 にチェッ クされており どのタイプの 製 商 品 であれ どのタイプの 取 引 であれ これら3 要 件 のす べてが 完 全 に 満 たされていなければ 売 上 高 の 計 上 は 許 されない どれか1つの 満 たし 方 が 未 完 熟 (premature)だと 判 断 される 場 合 には 販 売 基 準 はクリアされていないとして 収 益 の 認 識 が 将 来 に 持 ち 越 される しかし 市 場 の 強 い 競 争 圧 力 にさらされている 会 社 の 経 営 者 は 市 場 にみせる 売 上 高 の 数 値 を1 円 でも 多 くしたい 売 上 高 の 数 値 を 引 き 上 げる 方 法 としては 収 益 認 識 時 点 を 繰 り 上 げるのが 手 っ 取 り 早 いし 収 益 認 識 時 点 を 繰 り 上 げるには 販 売 基 準 の3 要 件 のどれ かを 緩 め 早 めに 売 上 高 を 計 上 すればよい 3 要 件 のどれかを 緩 和 するだけで 収 益 認 識 時 点 が 前 倒 しにされ 将 来 の 売 上 高 が 当 期 の 売 上 高 に 前 転 される 会 計 監 査 における 重 点 的 なチェック 項 目 が 販 売 取 引 であるから 経 営 者 がいかに 強 く 嵩 上 げに 動 機 づけられていても 思 いのままに 売 上 高 の 数 値 を 増 やすようなことは 不 可 能 で ある そこで 早 期 収 益 認 識 においては 法 律 的 形 式 だけを 整 え 販 売 基 準 の3 要 件 が 満 たされているかのような 装 いを 凝 らすことになる 当 事 者 の 合 意 が 成 立 済 みにみえる 契 約 形 式 を 選 ぶとか 製 商 品 の 出 荷 を 見 せ 掛 けるとか あるいは 貨 幣 請 求 権 は 確 保 済 みという 外 見 を 整 えるというのがその 例 である このように 外 見 的 な 形 だけによって 収 益 認 識 時 点 を 前 倒 しにするのは 明 らかに 保 守 主 義 の 原 則 に 反 するが この 不 健 全 な 会 計 実 務 の 拡 がり を 露 呈 させたのが アメリカにおける IT バブルの 崩 壊 である 1990 年 代 後 半 の IT バブル 期 はさまざまな 会 計 不 正 の 温 床 になっていたが その 中 で 大 きなウェートを 占 めてい たのが 早 期 収 益 認 識 であった この 会 計 不 正 の 露 見 を 受 けて SEC では 1999 年 に Staff Accounting Bulletin, No. 101(SAB101), 財 務 諸 表 における 収 益 の 認 識 を 公 表 し 改 めて 収 益 認 識 のガイドラインを 示 した この SAB101 は 従 来 の 収 益 の 会 計 ルールを 変 更 するというよりも 既 存 の 会 計 ル ールの 再 確 認 によって 販 売 基 準 の 濫 用 を 防 ぐのを 狙 いにしており ソフトウェアの 収 益 認 識 基 準 についても 従 前 の 会 計 ルールをそのまま 受 け 継 いでいる しかし 形 式 優 先 から 2
実 質 優 先 (substance over form)へとスタンスを 転 換 し 個 別 の 産 業 や 状 況 を 特 定 して 収 益 認 識 のルールを 明 示 しているから 販 売 基 準 の3 要 件 は 同 じでも 会 計 ルールの 縛 りは 格 段 にタイトになっている SAB101 は 一 般 的 指 針 として 次 のことを 指 示 している 1 当 事 者 の 合 意 には 説 得 性 ある 取 決 めの 証 拠 (persuasive evidence of an arrangement) が 存 在 していて 買 い 手 に 対 する 売 り 手 の 価 格 が 確 定 されているか 決 定 可 能 である (fixed or determinable)こと 2 財 の 引 渡 しがすでに 生 じているか サービスがすでに 提 供 されていること 3 取 得 した 貨 幣 請 求 権 はその 回 収 可 能 性 が 合 理 的 に 確 保 されていること この SAB101 によると 販 売 基 準 の3 要 件 は いずれも 形 式 的 に 満 たされているだけでは 不 十 分 であり 実 質 的 にみて 販 売 取 引 の 存 在 を 裏 付 けるものでなければならない 当 事 者 間 の 合 意 の 存 在 にも 財 サービスの 引 渡 しにも さらに 貨 幣 請 求 権 の 取 得 にも 確 かな 証 拠 づけが 要 求 されており いずれかの 証 拠 づけが 不 十 分 であれば 早 期 収 益 認 識 とみな され 売 上 高 の 訂 正 が 要 求 される 次 節 では この 点 をもっと 具 体 的 に 検 討 して 販 売 基 準 の 適 用 について 議 論 することにしよう 2. 返 品 条 項 つき 販 売 と 委 託 販 売 取 引 (1) 売 買 契 約 の 成 立 と 返 品 条 項 販 売 基 準 の3 要 件 の 中 で 最 も 重 要 なのは 売 り 手 と 買 い 手 の 間 における 合 意 の 存 在 であ る (2) この 売 買 契 約 は 口 頭 でも 書 面 でもよいが SAB101 によると 説 得 性 ある 取 決 めの 証 拠 による 裏 付 けが 不 可 欠 であり 取 引 価 格 なども 明 確 に 曖 昧 さのない 形 で 取 り 決 めて おく 必 要 がある 売 り 手 と 買 い 手 の 合 意 に 柔 軟 性 があって 将 来 に 取 消 しの 可 能 性 があっ たり 取 引 価 格 とか 買 い 手 の 支 払 義 務 に 修 正 の 余 地 が 残 されたりしていては 売 買 契 約 は 未 完 熟 なステップにあると 判 断 される (3) SAB101 では 売 買 契 約 の 確 定 性 が 強 調 されているが この 確 定 性 とのかかわりで 深 刻 な 問 題 を 引 き 起 こしているのが 買 い 手 がしばしば 保 有 する 返 品 の 権 利 (right to return)であ る この 返 品 条 項 の 論 点 を 明 らかにするために パソコンのメーカーが 売 り 手 で パソコ ンの 小 売 店 が 買 い 手 の 場 合 を 考 えてみることにしよう 小 売 店 からの 注 文 にメーカーが 同 意 して メーカーが 小 売 りに 向 けてパソコンを 出 荷 すると 売 買 契 約 は 成 立 済 みとなり 財 サービスの 引 渡 しは 完 了 し さらに 売 り 手 の 債 権 ( 売 掛 金 )と 買 い 手 の 債 務 ( 買 掛 金 )も 確 定 する これらの 販 売 基 準 の3 要 件 の 充 足 が 文 書 により 証 拠 づけられているとすれば 売 り 手 のメーカーにおける 出 荷 時 の 収 益 認 識 にまったく 問 題 はないと 考 えられやすいし また 事 実 メーカーではこの 出 荷 時 点 に 売 上 高 を 計 上 する( 小 売 店 でも 同 時 に 仕 入 高 を 記 録 する) のが 特 に 日 本 では 標 準 的 な 会 計 実 務 になっている しかし この 販 売 取 引 に 返 品 条 項 が つけられているとすれば メーカーが 出 荷 時 に 売 上 高 を 計 上 すると その 収 益 は 早 期 認 識 の 疑 いが 濃 くなる 販 売 した 製 商 品 に 品 傷 み キズ 性 能 不 足 など 売 り 手 の 責 任 に 帰 すべき 欠 陥 があるこ 3
とが 後 日 に 発 見 された 場 合 には 買 い 手 側 において 返 品 の 権 利 が 発 生 するのは 世 界 共 通 の 商 慣 行 であるが 製 商 品 の 欠 陥 を 原 因 とするこの 返 品 条 項 に 特 に 会 計 上 の 問 題 があるわ けではない 教 科 書 に 書 かれているように 物 的 事 由 による 製 商 品 の 返 品 が 発 生 したとき には 会 計 では 売 上 高 を 減 額 するだけの 処 理 (および 返 品 を 受 けた 製 商 品 の 損 失 処 理 )で 簡 単 に 片 づく しかし 返 品 条 項 といっても 製 商 品 の 物 的 欠 陥 によるものではなく 小 売 側 の 売 れ 残 りを 理 由 とする 返 品 となると 事 情 は 大 幅 に 違 ってくる 返 品 が 許 されない 通 常 の 買 い 切 りの 取 引 では 小 売 店 が 仕 入 れたパソコンをその 顧 客 に 転 売 ( 再 販 売 )できない 場 合 には 売 れ 残 り 損 失 をかぶるのは 小 売 りである しかし メーカーが 小 売 りに 対 して 再 販 売 不 能 を 条 件 とする 返 品 の 権 利 を 供 与 すると 売 れ 残 り 損 失 の 最 終 的 な 負 担 者 はメーカ ーに 変 わり 小 売 りはその 損 失 を 免 れる この 点 で 再 販 売 不 能 を 条 件 とする 返 品 条 項 は 小 売 りの 損 害 を 救 済 するのが 目 的 で メーカーから 小 売 りへと 損 失 を 移 転 するリスク 分 担 契 約 (risk sharing contract)だといえる (4) 再 販 売 不 能 を 条 件 とするこの 返 品 条 項 では 2つの 取 引 が 連 接 していて メーカーが 小 売 りへ 出 荷 する 第 1の 取 引 と 小 売 りがメーカーへ 売 れ 残 りを 返 品 する 第 2の 取 引 とに 分 化 している しかし これら2つは 相 関 連 した 一 体 的 な 取 引 であり 相 互 に 独 立 していな い 返 品 の 権 利 が 組 み 込 まれている 場 合 には 第 1の 取 引 は 第 2の 取 引 を 引 き 起 こす 原 因 になるし また 第 2の 返 品 取 引 が 発 生 すると 第 2の 取 引 によって 第 1の 取 引 は 部 分 的 に 覆 され 第 1の 取 引 の 一 部 が 取 り 消 される 第 2の 返 品 取 引 は 取 引 内 容 を 部 分 的 に 修 正 する 第 1 取 引 の 一 部 であり この 点 で 買 戻 し(buy back)の 条 項 がついた 販 売 契 約 に 酷 似 して いる 第 1の 取 引 だけをみても それは 売 り 手 と 買 い 手 の 合 意 にもとづいていて 当 事 者 間 で 取 り 決 めた 取 引 価 格 も 売 り 手 が 取 得 した 貨 幣 または 貨 幣 請 求 権 の 金 額 も 客 観 的 に 証 拠 づけられているといえる そこで 通 常 はこの 形 式 の 完 備 に 注 目 して 第 1 取 引 の 発 生 時 点 に 販 売 基 準 の3 要 件 が 満 たされたものとして 売 上 高 を 認 識 し その 後 にもし 第 2の 取 引 が 発 生 すれば 第 1 取 引 の 売 上 金 額 に 修 正 を 加 える (5) しかし SAB101 の 指 針 によると この 会 計 処 理 は 正 当 なものではない 将 来 に 第 2の 返 品 取 引 が 発 生 する 可 能 性 が 大 きいか ぎり 第 1の 取 引 は 暫 定 的 なもので 第 2の 取 引 によりほぼまちがなく 修 正 される 第 1 取 引 の 内 容 を 最 終 的 に 確 定 させるのは 第 2の 返 品 取 引 であり 第 2 取 引 が 発 生 するまで 第 1 取 引 は 未 確 定 な 仮 の 取 引 になっている 返 品 条 項 が 販 売 取 引 を 覆 すかぎり 第 1の 取 引 の 発 生 時 においては たしかに 販 売 基 準 の3 要 件 は 不 完 全 にしか 満 たされておらず 実 質 優 先 (substance over form)の 原 則 に 照 らす と この 時 点 に 認 識 された 売 上 高 は 早 期 認 識 の 疑 いがある しかし そうだからといって すべてが 確 定 する 第 2の 返 品 取 引 の 完 了 時 点 まで 収 益 の 認 識 を 遅 らせるとなると 第 1 取 引 の 記 録 が 会 計 帳 簿 から 脱 落 して 会 計 実 務 を 混 乱 させることになりかねない 第 1 取 引 と 第 2 取 引 との 中 間 において いったどのように 会 計 処 理 を 行 ったらよいのであろうか この 問 題 を 解 決 する 手 掛 かりを 提 供 するのが 委 託 販 売 取 引 の 会 計 処 理 である 4
(2) 売 れ 残 りリスク 引 受 けと 委 託 販 売 取 引 小 売 りに 返 品 の 権 利 が 供 与 されると 小 売 りは 再 販 売 不 能 と 判 定 された 時 点 に 製 商 品 を メーカーに 返 品 するが この 返 品 分 を 差 し 引 くと 小 売 りにおける 正 味 の 仕 入 分 は 顧 客 に 再 販 売 しえたものだけになる 事 後 的 に 整 理 すると 小 売 りでは 自 分 の 顧 客 に 再 販 売 で きたものだけを 仕 入 れ 再 販 売 できなかったものは 仕 入 れなかったのと 同 じ 結 果 になる そのうえ 再 販 売 に 成 功 した 製 商 品 には 小 売 りのマージンが 上 乗 せされているから 小 売 りのビジネスは 受 託 販 売 業 者 としてメーカーの 製 商 品 を 預 かり その 受 託 販 売 の 報 酬 と して マージンを 受 け 取 っているのと 同 じになる 返 品 条 項 によって 小 売 りは 売 れ 残 りの リスクを 免 除 されているから 形 式 上 は 買 い 切 り 取 引 のようであっても 小 売 りが 従 事 し ているのは 受 託 販 売 事 業 に 酷 似 してくる この 点 は 売 り 手 のメーカー 側 からみても 同 じ ことであり 買 い 手 に 自 由 な 返 品 の 権 利 を 与 えた 販 売 取 引 は 形 式 上 は 売 り 切 りのようで も その 実 質 は 委 託 販 売 取 引 (consignment)でしかない 返 品 条 項 つき 販 売 が 委 託 販 売 取 引 と 同 等 なのであれば メーカーが 製 商 品 を 出 荷 した 第 1の 取 引 は 自 己 所 有 の 製 商 品 を 小 売 りに 積 送 した にすぎず 最 終 的 な 販 売 取 引 ではな いといえる 返 品 条 項 つきの 販 売 取 引 の 実 質 を 委 託 販 売 と 解 釈 するかぎり 第 1の 積 送 時 点 において 売 上 高 を 計 上 すると 未 販 売 のステップにおいて 未 実 現 利 益 を 認 識 することに なる メーカーが 小 売 りに 販 売 を 委 託 している 場 合 に 販 売 基 準 の3 要 件 を 満 たすのは 小 売 りが 最 終 顧 客 の 第 三 者 へパソコンを 再 販 売 した 時 点 であり この 時 点 まで 売 上 高 の 計 上 を 遅 らせなければ 収 益 の 早 期 認 識 になってしまう メーカーが 小 売 りにパソコンの 販 売 を 委 託 しているとみた 場 合 において 受 託 者 の 小 売 りが 第 三 者 へ 実 際 にパソコンを 販 売 すると そのパソコンは 第 三 者 の 手 に 渡 り 小 売 りは メーカーに 返 品 できなくなる 小 売 りは この 時 点 に 返 品 の 権 利 を 失 ったと 解 釈 できる そこで 返 品 条 項 つき 販 売 については 委 託 者 のメーカーでは 最 も 早 く 売 上 高 を 計 上 す る 場 合 でも 受 託 者 の 小 売 りが 返 品 の 権 利 を 喪 失 する 時 点 つまり 最 終 顧 客 の 第 三 者 への 販 売 時 点 まで 収 益 の 認 識 を 遅 らせなければならない (6) この 会 計 ルールを 指 示 しているの は SFAS No.48 である FASB は 早 くも 1981 年 に SFAS No.48 によって 返 品 の 権 利 が 存 在 する 販 売 取 引 につい ての 収 益 認 識 基 準 を 明 示 し 実 質 的 に 委 託 販 売 となっている 場 合 には 受 託 者 の 販 売 時 点 まで 売 上 高 の 計 上 を 繰 り 下 げることを 指 示 している 売 り 手 が 出 荷 した 第 1の 取 引 は 積 送 に 相 当 するから この 時 点 に 売 上 高 を 計 上 すると 未 実 現 利 益 の 認 識 になるとしているの である この SFAS No.48 には 販 売 価 格 の 確 定 買 い 手 の 支 払 義 務 の 確 定 在 庫 リスクの 買 い 手 負 担 など 6 つ 条 件 が 示 されており これらの 6 つの 条 件 がすべて 満 たされる 場 合 で なければ 小 売 りへの 出 荷 時 に 売 上 高 を 計 上 してはならないとされている(para.6) 6 つの 条 件 のどれかが 満 たされていない 場 合 には その 取 引 は 事 実 上 委 託 販 売 取 引 だとし すべ ての 条 件 が 満 たされる 時 点 か 返 品 の 権 利 が 消 失 する 時 点 ( 小 売 りが 最 終 顧 客 に 再 販 売 した 時 点 ) 5
まで 収 益 の 認 識 を 遅 らせなければならない 3. 財 サービス 引 渡 しにおける 早 期 認 識 (1) 未 渡 しの 製 商 品 販 売 基 準 の3 要 件 の1つは 財 サービスの 引 渡 しを 完 了 することであり 買 い 手 に 対 し て 販 売 した 財 を 引 き 渡 すか サービスを 提 供 するかの 手 順 が 終 了 していなければ 売 り 手 は 収 益 を 認 識 できない しかし この 財 の 引 渡 しとサービスの 提 供 も 多 段 階 のステップ から 構 成 されていることがあるから 財 サービスの 引 渡 時 点 の 選 定 にあたって タイミ ングが 裁 量 的 に 操 作 されやすい 財 サービスの 引 渡 時 点 の 繰 上 げによる 早 期 収 益 認 識 も 市 場 にみせる 会 計 数 値 を 意 図 的 に 歪 める 収 益 数 値 制 御 行 動 の1つである 有 形 の 財 が 取 引 される 場 合 には 製 商 品 が 実 際 に 引 き 渡 された 時 点 に 売 上 収 益 が 認 識 される この 引 渡 しは 売 り 手 の 出 荷 (shipment)の 時 点 でもよいし 買 い 手 の 受 領 (acceptance) の 時 点 でもよいとされているが 買 い 手 がスペックへの 適 合 品 質 性 能 規 準 のクリアな どを 受 領 の 条 件 にしている 場 合 には 指 定 条 件 の 充 足 が 確 認 されるまで 引 渡 しは 完 了 し ていないとみなされる これが 検 収 基 準 である これらのいずれの 場 合 であれ 有 形 の 財 であればその 引 渡 しが 視 認 できるから 収 益 認 識 時 点 に 曖 昧 さはまったく 生 じないと 思 わ れやすい しかし 有 形 の 財 についても 実 際 に 引 渡 しが 完 了 しているのかどうかが 明 確 でないケースがしばしばあり 早 期 収 益 認 識 の 問 題 が 生 じることがある 販 売 されたはず の 製 商 品 が 売 り 手 の 倉 庫 に 残 っている 預 かり 販 売 (bill and hold)も その 例 の1つであ る 預 かり 販 売 というのは 売 買 契 約 が 明 確 に 存 在 していて しかも 顧 客 への 出 荷 書 類 ( 送 り 状 など)も 整 っているのに 販 売 済 みの 商 品 が 売 り 手 の 手 許 に 保 管 されている 状 況 を 指 す 預 かり 販 売 は 架 空 売 上 認 識 の 典 型 的 な 手 口 であることから この 裁 量 行 動 には 会 計 ルール でもきびしい 制 限 がつけられていて 会 計 監 査 でも 厳 格 なチェックが 加 えられている SEC の SAB101 においても 7 つの 条 件 が 示 されており これらすべての 条 件 が 満 たされていなけ れば 預 かり 販 売 について 売 上 高 を 認 識 してはならない とされている その 要 点 は 預 かり 販 売 は 買 い 手 側 の 要 請 によるもので 売 り 手 側 の 事 情 は 無 関 係 であるから 出 荷 の 手 違 い 配 送 スケジュールの 遅 延 配 送 機 器 の 不 具 合 など 売 り 手 側 の 理 由 によるものはす べて 未 実 現 収 益 の 認 識 となる ということである 買 い 手 の 要 請 による 商 品 の 保 管 であっ ても 保 管 スペースの 不 足 製 造 スケジュールの 調 整 など 買 い 手 側 の 保 管 要 請 に 合 理 的 な 根 拠 があることが 必 要 であり 単 に 出 荷 を 先 送 りにしているだけでは 預 かり 販 売 につ いて 収 益 を 認 識 できない これらの 点 からして 預 かり 販 売 について 収 益 を 認 識 できる ケースはごく 限 られているといえる (2) 未 完 成 の 製 商 品 の 引 渡 し 収 益 費 用 アプローチでは 売 り 手 側 の 契 約 の 履 行 (enforcement)が 重 視 されており 販 売 6
基 準 でも 買 い 手 への 財 サービスの 引 渡 しが 重 要 なチェックポイントになっている 実 質 優 先 の 原 則 からすると 財 サービスの 引 渡 しというこの 要 件 はその 中 味 が 問 題 とされ るので 形 のうえで 買 い 手 に 製 商 品 が 引 き 渡 されている 場 合 でも なおも 収 益 の 早 期 認 識 が 疑 われるケースがでてくる 買 い 手 に 引 き 渡 された 製 商 品 がまだ 完 成 されていないケー スがその 典 型 だといえる たとえば 工 作 機 械 の 製 作 を 依 頼 されていたメーカーが まだ 最 終 工 程 を 終 えていない 機 械 を 顧 客 の 工 場 に 搬 入 し 内 蔵 のコンピュータのプログラムに 最 終 調 整 を 施 すケースを 考 えよう 工 作 機 械 の 本 体 は 組 立 てが 終 了 しているが 顧 客 の 要 望 に 応 えるソフトの 作 り 込 み 機 械 の 馴 らし 運 転 にはなおもかなりの 時 間 が 必 要 で コストに 換 算 すると 受 注 総 コストのたとえば 20%が 発 生 すると 見 込 まれているとする このケースでは 受 注 した 製 商 品 は 買 い 手 の 工 場 に 持 ち 込 まれ 形 式 的 には 買 い 手 の 支 配 下 におかれているが 実 質 的 にみると 売 り 手 から 買 い 手 への 製 商 品 の 引 渡 し はまだ 終 わっていない したがって たとえ 販 売 対 価 の 全 額 がすでに 支 払 済 みになっていても 売 り 手 にとってこの 工 作 機 械 の 販 売 収 益 が 未 実 現 であることは 明 白 である ここで 工 作 機 械 の 収 益 が 実 現 していないのは 単 に 製 商 品 の 引 渡 しが 未 完 了 という 理 由 にというよりも 売 り 手 の 製 造 プロセスがまだ 終 わっていないという 理 由 による 機 械 は 買 い 手 の 工 場 に 搬 入 されているが なおも 売 り 手 側 の 製 造 が 続 けられていて 追 加 のコス トがこれからも 発 生 する 売 り 手 が 製 造 を 継 続 しているということは 取 引 対 象 の 製 商 品 は 依 然 として 稼 得 プロセスのさ 中 にあって まだ 販 売 可 能 なステップには 達 していないこ とを 意 味 する 伝 統 的 な 収 益 費 用 アプローチによれば 稼 得 プロセスが 完 結 してはじめ て 製 商 品 は 販 売 可 能 となり 販 売 可 能 な 製 商 品 が 外 部 に 販 売 されてはじめて 収 益 が 実 現 さ れる この 収 益 費 用 アプローチの 考 え 方 にしたがうと 収 益 が 実 現 されるためには そ の 前 に 稼 得 プロセスが 終 了 していなければならないから 製 造 プロセスの 途 上 にある 製 商 品 は たとえ 買 い 手 に 引 渡 済 みのようであっても 収 益 が 実 現 されることはありえない もしこの 工 作 機 械 について 売 上 高 を 計 上 すれば 未 実 現 利 益 というより 未 稼 得 利 益 (unearned revenue)の 認 識 になる この 例 のように 売 買 契 約 が 存 在 し 代 金 も 支 払 われ 製 商 品 も 引 き 渡 されているのに 製 造 プロセスが 終 了 していないのではないかと 疑 われるケースは 実 際 には 少 なくない 有 形 の 財 の 場 合 でも 製 商 品 の 引 渡 後 に 買 い 手 の 支 配 下 において 据 付 け カスタマイズ 試 運 転 不 具 合 の 補 修 などの 調 整 作 業 がすすめられることが 多 いし マニュアル 作 成 運 転 要 員 の 訓 練 など 追 加 的 なサービスが 後 から 提 供 される 場 合 もある これらの 作 業 が 製 商 品 の 販 売 後 に 無 料 で 提 供 されるサービスなのであれば それは 単 なるアフター コスト の 発 生 といえなくもないが 製 造 工 程 の 一 部 の 遂 行 であったり 製 商 品 の 追 加 加 工 であっ たりすれば それは 収 益 認 識 の 後 にまだ 製 造 プロセスが 残 されていて 未 稼 得 利 益 が 認 識 されているということになる 7
(3) 未 提 供 のサービス サービス 経 済 への 移 行 にともない 形 のないサービスを 販 売 するビジネスが 激 増 してい るが このサービスの 取 引 では 売 り 手 から 買 い 手 へのサービス 提 供 時 点 を 特 定 するのが はなはだしく 困 難 である ショッピング クラブなど 会 員 制 クラブでは 会 員 から 入 会 金 を 徴 収 して 一 定 期 間 会 員 に 買 い 物 の 特 典 などのサービスを 提 供 しているし アスレチ ック クラブなどでも 会 員 だけに 対 して 施 設 や 機 器 の 利 用 権 を 供 与 し これによって 会 費 収 入 を 受 けている これらの 会 員 制 クラブのサービスの 収 益 計 上 にあたっては サービ スの 提 供 ごとに 個 別 にどれだけ 提 供 したのか 契 約 の 履 行 状 況 を 計 測 すべきであろうが 運 用 の 便 宜 からこうした 正 確 な 手 順 を 断 念 し 簡 便 法 によっているのがほとんどである 最 も 典 型 的 な 簡 便 法 は 入 会 時 に 受 け 取 る 前 払 いのサービス 料 (up-front service fees)を 現 金 基 準 によってそのまま 入 金 時 に 収 益 に 計 上 する 方 式 である しかし 現 金 基 準 によると 実 際 にサービスが 提 供 されるよりも 前 のステップにおいて 売 上 高 が 計 上 され 早 期 収 益 認 識 になる サービス 産 業 においては 収 益 の 稼 得 はサービスの 生 産 ということになるから 現 金 基 準 による 収 益 の 計 上 は 未 稼 得 利 益 の 認 識 にほかならない SAB101 はこの 批 判 を 受 けて 1999 年 に 繰 延 法 (deferral method)を 原 則 とするという 新 しいガイドレインを 示 して いる ここに 繰 延 法 というのは 時 間 の 経 過 とともにサービスが 提 供 されるという 考 えによ り 会 費 収 入 の 入 金 を 前 受 金 として 処 理 しておき 時 間 ベースで 契 約 期 間 に 配 分 する 方 法 である この 会 員 制 クラブの 前 払 サービス 料 と 同 等 の 会 計 処 理 が 要 求 されるのが 雑 誌 など 刊 行 物 の 購 読 料 (subscription)である 購 読 料 は 前 払 いされるが サービスが 提 供 されるのは 後 日 の 刊 行 物 の 引 渡 しであるから 入 金 時 には 前 受 金 として 計 上 しておき 刊 行 物 の 出 荷 に 見 合 う 部 分 だけを 収 益 に 認 識 しなければならない 現 金 基 準 によって 入 金 時 にすべての 購 読 料 収 入 を 売 上 高 に 計 上 すると 早 期 収 益 認 識 になる (4)ソフトウェア 販 売 収 益 の 早 期 認 識 コンピュータのソフトウェアの 取 引 では しばしばいくつかの 要 素 が 束 にされていて その 組 合 せ 方 によりサービスの 提 供 の 仕 方 に 多 様 性 が 生 じている ソフト 製 品 自 体 が 単 体 で( 箱 に 梱 包 されて) 販 売 されるケースが 最 も 単 純 といえるが この 場 合 でもソフト 製 品 の 販 売 がライセンスの 供 与 とされていることがあり 販 売 対 価 はライセンス 使 用 料 の 前 払 いと いう 性 格 をもつことがある また ソフト 製 品 は 関 連 の 他 サービスとパッケージにされて 販 売 されることも 多 く インストール トレーニング 技 術 サポート 顧 客 サービス( 電 話 サポートなど) アップグレードなどの 付 随 サービスがしばしば 本 体 に 組 み 込 まれている これらの 関 連 サービスは ソフト 製 品 の 出 荷 時 には 未 提 供 のサービスで 販 売 後 になって から 顧 客 にこれらのサービスがネットワークを 通 じて 追 加 的 に 提 供 されることが 少 なくな い そのほか ソフトウェアの 取 引 では 販 売 後 において 買 い 手 の 要 望 におうじてソフト の 造 り 込 み プログラムの 手 直 し カスタマイズが 行 われるケースがある 8
ソフトウェアの 取 引 に 関 しては かつては 会 計 ルールそのものが 不 存 在 であり 収 益 認 識 基 準 はまちまちとなっていた これらの 多 様 な 会 計 方 法 の 中 で 最 も 一 般 的 であったのは 現 金 基 準 によって 入 金 時 に 収 益 を 認 識 する 方 法 と ソフト 製 品 の 出 荷 時 に 販 売 基 準 により 収 益 を 認 識 する 方 法 である しかし これらはいずれも 顧 客 に 未 提 供 の 関 連 サービスを 考 慮 に 入 れておらず 早 期 収 益 の 認 識 というよりも 未 稼 得 収 益 の 認 識 になっているという 批 判 がたえなかった この 実 務 の 混 乱 を 受 けて 1997 年 に AICPA は Statement of Position(SOP) 97-2 ソフト ウェア 収 益 の 認 識 を 発 表 し その 収 益 認 識 のガイドラインを 示 した この SOP97-2 の 基 準 は 1999 年 の SAB101 にそのまま 引 き 継 がれているから 販 売 基 準 の3 要 件 を 満 たさなけ ればならない 点 は 通 常 の 財 サービスの 取 引 とまったく 同 じである しかし 売 り 手 か ら 買 い 手 へのサービスの 引 渡 し という 要 件 がことさら 強 調 されているので ソフトウェ アの 取 引 では 収 益 の 繰 延 べがむしろ 原 則 的 な 方 法 になっている ソフト 製 品 本 体 を 引 き 渡 すだけで 取 引 が 完 了 するのであれば 売 り 手 にとっては 出 荷 時 に 収 益 を 認 識 するのが 最 も 合 理 的 である しかし ソフト 製 品 の 販 売 代 金 が 使 用 ライセン スの 一 括 前 払 いであれば 売 り 手 では 契 約 条 項 にしたがって 時 間 基 準 で 収 益 を 繰 り 延 べ る 処 理 が 要 求 される さらに ソフト 製 品 の 本 体 と 関 連 サービスがパッケージにされてい る 場 合 には 複 合 的 要 素 (multiple elements)を 分 解 し 本 体 とそれぞれの 要 素 を 公 正 価 値 で 評 価 したうえで 全 体 のライセンス 料 を 本 体 と 各 要 素 に 按 分 する そして それぞれのサ ービスについて 提 供 の 度 合 いを 示 す 経 済 的 遂 行 度 (economic performance)を 見 積 もって こ の 遂 行 度 におうじて 収 益 を 認 識 しなければならない SOP97-2 は 例 外 を 設 けて ソフトの 造 り 込 み プログラムの 手 直 し カスタマイズを 行 うソフト 製 品 のケースと システムの 構 築 そのものを 請 合 うケースについては 契 約 会 計 (contract accounting) つまり 請 負 工 事 契 約 の 会 計 を 適 用 することを 指 示 している したが って これらの 例 外 的 なケースでは 原 則 として 工 事 進 行 基 準 (percentage-of-completion method) によって もし 工 事 進 行 基 準 の 適 用 が 困 難 であれば 工 事 完 成 基 準 (completed-contract method)によって 収 益 を 認 識 しなければならない 4. 結 び 会 計 ルールの 国 際 的 コンバーゼンスの 動 きがすすむ 中 で 資 産 負 債 アプローチが 拡 が ってきているが 貸 借 対 照 表 中 心 のこのものの 見 方 にしたがうと 事 業 活 動 を 源 泉 とする ものに 限 られるとはいえ 資 産 の 増 加 か 負 債 の 減 少 をもたらすものだけが 収 益 とされるか ら 収 益 の 認 識 にあたっては 売 り 手 が 貨 幣 か 貨 幣 請 求 権 をいつ 取 得 したかが 関 心 の 焦 点 になりがちである その 貨 幣 か 貨 幣 請 求 権 をもたらしたのが 売 買 契 約 の 締 結 であったとか 売 り 手 から 買 い 手 への 財 サービスの 引 渡 しであったといった 点 はとかく 背 後 に 押 しやら れやすい 売 り 手 の 内 部 で 収 益 が 形 づくられる 稼 得 プロセスになると 資 産 負 債 アプロ ーチでは 視 野 の 中 にさえ 入 ってこないらしく いささかの 注 意 も 払 われていないこと 多 い 9
これに 対 して 伝 統 的 な 収 益 費 用 アプローチでは 収 益 の 認 識 にあたって 取 引 相 手 つ まり 買 い 手 が 果 たす 主 導 的 役 割 に 目 を 向 け 買 い 手 における 購 買 の 決 断 買 い 手 への 財 サービスの 引 渡 しをまず 確 認 したうえで この 売 買 取 引 の 事 実 関 係 に 貨 幣 資 産 のフローを 結 びつける 販 売 基 準 では 合 意 の 成 立 財 サービスの 引 渡 し 貨 幣 または 貨 幣 請 求 権 の 取 得 を 収 益 認 識 の3 要 件 にしているが これらのどれかが 抜 け 落 ちると 買 い 手 側 の 買 い とのかかわりが 薄 れて 売 り 手 側 における 売 り の 会 計 処 理 がその 存 立 論 拠 を 弱 め てしまうという 考 えによるものである 伝 統 的 な 収 益 費 用 アプローチを 特 徴 づけるもう1つの 重 要 な 点 は 稼 得 プロセスが 想 定 されていて 収 益 の 稼 得 が 収 益 の 実 現 の 前 提 にされているということである 収 益 はま ず 製 造 を 通 じて 稼 得 され 内 部 で 稼 得 された 収 益 だけが 外 部 への 販 売 によって 実 現 され ると 考 えられる このため 早 期 収 益 認 識 の 検 討 にあたっても 販 売 基 準 の3 要 件 のいず れかが 満 たされていない 未 実 現 収 益 の 認 識 のケースと 未 完 成 の 財 サービスの 引 渡 しに よる 未 稼 得 収 益 の 認 識 は 区 別 して 取 り 扱 われることになる 収 益 費 用 アプローチにおいては 収 益 の 認 識 にあたり 重 要 なポイントに 絞 ってでは あるが このように 多 数 の 条 件 が 同 時 に 考 慮 され すべての 条 件 が 整 うまで 収 益 認 識 のタ イミングが 引 き 延 ばされる この 認 識 タイミングの 遅 延 は 保 守 主 義 につながるものであり 会 計 数 値 の 信 頼 性 を 高 めて その 品 質 を 引 き 上 げるのに 寄 与 している しかし 経 営 者 に おいては 無 理 にでも 売 上 高 の 計 上 を 急 ぎたいという 機 会 主 義 的 行 動 の 動 機 が 強 められが ちであるから 早 期 収 益 認 識 の 裁 量 行 動 が 誘 発 されることになる 本 稿 において 取 り 上 げ たのは 販 売 取 引 の 形 式 を 整 えることによって 売 上 高 の 計 上 を 前 倒 しにしようとする 経 営 者 の 裁 量 行 動 であるが 合 意 の 形 成 財 サービスの 引 渡 しという 販 売 基 準 の2 要 件 につ いての 検 討 だけからしても 収 益 費 用 アプローチにはなおも 深 刻 な 問 題 が 残 されている ことが 明 らかになった 注 (1) 虚 偽 の 売 上 計 上 は 架 空 収 益 の 認 識 (fictitious revenue recognition)とか 粉 飾 決 算 (window dressing)とか 呼 ばれているが これはアメリカでは 詐 欺 的 会 計 実 務 (fraudulent accounting practice)として 日 本 では 有 価 証 券 報 告 書 虚 偽 記 載 として 刑 事 罰 の 対 象 とされている 本 稿 で 取 り 上 げる 収 益 数 値 制 御 はこの 架 空 収 益 の 認 識 とは 一 線 を 画 しているので 一 般 に 認 められた 会 計 原 則 (GAAP)の 範 囲 内 で 行 われるものだけに 議 論 を 限 定 する (2) 日 本 では 会 計 学 の 教 科 書 において 売 り 手 と 買 い 手 の 合 意 が 販 売 基 準 の 要 件 であることが 明 確 に 指 摘 されるのはまれなことである これは 財 サービスの 引 渡 しと 貨 幣 請 求 権 の 取 得 の 両 方 が 販 売 によっ て 確 保 されているとすれば その 前 に 必 ず 売 り 手 と 買 い 手 の 合 意 があるはずだという 推 定 を 根 拠 にしてい ると 思 われるが 望 ましいこととはいえない 売 り 手 と 買 い 手 の 合 意 という 要 件 は 販 売 基 準 の 第 1の 最 も 重 要 な 要 件 なのであるから 明 示 的 に 列 挙 して 論 理 的 な 検 討 を 加 えるべきである (3) ここで 取 り 上 げる 返 品 条 項 のほかに 買 い 手 が 仕 入 れ 後 になって 仕 入 価 格 の 修 正 を 要 求 してくるケース 10
があり これも 売 買 契 約 の 不 確 定 性 に 該 当 する 日 本 の 取 引 慣 行 にはこの 価 格 修 正 条 項 にかかわることが 多 いが この 価 格 修 正 条 項 にまつわる 会 計 問 題 については 岡 部 [2000] 岡 部 [2005a] 岡 部 [2005b]を 検 討 されたい (4) このリスク 移 転 目 的 の 返 品 条 項 には 一 定 の 期 限 内 にという 制 限 がつけられるが そのほかにいろいろ な 条 件 がついているのがふつうである このため 返 品 条 項 の 寛 容 さ にはさまざまなバリエーションが 生 まれ ほとんど 無 条 件 に 返 品 を 許 容 する 場 合 から 返 品 数 量 の 増 加 に 応 じて 重 いペナルティを 科 す 場 合 まで 多 様 になる なお 返 品 条 項 は 売 れ 残 り 損 失 のダメージを 救 済 するリスク 分 担 契 約 なので そのリス クの 移 転 にともなって 小 売 りの 行 動 に 変 化 が 生 じる 小 売 りの 販 売 努 力 が 低 下 する 小 売 りが 投 げ 売 りを 控 える 小 売 りがメーカーの 希 望 小 売 価 格 を 順 守 するというのがその 例 である しかし ここではこれら のインセンティブへの 影 響 には 立 ち 入 る 余 裕 がない (5) この 第 1 取 引 の 時 点 において 収 益 を 認 識 する 場 合 将 来 に 発 生 すると 予 想 される 返 品 に 対 して 収 益 控 除 性 引 当 金 を 設 定 することが 必 要 とされる 第 1の 販 売 取 引 と 第 2の 返 品 取 引 とが2つ 以 上 の 期 間 に 跨 がれ ば 当 期 の 販 売 取 引 が 将 来 期 間 の 返 品 によって 取 り 消 されるから 正 確 にいえば 1 返 品 予 想 額 だけ 当 期 の 売 上 高 が 過 大 になる 2 返 品 予 想 額 だけ 期 末 の 売 掛 金 が 過 大 になる 3 返 品 予 想 額 に 見 合 うだけ 期 末 在 庫 が 過 小 で 売 上 原 価 も 過 大 になる という 誤 謬 が 生 じる しかし これらを 期 末 にすべて 修 正 するのは あまりに 大 掛 かりなので SFAS No.48 では 期 末 には 将 来 の 返 品 予 想 額 を 見 積 もることによって 売 上 収 益 と 売 上 原 価 を 修 正 し これにともない 貸 借 対 照 表 の 負 債 に 返 品 引 当 金 (provision for return)を 計 上 す ることが 要 求 されている(para.7) なお わが 国 ではアパレル 医 薬 農 薬 化 粧 品 などの 限 られた 業 種 で 税 務 上 返 品 調 整 引 当 金 の 設 定 が 認 められている この 返 品 調 整 引 当 金 は 予 想 される 返 品 による 過 大 な 営 業 利 益 を 修 正 するもので 返 品 にともなう 売 上 収 益 の 修 正 額 と 売 上 原 価 の 修 正 額 の 差 額 を 返 品 調 整 引 当 額 とし これを 売 上 原 価 に 追 加 することによって 売 上 総 利 益 を 補 正 する (6) 返 品 条 項 つきの 販 売 が 委 託 販 売 として 処 理 されるとなると 受 託 者 側 では 販 売 価 格 と 仕 入 原 価 の 差 額 だ けを 販 売 手 数 料 として 売 上 高 に 計 上 するというのが 会 計 のルールである もし 小 売 りの 仕 入 れが 受 託 販 売 だとすると 売 上 高 の 会 計 処 理 が 純 額 法 になるために 売 上 高 の 数 値 が 大 幅 に 圧 縮 されるというデメリッ トが 生 じるおそれがある 参 考 文 献 American Institute of CPAs, Accounting Standards Executive Committee, Statement of Position (SOP) 97-2, Software Revenue Recognition (October 1997). Financial Accounting Standards Board, Statement of Financial Accounting Standards No. 48, Revenue Recognition When Right of Return Exists (June 1981). Financial Accounting Standards Board, Emerging Issues Task Force Issue No. 99-19, Reporting Revenue Gross as a Principal versus Net as an Agent (1999). Healy, P., and J. Wahlen, A Review of the Earnings Management Literature and Its Implication for Standard Setting, Accounting Horizons, Vol. 13, No. 4 (December,1999), pp. 365-383. McNichols Maureen F. Research Design Issues in Earnings Management Studies, Journal of Accounting 11
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