< 中 国 税 務 会 計 情 報 > 中 国 内 の 日 系 企 業 に 散 見 される 税 務 上 の 問 題 等 についての 考 察 2013 年 3 月 独 立 行 政 法 人 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ)
目 次 1. 中 国 - 日 本 二 国 間 の 取 引 に 対 する 課 税 に 関 する 問 題... 1 1.1 日 本 親 会 社 からの 技 術 指 導 料 に 対 する 課 税 問 題... 1 1.2 長 期 に 渡 り 未 払 状 態 である 債 務 の 処 理... 3 1.3 中 国 内 源 泉 所 得 を 有 する 外 国 人 に 対 する 個 人 所 得 税 の 課 税 問 題... 4 2. 中 国 国 内 の 各 種 課 税 に 関 する 問 題... 5 2.1 増 値 税... 5 2.1.1 控 除 不 可 仕 入 税 額 の 誤 控 除... 5 2.1.2 無 償 譲 渡 資 産 に 対 する 課 税... 6 2.2 企 業 所 得 税... 6 2.2.1 税 法 の 規 定 要 件 を 満 たさない 発 票 取 得 による 損 金 処 理... 6 2.2.2 企 業 が 支 払 うコミッションの 損 金 算 入 限 度 額... 9 2.3 個 人 所 得 税... 10 2.3.1 企 業 が 社 員 に 提 供 する 経 済 的 利 益 に 対 する 課 税... 10 2.4 印 花 税 ( 印 紙 税 )... 11 2.4.1 印 花 税 の 未 納... 11 2.4.2 印 花 税 申 告 時 期 の 遅 延... 11
本 報 告 書 の 利 用 についての 注 意 免 責 事 項 本 報 告 書 は 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ) 武 漢 事 務 所 が 現 地 コンサルティング 会 社 上 海 納 克 名 南 企 業 管 理 諮 詢 有 限 公 司 武 漢 分 公 司 (NAC 名 南 ( 中 国 )コンサルティング 武 漢 事 務 所 )に 作 成 委 託 し 2013 年 3 月 現 在 入 手 している 情 報 に 基 づくものであり その 後 の 法 律 改 正 等 によって 変 わる 場 合 があります また 掲 載 した 情 報 コメントは 筆 者 および ジェトロの 判 断 によるものですが 一 般 的 な 情 報 解 釈 がこのとおりであることを 保 証 す るものではありませんこと 予 めお 断 りします ジェトロは 本 報 告 書 の 記 載 内 容 に 関 して 生 じた 直 接 的 間 接 的 派 生 的 特 別 の 付 随 的 あるいは 懲 罰 的 損 害 および 利 益 の 喪 失 については それが 契 約 不 法 行 為 無 過 失 責 任 あるいはその 他 の 原 因 に 基 づき 生 じたか 否 かにかかわらず 一 切 の 責 任 を 負 いませ ん これは たとえジェトロがかかる 損 害 の 可 能 性 を 知 らされていても 同 様 とします 本 報 告 書 にかかる 問 い 合 わせ 先 : 独 立 行 政 法 人 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ) 進 出 企 業 支 援 知 的 財 産 部 進 出 企 業 支 援 課 107-6006 東 京 都 港 区 赤 坂 1-12-32 Tel:03-3582-5017
< 中 国 税 務 会 計 情 報 > 中 国 内 の 日 系 企 業 に 散 見 される 税 務 上 の 問 題 等 についての 考 察 はじめに 現 在 弊 社 は 中 国 内 に 設 立 された 日 系 企 業 に 対 し 会 計 税 務 を 中 心 として さまざまな 業 務 を 提 供 しているが その 中 でも 税 務 上 の 問 題 について 税 務 調 査 等 にて 日 系 企 業 に 散 見 された 事 項 について 考 察 を 行 うことにする 1. 中 国 - 日 本 二 国 間 の 取 引 に 対 する 課 税 に 関 する 問 題 1.1 日 本 親 会 社 からの 技 術 指 導 料 に 対 する 課 税 問 題 武 漢 をはじめとした 中 国 湖 北 省 に 進 出 する 日 系 企 業 の 多 くは 自 動 車 関 連 企 業 であり 多 くの 自 動 車 部 品 関 連 企 業 が 生 産 設 備 を 有 している 日 本 の 製 造 業 は 海 外 における 工 場 の 立 ち 上 げ 時 から 量 産 開 始 以 降 にも 企 業 としての 製 品 品 質 を 保 持 するため 日 本 国 内 の 工 場 より 人 員 を 派 遣 しその 技 術 指 導 を 現 地 スタッ フに 対 し 行 うことが 多 い そしてその 際 技 術 指 導 料 と 称 して 対 価 を 徴 収 す ることが 一 般 的 である この 技 術 指 導 料 の 支 払 いに 関 し 現 在 中 国 で 散 見 される 問 題 は 主 に 二 つ に 大 別 される 1 中 国 日 本 への 海 外 送 金 問 題 2 海 外 送 金 時 の 中 国 内 での 課 税 問 題 現 在 中 国 ではその 厳 格 な 外 貨 管 理 政 策 により 技 術 指 導 料 を 送 金 する 際 にいくつかの 手 続 きが 求 められるが その 中 の 一 つに 納 税 問 題 がある この 納 税 問 題 について 弊 社 がこれまで 散 見 した 事 項 は 次 のとおりである (1) 支 払 内 容 や PE 認 定 の 有 無 に 関 わらず 税 務 局 が 支 払 額 ( 収 入 )の 10%の 源 泉 徴 収 で 処 理 してしまう また PE 認 定 されている 場 合 であっても 個 人 所 得 税 の 納 税 を 要 求 しない <リスク> 税 務 局 の 遡 及 により 突 然 追 徴 課 税 を 求 められ かつ 課 徴 金 を 追 納 しなけれ 1
ばならない 可 能 性 がある < 対 策 > 税 務 局 の 担 当 官 に 租 税 条 約 の 規 定 を 十 分 理 解 してもらい 突 然 の 追 納 リスク をできるだけ 軽 減 する (2) 取 り 決 めにより 源 泉 徴 収 分 を 支 払 い 側 が 負 担 している < 例 > 技 術 指 導 料 1,000 の 送 金 を 行 った 場 合 ( 金 額 は 仮 定 ) 中 国 法 人 1 ( 借 方 ) 製 造 費 用 1,000/( 貸 方 ) 現 金 預 金 1,000 契 約 上 の 技 術 指 導 料 金 額 2 ( 借 方 ) 製 造 費 用 100/( 貸 方 ) 現 金 預 金 100 源 泉 徴 収 分 契 約 上 の 金 額 満 額 を 受 取 側 ( 日 本 親 会 社 )が 受 領 できるように 支 払 側 が 源 泉 徴 収 すべき 税 金 を 負 担 し 経 費 処 理 を 行 っている 2について 本 来 受 領 側 が 負 担 すべき 税 金 であり 支 払 側 で 費 用 処 理 された としても 税 務 上 損 金 算 入 できず 税 務 調 査 等 によって 否 認 されるリスクが 発 生 する 上 記 の 例 における 源 泉 徴 収 税 の 内 訳 は 企 業 所 得 税 営 業 税 (または 増 値 税 ) 営 業 税 附 加 が 含 まれ PE 認 定 されている 場 合 には 技 術 指 導 者 の 個 人 所 得 税 も 追 加 される < 対 策 と 課 題 > 上 記 の 例 に 関 連 して 弊 社 の 某 顧 客 企 業 では 次 のような 事 例 があった 技 術 指 導 料 の 送 金 中 国 法 人 1 ( 借 方 ) 製 造 費 用 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 契 約 上 の 技 術 指 導 料 金 額 2 ( 借 方 ) 製 造 費 用 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 日 本 親 会 社 企 業 所 得 税 ( 源 泉 徴 収 ) 3 ( 借 方 ) 製 造 費 用 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 日 本 親 会 社 営 業 税 ( 源 泉 徴 収 ) 4 ( 借 方 ) 製 造 費 用 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 日 本 親 会 社 営 業 税 附 加 ( 源 泉 徴 収 ) 5 ( 借 方 ) 製 造 費 用 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 日 本 親 会 社 個 人 所 得 税 ( 源 泉 徴 収 ) 上 記 < 例 >で 示 したとおり 日 本 本 社 側 の 要 求 により 契 約 金 額 の 満 額 を 送 金 し 各 種 源 泉 徴 収 税 額 をすべて 送 金 側 が 負 担 していた 2
これに 関 する 税 務 上 の 課 題 は 次 のとおりである A) 中 国 側 において 損 金 算 入 を 否 認 される(リスクが 非 常 に 高 い) B) 日 本 側 において 請 求 通 りの 金 額 が 入 金 されることにより 源 泉 徴 収 され ているということを 認 識 していない 上 記 取 引 は 中 国 の 税 務 会 計 上 本 来 は 次 のようになるべきである 中 国 法 人 1 ( 借 方 ) 製 造 費 用 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 日 本 親 会 社 への 送 金 額 ( 税 引 後 ) 2 ( 借 方 ) 製 造 費 用 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 日 本 親 会 社 企 業 所 得 税 ( 源 泉 徴 収 ) 3 ( 借 方 ) 製 造 費 用 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 日 本 親 会 社 営 業 税 ( 源 泉 徴 収 ) 4 ( 借 方 ) 製 造 費 用 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 日 本 親 会 社 営 業 税 附 加 ( 源 泉 徴 収 ) 5 ( 借 方 ) 製 造 費 用 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 日 本 親 会 社 個 人 所 得 税 ( 源 泉 徴 収 ) 1~5の 合 計 額 = 契 約 上 の 技 術 指 導 料 金 額 また 日 本 側 での 会 計 処 理 は 次 のとおりである 1 ( 借 方 ) 現 金 預 金 /( 貸 方 ) 売 上 高 2 ( 借 方 ) 法 人 税 住 民 税 等 /( 貸 方 ) 売 上 高 外 国 税 額 控 除 の 対 象 3 ( 借 方 ) 租 税 公 課 /( 貸 方 ) 売 上 高 4 ( 借 方 ) 租 税 公 課 /( 貸 方 ) 売 上 高 5 ( 借 方 ) 預 り 金 /( 貸 方 ) 売 上 高 または 5 ( 借 方 ) 給 与 手 当 /( 貸 方 ) 売 上 高 日 本 側 が 正 確 な 会 計 処 理 を 認 識 することにより 中 国 側 で 否 認 される(リス クが 高 い) 費 用 を 会 計 処 理 することは 外 国 税 額 控 除 の 適 用 も 含 めトータルタ ックスで 検 討 した 場 合 一 定 の 節 税 効 果 はあると 考 えられる 1.2 長 期 に 渡 り 未 払 状 態 である 債 務 の 処 理 中 国 において 会 社 を 設 立 する 場 合 その 手 続 きの 関 係 上 資 本 金 口 座 を 開 設 し 現 地 法 人 自 身 のキャッシュが 使 用 可 能 となる 前 に 各 種 費 用 の 支 払 いが 必 要 に なるケースが 多 い その 際 出 資 者 である 日 本 親 会 社 が 立 替 支 払 いする 場 合 が 散 見 されるが 現 行 の 中 国 外 貨 管 理 政 策 上 国 外 への 立 替 金 送 金 は 非 常 に 制 限 され 送 金 できない 場 合 が 多 い ( 理 由 ) 3
中 国 人 民 共 和 国 外 貨 管 理 条 例 第 40 条 第 2 項 により 他 人 のために 人 民 元 で 国 内 の 費 用 を 支 払 い 相 手 から 外 貨 を 受 領 する 行 為 は 非 合 法 の さや 取 り 外 貨 取 引 と 規 定 されている 従 って 国 内 機 構 ( 法 人 等 )が 他 人 のために 人 民 元 建 ての 費 用 を 立 替 えた 後 海 外 から 外 貨 を 受 領 する 取 引 は 非 合 法 の さや 取 り 外 貨 取 引 となる 立 替 費 用 支 払 時 日 本 側 ( 借 方 ) 立 替 金 /( 貸 方 ) 現 金 預 金 中 国 側 ( 借 方 ) 管 理 費 用 など /( 貸 方 )その 他 未 払 金 この 未 払 金 が 決 済 できない <リスク> 費 用 計 上 した 未 払 金 が 長 期 に 渡 り 計 上 され 続 けた 場 合 の 税 務 上 の 取 り 扱 いと して 企 業 所 得 税 法 実 施 条 例 第 22 条 の 規 定 によれば 同 法 第 6 条 第 9 項 で 示 す その 他 収 入 には 回 収 が 確 実 に 不 能 な 未 払 勘 定 が 含 まれるとされて いる 従 って 立 替 費 用 を 海 外 送 金 できないことによる 未 払 金 計 上 状 態 が 長 期 間 に 渡 る 場 合 益 金 認 定 されるリスクが 存 在 する < 対 策 > 現 行 の 外 貨 管 理 政 策 上 立 替 金 を 送 金 することは 容 易 ではないが 益 金 認 定 されないためには 確 実 に 債 務 が 存 在 することの 証 明 関 係 書 面 の 整 備 等 を 定 期 的 に 行 う 必 要 がある 1.3 中 国 内 源 泉 所 得 を 有 する 外 国 人 に 対 する 個 人 所 得 税 の 課 税 問 題 某 日 系 企 業 の 社 員 ( 日 本 人 )が 日 本 および 中 国 の 双 方 で 業 務 を 行 い 日 本 側 企 業 と 中 国 側 企 業 よりそれぞれ 給 与 を 得 ている 暦 年 における 中 国 滞 在 日 数 が 183 日 以 下 であるため それぞれの 給 与 額 を 基 準 に 個 人 所 得 税 を 納 税 していた 日 本 :( 日 本 支 給 給 与 額 - 各 種 所 得 控 除 ) 所 得 税 率 = 税 額 中 国 :( 中 国 支 給 給 与 額 - 所 得 控 除 ) 個 人 所 得 税 率 = 税 額 < 問 題 点 > 国 税 発 [2004]97 号 および 国 税 発 [1994]148 号 第 2 条 日 中 租 税 条 約 第 16 条 の 4
規 定 によれば 暦 年 における 中 国 滞 在 日 数 が 183 日 以 下 である 場 合 の 当 月 の 個 人 所 得 税 納 税 額 は 納 税 額 =[( 当 月 国 内 外 賃 金 -4,800 元 ) 税 率 - 速 算 控 除 額 ] ( 当 月 国 内 支 払 賃 金 当 月 国 内 外 支 払 賃 金 総 額 ) ( 当 月 国 内 勤 務 日 数 当 月 日 数 ) となる 今 回 のケースで 仮 にある 月 に 日 本 滞 在 20 日 日 本 支 給 給 与 額 300,000 日 本 円 ( 中 国 元 20,000 元 1 元 =15 円 ) 中 国 滞 在 10 日 (すべて 勤 務 日 とする) 中 国 支 給 給 与 額 10,000 元 である 場 合 誤 ) 中 国 支 給 給 与 のみで 計 算 (10,000 元 -4,800 元 ) 個 人 所 得 税 率 20%- 速 算 控 除 額 555 元 =485 元 正 ) 規 定 に 基 づく 計 算 [(10,000 元 +20,000 元 -4,800 元 ) 25%-1,005 元 ] (10,000 元 30,000 元 ) (10 日 30 日 ) =5,295 元 1/3 1/3=588.33 元 上 記 の 差 額 は 少 額 であるため 実 務 上 の 問 題 点 としてクローズアップされる ことは 極 めて 稀 であるが 規 定 に 基 づかない 場 合 過 少 申 告 納 税 となり 一 定 の 税 務 リスクは 存 在 する 2. 中 国 国 内 の 各 種 課 税 に 関 する 問 題 2.1 増 値 税 2.1.1 控 除 不 可 仕 入 税 額 の 誤 控 除 増 値 税 一 般 納 税 人 において 課 税 仕 入 れにより 支 出 した 増 値 税 については 増 値 税 専 用 発 票 や 税 関 の 納 税 証 明 等 のインボイスを 取 得 すれば 仕 入 税 額 控 除 が 可 能 であるが 弊 社 の 顧 客 企 業 において 下 記 規 定 の 条 件 に 該 当 するケースが あった 増 値 税 暫 行 条 例 第 10 条 次 の 項 目 に 該 当 する 場 合 増 値 税 仕 入 税 額 控 除 はできない ( 一 ) 非 課 税 項 目 免 税 項 目 団 体 福 利 および 個 人 消 費 用 に 購 入 する 課 税 物 品 5
または 課 税 役 務 ( 二 ) 非 正 常 損 失 を 受 けた 購 入 物 品 および 関 連 課 税 労 務 ( 三 ) 非 正 常 損 失 を 受 けた 仕 掛 品 製 品 に 使 用 した 購 入 物 品 または 課 税 役 務 ( 四 ) 国 務 院 財 政 税 務 部 門 の 規 定 する 納 税 者 の 自 家 用 消 耗 物 品 ( 五 ) 上 記 ( 一 )から( 四 )に 規 定 する 物 品 および 免 税 物 品 にかかる 運 送 費 用 ( 六 ) 非 課 税 項 目 免 税 項 目 集 団 福 利 および 個 人 消 費 のみに 使 用 される 固 定 資 産 ( 七 ) 消 費 税 課 税 対 象 となる 車 バイク ヨット ( 八 ) 不 動 産 および 建 設 中 の 不 動 産 主 に( 一 )~( 三 )のケースが 多 く 具 体 的 には 福 利 用 に 購 入 した 物 品 や 管 理 不 行 き 届 きで 使 用 不 能 となった 在 庫 などが 該 当 する これらは 頻 繁 に 発 生 する 取 引 ではないため 規 定 の 適 用 を 失 念 する 場 合 が 多 いが 税 額 控 除 が 認 め られない 場 合 はコストに 転 嫁 せざるを 得 ず 会 社 にとっては 留 意 が 必 要 である 2.1.2 無 償 譲 渡 資 産 に 対 する 課 税 多 くの 企 業 では 取 引 先 に 対 し 自 社 製 品 や 商 品 等 のサンプルを 無 償 配 布 する ことや また 資 本 系 列 が 同 一 の 各 企 業 間 において 中 古 生 産 設 備 等 を 無 償 で 譲 渡 し 移 設 する 場 合 も 多 い この 場 合 増 値 税 暫 行 条 例 実 施 細 則 の 規 定 によれば 自 ら 生 産 委 託 加 工 または 購 入 した 貨 物 を 無 償 で 他 の 単 位 や 個 人 に 譲 渡 した 場 合 課 税 売 上 と 見 な す とされており 多 くの 企 業 がこの 規 定 による 課 税 売 上 の 計 上 を 失 念 するこ とが 多 い 2.2 企 業 所 得 税 2.2.1 税 法 の 規 定 要 件 を 満 たさない 発 票 取 得 による 損 金 処 理 弊 社 が 顧 客 企 業 への 実 務 に 携 わるなかで 税 法 の 規 定 する 正 規 の 発 票 が 取 得 できずに 費 用 処 理 する 件 に 関 し 行 ったさまざまな 検 討 を 下 記 にまとめた (1) 費 用 と 損 金 の 区 別 1 中 国 会 計 準 則 における 費 用 企 業 の 日 常 活 動 の 中 で 実 現 した 所 有 者 持 分 を 減 少 させ かつ 所 有 者 への 利 6
益 配 当 とは 無 関 係 な 経 済 利 益 の 総 流 出 を 指 す 商 品 購 入 役 務 を 受 ける 企 業 が 商 品 販 売 役 務 提 供 を 行 う 企 業 および 個 人 に 対 して 規 定 に 一 致 する 発 票 や 財 務 代 用 領 収 書 となるものを 受 け 取 り 税 引 き 前 支 出 に 含 めることができる 規 定 に 一 致 する 発 票 を 受 け 取 ることができない 場 合 費 用 として 税 引 き 前 支 出 に 含 めてはいけない 2 日 本 会 計 準 則 における 費 用 企 業 の 日 常 活 動 の 中 で 実 現 した 所 有 者 持 分 を 減 少 させ かつ 所 有 者 への 利 益 配 当 とは 無 関 係 な 経 済 利 益 の 総 流 出 を 指 す 商 品 購 入 役 務 を 受 ける 企 業 が 商 品 販 売 役 務 提 供 を 行 う 企 業 および 個 人 に 対 して 支 払 証 憑 を 受 け 取 り 財 務 精 算 の 根 拠 とする 3 日 本 会 計 準 則 における 損 金 日 本 の 法 人 税 法 の 規 定 に 一 致 する 税 引 き 前 支 出 に 含 めることができる 費 用 これらによると 日 本 会 計 準 則 における 費 用 と 損 金 の 概 念 に 対 して 中 国 会 計 準 則 における 費 用 には 税 引 き 前 支 出 に 含 めることができる 費 用 と 税 引 き 前 支 出 に 含 めることができない 費 用 があると 理 解 される 中 国 現 地 日 本 企 業 の 財 務 人 員 が 一 般 に 称 する 費 用 とは 税 引 き 前 支 出 に 含 めることができる 費 用 を 指 す 一 般 に 日 本 の 法 人 税 法 では 税 務 上 損 金 と 認 められない 費 用 支 出 においても 会 計 上 費 用 計 上 した 上 で 税 法 上 損 金 を 否 認 するという 形 式 で 税 法 上 の 所 得 に 加 算 して 調 整 しているが 中 国 会 計 準 則 では 日 本 でいう 損 金 処 理 できない 費 用 支 出 に 関 しては そもそも 費 用 支 出 そのものを 認 めておらず 規 定 に 合 わ ない 費 用 支 出 は 記 録 されない (2) 発 票 の 無 い 費 用 支 払 いに 対 する 税 務 処 理 について 1 根 拠 企 業 所 得 税 法 : 中 華 人 民 共 和 国 主 席 令 第 63 号 2008 年 1 月 1 日 施 行 企 業 所 得 税 法 実 行 条 例 : 中 華 人 民 共 和 国 国 務 院 令 第 512 号,2008 年 1 月 1 日 施 行 2 税 務 処 理 原 則 企 業 所 得 税 法 関 連 規 定 により 規 定 に 一 致 する 費 用 支 出 は 税 引 き 前 費 用 とし て 支 出 に 含 めることができる 規 定 によると 企 業 が 正 規 の 発 票 を 受 け 取 れな い 費 用 に 相 当 する 支 出 については 納 税 額 が 加 算 され 税 引 き 前 費 用 に 含 めるこ 7
とができない (3) 発 票 の 無 い 費 用 支 払 いに 対 する 財 務 処 理 について 1 根 拠 中 華 人 民 共 和 国 発 票 管 理 弁 法 国 務 院 2010 年 12 月 20 日 改 正,2011 年 2 月 1 日 施 行 中 華 人 民 共 和 国 発 票 管 理 弁 法 実 行 細 則 国 家 税 務 総 局 令 第 25 号,2011 年 2 月 1 日 施 行 2 会 計 処 理 原 則 中 華 人 民 共 和 国 発 票 管 理 弁 法 ( 改 正 後 ) 第 二 十 一 条 規 定 に 一 致 しない 発 票 は 財 務 代 用 領 収 書 とすることができず いかなる 単 位 および 個 人 は 受 取 拒 絶 の 権 利 を 有 する の 規 定 により 企 業 が 受 け 取 った 規 定 に 一 致 しない 発 票 は 原 則 上 財 務 証 憑 として 記 帳 することができない ただし 実 際 の 企 業 の 業 務 に おいて 企 業 が 規 定 に 一 致 する 発 票 を 受 け 取 れない 情 況 に 直 面 した 場 合 発 生 主 義 の 原 則 や 真 実 性 の 原 則 を 企 業 の 経 営 状 況 に 完 全 に 反 映 させるために 企 業 が 受 け 取 った 規 定 に 一 致 しない 発 票 について 企 業 所 得 税 の 計 算 時 に 正 規 の 発 票 を 取 得 できない 業 務 支 出 として 納 税 加 算 処 理 を 行 う この 条 文 規 定 と 実 際 情 況 の 乖 離 の 問 題 に 関 し 弊 社 が 関 連 部 門 に 問 い 合 わせ たところ 根 本 的 原 則 として 規 定 に 一 致 しない 発 票 に 相 応 する 支 出 は 税 引 き 前 費 用 に 含 めることができない ただできる 限 り 正 規 の 発 票 を 請 求 し 発 票 の 有 無 で 業 務 支 出 を 明 確 に 区 分 して 記 帳 し 同 時 に 税 務 局 に 対 し 正 規 の 発 票 を 取 得 できない 実 情 を 充 分 に 説 明 し その 証 明 により 合 法 的 納 税 行 為 とする と いう 内 容 の 回 答 が 得 られた (4) 企 業 に 対 する 影 響 帳 簿 記 入 時 において 発 票 の 無 い 業 務 支 出 を 費 用 として 記 帳 したときに 企 業 が 受 ける 影 響 については 以 下 のとおりである 1 企 業 財 政 等 級 評 定 について 財 政 局 財 務 等 級 の 評 定 は A B C D の 4 種 類 であり A は 最 高 D は 最 低 である 検 査 頻 度 は 評 定 等 級 が 上 がるに 従 い 減 少 する また 財 政 等 級 評 定 標 準 には 記 帳 証 憑 に 関 連 する 規 定 がある 非 正 規 発 票 を 記 帳 した 場 合 企 業 評 定 等 級 が 下 がる 可 能 性 があるが 罰 金 には 至 らない 8
2 税 務 検 査 について 税 務 検 査 は 税 務 局 専 門 部 門 の 検 査 専 員 が 検 査 を 行 い 税 務 担 当 官 は 参 加 しな い そのため 税 務 検 査 人 員 は 企 業 の 日 常 業 務 情 況 や 業 務 特 徴 を 充 分 理 解 してい ないため 調 査 時 にその 評 価 に 影 響 がある そのため 非 正 規 発 票 の 記 帳 処 理 はその 詳 細 を 説 明 し 事 情 を 理 解 してもらい 同 時 に 異 議 無 きように 記 帳 し 可 能 な 限 り 税 務 検 査 時 におけるリスクの 低 減 もしくは 解 消 を 図 る 2.2.2 企 業 が 支 払 うコミッションの 損 金 算 入 限 度 額 中 国 より 日 本 向 けに 製 品 商 品 の 輸 出 を 行 っている 企 業 のうち 日 本 親 会 社 の 取 引 先 に 対 し 現 地 法 人 より 直 接 売 買 契 約 輸 出 代 金 決 済 を 行 う 場 合 現 地 法 人 が 日 本 親 会 社 に 対 し 売 上 高 の 一 定 割 合 を 営 業 顧 客 紹 介 料 としてコミッシ ョンを 支 払 っている 場 合 がある このコミッションに 対 する 税 務 上 の 規 定 については 以 下 のとおりである 財 税 [2009] 第 29 号 ( 企 業 の 支 払 手 数 料 および 支 払 コミッションの 損 金 算 入 政 策 に 関 する 通 達 ) 企 業 において 生 産 経 営 に 関 して 生 じる 支 払 手 数 料 および 支 払 コミッションに 関 しては 下 記 規 定 に 基 づき 計 算 される 限 度 超 過 額 について 損 金 算 入 は 認 めな い ( 一 ) 保 険 企 業 ( 二 ) その 他 の 企 業 : 合 法 的 な 経 営 資 格 を 有 する 仲 介 サービス 機 構 または 個 人 と 締 結 したサービス 協 議 書 および 契 約 書 に 規 定 される 収 入 の 5%を 限 度 額 と する 弊 社 の 認 識 では 上 記 規 定 を 基 に 多 くの 企 業 は 契 約 上 のコミッションを 5% とするケースが 一 般 的 であるが 実 務 上 以 下 の 事 項 について 留 意 が 必 要 であ る 1 5% 以 内 のコミッションであっても 年 度 確 定 申 告 時 ( 年 末 )までにその 支 払 い が 完 了 していない 場 合 税 務 上 損 金 算 入 はできない ( 未 払 計 上 による 損 金 算 入 は 不 可 ) 2 弊 社 の 顧 客 企 業 において 税 務 調 査 の 際 5% 以 内 のコミッションであっても 全 額 損 金 算 入 を 否 認 された 事 例 があった その 取 引 内 容 に 対 する 課 税 根 拠 は 9
不 明 であったが 最 終 的 な 課 税 根 拠 は 以 下 のとおりである 企 業 所 得 税 法 第 6 章 特 別 納 税 調 整 第 47 条 企 業 がその 他 の 合 理 的 な 事 業 目 的 のない 取 引 を 実 施 し 課 税 収 入 または 課 税 所 得 を 減 少 させた 場 合 税 務 機 関 は 合 理 的 な 方 法 により 調 整 を 行 う 権 限 を 有 する < 対 策 > 確 実 な 対 策 は 難 しいが 所 轄 税 務 局 の 税 務 担 当 官 に 事 前 に 確 認 しておくこと が 望 ましい 2.3 個 人 所 得 税 2.3.1 企 業 が 社 員 に 提 供 する 経 済 的 利 益 に 対 する 課 税 企 業 が 社 員 に 提 供 する 給 与 報 酬 以 外 の 非 貨 幣 性 経 済 的 利 益 に 対 し 個 人 所 得 税 法 の 規 定 に 基 づく 課 税 がなされていないケースを 散 見 する 個 人 所 得 税 法 実 施 条 例 第 8 条 および 第 10 条 の 規 定 によれば 給 与 所 得 とは 社 員 としての 立 場 で 雇 用 主 から 取 得 する 給 与 賞 与 手 当 および 関 連 する 金 銭 現 物 有 価 証 券 および 経 済 的 利 益 を 指 すと 規 定 されている 弊 社 が 顧 客 企 業 への 実 務 に 携 わるなかで 以 下 のようなケースが 散 見 された 1 工 場 等 を 有 する 生 産 企 業 で 社 内 に 食 堂 施 設 がないことなどから 社 員 に 昼 食 代 として 定 額 かつ 渡 し 切 りの 手 当 を 支 給 し それを 福 利 費 として 処 理 し 給 与 所 得 に 加 算 していないケース 2 中 国 の 春 節 ( 旧 正 月 ) 前 に 社 員 に 配 布 した 紅 包 (お 年 玉 手 当 )を 福 利 費 とし て 処 理 し 給 与 所 得 に 加 算 していないケース 3 中 国 の 中 秋 節 の 際 社 員 に 月 餅 の 詰 め 合 わせを 配 布 したが 福 利 費 として 処 理 し 経 済 的 利 益 ( 現 物 給 与 )として 給 与 所 得 に 加 算 していないケース 4 社 内 で 実 施 した 慰 安 のための 社 員 旅 行 特 に4については 日 本 の 税 法 規 定 では 一 定 の 基 準 を 満 たす( 過 度 ではない) 福 利 厚 生 としての 社 内 旅 行 については 経 済 的 利 益 として 課 税 されないため 日 系 企 業 の 幹 部 ( 特 に 日 本 人 )について 課 税 の 認 識 が 薄 いと 考 えられる 中 国 の 現 行 規 定 では 社 員 旅 行 については 金 額 の 多 少 に 関 係 なく 給 与 所 得 として 個 人 10
所 得 税 の 課 税 対 象 になるとされているので 留 意 が 必 要 である 2.4 印 花 税 ( 印 紙 税 ) 2.4.1 印 花 税 の 未 納 よく 散 見 されるのが 印 花 税 の 未 納 である 印 花 税 は 納 税 申 告 を 要 せず 会 社 自 らが 手 続 きを 行 わなければならないため 納 税 を 失 念 している 場 合 がよく 存 在 する 具 体 的 には 印 花 税 の 課 税 対 象 となる 文 書 のうち 売 買 契 約 書 請 負 契 約 書 等 に 対 する 課 税 は 行 っているが 物 品 運 送 契 約 書 財 産 賃 貸 契 約 書 等 に 対 する 課 税 が 漏 れているケースが 多 い 印 花 税 はその 性 質 から 軽 税 重 罰 方 式 を 採 っているため 税 務 調 査 等 にお いて 課 税 漏 れが 発 覚 した 場 合 のペナルティが 重 く 注 意 が 必 要 である 2.4.2 印 花 税 申 告 時 期 の 遅 延 上 記 の 事 例 以 外 に 印 花 税 の 申 告 納 税 業 務 を 課 税 文 書 作 成 の 都 度 行 わず 業 務 効 率 化 の 観 点 から 年 1 回 しか 申 告 納 税 を 行 っていないケースがあった これ は 決 して 意 図 的 に 課 税 漏 れが 行 われている 訳 ではないと 思 われるが 上 記 同 様 に 調 査 のタイミングによっては 追 徴 課 税 が 発 生 するリスクはある おわりに 弊 社 の 主 要 な 顧 客 である 日 系 企 業 の 日 本 親 会 社 は 必 ずしも 大 法 人 ではなく むしろ 中 小 企 業 が 大 多 数 を 占 める そのため 現 地 法 人 の 管 理 運 営 特 に 税 務 会 計 面 については 日 本 親 会 社 や 現 地 日 本 人 管 理 職 の 管 理 が 十 分 に 行 き 届 かず 現 地 ナショナルスタッフ 任 せの 場 合 が 多 い 筆 者 の 経 験 では 日 本 では 国 税 局 税 務 署 の 税 務 調 査 への 対 応 は 色 々な 意 味 で 重 要 視 される 傾 向 があるが 現 地 法 人 では 税 務 局 以 外 の 部 門 でも 例 えば 税 関 や 消 防 など さまざまな 場 面 で 理 不 尽 な 対 応 を 迫 られることから 法 規 に 沿 った 税 務 への 対 応 についての 優 先 順 位 が 低 くなり 税 務 リスクについてあま り 敏 感 ではないと 感 じられる ( 報 告 書 作 成 委 託 先 現 地 コンサルティング 会 社 : 上 海 納 克 名 南 企 業 管 理 諮 詢 有 限 公 司 武 漢 分 公 司 (NAC 名 南 ( 中 国 )コンサルティング 武 漢 事 務 所 )) 11