ありふれた 氏 又 は 名 称 を 表 示 する 標 章 のみからなる 商 標 の 商 標 審 査 基 準 について( 案 ) 平 成 27 年 12 月 第 3 条 第 1 項 第 4 号 (ありふれた 氏 又 は 名 称 ) ありふれた 氏 又 は 名 称 を 普 通 に 用 いられる 方 法 で 表 示 する 標 章 のみからなる 商 標 1. 現 行 商 標 審 査 基 準 の 概 要 ありふれた 氏 又 は 名 称 について 同 種 のものが 多 数 存 在 するものと 定 義 し 電 話 帳 等 においてかなりの 数 を 発 見 することができるものとの 例 示 をする とともに 表 記 を 変 えた 場 合 の 取 扱 い 及 び 他 の 語 と 結 合 した 場 合 の 本 号 該 当 性 について 記 載 している 2. 商 標 審 査 基 準 改 訂 の 方 向 性 (1) 条 文 の 文 言 を 用 語 ごとに 解 釈 し 本 号 の 該 当 性 判 断 における 考 え 方 を 示 してはどうか (2) 現 行 審 査 基 準 の1.の 50 音 別 電 話 帳 ( 日 本 電 信 電 話 株 式 会 社 発 行 ) は 審 査 資 料 の 一 例 であり 審 査 運 用 に 関 する 記 載 であるため 審 査 基 準 から は 削 除 し 審 査 便 覧 に 記 載 することとしてはどうか (3) 現 行 審 査 基 準 の2.の 仮 名 文 字 又 はローマ 字 で 表 示 したとき の 記 載 は 現 行 5.の 第 3 条 第 1 項 第 1 号 の 普 通 に 用 いられる 方 法 で 表 示 する 標 章 を 準 用 する 旨 の 記 載 で 読 み 込 めるため 削 除 してはどうか (4) 現 行 審 査 基 準 の4.の 第 3 条 第 1 項 第 6 号 に 該 当 する 例 である 特 定 の 役 務 について 多 数 使 用 されている 店 名 についての 記 載 は 第 3 条 第 1 項 第 6 号 に 記 載 があればよいため 本 号 から 削 除 してはどうか (5) 現 行 審 査 基 準 の6. 及 び7.に 記 載 されている 新 しいタイプの 商 標 に 関 する 記 載 は 第 3 条 第 1 項 第 1 号 同 第 2 号 同 第 3 号 同 第 5 号 及 び 同 第 6 号 に 同 様 の 記 載 があるため まとめて 第 3 条 第 1 項 全 体 の 項 目 に 記 載 してはどうか 3. 商 標 審 査 基 準 改 訂 イメージ 1. ありふれた 氏 又 は 名 称 について (1) ありふれた 氏 又 は 名 称 とは 原 則 として 同 種 の 氏 又 は 名 称 が 多 数 存 在 するものをいう (2) (1)に 該 当 しない 場 合 であっても 著 名 な 地 理 的 名 称 ありふれた 氏 業 種 名 等 やこれらを 結 合 したものに 商 号 や 屋 号 に 慣 用 的 に 付 される 文 字 - 1 -
や 会 社 等 の 種 類 名 を 表 す 文 字 等 を 結 合 したものは 原 則 として ありふれ た 名 称 に 該 当 する ただし 国 家 名 又 は 行 政 区 画 名 に 業 種 名 が 結 合 したものに 更 に 会 社 の 種 類 名 を 表 す 文 字 を 結 合 してなるものについては 他 に 同 一 のものが 現 存 しないと 認 められるときは この 限 りでない (イ) 著 名 な 地 理 的 名 称 について 例 えば 次 のような 者 が 著 名 な 地 理 的 名 称 に 該 当 する ( 例 ) 日 本 東 京 薩 摩 フランス 等 (ロ) 業 種 名 について 例 えば 次 のようなものが 業 種 名 に 該 当 する ( 例 ) 工 業 製 薬 製 菓 放 送 運 輸 生 命 保 険 等 (ハ) 商 号 や 屋 号 に 慣 用 的 に 付 される 文 字 や 会 社 等 の 種 類 名 について 例 えば 下 記 1 及 び2のようなものが 商 号 や 屋 号 に 慣 用 的 に 付 される 文 字 や 会 社 等 の 種 類 名 に 該 当 する 1 商 号 や 屋 号 に 慣 用 的 に 付 される 文 字 商 店 商 会 屋 家 社 堂 舎 洋 行 協 会 研 究 所 製 作 所 会 研 究 会 等 2 会 社 等 の 種 類 名 を 表 す 文 字 株 式 会 社 有 限 会 社 相 互 会 社 一 般 社 団 法 人 K.K. Co. Co., Ltd. Ltd. 等 2. 普 通 に 用 いられる 方 法 で 表 示 する 標 章 について 普 通 に 用 いられる 方 法 で 表 示 する 標 章 については 基 準 第 1 三 第 3 条 第 1 項 第 1 号 の3.(2)を 準 用 する - 2 -
4. 参 考 (1) 立 法 趣 旨 ( 工 業 所 有 権 法 ( 産 業 財 産 権 法 ) 逐 条 解 説 第 19 版 1278 頁 ) 四 号 は ありふれた 氏 又 は 名 称 を 普 通 の 態 様 で 表 示 する 標 章 のみからなる 商 標 である どの 程 度 のものがありふれた 氏 又 は 名 称 かは 個 別 に 判 断 される 氏 と 名 がそれぞれありふれていても それが 結 合 して ありふれた とはいえな くなる 場 合 には 本 号 の 適 用 はない 名 称 は 商 号 を 含 む 概 念 である( 商 法 一 一 条 会 社 法 六 条 参 照 ) 本 号 も 一 号 と 同 様 に 特 殊 な 態 様 で 表 示 した 場 合 や 商 標 の 一 部 として 含 む 場 合 はその 適 用 を 免 れる 伊 藤 斎 藤 田 中 山 田 鈴 木 等 の 氏 はおそらく 本 号 に 該 当 するものとされるであろう (2) 裁 判 例 審 決 例 (イ)ありふれた 氏 に 該 当 するとされた 事 例 1 東 京 高 昭 和 43 年 3 月 30 日 昭 和 42 年 ( 行 ケ) 第 144 号 本 願 商 標 チバ の 文 字 は 漢 字 の 千 葉 に 通 じ 漢 字 の 千 葉 の 文 字 はまた 片 かなの チバ に 通 ずるので 世 人 は これを ありふれた 氏 姓 と しての 千 葉 又 は チバ を 指 称 するものとして 理 解 し または 容 易 にこ れを 直 感 するものであるとみるのが 社 会 通 念 上 相 当 である(なお 千 葉 なる 氏 が 決 して 珍 らしくなく むしろ ありふれた 氏 姓 であることは 昭 和 41 年 8 月 1 日 日 本 電 信 電 話 公 社 発 行 の 東 京 23 区 50 音 別 電 話 番 号 簿 下 巻 (212 頁 ~ 215 頁 )における 数 多 くの 電 話 加 入 者 の 氏 性 に 徴 しても 明 らかである ) しかも 本 願 商 標 は この チバ の 文 字 を 格 別 特 異 と 認 められない 書 体 で 現 している ものであるから これをその 指 定 商 品 に 使 用 した 場 合 取 引 者 需 要 者 は 他 の 千 葉 (チバ)の 氏 姓 を 有 する 者 の 同 種 商 品 とその 出 所 を 区 別 することがで きず 何 人 の 業 務 にかかる 商 品 であるのかを 認 識 することができない 商 標 とい うべく 結 局 商 標 法 3 条 1 項 4 号 に 該 当 するものであるから 同 法 第 15 条 第 1 号 の 規 定 により その 商 標 登 録 出 願 については 拒 絶 をすべきものである (ロ)ありふれた 名 称 に 該 当 するとされた 事 例 1 審 判 昭 和 43 年 4 月 12 日 ( 昭 和 41 年 審 判 第 6352 号 ) 本 願 商 標 を 構 成 する 明 石 屋 の 文 字 は 著 名 な 行 政 区 画 名 であり 且 つ 有 名 な 観 光 地 でもある 明 石 市 ( 兵 庫 県 )を 略 称 した 明 石 の 文 字 に 商 号 を 表 す 屋 の 文 字 を 附 加 して 成 る 商 号 商 標 であることは 容 易 に 理 解 できるとこ ろである そうしてこのような 商 号 は 同 市 の 居 住 する 者 また 同 市 に 関 係 のあ る 者 等 が 商 号 として 自 由 に 採 択 使 用 することができるものであるし また 明 石 は 氏 姓 としても ありふれたものであることは 例 えば 東 京 23 区 50 音 別 電 話 番 号 簿 ( 昭 和 41 年 8 月 1 日 日 本 電 信 電 話 公 社 発 行 第 99 頁 ~ 第 100 頁 )の 記 載 に 徴 しても 明 白 であり これらの 氏 姓 を 有 する 者 が その 営 業 の 屋 号 として 明 石 屋 を 採 択 使 用 することも 普 通 に 行 われるところであつて 上 記 電 話 番 号 簿 にも 多 数 その 記 載 があることからみても 本 願 商 標 明 石 屋 は - 3 -
ありふれた 名 称 であるというを 相 当 とするものである しかも 本 願 商 標 明 石 屋 は この 程 度 の 書 体 を 以 てしてはいまだ 特 異 の 構 成 を 有 するものとはいえず 普 通 に 用 いられる 方 法 で 表 示 したものの 範 囲 を 脱 するものとは 認 められないから 本 願 商 標 をその 指 定 商 品 に 使 用 しても 取 引 者 需 要 者 は 他 の 明 石 屋 なる 名 称 を 有 する 同 種 商 品 とその 出 所 を 区 別 す ることができないものであつて 需 要 者 が 何 人 の 業 務 にかかるものであるかを 認 識 することができない 商 標 と 言 わざるを 得 ないから 結 局 商 標 法 3 条 1 項 4 号 に 該 当 し 同 法 第 15 条 第 1 号 の 規 定 によつて これが 登 録 を 拒 否 した 現 査 定 は 正 当 であつて これを 取 消 す 限 りではない 2 審 判 昭 和 54 年 9 月 25 日 ( 昭 和 53 年 審 判 第 13300 号 ) 本 願 商 標 は 株 式 会 社 サトー の 文 字 を 横 書 きしてなり 第 25 類 紙 類 文 房 具 を 指 定 商 品 とするものである 本 願 商 標 の 構 成 中 株 式 会 社 の 文 字 は 法 人 の 企 業 形 態 の 中 の 株 式 組 織 に よるものを 表 示 する 場 合 その 名 称 中 に 付 加 して 使 用 する 必 須 の 文 字 であって 商 品 の 出 所 を 表 示 するためにその 商 号 を 商 標 として 使 用 する 場 合 においても 極 めて 普 通 に 用 いられているものである また サトー の 文 字 は 輪 郭 だけを 写 した 篭 字 で 表 してなるとはいえ この 程 度 の 態 様 では 普 通 に 用 いられる 表 示 方 法 の 域 を 脱 したものとはいい 得 ないものであり 氏 姓 としての 佐 藤 が 極 め て 多 い( 例 えば 東 京 都 の 電 話 帳 における 佐 藤 なる 氏 姓 を 有 する 電 話 加 入 者 が 多 数 記 載 されている 事 例 に 徴 しても うかがい 知 れるところである )とこ ろから 容 易 にありふれた 氏 姓 佐 藤 を 片 仮 名 書 きしたものと 一 般 に 理 解 認 識 されるものとするのが 相 当 である してみれば 本 願 商 標 は ありふれた 氏 姓 である サトー に 商 号 商 標 に おいて 普 通 に 使 用 される 株 式 会 社 の 文 字 を 冠 しただけのものであるから これをその 指 定 商 品 に 使 用 した 場 合 取 引 者 需 要 者 はありふれた 名 称 ( 商 号 ) として 理 解 し 認 識 するに 止 まり 何 人 かの 業 務 に 係 る 商 品 であることを 認 識 し 得 ないものといわざるをえない したがって 本 願 商 標 は 商 標 法 3 条 1 項 4 号 に 該 当 する (ハ)ありふれた 名 称 に 該 当 しないとされた 事 例 1 審 判 平 成 11 年 6 月 30 日 ( 平 成 10 年 審 判 第 11283 号 ) 本 願 商 標 は 藤 野 屋 画 廊 の 文 字 を 横 書 きしてなるものであるところ 商 標 法 第 3 条 第 1 項 第 4 号 の ありふれた 名 称 には 当 該 名 称 全 体 のものとしてあ りふれたものが 該 当 すると 解 すべきであり 当 該 名 称 を 構 成 する 各 要 素 的 部 分 がありふれているものからなる 名 称 までも 同 号 の ありふれた 名 称 に 該 当 する と 解 することは 相 当 でない これを 本 願 商 標 についてみるに 職 権 をもつて 調 査 したが 藤 野 屋 画 廊 が 世 間 一 般 にありふれて 採 択 使 用 されている 名 称 とは 認 め 難 いものである - 4 -
したがって 本 願 商 標 は 商 標 法 第 3 条 第 1 項 第 4 号 に 該 当 するものである とは 言 えないものであり 同 号 に 該 当 するとして 本 願 を 拒 絶 した 原 査 定 は 妥 当 ではなく 取 り 消 されるべきものである - 5 -