欧州に学ぶマイナス金利の経済への影響



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連結計算書


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記者発表資料

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みずほ 総 合 研 究 所 コンサルティング 部 主 任 コンサルタント 谷 尾 久 幸 上 席 主 任 コンサルタント 佐 野 暢 彦 当 リポートは 情 報 提 供 のみを

Transcription:

経 済 分 析 レポート 年 月 日 全 頁 欧 州 に 学 ぶ 金 利 の 経 済 への 影 響 日 銀 による 金 利 導 入 の 影 響 をどう 捉 えるか? エコノミック インテリジェンス チーム エコノミスト 岡 本 佳 佑 [ 要 約 ] 月 9 日 日 本 銀 行 が 金 利 付 き 量 的 質 的 金 融 緩 和 の 導 入 を 決 定 した 世 界 を 見 渡 せば 金 利 を 導 入 したのは 日 銀 が 初 めてではない 金 利 政 策 はユーロ 圏 やスウェーデン デンマーク スイスが 導 入 済 みであり 日 本 は 遅 れてそ の 仲 間 入 りを 果 たした 金 利 は 日 本 経 済 にどのような 影 響 をもたらすのか 日 本 に 先 駆 けて 金 利 を 導 入 した 欧 州 各 国 においてみられた 実 体 経 済 金 融 市 場 への 影 響 について 検 証 する 第 一 章 では 日 本 に 先 行 して 金 利 を 導 入 した 欧 州 各 国 でみられた 経 済 的 な 影 響 について 検 証 した 欧 州 で 導 入 された 金 利 は 実 体 経 済 に 直 接 的 な 好 影 響 を 与 えたとは 明 言 し 難 いものの 金 融 市 場 には 一 定 のインパクトを 与 え 株 高 による 資 産 効 果 や 通 貨 安 による 輸 出 増 などを 通 じて 間 接 的 に 実 体 経 済 を 押 し 上 げたとみられる し かし 日 本 においては 金 利 導 入 後 折 悪 しく 世 界 経 済 の 先 行 き 不 透 明 感 が 強 まったため 株 高 や 通 貨 安 が 実 現 しておらず 現 時 点 では 欧 州 で 見 られた 金 融 市 場 を 通 じた 経 済 に 対 する 間 接 的 な 押 し 上 げ 効 果 は 期 待 しづらくなっている 第 二 章 では 金 利 が 日 本 経 済 に 与 える 影 響 について 定 量 的 に 分 析 した 試 算 に よると 金 利 の 低 下 は 金 融 機 関 や 企 業 家 計 といった 民 間 部 門 に 恩 恵 をもたらすことと なる 金 融 機 関 にとって 貸 出 金 利 の 低 下 が 要 因 となるものの 国 債 売 却 益 の 増 加 などの 影 響 がを 大 きく 上 回 る 見 通 しだ また 企 業 や 家 計 にとっては 貸 出 金 利 や 住 宅 ローン 金 利 の 低 下 が 好 影 響 を 与 えると 予 想 される 金 利 の 導 入 によ る 好 影 響 を 受 け 企 業 の 設 備 投 資 意 欲 や 家 計 の 消 費 マインドが 改 善 され 経 済 の 好 循 環 が 起 動 することが 期 待 される 株 式 会 社 大 和 総 研 丸 の 内 オフィス -7 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 一 丁 目 9 番 号 グラントウキョウ ノースタワー このレポートは 投 資 勧 誘 を 意 図 して 提 供 するものではありません このレポートの 掲 載 情 報 は 信 頼 できると 考 えられる 情 報 源 から 作 成 しておりますが その 正 確 性 完 全 性 を 保 証 する ものではありません また 記 載 された 意 見 や 予 測 等 は 作 成 時 点 のものであり 今 後 予 告 なく 変 更 されることがあります 大 和 総 研 の 親 会 社 である 大 和 総 研 ホールディングスと 大 和 証 券 は 大 和 証 券 グループ 本 社 を 親 会 社 とする 大 和 証 券 グループの 会 社 です 内 容 に 関 する 一 切 の 権 利 は 大 和 総 研 にあります 無 断 での 複 製 転 載 転 送 等 はご 遠 慮 ください

/ はじめに 月 9 日 日 本 銀 行 が 金 利 付 き 量 的 質 的 金 融 緩 和 の 導 入 を 決 定 した 数 日 前 の 参 院 予 算 委 員 会 で 黒 田 総 裁 が 金 利 の 導 入 を 否 定 していたため 月 の 会 合 でマイナ ス 金 利 が 導 入 されると 予 想 する 向 きは 少 なく 金 融 市 場 ではサプライズだと 受 け 止 められた 世 界 を 見 渡 せば 金 利 を 導 入 したのは 日 銀 が 初 めてではない 金 利 政 策 は ユーロ 圏 やスウェーデン デンマーク スイスが 導 入 済 みであり 日 本 は 遅 れてその 仲 間 入 り を 果 たした 金 利 は 日 本 経 済 にどのような 影 響 をもたらすのか 本 稿 では 日 本 に 先 駆 けて 金 利 を 導 入 したユーロ 圏 スウェーデン デンマーク スイスにおける 実 体 経 済 や 金 融 市 場 への 影 響 を 考 察 する また 金 利 導 入 が 日 本 の 各 経 済 主 体 に 与 える 影 響 について 定 量 的 な 分 析 を 行 う. 欧 州 における 金 利 導 入 の 影 響 実 体 経 済 面 での 直 接 的 な 好 影 響 は 確 認 できず 一 般 論 として 中 央 銀 行 は 政 策 金 利 を 引 き 下 げることを 通 じて 実 体 経 済 や 金 融 市 場 に 一 定 の 影 響 を 与 えることができる 例 えば 実 体 経 済 に 対 しては 金 利 感 応 度 が 高 い 耐 久 財 の 消 費 増 加 や 資 金 調 達 コストの 低 下 による 設 備 投 資 の 増 加 といった 直 接 的 な 効 果 が 期 待 される また 金 融 市 場 では 投 資 家 が 相 対 的 に 投 資 妙 味 の 薄 れた 国 債 などの 保 有 を 減 らし 株 式 や 社 債 貸 出 といった よりリスクの 高 い 資 産 への 投 資 を 積 極 化 させる 動 きが 強 まる 効 果 などが 期 待 できる 最 初 に 欧 州 各 国 における 実 体 経 済 への 影 響 について 分 析 したい 図 表 は 物 価 動 向 を 勘 案 したうえでの 金 利 の 負 担 感 を 表 す 実 質 金 利 と 各 国 政 策 金 利 の 動 向 を 示 したものである こ こでは 実 質 金 利 は 便 宜 的 に 名 目 金 利 ( 年 国 債 利 回 り)からインフレ 率 (CPI 上 昇 率 )を 差 し 引 いて 算 出 している 欧 州 では 金 利 の 導 入 に 伴 い 名 目 金 利 が 低 下 したため 実 質 金 利 にも 低 下 圧 力 がかかっているはずである しかし 年 夏 場 から 継 続 するエネルギー 価 格 下 落 の 影 響 で インフレ 率 は 各 国 で 低 位 あるいは 圏 で 推 移 していることから 実 質 金 利 は 低 下 しているものの 依 然 としてプラス 圏 にとどまっている こうした 実 質 金 利 の 動 向 とも 関 連 して 各 国 の 銀 行 貸 出 は 増 勢 に 欠 けている( 図 表 ) ユー ロ 圏 やスウェーデンでは 家 計 向 けを 中 心 に 貸 出 が 増 加 基 調 にある しかし 増 加 基 調 はマイ ナス 金 利 導 入 以 前 の 金 利 引 き 下 げ 局 面 から 継 続 している 特 に ユーロ 圏 においては マイナ ス 金 利 導 入 後 に 量 的 緩 和 策 も 導 入 されているため 貸 出 の 増 加 が 純 粋 に 金 利 の 導 入 に よるものであるか 否 かを 判 別 することは 困 難 だ また 実 質 金 利 が 上 昇 基 調 に 転 じたスイスで は それに 伴 って 家 計 向 け 貸 出 の 前 年 比 が 縮 小 傾 向 にある 金 利 の 低 下 は 貸 出 の 増 加 を 支 える 一 因 となっているものの 他 方 で 金 利 の 負 担 感 が 緩 和 され ていないことが 一 段 の 貸 出 増 を 阻 害 する 要 因 になっている 可 能 性 がある このように 欧 州 で は 実 質 金 利 の 低 下 やそれに 伴 う 貸 出 の 増 加 といった 実 体 経 済 への 直 接 的 なプラス 効 果 は 明 確 には 表 れていない

/ 図 表 : 各 国 地 域 の 政 策 金 利 と 実 質 金 利 の 推 移 ユーロ 圏 スウェーデン......... 実 質 金 利. 中 銀 預 金 金 利 ( 右 軸 )..8.... -. -. -. ( 年 )...... -. 実 質 金 利 -. レポレート( 右 軸 ) -...... -. -. ( 年 ) デンマーク スイス......... -. -. -. -. 実 質 金 利 譲 渡 性 預 金 金 利 ( 右 軸 ) -. -. ( 年 )...8...... -..8. -... 実 質 金 利 ヶ 月 LIBOR 誘 導 目 標 ( 右 軸 ) -.. -.8 ( 年 ) 図 表 : 各 国 地 域 の 政 策 金 利 と 貸 出 ( 前 年 比 )の 推 移 ユーロ 圏. 対 家 計.8 対 非 金 融 企 業. 中 銀 預 金 金 利 ( 右 軸 ).. -. - -. - -. -8 -. ( 年 ) スウェーデン 9. 8 対 家 計. 7 対 非 金 融 企 業 レポレート( 右 軸 ).... -. - -. ( 年 ) デンマーク 対 家 計 対 非 金 融 企 業 譲 渡 性 預 金 金 利 ( 右 軸 ).. スイス.. - - - -.. -. 対 家 計 ヶ 月 LIBOR 誘 導 目 標 ( 右 軸 ). -. -. -. - -. ( 年 ) -.8 ( 年 )

/ 金 利 導 入 で 名 目 実 効 為 替 レートには 減 価 圧 力 がかかる 次 に 金 利 の 導 入 が 金 融 市 場 に 与 えた 影 響 について 考 察 する 図 表 は 各 国 地 域 の 年 国 債 利 回 りを 横 軸 に 実 質 実 効 為 替 レートを 縦 軸 にとったものである 実 質 実 効 為 替 レ ートとは 各 国 地 域 の 物 価 動 向 や 仕 向 地 別 の 貿 易 ウエイトなどを 考 慮 したうえで 通 貨 の 実 力 を 測 る 指 標 であり 数 値 が 高 くなるほど 通 貨 が 増 価 したこと 低 くなるほど 減 価 したことを 表 す すなわち 図 表 の 場 合 グラフ 上 の 点 が 右 に 行 くほど 金 利 が 低 下 し 上 に 行 くほど 通 貨 が 増 価 したことを 示 している 中 央 銀 行 が 金 利 を 導 入 したことにより 各 国 地 域 の 長 期 金 利 に 低 下 圧 力 がかかっ たため 図 表 中 の 点 は 左 から 右 へとシフトした 同 時 に ユーロ スウェーデン クローナ デンマーク クローネの 実 質 実 効 為 替 レートが 減 価 し 点 が 上 から 下 へとシフトしたことが 見 て 取 れる 金 利 の 導 入 後 他 通 貨 との 金 利 差 が 拡 大 したことが 通 貨 安 につながったも のとみられる 一 方 スイス フランについては 実 質 実 効 為 替 レートが 増 価 した スイス フランは 年 月 まで 事 実 上 ユーロペッグしていたことから 金 利 を 導 入 した 年 月 当 時 スイス フランは 実 力 よりも 割 安 に 評 価 されていた 可 能 性 がある このため スイス 国 立 銀 行 が 年 月 に 事 実 上 のユーロペッグを 解 除 すると スイス フランは 対 ユーロで 大 幅 に 増 価 することとなった こうした 事 情 が 中 銀 による 金 利 導 入 にもかかわらず スイス フランの 実 質 実 効 為 替 レートが 増 価 したことの 背 景 にあると 考 えられる 図 表 : 各 国 地 域 の 年 国 債 利 回 りと 実 質 実 効 為 替 レート ( 年 =) ユーロ 圏 ( 年 =) スウェーデン 通 貨 安 通 貨 安 9 9 9 8 8 ( 年 債 利 回 り %) 9 ( 年 債 利 回 り %) ( 年 =) デンマーク ( 年 =) スイス 通 貨 安 9 9 9 8 通 貨 安 9 7 ( 年 債 利 回 り %) 8 - ( 年 債 利 回 り %)

/ ニュースに 反 応 しやすい 株 価 にとっては 格 好 の 買 い 材 料 次 に 金 利 導 入 後 の 株 式 市 場 の 動 向 について 触 れておこう 図 表 は 年 国 債 利 回 りを 横 軸 にとり 各 国 地 域 の 代 表 的 な 株 価 指 数 の 水 準 を 縦 軸 にとっ たものである グラフ 上 の 点 が 右 に 行 くほど 金 利 が 低 下 し 上 に 行 くほど 株 価 が 上 昇 したこと を 示 している 図 表 から 金 利 導 入 によって 年 国 債 利 回 りが 低 下 したことと 同 時 に 株 価 指 数 が 明 確 に 上 昇 したことが 見 て 取 れるだろう ニュースやイベントに 反 応 しやすい 株 式 市 場 にとって 金 利 の 導 入 は 格 好 の 買 い 材 料 であったことから いずれの 国 地 域 においても 共 通 の 反 応 が 現 れたものと 考 えられる 加 えて ユーロ 圏 においては 年 月 に 導 入 された 量 的 緩 和 策 も 株 高 の 追 い 風 となった 金 利 には 住 宅 価 格 を 押 し 上 げる 効 果 も 金 利 の 導 入 が 金 融 市 場 に 与 えた 影 響 に 関 する 考 察 の 最 後 に 住 宅 市 場 に 与 えた 影 響 についても 確 認 しておきたい 図 表 は 図 表 と 同 様 年 国 債 利 回 りを 横 軸 に 住 宅 価 格 指 数 を 縦 軸 にとったものであ る 住 宅 価 格 に 関 するデータは 四 半 期 ベースのものしか 存 在 しないため 金 利 導 入 後 のデータ 数 は 少 ないが 金 利 導 入 後 の 住 宅 価 格 は ユーロ 圏 やスイスで 横 ばい 圏 にと どまっているものの その 他 の 国 ではやや 上 昇 した 点 が 指 摘 できる 金 利 の 低 下 で 運 用 難 に 陥 った 一 部 の 投 資 家 が 債 券 市 場 から 住 宅 を 含 む 不 動 産 市 場 へと 資 金 をシフトさせている 可 能 性 が 考 えられる また スイスでは 住 宅 ローン 金 利 がになっている 模 様 であり こうした ことも 住 宅 価 格 を 押 し 上 げる 要 因 になったとみられる 以 上 のように 欧 州 では 総 じて 金 利 導 入 の 結 果 為 替 株 式 市 場 は 動 意 づき 通 貨 安 株 高 が 進 行 した 加 えて 住 宅 については 価 格 が 上 昇 し 始 めている したがって マイナ ス 金 利 政 策 は 金 融 住 宅 市 場 に 対 して 一 定 のインパクトを 与 える 政 策 であったと 評 価 するこ とができるだろう

/ 図 表 : 各 国 地 域 の 年 国 債 利 回 りと 株 価 指 数 ( 株 価 指 数 pt) ユーロ 圏 9 ( 株 価 指 数 pt) スウェーデン 8 7 ( 年 債 利 回 り %) ( 年 債 利 回 り %) ( 株 価 指 数 pt) デンマーク ( 年 債 利 回 り %) 9 8 7 ( 株 価 指 数 pt) スイス ( 年 債 利 回 り %) - 図 表 : 各 国 地 域 の 年 国 債 利 回 りと 住 宅 価 格 指 数 ユーロ 圏 スウェーデン ( 年 =) ( 年 =) 9 9 8 8 7 8 7........... ( 年 債 利 回 り %)....... ( 年 債 利 回 り %) デンマーク スイス ( 年 =) ( 年 =) 9 9 8 8 7 7....... ( 年 債 利 回 り %).......... -. ( 年 債 利 回 り %)

7 / 低 金 利 下 で 保 険 年 金 が 債 券 買 い 非 金 融 企 業 や 家 計 が 株 式 購 入 を 積 極 化 金 利 の 導 入 によって 欧 州 各 国 地 域 の 金 融 市 場 が 動 意 づいたことはすでに 指 摘 し た 通 りであるが どの 投 資 主 体 の 動 きが 活 発 化 したのだろうか ここではユーロ 圏 における 主 要 投 資 主 体 別 の 資 金 フローの 動 向 について 分 析 していきたい( 図 表 ) ユーロ 圏 の 動 向 をみる のは 日 本 の 金 融 市 場 において 各 投 資 主 体 が 将 来 的 に 起 こすと 考 えられる 行 動 を 予 想 する 際 に 金 利 を 導 入 した つの 市 場 の 中 で 最 も 市 場 規 模 が 大 きく 流 動 性 も 高 いユーロ 圏 の 状 況 が 参 考 になると 考 えたためである 結 論 から 述 べると ユーロ 圏 では 債 券 利 回 りの 低 下 を 嫌 気 し 金 融 機 関 や 家 計 が 債 券 投 資 を 減 少 させたものの 債 券 投 資 を 継 続 的 に 行 っている 保 険 年 金 がその 受 け 皿 となったとみられ る 一 方 非 金 融 企 業 や 家 計 は 株 式 投 資 を 活 発 化 させており そのことが 欧 州 株 の 上 昇 要 因 と なった 模 様 である 投 資 主 体 別 の 債 券 株 式 への 資 金 フローを 検 証 するにあたり まずは 金 融 機 関 の 動 向 から 見 ていくこととする 金 融 機 関 はリーマン ショック 前 までは 債 券 投 資 を 積 極 化 させていたが その 後 は 債 券 投 資 が 縮 小 していることが 分 かる 金 融 危 機 後 の 規 制 強 化 や それに 続 いた 欧 州 債 務 危 機 の 発 生 によって 銀 行 を 中 心 とした 金 融 機 関 がかつてのような 積 極 投 資 が 行 えなくな ったことなどが 背 景 として 挙 げられる さらに 年 半 ば 以 降 は 金 利 が 一 段 と 低 下 し 始 めた ことで 金 融 機 関 のリスクテイク 能 力 も 低 下 しており かつてのような 積 極 的 な 債 券 投 資 は 行 われていない 一 方 債 券 を 購 入 し 続 けているのが 保 険 年 金 である 保 険 年 金 は 長 期 かつ 安 定 運 用 を 重 視 する 主 体 であり その 投 資 スタンスには 金 利 低 下 前 後 で 大 きな 変 化 は 見 られない また 債 券 の 利 回 りが 低 下 したことなどを 背 景 に 家 計 部 門 でも 債 券 から 資 金 が 流 出 しており 保 険 年 金 はその 受 け 皿 ともなった 模 様 である 非 金 融 企 業 は 金 利 の 導 入 後 株 式 投 資 を 積 極 化 させたことが 見 て 取 れる しかし ユーロ 圏 で 設 備 投 資 が 大 きく 伸 びていないことに 鑑 みると こうした 非 金 融 企 業 の 投 資 行 動 は 先 行 きのユーロ 圏 の 景 気 回 復 に 自 信 が 持 てず 成 長 に 向 けた 設 備 投 資 を 手 控 える 一 方 で M&A な どのための 株 式 投 資 にシフトしていることを 反 映 しているとも 考 えられる また 家 計 については 金 利 導 入 前 後 で 投 資 スタンスがわずかに 変 化 している 家 計 では 債 券 に 代 わって 株 式 の 比 重 を 増 加 させる 動 きが 見 られる 債 券 利 回 りが 低 下 したこと で 利 子 収 入 の 魅 力 が 薄 れた 債 券 への 投 資 を 手 控 えるようになった 一 方 で 金 利 や 量 的 金 融 緩 和 の 導 入 で 株 価 の 上 昇 基 調 が 続 いたため 株 式 投 資 が 選 好 されることになったものと 推 測 される

8 / 図 表 :ユーロ 圏 主 要 投 資 主 体 別 の 債 券 株 式 への 資 金 フロー 金 融 機 関 非 金 融 企 業 ( 十 億 ユーロ) 債 券 株 式 金 利 導 入 ( 十 億 ユーロ) 債 券 株 式 金 利 導 入 - - - 7 8 9 ( 出 所 )ECB 統 計 より 大 和 総 研 作 成 ( 年 ) - 7 8 9 ( 出 所 )ECB 統 計 より 大 和 総 研 作 成 ( 年 ) 保 険 年 金 ( 十 億 ユーロ) 金 利 導 入 債 券 株 式 - - 7 8 9 ( 出 所 )ECB 統 計 より 大 和 総 研 作 成 ( 年 ) 家 計 ( 十 億 ユーロ) 金 利 導 入 8 債 券 株 式 - - - -8-7 8 9 ( 出 所 )ECB 統 計 より 大 和 総 研 作 成 ( 年 ) 外 国 人 投 資 家 ( 十 億 ユーロ) 金 利 導 入 債 券 株 式 - - - 7 8 9 ( 出 所 )ECB 統 計 より 大 和 総 研 作 成 ( 年 ) 合 計 ( 十 億 ユーロ) 8 金 利 導 入 7 債 券 株 式 - - 7 8 9 ( 出 所 )ECB 統 計 より 大 和 総 研 作 成 ( 年 ) 足 下 の 日 本 の 投 資 家 の 動 向 はユーロ 圏 の 動 向 と 類 似 こうしたユーロ 圏 の 動 向 を 踏 まえ 日 本 の 投 資 主 体 の 足 下 の 動 向 についても 触 れておきたい 日 本 では 年 国 債 の 落 札 利 回 りが 一 時 となるなど 国 債 での 運 用 環 境 は 一 段 と 厳 しく なっている また 日 本 経 済 の 先 行 き 不 透 明 感 が 強 まる 中 非 金 融 企 業 は 設 備 投 資 に 対 する 慎 重 姿 勢 を 崩 しておらず 一 部 企 業 では 余 剰 資 金 を 自 社 株 買 いや M&A の 資 金 に 回 している 模 様 で ある 更 に 東 証 一 部 の 投 資 部 門 別 売 買 動 向 をみると 年 初 来 日 本 の 株 価 が 下 落 したことな ども 追 い 風 に 個 人 投 資 家 ( 家 計 )は 月 と ヶ 月 連 続 で 日 本 株 を 買 い 越 した このよう な 日 本 の 投 資 主 体 の 動 向 は 前 頁 で 考 察 したユーロ 圏 の 動 向 と 類 似 しているといえるだろう

9 / 金 利 導 入 が 欧 州 経 済 に 与 えた 影 響 に 関 する 定 量 分 析 次 に 欧 州 各 国 地 域 の 中 央 銀 行 が 金 利 を 導 入 したことに 伴 う 金 融 市 場 における 変 化 ( 長 期 金 利 為 替 株 価 の 変 動 )が 実 体 経 済 にどのような 影 響 を 与 えたかという 点 につい て 定 量 的 な 分 析 を 試 みた 図 表 7は 金 利 導 入 後 9 ヶ 月 間 の 金 融 市 場 の 変 化 が 実 体 経 済 および CPI に 与 えた 影 響 を 試 算 したものである 資 産 効 果 による 消 費 増 加 通 貨 安 による 輸 出 増 加 がユーロ 圏 の 実 質 GDP 押 し 上 げに 寄 与 実 質 GDP への 影 響 については 株 価 変 動 による 個 人 消 費 の 変 化 名 目 為 替 レートの 変 化 に 伴 う 輸 出 および 輸 入 の 変 化 の つを 合 計 して 実 質 GDP がどの 程 度 押 し 上 げられたかを 推 計 した 試 算 結 果 によると 個 人 消 費 による 押 し 上 げ 効 果 が 最 も 大 きかったのはユーロ 圏 であった 年 月 の 金 利 導 入 後 年 月 に 量 的 緩 和 策 を 導 入 したことなども 相 俟 って 株 価 が 上 昇 した 結 果 資 産 効 果 発 生 に 伴 う 個 人 消 費 の 増 加 が 実 質 GDP を 押 し 上 げることとなっ た 一 方 スウェーデンは 個 人 金 融 資 産 に 占 める 株 式 の 比 率 が 高 いにもかかわらず 株 価 が 下 落 したため ユーロ 圏 とは 対 照 的 に 逆 資 産 効 果 が 発 生 し 個 人 消 費 の 減 少 が 実 質 GDP を 押 し 下 げ ることとなった 為 替 面 では 名 目 為 替 レートの 下 落 を 通 じた 輸 出 の 増 加 で GDP が 押 し 上 げられたのがユーロ 圏 とデンマークである これらの 地 域 においては 名 目 為 替 レートの 下 落 で 輸 入 が 減 少 したこ とも 実 質 GDP の 押 し 上 げに 寄 与 したとみられる 一 方 年 月 にユーロ 安 スイス フラン 高 を 抑 制 するために 実 施 していた 無 制 限 介 入 策 を 停 止 したスイスでは スイス フランの 名 目 実 効 為 替 レートが 増 価 した 結 果 実 質 GDP に 対 して 輸 出 が 大 幅 な 寄 与 となった 結 果 として 株 高 通 貨 安 の 恩 恵 を 受 けたユーロ 圏 およびデンマークでは 金 利 導 入 後 9 ヶ 月 間 で 実 質 GDP を 引 き 上 げる 効 果 があったと 推 定 される 一 方 で スウェーデンとスイ スでは 金 融 市 場 が 逆 の 動 きとなり 実 質 GDP に 対 してに 寄 与 したとみられる GDP ギャップの 改 善 が CPI を 押 し 上 げる 効 果 をもたらす 次 に 金 利 政 策 の 導 入 が CPI に 与 えた 影 響 についても 考 察 しておきたい CPI への 影 響 については フィリップス 曲 線 を 推 計 したうえで 上 記 で 算 出 された GDP の 押 し 上 げ 効 果 が 需 給 ギャップの 改 善 を 通 じて CPI を 押 し 上 げた 度 合 いを 推 計 し これを GDP ギャッ プの 改 善 が 与 える CPI への 影 響 とした 推 計 結 果 を 見 ると 特 にユーロ 圏 において CPI が 大 きく 押 し 上 げられていることが 分 かる 他 国 と 比 較 して GDP が 大 きく 増 加 したため GDP ギャップの 幅 の 縮 小 度 合 いも 大 きくな ったことが CPI をより 大 幅 に 押 し 上 げる 要 因 となった 一 方 GDP の 押 し 上 げ 効 果 が 見 られな かったスイスでは 逆 に GDP ギャップが 拡 大 しており CPI にはに 寄 与 している

/ 図 表 7: 金 利 を 導 入 して 9 ヶ 月 後 における 金 融 市 場 の 変 化 及 び 実 体 経 済 CPI への 影 響 ユーロ 圏 スウェーデン デンマーク スイス 金 融 市 場 の 変 化 長 期 金 利 (%pt). +... 為 替 ( 注 ). +.7.8 +8. 株 価 +. 9. +.89. 実 体 経 済 への 影 響 個 人 消 費 +..8 +.. 輸 出 ( 注 ) +.7 - +.8.97 輸 入.9 +.. +. 実 質 GDP +.9. +.. GDPギャップの 改 善 が 与 えるCPIへの 影 響 (%pt) +.9. +.8.9 ( 注 ) 為 替 は 名 目 実 効 為 替 レート 表 示 は 通 貨 安 を 示 す ( 注 )スウェーデンの 輸 出 に 関 しては 本 来 想 定 される 効 果 が 検 出 されなかったため 実 質 GDPに 対 する 影 響 は ゼロとして 効 果 を 試 算 した ( 出 所 )Bloomberg Haver Analytics OECD 統 計 より 大 和 総 研 作 成 日 本 では 欧 州 で 見 られた 金 融 市 場 からの 波 及 効 果 は 当 面 期 待 薄? 金 利 導 入 の 影 響 に 関 して 欧 州 の 経 験 から 得 たインプリケーションをまとめると 以 下 の 通 りである 金 利 の 導 入 は 貸 出 の 増 加 などにはつながっておらず 直 接 的 に 実 体 経 済 を 押 し 上 げ る 効 果 は 明 確 には 見 られなかった しかし 実 質 実 効 為 替 レートを 見 ると 金 利 を 導 入 した 国 地 域 の 通 貨 は 減 価 し 株 式 市 場 では 株 価 が 上 昇 住 宅 価 格 にとってもプラスに 働 くと いったように 金 融 市 場 においては 一 定 のインパクトがあったことが 認 められる こうした 金 融 市 場 への 好 影 響 が 輸 出 の 増 加 や 資 産 効 果 を 背 景 とする 消 費 の 増 加 を 通 じて 間 接 的 にプラ スの 効 果 を 実 体 経 済 にもたらした 可 能 性 がある 日 本 においても 日 銀 が 金 利 を 導 入 し 更 なる 金 利 引 き 下 げも 辞 さないとの 姿 勢 を 示 したことが 好 感 され 発 表 直 後 はドルなどに 対 して 円 が 下 落 し TOPIX が 大 幅 高 となるなど 金 融 市 場 は 好 意 的 に 反 応 した そのまま 欧 州 の 事 例 と 同 様 に 金 利 の 導 入 によって 円 安 株 高 効 果 が 継 続 した 場 合 には 輸 出 の 増 加 や 資 産 効 果 による 個 人 消 費 の 増 加 など 実 体 経 済 にプラスの 影 響 が 見 られることも 期 待 できただろう しかし 折 悪 しく 足 下 では 世 界 経 済 の 先 行 き 不 透 明 感 が 一 段 と 強 まった 結 果 リスク 資 産 を 売 る 動 きが 加 速 しており 為 替 市 場 で は 円 高 が 進 行 し 株 式 相 場 も 盛 り 上 がりに 欠 けている このため 現 時 点 で 日 本 においては 欧 州 で 見 られた 金 融 市 場 を 通 じた 実 質 GDP に 対 する 間 接 的 な 押 し 上 げ 効 果 の 発 現 は 期 待 しづら くなっているものと 考 えられる 一 方 日 本 の 住 宅 価 格 への 影 響 については これから 発 現 してくる 可 能 性 がある 実 際 マ イナス 金 利 の 導 入 を 受 けて すでに 金 融 機 関 は 住 宅 ローン 金 利 の 引 き 下 げに 動 いている 模 様 で ある 住 宅 ローン 金 利 の 引 き 下 げに 伴 い 住 宅 需 要 が 増 加 し 住 宅 価 格 の 上 昇 が 期 待 できる ま た 金 利 負 担 の 軽 減 で 懐 具 合 が 温 まった 家 計 が その 一 部 を 消 費 に 回 す 可 能 性 もあるだろう

/. 金 利 導 入 が 日 本 経 済 に 与 える 影 響 に 関 する 定 量 分 析 日 本 の 銀 行 がこうむる 損 失 額 はユーロ 圏 の 銀 行 よりも 小 さい 金 利 の 導 入 が 日 本 経 済 に 与 える 効 果 として 懸 念 されているものの 一 つが 銀 行 セク ターの 業 績 に 対 する 悪 影 響 である 従 来 日 銀 の 当 座 預 金 には+.%の 付 利 があったため 民 間 銀 行 は 当 座 預 金 に 預 ければ 無 リスクで 収 益 を 上 げることができた しかし 今 回 当 座 預 金 の 一 部 に 金 利 が 適 用 されるようになったことで 損 失 発 生 のリスクを 抱 えることとなっ た 図 表 8は 当 座 預 金 への 金 利 の 適 用 によって ユーロ 圏 および 日 本 の 銀 行 がこうむ る 年 間 損 失 額 の 推 計 結 果 である ユーロ 圏 では 金 融 機 関 の 当 座 預 金 から 所 要 準 備 額 を 差 し 引 いた 超 過 準 備 などに 対 して 政 策 金 利 の 一 つである 中 銀 預 金 金 利 (.%)が 課 せられる 年 月 時 点 の 残 高 をベースに 計 算 すると ユーロ 圏 の 銀 行 が 年 間 でこうむる 損 失 額 は, 億 円 程 度 となる これは 対 当 座 預 金 残 高 比 で 見 ると.%に 相 当 する 次 に 日 本 の 銀 行 に 発 生 する 損 失 額 を 試 算 してみよう 日 銀 によると 年 月 時 点 ( 準 備 預 金 積 み 期 間 の 平 均 残 高 銀 行 分 )で+.%の 金 利 が 適 用 される 基 礎 残 高 は 約 88 兆 円 % の 金 利 が 適 用 されるマクロ 加 算 残 高 は 約 兆 円 そして.%の 金 利 が 課 せられる 政 策 金 利 残 高 は 約 兆 円 となっている これを 基 に 計 算 すると 今 回 の 政 策 変 更 で 日 本 の 銀 行 がマイナ ス 金 利 導 入 前 と 比 較 して 失 うこととなる 金 額 は 年 間 億 円 程 度 となる これは 当 座 預 金 残 高 比 で.%にすぎず ユーロ 圏 の 銀 行 に 発 生 する 損 失 と 比 べると そのインパクトは 軽 微 だと 言 えるだろう 図 表 8: 金 利 が 適 用 される 中 銀 当 座 預 金 に 預 けることに 伴 う 銀 行 の 年 間 損 失 推 計 額 ( 億 円 )....,,,, 銀 行 の 年 間 損 失 額 対 当 座 預 金 残 高 比 ( 右 軸 ),,, ユーロ 圏 日 本 ( 出 所 )Haver Analytics ECB 日 本 銀 行 統 計 より 大 和 総 研 作 成

/ 金 利 が 民 間 部 門 全 体 に 与 える 影 響 はプラス 図 表 9は 日 銀 が 導 入 を 決 定 した 金 利 により 日 本 の 金 融 機 関 企 業 家 計 という つの 民 間 部 門 の 経 済 主 体 が 受 ける 影 響 に 関 する 試 算 結 果 である 本 試 算 で 想 定 したケースは 種 類 だ ケース は 足 下 の 年 国 債 利 回 りの 水 準 (/ 時 点 :+.8%)が 継 続 した 場 合 ケース は 長 期 金 利 がさらに 低 下 し 年 国 債 利 回 りが % となった 場 合 ケース は 年 国 債 利 回 りが.%まで 低 下 した 場 合 である 具 体 的 に は 企 業 向 けの 預 金 金 利 については 大 口 預 金 金 利 家 計 向 けの 預 金 金 利 は 普 通 預 金 金 利 企 業 向 けの 貸 出 金 利 は 貸 出 預 金 金 利 住 宅 ローン 金 利 は 住 宅 金 融 支 援 機 構 の 基 準 金 利 を 利 用 し こ れらと 年 国 債 利 回 りとの 弾 性 値 を 測 定 することで 影 響 額 を 算 出 した また 金 融 機 関 による 日 銀 への 国 債 売 却 益 については 日 銀 が 拡 大 させるとしているマネタリーベースの 年 間 8 兆 円 のうち 9 割 に 相 当 する 7 兆 円 分 の 年 国 債 を 金 融 機 関 が 売 却 するものと 仮 定 し 上 記 利 回 りのケースにおける 国 債 価 格 を 算 出 したうえで 計 算 した なお 家 計 が 保 有 する 住 宅 ローン には 公 的 金 融 機 関 からの 借 入 も 含 まれるため 金 融 機 関 の 貸 出 金 利 住 宅 ローン 金 利 の 低 下 と 企 業 家 計 の 貸 出 金 利 住 宅 ローン 金 利 の 低 下 の 合 計 は 一 致 しない 金 融 機 関 には すでに 指 摘 した 通 り 金 融 政 策 の 変 更 に 伴 う 日 銀 当 座 預 金 からの 金 利 収 入 の 減 少 が 億 円 程 度 の 要 因 となる 加 えて 企 業 向 けの 貸 出 金 利 や 個 人 向 けの 住 宅 ロ ーン 金 利 が 下 がることが 業 績 にの 影 響 を 与 えることになるだろう 一 方 金 融 機 関 に とっての 調 達 コストである 預 金 金 利 が 引 き 下 がることがプラスの 影 響 を 与 えるほか 日 銀 に 売 却 する 国 債 価 格 が 上 昇 することによって 国 債 の 売 却 益 が 増 加 すると 見 込 まれる この 結 果 金 融 機 関 全 体 としては, 億 円 から. 兆 円 強 のプラスの 影 響 があるものと 考 えられる 企 業 にとっては 金 融 機 関 からの 借 入 金 利 が 下 がり 支 払 利 息 が 減 少 することが 増 益 要 因 と なる 見 込 みである 一 方 金 融 機 関 の 預 金 金 利 が 下 がることは 要 因 となるが 企 業 に おいては 預 金 額 よりも 借 入 金 額 の 方 が 圧 倒 的 に 大 きく また 金 利 の 引 き 下 げ 余 地 も 大 きいため, 億 円 から, 億 円 程 度 のプラスの 影 響 があるとの 試 算 結 果 を 得 た 最 後 に 家 計 への 影 響 についても 見 ておこう 家 計 にとっても 企 業 と 同 様 預 金 金 利 が 下 が ることによる 金 利 収 入 の 減 少 が 要 因 となるが 普 通 預 金 金 利 はすでにゼロに 近 いため 限 界 的 に 減 少 する 金 利 収 入 はそれほど 大 きくない それ 以 上 に 変 動 金 利 を 中 心 に 住 宅 ローン 金 利 が 低 下 することが 家 計 に 大 きな 恩 恵 をもたらすこととなる この 結 果 家 計 の 金 利 負 担 は 現 在 よりも 軽 減 され 合 計 で, 億 円 強 から,9 億 円 弱 の 恩 恵 を 受 けると 見 込 まれる まとめ 世 界 経 済 の 成 長 率 が 鈍 化 し 日 本 経 済 の 先 行 き 不 透 明 感 も 強 まる 中 企 業 は 設 備 投 資 を 抑 制 し 家 計 は 財 布 の 紐 を 固 く 結 んでしまっている しかし 上 記 試 算 のように 日 銀 によるマイ ナス 金 利 の 導 入 は 民 間 部 門 の 各 経 済 主 体 に 恩 恵 をもたらす 可 能 性 がある 金 利 の 導 入 によって 企 業 の 設 備 投 資 意 欲 や 家 計 の 消 費 マインドが 改 善 し 経 済 の 好 循 環 が 起 動 すること が 期 待 される

/ 図 表 9: 金 利 が 金 融 機 関 企 業 家 計 に 与 える 影 響 金 融 機 関 企 業 家 計 中 銀 当 座 預 金 に 預 けることに 伴 う 銀 行 の 年 間 損 失 推 計 額 ( 億 円 ) 金 融 機 関 による 日 銀 への 国 債 売 却 益 ( 億 円 ) - - ケース,9 - - ケース,7 - - ケース,87 - - 預 金 金 利 の 低 下 ( 億 円 ) ケース, 7 9 ケース,7,9 7 ケース,, 7 貸 出 金 利 住 宅 ローン 金 利 の 低 下 ( 億 円 ) ケース,997,8, ケース,,9,79 ケース 9,,,77 影 響 ( 億 円 ) ケース,,, ケース,9,7,9 ケース,,,8 前 提 条 件 金 融 機 関 による 日 銀 への 国 債 売 却 益 は/8 時 点 の 年 国 債 価 格 を 基 準 とし それからの 価 格 変 化 で 算 出 ケース 足 下 の 年 国 債 利 回 りの 場 合 (/ 時 点 +.8%) 預 金 金 利 企 業 向 け.% 家 計 向 け.% 貸 出 金 利.7% 住 宅 ローン 金 利 変 動 金 利.% 変 動 固 定 ミックス.% ケース 年 国 債 利 回 りが%まで 低 下 した 場 合 預 金 金 利 企 業 向 け.8% 家 計 向 け.% 貸 出 金 利.% 住 宅 ローン 金 利 変 動 金 利.% 変 動 固 定 ミックス.% ケース 年 国 債 利 回 りが.%まで 低 下 した 場 合 預 金 金 利 企 業 向 け.% 家 計 向 け.%( 金 利 ゼロ) 貸 出 金 利.% 住 宅 ローン 金 利 変 動 金 利.% 変 動 固 定 ミックス.% ( 出 所 ) 日 本 銀 行 統 計 等 より 大 和 総 研 作 成