2016・2017 年度経済見通し



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2000 年 12 月 輸 出 の 減 速 によりテンポはやや 鈍 化 しているものの 緩 やかな 回 復 を 続 けている 2001 年 1 月 緩 やかな 回 復 を 続 けているが そのテンポは 輸 出 の 減 速 により 鈍 化 している 2001 年 2 月 緩 やかな 回 復 を 続 け


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第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 末 の 運 用 資 産 額 は 2,976 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +1.79%となりました なお 実 現 収 益 率 は +0.67%です 第 3 四 半 期

市況トレンド

平成24年度 業務概況書

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

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連結計算書


2

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

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片岡氏提出資料

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

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2016年夏のボーナス見通し

Microsoft Word - H25年度の概要

平 成 27 年 度 第 3 四 半 期 運 用 状 況 の 概 要 第 3 四 半 期 の 運 用 資 産 額 は 2 兆 4,339 億 円 となりました 第 3 四 半 期 の 修 正 総 合 収 益 率 ( 期 間 率 )は +2.05%となりました 実 現 収 益 率 は +1.19%です

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タイトル

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

 

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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平成28年11月期第3四半期決算短

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一


2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 無 (2) 会 計 方 針 の 変 更 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 修 正 再 表 示 1 会 計 基 準 等 の 改 正 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 : 無 2 1

ほかに パート 従 業 員 らの 厚 生 年 金 加 入 の 拡 大 を 促 す 従 業 員 五 百 人 以 下 の 企 業 を 対 象 に 労 使 が 合 意 すれば 今 年 十 月 から 短 時 間 で 働 く 人 も 加 入 できる 対 象 は 約 五 十 万 人 五 百 人 超 の 企 業

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別紙3

( 別 途 調 査 様 式 1) 減 損 損 失 を 認 識 するに 至 った 経 緯 等 1 列 2 列 3 列 4 列 5 列 6 列 7 列 8 列 9 列 10 列 11 列 12 列 13 列 14 列 15 列 16 列 17 列 18 列 19 列 20 列 21 列 22 列 固 定

3 連 結 財 務 諸 表 の 概 要 損 益 計 算 書 の 概 要 年 度 年 度 対 前 年 比 営 業 収 益 126, ,822 26, % 営 業 費 用 94, ,560 15, % 営 業 利 益 32,614 44,261 11,64

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

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記者発表資料

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平成29年2月期 第2四半期決算短信

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ): 無 新 規 - 社 ( 社 名 ) 除 外 - 社 ( 社 名 ) (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸


スライド 1

<重要な会計方針及び注記>

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

第316回取締役会議案

定 性 的 情 報 財 務 諸 表 等 1. 連 結 経 営 成 績 に 関 する 定 性 的 情 報 当 第 3 四 半 期 連 結 累 計 期 間 の 業 績 は 売 上 高 につきましては 前 年 同 四 半 期 累 計 期 間 比 15.1% 減 少 の 454 億 27 百 万 円 となり

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

減 少 率 ) と 平 均 余 命 の 伸 びを 勘 案 した 一 定 率 (0.3%) の 合 計 である スライド 調 整 率 を 差 し 引 いて 年 金 額 の 改 定 が 行 われる( 図 表 ) ただし マクロ 経 済 スライドが 完 全 に 実 施 されるのは 賃 金 や 物 価 があ

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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 新 規 - 社 除 外 - 社 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の

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1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

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注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

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している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

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(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) : 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

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(1) 貸 借 対 照 表 ( 平 成 26 年 11 月 30 日 現 在 ) ( 単 位 : 千 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 4,623,985 流 動 負 債 3,859,994 現 金 及 び 預 金 31,763 支 払 手 形

公表表紙

損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

注 記 事 項 (1) 四 半 期 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 無 (2) 会 計 方 針 の 変 更 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 修 正 再 表 示 1 会 計 基 準 等 の 改 正 に 伴 う 会 計 方 針 の 変 更 : 無 2 1

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m07 北見工業大学 様式①

Transcription:

2016 2017 年 度 経 済 見 通 し 2016 年 2 月 15 日 株 式 会 社 富 士 通 総 研 1 世 界 経 済 牽 引 役 不 在 で 減 速 不 安 の 連 鎖 に 陥 った 世 界 の 市 場 世 界 経 済 は 中 国 経 済 の 先 行 き 不 安 や 原 油 の 供 給 過 剰 が 原 油 安 をもたらし 世 界 的 に 株 安 となる など 市 場 が 不 安 定 化 している ユーロ 圏 日 本 は 下 振 れ 懸 念 から 追 加 緩 和 の 実 施 追 加 緩 和 の 表 明 を 余 儀 なくされた アメリカは 12 月 に 利 上 げに 踏 み 切 ったが 市 場 の 不 安 定 化 を 考 慮 し 当 初 想 定 していた 年 4 回 ペースの 利 上 げペースを 見 直 さざるを 得 なくなっている ユーロ 圏 においては ドイツ 銀 行 の 経 営 悪 化 が 表 面 化 し これが 金 融 システムの 脆 弱 性 が 残 る 南 欧 の 国 債 利 回 り 上 昇 に 波 及 した 昨 年 来 の 原 油 安 による 資 源 国 の 経 済 不 安 米 利 上 げに 対 応 して 資 本 流 出 を 防 ぐための 新 興 国 の 利 上 げなど 資 源 国 新 興 国 経 済 の 不 安 が 高 まっていたところに 比 較 的 堅 調 とされて 米 国 やユー ロ 圏 まで 先 行 き 不 安 が 持 ち 上 がったことが 市 場 を 大 きく 動 揺 させた 日 本 は 先 行 きのリスクを 未 然 に 防 ぐ 観 点 から マイナス 金 利 を 導 入 したが 円 安 株 高 の 効 果 は 一 時 的 で マネーがリスク 資 産 や 貸 し 出 しに 向 かう 前 に 国 債 に 需 要 が 集 中 し 長 期 金 利 がマイナス 圏 内 に 入 るなどして 逆 に 市 場 の 不 安 が 高 まった 原 油 安 をもたらしている 供 給 側 の 要 因 につては 仮 に OPEC の 雄 であるサウジアラビアと 非 加 盟 国 であるロシアが 協 調 して 減 産 できれば 原 油 は 底 入 れすると 考 えられるが そのハードルは 高 い 一 方 実 体 経 済 については 先 進 国 経 済 は 市 場 で 過 度 に 不 安 が 高 まっているが 内 容 はさほど 悪 いわけではない カギを 握 るのは 中 国 経 済 で 政 策 当 局 が 経 済 を 適 切 にハンドリングしていると の 確 信 を 市 場 が 得 られるかどうかである 上 海 株 式 市 場 でのサーキットブレーカー( 相 場 急 変 時 の 売 買 停 止 装 置 )の 導 入 は 株 価 下 落 を 緩 やかにするのがねらいだったが 運 用 のまずさによって 失 敗 し 世 界 の 株 式 市 場 を 混 乱 させる 結 果 となったのは 記 憶 に 新 しい 新 常 態 への 移 行 が 経 済 の 急 速 な 減 速 (ハードランディング)を 招 くことなく 円 滑 に 進 められると 市 場 は 信 じ 切 ってい ない 1

世 界 経 済 は 当 面 牽 引 役 を 欠 く 展 開 となり 減 速 を 余 儀 なくされると 考 えられる 市 場 の 動 揺 が 収 まるきっかけをつかみにくくなっており 動 揺 が 長 引 けば 株 価 低 迷 が 各 国 の 実 体 経 済 を 下 振 れさせる 懸 念 が 強 まることになる 世 界 経 済 のリスクが 高 まる 中 各 国 の 個 別 対 応 では 不 安 の 連 鎖 を 断 ち 切 ることが 難 しくなっており G20 や G7 などの 場 で 各 国 政 府 中 央 銀 行 が 協 調 して 政 策 発 動 でくるかどうかも 注 目 ポイントである 減 速 続 く 中 国 経 済 中 国 の 10~12 月 期 の 実 質 GDP 成 長 率 は 前 年 比 6.8%と 前 期 ( 同 6.9%)から 減 速 し リーマ ンショック 後 の 2009 年 1~3 月 期 ( 同 6.2%) 以 来 の 低 成 長 となった 2015 年 通 年 の 成 長 率 は 6.9% と 前 年 から 0.4 ポイント 低 下 し 目 標 の 7% 前 後 を 上 回 ることができなかった 25 年 ぶりの 低 い 伸 びである 一 方 1 月 の PMI は 49.4 と 前 月 から 0.3 ポイント 低 下 し 3 年 5 ヵ 月 ぶりの 低 水 準 と なった( 図 表 1) 10~12 月 期 の 工 業 生 産 は 前 年 比 5.9%と 前 期 から 横 ばいにとどまり 固 定 資 産 投 資 は 同 10.0%と 前 期 ( 同 10.3%)から 伸 びが 低 下 した 過 剰 設 備 は 依 然 として 解 消 されていない 2015 年 の 粗 鋼 生 産 は 8.4 億 トンと 34 年 ぶりに 前 年 割 れしたが 業 界 の 粗 鋼 生 産 能 力 は 11 億 トンあまりあると される 中 国 は 鉄 鋼 のみならず セメントや 建 設 機 材 からスマートフォンに 至 るまで 多 くの 分 野 で 過 剰 生 産 能 力 を 抱 えている 中 国 では 今 供 給 側 改 革 という 言 葉 が 流 行 している 昨 年 11 月 に 習 主 席 が 用 いたもので 従 来 の 需 要 刺 激 主 体 の 政 策 運 営 からの 決 別 を 意 味 し 減 税 や 規 制 緩 和 で 民 間 活 力 を 引 き 出 すという 意 味 合 いも 含 まれる 図 表 1 米 欧 中 のPMI 65 60 55 50 アメリカ 45 中 国 40 ユーロ 圏 35 30 25 08 09 10 11 12 13 14 15 16 ( 年 ) ( 出 所 )ISM Markit 中 国 国 家 統 計 局 中 国 物 流 購 入 連 合 会 2

10~12 月 期 に 社 会 消 費 品 小 売 総 額 が 前 年 比 11.1%と 前 期 (10.7%)から 上 向 いたのは 明 る い 材 料 である 製 造 業 が 低 迷 する 中 消 費 は 都 市 部 を 中 心 に 比 較 的 堅 調 を 維 持 している また インターネット 通 販 は 3 割 を 超 える 高 い 伸 びを 続 けている GDP に 占 めるサービス 業 の 比 率 は 1990 年 代 初 頭 の 30% 台 から 現 在 は 50% 超 まで 高 まっている これは 今 後 の 景 気 を 支 える 新 たな 動 きと 評 価 できるが まだ 力 不 足 である 中 国 のジレンマと 市 場 が 改 革 を 迫 る 可 能 性 製 造 業 不 振 が 中 国 経 済 の 先 行 きの 不 透 明 感 を 強 める 中 アメリカの 利 上 げの 影 響 で 海 外 への 資 本 流 出 が 加 速 し これが 元 高 圧 力 となっている 中 国 人 民 銀 行 がドル 売 り 元 買 い 介 入 を 繰 り 返 したこ とで 中 国 の 外 貨 準 備 は 急 速 に 減 少 し 足 元 ではピーク 時 (2014 年 6 月 )から 2 割 も 減 少 してい る こうした 元 買 い 介 入 は 国 内 の 金 融 緩 和 の 効 果 を 殺 ぐ 結 果 となっている 元 買 い 介 入 で 市 中 の 元 を 吸 収 することになるためである 一 方 で 追 加 緩 和 に 動 けば 海 外 への 資 金 流 出 に 拍 車 をかけ 元 安 圧 力 を 高 める 結 果 になるというジレンマがある したがって 今 後 の 金 融 緩 和 にも 慎 重 姿 勢 を 示 している 国 際 金 融 の 世 界 では 自 律 的 な 金 融 政 策 資 本 移 動 の 自 由 固 定 相 場 制 の 三 つを 同 時 に 達 成 でき ないトリレンマがあることが 知 られているが 中 国 がこの 問 題 に 直 面 していることを 意 味 する 中 国 は 従 来 資 本 移 動 を 規 制 することで 自 律 的 な 金 融 政 策 と 固 定 相 場 制 を 維 持 してきたが 資 本 移 動 の 規 制 が 有 効 でなくなった 時 に 固 定 相 場 を 維 持 しようとすると 金 融 政 策 が 使 えなくなる かといって 中 国 政 府 は 過 度 の 資 本 流 出 を 招 きかねない 変 動 相 場 制 への 移 行 に 踏 み 切 る 意 向 もな い このほど 人 民 元 は IMF が 定 める SDR の 構 成 通 貨 に 組 み 入 れられたが それに 伴 い 人 民 元 レートの 自 由 化 の 期 待 する 向 きもあった しかし 最 近 の 中 国 は 相 場 を 管 理 する 姿 勢 を 一 層 鮮 明 に している これに 関 連 して 2 月 下 旬 の G20 財 務 省 中 央 銀 行 総 裁 会 議 では 人 民 元 の 急 激 な 変 動 が 世 界 の 市 場 の 混 乱 要 因 になっているとの 認 識 から 通 貨 安 定 をねらい 国 外 への 外 貨 持 ち 出 しな どの 資 本 規 制 が 議 論 される 見 通 しである しかしそれでも 元 安 の 流 れを 止 めるのは 次 第 に 難 しくなっていく 可 能 性 がある 中 国 経 済 の 先 行 きについて 1 月 21 日 のダボス 会 議 でジョージ ソロス 氏 が 中 国 経 済 のハードランディングは 不 可 避 と 発 言 し 物 議 をかもした ソロス 氏 は 1990 年 代 にイギリスのポンド 値 下 がりを 見 越 し ポンドを 売 り 浴 びせて 巨 利 を 得 たことで 知 られる 中 国 政 府 はこの 時 と 同 じように 人 民 元 が 売 り 浴 びせられることを 警 戒 しており 中 国 メディアはソロス 発 言 を 一 斉 に 批 判 した 中 国 政 府 は 昨 年 成 長 率 目 標 を 7.0% 前 後 として 3 年 ぶりに 引 き 下 げたが 実 際 の 成 長 率 は これを 下 回 った 今 後 の 目 標 は 6.5~7.0% とされる 見 込 みである 中 国 政 府 は 一 層 の 成 長 の 鈍 3

化 を 容 認 しても 構 造 調 整 を 続 ける 意 向 である 3 月 の 全 人 代 などの 場 で ハードランディング 論 を 払 拭 するような 政 策 を 発 信 し 中 国 政 府 が 経 済 をハンドリングし 得 ることを 示 せなければ いず れ 市 場 の 売 り 浴 びせによって 改 革 を 余 儀 なくされるというシナリオが 高 まる 可 能 性 もゼロではな いと 思 われる 底 堅 い 成 長 を 続 けるユーロ 圏 ユーロ 圏 の 10~12 月 期 の 実 質 GDP 成 長 率 は 前 期 比 年 率 1.1%と 前 期 ( 同 1.2%)からわずか に 減 速 したものの 11 四 半 期 連 続 でプラス 成 長 となった PMI も 安 定 的 に 推 移 している( 図 表 1) 2015 年 の 成 長 率 は 1.5%と 4 年 ぶりの 高 い 伸 びとなった しかし 先 行 きについては 不 安 材 料 が 少 なくない 生 産 は 足 元 では 減 少 しており 12 月 は 前 月 比 -1.0%と 前 月 (-0.5%)からマイナス 幅 が 拡 大 した 中 国 など 新 興 国 経 済 減 速 の 影 響 もあり 輸 出 はこのところ 弱 い 動 きを 示 しており 生 産 もそのあおりを 受 けている ユーロ 圏 経 済 を 牽 引 する ドイツも 10~12 月 の 実 質 GDP 成 長 率 は 前 期 から 横 ばいにとどまった 1 月 の 消 費 者 物 価 は 前 年 比 0.4%と 目 標 (2% 未 満 で その 近 辺 )からほど 遠 い 状 況 が 続 いている 原 油 安 の 影 響 により 数 ヵ 月 後 には 再 びマイナス 圏 入 りする 可 能 性 もある ECB のドラギ 総 裁 は 1 月 21 日 に 3 月 10 日 に 開 催 される 理 事 会 で 追 加 緩 和 に 踏 み 切 る 可 能 性 を 強 く 示 唆 した 年 初 来 の 世 界 的 な 市 場 の 混 乱 を 受 け 下 振 れリスクが 高 まったことに 対 応 するた めである ECB は 昨 年 12 月 に 量 的 緩 和 の 期 限 を 2017 年 3 月 迄 半 年 間 延 長 するとともに 民 間 銀 行 が 資 金 を ECB に 預 ける 際 の 金 利 ( 預 金 ファシリティ 金 利 )も-0.1%から-0.3%に 引 き 下 げたが 国 債 などの 買 い 取 りの 規 模 拡 大 を 見 込 んでいた 市 場 の 期 待 を 裏 切 り 株 安 ユーロ 高 を 招 いた 経 緯 がある 今 度 は 市 場 を 失 望 させないよう 動 こうとしている 一 方 最 近 のユーロ 圏 では ドイツ 銀 行 の 財 務 悪 化 懸 念 に 端 を 発 して 金 融 システムに 対 する 不 安 が 再 び 頭 をもたげている きっかけは ドイツ 銀 行 が 中 核 的 資 本 を 補 強 するために 過 去 に 発 行 し た 債 券 の 利 払 いに 対 する 懸 念 が 広 がったことであった ドイツ 銀 行 は リーマンショック 後 不 正 な 取 引 が 明 るみに 出 てその 処 理 費 用 やリストラ 費 用 がかさみ 昨 年 の 最 終 赤 字 は 過 去 最 悪 となって いた ドイツ 銀 行 に 対 する 不 安 が 米 欧 の 銀 行 株 下 落 に 波 及 し また 金 融 システムが 脆 弱 な 南 欧 の 国 債 利 回 り 上 昇 にまでつながった ユーロ 圏 経 済 は 比 較 的 堅 調 に 推 移 しているとはいえ なお 不 安 定 性 が 高 いことを 示 している マイナス 金 利 のもたらした 影 響 一 方 欧 州 で 先 行 して 導 入 されたマイナス 金 利 は 一 部 では 手 数 料 を 預 金 者 に 転 嫁 する 動 きが 出 ている 昨 年 10 月 スイスの 中 堅 銀 行 (オルタナティブバンク)は 個 人 の 預 金 金 利 を-0.125% 4

とした 顧 客 は 手 数 料 を 支 払 わなければならなくなったことを 意 味 する また ドイツの 中 堅 銀 行 (スカットバンク)は 昨 年 11 月 300 万 ユーロ 超 の 預 金 に-0.25%の 金 利 を 導 入 した しかし 多 くの 銀 行 は 預 金 流 出 を 警 戒 し マイナス 金 利 のコストを 転 嫁 し 切 れていないため 収 益 圧 迫 要 因 になることが 懸 念 されている 一 方 デンマークでは 住 宅 ローンを 借 りた 顧 客 にいわば 利 息 を 提 供 するマイナス 金 利 が 登 場 し ( 住 宅 金 融 大 手 の 変 動 金 利 は-0.3% 程 度 ) 手 数 料 を 加 味 してもゼロ 近 くの 金 利 となったため 住 宅 購 入 者 が 増 え 住 宅 価 格 が 上 昇 した これについては 消 費 者 がマイナス 金 利 の 下 で 過 度 に 負 債 を 抱 えることで 将 来 的 なリスクの 高 まりを 懸 念 する 声 もある マイナス 金 利 がもたらしたこうし た 影 響 は 今 後 の 日 本 においても 参 考 になる ユーロ 圏 の 実 体 経 済 は 追 加 緩 和 が 下 支 えになるとともに ドイツが 難 民 対 策 で 200 億 ユーロの 公 費 をつぎ 込 み これがドイツの 成 長 率 を 引 き 上 げることで(0.25%の 引 き 上 げ 効 果 ドイツ 銀 行 による 試 算 ) 引 き 続 き 緩 やかに 持 ち 直 していくというのが 基 本 シナリオである しかし 中 国 な どの 減 速 が 輸 出 や 生 産 に 影 を 落 としており 今 後 の 成 り 行 き 次 第 ではこれが 成 長 の 足 かせとなる 懸 念 もある 大 幅 減 速 で 利 上 げペースを 修 正 アメリカの 10~12 月 期 の 実 質 GDP 成 長 率 は 前 期 比 年 率 0.7%と 前 期 ( 同 2.0%)から 鈍 化 し 寒 波 の 影 響 を 受 けた 1~3 月 期 以 来 3 四 半 期 ぶりの 低 成 長 にとどまった 暖 冬 の 影 響 により 個 人 消 費 は 同 2.2%と 前 期 ( 同 3.0%)から 鈍 化 したが プラスを 維 持 した これに 対 し ドル 高 や 海 外 経 済 減 速 により 輸 出 が 同 -2.5%と 前 期 ( 同 0.7%)のプラスからマイナスに 転 じ また 設 備 投 資 は 同 -1.8%と 2012 年 7~9 月 期 以 来 の 減 少 となった 原 油 安 によりエネルギー 関 連 の 投 資 が 落 ち 込 み 海 外 経 済 減 速 により 企 業 マインドも 慎 重 になっている PMI(ISM 製 造 業 景 況 感 指 数 )は 48.2 と 拡 大 縮 小 の 境 目 である 50 を 4 ヵ 月 連 続 で 下 回 っている( 図 表 1) 雇 用 については 1 月 の 非 農 業 部 門 の 就 業 者 数 は 前 月 比 15.1 万 人 の 増 加 と 前 月 (26 万 人 ) を 大 きく 下 回 った 一 方 1 月 の 失 業 率 は 前 月 より 0.1 ポイント 改 善 する 4.9%となり 雇 用 の 質 を 示 す 平 均 賃 金 は 前 月 比 0.5%と 伸 びが 加 速 した 雇 用 統 計 は 強 弱 が 入 り 混 じっており GDP 統 計 の 悪 さとともに FRB が 想 定 していた 年 4 回 の 利 上 げペースの 実 現 を 積 極 的 に 支 持 する 内 容 ではな かった 年 初 来 の 市 場 の 動 揺 や 最 近 の 経 済 指 標 の 動 きを 受 け イエレン 議 長 は 2 月 10 日 に 経 済 が 下 振 れすれば 利 上 げペースも 減 速 するのが 適 当 と 述 べ 3 月 の 追 加 利 上 げを 見 送 る 可 能 性 を 示 唆 し た ただし 雇 用 環 境 は 完 全 雇 用 に 近 い 好 調 を 維 持 しており 原 油 安 などの 物 価 の 下 押 し 圧 力 も 一 時 的 だとして 緩 やかな 金 融 引 き 締 めの 路 線 は 堅 持 するとし 利 上 げペースが 大 幅 に 遅 れるという 5

市 場 の 観 測 を 牽 制 した 利 上 げについては 一 部 の 経 済 学 者 から 時 期 尚 早 だったとの 批 判 も 出 ている 例 えば サマーズ 元 財 務 長 官 は 12 月 終 わりに 1 早 い 時 期 に 2%の 物 価 上 昇 率 に 回 復 すると 過 信 していること 2 2%の 物 価 上 昇 率 を 達 成 目 標 というより 上 限 と 捉 えていること 3 早 めの 利 上 げで 後 の 利 下 げ 余 地 が 生 まれ 総 需 要 を 刺 激 できると 考 えていること 4 米 経 済 が 長 期 停 滞 に 陥 る 可 能 性 を 軽 視 してい ること の 4 点 から 利 上 げが 誤 りだと 断 じた こうした 批 判 に 応 えるわけではないが 世 界 の 市 場 の 動 揺 を 受 け FRB は 利 上 げペースを 再 考 せざる 得 なくなっている 新 興 国 経 済 の 減 速 は アメリカの 利 上 げに 伴 う 資 本 流 出 を 防 ぐための 対 抗 利 上 げに 一 因 があり 世 界 経 済 の 減 速 懸 念 が 原 油 の 供 給 過 剰 と 相 俟 って 原 油 市 況 の 低 迷 をも たらしている そして それがまた 世 界 の 市 場 を 動 揺 させる 要 因 になっている 利 上 げを 当 初 のペ ースで 進 めることを 世 界 経 済 が 許 容 できなくなっており 世 界 経 済 の 減 速 が 米 経 済 に 悪 影 響 をもた らす 可 能 性 が 高 まっているとすれば サマーズ 氏 の 論 点 とは 別 に 当 初 想 定 した FRB の 利 上 げペ ースは やや 性 急 だったとの 評 価 もできるかもしれない 6

2 日 本 経 済 停 滞 感 強 まり 回 復 に 遅 れ 10~12 月 期 の 実 質 GDP 成 長 率 は 前 期 比 -0.4%( 同 年 率 -1.4%)と 2 四 半 期 ぶりのマイナス 成 長 となった 前 期 には 持 ち 直 した 消 費 輸 出 が 再 びマイナスに 転 じたほか 住 宅 も 4 四 半 期 ぶりに マイナスとなった 設 備 投 資 が 2 四 半 期 連 続 にプラスになった 点 は 朗 報 であるが 在 庫 調 整 の 進 展 により 在 庫 の 寄 与 度 がマイナスになった 点 は 成 長 率 の 押 し 下 げ 要 因 となった 以 下 では 最 近 の 経 済 状 況 を 確 認 しつつ 今 後 の 行 方 を 探 っていこう 力 強 さを 欠 く 輸 出 生 産 外 需 については 実 質 輸 出 ( 日 銀 ベース)は 10~12 月 期 は 前 期 比 2.7%と 2 四 半 期 連 続 で 増 加 した( 図 表 2) 地 域 別 でみると アメリカ 向 け EU 向 けは 前 期 のマイナスからプラスに 転 じた 中 国 向 けは 4 四 半 期 ぶりのプラスに 転 じた ただし これまでの 落 ち 込 みを 考 えると 戻 りは 限 定 的 である NIEs 向 けは 引 き 続 きマイナスとなっている 輸 出 は 先 進 国 向 けは 持 ち 直 しているもの の 新 興 国 向 けが 振 るわない 状 況 が 続 いている 財 別 では 自 動 車 が 2 四 半 期 連 続 の 増 加 情 報 関 連 が 4 四 半 期 ぶりに 増 加 に 転 じたが 資 本 財 部 品 が 4 四 半 期 連 続 でマイナスと 低 迷 が 続 いている 自 動 車 は 先 進 国 向 けが 増 加 し 情 報 関 連 は 新 型 スマートフォン 向 け 部 品 の 増 加 により 下 げ 止 まった 資 本 財 部 品 が 低 迷 しているのは 中 国 など 新 興 国 経 済 減 速 の 影 響 による 月 次 ベースでみると 11 月 まで 3 ヵ 月 連 続 で 増 加 したもの 12 月 は 前 月 比 -3.1%と 比 較 的 大 き なマイナスとなった 点 は 要 注 意 である 先 行 きも 自 動 車 は 堅 調 に 推 移 すると 考 えられる しかし 情 報 関 連 は IT サイクルの 影 響 で 再 び 下 降 に 転 じ 新 興 国 経 済 の 回 復 が 遅 れていることにより 資 本 財 部 品 も 低 調 に 推 移 する 可 能 性 が 高 い 輸 出 の 回 復 ペースは 先 行 きも 緩 やかなもののとどまる と 予 想 される 一 方 10~12 月 期 の 生 産 は 前 期 比 0.7%と 3 四 半 期 連 続 ぶりにプラスに 転 じた( 図 表 2) し かしそれまでの 落 ち 込 み(4~6 月 期 同 -1.4% 7~9 月 期 同 -1.2%)に 比 べると 戻 りは 極 めて 弱 い 月 次 ベースでは 11 月 前 月 比 -0.9% 12 月 同 -1.4%と 2 ヵ 月 連 続 でマイナスとなっている 12 月 は 輸 送 機 械 電 子 部 品 デバイス はん 用 生 産 用 業 務 用 機 械 のいずれもマイナスとなったが 中 でも 電 子 部 品 デバイスの 落 ち 込 みが 懸 念 される 新 型 スマートフォン 向 け 部 品 が 当 初 予 想 よ りも 伸 びなかったため 生 産 が 下 方 修 正 された はん 用 生 産 用 業 務 用 機 械 の 伸 び 悩 みは 設 備 投 資 が 伸 び 悩 んでいることを 反 映 していると 考 えられる 出 荷 在 庫 バランスは 11 月 に 1 年 7 ヵ 月 ぶりにプラスに 転 じたが 12 月 は 出 荷 がマイナスと なったため 再 びマイナスとなった( 図 表 3) 在 庫 調 整 は なかなか 終 わりが 見 えない 状 況 になっ 7

図 表 2 実 質 輸 出 と 鉱 工 業 生 産 指 数 (2010=100) 130 120 110 100 90 80 70 60 50 08 09 10 11 12 13 14 15 ( 年 ) 実 質 輸 出 ( 季 調 値 ) 鉱 工 業 生 産 指 数 ( 季 調 値 ) ( 出 所 ) 日 本 銀 行 実 質 輸 出 入 経 済 産 業 省 鉱 工 業 指 数 統 計 図 表 3 出 荷 在 庫 バランス ( 前 年 比 %) 25 20 15 10 5 0-5 11 12 13 14 15-10 -15-20 出 荷 - 在 庫 出 荷 在 庫 ( 年 ) ( 出 所 ) 経 済 産 業 省 鉱 工 業 指 数 統 計 8

ている 生 産 の 先 行 きについては 製 造 工 業 予 測 指 数 は 1 月 7.6% 2 月 -4.1%と 振 れが 大 きくなっている 足 元 の 実 現 率 (12 月 -2.4%)が 大 幅 なマイナスとなっている 点 や 年 初 以 降 の 世 界 的 な 市 場 混 乱 の 影 響 もあり 下 振 れる 可 能 性 が 高 いと 思 われる 設 備 投 資 については 企 業 の 備 投 資 意 欲 はかねて 高 まっているものの なかなか 現 実 の 設 備 投 資 に 結 びついていない 先 行 指 標 である 機 械 受 注 は 10~11 月 平 均 は7~9 月 期 対 比 5.7%と 7~9 月 期 の 前 期 比 -10.0%から 回 復 した( 図 表 4) 一 致 指 標 である 資 本 財 総 供 給 ( 国 産 品 + 輸 入 品 )も 10~11 月 平 均 は7~9 月 期 対 比 1.2%と 7~9 月 期 までの 3 四 半 期 連 続 のマイナスから 回 復 した 設 備 投 資 は 持 ち 直 しているが その 足 取 りは 鈍 いままである 日 銀 短 観 (12 月 調 査 )では 設 備 投 資 計 画 の 強 さは 堅 持 され 維 持 更 新 や 人 手 不 足 に 対 応 する ための 省 力 化 投 資 に 対 する 企 業 の 意 欲 は 強 い しかし 先 行 きについては 足 元 の 円 高 進 展 による 業 績 悪 化 懸 念 が 企 業 のマインドを 萎 縮 させ 設 備 投 資 が 先 送 りされるリスクが 高 まっている 消 費 は 停 滞 実 質 賃 金 は 減 少 消 費 については 消 費 総 合 指 数 は 10~12 月 期 は 前 期 比 -0.7%と 2 四 半 期 ぶりのマイナスとなっ た( 図 表 5) 暖 冬 による 冬 物 衣 料 の 販 売 不 振 が 足 を 引 っ 張 った 家 電 自 動 車 販 売 はおおむね 横 ば いで 推 移 している 最 近 の 消 費 不 振 については 消 費 総 合 指 数 や GDP の 消 費 の 基 礎 統 計 である 家 計 調 査 のサンプル 要 因 がしばしば 指 摘 される しかし 直 近 は 小 売 業 販 売 額 ( 実 質 )も 不 振 であり サンプル 要 因 とばかり 言 えない 消 費 不 振 の 背 景 には 賃 金 伸 び 悩 みなどがあると 考 えられる 消 費 者 マインドは 12 月 まで 3 ヵ 月 連 続 で 上 昇 していたが 1 月 は 下 降 に 転 じた( 図 表 5) 消 費 の 先 行 きは エネルギー 価 格 の 下 落 は 実 質 可 処 分 所 得 を 増 加 させ プラス 要 因 となる しか し 最 近 の 急 速 な 円 高 進 展 が 先 行 きの 企 業 業 績 を 悪 化 させる 可 能 性 が 高 まっている これが 所 定 外 給 与 や 特 別 給 与 の 減 少 などを 通 じ 賃 金 の 改 善 を 停 滞 させたり 消 費 者 マインドに 悪 影 響 を 与 えたり する 場 合 には 消 費 を 低 迷 させる 要 因 になると 考 えられる 雇 用 については 労 働 需 給 は 引 き 続 き 改 善 を 続 け 12 月 の 有 効 求 人 倍 率 は 1.27 倍 と 1991 年 12 月 (1.31 倍 ) 以 来 の 高 水 準 を 記 録 した 完 全 失 業 率 は 3.3%と 構 造 失 業 率 に 近 い 水 準 を 保 ってお り 完 全 雇 用 状 態 といえる 所 定 内 給 与 は 2015 年 以 降 安 定 的 に 上 昇 を 続 け 12 月 は 前 年 比 0.7% と 上 昇 を 加 速 させた 所 定 外 給 与 も 6 ヵ 月 連 続 で 上 昇 し 現 金 給 与 総 額 もまた 6 ヵ 月 連 続 で 上 昇 し ている 所 定 内 給 与 については パート 比 率 の 上 昇 が 引 き 続 き 下 押 し 圧 力 にはなっているが 一 般 労 働 者 がベアの 影 響 で 引 き 上 がる 方 向 にあり 全 体 としてプラスを 維 持 している このように 名 目 賃 金 は 改 善 を 続 けているが 実 質 賃 金 が 11 月 以 降 2 ヵ 月 連 続 でマイナスとなっ ている 点 は 悪 材 料 である(11 月 前 年 比 -3.0% 12 月 -0.4%) 12 月 は 名 目 賃 金 も 伸 び 悩 んだが 消 9

図 表 4 機 械 受 注 と 資 本 財 総 供 給 ( 百 億 円 ) 110 100 90 80 70 60 機 械 受 注 ( 船 舶 電 力 を 除 く 民 需 季 調 値 左 目 盛 ) 50 資 本 財 総 供 給 ( 季 調 値 右 目 盛 ) 40 08 09 10 11 12 13 14 15 (2010=100) 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 ( 年 ) ( 出 所 ) 内 閣 府 機 械 受 注 統 計 経 済 産 業 省 鉱 工 業 指 数 統 計 55 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 図 表 5 消 費 者 態 度 指 数 と 消 費 総 合 指 数 消 費 者 態 度 指 数 ( 季 調 値 左 目 盛 ) 消 費 総 合 指 数 ( 実 質 季 調 値 右 目 盛 ) (2005=100) 115 110 105 100 85 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 ( 年 ) ( 出 所 ) 内 閣 府 消 費 総 合 指 数 消 費 動 向 調 査 ( 注 ) 消 費 者 態 度 指 数 は 調 査 方 法 の 変 更 に 伴 い 不 連 続 が 生 じている 95 90 10

費 者 物 価 ( 持 ち 家 の 帰 属 家 賃 除 く 総 合 )の 伸 びが 鈍 化 したことで マイナス 幅 は 縮 小 した 名 目 賃 金 は 伸 びても 実 質 賃 金 に 明 確 な 上 昇 が 見 られないことが 消 費 の 弱 さにつながっていると 考 えら れる 景 気 後 退 リスクも このように 足 元 の 景 気 は 停 滞 感 を 強 めており 12 月 の 景 気 動 向 指 数 は 一 致 指 数 が 前 月 差 -0.7 ポイント(11 月 -1.4 ポイント) 先 行 指 数 は 前 月 差 -1.2 ポイント(11 月 -0.9 ポイント)と 2 ヵ 月 連 続 で 低 下 した 一 致 指 数 の 基 調 判 断 は 足 踏 み で 据 え 置 きとなった この 先 の 一 致 指 数 の 推 移 次 第 では 数 ヵ 月 以 内 にも 基 調 判 断 が 下 方 への 局 面 変 化 と 判 断 される 条 件 を 満 たす 可 能 性 も ある 景 気 は 拡 大 持 続 に 黄 信 号 が 点 っている 状 況 といえる 消 費 者 の 物 価 上 昇 期 待 も 低 下 している 1 年 後 の 物 価 上 昇 を 予 想 する 世 帯 の 割 合 は アベノミク ス 以 降 増 加 してきたが 2015 年 4 月 をピークに 足 元 では 減 少 傾 向 にある( 図 表 6) とりわけ 2%の 物 価 上 昇 を 予 想 する 世 帯 の 割 合 の 減 少 が 目 立 つ 最 近 の 急 速 な 円 高 株 安 の 進 展 は 実 体 経 済 と 大 きく 乖 離 した 動 きと 言 わざるを 得 ないが 市 場 の 動 揺 がしばらく 続 く 場 合 には 企 業 マインド 消 費 者 マインドを 大 きく 悪 化 させ 景 気 停 滞 に 拍 車 をかけるリスクは 大 きい 図 表 6 1 年 後 の 物 価 上 昇 予 想 世 帯 の 割 合 (%) 100 90 80 70 60 50 40 30 上 昇 すると 予 想 する 世 帯 20 2% 以 上 上 昇 すると 予 想 する 世 帯 10 0 08 09 10 11 12 13 14 15 16 ( 年 ) ( 出 所 ) 内 閣 府 消 費 動 向 調 査 ( 注 ) 調 査 方 法 の 変 更 に 伴 い 不 連 続 が 生 じている 11

マイナス 金 利 の 評 価 ここで マイナス 金 利 の 評 価 をしておこう 中 国 経 済 の 先 行 き 不 安 や 原 油 安 に 端 を 発 する 年 初 来 の 株 安 円 高 を 受 け 日 本 銀 行 は 1 月 29 日 の 金 融 政 策 決 定 会 合 で 銀 行 が 日 本 銀 行 に 預 けるお 金 である 当 座 預 金 の 一 部 にマイナス 金 利 を 適 用 することを 決 めた それまで 黒 田 総 裁 は マイナス 金 利 適 用 には 否 定 的 な 発 言 を 繰 り 返 していただけに 内 外 の 市 場 から 驚 きを 持 って 受 け 止 められた 年 間 80 兆 円 のペースで 長 期 国 債 を 購 入 する 量 的 緩 和 が 早 晩 限 界 に 達 するという 観 測 が 高 まっ ていたことに 対 し 12 月 の 決 定 会 合 では 保 有 する 国 債 の 満 期 までの 期 間 を 延 長 するなどして 限 界 論 の 払 拭 に 努 めた しかし 追 加 緩 和 までには 踏 み 切 らず 市 場 の 失 望 を 招 いた 今 回 は 一 気 にマイナス 金 利 にまで 踏 み 込 んだことで 市 場 に 強 いインパクトを 与 えた マイナ ス 幅 は 先 行 きも 拡 大 させていくことが 可 能 で これと 量 的 緩 和 のいくらかの 拡 大 余 地 を 併 せ 日 銀 は 金 融 緩 和 の 限 界 論 を 払 拭 しようとした マイナス 金 利 の 効 果 としては 先 行 して 導 入 した 欧 州 諸 国 からの 経 験 からは 通 貨 安 をもたらす 効 果 があることはわかっている しかし 民 間 銀 行 が マイナス 金 利 を 嫌 い 貸 し 出 しを 増 やす 効 果 は 限 定 的 であった 日 本 における 効 果 としては マイナス 金 利 導 入 直 後 は 円 安 株 高 をもたらしたが 世 界 経 済 の 先 行 き 不 安 が 強 い 中 では 効 果 は 持 続 的 ではなかった マイナス 金 利 導 入 の 効 果 が 世 界 経 済 の 先 行 き 不 安 の 効 果 を 下 回 ったためである マイナス 金 利 で 設 備 投 資 が 刺 激 されるかどうかという 点 については 資 金 調 達 コストが 下 がっ たとしても 世 界 経 済 の 先 行 き 不 安 が 強 い 中 では 積 極 的 に 投 資 に 踏 み 切 れない 状 況 にある また 住 宅 ローン 金 利 の 低 下 で 住 宅 取 得 能 力 が 多 少 上 がったとしても 住 宅 価 格 はアベノミクス 下 でかな り 上 昇 しており 需 要 刺 激 の 効 果 は 限 定 的 と 考 えられる しかも 銀 行 は 貸 し 出 しを 増 やそうとする 前 に 安 全 資 産 である 国 債 購 入 を 増 やした 国 債 に 需 要 が 殺 到 したことで その 価 格 は 上 昇 し 利 回 りは 低 下 した また たとえ 国 債 価 格 が 上 昇 したと しても 日 銀 がそれ 以 上 の 価 格 で 買 ってくれるとの 思 惑 で 国 債 を 購 入 する 傾 向 も 強 まった マイナス 金 利 の 導 入 は 当 初 の 時 点 では 日 銀 の 期 待 した 効 果 を 生 むどころか 市 場 を 不 安 定 化 させる 結 果 となった マイナス 金 利 の 導 入 が 効 果 的 な 施 策 であったかについて 評 価 を 下 すために は 今 後 の 推 移 を 待 たなければならない これまで 日 銀 が 2%の 消 費 者 物 価 上 昇 率 達 成 のために 何 でもやるという 強 い 姿 勢 を 示 してきたこ とが 景 気 回 復 につながってきたことは 確 かである その 結 果 すでに 日 本 経 済 が 完 全 雇 用 に 近 い 状 態 となり 生 鮮 食 品 とエネルギーを 除 く 物 価 上 昇 率 が1% 台 半 ば 近 くに 達 していることを 考 慮 すれ ば 目 標 に 着 実 に 向 かっているとの 評 価 もできる 日 銀 の 政 策 運 営 は 現 時 点 では 本 来 は 無 理 をす る 必 要 はなく 2%は 中 長 期 の 目 標 と 位 置 づけ 日 本 経 済 の 成 長 の 天 井 を 突 破 するための 構 造 改 革 12

をサポートする 姿 勢 で 運 営 していくのが 望 ましい しかし 世 界 経 済 のリスク 増 大 など 外 部 環 境 の 急 変 にも 対 応 する 必 要 がある 先 行 きも 難 しい 運 営 を 迫 られることになる 春 季 賃 上 げ 率 は 控 え 目 先 行 き 市 場 の 動 揺 が 次 第 に 収 まっていったとして 景 気 が 回 復 基 調 に 戻 っていくためには 賃 金 上 昇 が 本 格 化 するかどうかが 重 要 となる デフレからの 完 全 な 脱 却 という 観 点 からも 賃 金 の 持 続 的 な 上 昇 は 欠 かせない 消 費 者 物 価 と 時 間 当 たり 賃 金 の 伸 びは 長 期 的 に 見 るとほぼ 連 動 してい る その 意 味 で 今 年 の 春 闘 が 注 目 されている 主 要 企 業 では 2014 年 2.19% 2015 年 2.38%と2 年 連 続 で 2% 台 の 賃 上 げとなり 同 時 に 2 年 連 続 のベースアップが 実 現 された 2015 年 のベースア ップは 0.5%と 2000 年 以 降 で 最 大 の 伸 びとなった しかしながら 今 年 の 春 闘 では 連 合 の 要 求 は 昨 年 に 比 べややトーンダウンしている 昨 年 は 2% 以 上 としていたが 今 年 は 2% 程 度 を 基 準 となっている また 自 動 車 電 機 などで 構 成 す る 金 属 労 協 は 今 年 の 賃 上 げ 要 求 を 昨 年 の 半 分 に 抑 えた 企 業 収 益 は 高 水 準 であるものの 伸 びは 鈍 化 傾 向 にあることや 消 費 者 物 価 の 伸 びが 鈍 化 してい ることがこの 背 景 にある このほか 2 年 連 続 の 賃 上 げは 実 現 されたものの 中 小 企 業 の 賃 上 げが 大 企 業 に 追 いつかない 状 況 になっているということもある 物 価 については 労 組 側 の 要 求 の 基 準 となる 消 費 者 物 価 は 生 鮮 食 品 を 除 くベースであるが 原 油 価 格 下 落 の 影 響 により 足 元 では 低 い 伸 びにとどまっている(12 月 は 0.1%) これに 対 し 最 近 日 銀 が 物 価 の 基 調 を 判 断 する 指 標 として 重 視 している 生 鮮 食 品 とエネルギーを 除 く 消 費 者 物 価 は 比 較 的 堅 調 に 推 移 している(12 月 は 1.3%) 労 組 がこれまで 要 求 の 目 安 としてきた 生 鮮 食 品 を 除 くベースが 原 油 価 格 下 落 という 特 殊 要 因 で 鈍 化 したことを 踏 まえ また 最 近 の 日 銀 が 生 鮮 食 品 とエネルギー 価 格 を 除 くベースを 重 視 して 政 策 運 営 していることを 考 慮 すれば 労 組 もこれに 基 づいて 要 求 水 準 を 下 げないという 選 択 肢 もあっ てしかるべきだったかもしれない しかし これまでの 慣 行 が 重 視 された 一 方 大 企 業 と 中 小 企 業 の 格 差 が 開 いているという 点 に 関 しては 2015 年 の 中 小 企 業 の 賃 上 げ 率 は 1.6%と 前 年 から 横 ばいにとどまり 中 小 企 業 への 波 及 は 実 際 遅 れている 今 年 の 要 求 を 2% 程 度 を 基 準 としたのは 大 企 業 労 組 の 要 求 に 幅 を 持 たせた 上 で 大 企 業 が 系 列 の 中 小 企 業 からの 仕 入 れ 価 格 引 き 上 げなどの 配 慮 をすることで 中 小 企 業 の 底 上 げを 実 現 するというねらいも ある こうした 事 情 により 今 年 の 要 求 は 昨 年 よりトーンダウンしたが 2%の 物 価 上 昇 を 目 指 す 日 銀 にとっては 物 足 りないものに 映 っている 物 価 上 昇 が 2%を 超 えていた 1990 年 代 前 半 は 賃 金 13

は 4~5% 伸 びていた 現 在 も 2%の 物 価 上 昇 を 実 現 するためには 4~5% 程 度 の 賃 上 げが 必 要 と される その 意 味 で 今 年 の 春 闘 も 企 業 収 益 の 増 加 が 賃 金 に 回 り 経 済 の 好 循 環 がより 一 層 進 展 すると いう 期 待 には 十 分 応 えられそうにはない しかし これまでの 要 求 方 式 を 変 えることはすぐには 難 しい また 中 小 企 業 に 賃 上 げを 波 及 させるまでには 時 間 がかかる 今 年 の 主 要 企 業 の 春 季 賃 上 げ 率 は 2014 年 の 水 準 は 上 回 るが 2015 年 を 下 回 る 水 準 で 着 地 する 可 能 性 が 高 い 2016 年 度 の 成 長 率 は 1.2% 以 上 を 勘 案 すると 今 後 の 日 本 経 済 は 賃 金 の 伸 び 悩 みで 個 人 消 費 は 力 強 さを 欠 き 設 備 投 資 も 維 持 更 新 や 省 力 化 投 資 以 外 はあまり 広 がらず 海 外 経 済 の 停 滞 により 輸 出 も 緩 やかな 回 復 にとどま ることで 停 滞 感 の 強 い 状 態 で 推 移 すると 考 えられる 物 価 上 昇 も 頭 打 ちで 推 移 すると 考 えられる 2016 年 度 後 半 以 降 は 停 滞 感 が 次 第 に 払 拭 されていくと 考 えられるが 2017 年 度 は 消 費 税 率 引 き 上 げの 影 響 により ほぼゼロ 成 長 になると 考 えられる 2016 年 度 の 実 質 GDP 成 長 率 は 1.2% 2017 年 度 0.1%になると 予 想 される 消 費 者 物 価 上 昇 率 ( 除 く 生 鮮 食 品 )については 2016 年 度 0.6% 2017 年 度 2.1%( 消 費 税 率 引 き 上 げの 影 響 を 除 く と 1.1%)を 見 込 んでいる なお 消 費 税 率 引 き 上 げが 実 質 GDP 成 長 率 に 与 える 影 響 は 2016 年 度 +0.2 ポイント 程 度 ( 個 人 消 費 住 宅 投 資 の 駆 け 込 み 需 要 発 生 の 効 果 ) 2017 年 度 -0.7 ポイント 程 度 ( 反 動 減 と 実 質 所 得 減 少 の 効 果 )を 想 定 している 14

予 測 表 年 度 2015 2016 2017 2015 予 測 2016 2017 2018 予 測 予 測 予 測 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 実 質 GDP 0.7 1.2 0.1-0.4 0.3 0.4 0.3 0.5 0.7-1.3 0.4 0.3 0.3 ( 年 率 ) - - - -1.4 1.1 1.5 1.3 2.2 2.6-4.9 1.6 1.2 1.1 個 人 消 費 -0.4 0.7-1.7-0.8 0.4 0.2 0.1 0.4 1.1-3.5 0.8 0.4 0.2 住 宅 投 資 2.6 2.9-6.2-1.2 0.8 0.8 1.2 1.5 0.0-5.9-2.8 0.9 1.2 設 備 投 資 2.3 4.2 1.7 1.4 0.9 0.8 1.0 1.4 1.4-0.9 0.0 0.8 0.9 在 庫 投 資 ( 寄 与 度 ) 0.2-0.2 0.2-0.1-0.1 0.1 0.0-0.1-0.3 0.5-0.1 0.0 0.0 政 府 消 費 1.3 1.0 0.9 0.5 0.1 0.2 0.3 0.2 0.4 0.1 0.2 0.2 0.3 公 共 投 資 -1.3-3.9 0.9-2.7-0.6-0.7-0.8-0.4-0.6 0.9 0.8 0.5 0.2 輸 出 0.4 3.8 3.7-0.9 0.5 1.0 1.2 1.6 1.8 0.8 0.5 0.0 0.1 輸 入 -0.1 2.6 0.4-1.4 0.6 0.8 0.9 1.2 1.8-2.5 0.4 0.8 0.5 名 目 GDP 2.2 1.9 1.6 GDP デフレータ 1.6 0.7 1.5 [ 実 質 GDP 寄 与 度 ] 内 需 0.6 0.9-0.5 外 需 0.1 0.3 0.6 鉱 工 業 生 産 -0.1 3.8 0.2 CPI( 除 く 生 鮮 食 品 ) 0.0 0.6 2.1 失 業 率 3.3 3.1 3.2 経 常 収 支 16.2 16.3 16.6 円 ドルレート 120.2 117.0 118.5 [ 前 回 予 測 (2015.12.8)] 実 質 GDP 1.1 1.4 - 名 目 GDP 2.6 2.2 - ( 注 ) 各 需 要 項 目 は 前 期 比 経 常 収 支 は 兆 円 本 件 に 関 するお 問 い 合 わせ 先 株 式 会 社 富 士 通 総 研 経 済 研 究 所 上 席 主 任 研 究 員 米 山 秀 隆 電 話 :03-5401-8392( 直 通 ) E-mail:yoneyama.hide@jp.fujitsu.com 報 道 関 係 者 お 問 い 合 わせ 先 株 式 会 社 富 士 通 総 研 事 業 支 援 統 括 部 ) 広 報 電 話 :03-5401-8399( 直 通 ) 15