駒 ヶ 根 市 中 田 切 地 区 の 小 水 力 発 電 概 略 検 討 長 野 県 土 地 改 良 事 業 団 体 連 合 会
目 次 第 1 章 調 査 の 概 要... 1-1 1.1 調 査 目 的... 1-1 1.2 工 期... 1-1 1.3 調 査 位 置... 1-1 1.4 調 査 内 容... 1-1 1.5 報 告 書 の 作 成... 1-2 第 2 章 発 電 計 画 の 概 要... 2-1 2.1 発 電 計 画 の 検 討 ( 中 田 切 地 区 )... 2-1 (1) 入 手 資 料... 2-1 (2) 流 量 資 料 整 備... 2-2 (3) 流 量 調 査... 2-3 (4) 発 電 流 量 の 検 討... 2-6 第 3 章 概 略 発 電 計 画 の 策 定... 3-1 3.1 発 電 ルートの 選 定... 3-1 (1) 発 電 基 本 事 項 の 検 討... 3-1 3.2 水 車 形 式 の 選 定... 3-12 (1) 適 応 水 車 の 抽 出... 3-12 (2) 水 車 の 比 較 検 討... 3-14 (3) 各 水 車 形 式 の 諸 元... 3-14 (4) 各 水 車 形 式 の 概 算 工 事 費... 3-15 第 4 章 経 済 性 の 評 価... 4-1 (1) 各 水 車 形 式 の 経 済 性... 4-1 (2) 発 電 原 価 による 事 業 評 価... 4-2 (3) 建 設 単 価 法 による 事 業 評 価... 4-3 (4) 年 間 収 支 額 を 考 慮 した 場 合 の 投 資 回 収 年 による 事 業 評 価... 4-5 (5) 経 済 性 評 価 考 察... 4-6 第 5 章 総 合 検 討... 5-1 (1) 今 後 の 計 画 推 進 に 向 けた 課 題 等 の 提 言... 5-1
第 1 章 調 査 の 概 要 1.1 調 査 目 的 本 調 査 は 下 記 表 に 示 した 地 区 の 小 水 力 発 電 を 建 設 するために 必 要 な 予 備 調 査 ( 単 独 地 点 調 査 : 可 能 性 の 可 否 を 判 断 するため)を 行 うことを 目 的 とする 業 務 実 施 地 区 関 係 市 町 村 備 考 ( 管 理 者 等 ) 中 田 切 地 区 駒 ヶ 根 市 1.2 工 期 着 手 : 平 成 25 年 2 月 20 日 完 了 : 平 成 25 年 3 月 28 日 1.3 調 査 位 置 中 田 切 地 区 : 駒 ヶ 根 市 赤 穂 地 区 ( 添 付 図 参 照 ) 1.4 調 査 内 容 本 調 査 は 図 1.1 に 示 す 調 査 フローに 従 い 下 記 項 目 に 関 する 調 査 結 果 をとりまとめる (1) 発 電 計 画 の 検 討 ( 発 電 計 画 概 略 設 計 :1/1,000) 現 地 調 査 流 量 資 料 整 備 発 電 流 量 の 検 討 (2) 概 略 発 電 画 の 策 定 水 車 発 電 機 の 選 定 概 略 施 工 計 画 工 事 費 の 積 算 概 略 設 計 図 書 の 作 成 (3) 経 済 性 の 評 価 発 電 所 建 設 による 経 済 的 効 果 の 検 討 START 発 電 計 画 の 検 討 経 済 性 の 評 価 総 合 検 討 END (4) 総 合 検 討 図 1.1 調 査 フロー 今 後 の 計 画 推 進 に 向 けた 課 題 等 の 提 言 1-1 -
1.5 報 告 書 の 作 成 本 業 務 の 調 査 検 討 結 果 をとりまとめて 報 告 書 は 指 定 される 要 領 で 作 成 する 本 業 務 の 成 果 品 は 以 下 のとおり 業 務 報 告 書 (A4 版 ) 業 務 報 告 書 ( 原 稿 ) 電 子 媒 体 2 部 1 部 1 部 1-2 -
第 2 章 発 電 計 画 の 概 要 2.1 発 電 計 画 の 検 討 ( 中 田 切 地 区 ) (1) 入 手 資 料 1) 水 文 資 料 1 中 田 切 地 区 分 水 槽 流 量 観 測 データ 2 水 利 使 用 規 則 3 水 利 権 申 請 書 2) 図 面 関 係 1 中 田 切 計 画 平 面 図 2 計 画 縦 断 図 3) 地 形 図 1 1/25,000 地 形 図 2-1 -
流 量 (m3/s) 流 量 設 備 利 用 率 (%) (2) 流 量 資 料 整 備 1). 期 別 水 利 権 の 状 況 期 別 水 利 権 の 状 況 を 表 2.1 に 記 す 平 成 20 年 に 申 請 した 許 可 水 利 権 の 水 利 許 可 状 況 並 びに 養 命 酒 製 造 の 工 業 水 利 の 状 況 を 下 表 に 示 す 期 間 日 数 表 2.1 水 利 権 の 状 況 ( 慣 行 水 利 権 ) 農 業 水 利 権 許 可 水 量 (m 3 /s) 工 業 水 利 権 許 可 流 量 (m 3 /s) 合 計 値 (m 3 /s) 5/11~5/20 10 0.596 0.03 0.626 5/21~9/10 113 0.290 0.03 0.320 9/21~5/14 242 0.116 0.03 0.146 計 365 2) 中 田 切 用 水 の 流 況 前 項 の 流 量 表 をもとに 流 況 表 をまとめる また 発 電 所 計 画 流 量 に 対 する 流 況 曲 線 及 び 流 量 設 備 利 用 率 を 算 出 する 表 2.2 年 間 許 可 水 量 流 況 表 (m 3 /s) 豊 水 量 平 水 量 低 水 量 渇 水 量 最 大 流 量 最 小 流 量 平 均 流 量 (95 日 ) (185 日 ) (275 日 ) (355 日 ) 0.626 0.320 0.146 0.146 0.146 0.146 0.246 1.000 0.900 0.800 0.700 0.600 0.500 0.400 0.300 0.200 0.100 0.000 流 況 図 並 びに 流 量 設 備 利 用 率 1 51 100 150 200 250 300 350 測 定 日 数 流 量 (m3/s) 図 2.1 発 電 所 計 画 流 量 流 況 図 流 量 設 備 利 用 率 100.0% 90.0% 80.0% 70.0% 60.0% 50.0% 40.0% 30.0% 20.0% 10.0% 0.0% 2-2 -
(3) 流 量 調 査 1) 流 量 調 査 地 点 の 概 要 本 地 区 は 中 田 切 川 を 流 れる 流 量 のほぼ 全 量 を 取 水 し 分 水 施 設 にて 農 業 用 水 並 びに 工 業 用 水 の 必 要 量 を 計 量 して 下 流 で 利 用 している 余 水 は 余 水 吐 より 中 田 切 川 に 戻 し ている 当 該 地 点 において 中 田 切 川 から 取 水 して 小 水 力 発 電 を 行 なう 場 合 は 中 田 切 川 を 流 れ る 流 量 との 関 係 により 発 電 で 使 用 する 流 量 を 設 定 して 発 電 量 を 決 定 する 必 要 がある したがって 水 力 発 電 計 画 を 立 案 する 場 合 は 落 差 も 重 要 な 要 因 であるが 発 電 流 量 を 正 確 に 把 握 することも 重 要 な 要 因 となる そこで 本 施 設 に 取 水 している 流 量 を 調 査 して 発 電 に 利 用 可 能 な 流 量 がどの 程 度 確 保 できるのか 検 討 することとした 駒 ヶ 根 市 用 水 水 利 権 5/3~5/10 0.596m3/s 5/11~9/30 0.290m3/s 10/1~5/2 0.166m3/s 工 業 用 水 ( 養 命 酒 ):1 年 間 水 利 権 あり (0.03m3/s) 余 水 は 中 田 切 川 に 戻 している 写 2.1 分 水 槽 の 流 況 状 況 写 2.2 水 位 計 設 置 状 況 写 2.3 流 速 測 定 状 況 2-3 -
駒 ヶ 根 市 中 田 切 地 区 位 置 図 縮 尺 1:25,000 中 田 切 地 区 流 量 測 定 位 置 図 2.2 流 量 観 測 位 置 図 2-4 -
2) 流 量 観 測 の 解 析 方 法 発 電 計 画 の 取 水 地 点 における 流 況 曲 線 図 を 流 量 測 定 データより 作 成 する 流 況 曲 線 図 とは 縦 軸 に 流 量 横 軸 に 日 数 をとり 1 年 間 の 日 流 量 データを 順 番 に 並 び 替 えしたものであり 図 2.2 に 示 すように 図 化 したものです 図 2.3 発 電 流 量 取 水 概 念 図 図 2.4 一 般 的 な 流 況 図 ここで 図 2.3 における 各 水 量 の 意 味 を 表 2.3 に 示 します 表 2.3 流 量 に 関 する 用 語 の 説 明 用 語 説 明 最 小 水 量 1 年 中 の 最 も 少 ない 流 量 渇 水 量 1 年 を 通 じて355 日 間 はこの 流 量 より 下 がらない 流 量 低 水 量 1 年 を 通 じて275 日 間 はこの 流 量 より 下 がらない 流 量 平 水 量 1 年 を 通 じて185 日 間 はこの 流 量 より 下 がらない 流 量 豊 水 量 1 年 を 通 じて95 日 間 はこの 流 量 より 下 がらない 流 量 35 日 流 量 1 年 を 通 じて35 日 間 はこの 流 量 より 下 がらない 流 量 最 大 流 量 1 年 中 の 最 も 多 い 流 量 2-5 -
流 量 流 量 設 備 利 用 率 発 電 計 画 において 決 定 すべき 使 用 水 量 としては 最 大 使 用 水 量 と 常 時 使 用 水 量 の2つ がある 最 大 使 用 水 量 Qmaxは 発 電 所 で 使 用 する 最 大 の 水 量 ( 流 量 )であり 最 大 出 力 はこ れによって 定 まります また 常 時 使 用 水 量 Qfは 1 年 中 を 通 して355 日 ( 渇 水 量 ) 使 用 し 得 る 水 量 である (4) 発 電 流 量 の 検 討 流 量 観 測 データは 平 成 24 年 度 駒 ヶ 根 市 小 水 力 発 電 可 能 性 調 査 事 業 水 量 調 査 業 務 報 告 書 のとおりである 本 業 務 では 平 成 24 年 9 月 20 日 から 平 成 25 年 1 月 31 日 までの134 日 間 流 量 データを 図 2.6 のとおりグラフにした また 本 データのうち 日 平 均 流 量 を 降 順 に 並 べ 替 えて 図 2.5に 示 すとおり 流 況 図 並 び に 設 備 利 用 率 のグラフを 作 成 した 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 図 2.5 流 況 図 並 びに 流 量 設 備 利 用 率 100.0% 98.0% 96.0% 94.0% 92.0% 90.0% 0.38m 3 /s 88.0% 86.0% 84.0% 82.0% 80.0% 1 11 21 31 41 51 61 71 81 91 101 111 121 131 125 日 日 数 134 日 流 量 (m3/s) 流 量 設 備 利 用 率 これより 発 電 流 量 は 前 項 で 常 時 使 用 水 量 Qfは 1 年 中 を 通 して355 日 使 用 し 得 る 水 量 である と 定 義 されている このことから 流 量 測 定 した134 日 の 中 で 最 も 小 さい 流 量 より 昇 順 で10 番 目 の 値 を 発 電 流 量 ( 常 時 使 用 水 量 0.38m 3 /s 0.40 m 3 /s)とする 表 2.4 計 画 諸 元 項 目 諸 元 常 時 使 用 水 量 0.40 m 3 /s 流 量 設 備 利 用 率 99.6% 2-6 -
2012/9/20 2012/9/27 2012/10/4 2012/10/11 2012/10/18 2012/10/25 2012/11/1 2012/11/8 2012/11/15 2012/11/22 2012/11/29 2012/12/6 2012/12/13 2012/12/20 2012/12/27 2013/1/3 2013/1/10 2013/1/17 2013/1/24 2013/1/31 1.400 1.200 m3/s 日 最 高 値 日 最 小 値 日 平 均 値 1.000 0.800 0.600 0.400 発 電 流 量 0.40m 3 /s 0.200 0.000 期 間 図 2.6 中 田 切 井 の 流 況 図 2-7 -
第 3 章 概 略 発 電 計 画 の 策 定 3.1 発 電 ルートの 選 定 (1) 発 電 基 本 事 項 の 検 討 ア. 水 路 ルートの 選 定 水 路 ルートは 中 田 切 井 の 取 水 口 から 土 砂 吐 工 までの 373m 間 において 水 力 設 備 を 設 置 する 特 に 中 田 切 井 からの 取 水 管 やヘッドタンクの 位 置 は 現 地 調 査 の 状 況 や 将 来 の 維 持 管 理 を 考 慮 して 用 水 路 と 管 理 用 道 路 が 近 接 する 箇 所 を 選 定 する また 発 電 所 位 置 は 用 水 取 水 口 より 300mから 365m 程 下 流 の 位 置 とした この 365m 間 において 既 設 平 面 図 縦 断 図 等 より2ルートを 選 定 し 概 略 の 比 較 検 討 により 最 適 なルートを 選 定 する (ア) 取 水 地 点 取 水 方 式 中 田 切 井 は 一 級 河 川 中 田 切 川 の 左 岸 より 取 水 しており 取 水 後 は 分 水 槽 により 農 業 用 水 並 びに 工 業 用 水 が 計 測 され 開 水 路 と 暗 渠 工 の 複 合 水 路 で 流 下 している 発 電 用 水 の 取 水 位 置 は 維 持 管 理 を 考 慮 して 用 水 と 管 理 道 路 とが 近 接 する 箇 所 とし 取 水 方 式 は 既 設 用 水 管 から 新 設 する 発 電 所 用 ヘッドタンクに 導 水 する 方 法 とする なお ヘッドタンク 内 の 余 水 は 中 田 切 川 に 放 流 する (イ) 発 電 所 及 び 放 水 地 点 発 電 所 の 位 置 は 維 持 管 理 や 放 水 のための 水 路 状 況 等 を 考 慮 してヘッドタンク 位 置 より 下 流 300m~365m 程 下 流 の 土 砂 吐 工 付 近 に 設 置 する 以 上 より 用 水 路 と 道 路 の 近 接 状 況 や 既 設 配 水 路 縦 断 勾 配 の 変 化 する 地 点 等 を 考 慮 して 以 下 の2ルートについて 検 討 を 行 う 1 中 田 切 井 の 分 水 口 から 下 流 約 300mに 発 電 所 を 設 置 するルート 2 中 田 切 井 の 分 水 口 から 下 流 約 365mに 発 電 所 を 設 置 するルート 写 真 3.1 取 水 地 点 上 流 側 状 況 写 真 3.1 分 水 工 発 電 所 設 置 位 置 下 流 側 3-1 -
(ウ) 比 較 水 路 ルート 水 路 ルートの 比 較 検 討 ケースは 取 水 地 点 発 電 所 及 び 放 水 地 点 より 以 下 の 2 ル ートとした なお 水 路 ルートは 図 3.1 及 び 図 3.2 に 示 す 1 水 路 ルート1 水 路 ルート1は 中 田 切 川 の 用 水 取 水 口 後 の 分 水 槽 から 発 電 用 ヘッドタンクに 取 水 し 新 設 水 圧 管 路 で 計 画 平 面 図 測 点 300 の 分 水 工 付 近 に 設 置 する 発 電 所 まで 導 水 ( 約 290m)する なお 新 設 水 圧 管 路 は 用 水 に 併 設 された 管 理 用 道 路 下 へ 埋 設 する 発 電 した 後 は 農 業 用 水 並 びに 工 業 用 水 を 計 測 して 受 益 に 流 送 するとともに 余 水 は 中 田 切 川 へ 放 水 する 2 水 路 ルート 2 水 路 ルート2は 中 田 切 川 の 用 水 取 水 口 後 の 分 水 槽 発 電 から 発 電 用 ヘッドタンクに 取 水 し 新 設 水 圧 管 路 で 計 画 平 面 図 測 点 365 の 分 水 工 付 近 に 設 置 する 発 電 所 まで 導 水 ( 約 355m)する なお 新 設 水 圧 管 路 は 用 水 に 併 設 された 管 理 用 道 路 下 へ 埋 設 する 発 電 した 後 は 農 業 用 水 並 びに 工 業 用 水 を 計 測 して 受 益 に 流 送 するとともに 余 水 は 中 田 切 川 へ 放 水 する 3-2 -
水 路 ルートの 比 較 ( 平 面 図 ) 図 3.1 水 路 ルートの 比 較 ( 平 面 図 ) 3-3 -
水 路 ルートの 比 較 ( 縦 断 図 ) 図 3.2 水 路 ルートの 比 較 ( 縦 断 図 ) 3-4 -
有 効 落 差 (m) イ. 水 路 ルートの 選 定 (ア) 最 大 使 用 水 量 水 路 ルートの 選 定 における 常 時 使 用 水 量 は 流 況 資 料 より 流 量 設 備 利 用 率 が 99.6%となる 0.40m 3 /s とした (イ) 取 水 位 放 水 位 及 び 有 効 落 差 取 水 位 は ルート 1 並 びにルート 2 とも EL.838.00 とした また 放 流 位 ( 発 電 位 置 )は ルート 1 が 約 300m 下 流 EL.818.00m ルート 2 が 約 365m 下 流 の 土 砂 吐 工 付 近 の EL.812.50m とした これより 有 効 落 差 は 水 路 ルートより 概 算 で 損 失 水 頭 を 算 出 し 設 定 した ( 表 3.2 参 照 ) (ウ) 水 車 形 式 の 選 定 ルート 1~2 の 水 車 形 式 は 常 時 使 用 水 量 (0.40m 3 /s) 有 効 落 差 (18.07~24.60m) から 図 3.3 の 水 車 形 式 選 定 図 より クロスフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 プロ ペラ 水 車 (インライン 式 ) ポンプ 逆 転 水 車 の 4 機 種 が 選 定 される これらの 水 車 形 式 のうち プロペラ 水 車 (インライン 式 ) ポンプ 逆 転 水 車 は 流 量 一 定 運 転 が 原 則 の 水 車 形 式 であるため 変 化 のある 自 然 河 川 や 農 業 用 水 路 から 発 電 使 用 水 を 取 水 する 計 画 地 点 においては 適 合 性 が 低 い 本 章 では 各 水 車 の 特 性 等 を 記 し 後 述 の 水 車 発 電 機 の 選 定 において クロ スフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 の 比 較 検 討 を 行 う 1000 ペルトン 水 車 ターゴインパルス 水 車 横 軸 フランシス 水 車 立 軸 フランシス 水 車 100 カプラン 水 車 24.60m 18.07m 10 ポンプ 逆 転 水 車 クロスフロー 水 車 S 形 チューブラ 水 車 水 中 タービン 水 車 プロペラ 水 車 (インライン 式 ) プロペラ 水 車 (サイフォン 式 ) 1 0.01 0.1 1 10 100 0.40m 3 /s 使 用 水 量 (m 3 /s) 図 3.3 水 車 形 式 選 定 図 3-5 -
表 3.1 水 車 形 式 の 選 定 結 果 水 車 形 式 クロスフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 プロペラ 水 車 (インライン 式 ) ポンプ 逆 転 水 車 水 車 区 分 衝 動 水 車 反 動 水 車 反 動 水 車 反 動 水 車 ランナ ガ イ ド ベ ー ン ドラフトチューブ 概 略 図 ケーシング 流 水 が 円 筒 形 のランナに 軸 と 直 角 方 向 に 流 流 水 はランナの 全 周 から 中 心 に 向 かって 流 円 筒 プロペラ 水 車 の 一 種 であり 水 車 軸 に 標 準 立 軸 ( 横 軸 )ポンプを 逆 転 させて 使 用 す 入 し ランナ 内 を 貫 通 して 流 出 する 水 車 で 入 し 水 圧 によりランナを 回 転 させつつ ラ 発 電 機 を 直 結 したタイプと 水 車 上 に 発 電 機 る ランナ 固 定 用 ネジを 標 準 ポンプに 対 し 流 量 調 整 できる 機 構 (ガイドベーン)を 備 え ンナ 内 で 軸 方 向 に 向 きを 変 えて 流 出 する 流 を 搭 載 し 水 車 回 転 部 と 発 電 機 をベルトで 連 逆 に 切 る 必 要 がある 流 入 方 向 がポンプの 場 軽 負 荷 特 性 に 優 れた 中 小 水 力 用 の 水 車 で 構 量 調 整 できる 機 構 (ガイドベーン)を 備 え 結 したタイプがある 流 量 変 化 に 対 しては 合 と 比 較 して 反 転 するため ランナ 形 状 がポ 造 が 簡 単 である 低 ~ 高 落 差 小 ~ 大 流 量 までの 広 い 範 囲 で 用 流 量 調 整 弁 や 可 動 翼 ランナの 採 用 が 可 能 ンプの 場 合 と 逆 になる 特 徴 ガイドベーンを 2~3 枚 に 分 割 することで 軽 負 荷 特 性 が 良 好 で 一 般 に 15% 程 度 の 負 荷 でも 運 転 可 能 である いられるが 構 造 が 複 雑 である 軽 負 荷 特 性 は 一 般 に 30% 程 度 の 負 荷 でも 運 転 可 能 である 水 道 用 施 設 (パイプライン)に 利 用 される ケースが 多 い ガイドベーンを 有 せず 一 定 流 量 のみ 最 高 効 率 が 80% 未 満 と 低 い 構 造 が 簡 素 であり 機 器 費 は 他 の 水 車 に 較 構 造 が 比 較 的 複 雑 なことから 機 器 費 が 高 固 定 翼 ランナの 機 器 費 は 比 較 的 安 いが 可 機 器 費 は 比 較 的 安 い 機 器 費 べて 安 価 である い 動 翼 ランナを 採 用 した 場 合 は 機 器 費 が 増 大 す る 維 持 管 理 は 容 易 であり 一 般 的 な 磨 耗 部 品 維 持 管 理 は 容 易 であり 一 般 的 な 磨 耗 部 品 メンテナンス 費 用 は 磨 耗 部 品 が 少 ないた 維 持 管 理 は 容 易 であり 一 般 的 な 磨 耗 部 品 維 持 管 理 の 点 検 及 び 交 換 を 行 う の 点 検 及 び 交 換 を 行 う め 安 価 で 保 守 性 も 高 い の 点 検 及 び 交 換 を 行 う 注 ) 衝 動 水 車 : 圧 力 水 頭 を 持 つ 水 をノズルから 噴 出 させて すべて 速 度 水 頭 に 変 えて 噴 出 水 の 衝 動 によりランナを 回 転 させる 構 造 の 水 車 反 動 水 車 : 圧 力 水 頭 を 持 つ 流 水 の 水 圧 をランナに 作 用 させる 構 造 の 水 車 3-6 -
(エ) 発 電 力 及 び 年 間 可 能 発 電 電 力 量 発 電 力 は 表 3.2 に 示 す 有 効 落 差 及 び 損 失 水 頭 と 水 車 発 電 機 総 合 効 率 より 算 定 し 年 間 可 能 発 電 電 力 量 は 流 量 設 備 利 用 率 および 設 備 利 用 率 を 基 に 算 出 した 表 3.2 水 路 ルート 別 発 電 諸 元 項 目 ルート 1 φ500 ルート 1 φ600 ルート 2 φ500 ルート 2 φ600 備 考 取 水 位 (EL.m) 838.00 838.00 838.00 838.00 放 水 位 (EL.m) 818.00 818.00 812.50 812.50 水 車 中 心 総 落 差 (m) 20.00 20.00 25.50 25.50 有 効 落 差 (m) 18.07 19.27 23.14 24.60 FRPM 管 φ500 V=2.04m/s FRPM 管 φ600 V=1.42m/s 水 路 延 長 (m) 290.0 290.0 355.0 355.0 常 時 使 用 水 量 (m 3 /s) 0.40 0.40 0.40 0.40 流 量 設 備 利 用 率 99.6% 常 時 出 力 (kw) 55.7 59.1 71.3 75.7 水 車 発 電 機 総 合 効 率 (%) 78.7 78.3 78.7 78.6 ハイト ロハ レー 計 画 カ イト フ ックより 年 間 可 能 発 電 電 力 量 (MWh) 439.1 465.9 562.1 596.8 設 備 稼 働 率 90% 設 備 稼 働 率 :( 豪 雨 や 台 風 設 備 点 検 での 機 器 停 止 日 を 考 慮 して 90%とする ) 管 径 の 検 討 発 電 時 の 流 速 を 2.0m/sで 設 計 すると 常 時 使 用 水 量 0.40m 3 /s より 管 径 は Q=AⅤ より A = Q/V = 0.40m 3 /s 2.0m/s = 0.20m 2 D=(4 A π) (1/2) =(4 0.20 3.14) 0.5 =0.505 m 従 って φ500~600 の 管 計 で 検 討 する 3-7 -
管 の 損 失 水 頭 の 計 算 損 失 水 頭 の 計 算 は 水 門 鉄 管 技 術 基 準 FRP(M) 水 圧 管 編 ( 水 門 鉄 管 協 会 ) に 基 づいて 行 う 摩 擦 による 損 失 水 頭 2 2 L V h f ' 124.5 n f f ' R 2g 4 / 3 R D 2 2 124.5 n R L V 4 / 3 D R 2g 2 124.5 n L V 4 / 3 D 2 g 年 間 可 能 発 電 電 力 量 (kwh) 2 h f : 摩 擦 による 損 失 水 頭 (m) n : 粗 度 係 数 = 0.01(FRPM 管 HIVP 管 ) D : 管 内 径 (m) L : 管 路 の 長 さ(m) V : 流 速 (m/s) R : 管 路 の 径 深 (m) g : 重 力 の 加 速 度 (9.8m/s 2 ) ルート 1(φ500):55.7kW 365 日 間 24 時 間 90% = 439,138(kWh) = 439.1 (MWh) ルート 1(φ600):59.1kW 365 日 間 24 時 間 90% = 465,944(kWh) = 465.9 (MWh) ルート 2(φ500):71.3kW 365 日 間 24 時 間 90% = 562,129(kWh) = 562.1 (MWh) ルート 2(φ600):75.7kW 365 日 間 24 時 間 90% = 596,818(kWh) = 596.8 (MWh) 3-8 -
(オ) 概 算 工 事 費 各 水 路 ルートの 概 算 工 事 費 を 以 下 の 要 領 で 算 出 し その 結 果 を 表 3.3 に 示 す (1) ハイドロバレー 計 画 ( 平 成 17 年 3 月 財 団 法 人 新 エネルギー 財 団 ) のうち 概 算 工 事 費 の 積 算 基 準 に 準 拠 して 算 出 (2) 放 水 口 工 事 費 は 放 水 路 に 含 むこととして 計 上 しない 積 算 項 目 表 3.3 各 水 路 ルートの 概 算 工 事 費 ルート1 φ500 ルート1 φ600 ルート2 φ500 ルート2 φ600 1) 土 地 保 障 費 - - - - 2) 建 物 関 係 9.1 9.4 10.3 10.7 単 位 : 百 万 円 備 考 地 上 式 Y=1.11X 0.522 3) 土 木 関 係 92.0 111.8 98.5 120.0 1~3 1 水 路 a. 取 水 ダム - - - - - b. 取 水 口 6.0 6.0 6.0 6.0 水 路 半 径 r=0.3m として 計 算 c. 沈 砂 池 7.6 7.6 7.6 7.6 スラブ 無 し d. 導 水 路 0.9 0.9 0.9 0.9 暗 渠 L=10m e. 水 槽 4.7 4.7 4.7 4.7 - f. 余 水 路 14.6 19.2 11.3 14.9 ルート 1 暗 渠 L=114m g. 水 圧 管 路 37.1 48.5 45.4 59.3 ルート 2 暗 渠 L=88m FRPMφ500 埋 設 FRPMφ600 埋 設 h. 放 水 路 1.1 1.1 1.1 1.1 L=10m i. 放 水 口 2.1 2.4 2.1 2.4 - k. 雑 工 事 7.5 9.1 8.0 9.7 {a+~j} 10% 2 貯 水 池 又 は 調 整 池 - - - - 3 機 械 装 置 l. 基 礎 2.0 2.1 2.4 2.5 地 上 式 m. 諸 装 置 8.4 10.2 9.0 10.9 {a+~l} 10% 4) 発 電 機 器 制 御 機 器 類 48.9 49.9 53.8 55.0-5) 仮 設 備 費 7.5 8.6 8.2 9.3 {2)+3)+4)} 5% 6) 総 係 費 11.1 12.6 12.0 13.7 {2)+3)+4)+5)} 7% 7) ( 小 計 ) 168.5 192.3 182.7 208.7 8) ダ ム 分 担 金 - - - - - 9) 建 設 中 利 子 - - - - 10) 分 担 関 連 費 - - - - 11) 送 配 電 設 備 費 1.0 1.0 1.0 1.0 送 電 距 離 100m 中 電 聞 取 単 価 1 万 /m ( 架 空 3.3~6.6kV 級 ) 12) ( 計 ) 169.5 193.3 183.7 209.7 7)+8)+9)+10)+11) 3-9 -
表 3.4 各 水 車 形 式 別 概 算 工 事 費 積 算 根 拠 項 目 積 算 条 件 建 物 関 係 積 算 基 準 により 計 上 図 3.1 土 木 関 係 1 水 路 a. 取 水 ダ ム 取 水 口 に 含 むため 計 上 しない b. 取 水 口 積 算 基 準 により 計 上 図 3.7 c. 沈 砂 池 積 算 基 準 により 計 上 図 3.13 d. 導 水 路 積 算 基 準 により 計 上 図 3.15,16 e. 水 槽 積 算 基 準 により 計 上 図 3.18 f. 余 水 路 積 算 基 準 により 計 上 図 3.22 g. 水 圧 管 路 FRPM 管 埋 設 工 として 計 算 単 価 表 添 付 h. 放 水 路 積 算 基 準 により 計 上 図 3.16 i. 放 水 口 放 水 路 工 に 含 むため 計 上 しない 図 3.36 j. 雑 工 事 積 算 基 準 により 計 上 3 機 械 装 置 k. 基 礎 積 算 基 準 により 計 上 図 3.39 l. 諸 装 置 積 算 基 準 により 計 上 発 電 機 器 制 御 機 器 類 複 数 メーカーの 見 積 り 金 額 を 参 考 に 計 上 仮 設 備 費 積 算 基 準 により 計 上 総 係 費 積 算 基 準 により 計 上 送 配 電 設 備 費 積 算 基 準 により 計 上 積 算 基 準 : ハイドロバレー 計 画 ガイドブック( 平 成 17 年 3 月 財 団 法 人 新 エネルギー 財 団 ) 添 付 資 料 -3 概 算 工 事 費 の 積 算 基 準 3-10 -
(カ) 最 適 水 路 ルートの 決 定 各 水 路 ルートの 比 較 検 討 の 結 果 経 済 的 な 最 適 ルートは 表 3.5 に 示 すとおりであ る ルート 1 並 びにルート 2 とも 発 電 用 水 導 水 管 の 管 径 は φ500 が 経 済 的 に 有 意 とな った 項 目 表 3.5 各 水 路 ルートの 比 較 検 討 結 果 ルート 1 φ500 ルート 1 φ600 ルート 2 φ500 ルート 2 φ600 取 水 位 (EL.m) 838.00 838.00 838.00 838.00 放 水 位 (EL.m) 818.00 818.00 812.50 812.50 発 電 計 画 総 落 差 (m) 20.00 20.00 25.50 25.50 有 効 落 差 (m) 18.07 19.27 23.14 24.60 常 時 使 用 水 量 (m 3 /s) 0.40 0.40 0.40 0.40 常 時 出 力 (kw) 55.7 59.1 71.3 75.7 年 間 可 能 発 電 電 力 量 (MWh) 439.1 465.9 562.1 596.8 流 量 設 備 利 用 率 (%) 100 100 100 100 設 備 利 用 率 (%) 90 90 90 90 工 事 費 ( 百 万 円 ) 169.5 193.3 183.7 209.7 経 済 性 建 設 単 価 ( 円 /kwh) 387 415 327 352 最 適 ル ー ト 3-11 -
有 効 落 差 (m) 3.2 水 車 形 式 の 選 定 (1) 適 応 水 車 の 抽 出 本 発 電 計 画 地 点 における 水 車 形 式 の 選 定 は 前 章 の 結 果 より 開 発 規 模 の 計 画 諸 元 に 基 づ いて 行 う 本 発 電 計 画 地 点 で 適 用 可 能 な 水 車 形 式 は 表 3.5 に 示 す 有 効 落 差 及 び 最 大 使 用 水 量 の 計 画 諸 元 から 図 3.4 の 水 車 選 定 図 を 用 いて クロスフロー 水 車 ポンプ 逆 転 水 車 プロペラ 水 インライン 式 )の 4 機 種 が 抽 出 される 本 章 では 各 水 車 の 特 性 等 を 記 し 後 述 の 水 車 発 電 機 の 選 定 において 各 水 車 の 比 較 検 討 を 行 う 表 3.5 計 画 諸 元 項 目 諸 元 最 大 使 用 水 量 0.40 m 3 /s ルート1 18.07 m 有 効 落 差 ルート2 23.14 m 1000 ペルトン 水 車 ターゴインパルス 水 車 横 軸 フランシス 水 車 立 軸 フランシス 水 車 100 カプラン 水 車 23.14m 18.07m 中 田 切 地 点 10 ポンプ 逆 転 水 車 クロスフロー 水 車 水 中 タービン 水 車 プロペラ 水 車 (インライン 式 ) プロペラ 水 車 (サイフォン 式 ) 1 0.01 0.1 1 10 100 0.40m 3 /s 使 用 水 量 (m 3 /s) 図 3.4 水 車 形 式 選 定 図 S 形 チューブラ 水 車 出 典 : ハイドロバレー 計 画 ガイドブック 平 成 17 年 3 月 ( 財 ) 新 エネルギー 財 団 3-12 -
表 3.6 水 車 形 式 の 選 定 結 果 水 車 形 式 クロスフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 水 車 区 分 衝 動 水 車 反 動 水 車 ランナ ランナ ガイドベーン ドラフトチューブ 概 略 図 ガイドベーン ケーシング 特 徴 機 器 費 流 水 が 円 筒 形 のランナに 軸 と 直 角 方 向 に 流 入 し ランナ 内 を 貫 通 して 流 出 す る 水 車 で 流 量 調 整 できる 機 構 (ガイド ベーン)を 備 え 軽 負 荷 特 性 に 優 れた 中 小 水 力 用 の 水 車 で 構 造 が 簡 単 である ガイドベーンを 2~3 枚 に 分 割 するこ とで 軽 負 荷 特 性 が 良 好 で 一 般 に 15% 程 度 の 負 荷 でも 運 転 可 能 である 構 造 が 簡 素 であり 機 器 費 は 他 の 水 車 に 較 べて 安 価 である 流 水 はランナの 全 周 から 中 心 に 向 か って 流 入 し 水 圧 によりランナを 回 転 さ せつつ ランナ 内 で 軸 方 向 に 向 きを 変 え て 流 出 する 流 量 調 整 できる 機 構 (ガイ ドベーン)を 備 え 低 ~ 高 落 差 小 ~ 大 流 量 までの 広 い 範 囲 で 用 いられるが 構 造 が 複 雑 である 軽 負 荷 特 性 は 一 般 に 30% 程 度 の 負 荷 でも 運 転 可 能 である 構 造 が 比 較 的 複 雑 なことから 機 器 費 が 高 い 維 持 管 理 経 済 性 評 価 維 持 管 理 は 容 易 であり 一 般 的 な 磨 耗 部 品 の 点 検 及 び 交 換 を 行 う ルート1の 場 合 387 円 /kwh ルート2の 場 合 327 円 /kwh 衝 動 水 車 のため 水 車 軸 中 心 位 から 放 水 位 までの 落 差 は 全 損 失 となり 落 差 を 利 用 できず その 分 経 済 性 に 劣 る 維 持 管 理 は 容 易 であり 一 般 的 な 磨 耗 部 品 の 点 検 及 び 交 換 を 行 う ルート1の 場 合 326 円 /kwh ルート2の 場 合 276 円 /kwh 機 器 費 はクロスフロー 水 車 を 選 定 し た 場 合 より 高 くなるが 出 力 及 び 発 電 電 力 量 が 他 の 水 車 より 大 きくなることか ら 経 済 性 で 最 も 優 れている 注 ) 経 済 性 は kwh 当 たりの 建 設 単 価 また 概 算 工 事 費 算 出 にあたり 電 気 関 係 工 事 費 は メーカー 見 積 りを 参 考 にした 3-13 -
(2) 水 車 の 比 較 検 討 図 3.4 の 水 車 選 定 図 より 抽 出 された 4 機 種 の 水 車 形 式 のうち ポンプ 逆 転 水 車 プロペラ 水 車 (インライン 式 )は 流 量 一 定 運 転 が 原 則 の 水 車 形 式 であるため 変 化 のある 自 然 河 川 や 農 業 用 水 路 から 発 電 使 用 水 を 取 水 する 本 発 電 計 画 地 点 には 適 合 性 が 低 い したがって 本 発 電 計 画 地 点 ではクロスフロー 水 車 と 横 軸 フランシス 水 車 とで 経 済 性 の 比 較 検 討 を 実 施 する (3) 各 水 車 形 式 の 諸 元 ア. 常 時 使 用 水 量 最 適 水 路 ルートの 選 定 における 常 時 使 用 水 量 は 流 況 資 料 より 流 量 設 備 利 用 率 が 99.6% となる 0.40m 3 /s とした イ. 取 水 位 放 水 位 及 び 有 効 落 差 取 水 位 は EL.383.80m とした 衝 動 水 車 (クロスフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 )の 放 水 位 は 水 車 の 特 性 より ルー ト1では 水 車 中 心 標 高 EL.818.0m ルート2では 水 車 中 心 標 高 EL.812.5m とした ウ. 発 電 力 及 び 年 間 可 能 発 電 電 力 量 発 電 力 は 表 3.7 に 示 す 有 効 落 差 及 び 損 失 水 頭 とメーカー 数 値 の 水 車 発 電 機 総 合 効 率 より 算 定 し 年 間 可 能 発 電 電 力 量 は 設 備 利 用 率 を 基 に 算 出 した 各 水 車 形 式 の 発 電 諸 元 並 びに 年 間 可 能 発 電 電 力 量 は 表 3.7 に 示 す 項 目 表 3.7 各 水 車 形 式 別 発 電 諸 元 ケース 1 No.300 ケース 2 No.365 水 車 形 式 クロスフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 クロスフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 備 考 取 水 位 (EL.m) 838.00 838.00 838.00 838.00 放 水 位 (EL.m) 818.00 818.00 812.50 812.50 総 落 差 (m) 20.00 20.00 25.50 25.50 有 効 落 差 (m) 18.07 18.07 23.14 23.14 水 路 延 長 (m) 290.0 290.0 355.0 355.0 FRPM 管 φ500mm 常 時 使 用 水 量 (m 3 /s) 0.40 0.40 0.40 0.40 常 時 出 力 (kw) 53.1 58.4 68.4 75.2 水 車 発 電 機 総 合 効 率 (%) 75.0 0.825 75.5 83.0 年 間 可 能 発 電 電 力 量 (MWh) 418.6 460.4 539.2 592.8 設 備 稼 働 率 90% 3-14 -
(4) 各 水 車 形 式 の 概 算 工 事 費 各 水 路 ルートの 概 算 工 事 費 は 以 下 の 要 領 で 算 出 し その 結 果 は 表 3.8 に 示 す ア. ハイドロバレー 計 画 ( 平 成 17 年 3 月 財 団 法 人 新 エネルギー 財 団 ) のうち 概 算 工 事 費 の 積 算 基 準 に 準 拠 して 算 出 イ. 沈 砂 池 は 水 槽 と 兼 用 できることから 計 上 しない ウ. 放 水 口 工 事 費 は 放 水 路 に 含 むこととして 計 上 しない 積 算 項 目 表 3.8 各 水 車 形 式 別 概 算 工 事 費 ケース 1 ケース 2 クロスフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 クロスフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 1) 土 地 補 償 費 - - - - - 単 位 : 百 万 円 2) 建 物 関 係 5.9 9.3 10.1 10.6 地 上 式 3) 土 木 関 係 92.0 92.0 98.5 98.5 1~3 1 水 路 a. 取 水 ダム - - - - b. 取 水 口 6.0 6.0 6.0 6.0 備 考 水 路 半 径 r=0.30m として 計 算 c. 沈 砂 池 7.6 7.6 7.6 7.6 - d. 導 水 路 0.9 0.9 0.9 0.9 暗 渠 L=10m e. 水 槽 4.7 4.7 4.7 4.7 - f. 余 水 路 14.6 14.6 11.3 11.3 ルート 1 暗 渠 L=114m ルート 2 暗 渠 L=88m g. 水 圧 管 路 37.1 37.1 45.4 45.4 FRPMφ500 埋 設 h. 放 水 路 1.1 1.1 1.1 1.1 L=10m i. 放 水 口 2.1 2.1 2.1 2.1 - i. 道 路 工 事 - - - - k. 雑 工 事 7.5 7.5 8.0 8.0 {a+~j} 10% 2 貯 水 池 又 は 調 整 池 - - - - 3 機 械 装 置 l. 基 礎 2.0 2.0 2.4 2.4 地 上 式 m. 諸 装 置 8.4 8.4 9.0 9.0 {a+~l} 10% 4) 発 電 機 器 制 御 機 器 類 56.5 61.5 60.5 64.5 見 積 書 による 5) 仮 設 備 費 7.9 8.2 8.5 8.7 6) 総 係 費 11.6 12.0 12.5 12.8 {2)+3)+4)+5)} 7% 7) ( 小 計 ) 176.9 183.0 190.1 195.1-8) ダ ム 分 担 金 - - - - - 9) 建 設 中 利 子 - - - - - 10) 分 担 関 連 費 - - - - - 11) 送 配 電 設 備 費 1.0 1.0 1.0 1.0 送 電 距 離 100m 中 電 聞 取 単 価 1 万 /m ( 架 空 3.3~6.6kV 級 ) 12) ( 計 ) 177.9 184.0 191.1 196.1 7)+8)+9)+10)+11) 3-15 -
第 4 章 経 済 性 の 評 価 (1) 各 水 車 形 式 の 経 済 性 前 項 の 水 車 特 性 を 踏 まえ クロスフロー 水 車 と 横 軸 フランシス 水 車 で 経 済 性 の 検 討 を 行 なった 各 ケースの 比 較 検 討 結 果 より 最 適 水 車 型 式 は 表 4.1 に 示 すとおり 建 設 単 価 が 最 も 安 価 とな る 横 軸 フランシス 水 車 とする 表 4.1 各 水 車 形 式 の 経 済 性 項 目 ケース 1 ケース 2 クロスフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 クロスフロー 水 車 横 軸 フランシス 水 車 取 水 位 (EL.m) 838.00 838.00 838.00 838.00 放 水 位 (EL.m) 818.00 818.00 812.50 812.50 発 電 計 画 総 落 差 (m) 20.00 20.00 25.50 25.50 有 効 落 差 (m) 18.07 18.07 23.14 23.14 常 時 用 水 量 (m 3 /s) 0.400 0.400 0.400 0.400 常 時 出 力 (kw) 53.1 58.4 68.4 75.2 年 間 可 能 発 電 電 力 量 (MWh) 418.6 460.4 539.2 592.8 経 済 性 流 量 設 備 利 用 率 (%) 100 100 100 100 設 備 利 用 率 (%) 90 90 90 90 工 事 費 ( 百 万 円 ) 177.9 184.0 191.1 196.1 建 設 単 価 ( 円 /kwh) 425 400 355 331 最 適 水 車 形 式 注 ) 建 設 単 価 = 工 事 費 / 年 間 可 能 発 電 電 力 量 4-1 -
(2) 発 電 原 価 による 事 業 評 価 1) 保 守 メンテナンスコスト 年 経 費 の 算 出 は ハイドロバレー 計 画 ガイドブック の 経 費 率 等 を 参 考 に 行 なうことも 出 来 る が 本 検 討 では 概 ね 発 電 規 模 が 分 かっているため 年 経 費 を 個 別 に 積 み 上 げた 年 経 費 も 合 わ せ 算 出 し 大 きい 方 の 値 で 検 討 することとした 本 検 討 を 行 う 際 の 条 件 は 以 下 のとおりである 資 本 費 経 費 項 目 資 本 回 収 費 表 4.2 年 経 費 の 検 討 一 覧 ルート1 建 設 費 184,000 千 円 (9,200) ルート2 建 設 費 196,100 千 円 (9,805) ハイト ロハ レーカ イト フ ック による 経 費 ( 諸 経 費 率 ) 建 設 費 総 合 耐 用 年 数 (20 年 ) 年 経 費 直 接 費 間 接 費 人 件 費 313 333 建 設 費 0.17% 修 繕 費 903 963 ( 耐 用 20 年 平 均 0.491%) 固 定 資 産 税 公 設 のため 見 込 まない その 他 経 費 570 608 建 設 費 0.31% 一 般 管 理 費 214 228 直 接 費 12% 2,000 2,132 計 (11,200) (11,937) : ハイドロバレー 計 画 ガイドブック: 平 成 17 年 3 月 経 済 産 業 省 資 源 エネルキ ー 庁 ( 財 ) 新 エネルギー 財 団 P133 2) 発 電 原 価 による 事 業 評 価 発 電 価 格 が 電 力 会 社 からの 買 電 料 金 を 下 回 っているか 検 討 する 発 電 原 価 ( 円 /kwh)= 年 間 経 費 年 間 可 能 発 電 電 力 量 (kwh) <ルート1> = 2,000,000 円 460,425kWh = 4.4 円 /kwh < 電 力 会 社 からの 買 電 料 金 従 量 電 灯 A( 中 部 電 力 )17.05 円 /kwh <ルート2> = 2,132,000 円 592,876kWh = 3.6 円 /kwh < 電 力 会 社 からの 買 電 料 金 従 量 電 灯 A( 中 部 電 力 )17.05 円 /kwh 計 算 の 結 果 ルート1の 発 電 原 価 は 4.4 円 /kwh ルート2の 発 電 原 価 は 3.6 円 /kwh と なり いずれも 買 電 料 金 17.05 円 /kwh を 下 回 っている 4-2 -
(3) 建 設 単 価 法 による 事 業 評 価 建 設 資 金 は 補 助 事 業 を 使 わずに 行 なう 計 画 である この 場 合 建 設 資 金 の 調 達 は 地 元 企 業 等 が 組 織 した 管 理 団 体 への 出 支 や 寄 付 により 賄 う 計 画 である 表 4.3 発 電 電 力 量 (kwh) 当 りの 建 設 単 価 地 点 ルート1 ルート2 備 考 取 水 位 (EL.m) 838.00 838.00 放 水 位 (EL.m) 818.00 812.50 発 電 計 画 総 落 差 (m) 20.00 25.50 有 効 落 差 (m) 18.07 23.14 常 時 使 用 水 量 (m 3 /s) 0.40 0.40 常 時 出 力 (kw) 58.4 75.2 年 間 可 能 発 電 電 力 量 (MWh) 460.4 592.8 流 量 設 備 利 用 率 (%) 100 100 設 備 利 用 率 (%) 90 90 補 助 率 (%) 0 0 総 工 事 費 ( 千 円 ) 184,000 196,100 補 助 残 額 ( 千 円 ) 184,000 196,100 年 間 発 電 電 力 量 (kwh) 460,425 592,876 電 力 量 当 り 建 設 単 価 ( 円 /kwh) 400 331 実 現 性 ( 最 低 売 電 単 価 ) 売 電 単 価 は 24.4 円 /kwh 以 上 売 電 単 価 は 20.2 円 /kwh 以 上 評 価 売 電 単 価 <20~35.7 円 /kwh 4-3 -
< 事 業 評 価 > 発 生 電 力 を 電 気 事 業 者 へ 一 旦 売 電 し 電 力 供 給 対 象 施 設 ( 需 要 施 設 )に 係 る 電 力 を 購 入 する 方 式 の 場 合 の 建 設 単 価 法 における 事 業 性 評 価 は 発 電 施 設 の 建 設 単 価 及 び 発 電 原 価 が 売 電 単 価 から 見 て 相 当 な 水 準 であることが 求 められている 前 項 で 求 めた 発 電 原 価 とkWh 当 りの 建 設 単 価 より 事 業 評 価 を 行 なう <ルート1の 事 業 評 価 > 減 価 償 却 費 ( 円 /kwh)=z( 建 設 単 価 ( 円 /kwh)) 地 元 負 担 率 (100%) 残 存 価 格 率 (100%) 固 定 価 格 買 取 期 間 (20 年 ) =(400 円 /kwh 1.0 1.0) 20 年 = 400 円 /kwh 20 年 = 20.0 円 /kwh 従 って 適 正 な 売 電 単 価 は 適 正 な 売 電 単 価 発 電 原 価 ( 円 /kwh)+ 減 価 償 却 費 ( 円 /kwh) となり 4.4 円 /kwh + 20.0 円 /kwh = 24.4 円 /kwh となり 売 電 価 格 が24.4 円 /kwh 以 上 であれば 事 業 性 があると 評 価 できる <ルート2の 事 業 評 価 > 減 価 償 却 費 ( 円 /kwh)=z( 建 設 単 価 ( 円 /kwh)) 地 元 負 担 率 ( 100%) 残 存 価 格 率 (100%) 固 定 価 格 買 取 期 間 (20 年 ) =(331 円 /kwh 1.0 1.0) 20 年 = 331 円 /kwh 20 年 = 16.6 円 /kwh 従 って 適 正 な 売 電 単 価 は 適 正 な 売 電 単 価 発 電 原 価 ( 円 /kwh)+ 減 価 償 却 費 ( 円 /kwh) となり 3.6 円 /kwh + 16.6 円 /kwh = 20.2 円 /kwh となり 売 電 価 格 が20.2 円 /kwh 以 上 であれば 事 業 性 があると 評 価 できる なお 次 項 の 投 資 回 収 年 による 経 済 性 評 価 では 売 電 単 価 を 今 年 度 よりスタートした 再 生 可 能 エネルギーの 固 定 価 格 買 取 制 度 における 売 電 単 価 35.7 円 /kwhと 同 制 度 における 将 来 的 な 売 電 価 格 を 予 想 した20.00 円 /kwhで 検 討 を 行 なっている 4-4 -
(4) 年 間 収 支 額 を 考 慮 した 場 合 の 投 資 回 収 年 による 事 業 評 価 検 討 は 売 電 収 入 や 維 持 管 理 費 等 の 支 出 を 加 味 した 経 済 性 評 価 を 県 営 事 業 で 実 施 した 場 合 で 行 なった 検 討 結 果 は 表 4.4に 示 す 表 4.4 中 田 切 地 区 経 済 性 評 価 結 果 一 覧 地 点 ルート1 ルート2 備 考 補 助 率 (%) 0 0 総 工 事 費 1( 千 円 ) 184,000 191,100 維 持 管 理 費 2( 千 円 / 年 ) 2,000 2,132 発 生 電 力 量 3(kWh) 460,425 592,876 売 電 単 価 4( 円 /kwh) 売 電 収 入 5=3 4 年 間 収 支 6=5-2 5( 千 円 ) 35.70 35.70 20.00 20.00 16,437 21,165 9,208 11,875 6( 千 円 ) 14,437 19,033 7,208 9,743 補 助 残 額 7( 千 円 ) 184,000 191,100 回 収 年 8=7 6 8( 年 ) 固 定 価 格 買 取 期 間 ( 年 ) 20.0 20.0 実 現 性 H24 年 度 の 固 定 価 格 買 取 制 度 におけ る 売 電 単 価 将 来 の 固 定 価 格 買 取 想 定 価 格 12.7 10.0 買 取 価 格 35.7 円 /kw 25.5 19.6 買 取 価 格 20.0 円 /kw 買 取 価 格 35.7 円 /kw 買 取 価 格 20.0 円 /kw : 固 定 価 格 買 取 期 間 ~1/2 固 定 価 格 買 取 期 間 :1/2 固 定 価 格 買 取 期 間 未 満 : 固 定 価 格 買 取 期 間 の 20 年 を 越 えた 場 合 1 ルート1 補 助 率 0%で 売 電 単 価 35.7 円 /kwh の 場 合 は 事 業 費 回 収 年 が 固 定 価 格 買 取 期 間 20.0 年 よりも 短 い 12.7 年 で 回 収 できることから 事 業 の 実 現 性 がに 高 い 2 ルート1 補 助 率 0%で 売 電 単 価 20.0 円 /kwh の 場 合 は 事 業 費 回 収 年 が 固 定 価 格 買 取 期 間 20.0 年 を 超 える 25.5 年 となることから 事 業 を 実 現 するためには 事 業 費 のコスト 縮 減 を 図 る 必 要 がある 3 ルート2 補 助 率 0%で 売 電 単 価 35.7 円 /kwh では 事 業 費 回 収 年 が 固 定 価 格 買 取 期 間 20.0 年 よりも 短 い 10.0 年 で 回 収 できることから 事 業 の 実 現 性 が 非 常 に 高 い 4 ルート2 補 助 率 0%で 売 電 単 価 20.0 円 /kwh では 事 業 費 回 収 年 が 固 定 価 格 買 取 期 間 20.0 年 よりも 短 い 19.6 年 で 回 収 でき 事 業 は 実 施 可 能 であるが 更 なる 事 業 費 のコスト 縮 減 を 図 る 必 要 がある 4-5 -
経 済 性 の 評 価 における 注 意 点 今 回 算 定 した 費 用 は 製 造 者 からの 情 報 提 供 また ハイドロバレー 計 画 ( 平 成 17 年 3 月 財 団 法 人 新 エネルギー 財 団 ) の 概 算 工 事 費 の 積 算 基 準 をもとに 算 出 したもので あり 詳 細 な 仕 様 に 基 づいた 費 用 ではない また 回 収 年 に 関 して 年 経 費 等 を 考 慮 し た 数 値 ではない よって 実 際 の 費 用 とは 精 度 が 異 なるため 取 扱 いには 注 意 を 要 する 実 施 に 当 たっ ては 再 度 検 討 詳 細 設 計 及 び 積 算 を 行 う 必 要 がある (5) 経 済 性 評 価 考 察 今 回 のシミュレーションにおいては 補 助 金 を 最 大 限 活 用 することで 設 備 の 耐 用 年 数 期 間 内 で 建 設 コスト 回 収 が 可 能 であり 事 業 化 の 可 能 性 が 期 待 できる 結 果 となった 本 シミュレーションは 条 件 ( 流 量 有 効 落 差 設 備 利 用 率 等 )を 仮 定 して 行 ったが 実 際 水 力 発 電 事 業 を 計 画 する 際 は これらの 条 件 を 再 整 理 すると 共 に 諸 条 件 により 経 済 性 評 価 に 係 る 検 討 項 目 評 価 内 容 について 詳 細 検 討 を 進 めていく 必 要 がある 4-6 -
第 5 章 総 合 検 討 (1) 今 後 の 計 画 推 進 に 向 けた 課 題 等 の 提 言 1) 河 川 法 関 係 河 川 法 の 許 可 申 請 に 当 たっては 事 前 に 事 業 の 概 要 や 設 計 の 妥 当 性 を 確 認 する 協 議 を 河 川 管 理 者 と 十 分 に 行 う 必 要 がある 発 電 のための 水 利 使 用 ( 特 定 水 利 使 用 )は 出 力 の 大 小 に 係 らず 河 川 法 第 23 条 に 基 づ く 水 利 権 の 取 得 が 必 要 である 特 に 本 地 区 は かんがい 用 水 として 既 得 水 利 権 以 上 の 水 量 で 発 電 を 計 画 しているため 新 たに 発 電 用 水 利 権 の 取 得 が 必 要 で 河 川 管 理 者 の 許 可 を 受 ける 必 要 がある このように 河 川 より 新 たな 水 を 取 水 する 場 合 は 河 川 に 減 水 区 間 が 生 じる ( 図 2.3 参 照 ) 新 たな 取 水 許 可 をとるためには 河 川 区 分 した 区 間 毎 に 渇 水 時 における 障 害 の 状 況 や 流 量 の 変 化 と 水 深 流 速 水 面 幅 水 質 等 の 変 化 との 関 係 及 びそれらが 動 植 物 の 生 態 系 や 景 観 等 に 及 ぼす 影 響 を 調 査 する 必 要 がある そして 新 たに 水 を 取 水 した 場 合 渇 水 時 で あっても 確 保 すべき 最 低 限 の 流 量 がながれる 検 証 する 必 要 があり 多 額 の 費 用 と 多 大 な 時 間 が 必 要 となる 更 には 駒 ヶ 根 市 水 利 組 合 漁 協 及 び 農 業 用 水 を 利 用 する 関 係 水 利 者 との 協 議 同 意 も 必 要 となる 河 川 法 第 55 条 ( 河 川 保 全 区 域 における 行 為 の 制 限 ) 河 川 保 全 区 域 内 ( 長 野 県 は 河 川 界 から 堤 内 地 側 に 18m 入 った 地 域 )において 次 に 掲 げ る 行 為 をしようとする 者 は 国 土 交 通 省 令 で 定 めるところにより 河 川 管 理 者 の 許 可 を 受 けなければならない 一 土 地 の 掘 さく 盛 土 又 は 切 土 その 他 土 地 の 形 状 を 変 更 する 行 為 二 工 作 物 の 新 築 又 は 改 築 2) 電 気 事 業 法 本 計 画 は 事 業 用 電 気 工 作 物 のうち 自 家 用 発 電 設 置 者 の 自 家 用 電 気 工 作 物 となるため 以 下 の 法 令 を 遵 守 する 必 要 がある また 届 出 に 当 たっては 所 管 の 中 部 近 畿 産 業 保 安 監 督 部 電 力 安 全 課 と 事 前 の 説 明 協 議 を 十 分 に 行 う 必 要 がある ア. 電 気 事 業 法 第 39 条 ( 事 業 用 電 気 工 作 物 の 維 持 ) 事 業 用 電 気 工 作 物 を 設 置 する 者 は 事 業 用 電 気 工 作 物 を 経 済 産 業 省 令 で 定 める 技 術 基 準 に 適 合 するように 維 持 しなければならない イ. 電 気 事 業 法 第 42 条 ( 保 安 規 程 ) 事 業 用 電 気 工 作 物 を 設 置 する 者 は 事 業 用 電 気 工 作 物 の 工 事 維 持 及 び 運 用 に 関 する 保 安 を 確 保 するため 経 済 産 業 省 令 で 定 めるところにより 保 安 を 一 体 的 に 確 5-1 -
保 することが 必 要 な 事 業 用 電 気 工 作 物 の 組 織 ごとに 保 安 規 程 を 定 め 当 該 組 織 にお ける 事 業 用 電 気 工 作 物 の 使 用 ( 第 五 十 条 の 二 第 一 項 の 自 主 検 査 又 は 第 五 十 二 条 第 一 項 の 事 業 者 検 査 を 伴 うものにあっては その 工 事 )の 開 始 前 に 経 済 産 業 大 臣 に 届 け 出 なければならない 2 事 業 用 電 気 工 作 物 を 設 置 する 者 は 保 安 規 程 を 変 更 したときは 遅 滞 なく 変 更 した 事 項 を 経 済 産 業 大 臣 に 届 け 出 なければならない ウ. 電 気 事 業 法 第 43 条 ( 主 任 技 術 者 ) 事 業 用 電 気 工 作 物 を 設 置 する 者 は 事 業 用 電 気 工 作 物 の 工 事 維 持 及 び 運 用 に 関 する 保 安 の 監 督 をさせるため 経 済 産 業 省 令 で 定 めるところにより 主 任 技 術 者 免 状 の 交 付 を 受 けている 者 のうちから 主 任 技 術 者 を 選 任 しなければならない エ. 電 気 事 業 法 第 48 条 ( 工 事 計 画 ) 事 業 用 電 気 工 作 物 の 設 置 又 は 変 更 の 工 事 ( 前 条 第 一 項 の 経 済 産 業 省 令 で 定 めるも のを 除 く )であつて 経 済 産 業 省 令 で 定 めるものをしようとする 者 は その 工 事 の 計 画 を 経 済 産 業 大 臣 に 届 け 出 なければならない その 工 事 の 計 画 の 変 更 ( 経 済 産 業 省 令 で 定 める 軽 微 なものを 除 く )をしようとするときも 同 様 とする 2 前 項 の 規 定 による 届 出 をした 者 は その 届 出 が 受 理 された 日 から 三 十 日 を 経 過 した 後 でなければ その 届 出 に 係 る 工 事 を 開 始 してはならない 3) 電 力 会 社 との 調 整 関 係 ア. 系 統 連 系 本 計 画 では 電 力 会 社 の 系 統 に 連 系 して 全 量 売 電 をする 系 統 連 系 の 詳 細 について は 電 力 会 社 ( 中 部 電 力 )と 協 議 を 十 分 に 行 う 必 要 がある イ. 売 電 単 価 経 済 産 業 大 臣 は 毎 年 度 当 該 年 度 の 開 始 前 に 電 気 事 業 者 が 再 生 可 能 エネルギー 電 気 の 調 達 につき 経 済 産 業 省 令 で 定 める 再 生 可 能 エネルギー 発 電 設 備 の 区 分 設 置 の 形 態 及 び 規 模 ごとに 当 該 再 生 可 能 エネルギー 電 気 の1キロワット 時 当 たりの 価 格 ( 以 下 調 達 価 格 という ) 及 びその 調 達 価 格 による 調 達 に 係 る 期 間 ( 以 下 調 達 期 間 と いう )を 定 めることとなっている これを 固 定 価 格 買 取 制 度 というが 事 業 を 行 なう 年 度 において 買 取 価 格 の 適 用 を 受 けるためには 経 済 産 業 省 令 及 び 告 示 上 当 該 年 度 末 3 月 31 日 までに (1) 経 済 産 業 大 臣 の 設 備 認 定 を 受 けることと (2) 系 統 連 系 に 関 する 契 約 の 申 込 み 書 類 を 電 気 事 業 者 が 受 領 することの2 点 を 済 ませておく 必 要 がる このうち (2)の 系 統 連 系 に 関 する 契 約 の 申 込 み 書 類 を 電 気 事 業 者 に 提 出 するに 当 たっては 通 常 事 前 に 電 気 事 業 者 に 対 して 系 統 の 空 き 状 況 の 確 認 や 連 系 にあたっ て 必 要 となる 対 策 などの 検 討 を 求 める 必 要 がるが このプロセスには 約 3か 月 かかる ので 留 意 ねがいたい 5-2 -
4) 関 係 者 との 調 整 関 係 ア. 土 地 改 良 施 設 利 用 本 計 画 では 水 利 組 合 が 管 理 する 中 田 切 井 水 取 水 余 水 吐 ~ 分 岐 点 の 落 差 を 利 用 するも のであり 発 電 所 設 備 の 設 置 に 当 たっては 事 前 に 駒 ヶ 根 市 水 利 組 合 漁 協 や 水 利 利 用 者 と 協 議 を 行 い 施 設 の 共 同 利 用 の 同 意 書 が 必 要 となる イ. 土 地 改 良 施 設 の 他 目 的 使 用 本 計 画 は 農 業 用 施 設 を 発 電 目 的 に 使 用 することから 他 目 的 使 用 となり 使 用 料 を 払 う 必 要 があるため 協 議 が 必 要 である 5) 今 後 の 発 電 計 画 の 推 進 農 業 水 利 施 設 利 用 小 水 力 発 電 導 入 促 進 事 業 の 設 計 業 務 では 水 力 開 発 における 事 業 化 の 可 否 を 判 断 するための 可 能 性 調 査 である 実 施 に 当 たっては 取 水 設 備 電 気 機 械 設 備 付 帯 設 備 等 の 詳 細 設 計 及 び 負 荷 遮 断 時 に おける 既 設 農 業 用 水 路 への 影 響 等 の 詳 細 検 討 が 必 要 である 今 後 の 詳 細 検 討 や 関 係 者 との 協 議 等 において 更 なる 設 計 合 理 化 等 による 発 電 所 建 設 費 の 抑 制 などにより 耐 用 年 数 内 の 短 期 間 での 建 設 資 金 の 回 収 が 可 能 となることも 考 えられ ることから 今 後 の 発 電 計 画 推 進 に 当 たっては 十 分 な 検 討 が 必 要 である 特 に 留 意 する 点 を 記 述 する 有 効 落 差 の 算 定 は 既 存 の 縦 断 図 を 参 考 に 求 めているため 測 量 等 によりルートの 確 定 後 再 検 討 する 必 要 がある 常 時 使 用 水 量 について 本 検 討 では 流 量 調 査 により 使 用 水 量 を 0.40m 3 /s としたが 実 施 に 際 しては 再 度 詳 細 な 最 大 使 用 水 量 の 検 討 が 必 要 である 既 存 の 水 量 調 整 方 法 や 水 利 管 理 との 整 合 性 については 今 回 検 討 対 象 外 となるため 再 検 討 を 要 する また 取 水 設 備 等 は 既 存 情 報 から 想 定 した 一 例 で 検 討 しており 実 施 の 際 は 現 地 状 況 との 整 合 性 を 考 慮 する 必 要 がある 制 御 方 式 等 により 構 成 設 備 の 変 動 があるため 実 施 に 当 たっては 具 体 的 な 制 御 方 法 制 御 電 源 の 供 給 方 法 等 を 考 慮 する 必 要 がある 5-3 -