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原 著 喫 煙 者 におけるリスク 認 知 構 造 の 性 差 の 特 徴 Web 調 査 による 探 索 的 因 子 分 析 石 橋 千 佳 *₁ 堀 口 逸 子 *₂ *₂ 丸 井 英 二 *₁ 稲 田 英 一 目 的 : 特 に 性 差 に 焦 点 をあてて 喫 煙 者 のリスク 認 知 構 造 の 特 徴 を 明 らかにすること. 方 法 :Web 調 査 により₂₀~₅₀ 歳 代 で 各 世 代 均 等 に 無 作 為 に₂,₀₀₀ 人 の 回 収 を 依 頼 し, 横 断 研 究 を 実 施 した. 調 査 期 間 は₂₀₀₉ 年 ₃ 月 の ₅ 日 間 である. 質 問 内 容 は 年 齢, 性 別, 喫 煙 の 有 無,リスク₁₄ 項 目 について 被 害 の 重 大 性 (₁₁ 件 法 ),リスク₁₀ 項 目 についての 本 人 の 主 観 的 な 生 起 確 率 ( ₄ 件 法 )である.リスク ₁₄ 項 目 について 因 子 分 析 し, 因 子 得 点 を 算 出 し Mann-Whiteny 検 定 を 行 った. 結 果 : 回 答 者 は₁,₃₀₈ 人 ( 喫 煙 者 ₃₃₄ 人, 非 喫 煙 者 ₉₇₄ 人 )であった. 喫 煙 者 についてリスク₁₄ 項 目 を 因 子 分 析 した 結 果, ₂ つの 因 子 が 抽 出 された. 第 ₁ 因 子 として 因 子 負 荷 量 の 高 い 項 目 は 順 に,SARS,BSE, 鳥 インフルエンザ,HIV/AIDS, 結 核, 肝 炎, 放 射 能 であった. 第 ₂ 因 子 は, 電 磁 波, 大 気 中 の 発 が ん 性 物 質, 遺 伝 子 組 換 え 食 品, 食 品 添 加 物, 魚 介 類 に 含 まれる 水 銀, 受 動 喫 煙, 残 留 農 薬 であった. 男 女 の 喫 煙 者 で 因 子 得 点 の 平 均 値 を 分 析 した 結 果, 第 ₂ 因 子 に 有 意 差 がみられた.また 喫 煙 者 を 男 女 別 に 因 子 分 析 したところ, 男 性 喫 煙 者 は ₃ つの 因 子, 女 性 喫 煙 者 は ₂ つの 因 子 が 抽 出 された. 結 論 : 喫 煙 者 において, 男 女 間 でリスク 認 知 に 差 異 が 認 められ,かつリスク 認 知 構 造 が 異 なっていた. 日 健 教 誌,₂₀₁₃;₂₁(₄):283-293 キーワード:リスク 認 知 構 造, 喫 煙 者, 性 差, 探 索 的 因 子 分 析,Web 調 査 Ⅰ はじめに 健 康 教 育 は, 当 初 の 知 識 の 習 得 を 目 標 とする 時 代 から 行 動 変 容 を 目 的 とする 時 代 に,そして₁₉₉₀ 年 代 よりヘルスコミュニケーションからのアプ ローチの 時 代 へと 移 り 変 わってきた ₁). 一 方 で, 健 康 リスクに 焦 点 をあてたリスクコミュニケーショ ンが₁₉₈₀ 年 代 後 半 より 欧 米 で 研 究 されてきた ₂,₃). リスクコミュニケーションで 扱 うリスクとは 被 害 の 重 大 性 とその 生 起 確 率 の 積 と 定 義 されて いる ₄).また,リスクコミュニケーションとは,リ * ₁ 順 天 堂 大 学 医 学 部 付 属 順 天 堂 医 院 麻 酔 科 学 ペイン クリニック 講 座 *₂ 順 天 堂 大 学 医 学 部 公 衆 衛 生 学 教 室 連 絡 先 : 石 橋 千 佳 住 所 : ₁₁₃-₈₄₃₁ 東 京 都 文 京 区 本 郷 ₂ 丁 目 ₁ 番 ₁ 号 順 天 堂 大 学 医 学 部 付 属 順 天 堂 医 院 麻 酔 科 ペインクリ ニック 講 座 スクについての 個 人, 期 間, 集 団 間 での 情 報 や 意 見 のやりとりの 相 互 作 用 的 過 程 と 定 義 され ₄), 専 門 家 に 求 められる 役 割 はリスクにさらされる 人 々に 対 して,リスクに 対 し 回 避 的 に 行 動 するこ とができるよう 十 分 に 情 報 を 提 供 し,その 問 題 に 対 するやり 取 りを 行 うことである. 健 康 リスクに 関 して,リスクコミュニケーションによる 効 果 的 介 入 は, 対 象 者 を 健 康 やその 管 理 の 意 思 決 定 に 関 与 させることができると 言 われている ₅). 近 年, 本 邦 では, 禁 煙 教 育 へのヘルスコミュニ ケーションからのアプローチとして,Prochaska and DiClemente ら ₆) が 提 唱 したステージモデルが 導 入 されている ₇,₈). 一 方, 海 外 では, 禁 煙 に 対 し て,リスクコミュニケーションによる 介 入 効 果 が 報 告 されている ₉) ものの, 本 邦 ではみられない. リスクコミュニケーションによる 効 果 的 介 入 の ためには, 対 象 者 のリスク 認 知 やリスク 認 知 構 造 Copyright Japanese Society of Health Education and Promotion 283

石 橋 堀 口 丸 井 稲 田 を 明 らかにし 理 解 することが 必 要 である ₁₀,₁₁).リ スク 認 知 とは,リスクに 対 する 主 観 的 なイメージ であり, 認 知 心 理 学 より 発 達 し 研 究 されてきた. 一 般 の 人 々と 専 門 家 でリスク 認 知 が 違 うことが 指 摘 されており, 人 々の 意 思 決 定 は,リスクの 客 観 的 な 評 価 結 果 からみると 合 理 的 とはいえず, 主 観 的 な 認 知 に 影 響 されている ₁₀,₁₂).また,Slovic は 人 々のリスク 認 知 はある 共 通 した 認 知 構 造 の 枠 に 従 って 形 成 されるとし,₈₁のリスクに 対 してその 認 知 構 造 を 因 子 分 析 を 用 いて 明 らかした ₁₃).リス ク 認 知 構 造 は, 性 別, 民 族 などによって 差 異 があ るとされている ₁₁,₁₄,₁₅). 近 年, 本 邦 においても, 健 康 や 食 品, 医 療 に 関 するリスク 認 知 ₁₆-₁₈) やリスク 認 知 構 造 ₁₉) について の 研 究 が 散 見 できる.しかし, 喫 煙 に 関 するリス ク 認 知 や 喫 煙 者 のリスク 認 知 構 造 に 関 する 研 究 は ほとんど 見 られない. 海 外 においては, 喫 煙 者 の リスク 認 知 に 関 する 研 究 は 多 くあり ₂₀-₂₂) ₂₃,₂₄), 性 別 によるリスク 認 知 の 差 についても 研 究 されている. しかし, 喫 煙 者 のリスク 認 知 構 造 に 関 する 研 究 は みられない. 本 研 究 では, 本 邦 での 禁 煙 教 育 におけるリスク コミュニケーションを 用 いた 効 果 的 介 入 のために 必 要 な, 喫 煙 者 の, 特 に 性 差 に 焦 点 をあてたリス ク 認 知 やリスク 認 知 構 造 の 特 徴 を 明 らかにするこ とを 目 的 とした. 1. 対 象 と 方 法 Ⅱ 方 法 対 象 者 は,Web 調 査 会 社 goo リサーチが 管 理 し ている 消 費 者 パネル 約 ₆₅ 万 人 のうち 国 内 在 住 の₂₀ 歳 代 から₅₀ 歳 代 の 成 人 である. 各 世 代 均 等 に 無 作 為 に₂,₀₀₀ 人 とし, 回 収 を 依 頼 した. 調 査 期 間 は ₂₀₀₉ 年 ₃ 月 ₁₃ 日 から₁₇ 日 の ₅ 日 間 で,Web による 自 記 式 の 調 査 票 を 用 いて 行 った. 質 問 内 容 は,フェイスシートとして, 年 齢, 性 別, 喫 煙 の 有 無 の ₃ 問 を 設 定 した. 喫 煙 について は, 現 在 吸 っている 以 前 吸 っていたがやめた 吸 っていない の ₃ 件 法 で 回 答 を 求 めた. リスク 認 知 構 造 を 明 らかにするために,リスク として 健 康 や 環 境 に 関 する₁₄ 項 目 を 設 定 した. 項 目 は Slovic の₈₁のリスクについてリスク 認 知 構 造 を 明 らかにした 研 究 ₁₃) や,ハンガリー 人 とアメリ カ 人 とのリスク 認 知 比 較 研 究 ₁₅), 日 本 人 とアメリ カ 人 とのリスク 認 知 比 較 研 究 ₁₄), 大 学 生 のリスク 認 知 に 関 する 日 米 比 較 研 究 ₁₁), 健 康 リスクの 先 行 研 究 ₁₆,₁₉) を 参 考 に, 健 康 に 関 連 する 項 目 として 共 著 者 間 で 検 討 して 決 定 した.それは, 鳥 インフル エンザ,SARS( 重 症 急 性 呼 吸 器 症 候 群 ),BSE ( 牛 海 綿 状 脳 症 ), 肝 炎, 結 核,HIV/AIDS, 受 動 喫 煙, 大 気 中 の 発 がん 性 物 質, 電 磁 波, 遺 伝 子 組 換 え 食 品, 魚 介 類 に 含 まれる 水 銀, 放 射 能, 残 留 農 薬, 食 品 添 加 物 である. 各 項 目 どの 程 度 危 険 か 被 害 の 重 大 性 について 全 くない の ₀ 点 から 非 常 にある の₁₀ 点 で 選 択 してもらった.またリ スクの 生 起 確 率 として, 犯 罪 の 被 害 者, 食 品, 交 通 事 故, 感 染 症, 癌, 環 境 汚 染, 生 活 習 慣 病, 電 磁 波,タバコの 煙,バイオテロの₁₀ 項 目 について, 本 人 にとってどの 程 度 起 こりやすいかを 起 こら ない から 起 こりそうだ の ₄ 件 法, わからな い を 加 えた 計 ₅ つの 選 択 肢 を 設 定 した. 本 研 究 は, 順 天 堂 大 学 医 学 部 研 究 等 倫 理 委 員 会 の 審 査 で 承 認 された.なお, 本 研 究 を 実 施 した 調 査 会 社 は,( 財 ) 日 本 情 報 処 理 開 発 協 会 による プ ライバシーマーク を 取 得 しており, 登 録 者 の 個 人 情 報 保 護 を 十 分 に 配 慮 している 組 織 である. 消 費 者 パネルの 個 人 情 報 は 調 査 会 社 が 管 理 し,ID 化 されており, 本 研 究 者 は 調 査 対 象 の 個 人 情 報 を 必 要 以 上 には 取 得 できない. 2. 分 析 分 析 には SPSS Ver.₁₉.₀ for Mac(IBM 社 )を 用 いた. 対 象 者 全 体 について,リスク 認 知 構 造 を 明 らか にするために,リスクとして 健 康 や 環 境 に 関 する もの₁₄ 項 目 を, 主 因 子 法 の 因 子 抽 出 法 およびプロ マックス 回 転 法 で 因 子 分 析 を 行 った. 次 いで, 対 象 者 を,タバコを 現 在 吸 っている (₂₅.₅%) と 回 答 した 者 ( 以 下, 喫 煙 者 と 記 284 21 4 2013

す), 以 前 吸 っていたがやめた(₂₀.₂%) 吸 っ ていない(₅₄.₄%) と 回 答 した 者 ( 以 下, 非 喫 煙 者 と 記 す)の ₂ 群 に 分 類 した. 平 均 年 齢 は, 喫 煙 者 と 非 喫 煙 者 で t 検 定 を 行 った. 喫 煙 者 において,リスク 認 知 構 造 を 明 らかにす るために, 全 体 と 同 様 に 因 子 分 析 を 行 った.また, 因 子 分 析 の 結 果 より, 喫 煙 者 の 男 女 別 に, 各 因 子 の 相 関 の 程 度 を 示 す 変 数 である 因 子 得 点 を 算 出 し Mann-Whitney 検 定 を 行 った.また, 喫 煙 者 の 男 女 別 で, 同 様 の 方 法 で 因 子 分 析 を 行 った. 本 人 にとってのリスクの 生 起 確 率 ₁₀ 項 目 は, ₁ 項 目 でも わからない に 回 答 した 者 (₃₁.₇%) を 除 いた. 喫 煙 者 において, 起 こりそうだ ど ちらかというと 起 こりそうだ と 回 答 した 割 合 を 算 出 し,また 喫 煙 者 の 男 女 別 でカイ ₂ 乗 検 定 を 行 った. 非 喫 煙 者 においても, 喫 煙 者 との 比 較 のために リスクとして 健 康 や 環 境 に 関 するもの₁₄ 項 目 につ いて, 同 様 に 因 子 分 析 した.また, 因 子 分 析 の 結 果 より, 喫 煙 者 と 非 喫 煙 者 で 因 子 得 点 を 算 出 し Mann-Whitney 検 定 を 行 った. Ⅲ 結 果 1. 対 象 者 の 概 要 調 査 期 間 内 に 回 答 した 者 は₂,₀₀₀ 人 のうち₁,₃₀₈ 人 ( 男 ₆₅₂ 人, 女 ₆₅₆ 人 )であった. 平 均 年 齢 は, ₃₉.₂(SD₉.₁) 歳 で, 年 代 別 の 割 合 は ₂₀ 歳 代 ₁₅.₈%(₂₀₇ 人 ),₃₀ 歳 代 ₃₆.₁%(₄₇₂ 人 ),₄₀ 歳 代 ₃₃.₃%(₄₃₆ 人 ),₅₀ 歳 代 ₁₄.₈%(₁₉₃ 人 )で₃₀ 歳 代 の 割 合 が 最 も 高 かった. 喫 煙 者 は₃₃₄ 人 ( 男 ₂₂₈ 人, 女 ₁₀₆ 人 ), 非 喫 煙 者 は ₉₇₄ 人 ( 男 ₄₂₄ 人, 女 ₅₅₀ 人 )であった. 喫 煙 率 は 全 体 で₂₅.₅%, 男 女 別 では 男 性 ₃₅.₀%, 女 性 ₁₆.₂% で 有 意 な 差 がみられた(p<₀.₀₁). 平 均 年 齢 は, 喫 煙 者 ₄₁.₃(SD ₈.₇) 歳, 非 喫 煙 者 ₃₈.₅(SD ₉.₂) 歳 で, 有 意 な 差 が 認 められた(p<₀.₀₁). 各 年 代 別 の 喫 煙 率 は,₂₀ 歳 代 から₅₀ 歳 代 まで 順 に,₁₅.₀%,₂₃.₃%,₂₉.₈%,₃₂.₆%であった. 各 年 代 の 男 女 別 の 喫 煙 率 は, 男 性 は₂₀ 歳 代 から₅₀ 歳 代 まで 順 に,₁₉.₄%,₃₅.₁%,₃₇.₃%,₃₈.₉%, 女 性 は 同 様 に,₁₂.₆%,₁₅.₁%,₁₉.₃%,₁₉.₄% であった( 表 ₁ ). 2. 全 体 について 対 象 者 全 体 のリスク 認 知 構 造 について, 固 有 値 ₁ 以 上 および 固 有 値 寄 与 率 が ₅ % 以 上 であること を 基 準 に 因 子 の 数 を ₂ ~ ₄ の 範 囲 で 設 定 し, 主 因 子 法 の 因 子 抽 出 法 およびプロマックス 回 転 法 で 因 子 分 析 を 複 数 回 行 った 結 果 のうち, 最 も 理 解 しや すい 結 果 を 採 用 した.その 結 果, ₂ つの 因 子 が 抽 出 された( 表 ₂ ). 第 ₁ 因 子 として 因 子 負 荷 量 の 高 い 項 目 は 順 に,SARS,BSE, 鳥 インフルエンザ, HIV/AIDS, 結 核, 肝 炎, 放 射 能 で, 身 近 ではな いリスク と 命 名 した. 第 ₂ 因 子 も 同 様 に, 食 品 添 加 物, 遺 伝 子 組 換 え 食 品, 電 磁 波, 残 留 農 薬, 魚 介 類 に 含 まれる 水 銀, 大 気 中 の 発 がん 性 物 質, 受 動 喫 煙 で, 身 近 なリスク と 命 名 した. 3. 喫 煙 者 について 喫 煙 者 のリスク 認 知 構 造 について, 同 様 に 因 子 分 析 を 行 ったところ, ₂ つの 因 子 が 抽 出 された ( 表 ₂ ). 第 ₁ 因 子 として 因 子 負 荷 量 の 高 い 項 目 は 表 1 対 象 者 の 属 性 喫 煙 者 非 喫 煙 者 合 計 年 代 人 数 % 人 数 % 人 数 % 全 体 ₂₀ ₃₁ ₁₅.₀ ₁₇₆ ₈₅.₀ ₂₀₇ ₁₀₀ ₃₀ ₁₁₀ ₂₃.₃ ₃₆₂ ₇₆.₇ ₄₇₂ ₁₀₀ ₄₀ ₁₃₀ ₂₉.₈ ₃₀₆ ₇₀.₂ ₄₃₆ ₁₀₀ ₅₀ ₆₃ ₃₂.₆ ₁₃₀ ₆₇.₄ ₁₉₃ ₁₀₀ 計 ₃₃₄ ₂₅.₅ ₉₇₄ ₇₄.₅ ₁,₃₀₈ ₁₀₀ 男 ₂₀ ₁₄ ₁₉.₄ ₅₈ ₈₀.₆ ₇₂ ₁₀₀ ₃₀ ₆₈ ₃₅.₁ ₁₂₆ ₆₄.₉ ₁₉₄ ₁₀₀ ₄₀ ₉₅ ₃₇.₃ ₁₆₀ ₆₂.₇ ₂₅₅ ₁₀₀ ₅₀ ₅₁ ₃₈.₉ ₈₀ ₆₁.₁ ₁₃₁ ₁₀₀ 計 ₂₂₈ ₃₅.₀ ₄₂₄ ₆₅.₀ ₆₅₂ ₁₀₀ 女 ₂₀ ₁₇ ₁₂.₆ ₁₁₈ ₈₇.₄ ₁₃₅ ₁₀₀ ₃₀ ₄₂ ₁₅.₁ ₂₃₆ ₈₄.₉ ₂₇₈ ₁₀₀ ₄₀ ₃₅ ₁₉.₃ ₁₄₆ ₈₀.₇ ₁₈₁ ₁₀₀ ₅₀ ₁₂ ₁₉.₄ ₅₀ ₈₀.₆ ₆₂ ₁₀₀ 計 ₁₀₆ ₁₆.₂ ₅₅₀ ₈₃.₈ ₆₅₆ ₁₀₀ 285

石 橋 堀 口 丸 井 稲 田 順 に,SARS,BSE, 鳥 イ ン フ ル エ ン ザ,HIV/ AIDS, 結 核, 肝 炎, 放 射 能 で, 全 体 と 同 じ 項 目 で 身 近 ではないリスク と 命 名 した. 第 ₂ 因 子 も 同 様 に, 電 磁 波, 大 気 中 の 発 がん 性 物 質, 遺 伝 子 組 換 え 食 品, 食 品 添 加 物, 魚 介 類 に 含 まれる 水 銀, 受 動 喫 煙, 残 留 農 薬 で, 全 体 と 同 じ 項 目 で 身 近 なリスク と 命 名 した. 喫 煙 者 において, 放 射 能 の 項 目 は, 全 体 に 比 べて 第 ₁ 因 子 と 第 ₂ 因 子 で 因 子 負 荷 量 の 差 が 高 かった. 喫 煙 者 の 因 子 分 析 結 果 から, 男 女 別 に, 各 因 子 の 因 子 得 点 を 算 出 し 平 均 値 の 差 を Mann-Whitney 検 定 を 行 ったところ, 第 ₂ 因 子 の 因 子 得 点 で 女 性 喫 煙 者 の 方 が 高 く, 有 意 差 がみられた(p<₀.₀₁)( 表 ₃ ). 喫 煙 者 の 男 女 別 にリスク 認 知 構 造 について 同 様 に 分 析 したところ, 男 性 喫 煙 者 では ₃ つの 因 子 が 抽 出 され, 女 性 喫 煙 者 では ₂ つの 因 子 が 抽 出 され た( 表 ₄ ). 男 性 喫 煙 者 の 第 ₁ 因 子 として 因 子 負 荷 量 の 高 い 項 目 は 順 に,SARS,BSE, 鳥 インフルエ ンザ,HIV/AIDS, 結 核, 肝 炎 で,これらの 項 目 は 感 染 症 であることから 感 染 リスク と 命 名 し 表 2 全 体 と 喫 煙 者 と 非 喫 煙 者 のリスクの 重 大 性 の 認 知 に 関 する 回 転 後 の 因 子 行 列 (n=1,308) 全 体 喫 煙 者 非 喫 煙 者 因 子 因 子 因 子 ₁ ₂ ₁ ₂ ₁ ₂ 鳥 インフルエンザ ₀.₇₆₃ -₀.₀₆₂ ₀.₇₉₇ -₀.₀₉₉ ₀.₇₅₄ -₀.₀₆₈ SARS ₀.₉₄₈ -₀.₁₄₇ ₀.₉₇₄ -₀.₁₈₂ ₀.₉₄₆ -₀.₁₅₉ BSE 牛 海 綿 状 脳 症 ₀.₈₁₃ ₀.₀₃₄ ₀.₈₄₄ ₀.₀₁₃ ₀.₈₀₉ ₀.₀₂₃ 肝 炎 ₀.₇₁₈ ₀.₀₅₂ ₀.₆₂₉ ₀.₀₇₀ ₀.₇₆₃ ₀.₀₃₀ 結 核 ₀.₇₄₆ ₀.₀₇₆ ₀.₆₇₉ ₀.₀₄₀ ₀.₇₇₁ ₀.₀₇₃ HIV/AIDS ₀.₇₅₆ -₀.₀₃₀ ₀.₇₂₇ -₀.₁₃₉ ₀.₇₇₅ -₀.₀₁₈ 受 動 喫 煙 ₀.₀₉₂ ₀.₄₂₇ -₀.₂₅₇ ₀.₆₂₁ ₀.₂₃₀ ₀.₃₈₆ 大 気 中 の 発 がん 性 物 質 ₀.₁₂₄ ₀.₆₇₈ -₀.₀₀₄ ₀.₇₇₉ ₀.₁₉₉ ₀.₆₃₂ 電 磁 波 -₀.₁₅₂ ₀.₈₁₄ -₀.₁₈₂ ₀.₈₇₁ -₀.₁₂₂ ₀.₇₈₇ 遺 伝 子 組 換 え 食 品 -₀.₀₃₉ ₀.₈₂₇ ₀.₀₉₈ ₀.₇₃₄ -₀.₀₅₈ ₀.₈₄₀ 魚 介 類 に 含 まれる 水 銀 ₀.₁₃₄ ₀.₇₆₉ ₀.₂₃₂ ₀.₆₅₀ ₀.₁₃₈ ₀.₇₇₈ 放 射 能 ₀.₄₄₁ ₀.₄₁₃ ₀.₅₇₅ ₀.₂₀₀ ₀.₄₂₈ ₀.₄₅₁ 残 留 農 薬 ₀.₁₅₉ ₀.₇₅₅ ₀.₃₆₂ ₀.₅₅₄ ₀.₁₃₂ ₀.₇₈₈ 食 品 添 加 物 -₀.₁₈₄ ₀.₈₈₀ ₀.₀₇₂ ₀.₇₂₂ -₀.₂₄₂ ₀.₉₁₄ 固 有 値 ₇.₁₄ ₂.₀₀ ₆.₆₆ ₂.₁₃ ₇.₃₂ ₂.₀₃ 寄 与 率 % ₅₀.₉₈ ₁₄.₂₈ ₄₇.₅₇ ₁₅.₂₃ ₅₂.₂₇ ₁₄.₅₂ 因 子 抽 出 法 : 主 因 子 法 回 転 法 :Kaiser の 正 規 化 を 伴 うフ ロマックス 法 因 子 ₁ : 身 近 ではないリスク 因 子 ₂ : 身 近 なリスク 表 3 男 性 喫 煙 者 と 女 性 喫 煙 者 のリスクの 重 大 性 に 関 する 因 子 得 点 (n=334) 因 子 性 別 人 数 平 均 値 標 準 偏 差 p 値 第 ₁ 因 子 男 性 ₂₂₈ -₀.₀₅ ₀.₉₄ ₀.₂₀ ( 身 近 ではないリスク) 女 性 ₁₀₆ ₀.₁₀ ₁.₀₀ 第 ₂ 因 子 男 性 ₂₂₈ -₀.₁₈ ₀.₉₀ <₀.₀₁ ( 身 近 なリスク) 女 性 ₁₀₆ ₀.₄₀ ₀.₉₄ 因 子 得 点 : 因 子 得 点 係 数 標 準 化 された 回 答 値 で 算 出 され 各 因 子 との 相 関 の 程 度 を 表 しており 高 い 方 がその 因 子 に 影 響 を 受 けている 286 21 4 2013

表 4 男 性 喫 煙 者 と 女 性 喫 煙 者 のリスクの 重 大 性 の 認 知 に 関 する 回 転 後 の 因 子 行 列 (n=334) 男 性 喫 煙 者 因 子 女 性 喫 煙 者 因 子 ₁ ₂ ₃ ₁ ₂ 鳥 インフルエンザ ₀.₇₉₄ -₀.₀₉₅ ₀.₀₁₆ ₀.₈₅₇ -₀.₁₀₃ SARS ₀.₈₈₂ ₀.₀₁₆ -₀.₁₀₂ ₁.₀₃₆ -₀.₂₁₄ BSE 牛 海 綿 状 脳 症 ₀.₇₉₇ ₀.₀₁₈ ₀.₀₅₃ ₀.₉₂₁ ₀.₀₀₃ 肝 炎 ₀.₆₁₉ ₀.₀₅₂ ₀.₀₅₅ ₀.₅₇₅ ₀.₁₄₉ 結 核 ₀.₆₄₈ ₀.₀₅₇ ₀.₀₉₈ ₀.₆₅₅ ₀.₀₆₅ HIV/AIDS ₀.₆₉₃ -₀.₀₀₂ ₀.₀₀₅ ₀.₆₆₂ -₀.₀₆₃ 受 動 喫 煙 -₀.₀₀₉ -₀.₁₀₀ ₀.₆₇₅ -₀.₃₂₄ ₀.₅₀₆ 大 気 中 の 発 がん 性 物 質 ₀.₁₃₅ -₀.₀₂₆ ₀.₈₂₂ ₀.₁₃₆ ₀.₇₄₄ 電 磁 波 -₀.₀₇₆ ₀.₁₈₉ ₀.₆₇₇ -₀.₁₃₄ ₀.₈₆₂ 遺 伝 子 組 換 え 食 品 ₀.₀₀₄ ₀.₅₃₃ ₀.₂₉₉ ₀.₁₄₆ ₀.₇₂₆ 魚 介 類 に 含 まれる 水 銀 ₀.₀₄₆ ₀.₈₁₃ ₀.₀₄₂ ₀.₁₃₀ ₀.₆₆₀ 放 射 能 ₀.₃₄₃ ₀.₅₅₇ -₀.₁₅₅ ₀.₅₇₀ ₀.₁₈₅ 残 留 農 薬 ₀.₀₆₅ ₀.₉₅₅ -₀.₁₂₆ ₀.₂₆₄ ₀.₅₉₃ 食 品 添 加 物 -₀.₁₂₃ ₀.₇₉₇ ₀.₁₆₄ ₀.₁₁₂ ₀.₅₆₀ 固 有 値 ₆.₅₂ ₂.₁₈ ₁.₀₀ ₆.₈₇ ₁.₈₃ 寄 与 率 % ₄₆.₅₉ ₁₅.₅₆ ₇.₁₇ ₄₉.₀₇ ₁₃.₀₃ 因 子 抽 出 法 : 主 因 子 法 回 転 法 :Kaiser の 正 規 化 を 伴 うプロマックス 法 男 性 喫 煙 者 因 子 ₁: 感 染 リスク 因 子 ₂: 摂 食 リスク 因 子 ₃: 環 境 リスク 女 性 喫 煙 者 因 子 ₁ : 身 近 ではないリスク 因 子 ₂ : 身 近 なリスク た. 第 ₂ 因 子 は, 残 留 農 薬, 魚 介 類 に 含 まれる 水 銀, 食 品 添 加 物, 放 射 能, 遺 伝 子 組 換 え 食 品 で あった.これは, 食 品 として 体 内 に 取 り 込 まれる 項 目 と 考 え 摂 食 リスク と 命 名 した. 第 ₃ 因 子 は, 大 気 中 の 発 がん 性 物 質, 電 磁 波, 受 動 喫 煙 で, 環 境 汚 染 に 関 するものと 考 え 環 境 リスク と 命 名 した. 女 性 喫 煙 者 は, 第 ₁ 因 子 として 因 子 負 荷 量 の 高 い 項 目 は 順 に,SARS,BSE, 鳥 インフルエ ンザ,HIV/AIDS, 結 核, 肝 炎, 放 射 能 で, 全 体 と 喫 煙 者 と 同 じ 項 目 で 身 近 ではないリスク と 命 名 した. 第 ₂ 因 子 は, 電 磁 波, 大 気 中 の 発 がん 性 物 質, 遺 伝 子 組 換 え 食 品, 魚 介 類 に 含 まれる 水 銀, 残 留 農 薬, 食 品 添 加 物, 受 動 喫 煙 であり, 同 様 に 身 近 なリスク と 命 名 した. 本 人 にとってのリスクの 生 起 確 率 ₁₀ 項 目 の 結 果 を 表 ₅ に 示 す. 喫 煙 者 では, 起 こりそうだ ど ちらかというと 起 こりそうだ と 回 答 した 者 が 多 い 方 から, 癌 で 死 に 至 る(₈₂.₉%),タバコの 煙 で 健 康 を 害 する(₈₂.₅%), 生 活 習 慣 病 で 健 康 を 害 す る(₇₉.₅%)であった. 男 女 別 では, 男 性 喫 煙 者 は 多 い 方 か ら, 生 活 習 慣 病 で 健 康 を 害 す る (₈₂.₆%), 癌 で 死 に 至 る(₈₂.₀%), 交 通 事 故 で 怪 我 をする(₈₁.₄%)であった. 女 性 喫 煙 者 は, タバコの 煙 で 健 康 を 害 する(₉₅.₅%), 癌 で 死 に 至 る(₈₅.₁%), 生 活 習 慣 病 で 健 康 を 害 す る (₇₁.₆%)であった.タバコの 煙 で 健 康 を 害 する, 癌 で 死 に 至 る, 食 品 で 健 康 を 害 する, 電 磁 波 の 影 響 で 健 康 を 害 するの ₄ 項 目 は, 女 性 喫 煙 者 が 男 性 喫 煙 者 よりも 割 合 が 高 く,タバコの 煙 で 健 康 を 害 するの ₁ 項 目 のみ 有 意 差 が 認 められた. 4. 非 喫 煙 者 について 非 喫 煙 者 のリスク 認 知 構 造 について, 喫 煙 者 と 同 様 に 因 子 分 析 を 行 ったところ, ₂ つの 因 子 が 抽 出 された( 表 ₂ ). 第 ₁ 因 子 として 因 子 負 荷 量 の 高 287

石 橋 堀 口 丸 井 稲 田 表 5 喫 煙 者 においてリスクの 生 起 確 率 を 認 知 している 者 の 割 合 (%)と 人 数 ( 人 ) 喫 煙 者 男 性 喫 煙 者 女 性 喫 煙 者 (n=₂₃₄) (n=₁₆₇) (n=₆₇) % ++ + % ++ + % ++ + n n n n n n 犯 罪 の 被 害 者 になる ₄₉.₁ ₃₄ ₈₁ ₅₂.₁ ₂₅ ₆₂ ₄₁.₈ ₉ ₁₉ 食 品 で 健 康 を 害 する ₅₉.₀ ₄₅ ₉₃ ₅₅.₇ ₃₂ ₆₁ ₆₇.₂ ₁₃ ₃₂ 交 通 事 故 で 怪 我 をする ₇₈.₆ ₉₀ ₉₄ ₈₁.₄ ₇₁ ₆₅ ₇₁.₆ ₁₉ ₂₉ 感 染 症 で 死 に 至 る ₄₀.₆ ₂₅ ₇₀ ₄₂.₅ ₂₂ ₄₉ ₃₅.₈ ₃ ₂₁ 癌 で 死 に 至 る ₈₂.₉ ₁₁₄ ₈₀ ₈₂.₀ ₈₃ ₅₄ ₈₅.₁ ₃₁ ₂₆ 環 境 汚 染 で 健 康 を 害 する ₅₀.₉ ₃₈ ₈₁ ₅₀.₉ ₂₆ ₅₉ ₅₀.₇ ₁₂ ₂₂ 生 活 習 慣 病 で 健 康 を 害 する ₇₉.₅ ₉₃ ₉₃ ₈₂.₆ ₇₁ ₆₇ ₇₁.₆ ₂₂ ₂₆ 電 磁 波 の 影 響 で 健 康 を 害 する ₃₅.₅ ₂₇ ₅₆ ₃₂.₉ ₂₀ ₃₅ ₄₁.₈ ₇ ₂₁ タバコの 煙 で 健 康 を 害 する ₈₂.₅ ₁₂₆ ₆₇ * ₇₇.₂ ₈₅ ₄₄ ₉₅.₅ ₄₁ ₂₃ バイオテロの 被 害 者 になる ₂₈.₂ ₁₃ ₅₃ ₂₈.₇ ₉ ₃₉ ₂₆.₉ ₄ ₁₄ * p<₀.₀₅ ++: 起 こりそうだ +:どちらかというと 起 こりそうだ 表 6 喫 煙 者 と 非 喫 煙 者 のリスクの 重 大 性 に 関 する 因 子 得 点 (n=1,308) 因 子 喫 煙 状 況 人 数 平 均 値 標 準 偏 差 p 値 第 ₁ 因 子 喫 煙 ₃₃₄ -₀.₁₃ ₀.₉₀ <₀.₀₁ ( 身 近 ではないリスク) 非 喫 煙 ₉₇₄ ₀.₀₅ ₀.₉₈ 第 ₂ 因 子 喫 煙 ₃₃₄ -₀.₁₆ ₀.₉₄ <₀.₀₁ ( 身 近 なリスク) 非 喫 煙 ₉₇₄ ₀.₀₅ ₀.₉₆ 因 子 得 点 : 因 子 得 点 係 数 標 準 化 された 回 答 値 で 算 出 され, 各 因 子 との 相 関 の 程 度 を 表 しており, 高 い 方 がその 因 子 に 影 響 を 受 けている い 項 目 は 順 に SARS,BSE,HIV/AIDS, 結 核, 肝 炎, 鳥 インフルエンザで, 全 体 と 喫 煙 者 の 結 果 と 同 様 に 身 近 ではないリスク と 命 名 した. 第 ₂ 因 子 は, 食 品 添 加 物, 遺 伝 子 組 換 え 食 品, 残 留 農 薬, 電 磁 波, 魚 介 類 に 含 まれる 水 銀, 大 気 中 の 発 がん 性 物 質, 受 動 喫 煙 で, 同 様 に 身 近 なリスク と 命 名 した. 放 射 能 の 項 目 は, 喫 煙 者 では 第 ₁ 因 子 に, 非 喫 煙 者 では 第 ₂ 因 子 と 第 ₁ 因 子 において 因 子 負 荷 量 が 高 かった. 喫 煙 者 と 非 喫 煙 者 について, 全 体 の 因 子 分 析 の 結 果 から, 各 因 子 の 因 子 得 点 を 算 出 し 平 均 値 の 差 を Mann-Whitney 検 定 したところ, 第 ₁ 因 子 と 第 ₂ 因 子 の 因 子 得 点 で 非 喫 煙 者 の 方 が 高 く 有 意 差 が みられた(p<₀.₀₁)( 表 ₆ ). Ⅳ 考 察 1.リスク 認 知 とその 構 造 について 本 研 究 では, 禁 煙 教 育 におけるリスクコミュニ ケーションを 用 いた 効 果 的 介 入 のために, 対 象 者 となる 喫 煙 者 の, 特 に 性 差 に 焦 点 をあてたリスク 認 知 やリスク 認 知 構 造 を 明 らかにした.その 結 果, 今 回 取 り 上 げた 健 康 や 環 境 のリスクの 項 目 につい て, 喫 煙 者 の 男 女 間 でリスク 認 知 に 差 があり,リ スク 認 知 構 造 は 異 なっていることが 示 された. 男 性 喫 煙 者 と 女 性 喫 煙 者 において, 各 因 子 との 相 関 の 程 度 を 示 す 因 子 得 点 の 平 均 値 で 第 ₂ 因 子 身 近 なリスク に 有 意 差 がみられた.これは 身 近 なリスク について, 女 性 喫 煙 者 が 男 性 喫 煙 者 よりリスクの 重 大 性 の 認 知 が 高 いことを 示 してい 288 21 4 2013

る. 広 瀬 ら ₁₁) は,リスク 認 知 において, 女 性 は 男 性 よりもリスクがもたらす 影 響 力 を 高 く 評 価 する 傾 向 があると 指 摘 している.リスク 別 にみると, 原 子 力,レントゲン,タバコ, 麻 薬 ₂₅) や 食 品 ₁₈) で は, 女 性 が 男 性 よりリスク 認 知 が 高 く,リスクを 回 避 する 傾 向 が 高 いとされている.また, 海 外 の 喫 煙 者 を 対 象 とした 研 究 ₂₃,₂₄) でも, 女 性 は 男 性 よ りも 喫 煙 に 関 連 したリスク 認 知 が 高 いとされてい る. 本 研 究 でも 先 行 研 究 と 同 様 の 結 果 が 示 された のは, 受 動 喫 煙 や 放 射 能 の 項 目,また 食 品 添 加 物, 遺 伝 子 組 換 え 食 品, 残 留 農 薬 など 食 品 に 関 連 した 項 目 が 含 まれているからといえる.これは 女 性 喫 煙 者 が,タバコの 煙 で 健 康 を 害 する, 食 品 で 健 康 を 害 することを 男 性 喫 煙 者 よりも 起 こりやすいと 回 答 していたこととも 関 連 している. リスク 認 知 に 影 響 を 与 える 要 因 について,Bennett は 人 々にリスクが 高 いと 思 われる 要 素 を₁₁ 項 目 挙 げている ₂₆).そのうち, 第 ₂ 因 子 に 分 類 されたリ スクは, 小 さな 子 供 や 妊 婦 に 影 響 を 与 える,ある いは 後 の 世 代 に 影 響 を 与 える 人 工 的 なもの で あり, 女 性 喫 煙 者 のリスク 認 知 に 影 響 を 与 えたと いえる. 男 性 喫 煙 者 では ₃ つの 因 子, 女 性 喫 煙 者 では ₂ つの 因 子 が 抽 出 された. 女 性 喫 煙 者 の 第 ₂ 因 子 身 近 なリスク ₇ 項 目 と 身 近 ではないリスク 放 射 能 の 計 ₈ 項 目 は, 男 性 喫 煙 者 では 遺 伝 子 組 換 え 食 品, 魚 介 類 に 含 まれる 水 銀, 放 射 能, 残 留 農 薬, 食 品 添 加 物 ₅ 項 目 と 受 動 喫 煙, 大 気 中 の 発 がん 性 物 質, 電 磁 波 ₃ 項 目 と 別 に 分 類 され た.これは 男 性 喫 煙 者 が 女 性 喫 煙 者 に 比 べて,リ スクを 細 分 化 してとらえていることを 示 している. また, 受 動 喫 煙 の 項 目 が, 男 性 喫 煙 者 では 環 境 リスク, 女 性 喫 煙 者 では 身 近 なリスク と 分 類 されていた.これは 男 性 喫 煙 者 において 受 動 喫 煙 が, 大 気 中 の 発 がん 性 物 質 や 電 磁 波 などのように 環 境 汚 染 として 曝 露 されるリスクのイメージを 持 ち, 一 方 で, 女 性 喫 煙 者 においては, 他 の 食 品 や 食 品 添 加 物 等, 口 から 体 内 に 取 り 込 むものと 同 じ 身 近 なリスクとしてとらえていることを 示 してい る.このように, 喫 煙 者 の 男 女 のリスク 認 知 構 造 が 明 らかに 異 なっており, 禁 煙 に 対 するリスクコ ミュニケーションを 用 いたアプローチでは, 性 差 に 配 慮 しなければならいことが 示 唆 される. また, 喫 煙 者 と 非 喫 煙 者 ともに ₂ つの 因 子 が 抽 出 され, 第 ₁ 因 子 と 第 ₂ 因 子 の 因 子 得 点 の 平 均 値 に 差 がみられた.これは, 今 回 のリスク 項 目 では, 喫 煙 者 のリスクの 重 大 性 の 認 知 が 非 喫 煙 者 に 比 べ て 低 いことを 示 している.これは, 海 外 のリスク 認 知 研 究 において, 喫 煙 者 が 自 分 の 健 康 リスクを 低 く 見 積 もっていること ₂₁) に 関 連 している.また, リスク 認 知 の 高 い 喫 煙 者 は, 禁 煙 を 試 みる 回 数 が 高 いと 言 われており ₂₇), 喫 煙 者 のリスク 認 知 を 上 げることが 禁 煙 に 繋 がる 可 能 性 を 示 している. リスク 項 目 については, 受 動 喫 煙 が, 喫 煙 者 が 非 喫 煙 者 に 比 べて 因 子 負 荷 量 が 高 かった.これは, 受 動 喫 煙 を 喫 煙 者 が 非 喫 煙 者 よりも 身 近 なリスク ととらえており, 喫 煙 者 の₈₂.₅%がタバコの 煙 で 健 康 を 害 することが 起 こりやすいと 回 答 している ことに 関 連 している.また 放 射 能 は, 喫 煙 者 で 身 近 ではないリスク であったが, 非 喫 煙 者 では 第 ₁ 因 子 と 第 ₂ 因 子 の 双 方 で 因 子 負 荷 量 が 高 かっ た. 原 子 力 文 化 振 興 財 団 の 調 査 ₂₈) によると, 市 民 は 放 射 線 に 対 して 医 療 分 野 での 利 用 に 関 心 が 高 く, 身 近 なイメージである 一 方, 原 子 力 発 電 所 周 辺 の 放 射 線 は 被 害 が 限 定 的 と 捉 え ₂₉), 身 近 ではな いイメージともされている. 今 回 の 研 究 における 調 査 時 期 は,₂₀₁₁ 年 ₃ 月 の 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 以 前 であった.そのため 原 子 力 発 電 所 に 関 す る 報 道 が 日 常 的 ではなかったことからこのような 結 果 になったと 考 えられる. 本 研 究 の 結 果 において, 健 康 や 環 境 に 関 するリ スク 項 目 について, 喫 煙 者 のリスクの 重 大 性 の 認 知 が 非 喫 煙 者 に 対 して 低 かったことは, 禁 煙 教 育 におけるリスクコミュニケーションを 用 いた 介 入 の 際 には, 対 象 者 となる 喫 煙 者 のリスク 認 知 を 高 める 必 要 があることを 示 唆 している. 2. 対 象 者 の 喫 煙 率 について 平 成 ₂₁ 年 の 国 民 健 康 栄 養 調 査 ₃₀) の₂₀ 歳 代 から 289

石 橋 堀 口 丸 井 稲 田 ₅₀ 歳 代 までの 喫 煙 率 は₂₉.₉%で, 本 研 究 対 象 者 の 喫 煙 率 は₂₅.₅%と 低 かった. 性 別 にみると, 男 性 は₄₆.₇%で, 本 研 究 は₃₅.₀%と 約 ₁₀ポイント 低 かった. 特 に₂₀ 歳 代,₃₀ 歳 代 は, 国 民 健 康 栄 養 調 査 ₄₀.₁%,₅₁.₂%に 対 し, 本 研 究 は₁₉.₄%, ₃₅.₁%と 約 ₂₀ポイントの 差 がみられた. 女 性 は, 国 民 健 康 栄 養 調 査 ₁₄.₉%で, 本 研 究 は₁₆.₂%と ほとんど 差 異 がなかった. 喫 煙 率 については, 低 所 得 者 で 高 いとされている ₃₁).しかし,Web 調 査 の 回 答 者 の 特 徴 として, 高 学 歴 者 や 高 所 得 者 の 傾 向 があり ₃₂),このことが, 本 研 究 において 男 性 の 喫 煙 率 が 低 かったことと 関 連 している. 3. 調 査 法 について また 今 回, 社 会 調 査 法 の 一 つとして Web 調 査 を 利 用 した ₁₇,₃₃).Web 調 査 の 短 所 として, 利 用 者 が 若 年 層 に 偏 っていること,モニター 登 録 という 有 意 抽 出 法 であるため 無 作 為 抽 出 法 と 比 較 して 標 本 誤 差 が 発 生 しうるなどのバイアスや, 学 歴 職 業 など 属 性 の 偏 りや 心 理 的 特 性 の 誤 差 が 指 摘 されて いる ₃₄). 今 回 の 研 究 においても₃₀ 歳 代 及 び₄₀ 歳 代 が 多 い 結 果 であった.しかし, 郵 送 調 査 は, 回 収 率 が 低 く ₃₅), 抽 出 に 用 いられる 住 民 基 本 台 帳 の 閲 覧 を 制 限 する 市 町 村 が 増 えていることから,モニ ターだけが 大 きく 偏 っているとは 断 言 できない ₃₆). 今 回 の 研 究 の 対 象 者 となる₂₀ 歳 代 から₅₀ 歳 代 の 喫 煙 率 ₂₉.₉% ₂₈) を 考 慮 すると, 回 収 率 が 低 い 郵 送 調 査 法 を 利 用 するのは 難 しいと 考 え 採 用 した.しか し, 本 研 究 において 回 収 率 を 求 めることができな かったが, 康 永 ら ₃₄) は,Web 調 査 について, 一 定 の 期 間 または 一 定 の 目 標 サンプル 数 を 定 めて,そ れらを 過 ぎた 場 合 にアンケートを 打 ち 切 るという 方 法 とっているため, 回 収 率 を 計 算 すること 自 体 の 意 義 が 希 薄 化 しているという. 本 邦 において, これまで 喫 煙 者 のリスク 認 知 構 造 の 特 徴 を 明 らか にされていないことから, 本 研 究 の 意 義 はある. 4. 本 研 究 の 限 界 リスク 認 知 は 年 齢 に 違 いがあること ₁₈,₂₅) から, 年 齢 別 の 特 徴 を 明 らかにしていく 必 要 がある.そ のためには, 女 性 喫 煙 者 や 若 年 層 のデータをより 多 く 収 集 しなければならなかった.また, 喫 煙, 禁 煙 は 同 居 者 の 喫 煙 状 況 に 影 響 されることが 報 告 されている ₃₇) が, 質 問 項 目 として 設 定 していな かったため, 今 回, 分 析 することができなかった. これは,リスク 認 知 やリスク 認 知 構 造 に 影 響 を 与 えることも 予 測 されるため, 今 後, 研 究 を 発 展 さ せていく 必 要 がある. 本 研 究 に 用 いたデータの 採 取 は₂₀₀₉ 年 である.リスク 認 知 は, 最 近 起 こった 災 害 や 大 量 な 報 道, 出 来 事 の 記 憶 しやすさ 想 像 し やすさによって 影 響 を 受 けやすい ₃₈,₃₉).₂₀₁₁ 年 の 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 事 故 の 報 道 は, 今 回 の 調 査 項 目 の 放 射 能 などのリスク 認 知 に 影 響 を 与 える 可 能 性 がある. 今 後, 適 切 なリスクコミュニケー ションからのアプローチを 行 っていくためには, 喫 煙 者 のリスク 認 知 やリスク 認 知 構 造 を 継 時 的 に 把 握 する 必 要 がある. Ⅴ 結 語 禁 煙 教 育 の 対 象 者 となる 喫 煙 者 において, 男 女 間 でリスク 認 知 に 差 異 が 認 められ,かつリスク 認 知 構 造 が 明 らかに 異 なっていた. 禁 煙 教 育 におけ るリスクコミュニケーションを 用 いた 効 果 的 介 入 において, 性 別 による 配 慮 が 必 要 である. 謝 辞 本 研 究 は, 平 成 ₂₀ 年 度 厚 生 労 働 省 科 学 研 究 費 補 助 金 (がん 臨 床 研 究 事 業 ) たばこ 対 策 による 健 康 増 進 策 の 総 合 的 な 支 援 かつ 推 進 に 関 する 研 究 ( 研 究 代 表 : 林 謙 治 )の 助 成 を 受 け, 当 該 研 究 の 一 環 として 実 施 された. 利 益 相 反 利 益 相 反 に 相 当 する 事 項 はありません. 文 献 ₁) 中 村 正 和. 行 動 科 学 に 基 づいた 健 康 支 援. 栄 養 学 雑 誌.₂₀₀₂;₆₀:₂₁₂ ₂₂₂. ₂) Lave LB. Health and safety risk analyses: information for better decisions. Science. ₁₉₈₇; ₂₃₆: ₂₉₁ ₂₉₅. ₃) Rothman AJ, Kiviniemi MT. Treating people with information: an analysis and review of approaches to 290 21 4 2013

communicating health risk information. J Natl Cancer Inst Monogr. ₁₉₉₉; ₂₅: ₄₄ ₅₁. ₄) Council National Research. Improving Risk Communication. Washington: National Academy Press, ₁₉₈₉. ₅) Edwards A, Gray J, Clarke A, et al. Interventions to improve risk communication in clinical genetics: systematic review. Patient Educ Couns. ₂₀₀₈; ₇₁: ₄ ₂₅. ₆) Prochaska JO, DiClemente CC. Stages and processes of self-change of smoking: toward an integrative model of change. J Consult Clin Psychol. ₁₉₈₃; ₅₁: ₃₉₀ ₃₉₅. ₇) 禁 煙 ガイドライン. 循 環 器 病 の 診 断 と 治 療 に 関 す るガイドライン ₂₀₀₃-₂₀₀₄ 年 度 合 同 研 究 班.Circ J. ₂₀₀₅;₆₉:₁₀₀₅ ₁₁₀₃. ₈) 高 橋 英 孝, 山 門 實, 中 舘 俊 夫. 喫 煙 ステージ 別 の 禁 煙 率. 人 間 ドック.₂₀₀₅;₂₀:₄₃ ₄₆. ₉) Van AT, Huisman-de Waal GG, Ketelaar NA, et al. How to promote healthy behariours in patients? An over view of evidence for behaviours change techniques. Health Promot Int. ₂₀₁₁; ₂₆: ₁₄₈ ₁₆₂. ₁₀) 吉 川 肇 子.リスクとつきあう: 危 険 な 時 代 のコ ミュニケーション. 東 京 : 有 斐 閣 ;₂₀₀₀:₆₉ ₇₄. ₁₁) 広 瀬 弘 忠,Slovic P, 石 塚 智 一. 大 学 生 のリスク 認 知 に 関 する 日 米 比 較 研 究. 社 会 心 理 学 研 究.₁₉₉₃; ₉:₁₁₄ ₁₂₂. ₁₂) 岡 本 浩 一.リスク 心 理 学 入 門 :ヒューマン エ ラーとリスク イメージ. 東 京 :サイエンス 社 ; ₁₉₉₂. ₁₃) Slovic P. Perception of risk. Science. ₁₉₈₇; ₂₃₆: ₂₈₀ ₂₈₅. ₁₄) Kleinhesselink RR, Eugene AR. Cognitive representation of risk perceptions: a comparison of Japan and the United States. J Cross Cult Psychol. ₁₉₉₁; ₂₂: ₁₁ ₂₈. ₁₅) Englander T, Farago K, Slovic P, et al. A comparative analysis of risk perception in Hungary and the United States. Soc Behav. ₁₉₈₆; ₁: ₅₅ ₅₆. ₁₆) 三 島 和 子. 新 型 インフルエンザのリスク 認 知 とリ スクコミュニケーションのあり 方 に 関 する 調 査 研 究. 日 本 リスク 研 究 学 会 誌.₂₀₁₀;₂₀:₅₉ ₆₈. ₁₇) 筒 井 昭 仁, 安 藤 雄 一.ウェブ 調 査 によるフッ 化 物 応 用 に 関 す る リ ス ク 認 知. 口 腔 衛 生 学 会 雑 誌 ₂₀₁₀;₆₀:₁₁₉ ₁₂₆. ₁₈) 吉 川 肇 子. 健 康 リスクコミュニケーションの 手 引 き. 京 都 :ナカニシヤ 出 版 ;₂₀₀₉.₉₆ ₁₁₅. ₁₉) 馮 巧 蓮, 堀 口 逸 子, 丸 井 英 二. 乳 幼 児 を 持 つ 母 親 の 食 と 健 康 に 関 するリスク 認 知 : 食 物 アレルギーに 視 点 をあてて. 民 族 衛 生.₂₀₁₁;₇₇:₅₆ ₆₂. ₂₀) Codern N, Pla M, de Ormijama AS, et al. Risk perception among smokers: A qualitative Study. Risk Anal. ₂₀₁₀; ₃₀: ₁₅₆₃ ₁₅₇₁. ₂₁) Weinstein ND. Accuracy of smokers risk perception. Nicotine Tob Res. ₁₉₉₉; ₁ Suppl ₁: S₁₂₃ ₁₃₀. ₂₂) Helweg-Larsen M, Nielsen GA. Smoking crossculturally: risk perceptions among young adults in Denmark and the United States. Psychol Health. ₂₀₀₉; ₂₄: ₈₁ ₉₃. ₂₃) Benjamin AT, Stephanie SO, Carolyn MM, et al. Message framing for smoking cessation: The interaction of risk perceptions and gender. Nicotine Tob Res. ₂₀₀₈; ₁₀: ₁₉₅ ₂₀₀. ₂₄) McKee SA, O'Malley SS, Salovey P, et al. Perceived risks and benefits of smoking cessation: gender-specific predictors of motivation and treatment outcome. Addict Behav. ₂₀₀₅; ₃₀: ₄₂₃ ₄₃₅. ₂₅) 木 下 富 雄.リスクコミュニケーションにおける 分 かりやすいコンテンツとは. 柴 田 義 貞 編.リスクコ ミュニケーションの 思 想 と 技 術. 放 射 線 リスクの 正 しい 理 解 を 目 指 して. 長 崎 : 長 崎 大 学 グローバル COE プログラム 放 射 線 健 康 リスク 制 御 国 際 戦 略 拠 点 ;₂₀₁₀.₆₄-₆₉. ₂₆) Bennett P. Understanding responses to risk: some basic findings In: Bennett P and Calman K (eds.), Risk Communication and Public Health. Oxford: Oxford University Press; ₁₉₉₉. ₃ ₃₂. ₂₇) Romer D, Jamieson P. Smoking risk, perception, & policy. Slovic P. The role of perceived risk in starting and stopping smoking. Thousand OAKS, CA: Sage, ₂₀₀₁. ₆₄ ₈₀. ₂₈) 原 子 力 文 化 振 興 財 団. 平 成 ₂₂ 年 度 原 子 力 利 用 の 知 識 普 及 啓 発 に 関 する 世 論 調 査 報 告 書. 東 京 : 財 団 法 人 日 本 原 子 力 文 化 振 興 財 団 ;₂₀₁₀.₂₃ ₁₃₂. ₂₉) 土 屋 智 子, 小 杉 素 子. 市 民 と 専 門 家 のリスク 認 知 の 違 い:₂₀₀₉ 年 度 調 査 結 果 報 告. 東 京 : 財 団 法 人 電 力 中 央 研 究 所 ;₂₀₁₁.Y₁₁₀₀₃. ₃₀) 厚 生 労 働 省. 平 成 ₂₁ 年 国 民 健 康 栄 養 調 査 報 告. http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_ eiyou_chousa.html(₂₀₁₂ 年 ₁₂ 月 ₁ 日 にアクセス). ₃₁) 厚 生 労 働 省. 平 成 ₂₂ 年 国 民 健 康 栄 養 調 査 報 告. http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/₂r₉₈₅₂₀₀₀₀₀₂₀qbbatt/₂r₉₈₅₂₀₀₀₀₀₂₁c₃₀.pdf(₂₀₁₃ 年 ₅ 月 ₁₀ 日 にアクセ ス). ₃₂) 佐 藤 博 樹, 石 田 浩, 佐 藤 香, 他. 信 頼 できるイン 291

石 橋 堀 口 丸 井 稲 田 ターネット 調 査 法 の 確 立 に 向 けて.インターネット 調 査 の 有 効 に 関 する 調 査 研 究.₂₀₀₉;₄₂:₃₆ ₃₈. ₃₃) 三 宅 寿 美, 脇 本 寛 子.インターネット 調 査 による 我 が 国 の 一 般 市 民 における 咳 エチケット の 認 識 度. 日 本 環 境 感 染 学 会 誌.₂₀₁₁;₂₆:₈₇ ₉₃. ₃₄) 康 永 秀 生, 井 出 博 生, 今 村 知 明, 他.インター ネット アンケートを 利 用 した 医 学 研 究 ; 本 邦 にお ける 現 状. 日 本 公 衆 衛 生 雑 誌.₂₀₀₆;₅₃:₄₀ ₄₉. ₃₅) 辻 新 六, 有 馬 昌 宏.アンケート 調 査 の 方 法. 東 京 : 朝 倉 書 店 ;₁₉₈₇.₅₅ ₅₇. ₃₆) 本 多 則 惠.インターネット 調 査 モニター 調 査 の 特 質 -モニター 型 インターネット 調 査 を 活 用 するた めの 課 題. 日 本 労 働 研 究 雑 誌.₂₀₀₆;₄₈:₃₂ ₄₁. ₃₇) 内 田 和 宏. 内 田 クリニックの 禁 煙 外 来 の 状 況 と 禁 煙 成 功 率 の 検 討 ; 女 性 の 禁 煙 成 功 率 が 低 い 理 由. 日 本 呼 吸 器 学 会 雑 誌.₂₀₀₇;₄₅:₆₇₃ ₆₇₈. ₃₈) 吉 川 肇 子. 前 掲 載 ₁₀):₈₆ ₉₃. ₃₉) 岡 本 浩 一. 前 掲 載 ₁₂):₅₉ ₈₄. ( 受 付 ₂₀₁₂.₁₂.₁₉.; 受 理 ₂₀₁₃.₉.₁₈.) 292 21 4 2013

Exploratory factor analysis of sex differences in relation to the structure of risk perception among Japanese smokers: a web-based survey Chika ISHIBASHI* ₁, Itsuko HORIGUCHI* ₂, Eiji MARUI* ₂, Eiichi INADA* ₁ Abstract Objective: The objective of this study was to examine the relationship between sex and the structure of risk perception among Japanese smokers. Methods: In this cross-sectional study, a web-based survey was randomly conducted on ₂,₀₀₀ adults (age range, ₂₀ ₅₀ years) for ₅ days in March ₂₀₀₉. The survey was composed of ₅ primary questions; age, sex, smoker or non-smoker, ₁₄ items related to risk perception for seriousness and ₁₀ items related to risk perception for possibility. Based on methods used in previous studies, factor analysis was conducted on the ₁₄ risk-related items and factor analysis of the item scores were compared between sexes using the Mann- Whitney test. Results: There were a total of ₁,₃₀₈ respondents (₃₃₄ smokers, ₉₇₄ non-smokers). Factor analysis was conducted for smokers, and the ₁₄ risk-related items on the questionnaire were divided as follows: the first set of factors (SARS, BSE, bird flu, HIV/AIDS, tuberculosis, hepatitis and exposure to radiation) and the second set of factors (electromagnetic waves, carcinogens in the atmosphere, genetically modified organisms, food additives, mercury in fish, second-hand smoke and residual pesticide). Factor analysis of the item scores in the second group was higher among women than among men. Factor analysis was also conducted separately for smokers of each sex, with items being divided into three sets for men and two sets for women. Conclusion: In regards to smokers, the structure of risk perception differed between the sexes and the risk perception was higher among female smokers than among their male counterparts. JJHEP, ₂₀₁₃;₂₁(₄):283-293 Key words: Structure of risk perception, smokers, gender differences, exploratory factor analysis, web-based survey * ₁ Department of Anesthesiology and Pain Medicine, Juntendo University School of Medicine * ₂ Department of Public Health, Juntendo University School of Medicine 293