三 岐 鉄 道 三 岐 鉄 道 は 三 重 県 北 部 の JR 関 西 本 線 の 富 田 - 西 藤 原 間 26.5km を 結 ぶ 三 岐 線 その 途 中 の 三 岐 朝 明 信 号 場 - 近 鉄 富 田 間 1.1km を 結 ぶ 近 鉄 連 絡 線 からなっています 軌 間 は 1067mm 全 線 単 線 の 電 化 路 線 また ほとんど の 駅 に 乗 客 専 用 の 無 料 駐 車 場 が 設 置 されているので 大 変 利 用 しやすくなっています 車 輌 の 特 色 1990 年 代 初 頭 まではさまざまな 鉄 道 からの 譲 渡 車 や 自 社 発 注 車 が 活 躍 しており まったくスタイルの 異 なる 車 輌 と 車 輌 とが 編 成 を 組 み 走 り 回 っていまし た それらはどれも 西 武 鉄 道 の 西 武 所 沢 工 場 を 経 由 して 譲 渡 されたもので どれも 共 通 のヘッドライト に 取 り 換 えられているなど 三 岐 スタイルになってい ました しかし それらはいずれも 非 冷 房 で 吊 り 掛 け 駆 動 の 旧 型 車 であり これらをまとめて 冷 房 付 き のカルダン 駆 動 車 で 置 換 えることとなり 1989 年 か ら 西 武 鉄 道 401 系 と 701 系 を 導 入 し 近 代 化 を 図 り ました そして 2009 年 に 最 後 まで 予 備 車 として 残 っていた 非 冷 房 車 の 601 系 が 引 退 すると 近 代 化 が 完 全 に 達 成 されました 路 線 の 概 要 三 岐 鉄 道 は 1931 年 に 開 業 営 業 を 開 始 しました こ 1970 年 には 三 岐 朝 明 駅 (1989 年 に 信 号 所 化 )から 近 鉄 富 田 駅 に 乗 り 入 れる 近 鉄 連 絡 線 を 建 設 旅 客 列 車 の ほとんどが 近 鉄 富 田 発 着 となりました 旅 客 列 車 の 国 鉄 富 田 乗 り 入 れは 1985 年 に 廃 止 されましたが 多 くの 車 両 の 行 先 表 示 には JR 富 田 幕 が 存 在 します 旅 客 列 車 は 近 鉄 富 田 - 西 藤 原 間 で 運 行 され 2 両 ま たは 3 両 編 成 で 運 行 されています 朝 は 1 時 間 あた り 3~4 本 それ 以 外 の 時 間 帯 は 2 本 ですが 前 述 の とおり 貨 物 輸 送 を 行 っているので ダイヤはパター ン 化 しておりません また 比 較 的 利 用 者 は 少 ない ですが 西 野 尻 駅 以 外 の 駅 は 有 人 駅 となっています また 三 岐 線 は 中 高 校 生 が 主 に 利 用 しているため 自 転 車 を 車 内 へ 持 ち 込 める サイクルパス 制 度 が 適 用 されています 大 矢 地 - 三 里 駅 間 は 休 日 と 学 校 長 期 休 暇 (9:00~16:00)のみ 三 里 - 西 藤 原 駅 間 は 通 年 利 用 できます の 鉄 道 は 三 重 県 の 富 田 から 岐 阜 県 関 ケ 原 を 経 由 最 終 的 には 福 井 県 の 敦 賀 を 目 標 に 建 設 が 開 始 されてお り 三 岐 という 社 名 もそれに 対 応 したものです しかしながら 翌 年 西 藤 原 まで 開 通 したところで 建 設 は 中 断 三 岐 鉄 道 は 当 初 から 藤 原 岳 から 産 出 される セメント 輸 送 を 目 的 の 1 つとしており 1933 年 には 貨 物 列 車 の 運 行 を 開 始 します 戦 時 中 は 三 重 県 内 の 他 の 中 小 私 鉄 が 全 て 三 重 交 通 に 一 本 化 される 中 独 立 を 保 ちつづけました 1952 年 には 国 鉄 関 西 本 線 に 乗 保 々 駅 に 隣 接 する 車 両 区 ( 許 可 を 得 て 撮 影 ) り 入 れ 四 日 市 に 直 通 する 列 車 を 運 転 1954 年 に 電 化 され 2 年 後 には 電 車 運 転 を 開 始 しました 旅 客 列 車 の 全 電 車 化 後 は 四 日 市 への 直 通 を 廃 止 する 一 方
751 系 ~1 編 成 のみの 最 新 車 輌 ~ 751 系 は 2009 年 に 601 系 を 置 換 えるた めに 西 武 鉄 道 の 101 系 を 譲 り 受 けた 車 輌 です 西 武 鉄 道 101 系 は 1969 年 に 西 武 秩 父 線 の 開 業 に 伴 い 登 場 した 車 輌 で 途 中 ブランクを 挟 んで 15 年 間 に 渡 って 製 造 された 車 輌 です そのうちの 1979 年 から 製 造 が 開 始 された 車 輌 はスタイルが それまでと 大 幅 に 変 更 され 新 101 系 と 呼 ばれています 西 武 で 一 大 勢 力 を 誇 っ た 101 系 グループですが 新 車 導 入 によ りほとんどが 廃 車 となり 現 在 は 支 線 区 にわずかに 残 るのみです 三 岐 鉄 道 では 2008 年 に 廃 車 となった 新 101 系 を 譲 り 受 け 塗 装 の 変 更 やワンマ ン 化 改 造 バリアフリー 化 改 造 などを 施 して 上 で 登 場 しました 全 長 :20,000 mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :HS-836-Nrb (150kw) 抵 抗 制 御 801 系 851 系 ~ 元 西 武 701 系 の 三 岐 鉄 道 の 主 役 ~ 三 岐 鉄 道 801 系 851 系 は 1989 年 から 西 武 鉄 道 701 系 を 譲 り 受 け 3 両 編 成 に 組 み 直 したもので 4 本 が 在 籍 します 西 武 鉄 道 701 系 は 1963 年 から 製 造 された 車 輌 です 三 岐 鉄 道 への 入 線 に 当 たって 制 御 付 随 車 の FS072 形 台 車 は 西 武 で 再 利 用 されたため 電 動 車 と 同 じ FS342 形 に 交 換 されています 1992 年 入 線 の 編 成 は 電 動 車 の 台 車 を FS372 形 に 交 換 したため 851 系 と 形 式 を 変 えました 1995 年 入 線 の 編 成 の 制 御 付 随 車 は 台 車 交 換 が 行 われ ていないため 851 系 の 続 番 を 名 乗 ってい ます 851 編 成 は 2012 年 秋 に 事 故 で 大 破 し クハ 1851 が 廃 車 代 わりに 751 系 の 部 品 確 保 車 がクハ 1881 として 編 成 を 組 むことになりました 全 長 :20,000 mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :HS-836-Frb (120kw) 抵 抗 制 御
101 系 ~ 昼 間 の 主 役 2 両 編 成 ~ 101 系 は 1990 年 から 1993 年 にかけて 西 武 鉄 道 の 401 系 を 譲 り 受 けた 車 輌 です 西 武 鉄 道 401 系 は 1964 年 から 1968 年 に 701 系 の 増 結 用 として 登 場 した 411 系 を 改 造 した 車 輌 で 製 造 費 削 減 のために 国 鉄 払 下 げの 旧 型 電 車 の 機 器 を 流 用 して 作 られた 車 輌 でした 1978 年 から 1981 年 にかけてカルダン 駆 動 化 と 冷 房 装 置 の 取 り 付 けを 行 い 401 系 に 改 番 三 岐 鉄 道 では 塗 装 の 変 更 とワンマン 化 改 造 台 車 変 更 などを 行 いましたが 比 較 的 原 型 を 留 めています 西 武 401 系 は 他 にも 群 馬 県 の 上 信 電 鉄 や 滋 賀 県 の 近 江 鉄 道 に 譲 渡 され 活 躍 してい ます 全 長 :20,000 mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :HS-836-Frb (150kw) 抵 抗 制 御 ED301 形 ~セメント 工 場 内 での 入 換 に 活 躍 ~ ED301 形 は 1984 年 に 南 海 電 気 鉄 道 から 譲 り 受 けた ED5202 で 東 芝 製 の 電 気 機 関 車 です 当 初 は 富 田 駅 構 内 での 入 換 用 として 使 用 されていたようですが 現 在 で は 東 藤 原 駅 から 伸 びる 太 平 洋 セメント 藤 原 工 場 内 の 構 内 入 換 用 として 使 用 されています ED45 形 などと 同 じ 塗 装 でしたが 現 在 は 灰 色 に 橙 色 の 帯 の 塗 装 となってい ます 三 岐 線 上 はめったに 走 行 せず たまに 検 査 のため 保 々 工 場 へ 入 場 する 際 に 回 送 運 転 がなされる 程 度 です 全 長 :11,000mm 主 電 動 機 :MT-40-B(142kW) ED45 形 ~セメント 輸 送 の 主 力 ~ ED45 形 は 貨 物 列 車 の 最 主 力 です ED45 形 は 大 きく 分 けて 5 つのグループが 存 在 しています 一 つ 目 は 1954 年 の 三 岐 鉄 道 全 線 電 化 時 に 製 造 された ED451~ED453 で この 3 両 は 車 体 が 非 常 に 丸 みを 帯 びて いることが 特 徴 的 です 車 体 は 東 洋 工 機 機 器 は 東 洋 電 機 で 製 作 されました 1988 年 には 東 武 鉄 道 より 譲 り 受 けた 台 車 に 履 き 替 えており また 様 々な 機 器 が 更 新 されていますが それでもなお 原 型 のスタイルを 大 きく 崩 してはいません 二 つ 目 のグループは 1960 年 に 富 山 地 方 鉄 道 からやって 来 た ED454 と ED455 です 有 峰 ダムの 建 設 用 として 小 野 田 セメント( 現 : 太 平 洋 セメント)が 1957 年 に 発 注 したもので 当 初 からダム 建 設 終 了 後 は 三 岐 鉄 道 に 来 ることになっていま した メーカーは 同 じく 東 洋 工 機 と 東 洋 電 機 ですが 車 体 の 丸 みは 控 えめとなっています
三 つ 目 のグループはセメント 輸 送 の 増 大 に 伴 って 1962 年 に 増 備 された ED456 と 1973 年 に 増 備 された ED457 です ED456 は 東 洋 工 機 と 東 洋 電 機 で 製 作 されましたが ED457 の 車 体 は 西 武 所 沢 工 場 製 となりました 四 つ 目 のグループは 1950 年 東 芝 製 の 東 武 鉄 道 ED5000 形 を 1978 年 に 譲 り 受 けて ED458 としたものです ED45 形 は 右 側 運 転 台 となっていることが 特 徴 で ED458 も 大 改 造 を 施 し 右 側 運 転 台 となっています 五 つ 目 のグループは 1963 年 東 芝 製 の 東 武 鉄 道 ED5060 形 を 1991 年 に 譲 り 受 けたものです 譲 り 受 けてしばらくは 放 置 されていましたが 2000 年 に 各 種 改 造 を 施 して ED459 となりました 全 長 :12.800mm(ED451~ED457) 12,650mm(ED458) 12,000mm(ED459) 主 電 動 機 :MT-40-B(142kW) ED5081 形 ~ 東 武 鉄 道 からやって 来 た 電 気 機 関 車 ~ ED5081 形 は 1970 年 に 製 造 さ れ た 東 武 鉄 道 ED5080 形 を 2003 年 の 東 武 鉄 道 貨 物 輸 送 廃 止 と 共 に 譲 り 受 けたもので ED5081 と ED5082 がいます し ばらく 保 々 駅 構 内 で 放 置 されていましたが 2011 年 に 改 造 され 現 在 では ED45 形 と 混 じって 運 用 に 入 って います 右 側 運 転 台 には 改 造 されておらず 塗 装 以 外 は 東 武 時 代 の 姿 をほぼ 留 めています 全 長 :12,000mm 主 電 動 機 :MT-40-B(142kW) なお 2000 年 から 2002 年 にかけて 行 われた 中 部 国 際 空 港 建 設 輸 送 では 秩 父 鉄 道 デキ 200 形 ( 左 )と 大 井 川 鐡 道 ED501 形 ( 右 )が 助 っ 人 として 三 岐 鉄 道 にやって 来 ました ( 西 藤 原 に 展 示 されていた ED501 形 は 2014 年 に 撤 去 )
モハ 120 形 ~ 虎 の 子 のカルダン 駆 動 車 ~ モハ 120 は 1954 年 の 電 化 以 後 も 併 用 していた 気 動 車 を 置 換 えるべく 登 場 した 車 輌 で 当 時 の 地 方 私 鉄 とし ては 珍 しくカルダン 駆 動 を 採 用 してい ました 1982 年 に 引 退 し 高 松 琴 平 電 鉄 に 譲 渡 され 吊 り 掛 け 駆 動 車 に 改 造 されて 1997 年 まで 活 躍 していました 全 長 :18,700mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :TDK-820-C(75kW) 抵 抗 制 御 モハ 125 形 ~ 元 小 田 急 の 試 作 電 車 ~ モハ 125 は 小 田 急 2100 形 の 車 体 に 西 武 311 系 の 電 装 品 を 組 み 合 わせ た 車 輌 で 1976 年 に 登 場 しました 小 田 急 2100 形 は 1954 年 製 で 軽 量 車 体 や 台 車 の 試 作 車 でした 制 御 付 随 車 は 他 車 と 併 結 されて 使 われることが 多 かったようです 1991 年 引 退 全 長 :17,700mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :MT-4(80kW) 抵 抗 制 御 モハ 130 形 ~モハ 120 の 発 展 形 ~ モハ 130 は 1966 年 に 登 場 した 車 輌 です モハ 120 の 発 展 形 として 一 段 上 昇 窓 に 両 開 き 扉 を 用 いるなど 好 ま しいスタイルに 仕 上 げています モハ 120 と 共 に 1982 年 に 引 退 し 高 松 琴 平 電 鉄 に 譲 渡 2 扉 化 など 改 造 がなされ 2005 年 まで 活 躍 しました 全 長 :18,700mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :TDK-820-C(75kW) 抵 抗 制 御 モハ 140 形 ~ 小 型 の 両 運 転 台 車 ~ モハ 140 は 小 田 急 1600 形 を 西 武 所 沢 工 場 で 両 運 転 台 に 改 造 した 車 輌 で 1970 年 にやって 来 ました 西 武 所 沢 工 場 は 他 社 から 車 輌 を 買 い 集 め 地 方 私 鉄 へ 仲 介 することをよくしており これもまたその 一 つです 1980 年 廃 車 となり 近 江 鉄 道 へ 譲 渡 全 長 :17,800mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :TDK-501-WB (94kW) 抵 抗 制 御 モハ 150 形 ~ 国 電 の 足 回 りに 近 代 的 な 車 体 を 組 み 合 わせた 車 輌 ~ 1972 年 と 1973 年 に 西 武 所 沢 工 場 で 西 武 311 系 の 電 装 品 を 流 用 して 製 作 した 車 輌 です 1992 年 までに 廃 車 さ れました 全 長 :18,700mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :MT-4(85kW) 抵 抗 制 御
モハ 155 形 ~ 相 模 鉄 道 からやって 来 た 省 電 ~ モハ 155 は 1975 年 に 相 模 鉄 道 で 廃 車 となったクハ 2500 を 西 武 所 沢 工 場 で 電 装 両 運 転 台 化 した 車 輌 です 元 は 1928 年 製 の 鉄 道 省 モハ 30 で 1959 年 に 相 模 鉄 道 に 払 い 下 げを 受 けて 車 体 を 更 新 したものです 1988 年 に 601 系 導 入 に 伴 い 引 退 しました 全 長 :16,900mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :MT-4(85kW) 抵 抗 制 御 501 系 ~ 三 岐 初 の 20m 級 車 輌 ~ 501 系 は 1978 年 から 1980 年 にかけ て 西 武 鉄 道 501 系 を 譲 り 受 けたもの です 西 武 501 系 は 1957 年 に 登 場 した 車 輌 で 電 装 品 は 戦 災 国 電 由 来 の 手 持 ち 品 を 使 用 しています なお 三 岐 鉄 道 の 現 塗 装 はこの 車 輌 から 始 まりました 1995 年 引 退 全 長 :20,000mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :MT-7 MT-15(100kW) 抵 抗 制 御 601 系 ~モハ 130 以 来 の 両 開 き 扉 ~ 601 系 は 1981 年 から 1988 年 にかけ て 西 武 鉄 道 451 系 と 571 系 を 譲 り 受 けたものです 西 武 鉄 道 451 系 は 1959 年 の 登 場 で 571 系 は 1961 年 に 登 場 しました 1992 年 に 1 本 が 1997 年 に 2 本 が そして 最 後 に 残 った 1 本 も 2009 年 に 引 退 しました 全 長 :20,000mm 最 高 速 度 :70km/h 主 電 動 機 :MT-15(100kW) 抵 抗 制 御 参 考 文 献 寺 田 裕 一 ローカル 私 鉄 車 輌 20 年 西 日 本 編 JTB(2002 年 ) 寺 田 裕 一 ローカル 私 鉄 列 車 ダイヤ 25 年 ( 西 日 本 編 ) JTB(2004 年 ) 鉄 道 ピクトリアル 1986 年 3 月 号 臨 時 増 刊 号 電 気 車 研 究 会 三 岐 鉄 道 株 式 会 社 公 式 サイト URL:http://www.sangirail.co.jp/ NANNO CRAFT 三 岐 鉄 道 車 輛 大 図 鑑 URL: http://www5c.biglobe.ne.jp/~n-craft/index/hobby/sangitop.htm