NHK 総 合 テレビ 毎 週 水 曜 日 午 後 8 時 から 放 送 中 http://www.nhk.or.jp/gatten/ 知 って 安 心! 子 宮 がん 徹 底 予 防 術 2007 年 4 月 11 日 放 送 今 回 の 番 組 について 早 期 発 見 できればほぼ 完 治 するとされる 子 宮 がんですが 年 間 5000 人 を 越 える 人 が 子 宮 がんで 亡 くなっ ています また 子 宮 がんは 高 齢 者 がかかるものと 思 われがちですが 実 は20~30 代 の 若 い 年 代 でもかか るなど 誤 解 がいっぱい しかも 自 治 体 が 行 っている 子 宮 がん 検 診 には 誰 もが 陥 りやすい 大 誤 解 がありました それを 知 らない と 早 期 発 見 の 大 事 なサインを 見 逃 してしまう 危 険 も! 大 切 な 命 を 子 宮 がんから 守 るための 方 法 をお 伝 えします オープニングクイズ 問 題 : 古 代 ギリシャの 医 学 者 ヒポクラテスが 子 宮 が 体 の 中 で 動 き 回 ることが 原 因 と 考 えた 症 状 とは 何? 答 え:ヒステリー 問 題 : 妊 娠 していない 成 人 女 性 の 子 宮 の 大 きさはどれくらい? 答 え:にわとりのたまご 成 人 女 性 の 通 常 の 大 きさは 長 さ7センチほどです ( 閉 経 後 にはもっと 小 さくなります) 問 題 :1 個 のがん 細 胞 が 細 胞 分 裂 を 繰 り 返 し 1センチ 角 ほどの 大 きさになるには 何 年 かかる? 答 え:およそ9 年 まさか 私 が! 検 診 を 受 けていたのに がん 早 期 発 見 の 鍵 となる 子 宮 がん 検 診 Oさん(61 歳 )は 定 期 的 に 自 治 体 の 住 民 検 診 をきちんと 受 けてき ました 昨 年 1 月 に 受 けた 子 宮 がん 検 診 の 結 果 は 異 常 なし ところが わずか 半 年 後 にほんの 一 筋 の 褐 色 のおりものが さらにその 後 に 大 量 の 出 血 が 起 こり 初 期 の 子 宮 がんが 見 つかりました
一 方 子 宮 がん 検 診 をたまたま 受 けたTさんは 自 覚 症 状 が 全 くなかったにも 関 わらず 初 期 の 子 宮 がん が 見 つかりました 当 時 の 年 齢 は 閉 経 前 の38 歳 子 宮 がん 検 診 をきちんと 受 けていたのにどうしてOさんのがんは 発 見 されなかったのでしょうか? 子 宮 がんには2 種 類 ある 子 宮 がんとひとくくりに 呼 ばれていますが 実 は 子 宮 がんには2 種 類 あります 子 宮 頸 (けい)がん: 子 宮 の 入 り 口 ( 子 宮 頸 部 )にできる 子 宮 体 がん: 子 宮 本 体 ( 子 宮 体 部 )の 内 膜 にできる Oさんは 子 宮 体 がん Tさんは 子 宮 頸 がんでした 通 常 自 治 体 の 住 民 検 診 で 受 診 者 全 員 に 対 して 行 われ ているのは 子 宮 頸 がんです Oさんが 受 けていたのは 子 宮 入 り 口 を 検 査 する 頸 がん 検 診 だけだったので 子 宮 の 奥 にできている 子 宮 体 がんは 発 見 されなかったのです がん 予 防!これが 子 宮 のメカニズム 子 宮 体 がんにかかった 人 を 年 代 別 に 見 てみると 閉 経 後 の50 代 ~60 代 の 女 性 に 多 いことがわかりまし た それは 女 性 の 月 経 システムと 関 係 があるからです 卵 巣 から 分 泌 される 女 性 ホルモンのエストロゲンは 内 膜 の 細 胞 分 裂 を 活 発 にし 厚 くします 内 膜 が 十 分 に 厚 くなると 卵 巣 は 卵 子 を 排 卵 し 今 度 はもうひとつの 女 性 ホルモン プロゲステロン( 黄 体 ホル モン)を 分 泌 し 受 精 卵 が 着 床 しやすいように 内 膜 を 維 持 します しかし 妊 娠 しない 場 合 は プロゲス テロンの 分 泌 が 止 まるため 子 宮 の 内 膜 ははがれ 落 ち 月 経 となります では 閉 経 後 はどうでしょうか? エストロゲンもプロゲステロンも 卵 巣 からは 分 泌 されません ところが エストロゲンが 働 き 続 けて 子 宮 内 膜 が 厚 くなっている 人 がいます しかしもうひとつのプ ロゲステロンは 分 泌 されないので 内 膜 がはがれることはありません そのため もし 子 宮 内 膜 にがん 細 胞 が 生 まれてしまうと 増 殖 を 続 けてしまうのです
つまり エストロゲンとプロゲステロン 2つの 女 性 ホルモンの 働 きと 月 経 が 子 宮 体 がん 予 防 の 大 切 な 役 目 を 果 たしていたのです 月 経 がきちんとあれば たとえ 内 膜 にがん 細 胞 ができたとしても 毎 月 の 月 経 ではがれ 落 ちるため 増 殖 を 続 けることができないからです 肥 満 と 子 宮 体 がんの 関 係 愛 知 県 で 行 われた 疫 学 調 査 で 子 宮 体 がんになった 人 とならなかった 人 を 比 較 したところ 閉 経 後 の 肥 満 の 人 (BMI25 以 上 )は 閉 経 後 の 普 通 の 人 (BMI22 以 下 )と 比 べて がんになる 危 険 度 が2.5 倍 高 いこ とがわかりました では 肥 満 の 人 がハイリスクなのはなぜでしょうか? それは 閉 経 後 は 卵 巣 からは 分 泌 されないはずのエ ストロゲンが 脂 肪 細 胞 から 作 られていたためと 考 えられます その 他 子 宮 体 がんのハイリスク 要 因 としては 次 のようなものが 挙 げられます 出 産 経 験 が 少 ない: エストロゲンが 常 に 優 位 に 働 いている 月 経 不 規 則 : プロゲステロンがきちんと 分 泌 されず 子 宮 内 膜 がきちんとはがれ 落 ちていない 可 能 性 がある すべての 子 宮 体 がんにエストロゲンが 関 係 しているわけではありません 全 体 の1~2 割 程 度 は エストロゲンに 関 係 なく 遺 伝 や 体 質 などが 原 因 で 子 宮 体 がんになる 人 もいます 子 宮 体 がんを 早 期 発 見 するためのサイン 子 宮 体 がんには がんになる 前 や 初 期 がんの 段 階 で 多 くの 人 にあらわれる 自 覚 症 状 があります それは 不 正 出 血 です 不 正 出 血 は 排 卵 時 やポリープ 子 宮 筋 腫 などが 原 因 で 起 こることもあり 必 ずしも 子 宮 体 がんである とはいえません しかし 出 血 の 量 や 色 などによって 子 宮 体 がんかどうかを 自 己 判 断 することはでき ません Oさんのように 褐 色 のおりものが 初 期 にあらわれることもあります
番 組 では 不 正 出 血 に 気 がついた 場 合 は 速 やかに 婦 人 科 を 受 診 することをおすすめします ここまでわかる! 子 宮 頸 がん 検 診 の 実 力 自 らの 体 験 から 子 宮 がん 検 診 の 重 要 性 を 若 い 人 々に 訴 えかける 活 動 をしているユーゴさん(33 歳 ) ユーゴさんは 妊 婦 検 診 でたまたま 受 けた 検 診 で 子 宮 頸 がんになる 前 の 状 態 高 度 異 形 成 が 見 つか りました 異 形 成 とは 細 胞 に 異 変 が 起 きた 状 態 ( 前 がん 病 変 )で 将 来 子 宮 頸 がんになる 可 能 性 があり ます 異 形 成 は 子 宮 頸 がん 検 診 で 発 見 できるにも 関 わらず 婦 人 科 の 検 診 をためらう 女 性 も 多 いことがわかり ました そこで 今 まで 子 宮 がん 検 診 を 受 けたことのない 女 性 たち8 人 (20 代 ~30 代 )に 検 診 に 挑 戦 しても らったところ 意 外 と 簡 単 だった 胃 カメラより 簡 単 などの 感 想 でした 子 宮 頸 がん 検 診 はどんな 検 査? 子 宮 頸 がん 検 診 で 行 われているのは 細 胞 診 と 呼 ばれる 検 査 です これは 子 宮 頸 部 の 細 胞 を 綿 棒 やブ ラシなどで 軽 くこすって 採 取 し 顕 微 鏡 で 細 胞 を 見 るもので 痛 みはほとんどないとされています(ま れに 短 時 間 の 出 血 がある 場 合 があります) 子 宮 頸 がんの 意 外 な 原 因 とは? 子 宮 頸 がんには ヒトパピローマウイルスというウイルスの 感 染 が 原 因 になっていることがわかってき ています 子 宮 頸 がんができる 子 宮 頸 部 では 活 発 に 細 胞 分 裂 が 行 われています まれに 細 胞 分 裂 の 途 中 で 異 常 な 細 胞 が 生 まれることもありますが 通 常 はがん 抑 制 遺 伝 子 の 働 きによって 異 常 細 胞 の 増 殖 が 抑 制 されて います しかし 悪 性 度 の 高 いヒトパピローマウイルスに 持 続 感 染 すると がん 抑 制 遺 伝 子 が 正 常 に 働 かなくなってしまうため 異 常 細 胞 が 増 殖 を 続 け がんへの 一 歩 を 踏 み 出 す 可 能 性 があるのです 子 宮 頸 がんの 原 因 とされるヒトパピローマウイルスは 女 性 の7~8 割 が 一 生 に 一 度 は 感 染 するといわれ るほど ごくありふれたウイルスです 感 染 しても9 割 近 くの 人 は1~2 年 のうちに 免 疫 などによって 自 然 消 滅 してしまうとされています 子 宮 頸 がんは 男 性 にも 関 係 がある? 子 宮 頸 がんの 原 因 とされるヒトパピローマウイルスは 主 に 性 交 渉 によって 感 染 するといわれており 男 性 も 感 染 している 可 能 性 があります 子 宮 頸 がんは 検 診 で 簡 単 に 確 実 に 見 つかる?
子 宮 頸 がん 検 診 で 行 われる 細 胞 診 は がんの 発 見 率 が 高 く 死 亡 率 を 確 実 に 減 らせるという 報 告 がされ ています しかし 100% 確 実 に 発 見 できるわけではありません そのためにも 検 診 を 定 期 的 に 受 け 見 落 としを 防 ぐことが 大 事 というのが 専 門 家 の 見 解 です 専 門 家 による 解 説 とQ&A 子 宮 頸 がんについて ヒトパピローマウイルスはおよそ100 種 類 ほどの 型 がありますが 子 宮 頸 がんの 原 因 となるのはそのうち のごく 一 部 の 悪 性 度 の 高 い 型 です 悪 性 度 の 高 い 種 類 のウイルスに 長 期 持 続 感 染 してしまうと 異 形 成 を 経 てがんへと 進 む 可 能 性 がありますが ウイルスに 感 染 したすべての 人 が 子 宮 頸 がんになるわけでは ありません 軽 度 異 形 成 ではウイルスの 感 染 がなくなれば ほとんどの 人 が 正 常 に 戻 るとされていますが 高 度 異 形 成 まで 進 むと およそ6 割 の 人 が 初 期 のがんに 進 むのではないか と 考 えられています 子 宮 頸 がんは 初 期 の 段 階 では 自 覚 症 状 がまったくあらわれないことが 多 いため 現 在 は 子 宮 頸 がん 検 診 を 受 ける 以 外 に 早 期 発 見 の 方 法 はありません Q ヒトパピローマウイルス(HPV)に 感 染 した 人 は みんな 子 宮 頸 がんになるの? いいえ 違 います 例 え 悪 性 度 の 高 いタイプに 感 染 しても 異 形 成 を 経 てがんにまで 進 行 する 人 はごく わずかです がんになるかどうかは ウイルスの 持 続 感 染 に 加 えて 他 の 要 因 も 考 えられるとされてい ます しかし ウイルスにまったく 感 染 していない 人 と 比 べると 子 宮 頸 がんになるリスクは 高 いとい えるので 定 期 的 にがん 検 診 を 受 けることをお 勧 めします Q 異 形 成 の 段 階 で 治 療 しなくてはいけないの? 高 度 異 形 成 になる 前 の 軽 度 異 形 成 や 中 等 度 異 形 成 では 正 常 に 戻 る 人 も 多 いため 定 期 的 に 経 過 観 察 し て 高 度 異 形 成 になった 時 点 で 治 療 が 行 われることが 多 いようです ユーゴさんのように 高 度 異 形 成 で も 徐 々に 正 常 に 戻 っていく 人 もいるので 治 療 するか 経 過 観 察 をして 様 子 をみるかは 主 治 医 と 相 談 さ れることをお 勧 めします 高 度 異 形 成 や 上 皮 内 がんと 呼 ばれる 初 期 がん(ステージ0)の 段 階 で 見 つけて 治 療 をすれば 子 宮 頸 がん はほぼ100% 完 治 し 子 宮 も 温 存 できるとされています Q 異 形 成 を 経 てがんになるまでにどのくらい 時 間 がかかるの? 一 般 的 にはウイルス 感 染 から 異 形 成 を 経 てがんになるまで 5 年 ~10 年 以 上 はかかるといわれています
(15 年 以 上 かかるという 研 究 者 もいます) ただし 若 い 世 代 ではがんになるまでの 期 間 がもっと 短 いというケースもあるようなので 性 交 渉 を 持 っ たら 子 宮 頸 がん 検 診 を 受 けることをお 勧 めします 厚 生 労 働 省 の 指 針 では 子 宮 頸 がん 検 診 は20 歳 以 上 の 人 の 場 合 隔 年 で 受 診 することが 理 想 とされています 子 宮 体 がんについて 一 方 子 宮 体 がんはがんになる 前 や 初 期 の 段 階 で9 割 の 人 に 不 正 出 血 が 起 こるとされています 不 正 出 血 を 見 過 ごさず すぐに 婦 人 科 を 受 診 することが 大 切 です Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許 可 なく 転 載 することを 禁 じます