原 油 等 高 騰 が 及 ぼした 企 及 び 家 計 へ 影 響 予 算 委 員 会 調 査 室 三 角 政 勝 1.はじめに 2. 原 油 価 格 状 況 1) 原 油 価 格 推 移 2) 原 油 価 格 変 動 要 因 3. 原 油 上 昇 と 企 へ 影 響 1) 産 連 関 表 における 原 油 等 需 給 構 造 2) 企 物 価 指 数 動 向 3) 企 収 益 へ 影 響 4. 一 般 物 価 へ 波 及 と 家 計 へ 影 響 1) 消 費 者 物 価 指 数 動 向 2) 都 市 規 模 別 にみたガソリン 高 騰 影 響 5.まとめ 1.はじめに 記 録 的 な 高 騰 を 続 けた 原 油 価 格 は 平 成 202008) 年 6 月 WTI 1 で 134 ドルまで 上 昇 した 後 11 月 現 在 50~60 ドル 台 程 度 まで 急 落 しているが 歴 史 的 には 依 然 として 高 い 水 準 にある 現 在 我 が 国 経 済 は 原 油 を 始 めとした 原 材 料 資 源 価 格 急 激 な 変 動 や 平 成 192007) 年 以 降 サブプライム 問 題 に 端 を 発 した 世 界 的 な 金 融 不 安 等 を 背 景 に 既 に 後 退 局 面 に っている こうした 中 原 油 等 価 格 高 騰 影 響 は 様 々な 物 価 上 昇 を 通 じて 国 民 実 生 活 にも 浸 透 しており 景 気 悪 化 と 物 価 上 昇 同 時 進 行 を 懸 念 する 声 も 少 な くない 以 下 では 原 油 等 価 格 が 変 動 してきた 状 況 を 踏 まえ 各 種 経 済 指 標 動 向 により 企 や 家 計 へ 影 響 について 考 えてみることとする 1 WTIWest Texas Intermediate)は 米 国 先 物 市 場 であるニューヨークマーカンタイ ル 取 引 所 NYMEX)で 売 買 される 米 国 テキサ 州 沿 岸 部 産 原 油 1 経 済 プリズム No61 2008.12
2. 原 油 価 格 状 況 1) 原 油 価 格 推 移 原 油 は 生 産 される 油 田 により 質 が 異 なり 一 般 にガソリンや 灯 油 が 多 く 生 産 できる 軽 質 原 油 あるいは 硫 黄 分 や 重 金 属 が 少 ない 油 種 ほど 高 価 格 となるが 各 種 原 油 価 格 多 くは 指 標 原 油 を 基 準 に 決 められている 現 在 北 米 市 場 におけるWTI 欧 州 市 場 でブレント アジア 市 場 でドバイ 及 びオマー ン)が 指 標 原 油 役 割 を 果 たしており これらは 相 互 に 影 響 を 及 ぼしている 我 が 国 が している 代 表 的 な 油 種 である アラビアンライト 長 期 的 な 価 格 推 移 を 振 り 返 ると 昭 和 351960) 年 OPEC 設 立 後 2 度 油 危 を 経 て 1 バレル 当 たり2ドル 以 下 水 準 から 昭 和 551980) 年 には 30 ドルを 超 える 水 準 にまで 高 騰 した 後 非 OPEC 産 油 国 生 産 増 加 や 油 代 替 エネルギー 開 発 が 進 む 中 昭 和 611986) 年 には サウジアラビアが 生 産 調 整 を 放 棄 し 原 油 価 格 は 市 場 取 引 価 格 に 連 動 する 形 へと 移 行 することと なった これにより 原 油 価 格 は 大 幅 に 下 落 し 湾 岸 危 時 を 除 き 1990 年 代 は おおむね 10 ドル 台 後 半 程 度 で 推 移 してきた ドル/バレル) 160.0 図 表 1 長 期 的 な 原 油 価 格 推 移 140.0 120.0 100.0 80.0 60.0 40.0 20.0 73.10 第 4 次 中 東 戦 争 勃 発 第 1 次 油 危 ) 79.2イラン 暫 定 革 命 政 府 樹 立 80.9イランイラク 戦 争 勃 発 第 2 次 油 危 ) 90.8イラククウェート 侵 攻 湾 岸 危 ) 07.8サブプライム 問 題 が 表 面 化 各 国 中 銀 が 大 量 資 金 供 給 01.9 米 国 同 時 多 発 テロ 0.0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 注 )アラビアンライト 価 格 出 所 ) 経 済 産 省 資 料 及 び 東 京 工 取 引 所 ウェブサイトより 作 成 年 ) 平 成 101998) 年 にはアジア 経 済 危 を 背 景 とした 下 落 局 面 もあったが 産 油 国 生 産 調 整 で 再 び 上 昇 傾 向 に った こ 間 平 成 132001) 年 米 国 同 時 テロ 事 件 を 受 けた 下 落 があったも 全 体 としては 欧 米 及 び 新 興 国 等 に よる 世 界 的 な 景 気 拡 大 を 背 景 として 歴 史 的 にも 極 めて 急 速 な 勢 いで 上 昇 が 続 いてきた 平 成 202008) 年 1 月 にはWTIで 初 めて 100 ドル 突 破 を 記 録 し アラビアンライトも4 月 には 100 ドルを 超 え さらに7 月 には 134 ドルとなっ 経 済 プリズム No61 2008.12 2
た しかし 後 世 界 的 な 景 気 減 速 懸 念 や 投 資 金 引 揚 げなどから8 月 からは 急 速 な 下 落 に 転 じ 9 月 に 100 ドルを 下 回 り 10 月 には 68 ドルとなっ た 図 表 1) 2) 原 油 価 格 変 動 要 因 これまで 趨 勢 的 な 原 油 高 騰 要 因 としては 1 中 国 など 新 興 国 油 需 要 増 加 2 油 所 における 余 剰 生 産 力 低 下 3 産 油 国 供 給 リク 顕 在 化 4 自 然 災 害 5 投 資 金 流 といったことが 複 合 的 に 影 響 しているとみら れている これに 関 し 経 済 産 省 平 成 19 年 度 エネルギーに 関 する 年 次 報 告 エ ネルギー 白 書 )は 原 油 価 格 に 影 響 を 及 ぼす 要 因 について ファンダメンタル ズ と プレミアム に 分 けて 分 析 している ファンダメンタルズとは 需 給 バランを 基 礎 とするもで こうち 需 要 要 因 としては アジア 需 要 急 増 等 中 長 期 的 要 因 ) 景 気 変 動 及 び 季 節 変 動 等 短 期 的 要 因 )が 挙 げられ また 供 給 要 因 としては OPEC 供 給 力 等 中 長 期 的 要 因 ) ハリケーンや 油 所 事 故 短 期 的 要 因 )が 挙 げられている 一 方 プレミアム 要 因 としては 地 政 学 的 要 因 による 先 行 き 不 安 や 原 油 先 物 市 場 等 へマネー 流 が 挙 げられている 図 表 2) エネルギー 白 書 においては これら 分 析 結 果 平 成 192007) 年 第 3 及 び 第 4 四 半 期 については ファンダメンタルズ 価 格 は 50~60 ドル 程 度 プレミアムは 30~40 ドル 程 度 と 推 計 している すなわち 近 年 高 騰 時 原 油 価 格 うち 約 6 割 が 実 需 約 4 割 が 政 情 不 安 や 投 資 金 動 向 による 不 確 実 性 高 い 要 因 による 影 響 ということになり 基 礎 的 な 需 要 から 大 きく 乖 離 して いた 状 況 が 示 されている 図 表 2 原 油 価 格 に 影 響 を 及 ぼす 要 因 原 油 価 格 ファンダメンタルズ 需 要 在 庫 ) 供 給 中 長 期 的 要 因 ) アジア 需 要 急 増 等 短 期 的 要 因 ) 景 気 変 動 季 節 変 動 に 伴 う 需 要 変 化 等 中 長 期 的 要 因 ) OPEC 投 資 / 供 給 余 力 等 短 期 的 要 因 ) ハリケーン 油 所 事 故 等 プレミアム 先 行 き 不 安 地 政 学 的 要 因 先 物 市 場 出 所 ) 経 済 産 省 平 成 19 年 度 エネルギーに 関 する 年 次 報 告 エネルギー 白 書 ) 3 経 済 プリズム No61 2008.12
れでは 今 後 実 需 動 向 については どように 考 えるべきか 例 えば 国 連 によれば 新 興 国 BRICsブラジル ロシア インド 中 国 ) 人 口 は 先 進 国 2 倍 以 上 約 28 億 人 に 上 り 当 面 毎 年 1 億 人 以 上 増 加 を 続 けていくと 見 込 まれている 2 これら 国 々が 人 口 増 加 とともに 一 定 経 済 成 長 を 続 けていくとするならば 油 代 替 エネルギー 開 発 が 進 むとしても 当 面 原 油 基 礎 的 な 需 要 は 高 い 水 準 で 推 移 していくと 考 えるが 自 然 であろう また 国 際 エネルギー 関 IEA) 見 通 しにおいても 世 界 エネルギ ー 需 要 は 2030 年 まで 油 換 算 で 年 平 均 1.6% 増 加 が 続 くとされ 図 表 3) 原 油 価 格 は 2015 年 には 120 ドル 2030 年 には 200 ドルを 超 えると 予 測 されて いる 図 表 3 世 界 エネルギー 需 要 見 通 し 油 換 算 百 万 トン 油 炭 ガ バイオマ 原 子 力 水 力 出 所 ) 国 際 エネルギー 関 IEA) World Energy Outlook 2008 先 述 とおり 平 成 202008) 年 夏 以 降 原 油 価 格 は 大 幅 な 下 落 に 転 じてい るが こうした 動 きは 投 資 金 というプレミアム 要 因 が 剥 落 することによ り ファンダメンタルズに 近 い 水 準 に 向 けた 調 整 が 行 われているもと 考 えら れる WTI 価 格 は 11 月 には 50~60 ドル 台 程 度 まで 下 落 しているが これは 経 済 産 省 エネルギー 白 書 におけるファンダメンタルズ 推 計 値 とされた 50 ~60 ドルと 同 じ 水 準 である 同 推 計 が 妥 当 なもであるとするならば 短 期 的 2 国 際 連 合 World Population Prospects The 2006 Revision 経 済 プリズム No61 2008.12 4
には 世 界 的 な 景 気 減 速 により 原 油 基 礎 的 な 需 要 がある 程 度 減 少 するとしても 中 長 期 的 な 原 油 価 格 は 底 値 水 準 に 近 づきつつあると 考 えることもできよう 3. 原 油 上 昇 と 企 へ 影 響 1) 産 連 関 表 における 原 油 等 需 給 構 造 原 油 上 昇 に 伴 う 企 へ 影 響 を 考 えるに 当 たり まず 産 連 関 表 により 我 が 国 産 における 原 油 等 基 本 的 な 需 給 構 造 等 を 確 認 することとする 供 給 部 門 炭 原 油 天 然 ガ 需 要 部 門 図 表 4 産 連 関 表 における 原 油 等 供 給 と 需 要 関 係 油 炭 力 熱 ガ 供 給 需 要 合 計 控 除 計 ) 国 内 生 産 額 生 産 額 55,230 15,880 6,569 78,552 77,305 1,247 割 合 70.3 20.2 8.4 100.0 - - 単 位 : 億 円 %) 供 給 部 門 油 炭 需 要 部 門 化 学 基 礎 油 炭 鉄 鋼 収 再 生 理 加 資 工 源 処 回 公 共 事 力 商 運 民 支 間 出 消 費 需 要 合 計 控 除 計 ) 生 産 額 10,509 5,863 3,318 4,696 5,118 4,507 8,654 15,154 36,873 134,960 16,737 118,223 割 合 7.8 4.3 2.5 3.5 3.8 3.3 6.4 11.2 27.3 100.0 - - 国 内 生 産 額 供 給 部 門 需 要 部 門 ば 食 こ 料 飲 料 た 鉄 鋼 力 熱 ガ 供 給 商 運 共 サー ビ 公 サー 対 個 ビ 人 民 支 間 出 消 費 需 要 合 計 控 除 計 ) 国 内 生 産 額 力 ガ 熱 供 給 生 産 額 374,953 870,564 516,429 47,847 749,867 625,881 1,516,731 957,318 5,642,531 17,582,538 471 17,582,067 割 合 2.1 5.0 2.9 0.3 4.3 3.6 8.6 5.4 32.1 100.0 - - 生 産 額 66,252 40,169 1,453 35,699 100,326 24,261 261,296 429,783 1,380,376 2,832,916 1,526 2,831,390 割 合 2.3 1.4 0.1 1.3 3.5 0.9 9.2 15.2 48.7 100.0 - - 注 1) 各 需 要 部 門 は 主 なも 抜 粋 であり これら 合 計 と 需 要 合 計 は 一 致 しない 注 2) 割 合 は 需 要 合 計 に 対 する 各 需 要 部 門 比 率 として 算 出 出 所 ) 経 済 産 省 平 成 17 年 延 長 産 連 関 表 より 作 成 図 表 4は 産 連 関 表 における 供 給 部 門 うち 炭 原 油 天 然 ガ 及 び 油 炭 等 について れらに 対 する 主 要 な 需 要 部 門 を 示 し たもである これによれば 炭 原 油 天 然 ガ 供 給 うち 70.3% が 油 炭 20.2%が 力 8.4%が ガ 熱 供 給 で 消 費 され これら3 部 門 でほぼ 100%を 占 める つまり 原 油 等 は された 後 大 宗 は 油 炭 部 門 においてガソリンやナフサ 灯 油 等 5 経 済 プリズム No61 2008.12
油 に 精 されるほか 力 及 び ガ 熱 供 給 部 門 において 発 燃 料 やガとして 消 費 されている 図 表 4 上 表 ) 一 方 供 給 サイドとして 油 炭 部 門 を 捉 えると 同 部 門 に 対 する 需 要 は 化 学 基 礎 原 材 料 や 運 における 燃 料 費 など 広 範 な 分 野 にわたるが 家 計 需 要 である 民 間 消 費 支 出 が 27.3%と 最 も 高 い 値 を 示 している 図 表 4 中 表 ) また 力 及 び ガ 熱 供 給 に 対 す る 需 要 についても 同 様 に 広 範 にわたるが いずれも 民 間 消 費 支 出 割 合 が 最 大 となっており 力 では 32.1% ガ 熱 供 給 で 48.7%を 占 める 図 表 4 下 表 ) こうしたことから 原 油 等 価 格 上 昇 は まず 中 間 需 要 産 部 門 )にお いて ガソリンなど 油 や 気 ガ 部 門 に 波 及 した 後 れぞれ 分 野 における 最 大 需 要 先 である 家 計 負 担 増 として 波 及 していくことが 確 認 できる すなわち 家 計 は 図 表 4における3 部 門 を 通 じて 炭 原 油 天 然 ガ 30%を 消 費 しており 3 これら 高 騰 影 響 を 最 も 強 く 受 ける 構 造 となっているといえよう さらに 上 記 3 部 門 から 部 門 を 通 じた 間 接 的 な 波 及 例 えば 油 炭 運 家 計 など)も 含 めれば 家 計 へ 影 響 は 更 に 大 きくなると 考 えられる 次 に 各 部 門 価 格 上 昇 により 全 産 生 産 者 価 格 に 及 ぼす 影 響 をみるこ ととする 経 済 産 省 平 成 17 年 度 延 長 産 連 関 表 からみた 我 が 国 経 済 構 造 概 要 においては 各 部 門 価 格 が 10% 上 昇 した 場 合 全 産 国 産 価 格 生 産 者 価 格 )に 及 ぼす 影 響 度 を 分 析 している 図 表 5) これによると 原 油 天 然 ガ ) が 0.425% 原 油 天 然 ガ 価 格 が 10% 上 昇 すれば 全 産 生 産 者 価 格 が 0.425% 上 昇 する)と なっている 次 いで 油 除 ナフサ) が 0.371% 熱 間 圧 延 鋼 材 が 0.181% 銑 鉄 が 0.114%などと 続 いている これら 原 油 や 油 鉄 鋼 関 連 財 は 部 門 原 材 料 や 燃 料 として 幅 広 く 用 いられていることから 我 が 国 生 産 者 価 格 へ 影 響 力 が 大 きいことを 示 している 特 に 原 油 につい ては 平 成 202008) 年 夏 ピーク 時 には 前 年 比 で 90% 近 い 高 騰 となったが これを 図 表 5に 単 純 に 当 てはめれば 生 産 者 価 格 全 体 を4% 近 く 押 し 上 げる 効 果 があったとみることもできる 同 時 期 に 企 物 価 指 数 が 全 体 で7% 近 い 上 昇 を 示 したことを 踏 まえれば 生 産 者 価 格 へ 転 嫁 は 相 当 進 んでいる 可 能 性 があ 3 図 表 4より 炭 原 油 天 然 ガ 1 単 位 供 給 に 対 する 家 計 需 要 は 油 炭 が 0.703 0.273=0.1919 力 が 0.202 0.321=0.0648 ガ 熱 供 給 が 0.084 0.487=0.0409 で 合 計 0.2976=30%)となる 経 済 プリズム No61 2008.12 6
ると 考 えることもできよう %) 0.450 0.400 0.350 0.300 0.250 0.200 0.150 0.100 0.050 0.000 0.425 0.371 原 油 天 然 ガ ) 0.181 0.114 0.104 0.084 0.067 0.047 0.072 0.054 0.027 0.024 0.039 0.024 0.016 0.026 0.016 0.024 0.010 0.009 0.021 0.016 0.007 0.015 0.006 0.003 0.010 0.008 0.006 0.004 油 除 ナ フ サ ) 熱 間 圧 延 鋼 材 銑 鉄 図 表 5 各 部 門 価 格 上 昇 による 全 産 へ 影 響 度 冷 間 仕 上 鋼 材 炭 ) 金 属 鉱 物 ) 油 化 学 基 礎 炭 脂 肪 族 中 間 物 ナ フ サ パ ル プ 油 化 学 系 芳 香 族 海 面 漁 線 ケ ー ブ ル 鋼 管 織 物 衣 服 非 鉄 金 属 地 金 合 成 ゴ ム 銅 粉 注 ) 本 表 は 各 部 門 価 格 が10% 上 昇 した 場 合 全 産 国 産 生 産 者 価 格 に 及 ぼす 影 響 度 を 示 す 出 所 ) 経 済 産 省 平 成 17 年 延 長 産 連 関 表 からみた 我 が 国 経 済 構 造 概 要 20.10.1) 麦 類 ) 合 成 繊 維 鉛 亜 鉛 含 再 生 ) 豆 類 ) 飼 料 作 物 フ ェ ロ ア ロ イ ニ ッ ト 衣 服 木 材 チ ッ プ 金 属 鉱 物 ) 一 方 各 産 部 門 需 要 が 増 加 した 場 合 産 全 体 へ 生 産 波 及 効 果 をみ ると 図 表 6) 乗 用 車 が 3.22 乗 用 車 へ 需 要 が1 単 位 増 加 すると 産 における 中 間 財 需 要 が 発 生 することにより 産 全 体 で 3.22 生 産 が 誘 発 される) 自 動 車 が 2.76 となっている 自 動 車 産 は 関 連 産 裾 野 が 大 きいことから 波 及 効 果 が 最 も 高 くなっている 一 方 原 材 料 価 格 が 上 昇 しても 中 間 需 要 段 階 で 吸 収 されやすいため 後 でみる 企 物 価 指 数 におい ては 上 昇 率 が 比 較 的 小 幅 にとどまっている 次 いで 効 果 が 大 きい 順 に 鉄 鋼 が 2.75 民 生 用 子 気 器 が 2.44 などとなっている 鉄 鋼 も 生 産 誘 発 効 果 が 大 きいが 自 動 車 とは 異 なり 素 材 産 であることから 価 格 についても 産 全 体 に 波 及 しやすくなっている これに 対 し 炭 原 油 天 然 ガ は 1.61 油 炭 は 1.28 と 波 及 効 果 が 相 対 的 に 低 い これらは 我 が 国 産 や 国 民 生 活 にとって 不 可 欠 な 原 材 料 や 燃 料 を 供 給 する 部 門 であり 産 全 体 へ 価 格 影 響 力 は 大 きいも 生 産 波 及 効 果 という 観 点 からは 生 産 に 必 要 な 中 間 需 要 割 合 が 相 対 的 に 低 いことを 示 すもと 考 えられる 7 経 済 プリズム No61 2008.12
経 済 プリズム No61 2008.12 8 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 乗 用 車 自 動 車 鉄 鋼 民 生 用 子 気 器 合 成 樹 脂 プ ラ チ ッ ク 送 械 化 学 基 礎 通 信 械 事 務 用 サー ビ 用 器 化 学 最 終 再 生 資 源 回 収 加 工 処 理 パ ル プ 紙 紙 加 工 一 般 械 造 工 繊 維 工 材 木 家 具 重 器 非 鉄 金 属 金 属 精 密 械 医 薬 衣 服 繊 維 気 器 食 料 た ば こ 飲 料 土 木 建 設 出 版 印 刷 子 通 信 械 建 築 及 び 補 修 窯 土 公 共 事 鉱 農 林 水 産 対 個 人 サー ビ 公 務 対 事 所 サー ビ 調 査 情 報 サー ビ 子 計 算 同 付 属 装 置 水 道 廃 棄 物 処 理 通 信 放 送 炭 原 油 天 然 ガ 運 ガ 熱 供 給 公 共 サー ビ 力 金 融 保 険 不 動 産 商 油 炭 住 宅 賃 貸 料 帰 属 家 賃 ) 図 表 6 部 門 別 生 産 波 及 効 果 注 ) 本 表 計 数 は 平 成 17 年 延 長 産 連 関 表 における 逆 行 列 計 数 表 実 質 ) 列 和 であり ある 産 に 対 する 最 終 需 要 が1 単 位 増 加 した 場 合 に 直 接 間 接 に 誘 発 される 自 部 門 及 び 部 門 生 産 に 与 える 総 効 果 を 示 す 出 所 ) 経 済 産 省 平 成 17 年 延 長 産 連 関 表 より 作 成 2) 企 物 価 指 数 動 向 次 に 原 油 価 格 高 騰 に 伴 う 実 際 物 価 へ 影 響 をみるため 企 間 で 取 引 される 商 物 価 動 向 を 示 す 企 物 価 指 数 を 概 観 することとする 企 物 価 うち が 我 が 国 に 着 する 段 階 物 価 である 物 価 については 平 成 111999) 年 以 降 ほぼ 一 貫 して 上 昇 を 続 けてきたが 足 元 では 原 油 価 格 等 下 落 や 円 高 影 響 により 再 び 下 落 に 転 じている 図 表 7) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0 元 年 3 5 7 9 11 13 15 17 19 20/1 月 3 5 7 9 11 国 内 企 物 価 出 物 価 物 価 円 安 円 高 平 17 年 =100) 昭 48 年 3 月 =100) 年 月 ) 出 所 ) 日 本 銀 行 企 物 価 指 数 実 効 為 替 レート より 作 成 図 表 7 企 物 価 指 数 円 ベー) 推 移 実 質 実 効 為 替 レート 右 軸 ) 月 次
これに 対 し 国 内 における 企 間 取 引 価 格 である 国 内 企 物 価 は バ ブル 景 気 崩 壊 以 降 下 落 を 続 け 平 成 152003) 年 を 底 として ようやく 上 昇 に 転 じた 上 昇 幅 は 物 価 に 比 べれば 緩 やかであるも 原 材 料 価 格 上 昇 が 商 価 格 に 転 嫁 されつつあると 考 えられる ただし 国 内 企 物 価 ウェイト 大 部 分 を 占 める 工 うち 主 要 上 昇 率 をみると 傾 向 は 一 様 でなく 大 きなばらつきがみられる 物 価 が 上 昇 する 中 で 油 炭 及 び 鉄 鋼 が 20~40% 台 大 きな 上 昇 を 示 しているも 我 が 国 産 を 代 表 する 自 動 車 が 含 まれる 送 用 器 は ゼロ%~3% 台 程 度 低 い 上 昇 幅 であるほか IT 器 基 幹 部 で 構 成 される 子 部 デバイ などは むしろマイナ2% 台 状 態 が 続 いている 図 表 8) こように 国 内 企 物 価 段 階 では 物 価 影 響 が 工 全 体 に 波 及 しているわけではなく 生 産 に 要 する 原 油 へ 依 存 度 などにより 濃 淡 に 差 が 生 じているもと 考 えられる 図 表 8 国 内 企 物 価 うち 主 な 工 上 昇 率 前 年 比 :%) 国 内 企 物 価 指 数 工 化 学 油 情 報 通 信 子 部 送 用 鉄 鋼 気 器 炭 器 デバイ 器 精 密 器 ウエイト 1,000.0 918.8 85.2 53.8 52.6 53.3 41.4 34.3 124.8 10.6 19 年 1 月 1.5 1.4 2.2 1.6 5.5 0.2 9.5 5.1 0.4 1.2 2 月 1.2 1.0 1.6 2.2 6.2 0.5 9.5 5.0 0.4 1.2 3 月 1.4 1.1 2.5 1.9 7.0 0.4 9.4 4.9 0.4 1.1 4 月 1.9 1.7 4.3 1.5 7.9 0.2 9.4 4.4 0.1 0.0 5 月 1.7 1.6 4.4 2.7 8.4 0.0 9.2 4.3 0.2 0.2 6 月 1.8 1.7 4.6 4.2 8.6 0.3 9.3 4.0 0.1 0.3 7 月 1.9 1.7 3.5 5.2 9.2 0.4 9.0 3.8 0.0 0.3 8 月 1.6 1.4 3.4 3.2 8.6 0.3 9.0 3.8 0.0 0.5 9 月 1.3 1.2 3.3 1.0 7.6 0.3 9.2 3.5 0.0 0.4 10 月 2.0 1.9 4.4 11.6 6.9 0.9 8.6 3.0 0.1 0.7 11 月 2.3 2.4 4.5 20.4 6.2 1.0 7.9 2.9 0.3 0.6 12 月 2.7 2.6 4.3 24.9 5.4 0.8 8.6 2.6 0.3 0.4 20 年 1 月 3.1 3.1 4.5 28.0 5.1 1.2 6.5 2.4 0.6 0.2 2 月 3.6 3.5 5.5 30.0 6.2 1.1 6.4 2.7 0.7 0.3 3 月 3.9 3.9 5.6 30.3 8.4 0.9 6.7 2.5 0.6 0.4 4 月 4.0 3.7 4.1 21.2 17.4 1.3 7.0 2.6 0.2 0.3 5 月 4.9 4.5 4.1 28.7 19.5 0.9 6.0 2.5 0.2 0.0 6 月 5.8 5.5 4.2 36.7 20.1 0.9 6.2 2.8 0.4 0.1 7 月 7.3 7.0 7.7 44.0 27.2 1.3 5.9 2.5 0.9 0.3 8 月 7.4 7.3 8.3 43.1 28.8 1.1 5.3 2.6 1.0 0.1 9 月 6.8 6.9 7.8 37.8 28.9 1.0 5.1 2.8 1.6 0.4 10 月 4.8 5.0 5.0 16.1 27.9 1.0 5.0 2.9 3.3 0.7 出 所 ) 日 本 銀 行 企 物 価 指 数 より 作 成 3) 企 収 益 へ 影 響 こような 状 況 中 平 成 192007) 年 以 降 企 収 益 は 悪 化 を 続 けている 財 務 省 法 人 企 統 計 調 査 によれば 全 産 経 常 利 益 は 平 成 192007) 9 経 済 プリズム No61 2008.12
年 7-9 月 期 から 減 少 に 転 じ 202008) 年 4-6 月 期 まで4 期 連 続 減 益 また 売 上 高 は 同 年 1-3 月 期 4-6 月 期 と2 期 連 続 減 収 となっている 図 表 9) 図 表 9 種 別 企 収 益 状 況 単 位 :%) 平 19/4-6 7-9 10-12 平 20/1-3 4-6 全 産 売 上 高 3.3 2.0 2.3 1.5 0.7 経 常 利 益 12.0 0.7 4.5 17.5 5.2 造 売 上 高 7.0 7.6 6.5 5.9 1.4 経 常 利 益 17.3 3.6 3.3 15.7 11.7 食 料 売 上 高 4.6 3.4 1.3 4.3 4.6 経 常 利 益 17.3 5.1 18.2 61.8 2.1 化 学 売 上 高 5.0 3.0 5.0 2.8 6.9 経 常 利 益 11.9 11.8 3.6 46.0 5.6 油 炭 売 上 高 7.1 4.4 7.3 25.3 43.0 経 常 利 益 58.0 28.8 45.8 40.7 15.3 鉄 鋼 売 上 高 26.3 21.3 23.6 12.9 0.7 経 常 利 益 23.4 2.3 2.2 27.4 11.6 金 属 売 上 高 13.9 14.3 10.4 13.1 3.3 経 常 利 益 7.7 48.0 2.4 22.1 2.3 一 般 械 売 上 高 3.7 5.5 9.4 7.6 6.3 経 常 利 益 26.5 13.9 9.2 11.0 19.6 気 械 売 上 高 11.9 18.4 8.5 15.6 3.6 経 常 利 益 38.4 54.6 6.5 7.3 12.6 情 報 通 信 械 売 上 高 3.1 4.5 3.9 0.7 1.7 経 常 利 益 4.1 1.5 16.3 4.6 29.3 送 用 械 売 上 高 9.0 13.0 19.6 8.5 1.2 経 常 利 益 26.5 0.2 14.9 2.6 9.0 非 造 売 上 高 1.8 0.5 0.4 4.5 1.7 経 常 利 益 8.0 1.5 5.7 18.6 0.2 建 設 売 上 高 4.9 2.9 6.6 7.2 5.9 経 常 利 益 599.9 3.0 13.1 50.0 92.4 卸 売 小 売 売 上 高 5.8 0.3 0.7 3.2 2.7 経 常 利 益 35.6 9.4 12.9 20.4 7.9 不 動 産 売 上 高 9.2 0.8 2.1 16.6 7.0 経 常 利 益 28.0 1.8 6.1 10.9 1.9 情 報 通 信 売 上 高 7.0 4.3 2.5 9.8 0.1 経 常 利 益 21.7 33.4 19.7 14.6 5.1 運 売 上 高 1.8 3.8 4.8 1.3 7.2 経 常 利 益 14.2 65.5 22.1 34.0 3.5 気 売 上 高 0.9 3.7 5.3 8.3 7.1 経 常 利 益 40.8 13.1 106.3 727.7 172.2 サービ 売 上 高 1.1 0.7 5.4 3.7 2.7 経 常 利 益 0.5 8.1 2.8 10.2 63.8 資 本 金 別 10 億 円 以 上 売 上 高 5.3 3.7 3.7 3.4 4.2 経 常 利 益 14.0 1.3 1.7 17.3 3.6 売 上 高 経 常 利 益 率 6.7 5.2 5.3 4.0 6.2 1 億 円 ~10 億 円 売 上 高 7.0 9.0 6.7 5.7 3.7 経 常 利 益 1.3 16.9 13.2 15.1 12.9 売 上 高 経 常 利 益 率 2.9 2.7 3.1 3.3 2.4 1,000 万 円 ~1 億 円 売 上 高 5.8 5.1 4.8 4.5 6.9 経 常 利 益 13.5 3.9 5.7 18.7 6.0 売 上 高 経 常 利 益 率 3.0 2.2 2.3 3.1 3.0 注 ) 売 上 高 及 び 経 常 利 益 は 前 年 同 期 比 売 上 高 経 常 利 益 率 は 各 期 における 売 上 高 に 占 める 経 常 利 益 割 合 出 所 ) 財 務 省 法 人 企 統 計 調 査 より 作 成 経 済 プリズム No61 2008.12 10
種 別 にみると 油 炭 や 鉄 鋼 化 学 一 般 械 などが 平 成 192007) 年 7-9 月 期 頃 から 減 益 傾 向 に 転 じている 一 方 売 上 高 については 個 々 種 により 大 きく 異 なるが 全 体 としては 減 益 後 を 追 う 形 で 減 収 傾 向 に 転 じて いる こうした 動 きは 原 材 料 価 格 上 昇 による 利 益 圧 迫 が 先 行 し 後 に 販 売 価 格 へ 転 嫁 や 景 気 悪 化 に 伴 う 需 要 減 少 により 減 収 傾 向 に 転 じたとみ ることもできよう また 資 本 規 模 別 にみると 10 億 円 以 上 大 企 は 平 成 192007) 年 10-12 月 期 に 減 益 に 転 じたが 売 上 高 は 依 然 として 増 収 を 維 持 している 一 方 1,000 万 円 から1 億 円 中 小 企 については 同 じく 192007) 年 10-12 月 期 に 減 益 となった 後 翌 202008) 年 1-3 月 期 からは 減 収 となっている 中 小 企 多 くは 大 企 と 取 引 において 原 材 料 価 格 へ 転 嫁 を 行 いに くいことから 減 収 減 益 影 響 が 大 企 よりも 先 行 し かつ 幅 も 大 き く 振 れやすく 現 在 収 益 環 境 は 相 対 的 に 厳 しい 状 況 にあると 考 えられる 4. 一 般 物 価 へ 波 及 と 家 計 へ 影 響 1) 消 費 者 物 価 指 数 動 向 企 物 価 については 価 格 上 昇 に 伴 い 国 内 企 物 価 もこれに 遅 れる 形 で 一 部 が 上 昇 するとともに 企 収 益 環 境 が 悪 化 していることが 示 されていた こで 次 には 消 費 者 物 価 へ 波 及 状 況 をみることとする 8.0 6.0 %) 図 表 10 国 内 企 物 価 と 消 費 者 物 価 推 移 月 次 国 内 企 物 価 4.0 2.0 消 費 者 物 価 除 生 鮮 ) 0.0 2.0 消 費 者 物 価 除 食 料 エネルギー) 4.0 元 年 3 5 7 9 11 13 15 17 19 20/1 月 出 所 ) 総 務 省 消 費 者 物 価 指 数 日 本 銀 行 企 物 価 指 数 より 作 成 3 5 7 9 年 月 ) 消 費 者 物 価 うち 生 鮮 食 を 除 く 総 合 指 数 は 平 成 182006) 年 にマ イナから 脱 した 後 192007) 年 までほとんどゼロ 近 傍 で 推 移 してきたが 11 経 済 プリズム No61 2008.12
202008) 年 に った 頃 から 上 昇 幅 が 急 速 に 拡 大 し 同 年 8 月 には2%を 超 え た 一 方 食 料 酒 類 を 除 く) 及 びエネルギーを 除 く 総 合 指 数 については マイナ 幅 が 縮 小 しているも 平 成 202008) 年 に ってからもほとんど ゼロ 近 傍 で 推 移 が 続 いている 図 表 10) 価 格 上 昇 幅 大 きい 目 を 具 体 的 にみると 図 表 11 とおり 穀 物 小 麦 粉 等 ) 乳 卵 類 バター チーズ 等 )といった 食 料 ほか 灯 油 自 動 車 等 関 係 費 ガソリン 等 )といったエネルギー 関 係 目 が 多 い これらは 原 油 や 穀 物 等 国 際 市 場 動 向 に 敏 感 な 目 である こことは 最 近 物 価 上 昇 が 国 内 需 要 逼 迫 ディマンドプル 型 )で はなく 原 材 料 価 格 上 昇 コトプッシュ 型 )に 伴 う 価 格 転 嫁 が 進 んだこ とによるインフレという 性 格 が 強 いことを 示 している 年 月 穀 類 魚 介 類 肉 類 乳 卵 類 図 表 11 上 昇 幅 が 大 きい 主 な 目 類 油 脂 調 味 料 前 年 同 月 比 :%) 光 熱 自 動 車 等 菓 子 類 気 代 ガ 代 灯 油 ) 関 係 費 20 年 1 月 2.0 0.3 2.8 0.5 1.8 1.7 1.3 3.8 24.9 5.1 2 3.5 0.6 3.6 0.4 1.5 1.3 1.3 4.2 28.0 5.7 3 4.0 0.4 3.7 1.3 2.4 1.7 1.3 4.3 29.2 6.0 4 4.7 0.3 4.4 4.4 3.9 2.5 3.5 5.7 28.5 0.8 5 5.4 0.4 4.6 5.2 3.4 5.1 3.5 5.6 27.6 4.9 6 7.7 2.7 4.8 5.5 4.9 6.4 3.5 5.6 42.2 7.0 7 8.0 3.4 5.3 6.4 3.6 7.5 5.4 7.6 53.2 8.4 8 8.1 5.0 5.3 6.7 5.2 7.2 5.4 8.2 54.7 7.8 9 8.3 3.5 4.2 7.1 5.5 7.5 5.1 8.5 50.3 6.0 出 所 ) 総 務 省 消 費 者 物 価 指 数 より 作 成 なお 図 表 11 に 挙 げた 目 は 家 計 にとっては 日 常 生 活 に 不 可 欠 なもば かりである こで 次 に 消 費 者 物 価 指 数 における 目 を 基 礎 的 支 出 必 需 ) と 選 択 的 支 出 贅 沢 )に 分 けて 上 昇 率 をみることとする 図 表 12) 基 礎 的 支 出 は 平 成 192007) 年 11 月 に1%を 超 えた 後 202008) 年 9 月 では 3.4%まで 上 昇 している 一 方 選 択 的 支 出 については 平 成 202008) 年 に り プラに 転 じたも 同 年 9 月 で 0.7% 上 昇 にとどまっており 両 者 には 大 きな 開 きがある こため 一 般 に 家 計 においては 統 計 上 消 費 者 物 価 全 体 総 合 指 数 ) 上 昇 率 よりも 物 価 上 昇 による 負 担 を 強 く 感 じてい る 可 能 性 が 高 い しかも 消 費 者 物 価 上 昇 率 は 原 材 料 価 格 が 下 落 傾 向 に 転 じたことから 勢 いが 一 服 しているも 企 物 価 上 昇 率 に 比 べれば 相 対 的 に 小 幅 にと どまっており これまで 転 嫁 しきれなかった 部 分 については 今 後 も 物 価 上 昇 経 済 プリズム No61 2008.12 12
圧 力 として 残 されていると 見 方 もできよう 4 前 年 比 :%) 5.0 4.0 3.0 2.0 図 表 12 基 礎 的 選 択 的 支 出 別 物 価 上 昇 率 基 礎 的 支 出 選 択 的 支 出 1.0 0.0-1.0 19/9 10 11 12 20/1 2 3 4 5 6 7 8 9 年 / 月 ) 注 ) 支 出 弾 力 性 支 出 総 額 変 化 率 に 対 する 当 該 目 へ 支 出 変 化 率 比 )が1 未 満 目 を 基 礎 的 支 出 目 1 以 上 目 を 選 択 的 支 出 目 としている 出 所 ) 総 務 省 消 費 者 物 価 指 数 より 作 成 2) 都 市 規 模 別 にみたガソリン 高 騰 影 響 次 に 原 油 価 格 影 響 を 直 接 的 に 受 ける 代 表 的 な 小 売 商 であるガソリン 価 格 動 向 を 取 り 上 げることとする 円 /リットル) 200 図 表 13 原 油 及 びガソリン 価 格 動 向 ドル/バレル) 160 180 160 140 ガソリン 左 軸 ) 原 油 右 軸 ) 140 120 100 80 120 100 80 揮 発 油 税 等 暫 定 税 率 一 時 的 な 失 効 による 影 響 20 年 4 月 ) 60 40 20 0 10/1 10/5 10/9 11/1 11/5 11/9 12/1 12/5 12/9 13/1 13/5 13/9 14/1 14/5 14/9 15/1 15/5 15/9 16/1 16/5 16/9 17/1 17/5 17/9 18/1 18/5 18/9 19/1 19/5 19/9 20/1 20/5 20/9 注 ) 原 油 価 格 は アラビアンライト 価 格 図 表 1に 同 じ) ガソリン 価 格 は レギュラー 店 頭 現 金 価 格 全 国 平 均 出 所 ) 経 済 産 省 資 料 東 京 工 取 引 所 ウェブサイト 油 情 報 センター 価 格 情 報 より 作 成 4 なお 力 及 び 都 市 ガについては 燃 料 費 原 料 費 ) 調 整 制 度 により 原 材 料 費 上 昇 に 伴 う 料 金 引 上 げが 行 われることとされているが 政 府 による 力 及 びガ 会 社 へ 要 請 を 踏 まえ 平 成 21 年 1-3 月 期 引 上 げ 幅 を 圧 縮 するとともに 後 料 金 改 定 において 平 準 化 を 図 ることとされている 13 経 済 プリズム No61 2008.12
レギュラーガソリン 店 頭 販 売 価 格 は 原 油 価 格 とほぼ 軌 を 一 にするように 推 移 しており 特 に 平 成 162004) 年 以 降 は 趨 勢 的 に 高 い 上 昇 率 で 推 移 してき た 平 成 202008) 年 4 月 には 揮 発 油 税 暫 定 税 率 が 一 時 失 効 したことによ り 1リットル 当 たり 131 円 まで 下 落 したが 後 急 騰 により 同 年 8 月 には 185 円 を 記 録 した ところが 原 油 価 格 急 落 を に 再 び 下 落 し 10 月 に は 163 円 となっている 図 表 13) 5 しかしながら 現 在 ところは 過 去 トレンドからみれば 依 然 としてガソリン 価 格 も 高 水 準 にあるといえる れでは こようなガソリンに 対 する 支 出 は 都 市 規 模 別 にみると ど ような 影 響 を 受 けているか 総 務 省 家 計 調 査 においては 大 都 市 政 令 指 定 都 市 及 び 東 京 都 区 部 ) 中 都 市 大 都 市 を 除 く 人 口 15 万 人 以 上 市 ) 小 都 市 A 人 口 5~15 万 人 未 満 市 ) 小 都 市 B 町 村 人 口 5 万 人 未 満 市 町 村 )といった 都 市 規 模 別 分 類 による 目 別 支 出 が 掲 載 されている これによると 東 京 都 区 部 を 始 めとした 大 都 市 ほど 世 帯 当 たりガソリン 支 出 金 額 は 少 なく 逆 に 都 市 規 模 が 小 さくなるに 従 い 支 出 金 額 が 増 加 して いる 図 表 14) 円 ) 12,000 図 表 14 都 市 規 模 別 1 世 帯 当 たりガソリン 月 別 支 出 金 額 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 全 国 大 都 市 中 都 市 小 都 市 A 小 都 市 B 町 村 東 京 都 都 区 部 0 17/1 17/3 17/5 17/7 17/9 17/11 18/1 18/3 18/5 18/7 18/9 18/11 19/1 19/3 19/5 19/7 19/9 19/11 20/1 20/3 20/5 20/7 年 / 月 ) 注 ) 大 都 市 は 政 令 指 定 都 市 及 び 東 京 都 区 部 中 都 市 は 大 都 市 を 除 く 人 口 15 万 人 以 上 市 小 都 市 Aは 人 口 5~15 万 人 未 満 市 小 都 市 B 町 村 は 人 口 5 万 人 未 満 市 町 村 出 所 ) 総 務 省 家 計 調 査 より 作 成 都 市 部 では 鉄 道 やバ 等 公 共 交 通 関 が 普 及 しているため 一 般 家 計 にお いては 日 常 生 活 移 動 手 段 というよりも レジャー 目 的 に 自 動 車 を 利 用 して いる 割 合 が 相 対 的 に 高 い 一 方 人 口 規 模 が 少 ない 地 方 部 となるに 従 い 通 勤 5 図 表 13 は 月 次 調 査 計 数 であるが 週 次 調 査 では 11 月 17 日 時 点 で 132 円 まで 下 落 している 経 済 プリズム No61 2008.12 14
や 生 活 ため 日 常 的 な 交 通 手 段 として 自 動 車 役 割 が 高 くなっている こ ため 小 規 模 な 都 市 ほど ガソリン 支 出 金 額 が 高 くなっている 傾 向 が 明 瞭 に 読 み 取 れる また 近 年 ガソリン 高 騰 状 況 において ガソリンに 対 する 支 出 金 額 は 全 体 としては 微 増 傾 向 にあるが 中 にあって 都 区 部 においては ほとん ど 横 ばい 傾 向 にあるに 対 し 小 都 市 においては 増 加 傾 向 を 示 している 一 方 支 出 金 額 とガソリン 単 価 により 購 量 を 求 めると 平 成 202008) 年 4 月 暫 定 税 率 失 効 による 特 殊 要 因 を 除 き 全 体 としては 横 ばい 傾 向 にある 図 表 15) こことは 全 体 的 な 傾 向 として ガソリン 価 格 が 高 騰 しても 容 易 には 消 費 量 を 減 らすことができない 状 況 がうかがえるなお 図 表 14 及 び 15 における 直 近 計 数 は8 月 であるが 例 年 8 月 は 夏 休 み 影 響 により 月 に 比 べ 家 計 におけるガソリン 消 費 量 が 増 加 する 傾 向 にある) リットル) 図 表 15 都 市 規 模 別 1 世 帯 当 たりガソリン 月 別 購 数 量 試 算 ) 80 70 60 50 40 30 20 全 国 大 都 市 中 都 市 小 都 市 A 小 都 市 B 町 村 東 京 都 都 区 部 10 0 17/1 17/3 17/5 17/7 17/9 17/11 18/1 18/3 18/5 18/7 18/9 18/11 19/1 19/3 19/5 19/7 19/9 19/11 20/1 20/3 20/5 20/7 年 / 月 ) 注 ) 購 数 量 は 都 市 区 分 ごと 支 出 金 額 を れぞれガソリン 全 国 平 均 価 格 で 除 して 求 めた 本 来 は 都 市 区 分 ごとガソリン 価 格 を 用 いるべきと 思 われるが 統 計 制 約 上 ような 算 出 方 法 とした) なお 都 市 区 分 は 図 表 14に 同 じ 出 所 ) 総 務 省 家 計 調 査 より 作 成 次 に 図 表 15 データを 用 いて 最 近 1 年 間 都 市 区 分 別 ガソリン 購 量 を 求 め ガソリン 価 格 変 化 による 影 響 額 を 算 出 した これによると 東 京 都 区 部 世 帯 では ガソリン 価 格 10 円 変 化 につき 年 間 1,600 円 程 度 影 響 が あるに 対 し 大 都 市 では 3,100 円 程 度 中 都 市 で 5,000 円 程 度 小 都 市 Aで 6,400 円 程 度 小 都 市 B 町 村 で 7,500 円 程 度 と 都 市 規 模 が 小 さくなるほ ど 影 響 額 が 大 きい 図 表 16) 15 経 済 プリズム No61 2008.12
最 近 ガソリン 価 格 は 平 成 20 年 8 月 に 全 国 平 均 で 185 円 まで 上 昇 したが 後 11 月 17 日 時 点 では 132 円 と 50 円 以 上 下 落 となっている こうした 状 況 を 年 額 に 換 算 すれば 東 京 都 区 部 では 8,500 円 程 度 影 響 であるに 対 し 小 都 市 B 町 村 では4 万 円 程 度 影 響 があることとなり ガソリン 価 格 変 化 による 家 計 へ 影 響 差 は 都 市 部 と 地 方 で 極 めて 大 きなもがあるといえる 図 表 16 ガソリン 価 格 10 円 変 化 による 年 間 影 響 額 試 算 ) 東 京 都 都 区 部 小 都 市 B 町 村 小 都 市 A 1,601 6,353 7,491 中 都 市 大 都 市 全 国 平 均 3,135 4,978 5,406 0 2,000 4,000 6,000 8,000 円 ) 注 ) 図 表 15 月 別 購 数 量 について 直 近 1 年 間 平 均 を 求 めた 後 年 額 に 換 算 した 出 所 ) 総 務 省 家 計 調 査 より 作 成 5.まとめ 最 近 原 油 価 格 高 騰 局 面 においては 昭 和 481973) 年 第 1 次 油 危 時 ような 大 きな 社 会 的 混 乱 が 生 じたとまでは 言 えないも 企 収 益 悪 化 や 家 計 必 需 物 価 上 昇 特 に 地 方 部 における 負 担 増 加 は 国 民 生 活 に 対 し マイナ 影 響 を 及 ぼしてきたと 考 えられる さらに 世 界 的 な 金 融 不 安 を 背 景 に 景 気 後 退 状 況 が 一 層 明 瞭 になりつつある 中 深 刻 化 が 懸 念 され るところである 一 方 平 成 202008) 年 11 月 現 在 原 油 等 価 格 が 大 幅 な 下 落 に 転 じると ともに 為 替 レートが 円 高 傾 向 に 進 んでいることは インフレ 緩 和 に 寄 与 す る 要 因 となり 得 る しかしながら これまで 原 材 料 価 格 上 昇 分 転 嫁 が 十 分 なされていなかったとするならば 原 材 料 価 格 下 落 と 同 様 ペーで 消 費 者 物 価 が 下 落 していくことは 期 待 しにくい また 中 長 期 的 には 世 界 的 な 趨 勢 として 油 を 始 めとした 化 燃 料 や 穀 物 需 要 が 増 加 していくとするならば 現 在 沈 静 化 状 況 がいつまで 続 くかについては 予 断 をもたずに 注 視 して いく 必 要 がある 財 政 による 物 価 上 昇 等 へ 対 応 としては 安 心 実 現 ため 緊 急 総 合 対 策 経 済 プリズム No61 2008.12 16
平 成 20 年 8 月 29 日 )に 引 き 続 き 生 活 対 策 同 年 10 月 30 日 )が 策 定 さ れ 主 に 家 計 や 地 方 部 といった 疲 弊 しているセクターに 対 する 施 策 が 講 じられ ることとなった しかしながら 極 度 に 悪 化 している 財 政 負 担 能 力 には 限 界 があることを 踏 まえれば こうした 施 策 を 継 続 的 に 実 施 することは 極 めて 困 難 である 中 長 期 的 に 企 コト 抑 制 や 家 計 負 担 軽 減 を 図 るためには ある 程 度 資 源 価 格 上 昇 を 前 提 としつつ かつて 第 2 次 油 危 における 我 が 国 対 応 がうであったように 生 産 性 やエネルギー 効 率 上 昇 を 促 していく 政 策 が 一 層 重 要 になるもと 考 えられる 内 線 3125) 17 経 済 プリズム No61 2008.12