東 京 大 学 学 術 俯 瞰 講 義 2010 年 東 京 大 学 大 学 院 情 報 学 環 橋 元 良 明 2010.6.17/6.24
橋 元 良 明 ( 情 報 学 環 社 会 情 報 学 コース)のprofile < 専 攻 > コミュニケーション 論 情 報 行 動 論 社 会 心 理 学 社 会 言 語 学
主 な 研 究 内 容 (1)コミュニケーションの 了 解 過 程 / 内 容 分 析 語 用 論 言 語 心 理 学 認 知 心 理 学 などの 研 究 成 果 を 取 り 込 みながら 言 語 および 非 言 語 記 号 の 伝 達 了 解 メカニズム メッセージ 分 析 の 方 法 論 を 理 論 的 に 研 究 背 理 のコミュニケーション アイロニー メタファー インプリカチャー 勁 草 書 房 コミュニケーション 学 への 招 待 ( 編 著 ) 大 修 館 書 店 共 訳 書 メッセージ 分 析 の 技 法 勁 草 書 房 (2) 情 報 環 境 の 変 化 と 認 知 能 力 の 関 連 分 析 情 報 環 境 の 変 化 が 言 語 発 達 などのコミュニケーション 関 連 の 認 知 能 力 や 言 語 行 動 などにどのような 影 響 を 及 ぼすのかについて 理 論 実 証 両 面 から 分 析 たとえば 新 しい 映 像 メディアが 乳 幼 児 の 脳 発 達 に 及 ぼす 影 響 情 報 環 境 の 変 化 が 若 年 層 の 性 格 形 成 に 及 ぼす 影 響 等 の 考 察 映 像 メディアと 脳 テレビ 映 像 の 大 脳 生 理 学 的 アプローチ, マス コ ミュニケーション 研 究 No.46
主 な 研 究 内 容 (2) (3) 情 報 行 動 の 社 会 心 理 学 的 分 析 メディア 利 用 行 動 や 対 面 コミュニケーション 行 動 などの 情 報 行 動 が 情 報 環 境 の 変 容 に 伴 って 実 際 にどのように 変 化 しつつあるのか またその 変 化 に 関 連 する 社 会 心 理 学 的 要 因 は 何 かを 実 証 的 に 分 析 メディア コミュニケーション 論 ( 共 編 著 ) 北 樹 出 版 情 報 行 動 と 社 会 心 理 ( 編 著 ) 北 樹 出 版 メディア コミュニケーション 学 ( 編 著 ) 大 修 館 書 店 ネオ デジタルネイティブの 誕 生 ( 橋 元 良 明 + 電 通 )ダイヤモンド 社 (4) 語 用 論 的 方 略 の 差 異 などに 関 する 異 文 化 コミュニケーション 比 較 コミュニケーション 研 究 の 知 見 を 異 文 化 交 流 状 況 に 援 用 し 実 証 的 調 査 をも 交 えて 現 実 的 課 題 への 応 用 を 試 みる ビデオ 近 くて 遠 い 国? 日 韓 青 少 年 コミュニケーションの 今 ( 外 務 省 からの 委 託 ) ビデオ 広 がれ つなげ 子 どもの 世 界 新 世 代 の 日 韓 交 流 ( 外 務 省 からの 委 託 )
一 言 で 言 えば 情 報 社 会 心 理 学 コミュニケーション ダイナミクス 社 会 生 活 情 報 メディア 心 理
2010 年 度 学 術 俯 瞰 講 義 : 橋 元 担 当 ネット ユーザーの 心 理 と 行 動 (1)6/17 インターネットとメディア カニバリズム (2)6/24 メディア 環 境 の 変 化 と 日 本 の 若 者 のメ ンタリティー
(6/17)インターネットとメディア カニバリズム Cannibalism データで 検 証 する 日 本 人 の 情 報 行 動 の 変 化 ~ネットはテレビを 侵 蝕 しているか?
ベースの 調 査 の 概 要 日 本 人 の 情 報 行 動 2009 橋 元 & 電 通 の 共 同 研 究 日 記 式 調 査 + 質 問 票 調 査 調 査 地 点 全 国 (157 地 点 ) 調 査 対 象 男 女 13 歳 ~69 歳 N=1,490 住 民 基 本 台 帳 による 層 化 二 段 無 作 為 抽 出 調 査 員 による 訪 問 留 置 法 調 査 時 期 2009 年 6 月 日 記 式 ~ 居 場 所 (7 項 目 ) 生 活 行 動 (8 項 目 ) 情 報 行 動 (29 項 目 )を15 分 単 位 のセルに 記 入 (10 分 未 満 もチェックさせ5 分 として 計 算 )
29の 情 報 行 動 項 目 テ レ ビ も 含 携 帯 電 話 む ( ) P H S パ ソ コ ン 印 刷 物 テレビ 放 送 を 見 る 録 画 したテレビ 番 組 を 見 る DVDソフト レンタルDVDなどを 見 る テレビゲームをする メールを 読 む 書 く サイトを 見 る サイトに 書 き 込 む 通 話 をする テレビ 放 送 を 見 る 録 画 したテレビ 番 組 を 見 る ゲームをする インターネット 経 由 の 動 画 を 見 る メールを 読 む 書 く サイトを 見 る サイトに 書 き 込 む チャット 機 能 やメッセンジャーを 使 う 作 業 をする(Wordなどでの 文 書 作 成 Excelなどでの 計 算 ) テレビ 放 送 を 見 る 録 画 したテレビ 番 組 を 見 る インターネット 経 由 の 動 画 を 見 る DVDソフト レンタルDVDなどを 見 る ゲームをする 新 聞 を 読 む マンガを 読 む 雑 誌 (マンガを 除 く)を 読 む 書 籍 (マンガ 雑 誌 を 除 く)を 読 む 機 他 そ 器 の の 平 均 値 ( 分 ) 187.8 9.8 3.3 3.1 18.2 7.2 1.4 8.4 2.1 0.5 1.2 0.4 15.8 15.4 1.1 1.9 42.7 1.9 0.6 2.7 0.2 3.3 22.3 1.9 3.4 8.9 ラジオを 聴 く 30.0 携 帯 型 ゲーム 機 でゲームをする 2.4 固 定 電 話 で 通 話 する 7.9
日 記 式 調 査 票
( 結 果 の 一 例 )テレビ 視 聴 行 為 率 の 時 刻 別 推 移 固 定 テレビリアルタイム 視 聴 ( 左 軸 ) 視 聴 者 中 の 携 帯 電 話 とのながら( 右 軸 ) 視 聴 者 中 のパソコンとのながら( 右 軸 ) 50% 45% 40% 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 6:00 7:30 9:00 10:30 12:00 13:30 15:00 16:30 18:00 19:30 21:00 22:30 0:00 1:30 3:00 4:30 平 日 ピークは21 時 台
その 他 の 参 照 調 査 2005 年 日 本 人 の 情 報 行 動 調 査 ( 橋 元 研 究 室 ) N=2,029 2005 年 3 月 実 施 全 国 調 査 対 象 =13 69 歳 コンセプト 方 法 は2009 年 調 査 と 同 じ 2008 年 BPO 青 少 年 テレビ 視 聴 実 態 調 査 BPO( 放 送 倫 理 番 組 向 上 機 構 ) 青 少 年 委 員 会 の 活 動 の 一 環 として 橋 元 らが 実 施 した 2008 年 11 月 実 施 N=311 東 京 在 住 16 24 歳 本 報 告 後 半 の BPO 調 査 とはこの 調 査
問 題 意 識 テレビ 離 れは 本 当 か? テレビ 視 聴 時 間 が 減 少 しているとすれば そ の 主 因 はインターネットとのカニバリズムか?
テレビ 離 れ? の 検 証 方 法 (1) ~ 年 代 別 のテレビ 視 聴 時 間 の 比 較 年 層 別 にみれば 若 年 層 の 視 聴 時 間 が 短 い ~このデータから 若 者 のテレビ 離 れが 進 んでいる と 言 えるか? No! 300.0 年 代 別 テレビ 視 聴 時 間 ( 分 )2009 年 250.0 200.0 150.0 100.0 50.0 0.0 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代
日 本 ではほぼ 一 貫 してどの 時 代 も 若 年 層 ほど テレビ 視 聴 時 間 が 短 い 年 層 効 果 300 250 200 150 100 50 年 代 別 テレビ 視 聴 時 間 ( 分 ) 2005 年 300.0 250.0 200.0 150.0 100.0 50.0 年 代 別 テレビ 視 聴 時 間 ( 分 ) 2009 年 0 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 0.0 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代
年 層 効 果 ~ 年 齢 層 の 特 色 の 反 映 たとえば 今 の 若 者 は といっても 自 分 が 加 齢 することによって 自 分 自 身 が 変 化 したにすぎず いつの 時 代 も 若 者 が 同 じ 傾 向 を 示 しているのなら 年 層 効 果 にすぎない Cf. 時 代 効 果 ~ 時 流 の 変 化 今 の 若 者 は 変 化 した といっても 全 層 で 同 じ 方 向 傾 向 の 変 化 があれば 時 代 の 流 れで あって 今 の 若 者 特 有 の 変 化 ではない eg. 今 の 若 者 は 米 を 食 わない といっても 日 本 の 全 層 で 米 の 消 費 量 が 減 っているので それは 時 代 効 果 である 全 層 でN 年 経 過 後 テレビ 視 聴 時 間 が 減 っていれば 時 代 効 果 として テレビ 視 聴 時 間 が 減 り 続 けることはありうる
たとえば 若 者 の 行 動 意 識 が 変 わってきた という には 加 齢 の 影 響 と 時 代 要 因 を 調 整 した 特 定 世 代 の コーホート( 世 代 ) 分 析 をした 上 で そのコーホートの 独 自 性 を 検 証 することが 必 要 そのためには 最 低 限 一 定 期 間 (n 年 )をおいた2つの 調 査 (T1,T2)を 実 施 し 若 い 世 代 集 団 X 以 外 の 集 団 が 年 層 効 果 (あるいは 時 代 効 果 )にしたがった 変 化 をしているのに 対 し Xだけが 得 意 な 結 果 であることを 明 らかにしなければならない 40 30 20 10 0 2000 年 2010 年 50 40 30 20 10 0 2000 年 2010 年 50 40 30 20 10 0 2000 年 2010 年 10 代 20 代 30 代 10 代 20 代 30 代 10 代 20 代 30 代 年 層 効 果 時 代 効 果 新 10 代 だけ 変 異
テレビ 離 れ? の 検 証 の 方 法 (2) ~ 継 時 的 テレビ 視 聴 時 間 の 変 化 を 見 る 190 185 180 175 170 165 160 155 150 180.3 187.8 2005 年 2009 年 日 本 人 の 情 報 行 動 調 査 では 4 年 間 で7.5 分 の 増 加 実 態 はテレビ 視 聴 時 間 は 増 えているのか? No!
増 えているわけではない 1 測 定 誤 差 2 調 査 時 期 の 変 動 要 因 + 5 分 程 度 は 誤 差 の 範 囲 2005 年 2009 年 の 調 査 対 象 日 ( 各 2 日 間 ) にテレビ 視 聴 時 間 を 増 減 するような 要 因 が あった 可 能 性 (たとえば ビッグニュース イベント 天 候 ) ただし 両 年 とも 該 当 日 にはとくに 大 きな イベント ニュース 等 はなかった
3 平 均 年 齢 の 推 移 調 査 は 層 化 無 作 為 抽 出 で 実 際 の 人 口 比 例 に 即 して 年 齢 分 布 を 実 態 に 反 映 させて 標 本 が 抽 出 される 2005 年 2009 年 高 齢 化 の 進 行 調 査 でも 13 歳 ~69 歳 という 枠 の 中 で 高 齢 化 にあわせ 調 査 対 象 者 の 平 均 年 齢 が 高 齢 化 してる(42.8 歳 45.2 歳 )
一 方 で 高 齢 者 ほど テレビ 視 聴 時 間 が 長 い という 事 実 13-69 歳 という 調 査 対 象 者 年 齢 が 同 じでも 平 均 時 間 が 長 くなる 300.0 250.0 200.0 150.0 100.0 50.0 0.0 年 代 別 テレビ 視 聴 時 間 ( 分 )2009 年 ( 再 掲 ) 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代
で 再 び テレビ 視 聴 時 間 は 減 少 しつつあるのか? 260 240 220 2005 2009 200 180 160 140 120 100 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 全 体 2005 149.6 162.8 147.4 169.4 185.2 253.8 180.3 2009 107.8 148.2 157.5 165.5 207.2 254.9 187.8 30 代 以 上 では 4 年 の 推 移 によらず 同 年 齢 層 でほぼ 同 じ 視 聴 時 間 若 年 層 10 代 でとくに 大 きな 減 少 (-41.8 分 ) 年 層 効 果 や 時 代 効 果 ではなく 実 態 として 若 年 層 で 視 聴 時 間 が 減 少 している 可 能 性
問 題 意 識 2 ネットがテレビを 侵 蝕 しているのか? テレビ 視 聴 時 間 とネット 利 用 時 間 の 相 関 をみる テレビと 自 宅 PCネット 利 用 時 間 の 相 関 = 0.04 ( 有 意 水 準 に 達 していないが 負 の 相 関 ) 自 宅 PCネットの 利 用 時 間 別 にみれば 250 200 150 194.1 160.1 自 宅 PCネット 利 用 時 間 の 全 体 平 均 値 16.6 分 未 満 と 以 上 で 分 類 ~ネット 利 用 時 間 の 長 い 人 ほど テレビ 視 聴 時 間 が 短 い ネットがテレビを 喰 っていると 言 えるのか? No! 100 50 0 自 宅 PCネット 利 用 小 自 宅 PCネット 利 用 大
たとえば ネット 利 用 時 間 の 長 い 人 ほど テレ ビ 視 聴 時 間 が 短 い としても インターネット 利 用 がテレビ 視 聴 に 直 接 影 響 を 及 ぼしたことを 意 味 しない インターネット 利 用 層 と 非 利 用 層 とは デモ グラフィック 属 性 がかなり 異 なり( 一 般 的 にイ ンターネット 利 用 層 ほど 若 年 層 で 高 学 歴 等 ) テレビ 視 聴 時 間 に 関 してもその 属 性 の 影 響 が 及 ぶから
年 層 別 にみたPCネット 利 用 時 間 とテレビ 視 聴 時 間 テレビ( 左 軸 ) 自 宅 PCネット( 右 軸 ) 300.0 30.0 250.0 25.0 200.0 20.0 150.0 15.0 100.0 10.0 50.0 5.0 0.0 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 0.0 年 齢 という 要 素 を 媒 介 とした 負 の 擬 似 相 関
Cf. 擬 似 相 関 とは? 架 空 の 話 であるが 男 性 の ハゲ 度 を 測 定 し 一 方 で50 代 までの 年 収 を 調 査 すると ハゲ 度 と 年 収 は 高 い 相 関 (おそらく) ~ ハゲ 度 が 高 いほど 年 収 が 高 くなる と 言 える のか? No! ハゲ 度 と 年 齢 は 強 い 相 関 一 方 で 50 代 までだと 年 収 と 年 齢 も 正 の 相 関 年 齢 を 介 した 擬 似 相 関 で 直 接 的 にはハゲ 度 と 年 収 には 因 果 関 係 はない
たとえば 各 種 世 論 調 査 支 持 政 党 調 査 などで 高 学 歴 なほどA という 結 果 がしばしば 示 される しかし これまでの 日 本 では 時 代 が 今 に 近 づ くほど リニアに 大 学 進 学 率 が 上 昇 してきた つまり 若 年 層 ほど 平 均 的 に 高 学 歴 である したがって 学 歴 とA は 年 齢 を 介 した 擬 似 相 関 である 場 合 も 多 い
テレビ 視 聴 と 青 少 年 の 攻 撃 的 行 動 犯 罪 率 に 関 しても アメリカなどでは テレビ 視 聴 時 間 が 長 い 青 少 年 ほど 攻 撃 的 犯 罪 率 が 高 い という 調 査 データがしばしば 見 られる (だからTVは 悪?) しかし アメリカでは 年 収 が 低 かったり 非 白 人 系 の 家 庭 の 子 ほどテレビ 視 聴 時 間 が 長 い 傾 向 があり 一 方 で そうした 属 性 の 子 ほど 家 庭 環 境 が 劣 悪 で 攻 撃 的 犯 罪 率 が 高 いとい う 傾 向 がある したがって 家 庭 環 境 を 媒 介 とした 擬 似 相 関 の 疑 いが 高 く テレビ 視 聴 自 体 が 原 因 でない 可 能 性
ネット 利 用 とテレビ 視 聴 時 間 のカニバリズの 検 証 時 差 マッチング 法 のコンセプト 調 査 が 平 日 2 日 間 実 施 されたことを 利 用 し 自 宅 PCネットをいずれか1 日 だけ 利 用 した 人 を ピックアップし その 人 において a. PCネットを 利 用 した 日 と b. PCネットを 利 用 しなかった 日 との 自 宅 テレビ 視 聴 時 間 を 比 較 する 分 析 母 数 がまったく 同 一 であるため 属 性 の 影 響 を 排 除 できる
自 宅 での2 日 間 のPC 利 用 パターン タイプ N % 1 自 宅 PCネット 平 日 両 日 とも 利 用 246 16.5 2 自 宅 PCネット 平 日 初 日 だけ 利 用 97 6.5 3 自 宅 PCネット 平 日 2 日 目 だけ 利 用 87 5.8 4 自 宅 PCネット 平 日 両 日 とも 非 利 用 1060 71.1 1490 100.0 タイプ2と3の184 名 について PCネットを 利 用 した 日 としなかった 日 の テレビ 視 聴 時 間 を 比 較 テレビ 視 聴 時 間 N PC 利 用 日 145.1 184 PC 非 利 用 日 135.8 184
もしPCネットがテレビ 視 聴 時 間 を 奪 う のであれば PCを 使 った 日 において テレビ 視 聴 時 間 が 短 く PCを 使 わなかった 日 において テレビ 視 聴 時 間 が 長 い はず
結 果 自 宅 でPCネットを 利 用 した 日 の 方 がテレビ 視 聴 時 間 が 長 い 150 145 140 135 145.1 数 値 はテレビ 視 聴 時 間 135.8 130 125 120 115 110 105 100 PC 利 用 日 PC 非 利 用 日
人 は 在 宅 時 間 に 応 じて ふだん 利 用 してい るメディアを 使 いわける テレビ 視 聴 や 新 聞 閲 読 時 間 パソコン 利 用 等 メディア 利 用 に 関 していえば 現 状 では 限 られた 在 宅 自 由 時 間 内 で 一 方 的 に 時 間 を 奪 うという 構 図 は 妥 当 せず 在 宅 自 由 時 間 に 応 じた 配 分 でそれぞれの 時 間 を 伸 縮 させてい る 明 瞭 な カニバリズム 関 係 にはない
在 宅 時 間 が 長 いと テレビ 自 宅 PC のいずれも 長 くなる 在 宅 時 間 自 宅 でテレビ 自 宅 で 携 帯 ネット 700 分 以 下 82.7 自 宅 でPCネット 11.3 10.1 700 分 850 分 未 満 145.8 15.5 17.3 850 分 1160 分 未 満 204.7 1615.6 在 宅 1160 分 以 上 275.5 23.416.4 0 50 100 150 200 250 300 350 34
在 宅 時 間 に 占 めるテレビ 視 聴 時 間 の 比 率 は ほぼ 一 定 ( 在 宅 時 間 が700 分 以 上 の 人 では 約 20%) 自 宅 でテレビ 自 宅 でPCネット 自 宅 で 携 帯 ネット 700 分 以 下 16.1 2.2 1.9 700 分 850 分 未 満 18.8 2 2.2 850 分 1160 分 未 満 20.7 1.7 1.6 在 宅 1160 分 以 上 20.7 1.8 1.2 0 5 10 15 20 25 30 ちなみに NHK 国 民 生 活 時 間 調 査 のデータを 元 にした 橋 元 の 再 分 析 によれば 1970 年 から1995 年 にかけ テレビ 視 聴 時 間 は 一 貫 して 在 宅 起 床 時 間 の 約 40% 35
ただし 詳 細 にみれば 在 宅 時 間 に 占 める 比 率 は 年 層 によって 差 があり 若 年 層 ほど 比 率 が 下 がる 他 にやることがいっぱいある 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 全 体 19.1 10 代 13.2 20 代 16.2 30 代 17.1 40 代 18.0 50 代 21.3 60 代 23.1
相 関 分 析 でも 15 29 才 ではテレビと PCネット はカニバらず( 無 相 関 ) テレビ と PCネット 動 画 は ほぼまったく 無 相 関 サイトに 書 き 込 む に 至 っては テレビ 視 聴 時 間 と 正 の 相 関 テレビ 視 聴 時 間 との 相 関 (15-29 才 ) 相 関 係 数 有 意 水 準 有 意 水 準 表 N パソコン ネット 動 画 -0.05887 0.1827 n.s. 514 メールの 読 み 書 き -0.04652 0.2925 n.s. 514 サイトを 見 る -0.08369 0.058 n.s. 514 サイトに 書 き 込 む 0.08873 0.0444 * 514 チャット メッセンジャー -0.09439 0.0324 * 514 (ネット 動 画 利 用 者 限 定 ) ネット 動 画 -0.00311 0.984 n.s. 44 有 意 水 準 は 危 険 率 を 表 し 数 値 が 低 いほど 有 意 な 関 連 と 断 言 しても 過 ちの 可 能 性 が 低 いことを 表 す これが0.9だと ほぼまったく 有 意 な 関 連 とは 言 えないことを 示 す 実 際 相 関 係 数 は0に 近 い
また 携 帯 での 動 画 視 聴 がテレビを 喰 っているわけでもない ~テレビ 視 聴 を 喰 いそうなサービスの 利 用 はごく 短 時 間 携 帯 画 面 での 画 像 情 報 接 触 時 間 の 年 層 別 比 較 ( 単 位 : 分 )
若 年 層 で 携 帯 メール サイト 閲 覧 時 間 はかなり 長 いが( 下 図 ) 10 代 20 代 の それぞれの 時 間 と テレビ 視 聴 時 間 は 有 意 な 正 の 相 関 ~ 携 帯 をいじっている 子 ほど テレビ 視 聴 時 間 も 長 い 分 45.0 携 帯 メールを 読 む 書 く サイトを 見 る 40.0 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 テレビ 視 聴 時 間 との 相 関 (15-29 才 ) メールの 読 み 書 き 0.097* サイトを 見 る 0.099*
若 者 のテレビ 視 聴 時 間 が 減 少 しつつあり PC ネットや 携 帯 が 主 因 でないとすれば 他 に? (1) 視 聴 機 器 の 多 様 化 ~ テレビモニターでの 生 視 聴 が 減 少? (2)タイムシフト( 録 画 ) 視 聴? (3)テレビがあきられつつある?
(1) 視 聴 機 器 の 多 様 化?(BPO 調 査 ) 0.05% 0.00% 0.82% 0.73% 0.27% 0.50% 1.42% 0.00% 1. テレビモニター 2. チューナー 付 きパソコン 3. ワンセグ 4. 動 画 投 稿 サイト 96.21% 5. カーナビ 6. HDDでの 録 画 再 生 7. ビデオ DVDでの 録 画 再 生 8. パソコン 録 画 再 生 9. 携 帯 電 話 携 帯 機 器 での 録 画 再 生 依 然 テレビモニターが96% ワンセグ パソコン 経 由 等 は 微 小
(2)タイムシフト 視 聴 しているわけでもない 若 年 層 の 録 画 視 聴 はむしろ 短 い 年 層 別 にみた 録 画 テレビ 番 組 の 視 聴 時 間 ( 単 位 : 分 )
(3)テレビがあきられつつある? これは 言 えそう 情 報 メディア 中 では 重 要 性 低 下 (BPO 調 査 ) あなたにとって 重 要 なメディア 2.9 1 位 2 位 3 位 4 位 ゲーム 機 8.4 21.9 66.9 テレビ 11.6 43.1 35.7 9.7 パソコン 16.1 25.7 37.9 20.3 携 帯 電 話 69.5 22.8 4.5 3.2 0% 20% 40% 60% 80% 100%
過 去 は テレビが 圧 倒 的 に 大 切 なメディア であった 情 報 化 社 会 と 青 少 年 調 査 [ 総 務 庁 内 閣 府 ]( あなたにとっ て 大 切 なメディア(3つ 選 択 ) )で テレビ の 比 率 80 75 70 65 60 71.4 76.8 79.1 55 50 第 2 回 (1991) 第 3 回 (1996) 第 4 回 (2001) Cf.2006 年 調 査 では この 質 問 は 削 除
すでに 半 数 は なくても 困 らない (BPO 調 査 ) ないと 困 る なくても 困 らない 等 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全 体 49.5 50.5 パソコン1 位 18.0 82.0 高 校 生 61.7 38.3 大 学 生 42.4 57.6 社 会 人 42.2 57.8
テレビがなければないでいい という 人 が 多 くなっている 他 方 他 メディア とくにケータイとのながら 行 動 も 増 加
ながら の 実 態 (BPO 番 組 表 調 査 ) 全 体 男 性 女 性 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 携 帯 電 話 15.1 18.8 22.0 パソコン 2.9 5.6 8.7 紙 媒 体 食 事 4.8 5.3 4.4 24.8 26.9 29.3 身 支 度 7.5 10.6 13.2 数 値 は 視 聴 された 番 組 で それぞれ ながら 利 用 行 動 があった 番 組 の 比 率
時 刻 別 テレビ 視 聴 と 他 の 行 動 (BPO 調 査 ) 100% テレビ 視 聴 行 為 者 率 ( 右 軸 ) 携 帯 いずれか パソコンいずれか 食 事 身 支 度 40% 75% 30% 50% 20% 25% 10% 0% 0% 4:00 4:30 5:00 5:30 6:00 6:30 7:00 7:30 8:00 8:30 9:00 9:30 10:00 10:30 11:00 11:30 12:00 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 17:00 17:30 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00 22:30 23:00 23:30 0:00 0:30 1:00 1:30 2:00 2:30 3:00 3:30 平 日 午 後 6 時 台 にはテレビ 視 聴 者 の35%が 携 帯 電 話 ( 赤 線 )をいじる
視 聴 中 のネット 利 用 行 動 も 頻 繁 化 (BPO 調 査 ) 0 5 10 15 20 25 番 組 内 に 出 てきたことがらについて インターネットで 検 索 する 番 組 を 見 ながら 番 組 の 内 容 について 友 人 知 人 とメール 交 換 する 番 組 の 内 容 について 友 人 知 人 とメール 交 換 する 放 送 局 の 番 組 公 式 サイトを 見 る 番 組 の 放 送 予 定 について 友 人 知 人 とメール 交 換 する 番 組 の 内 容 について ネット 上 で 他 の 人 の 感 想 や 意 見 を 見 る 番 組 を 見 ながら 出 演 者 のプロフィールをネットで 検 索 する 番 組 を 見 ながら 2ちゃんねるなどの 関 連 スレッドを 見 る 書 く 番 組 の 内 容 について ネット 上 で 感 想 や 意 見 などを 書 く 番 組 内 に 出 てきた 商 品 を インターネットを 通 じて 購 入 する 2.9 5.1 4.8 10.3 12.9 11.6 19.6 18.3 17 23.5
集 中 度 と 専 念 度 集 中 度 ~ 集 中 してか ぼんやり 専 念 度 ~ 専 念 か ながら か 番 組 の6 割 は ぼんやりとながらで 視 聴 集 中 度 専 念 度 0% 20% 40% 60% 80% 全 体 (N=2117) バラエティー(N=850) ニュース 系 (N=353) 21.5% ドラマ(N=250) ワイドショー 情 報 討 論 アニメ(N=157) スポーツ(N=105) 音 楽 (N=94) ドキュメンタリー(N=45) 教 育 教 養 (N=32) 映 画 (N=14) 42.5% 42.3% 47.2% 20.4% 46.1% 62.8% 21.2% 56.8% 29.0% 48.4% 52.2% 47.6% 56.2% 51.1% 54.3% 42.2% 55.6% 37.5% 40.6% 35.7% 42.9%
テレビは 従 来 から(NHK 調 査 では) 専 念 度 は 50% 程 度 で ながら のメディア しかし 以 前 のながら 行 動 の 相 手 は 主 に 食 事 や 身 支 度 今 のながら 相 手 1 位 のケータイは それ 自 体 集 中 力 を 必 要 とする(eg. メールを 書 く 等 ) 実 質 的 にテレビの ながら ぼんやり 視 聴 の 度 合 いは これまで 以 上 に 大 きくなってい る あまり 一 生 懸 命 見 るメディアではなくな ってきている 見 ることにさほどこだわりなし
しかし 依 然 重 要 な 側 面 も (1) 余 暇 の 時 間 つぶしとしては 依 然 重 要 なメディア (2)ニュースの 第 一 情 報 取 得 源 としての 重 要 性 (3) 高 い 効 用 感 (4) 高 い 信 頼 性
(1) 余 暇 活 動 としては 重 要 な 位 置 づけ あなたが 余 暇 を 過 ごすにあたって 重 要 なことがらは? ( 複 数 回 答 選 択 肢 40)(BPO 調 査 ) 携 帯 には 劣 るが まだまだ 重 要 な 余 暇 の 娯 楽 源 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 携 帯 電 話 のメール テレビ( 生 / 録 画 ) 買 い 物 音 楽 鑑 賞 マンガ 映 画 74.2% 71.3% 66.1% 57.1% 50.3% 44.8%
(2) 第 一 情 報 源 としての 重 要 性 (あなたが アメリカ 大 統 領 オバマ 氏 に 決 定 を 知 った 最 初 の メディアは 何 か?~BPO 調 査 ) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 テレビ 73.9 家 族 友 人 携 帯 電 話 ネット PCネット 新 聞 8.8 7.2 3.3 4.3
(3) 効 用 感 (あなたにとって メディアは 次 のようなことに 役 にたっていると 思 うか? )~BPO 調 査 地 上 波 テレビ 動 画 配 信 サイト 動 画 投 稿 サイト 世 の 中 の 動 きに おくれないでついていく 関 心 がなかったことでも 知 識 が 得 られる 自 分 の 好 きなことや 趣 味 を 深 めることができる 他 人 との 共 通 の 話 題 が 得 られる 時 間 をつぶす 思 い 切 り 泣 いたり 感 動 する 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 7.5 15.0 11.1 14.2 20.8 36.7 9.3 20.8 23.0 36.7 5.8 12.8 81.0 69.9 54.0 78.3 69.9 66.8 役 に 立 っている の 回 答 比 率
(4) 信 頼 性 ~ 高 いテレヒ への 信 頼 度 ( あなたは 次 のメディアをどのくらい 信 頼 しているか? ~BPO 調 査 ) 非 常 に 信 頼 ある 程 度 信 頼 どちらとも あまり 信 頼 せず 全 く 信 頼 せず テレビのニュース 23.6 61.3 10.7 4.20.3 テレビの 情 報 番 組 ワイドショー 4.5 47.1 33.9 11.9 2.6 新 聞 記 事 28.4 50.3 16.8 3.90.7 雑 誌 記 事 2.3 42.4 35.6 16.5 3.2 ネットの 記 事 3.2 37.9 40.8 16.5 1.6 ネットのブログ 1.0 12.3 50.3 25.8 10.7 ネットの 掲 示 板 の 書 き 込 み 0.7 8.4 33.6 37.4 20.0 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
まとめ (1) 若 年 層 のテレビ 離 れは 進 んでいる (2)しかし ネット 利 用 がテレビ 視 聴 時 間 を 直 接 的 に 侵 蝕 したわけではない 携 帯 利 用 が 侵 蝕 しているわけでも ない (3) 在 宅 時 間 に 応 じて 諸 メディアへ 割 く 時 間 は 相 応 の 割 合 である (4)タイムシフト 視 聴 ( 録 画 視 聴 )が 進 んでいるわけでもない (5)しかし メディアとしての 重 要 度 認 識 が 低 下 している (6)テレビ 視 聴 と 他 メディアのながら 行 動 も 増 加 テレビ 番 組 への 興 味 関 心 が 低 下 しており どうしても 見 たいという 欲 求 が 希 薄 化 ( 強 いていえばこうした 感 覚 が 視 聴 時 間 を 低 下 させている)
しかし (1) 余 暇 の 時 間 つぶしの 手 段 として (2) 第 一 情 報 源 として まだまだ 重 要 また (3) 効 用 感 (4) 信 頼 度 も 依 然 高 い
さらに テレビは 他 の 娯 楽 ソフトの 重 要 な 提 供 源 であ る (アクセスしたネット 動 画 投 稿 サイトの 中 身 の4 割 以 上 がテレビ 番 組 関 連 ) PC ケータイネットで 独 自 コンテンツは 未 成 熟 (とくにニュースの 取 材 力 はほとんどない) 情 報 プロバイダー コンテンツクリエイター としてのテレビの 使 命 は これからも 依 然 として 重 要 (か?)