平 成 24 年 3 月 期 から 会 計 上 の 変 更 及 び 誤 謬 の 訂 正 に 関 する 会 計 基 準 ( 以 下 過 年 度 遡 及 会 計 基 準 ) ( 企 業 会 計 基 準 第 24 号 平 成 21 年 12 月 4 日 )が 新 たに 適 用 されます また 平 成 23 年 3 月 期 から 導 入 された 資 産 除 去 債 務 に 関 する 会 計 基 準 ( 企 業 会 計 基 準 第 18 号 平 成 20 年 3 月 31 日 )は2 年 目 となります さらに こ のたびの 東 日 本 大 震 災 により 固 定 資 産 の 減 損 の 検 討 が 必 要 となるケースや 固 定 資 産 に 関 して 補 助 金 保 険 金 等 を 受 領 するケースも 生 じると 予 想 されます 今 回 は 固 定 資 産 に 関 する 会 計 トピックのうち 減 価 償 却 方 法 の 変 更 と 資 産 除 去 債 務 の 遡 及 適 用 との 関 連 固 定 資 産 の 滅 失 減 損 圧 縮 記 帳 について 会 計 上 における 留 意 点 を 解 説 します なお 本 稿 の 意 見 に 関 する 部 分 は 筆 者 の 個 人 的 見 解 であること 及 び 今 後 の 制 度 の 改 正 等 により 変 更 が 行 われる 可 能 性 があることを あらかじめお 断 りします 1. 遡 及 適 用 の 概 要 過 年 度 遡 及 会 計 基 準 では 会 計 上 の 変 更 過 去 の 誤 謬 の 訂 正 について 以 下 のように 会 計 上 の 原 則 的 な 取 扱 いを 定 めています 会 計 上 の 原 則 的 な 取 扱 い 会 計 上 の 変 更 会 計 方 針 の 変 更 遡 及 処 理 する( 遡 及 適 用 ) 表 示 方 法 の 変 更 遡 及 処 理 する( 財 務 諸 表 の 組 替 え) 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 遡 及 処 理 しない 過 去 の 誤 謬 の 訂 正 遡 及 処 理 する( 修 正 再 表 示 ) 2. 減 価 償 却 方 法 の 遡 及 適 用 における 取 扱 い 会 計 上 減 価 償 却 は 一 般 に 公 正 妥 当 と 認 められる 減 価 償 却 の 基 準 に 基 づき 各 企 業 が 自 己 の 固 定 資 産 につきその 特 殊 的 条 件 を 考 慮 して 自 主 的 に 決 定 するべきものであるとされています 減 価 償 却 の 方 法 は 会 計 方 針 とされる 一 方 で 耐 用 年 数 は 会 計 上 の 見 積 りとして 取 り 扱 われることとなります これらが 変 更 となった 場 合 過 年 度 遡 及 会 計 基 準 における 取 扱 いが 問 題 となります 減 価 償 却 の 方 法 耐 用 年 数 定 額 法 定 率 法 など 経 済 的 に 使 用 可 能 と 予 測 される 年 数
(2) 実 務 上 の 取 扱 い 減 価 償 却 の 方 法 は 会 計 方 針 にあたるため その 変 更 は 本 来 会 計 方 針 の 変 更 として 遡 及 適 用 の 対 象 と なります しかしながら 減 価 償 却 方 法 の 変 更 については 会 計 方 針 の 変 更 を 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 と 区 別 することが 困 難 な 場 合 ( 過 年 度 遡 及 会 計 基 準 第 19 項 及 び 第 20 項 )として 取 り 扱 われ 遡 及 適 用 は 行 わないこととなっています この 取 扱 いが 行 われる 背 景 としては 減 価 償 却 の 方 法 について 2つの 考 え 方 が 存 在 することにありま す 1つは 減 価 償 却 の 方 法 は 固 定 資 産 の 経 済 的 便 益 の 消 費 パターンの 見 積 りの 予 測 を 反 映 したもので あり その 償 却 方 法 は 会 計 上 の 見 積 りであるとする 考 え 方 です もう1つは 減 価 償 却 が 計 画 的 規 則 的 な 償 却 を 行 っているのは 固 定 資 産 の 消 費 パターンの 見 積 りが 取 得 時 点 では 難 しいからであり 会 計 方 針 に あたるとする 考 え 方 です このような 背 景 から 減 価 償 却 方 法 の 変 更 については 会 計 方 針 の 変 更 と 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 のいずれか 区 別 することが 困 難 とされ 遡 及 適 用 は 行 なわないこととなりました ( 過 年 度 遡 及 会 計 基 準 第 59 項 及 び 第 60 項 ) また 耐 用 年 数 の 変 更 についても 過 去 に 定 めた 耐 用 年 数 がその 時 点 での 合 理 的 な 見 積 りに 基 づくも のであり 変 更 後 の 耐 用 年 数 も 合 理 的 な 見 積 りによるものであれば 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 とされ 遡 及 適 用 は 不 要 となります 一 方 減 価 償 却 方 法 耐 用 年 数 についての 過 去 の 見 積 りが 合 理 的 でなかった 場 合 は 過 去 の 誤 謬 の 訂 正 として 修 正 再 表 示 の 対 象 となります 3. 資 産 除 去 債 務 の 遡 及 適 用 における 取 扱 い 平 成 22 年 4 月 1 日 以 後 開 始 する 事 業 年 度 から 資 産 除 去 債 務 に 関 する 会 計 基 準 が 適 用 されています 資 産 除 去 債 務 では 資 産 除 去 債 務 の 履 行 時 期 や 将 来 の 最 終 的 な 除 去 費 用 について 見 積 りが 行 なわれ ます その 際 有 形 固 定 資 産 の 除 去 に 要 する 割 引 前 の 将 来 キャッシュ フローを 見 積 り 割 引 後 の 金 額 ( 割 引 価 値 )に 換 算 されます また 割 引 前 の 将 来 キャッシュ フローに 重 要 な 見 積 りの 変 更 が 生 じた 場 合 には 資 産 除 去 債 務 の 修 正 が 必 要 となります また 資 産 除 去 債 務 の 発 生 時 に 資 産 除 去 債 務 の 履 行 時 期 の 予 測 や 将 来 の 最 終 的 な 除 去 費 用 の 見 積 りが 困 難 であるため 当 該 債 務 を 合 理 的 に 見 積 ることが 出 来 ないような 場 合 には 当 該 債 務 額 を 合 理 的 に 見 積 ることが 出 来 るようになった 時 点 で 負 債 として 計 上 することになります 平 成 23 年 4 月 1 日 以 後 に 開 始 する 事 業 年 度 からは 適 用 2 年 目 となり 当 初 見 積 りを 行 った 資 産 除 去 債 務 について 修 正 又 は 新 たに 計 上 を 行 うケースが 生 じることが 考 えられます 当 初 の 見 積 りとの 現 在 の 状 況 との 間 に 相 違 が 生 じた 場 合 に 遡 及 適 用 との 関 連 が 問 題 となります
(2) 実 務 上 の 取 り 扱 い 資 産 除 去 債 務 は 会 計 上 の 見 積 りにあたるため 当 初 の 見 積 りがその 時 点 での 合 理 的 な 見 積 りによるも のであれば 遡 及 適 用 の 必 要 はないと 考 えられます また 法 令 の 改 正 等 により 資 産 除 去 債 務 が 新 たに 発 生 した 場 合 についても 将 来 キャッシュ フローの 見 積 りの 変 更 と 同 様 に 取 り 扱 うため 遡 及 適 用 の 必 要 はないと 考 えられます ( 資 産 除 去 債 務 に 関 する 会 計 基 準 第 10 項 ) また 合 理 的 な 見 積 りが 出 来 なかった 有 形 固 定 資 産 について その 後 合 理 的 な 見 積 りが 可 能 となり 資 産 除 去 債 務 を 計 上 する 場 合 についても 将 来 キャッシュ フローの 見 積 りの 変 更 と 同 様 に 扱 うため この 場 合 も 遡 及 適 用 の 必 要 はないと 考 えられます ( 同 第 5 項 ) 一 方 過 去 の 見 積 りが 合 理 的 ではなかったため 資 産 除 去 債 務 の 計 上 額 を 修 正 する 場 合 は 見 積 りの 変 更 ではなく 過 去 の 誤 謬 の 訂 正 となり 修 正 再 表 示 の 対 象 となります 4. 固 定 資 産 の 滅 失 減 損 固 定 資 産 は 取 得 原 価 主 義 により 取 得 時 の 価 額 で 計 上 するのが 原 則 となりますが 災 害 等 により 固 定 資 産 の 物 理 的 な 滅 失 が 生 じた 場 合 は 損 失 処 理 を 行 う 必 要 があります また 固 定 資 産 の 収 益 性 の 低 下 により 投 資 額 の 回 収 が 見 込 めなくなった 場 合 一 定 の 条 件 の 下 で 回 収 可 能 性 を 反 映 させるように 帳 簿 価 額 を 減 額 する 必 要 があります 今 回 の 東 日 本 大 震 災 においては 固 定 資 産 の 損 壊 及 び 事 業 環 境 の 変 化 による 将 来 キャッシュ フロー の 見 積 り 等 への 影 響 が 多 岐 にわたり 予 想 されます これらについての 取 扱 いも 含 め 日 本 公 認 会 計 士 協 会 から 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 による 災 害 に 関 する 監 査 対 応 について ( 日 本 公 認 会 計 士 協 会 平 成 23 年 3 月 30 日 )が 公 表 されています (2) 固 定 資 産 の 滅 失 災 害 等 により 物 理 的 な 滅 失 が 生 じた 固 定 資 産 については 固 定 資 産 の 滅 失 として 取 り 扱 われることにな ります 原 則 として 当 該 損 失 を 示 す 適 当 な 名 称 を 付 した 科 目 でもって 損 益 計 算 書 の 特 別 損 失 として 計 上 することになると 考 えられます また この 際 に 損 害 保 険 の 付 保 による 保 険 金 の 受 取 りについて 受 取 保 険 金 の 確 定 までにかなり 時 間 を 要 する 場 合 には 保 険 の 状 況 を 注 記 において 説 明 することが 考 えられます (3) 災 害 損 失 引 当 金 の 取 扱 い 災 害 損 失 について 実 際 の 損 害 額 の 確 定 が 次 期 以 降 となる 場 合 将 来 に 発 生 が 予 想 される 損 失 の 額 を 合 理 的 な 方 法 で 見 積 り 災 害 損 失 引 当 金 等 の 適 当 な 科 目 をもって 計 上 します 次 期 以 降 に 金 額 が 確 定 し た 際 に 当 初 の 見 積 額 との 差 額 が 生 じた 場 合 差 額 についての 計 上 区 分 が 問 題 となります 過 年 度 遡 及 会 計 基 準 において 引 当 額 の 過 不 足 が 計 上 時 の 見 積 り 誤 りに 起 因 する 場 合 には 過 去 の 誤 謬 に 該 当 するため 修 正 再 表 示 を 行 うこととなる とある 一 方 で 過 去 の 財 務 諸 表 作 成 時 において 入 手 可 能 な 情 報 に 基 づき 最 善 の 見 積 りを 行 った 場 合 には 当 期 における 状 況 の 変 化 により 会 計 上 の 見 積 りの 変 更 を 行 ったときの 差 額 又 は 実 績 が 確 定 したときの 見 積 金 額 との 差 額 は その 変 更 のあった 期 又 は 実 績 が 確 定 した 期 に その 性 質 により 営 業 損 益 又 は 営 業 外 損 益 として 認 識 する ( 過 年 度 遡 及 会 計 基 準 55 項 )とあります
発 生 原 因 引 当 額 の 過 不 足 が 計 上 時 の 見 積 り 誤 りに 起 因 する 場 合 過 去 の 財 務 諸 表 作 成 時 において 入 手 可 能 な 情 報 に 基 づき 最 善 の 見 積 りを 行 った 場 合 見 積 りの 差 額 が 生 じた 場 合 の 原 則 的 な 取 扱 い 修 正 再 表 示 ( 過 去 の 誤 謬 に 該 当 ) 営 業 損 益 又 は 営 業 外 損 益 として 認 識 我 が 国 の 会 計 実 務 においては 貸 倒 引 当 金 等 引 当 金 の 戻 入 額 は 特 別 利 益 とする 会 計 処 理 が 広 く 行 われてきましたが 今 回 の 過 年 度 遡 及 会 計 基 準 によれば 最 善 の 見 積 りにより 計 上 された 引 当 金 の 戻 入 額 を 特 別 利 益 と 計 上 することはできないと 解 される 可 能 性 があります しかしながら 貸 倒 引 当 金 等 は 経 常 的 に 発 生 し 繰 入 時 に 営 業 費 用 又 は 営 業 外 費 用 に 計 上 されるのに 対 し 災 害 損 失 は 臨 時 的 なものであり 発 生 した 際 は 一 般 的 に 特 別 損 失 に 計 上 されます よって 貸 倒 引 当 金 等 の 経 常 的 な 項 目 の 戻 入 額 については 原 則 として 営 業 損 益 又 は 営 業 外 損 益 とするのが 妥 当 である と 考 えられますが 一 方 臨 時 性 の 持 つ 災 害 損 失 引 当 金 の 戻 入 額 については 特 別 利 益 に 計 上 されるこ とは 否 定 されないと 考 えられます (4) 固 定 資 産 の 減 損 固 定 資 産 の 収 益 性 の 低 下 により 投 資 額 の 回 収 が 見 込 めなくなった 場 合 一 定 の 条 件 の 下 で 回 収 可 能 性 を 反 映 させるように 帳 簿 価 額 を 減 額 する 必 要 があります この 際 将 来 キャッシュ フローの 見 積 りを 行 ない その 結 果 に 基 づき 減 損 の 要 否 を 検 討 します 今 回 の 東 日 本 大 震 災 のような 大 規 模 な 災 害 時 にお いては 固 定 資 産 の 経 済 的 耐 用 年 数 に 影 響 が 及 ぶことも 考 えられます この 場 合 震 災 による 固 定 資 産 の 経 済 的 残 存 使 用 年 数 への 影 響 も 考 慮 し 将 来 キャッシュ フローの 見 積 りを 行 うことになります 5. 圧 縮 記 帳 に 関 する 取 り 扱 い 東 日 本 大 震 災 では 多 くの 固 定 資 産 に 損 害 が 生 じました 政 府 等 においても 様 々な 措 置 がなされており その 復 旧 にあたっては 補 助 金 保 険 金 等 を 受 領 するケースが 多 く 生 じるものと 思 われます 会 計 上 有 形 固 定 資 産 は 取 得 原 価 主 義 に 基 づき 取 得 原 価 により 計 上 されます 一 方 税 務 上 は 一 定 の 要 件 を 満 たす 固 定 資 産 について 圧 縮 記 帳 を 行 うことが 認 められます これに 対 応 し 圧 縮 記 帳 につい て 会 計 上 も 圧 縮 記 帳 に 関 する 監 査 上 の 取 扱 い ( 監 査 第 一 委 員 会 報 告 第 43 号 昭 和 58 年 3 月 29 日 )が 定 められています
(2) 圧 縮 記 帳 の 効 果 圧 縮 記 帳 は 補 助 金 等 の 課 税 の 繰 延 べを 目 的 として 行 なわれます 圧 縮 記 帳 を 行 うことで 益 金 に 算 入 さ れる 補 助 金 等 と 損 金 に 算 入 される 固 定 資 産 の 取 得 価 額 が 相 殺 され 圧 縮 した 事 業 年 度 には 補 助 金 等 に 対 する 課 税 が 行 なわれないこととなります 一 方 損 金 算 入 により 固 定 資 産 の 税 務 上 の 取 得 価 額 が 減 額 されるため 各 事 業 年 度 の 減 価 償 却 費 は 減 少 します これにより 取 得 時 に 損 金 算 入 された 圧 縮 額 が 償 却 期 間 中 に 配 分 され 減 価 償 却 費 の 損 金 算 入 限 度 額 が 減 少 することで 課 税 が 行 われることになります (3) 圧 縮 記 帳 の 要 件 税 務 上 圧 縮 記 帳 が 認 められる 主 なケースとして 以 下 が 挙 げられます i. 国 庫 補 助 金 等 で 取 得 した 固 定 資 産 ii. 特 定 資 産 の 買 換 え( 既 成 市 街 地 等 の 区 域 内 から 区 域 外 への 買 換 えなど) iii. 工 事 負 担 金 で 取 得 した 固 定 資 産 iv. 保 険 金 等 で 取 得 した 固 定 資 産 (4) 圧 縮 記 帳 の 会 計 処 理 税 法 の 規 定 を 適 用 して 行 なう 会 計 処 理 について 次 の2つのいずれかの 要 件 を 満 たす 場 合 は 会 計 上 も 妥 当 なものとして 取 り 扱 われます i. 交 換 により 譲 渡 資 産 と 同 一 種 類 同 一 用 途 の 固 定 資 産 を 取 得 し 取 得 資 産 の 取 得 価 額 として 譲 渡 資 産 の 帳 簿 価 額 を 付 した 場 合 ii. 収 用 等 により 資 産 を 譲 渡 し 新 たに 取 得 した 資 産 が 譲 渡 資 産 と 同 一 種 類 同 一 用 途 である 等 取 得 資 産 の 価 額 として 譲 渡 資 産 の 帳 簿 価 額 を 付 すことが 適 当 と 認 められるときに 譲 渡 益 相 当 額 をその 取 得 価 額 から 控 除 した 場 合 ( 圧 縮 記 帳 に 関 する 監 査 上 の 取 扱 い) なお 法 人 税 法 第 47 条 の 保 険 差 益 については 同 一 種 類 同 一 用 途 の 固 定 資 産 を 取 得 した 場 合 は 交 換 取 引 に 準 ずるものとして 取 り 扱 うことができます ( 圧 縮 記 帳 に 関 する 監 査 上 の 取 扱 い Ⅲ5) また 圧 縮 記 帳 の 会 計 処 理 の 方 法 としては 直 接 減 額 方 式 及 び 積 立 金 方 式 の2つが 認 められていま す ( 仕 訳 例 ) 直 接 減 額 方 式 ( 借 ) 固 定 資 産 圧 縮 損 積 立 金 方 式 ( 借 ) 繰 越 利 益 剰 余 金 ( 貸 ) 固 定 資 産 ( 貸 ) 圧 縮 積 立 金
1 直 接 減 額 方 式 直 接 減 額 方 式 は 圧 縮 損 を 計 上 し 固 定 資 産 の 取 得 原 価 を 直 接 減 額 することで 課 税 の 繰 延 べを 行 いま す 直 接 減 額 方 式 では 会 計 処 理 は 容 易 となりますが 財 務 諸 表 上 固 定 資 産 が 取 得 原 価 で 表 示 されな いため 減 価 償 却 額 等 の 費 用 が 実 際 より 過 少 に 計 上 されるという 問 題 が 生 じます このため 開 示 の 際 は 圧 縮 記 帳 について 金 額 等 の 注 記 を 行 うこととなります 2 積 立 金 方 式 積 立 金 方 式 による 圧 縮 記 帳 では 会 計 上 固 定 資 産 の 取 得 原 価 は 取 得 時 のままとしつつ 利 益 剰 余 金 の 積 立 て 及 び 取 崩 しを 行 うことにより 直 接 減 額 方 式 と 同 様 の 効 果 で 課 税 の 繰 延 べを 行 います 圧 縮 記 帳 を 積 立 金 方 式 で 行 う 場 合 は 会 社 法 の 決 算 において 株 主 資 本 等 変 動 計 算 書 に 積 立 額 及 び 取 崩 額 を 記 載 し 当 該 計 算 書 類 を 株 主 総 会 又 は 取 締 役 会 で 承 認 することになります この 際 固 定 資 産 の 税 務 上 の 簿 価 は 当 該 積 立 金 の 控 除 後 の 金 額 となりますが 会 計 上 の 簿 価 は 当 該 積 立 金 の 控 除 前 の 金 額 となります このため 将 来 加 算 一 時 差 異 が 発 生 することになります この 際 貸 方 には 繰 延 税 金 負 債 借 方 には 法 人 税 等 調 整 額 が 計 上 されます このため 圧 縮 積 立 金 は 税 効 果 相 当 額 を 減 額 した 純 額 で 純 資 産 の 部 に 計 上 が 行 なわれます 積 立 金 方 式 では 会 計 処 理 は 複 雑 となりますが 財 務 諸 表 上 固 定 資 産 が 圧 縮 前 の 取 得 原 価 で 表 示 され 減 価 償 却 額 等 の 計 上 額 も 変 わらずに 表 示 されるという 利 点 があります (5) 表 示 上 の 留 意 点 国 庫 補 助 金 等 によって 取 得 した 資 産 の 貸 借 対 照 表 上 の 表 示 については 以 下 のいずれかの 方 法 により ます ( 企 業 会 計 原 則 注 解 注 24) i. 取 得 原 価 から 国 庫 補 助 金 等 に 相 当 する 金 額 を 控 除 する 形 式 で 記 載 する 方 法 ii. 取 得 原 価 から 国 庫 補 助 金 等 に 相 当 する 金 額 を 控 除 した 残 額 のみを 記 載 し 当 該 国 庫 補 助 金 等 の 金 額 を 注 記 する 方 法 また 圧 縮 記 帳 を 行 った 場 合 その 旨 及 び 圧 縮 額 について 財 務 諸 表 上 に 注 記 を 行 います ( 圧 縮 記 帳 に 関 する 監 査 上 の 取 扱 い Ⅲ5) 参 考 文 献 週 刊 経 営 財 務 No.3024 ( 税 務 研 究 会 2011 年 7 月 18 日 ) 以 上 公 認 会 計 士 竹 田 英 秋 text : eishu takeda