1 え 技 術 紹 介 3 シグナルインティグリティと 放 射 ノイズの ケーブルによる 違 い Signal Integrity and Eletromagnetic Interference for three type of cable such as Micro Coax, UTP and FFC 池 田 浩 昭 Ikeda Hiroaki プロダクトマーケティング 本 部 キーワード: シグナルインティグリティ 放 射 ノイズ 細 線 同 軸 線 ツイストペア 線 FFC Keywords: Signal Integrity, Electromagnetic Interference, Micro Coaxial Cable, Unshielded Twisted pair cable, FFC 要 旨 電 子 機 器 の 内 部 のプリント 配 線 板 同 士 を 接 続 する ケーブルの 代 表 的 なものとして UTP(Unshielded Twisted Pair)ケーブル 細 線 同 軸 (Micro Coaxial)ケー ブル FFC(Flexible Flat Cable)があります これらのケーブルはコストや 機 械 的 特 性 電 気 的 特 性 を 考 慮 して 適 材 適 所 に 利 用 する 必 要 があります 本 稿 では これらのケーブルの 電 気 的 特 性 の 一 つで ある SI(Signal Integrity)と 放 射 ノイズに 関 して 実 験 結 果 をもとに 詳 しく 解 説 します SUMMARY A UTP (Unshielded Twisted Pair) cable, a small-gage wire coaxial (Micro Coaxial) cable, and FFC (Flexible Flat Cable) are one of typical things of the cable which connects the printed circuit boards inside an electronic device. In consideration of cost, a mechanical property, and an electrical property, it is necessary to use these cables for the right man in the right place. In this paper, SI(Signal Integrity) and EMI(Electromagnetic Interference) detail are explained using measurement results.
2 1. まえがき 様 々な 電 子 機 器 は 複 数 のプリント 配 線 板 (Printed Circuit Board : PCB) から 構 成 されており それぞれの PCB を 接 続 するためにコネクタやケーブルが 利 用 されています PCB 同 士 の 接 続 距 離 が 近 い 場 合 は 基 板 対 基 板 接 続 用 コネクタが 利 用 されます (http://jae-connectors.com/jp/slist_jp.cfm?type_code=t0010) 基 板 同 士 の 距 離 が 遠 い 場 合 や ラップトップコンピュータのヒンジ 部 のように 稼 働 部 がある 場 合 は おもにケーブルを 利 用 しなければなりません PCB 接 続 用 ケーブルと 一 口 に 言 いましても 図 1 に 示 すように STP(Shielded Twisted Pair)ケ ーブル UTP(Unshielded Twisted pair)ケーブル 細 線 同 軸 ケーブル(Micro Coaxial) FFC(Flexible Flat Cable) FPC(Flexible Printed Circuit)があり 機 能 面 以 外 にも コストや 納 期 等 により 使 い 分 ける 必 要 があります 導 体 導 体 シールド 材 絶 縁 材 STP (Shielded Twisted pair) 絶 縁 材 M-Coax(Micro Coaxial) 導 体 導 体 絶 縁 材 絶 縁 材 UTP (Unshielded Twisted pair) FFC & FPC 図 1. 各 種 ケーブル 表 1 に 各 ケーブルハーネスの 一 般 的 な 特 色 を 掲 げます STP UTP M-Coax ケーブルハー ネスは 製 造 するにあたり 特 別 な 初 期 投 資 (イニシャルコスト)が 不 要 であり 長 さや 信 号 結 線 の 変 更 が 容 易 で 自 由 度 は 高 くなります しかし FPC は PCB と 同 様 に 配 線 の 形 成 をエッチングで 行 いますので エッチングに 必 要 なマ
3 スク 費 用 絶 縁 及 び 回 路 保 護 のためのカバーフィルムや FPC 全 体 を 加 工 するための 金 型 費 用 が 必 ず 発 生 し 長 さの 変 更 には 金 型 を 変 更 しなければなりません したがいまして 設 計 変 更 には 金 型 費 用 及 びマスクや 納 期 が 余 計 に 必 要 となる 欠 点 がありま す 利 点 は STP や UTP と 比 較 して 非 常 に 薄 く PCB のように 部 品 を 半 田 付 けで 実 装 できること 数 量 がまとまれば 比 較 的 安 価 に 大 量 に 生 産 できる 点 です FPC と 似 た 構 造 を 持 つ FFC は 圧 延 された 導 体 を 絶 縁 材 でラミネートしてケーブルにしたもの であるため 結 線 を 途 中 でクロスするような 配 線 は 困 難 です また ラミネート 材 の 耐 熱 性 から 部 品 が 半 田 付 けできないことが 欠 点 ですが 金 型 費 やエッチング 用 のマスク 等 のイニシャル 費 用 が 不 要 であり FPC と 比 較 して 単 価 も 安 い 事 が 利 点 です さらに ケーブル 長 も 比 較 的 容 易 に 変 更 できます 量 産 単 価 では FFC UTP が 一 番 安 く 次 いで STP M-Coax FPC の 順 に 価 格 が 高 くなる 傾 向 があります 一 方 電 気 的 特 性 に 注 目 しますと ケーブル 単 体 では 高 価 な M-Coax ケーブルがもっとも 良 く 次 いで STP FPC FFC UTP の 順 と 言 われています 本 稿 では 実 際 の 電 子 機 器 で 利 用 することを 前 提 にケーブル 単 体 ではなく コネクタを 含 めた ケーブルハーネスとして 電 気 信 号 を 伝 達 する 性 能 (シグナルインティグリティ)と 他 の 電 子 機 器 の 動 作 を 妨 害 する 原 因 となる 不 要 電 磁 波 の 放 射 特 性 ( 放 射 ノイズ)を 検 証 しました 今 回 は UTP M-Coax FFC に 対 応 可 能 なコネクタとして レセプタクルに FI-RE シリーズ ケ ーブル 側 のプラグコネクタとして JF04/JF08 シリーズを 用 いて 検 証 しました 表 1. ケーブルの 特 徴 STP UTP M-Coax FFC FPC 単 価 やや 高 価 安 価 高 価 安 価 高 価 イニシャルコスト 不 要 不 要 不 要 不 要 要 試 作 納 期 短 短 短 中 長 信 号 の 自 由 度 大 大 大 無 大 形 状 の 自 由 度 大 大 大 無 大 設 計 変 更 の 自 由 度 容 易 容 易 容 易 やや 容 易 費 用 発 生 SI 良 やや 悪 い 良 やや 悪 い 良 EMC 良 悪 い 大 変 良 やや 悪 い 良
4 2. 供 試 サンプル 図 2 に 今 回 の 実 験 で 使 用 した 試 験 サンプル 図 3 にレセプタクルコネクタと 測 定 機 の 同 軸 ケー ブルを 接 続 するための SMA(Sub Miniature Type A)コネクタが 実 装 された 治 具 基 板 を 示 します FFC は 0.5 mm ピッチで 導 体 幅 0.2 mm 導 体 厚 35 μm で 信 号 面 とグランド 面 を 持 つ 2 層 構 造 となっており 低 クロストークと 一 定 の 特 性 インピーダンスを 得 易 くなっています 信 号 層 の 配 線 と 裏 面 のグランド 層 は FPC のようにスルーホールビアで 接 続 できる 構 造 ではなく それぞれと 独 立 しており プラグ 及 び レセプタクルコネクタの 金 属 シェルを 通 して PCB のグランド に 接 地 させています また プラグコネクタには 独 立 したコンタクトがなく FFC の 配 線 がそのまま レセプタクル 側 の コンタクトに 接 触 する 構 造 になっています M-Coax は AWG36(American Wire Gage)を 使 用 しており M-Coax の 外 部 導 体 は 棒 状 の 導 体 で 一 括 して 導 通 さ せて プラグの 金 属 シェル 及 び レセプ タクル 側 の 金 属 シェルを 介 して PCB の グランドに 接 地 させています UTP は AWG30 を 使 い 単 体 ケーブル を 捩 り 合 わせて 一 定 の 特 性 インピーダ ンスとなるようにしました コネクタのプラグ 及 びレセプタクルは 差 動 信 号 伝 送 を 基 本 として グランド (G)- 信 号 (S) - 信 号 (S)-グランド(G) - 信 号 (S) - 信 号 (S)-グランド(G)として 差 動 信 号 ペア 間 は 結 合 が 強 く それぞれの 差 動 信 号 ペア 同 士 はクロストークが 低 減 される 配 置 になっています 各 ケーブルは 長 さ 500 mm 1000 mm の 2 種 類 合 計 6 本 のケーブルの 伝 送 特 性 と 放 射 ノイズ 特 性 を 測 定 しました FFC M-Coax 図 2. 試 験 サンプル UTP 図 3. 測 定 治 具 基 板
5 3.シグナルインティグリティ TDR オシロスコープ(Time Domain Reflectometry) 1) を 使 って 測 定 したインピーダンスプロファイ ルを 図 4に 示 します 実 際 の TDR オシロスコープでの 測 定 は 特 性 インピーダンスを 直 接 計 測 しているわけではなく 非 常 に 高 速 なステップパルス 信 号 ( 振 幅 200 mv 立 ち 上 がり 時 間 30 ps )を 印 加 して その 反 射 波 形 を 観 測 し 式 (1)で 特 性 インピーダンスに 置 き 換 えています 1 Γ Z DUT Z o (1) 1 Γ 反 射 電 圧 ただし Γ Z 計 測 の 基 準 インピーダンス 入 力 電 圧 o 図 4 は 横 軸 が 時 間 [sec]で 縦 軸 が 反 射 波 形 から 計 算 されたインピーダンスです 今 回 のケーブ ルは 差 動 信 号 を 伝 達 する 目 的 で 製 作 されていますので それぞれの 信 号 線 に 正 負 逆 相 のス テップパルス 信 号 ( 差 動 信 号 )を 印 加 して 観 測 しました それぞれのケーブルの TDR 測 定 結 果 を 見 ますと FFC M-Coax は 非 常 に 良 好 な 特 性 で 差 動 インピーダンスの 設 計 ター ゲットが 100 Ω に 対 して ±10 Ω 以 内 になっています 特 に FFC はコネクタ 部 のみが 90 Ω に 落 ち 込 む 以 外 に 大 きな 反 射 はありません これは プラグコネクタ 側 に 独 立 したコ ンタクトがなく FFC の 配 線 が 直 接 レセプ タクルのコンタクトに 接 触 しているためで す 一 方 M-Coax ではプラグコネクタのコ 治 具 基 板 コネクタ ケーブル 部 図 4. インピーダンスプロファイル ンタクトとケーブルの 結 線 部 に 不 連 続 部 分 があるため 105 Ω まで 特 性 インピーダンスが 上 昇 しているのが 分 かります UTP はプラグコネクタのコンタクトとの 結 線 部 で 135 Ω までインピーダンスが 上 昇 しており ケーブル 部 もインピーダンスがやや 高 めで 一 定 となっていません この 原 因 は プラグコネクタ 側 コンタクトに UTP ケーブルを 接 続 するために ツィストを 解 く 必 要 があり その 結 果 ケーブル 間 隔 が 開 き 特 性 インピーダンスが 上 昇 したためです また UTP ケーブル 部 のインピーダンスが 一 定 でないのは シールドが 無 いので 隣 接 ケーブ ルの 影 響 を 受 ける 部 分 があること ケーブルの 捩 りが 均 一 でない 部 分 があることが 原 因 です 次 に VNA(Vector Network Analyzer) 2) を 利 用 して 計 測 した 各 ケーブルの S パラメータをそれ ぞれ 図 5~ 図 8 に 示 します
6 Sパラメータ 3) とは 線 形 な 受 動 及 び 能 動 素 子 の 反 射 通 過 特 性 を 周 波 数 領 域 で 表 したもので この 特 性 を 見 れば ある 帯 域 の 信 号 を 伝 送 できるかどうか およその 目 安 がわかります また USB3.0 や PCI-Express HDMI DisplayPort 等 の 各 種 の 高 速 伝 送 規 格 で は 利 用 できるコネクタやケーブルを こ の S パラメータで 規 定 しています 図 5 は 差 動 での 反 射 損 失 (Return Loss) を 示 し 図 4のTDR 測 定 結 果 と 同 様 に FFC が 一 番 反 射 が 少 なく 次 いで M-Coax UTP の 順 になっています 図 5. 反 射 損 失 図 6 は 挿 入 損 失 (Insertion Loss)の 測 定 結 果 で 3 GHz までは UTP が 最 も 損 失 が 少 なく M-Coax FFC の 順 に 悪 くなってい ます これは ケーブルの 導 体 径 が UTP で は AWG30 と 最 も 太 く M-Coax が AWG36 FFC が AWG40 相 当 ためです 3 GHz 以 上 で UTP ケーブルの 損 失 が 一 部 M-Coax や FFC より 悪 くなっている 原 因 は 反 射 損 失 がその 帯 域 で 悪 くなったためで この 反 射 損 失 を 改 善 できれば 全 体 帯 域 に 渡 って 挿 入 損 失 を 改 善 できます 図 7 は 近 端 クロストーク(Near End Cross Talk) の 測 定 結 果 で ケーブルによ る 大 きな 差 はありません 近 端 クロストー 図 6. 挿 入 損 失 クはその 名 前 のとおり クロストークを 及 ぼす 端 子 (Aggressor)と クロストークを 受 ける 端 子 (Victim)が 同 じ 側 面 であるため ケーブルの 影 響 より コネクタ 本 体 の 影 響 が 大 きいためです ( 図 9 参 照 )
7 遠 端 クロストーク(Far End Cross Talk)は 図 10 に 示 すように Victim 側 に 対 して Aggressor 側 が 遠 端 にあるため ケーブルの 影 響 を 受 けるので 図 8 が 示 すように シールドされておらず 隣 接 ケーブルと 結 合 し 易 い UTP ケーブルが 最 も 悪 く FFC M-Coax の 順 に 良 くなっています 図 7. 近 端 クロストーク 図 8. 遠 端 クロストーク VNA Aggressor クロストーク Aggressor クロストーク Victim 50Ω 終 端 器 PCB 50Ω 終 端 器 Victim 図 9. 近 端 クロストーク 図 10. 遠 端 クロストーク
8 S パラメータたけでは 実 際 にディジタル 信 号 を 伝 送 した 時 波 形 がどのような 形 状 になるか 不 明 ですので 実 際 にディジタル 波 形 を 伝 送 して その 波 形 をオシロスコープで 観 測 した 結 果 を 図 12~ 図 14 に 示 します 信 号 発 生 機 Vpp:800 mv Bit Rate:3 Gbps オシロスコープ 治 具 基 板 被 測 定 ケーブル 空 き 端 子 は 50Ω 終 端 図 11. アイダイグラム 測 定 伝 送 波 形 の 測 定 系 は 図 11 に 示 しますように ビットレート 3 Gbps 振 幅 電 圧 800 mv の 差 動 信 号 3 ペア 分 を 被 測 定 ケーブルに 印 加 し クロストークの 影 響 も 含 めて オシロスコープで 測 定 し ました 治 具 基 板 の 空 き 端 子 は 50 Ω の 終 端 器 で 終 端 しました 観 測 結 果 は 波 形 を 重 ね 書 きして アイダイグラム 4) で 波 形 の 歪 具 合 を 測 定 しました 各 ケーブルを 比 較 し 波 形 の 開 き 具 合 を 見 ますと 図 14 の UTP が 一 番 広 く M-Coax FFC の 順 になっていることが 分 かります これは 図 6 の 挿 入 損 失 の 測 定 結 果 によく 一 致 します また 図 14 の UTP は 遠 端 クロストークがケーブルの 中 で 最 も 大 きかったため クロストークの 影 響 で 波 形 が 盛 り 上 がっている 部 分 があることが 分 かります 横 軸 :60 ps クロストークの 影 響 縦 軸 :200 mv 図 12. アイダイグラム FFC 図 13. アイダイグラム M-Coax 図 14. アイダイグラム UTP
9 これらの 結 果 から 実 際 の 伝 送 波 形 に 与 える 影 響 は 挿 入 損 失 が 大 きく 次 いで クロストーク 反 射 損 失 であると 言 えます しかし 反 射 損 失 が -10 db 以 上 になると 挿 入 損 失 も 急 激 に 劣 化 しますので ある 程 度 考 慮 する 必 要 がありますが 反 射 損 失 が -20 db 以 下 である 場 合 は いくら 反 射 損 失 を 改 善 したと ころで 挿 入 損 失 に 与 える 影 響 は 殆 どありません 挿 入 損 失 の 主 な 要 因 はケーブルの 表 皮 効 果 による 導 体 損 や 絶 縁 材 の 誘 電 体 損 失 ですので これらの 損 失 を 低 減 できる 材 料 を 選 定 する 必 要 があります 4. 放 射 ノイズ FFC M-Coax UTP にディジタル 信 号 を 伝 送 させた 時 の 10 m 遠 方 における 放 射 ノイズを 図 15 に 示 す 電 波 暗 室 で 測 定 しま アンテナ した 信 号 源 は シグナルインティグリティ の 計 測 で 利 用 した 信 号 発 生 機 を 電 波 暗 室 被 測 定 ケーブル の 地 下 ピットに 設 置 して 被 測 定 ケーブル 以 外 の 放 射 ノイズを 極 力 取 り 除 くようにし ました 測 定 条 件 はビットレートを 1 Gbps と 4 Gbps の2 通 り 測 定 しました 信 号 パターンは 127 ビットの 擬 似 ラン ダム 信 号 (Pseudo - Random Binary 信 号 発 生 機 へ 接 続 Sequences: PRBS7 ) 5) で 振 幅 電 圧 800 mv の 差 動 信 号 を 印 加 しました 図 15. 10 m 電 波 暗 室 差 動 信 号 2 組 ( 合 計 4 本 )としましたの は 被 測 定 ケーブルがおかれるターンテーブルが 回 転 するため 信 号 発 生 機 と 被 測 物 をつなぐケ ーブルを 2 組 を 超 えて 設 置 するのが 困 難 だったためです 1 Gbps の 伝 送 信 号 印 加 時 は バイログアンテナと 被 測 定 物 の 距 離 は 10 m アンテナ 高 さは 1 2 3 4 m に 変 化 させながら ターンテーブルを 360 回 転 させ 30 MHz ~1 GHz までの 最 大 電 界 強 度 をスペクトラムアナライザで 測 定 しました 伝 送 信 号 が 4 Gbps のときは 電 波 吸 収 体 を 床 面 に 敷 き ホーンアンテナ 距 離 を 3 m として 1 Gbps の 時 と 同 様 にアンテナ 高 さを 変 えながら ターンテーブルを 回 転 させ 1 GHz ~ 6 GHz の 最 大 電 界 強 度 を 測 定 しました こ れ ら の 測 定 方 法 は CISPR22(Comité International Spécial des Perturbations Radioélectriques)に 規 定 されています 情 報 技 術 装 置 からの 妨 害 波 の 許 容 値 と 測 定 方 法 6) に 準 じています
10 図 16~ 図 18 に 1 Gbps の 場 合 の 水 平 電 界 強 度 の 測 定 結 果 を 示 します 赤 線 は 一 般 家 庭 で 電 子 機 器 を 利 用 する 事 を 前 提 にした 放 射 ノイズの 限 度 値 を 示 し FFC M-Coax はこの 限 度 値 の 対 して 十 分 なマージンを 持 っており 放 射 ノイズの 抑 制 効 果 が 高 いといえます しかし UTP では 380 MHz 及 び 800 MHz 付 近 で 限 度 値 を 超 えており 電 子 機 器 に UTP ケー CISPR22 Class B CISPR22 Class B 図 16. 放 射 ノイズ 1 Gbps FFC 図 19. 放 射 ノイズ 4 Gbps FFC 図 17. 放 射 ノイズ 1 Gbps M-Coax 図 20. 放 射 ノイズ 4 Gbps M-Coax 図 18. 放 射 ノイズ 1 Gbps UTP 図 21. 放 射 ノイズ 4 Gbps UTP
11 ブルを 利 用 する 場 合 は 何 かしらのノイズ 対 策 が 必 要 となります 図 19~ 図 21 は 4 Gbps の 信 号 を 伝 送 した 時 の 水 平 電 界 強 度 で FFC M-Coax はぎりぎり 限 度 値 内 ですが UTP は 1.5 GHz から 2.5 GHz の 帯 域 で 大 きく 限 度 値 を 超 えています UTP が 限 度 値 を 大 きく 超 えた 原 因 は シールドがない 事 や 隣 接 ケーブルの 影 響 を 受 け ケー ブル 特 性 が 一 定 でないためと 考 えられます 一 方 M-Coax はケーブルが 外 部 導 体 でシールドされているのに 対 して FFC はマイクロストリ ップライン 構 造 ですので 信 号 面 側 が 空 間 に 対 して 開 いており M-Coax と 比 較 するとシールド 性 が 劣 り M-Coax の 方 が 圧 倒 的 に 放 射 ノイズの 抑 制 効 果 が 高 いと 考 えられますが 実 際 のところ は 大 きな 差 がない 事 は 興 味 深 い 結 果 です 5. まとめ FFC M-Coax UTP コネクタの SI と 放 射 ノイズを 測 定 した 結 果 当 初 SI 性 能 が 悪 いと 考 えら れていた UTP でも 3 Gbps の 信 号 を 十 分 に 伝 送 できることが 分 かりました しかし UTP は 放 射 ノイズが 大 きく 電 子 機 器 内 で 利 用 する 場 合 は 何 かしらの 対 策 が 必 要 で す FFC の SI と 耐 放 射 ノイズ 特 性 は M-Coax と 同 等 な 性 能 を 保 持 していることが 分 かり 信 号 の 接 続 が 制 限 される(クロス 配 線 ができない)ことや ラップトップコンピュータのヒンジ 部 分 でなけれ ば 非 常 に 有 効 に 利 用 できるといえます さらに M-coax より 安 価 ですので 上 手 く 利 用 すれば 電 子 機 器 全 体 のコストを 削 減 できます [ 参 考 文 献 ] 1) E. Bogatin, Signal Integrity Simplified, (PRENTICE HALL, 2004), p.35 2) 岩 崎 俊 マイクロ 波 光 回 路 計 測 の 基 礎 (コロナ 社, 1993), p.110~p1.26 3) P. A. Rizz, Microwave Engineering Passive Circuits, (PRENTICE HALL, 1988), p.168-p.170 4) B. Young, Digital Signal Integrity, (PRENTICE HALL, 2001), p.114 5) D. Derickson and M. Muller, Digital Communications Test and Measurement, (PRENTICE HALL, 2007), p.819-p.832 6) 山 田 和 謙, 他, EMC 入 門 講 座, ( 電 波 新 聞 社, 2008), p.66-p.70