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1. 本 件 の 争 点 本 件 は 自 動 車 保 険 の 契 約 者 である 被 保 険 者 が 運 転 をしていた 普 通 乗 用 自 動 車 ( 以 下 本 件 車 両 )が 台 風 の 影 響 に 伴 った 集 中 豪 雨 により 冠 水 していた 道 路 に 侵 入 して エンジンが 停 止 し 走 行 不 能 となるという 運 行 に 起 因 する 事 故 が 発 生 した また こ れにより 運 転 者 及 び 同 乗 者 が 前 記 車 両 か ら 降 車 して 避 難 する 際 濁 流 に 流 されて 同 23726 号 ( 控 訴 ) ウエストロー ジャ パン( 文 献 番 号 2013WLJPCA03 118006) LEX/DBインターネッ ト( 文 献 番 号 25511468) 社 である 被 告 に 対 し 本 件 車 両 に 付 保 され た 自 動 車 保 険 契 約 に 基 づき 死 亡 した3 名 の 人 身 傷 害 保 険 金 及 び 搭 乗 者 傷 害 保 険 金 を 請 求 した 事 案 である 争 点 は 人 身 傷 害 条 項 搭 乗 者 傷 害 条 項 に 定 める 自 動 車 の 運 行 に 起 因 する 事 故 ( 以 下 運 行 起 因 事 故 )があったのか 否 か( 争 点 1 運 行 起 因 事 故 の 有 無 ) 運 行 起 因 事 故 があったと 認 められる 場 合 その 運 行 起 因 事 故 と 被 保 険 者 の 死 亡 との 相 当 因 果 関 係 が あるのか 否 か( 争 点 2 相 当 因 果 関 係 の 有 無 ) 保 険 金 額 ( 争 点 3)の 三 点 である 2. 事 実 の 概 要 以 来 の 最 高 値 を 記 録 し おおむね 0 に 一 度 の 降 雨 をも 遥 かに 凌 ぐもの であった ) Aが 運 転 する 本 件 車 両 に B C 及 び 原 告 Dが 同 乗 して 福 岡 県 内 のAの 実 家 から 兵 庫 県 養 父 市 内 の 自 宅 に 向 う 途 中 大 雨 の 影 響 で 通 行 止 めとなっていたこと から 中 国 自 動 車 道 を 作 東 インターチェン については 統 計 を 取 り 始 めた 昭 和 52 空 気 と 太 平 洋 高 気 圧 の 縁 辺 からの 湿 った 空 気 が 重 なり 西 日 本 に 流 れ 込 んでいたた め 兵 庫 県 では 大 気 の 状 態 が 不 安 定 とな り 同 日 の 夜 佐 用 町 では 総 雨 量 が30 0mmを 超 える 大 雨 となった ( 降 水 量 等 平 成 25 3 月 11 日 判 決 平 成 23 (ワ) 第 主 張 して 相 続 人 である 原 告 らが 保 険 会 をゆっくり 北 に 進 み 台 風 周 辺 の 湿 った 東 京 地 裁 乗 者 1 名 を 除 く3 名 が 死 亡 するに 至 ったと 平 成 21 8 月 9 日 台 風 9 号 は 四 国 沖 共 済 と 保 険 2014.3 34

用 町 内 の 佐 用 川 付 近 において 本 件 車 両 と は 別 の 場 所 にて 遺 体 で 発 見 された ( 自 動 車 に 搭 乗 した 状 況 ではない 状 況 で 発 見 された)また 本 件 車 両 は 佐 用 町 内 の 佐 用 川 内 において 無 人 の 状 態 で 発 見 され た 死 因 については 死 体 検 案 書 によれ ば Aについては 溺 水 B 及 びCについ ては いずれも 窒 息 及 び 溺 水 吸 引 とされ ている BはAの 妻 であり C 及 び 原 告 Dは それぞれAとBの 長 男 及 び 二 男 であり 原 告 Xは Bの 実 母 である 原 告 Dを 除 くAらの 死 亡 時 間 の 前 後 は 不 明 であり 及 びBの 法 定 相 続 人 は 原 告 Dのみであ る また Cの 法 定 相 続 人 はCの 祖 父 で あるGと 原 告 Xの2 名 であるところ 同 人 らは Cの 遺 産 である 被 告 に 対 する 本 件 保 険 契 約 に 基 づく 保 険 金 請 求 権 を 原 告 Xが 相 続 する 旨 の 遺 産 分 割 協 議 を 成 立 さ せた の 原 告 Dを 除 くAらは 同 月 日 佐 ジでおり その 後 一 般 道 を 経 由 して 佐 用 町 に 至 った その 後 Aらは 佐 用 町 内 に おいて 前 記 の 大 雨 によって 発 生 した 水 害 に 遭 遇 し 原 告 Dは 救 助 されたもの 原 告 らは 被 告 に 対 し 本 件 保 険 契 約 に 基 づく 人 身 傷 害 保 険 金 及 び 搭 乗 者 傷 害 保 険 金 の 支 払 いを 請 求 したところ 被 告 は 保 険 事 故 に 該 当 しないことを 理 由 に 支 払 を 拒 絶 した 本 件 保 険 契 約 の 人 身 傷 害 条 項 搭 乗 者 傷 害 条 項 には 以 下 の 規 定 があった 人 身 傷 害 条 項 第 1 条 ( 保 険 金 を 支 払 う 場 合 ) 1 当 会 社 は 日 本 国 内 において 被 保 険 者 が 次 の のいずれかに 該 当 する 急 激 かつ 偶 然 な 外 来 の 事 故 または 犯 罪 加 害 行 為 により 身 体 に 傷 害 を 被 ること( 以 下 人 身 傷 害 事 故 といいます )によって 被 保 険 者 またはその 父 母 配 偶 者 ( 注 1) もしくは 子 が 被 る 損 害 ( 第 7 条 ( 損 害 額 の 決 定 )に 定 める 損 害 の 額 をいいます 以 下 同 様 とします )に 対 して この 人 身 傷 害 条 項 および 第 5 章 一 般 条 項 に 従 い 保 険 金 を 支 払 います ( 注 1) 内 縁 を 含 みます 自 動 車 ( 注 2)の 運 行 に 起 因 する 事 故 ( 注 2) 原 動 機 付 自 転 車 を 含 みます 自 動 車 ( 注 2)の 運 行 中 の 飛 来 中 もしくは 落 下 中 の 他 物 との 衝 突 火 災 爆 発 または 自 動 車 ( 注 2)の 落 下 た だし 被 保 険 者 が 自 動 車 ( 注 2)の 正 規 の 乗 車 装 置 または 当 該 装 置 のある 室 内 ( 注 3)に 搭 乗 中 である 場 合 に 限 り ます ( 注 3) 隔 壁 等 により 通 行 できないように 仕 切 られている 場 所 を 除 きます 第 2 条 ( 被 保 険 者 の 範 囲 ) 1 この 人 身 傷 害 条 項 における 被 保 険 者 は 次 の~のいずれかに 該 当 する 者 とします 記 名 被 保 険 者 記 名 被 保 険 者 の 配 偶 者 ( 注 1) 記 名 被 保 険 者 またはその 配 偶 者 ( 注 1)の 同 居 の 親 族 記 名 被 保 険 者 またはその 配 偶 者 ( 注 1)の 別 居 の 未 婚 の 子 ~ 以 外 の 者 で 被 保 険 自 動 車 の 正 規 の 乗 車 装 置 または 当 該 装 置 のある 室 内 ( 注 2)に 搭 乗 中 の 者 ( 注 1) 内 縁 を 含 みます ( 注 2) 隔 壁 等 により 通 行 できないように 仕 35 共 済 と 保 険 2014.3

切 られている 場 所 を 除 きます 搭 乗 者 傷 害 条 項 第 1 条 ( 保 険 金 を 支 払 う 場 合 ) 1 当 会 社 は 被 保 険 者 が 次 の のい ずれかに 該 当 する 急 激 かつ 偶 然 な 外 来 の 事 故 により 身 体 に 傷 害 を 被 った 場 合 は この 搭 乗 者 傷 害 条 項 および 第 5 章 一 般 条 項 に 従 い 保 険 金 を 支 払 います 被 保 険 自 動 車 の 運 行 に 起 因 する 事 故 被 保 険 自 動 車 の 運 行 中 の 飛 来 中 も しくは 落 下 中 の 他 物 との 衝 突 火 災 爆 発 または 被 保 険 自 動 車 の 落 下 第 2 条 ( 被 保 険 者 の 範 囲 ) 1 この 搭 乗 者 傷 害 条 項 における 被 保 険 者 は 被 保 険 自 動 車 の 正 規 の 乗 車 装 置 また は 当 該 装 置 のある 室 内 ( 注 1)に 搭 乗 中 の 者 とします ( 注 1) 隔 壁 等 により 通 行 できないように 仕 切 られている 場 所 を 除 きます 求 事 件 )における 供 述 や 同 人 の 陳 述 書 に 基 づくものである( 以 下 F 供 述 ) しかしな がら F 供 述 中 の4 人 家 族 を 目 撃 した 状 況 に 関 する 部 分 は 供 述 の 正 確 性 に 関 係 する 本 件 現 場 付 近 の 明 るさ 視 認 状 況 から4 人 家 族 がはっきり 見 えたとするのは 客 観 的 状 況 に 整 合 せず 不 自 然 というべきである ま た F 供 述 からは 4 人 をよく 見 ることが できる 状 態 ではなかった 上 実 際 よく 見 ていたわけではなかったことを 強 くうかが わせるところ 詳 細 かつ 具 体 的 な 供 述 をし ていることは 不 自 然 な 感 が 拭 えないという べきである 等 の 理 由 から 総 合 的 に 判 断 し 裁 平 成 23 (ワ) 第 25670 号 保 険 金 請 時 前 後 ころ 本 件 現 場 において 漫 然 と 本 件 車 両 を 走 行 させて 大 規 模 冠 水 場 所 に 本 件 車 両 を 突 っ 込 ませ さらに 相 当 程 度 の 水 位 の 中 での 本 件 車 両 の 走 行 を 継 続 し もって 本 件 車 両 を 走 行 不 能 に 至 らしめるという 自 損 事 故 ( 本 件 事 故 )を 生 じさせた 旨 を 主 張 し この 主 張 は 主 に 事 故 当 時 佐 用 高 校 の 教 頭 で あったFの 本 件 訴 訟 及 び 別 件 訴 訟 ( 東 京 地 原 告 らはAが 平 成 21 8 月 9 日 午 後 9 3. 判 旨 ( 請 求 棄 却 ) た 大 雨 が おおむね0 に 一 度 の 降 雨 をも 遥 かに 凌 ぐものであったことを 考 慮 す れば Aらの 死 亡 の 原 因 については かか る 大 雨 による 佐 用 川 の 氾 濫 という 自 然 災 害 によるものであって 自 動 車 本 来 が 有 する 固 有 の 危 険 性 が 具 体 化 したものではない 可 能 性 が 高 いものというべきであり 本 件 各 条 項 が 定 める 運 行 起 因 事 故 があったと 認 め ることはできない なお F 供 述 を 前 提 としても 本 件 車 両 の 停 止 原 因 について 証 明 がないことに 帰 着 し 結 局 のところAらの 死 亡 の 原 因 につい ては 大 雨 による 佐 用 川 の 氾 濫 という 自 然 加 えて 平 成 21 8 月 9 日 に 佐 用 町 に 降 っ Fの 目 撃 した 供 述 部 分 は 採 用 できず 他 に 本 件 事 故 の 発 生 を 認 めるに 足 りる 証 拠 はな い Aらは 佐 用 町 内 において 大 雨 によって 発 生 した 水 害 に 遭 遇 し 死 亡 したものである ところ Aらの 遺 体 及 び 本 件 車 両 が 別 の 場 所 で 発 見 されていることからすれば Aら は 本 件 車 両 を 停 止 させ 降 車 した 後 に 前 記 水 害 に 遭 遇 したものと 認 められる 一 方 Aらが 本 件 車 両 を 停 止 させ 降 車 した 経 緯 は 不 明 といわざるを 得 ない かかる 事 情 に 共 済 と 保 険 2014.3 36

災 害 によるものであって 自 動 車 本 来 が 有 する 固 有 の 危 険 性 が 具 体 化 したものではな い 可 能 性 が 否 定 できないことになり 本 件 各 条 項 が 定 める 運 行 起 因 事 故 があったと 認 めることはできない 4. 評 釈 本 判 決 は 保 険 金 請 求 にかかわる 保 険 事 故 そのものの 立 証 が 不 十 分 ということで 請 求 棄 却 となったものである 明 確 な 事 実 は Aらが 帰 省 先 から 自 動 車 で 自 宅 へ 向 かっていたこと 前 記 台 風 によ り 中 国 自 動 車 道 が 通 行 止 めとなり 中 国 自 動 車 道 をおりたこと 原 告 Dおよび 他 3 名 が 川 の 氾 濫 によって 流 されたこと 原 告 Dを 除 く3 名 が 溺 死 したこと 川 の 氾 濫 により 本 件 車 両 も 流 されていること のみである したがって 本 件 の 争 点 における 運 行 起 因 事 故 の 有 無 ということについては2つの 意 味 をもつと 考 えられる まずは 本 件 各 条 項 に 定 める 事 故 の 立 証 の 問 題 ( 保 険 金 請 求 原 因 の 問 題 )であり 次 に 仮 に 原 告 側 主 張 の 原 因 があったとすれば これが 運 行 起 因 事 故 に 該 当 するのかの 問 題 ( 運 行 起 因 の 意 義 の 問 題 )である る ( 自 賠 法 の 議 論 においては 運 行 によっ て )となるとその 議 論 はあいまいとなって いる 感 がある それは 起 因 する にかか わるところと 考 えられるが この 起 因 す る の 意 義 は 相 当 因 果 関 係 を 指 すとい うことにはあまり 異 論 が 唱 えられるところ ることができる 1) 一 方 で 運 行 に 起 因 す 運 行 に 起 因 する 事 故 の 意 義 運 行 の 定 義 については 自 賠 法 第 2 条 2 項 の 自 動 車 を 当 該 装 置 の 用 い 方 に 従 い 用 いることをいう と 同 様 で 自 動 車 の 固 有 の 装 置 をその 用 法 に 従 って 使 用 すること とする 固 有 装 置 操 作 説 が 通 説 となって おり 運 行 にかかわる 議 論 についてはこれ まで 活 発 に 行 なわれ 論 文 等 も 多 数 見 受 け 較 検 討 をする 日 ( 平 成 18 ( 受 ) 第 2053 号 )との 比 どころとなっている 最 判 平 成 本 判 決 では 明 確 な 事 実 ( 情 報 )が 少 ない 中 で 事 実 認 定 を 行 わなくてはならず この 判 断 過 程 においても 非 常 に 興 味 深 いところ であるが 今 回 の 評 釈 においては 後 者 の 問 題 をまず 検 討 することとし 本 判 決 の 結 論 の 導 き 方 について 考 え 原 告 主 張 のより そこで まずは 字 義 として 検 討 してみる 字 義 通 り 考 えてみると 自 動 車 の 固 有 の 装 置 をその 用 法 に 従 って 使 用 したことを 原 因 として 一 般 的 に 予 見 し 得 る 事 故 が 発 生 した かどうかということになる 仮 に 冠 水 した 道 路 に 自 動 車 を 運 転 して 侵 入 し その 際 に 水 がエンジン 内 に 入 ったこ とから 自 動 車 が 止 まってしまったとすれ ば 前 記 の 自 動 車 が 止 まってしまったこと は 運 行 起 因 事 故 といえそうに 思 える では 仮 に 冠 水 した 道 路 を 走 行 中 前 に 自 動 車 が 立 ち 往 生 していたことから その 後 ろに 停 車 し 少 ししたらエンジンが 止 ま ってしまったとなった 場 合 はどうであろう か また 道 路 を 走 行 していたら 川 の 氾 濫 等 で 急 激 にその 場 所 に 水 位 が 増 してエン ジンが 止 まってしまった 場 合 はどうであろ うか いずれの 場 合 も 自 動 車 の 固 有 の 装 置 を その 用 法 に 従 って 使 用 したことは 間 違 いな いものの そのことを 原 因 としているかと いえるかといえば 大 きな 疑 問 が 残 る そうすると 本 件 のように おおむね1 00 に 一 度 の 降 雨 をもはるかに 凌 ぐも ではないと 思 われる 2) 37 共 済 と 保 険 2014.3

ことから これらの 事 故 を 保 険 事 故 とする ために 規 定 化 された 経 緯 がある つまり 約 款 として 本 条 項 は 運 行 起 因 性 が 明 確 とは ならない 事 象 であっても 運 行 中 であれば 補 償 できる 範 囲 として 限 定 列 挙 して 明 確 にし たといえる (まさに 運 行 に 際 してといえる 状 況 である)したがって 運 行 起 因 とした 部 分 について 拡 大 解 釈 を 行 った 場 合 人 身 傷 害 保 険 自 動 車 の 運 行 起 因 性 3) が 問 題 となった 故 平 成 元 の 越 前 海 岸 崖 崩 れ 事 故 平 成 3 の 広 島 市 モノレール 橋 げた 落 下 事 故 な どの 多 くの 死 傷 者 を 出 した 事 故 において 被 ある これは 昭 和 54 の 日 本 坂 トンネル 事 のであったといわれる 状 況 下 で 考 えた 場 合 一 般 的 に 予 見 し 得 る 自 動 車 の 運 行 に 起 因 する 事 故 といえるかといえば 疑 問 である といえる 次 に 約 款 の 立 場 から 検 討 してみたい 人 身 傷 害 条 項 第 1 条 第 1 項 第 2 号 搭 乗 者 傷 害 条 項 第 1 条 第 1 項 第 2 号 には 運 行 中 の 飛 来 中 もしくは 落 下 中 の 他 物 との 衝 突 火 災 爆 発 または 被 保 険 自 動 車 の 落 下 が 規 定 されている この 約 款 規 定 は 自 損 事 故 条 項 搭 乗 者 傷 害 条 項 において 平 成 5 4 月 1 日 の 約 款 改 定 で 新 設 された 規 定 で 供 述 の 信 用 性 を 評 価 し F 供 述 を 基 にした 事 実 認 定 を 行 なった 上 で 請 求 を 棄 却 して いる ほぼ 同 じ 証 言 に 基 づいているにもか 別 件 訴 訟 ) 4) この 別 件 訴 訟 においては F 本 判 決 の 結 論 への 導 き 本 判 決 は 保 険 事 故 の 立 証 の 問 題 から 運 行 起 因 事 故 の 発 生 を 認 めなかったことによ り 運 行 に 起 因 する 事 故 と 死 亡 との 因 果 関 係 ( 争 点 2)について 判 断 を 行 なわず 請 求 を 棄 却 している これは 本 件 が 人 身 傷 害 保 険 および 搭 乗 者 傷 害 保 険 というファー ストパーティー 型 の 保 険 であることからの 帰 結 と 考 える 本 件 と 同 一 の 事 象 で 運 転 者 であるAを 加 害 者 としての 自 賠 責 保 険 金 請 求 訴 訟 が 提 起 されている ( 判 旨 記 載 別 件 訴 訟 以 下 条 項 第 1 条 第 1 項 第 2 号 搭 乗 者 傷 害 条 項 第 1 条 第 1 項 第 2 号 の 規 定 はそもそも 意 味 を なくすものであり 明 確 に 文 言 を 変 えて 約 款 を 規 定 したことから 考 えても 安 易 に 拡 大 解 釈 をするべきではない また 安 易 な 拡 大 解 釈 によって 自 動 車 にかかわるリス クを 補 償 するといった 自 動 車 保 険 の 機 能 そ のものを 崩 壊 させかねないものと 考 える 請 求 棄 却 とした 判 断 は 妥 当 と 思 われる 5) かわらず 事 実 認 定 で 異 なったところにつ いては 自 賠 責 保 険 はあくまでもサードパ ーティー 型 の 保 険 であり 賠 償 責 任 の 発 生 が 必 要 となってくることが 影 響 していると 考 えられる つまり 別 件 訴 訟 の 事 案 にお いては 自 然 災 害 ( 不 可 抗 力 ) 免 責 を 考 え ることが 出 来 ることと 同 時 に 自 賠 責 保 険 の 趣 旨 として 自 動 車 の 固 有 の 危 険 性 の 具 現 化 した 危 険 を 負 うものと 考 えれば F 供 述 を 前 提 としても 自 賠 法 第 3 条 但 書 の 立 証 も 可 能 であり 請 求 棄 却 の 結 論 を 導 き 出 すこ とはさほど 難 しいものではないと 考 える 一 方 人 身 傷 害 保 険 および 搭 乗 者 傷 害 保 険 は 傷 害 保 険 であり 一 定 の 要 件 が 満 たさ れれば 自 然 災 害 ( 不 可 抗 力 )による 免 責 は 免 責 規 定 がなければ 保 険 金 支 払 責 任 が 阻 却 されることはないことから 運 行 起 因 事 故 の 判 断 および 死 亡 との 因 果 関 係 を 判 断 することが 必 要 であり 相 当 シビアな 判 断 が 求 められることになると 考 えられる 実 際 本 件 においては 前 述 のとおり 明 確 となっている 事 実 が 少 なく また 自 賠 法 と 異 なり 立 証 責 任 が 保 険 金 請 求 権 者 にある ことから 保 険 事 故 の 立 証 が 不 十 分 として 共 済 と 保 険 2014.3 38

トとしては 切 迫 した 危 険 を 避 けるために 車 外 に 避 難 せざるを 得 ない 状 況 であったこ と 避 難 行 動 は 避 難 経 路 も 含 めて 自 然 なも のであったこと 自 損 事 故 と 時 間 的 にも 場 所 的 にも 近 接 していることをあげ このこ とから 運 行 に 起 因 する 搭 乗 中 の 自 損 事 故 か らの 因 果 の 流 れに 死 亡 があった( 自 損 事 故 と 死 亡 とに 相 当 因 果 関 係 を 認 めた)と 判 断 している ここで 原 告 主 張 のF 供 述 を 前 提 に 検 討 してみる まず 切 迫 した 危 険 を 避 けるた めに 車 外 に 避 難 せざるを 得 ない 状 況 であっ たかであるが FよりもAらは 先 に 本 件 事 故 現 場 に 到 着 しており Fが 道 路 に 下 りた 際 にはF 運 転 の 自 動 車 のドアは 開 き 水 が 浸 入 することはなかったことからすれば 事 故 当 時 切 迫 した 危 険 にさらされ 避 難 平 成 最 判 において 判 断 したポイン 比 較 検 討 をすることとする 7) 日 ( 以 下 平 成 最 判 )との において 原 告 が 主 張 していた 最 判 平 成 本 事 案 でもA B C 原 告 Dは 自 動 車 を 降 りて 移 動 している 際 に 水 害 にあい 死 亡 したことが 認 められることから 本 件 訴 訟 最 判 平 成 日 6) との 当 てはめ ている )1 原 動 機 説 自 動 車 は 原 動 機 による 述 3の 固 有 装 置 説 に 基 づいた 取 扱 いがなされ 責 保 険 の 実 務 においては 昭 和 40 代 より 後 代 表 的 な4つの 説 を 取 り 上 げる なお 自 賠 説 物 的 危 険 性 説 等 の 説 もあるが 過 去 から つの 説 がある ( 以 下 の 説 以 外 にも 危 険 性 1) 運 行 という 文 言 解 釈 ついては 次 の4 の 考 え 方 を 適 用 することは 適 切 ではないと 考 える 以 上 を 異 にしているものであり 平 成 最 判 以 上 より 本 件 は 平 成 最 判 とは 事 案 せざるを 得 ない 状 況 とは 必 ずしもいえな い 次 に 避 難 行 動 は 避 難 経 路 も 含 めて 自 然 なものであったかであるが Fの 証 言 か らすると 先 に 本 件 事 故 現 場 に 到 着 していた にもかかわらず Fよりも 避 難 行 動 にうつ る 時 間 的 差 異 があることからすると 避 難 行 動 の 適 切 性 には 疑 問 が 残 るといわざるを 得 ない 最 後 に 自 損 事 故 と 時 間 的 にも 場 所 的 にも 近 接 しているかであるが 既 に 述 べた とおり 本 件 停 車 が 自 損 事 故 といえるかが 問 題 であること また 時 間 的 にもFより も 先 に 避 難 行 動 に 移 ることが 出 来 たにもか かわらず 一 定 の 時 間 が 経 過 していることか ら 判 断 としては 微 妙 なところと 考 える があるところではある( 鴻 常 夫 編 註 釈 自 にするため 同 義 と 考 えることについて 異 論 自 賠 法 における 運 行 によって と 文 言 を 異 2) を 問 わず 運 行 にあたる 自 動 車 保 険 における 運 行 に 起 因 する は 道 路 等 に 出 ているかぎり 走 行 中 駐 停 車 中 を 出 て 車 庫 に 帰 るまでの 間 交 通 の 場 である 動 車 そのものをさし 走 行 目 的 のもとに 車 庫 当 該 装 置 とは 固 有 装 置 の 結 合 物 である 自 98 号 113 頁 ) 4 車 庫 出 入 説 ( 車 自 体 説 ) 1 頁 最 判 昭 和 63 6 月 16 日 判 例 時 報 12 8 頁 最 判 昭 和 57 1 月 日 民 集 36 1 ( 最 判 昭 和 52 11 月 24 日 民 集 31 6 91 部 をその 目 的 に 従 い 操 作 することとする 説 あり 運 行 とはこれらの 装 置 の 全 部 または 一 のほか 当 該 自 動 車 の 固 有 装 置 を 含 むもので 操 作 説 ) 当 該 装 置 とは 自 動 車 の 走 行 装 置 2125 頁 ) 3 固 有 装 置 説 ( 固 有 装 置 説 ( 最 判 昭 和 43 月 8 日 民 集 22 による 発 進 から 停 止 までの 走 行 を 指 すとする る 走 行 装 置 であると 解 し 運 行 とはエンジン されている 操 向 制 動 その 他 の 走 行 に 関 連 す ほか ハンドル ブレーキ 等 の 自 動 車 に 装 備 2 走 行 装 置 説 当 該 装 置 とは 原 動 機 装 置 の 和 38 4 月 18 日 下 民 集 4 781 頁 ) 進 させることをいうとした 説 ( 神 戸 地 判 昭 り 自 動 車 をある 地 点 から 他 の 地 点 に 移 動 し 前 原 動 機 を 指 し 運 行 とは 原 動 機 の 作 用 によ 特 徴 であることなどを 背 景 に 当 該 装 置 とは 場 所 的 移 動 に 伴 う 危 険 性 こそが 自 動 車 事 故 の 39 共 済 と 保 険 2014.3

例 タイムズ 1391 261 頁 ) 控 訴 審 ( 自 保 ジャーナル 1887 117 頁 判 成 23 (ワ) 第 25670 号 保 険 金 請 求 事 件 4) 第 一 審 東 京 地 判 平 成 24 12 月 6 日 平 補 償 出 来 ることとなってしまうこととなる て と 判 断 した 場 合 には 逆 にこの 事 例 でも 一 方 前 2) のように 自 動 車 の 運 行 に 際 し れない 車 の 運 行 に 起 因 する 事 故 とはいえず 補 償 さ より 死 傷 したものであり 前 述 同 様 に 自 動 は 自 動 車 の 運 行 中 に 落 下 してきた 橋 げたに また 広 島 市 モノレール 橋 げた 落 下 事 故 で されないこととなる 合 本 条 項 がない 場 合 人 身 傷 害 以 外 は 補 償 事 故 により 発 生 した 火 災 によって 死 傷 した 場 被 保 険 自 動 車 以 外 の 自 動 車 の 運 行 に 起 因 した されている 日 本 坂 トンネル 事 故 の 場 合 は ため 自 動 車 の 運 行 に 起 因 する 事 故 と 規 定 動 車 の 運 行 に 起 因 している 場 合 も 補 償 される 規 定 されているが 人 身 傷 害 の 場 合 は 他 の 自 は 被 保 険 自 動 車 の 運 行 に 起 因 する 事 故 と 3) 自 損 事 故 保 険 搭 乗 者 傷 害 保 険 において のと 考 える おり これは よって の 文 言 の 意 を 失 うも 際 して と 同 義 に 捉 えられるかの 判 断 をして この 点 が 非 常 に 曖 昧 となっており 運 行 に 考 える しかしながら 近 の 最 判 では こ 方 とも 相 当 因 果 関 係 と 解 釈 することが 妥 当 と 起 因 する と 因 って を 考 慮 すると 双 動 車 保 険 約 款 211 頁 95 有 斐 閣 )が 考 える きであり 射 程 を 検 討 する 必 要 性 は 乏 しいと られていないことから 事 例 判 決 と 捉 えるべ お 本 最 判 は 調 査 官 解 説 においても 取 り 上 げ 7) 平 成 最 判 については 批 判 も 多 い な 搭 乗 者 傷 害 の 請 求 を 認 めた 判 決 である より 搭 乗 者 傷 害 保 険 金 を 請 求 した 事 案 で ろ 後 続 の 自 動 車 にはねられ 死 亡 したことに 帯 脇 に 退 避 しようと 高 速 道 路 を 横 断 したとこ たがり 停 車 してしまったため 運 転 者 が 路 側 衝 突 した 自 損 事 故 により 第 二 第 三 車 線 にま 1 頁 )の 事 案 は 東 北 縦 貫 道 の 中 央 分 離 帯 に 255 号 183 頁 判 例 時 報 89 号 13 6) 最 判 平 成 日 ( 判 例 タイムズ1 ない ことは 若 干 論 理 の 飛 躍 があり 唐 突 感 が 否 め 故 があったと 認 めることはできない とする が 具 体 化 したものではない = 運 行 起 因 事 る また 自 動 車 本 来 が 有 する 固 有 の 危 険 性 否 定 したのであればいささか 蛇 足 的 に 感 じ とはできない と 判 示 しており 保 険 事 故 を 項 が 定 める 運 行 起 因 事 故 があったと 認 めるこ 可 能 性 が 否 定 できないことになり 本 件 各 条 する 固 有 の 危 険 性 が 具 体 化 したものではない 旨 があったと 思 われるが 自 動 車 本 来 が 有 5) 本 判 決 では 原 告 の 主 張 に 応 えるための 趣 CA05226003 上 告 ) ー ジャパン 文 献 番 号 2013WLJP 第 182 号 保 険 金 請 求 控 訴 事 件 (ウエストロ 東 京 高 判 平 成 25 22 日 平 成 25 (ネ) 共 済 と 保 険 2014.3 40