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平 成 27 年 度 大 学 生 の 食 生 活 等 生 活 習 慣 調 査 結 果 1 目 的 平 成 25 年 3 月 に 策 定 された 健 康 日 本 21あいち 新 計 画 の 栄 養 食 生 活 分 野 の 目 標 項 目 では 2~6 歳 代 の 肥 満 者 の 割 合 と2~3 歳

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調査結果の概要

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調 査 概 要 調 査 テーマ : 女 性 の 就 労 起 業 に 関 するアンケート 調 査 方 法 : インターネット 調 査 調 査 実 施 時 期 : 2014 年 10 月 16 日 ( 木 )~19 日 ( 日 ) 調 査 対 象 /サンプル 数 : 20~59 歳 男 女 /5,000

スライド 1

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納品労働者アンケート結果_0331納品版

群馬県多文化共生推進指針

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いい夫婦の日2013年度アンケート


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女性のための年金学

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頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮


第14章 国民年金

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資料2 年金制度等について(山下委員提出資料)

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(2) 国 民 年 金 の 保 険 料 国 民 年 金 の 第 1 号 被 保 険 者 および 任 意 加 入 者 は, 保 険 料 を 納 めなければなりま せん また,より 高 い 老 齢 給 付 を 望 む 第 1 号 被 保 険 者 任 意 加 入 者 は, 希 望 により 付 加 保 険

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住民税

    平成11年度余市町私立幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

目 次 休 暇 関 係 Q1 妊 娠 中 健 康 診 査 を 受 けるための 休 暇 が 取 れるのですか? Q2 出 産 予 定 日 の 何 日 前 から 休 暇 が 取 れるのですか? Q3 出 産 後 何 日 まで 休 暇 が 取 れるのですか? Q4 妻 が 出 産 するのですが 休 暇 が

平 成 9 年 2 月 号 税 制 改 正 情 報 第 0 号 今 回 のテーマ 大 久 保 久 美 子 年 末 調 整 の 今 年 の 変 更 点 今 年 も 残 すところヶ 月 ほどとなり 年 末 調 整 の 時 期 となりました そこで 今 回 は 今 年 の 年 末 調 整 における 変 更

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公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

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( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

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Q1 4 月 から 児 童 手 当 の 支 給 額 はどうなるのですか? Q2 児 童 手 当 には 所 得 制 限 が 設 けられるとのことですが 具 体 的 な 基 準 はどのよう になるのですか? Q3 4 月 以 降 児 童 手 当 を 受 け 取 るためには 手 続 きが 必 要 ですか?

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Q5 育 児 休 業 を 請 求 する 際 の 事 務 手 続 は? A5 育 児 休 業 を 請 求 しようとする 職 員 は, 育 児 休 業 承 認 請 求 書 ( 様 式 第 1 号 )に 子 の 氏 名 や 請 求 する 期 間 等 を 記 入 し, 育 児 休 業 を 始 めようとする1

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別 紙 軽 費 老 人 ホームの 収 入 認 定 について 平 成 22 年 3 月 9 日 千 葉 県 健 康 福 祉 部 高 齢 者 福 祉 課 本 紙 は 平 成 18 年 1 月 24 日 老 発 第 号 厚 生 労 働 省 老 健 局 長 通 知 老 人 保 護 措 置 費

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4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

不 動 産 所 得 の 赤 字 < 土 地 等 の 取 得 の 負 債 利 子 なら 300 万 500 万 不 動 産 所 得 の 赤 字 300 万 のうち 利 子 分 の500 万 は 通 算 できない = 赤 字 分 の300 万 は 全 額 通 算 できないことになる = 損 益 通 算

調 査 実 施 の 背 景 毎 年 1 月 から3 月 にかけて 受 験 シーズンを 迎 えます 受 験 生 ご 本 人 も 追 い 込 みで 大 変 な 時 期 ですが 受 験 生 を 支 えるご 両 親 にとっても 冬 の 寒 い 季 節 でもあり お 子 さまの 健 康 管 理 など ご 苦

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(1) 基 本 属 性 年 齢 20 歳 代 14% 30 歳 代 35% 40 歳 代 28% 50 歳 代 以 上 13% 国 籍 ブラジル 国 籍 97% 配 偶 者 の 日 本 国 籍 4% 日 系 1 世 6% 2 世 41% 日 系 3 世 31% 非 日 系 18% 在 留 資 格 永

2 条 例 の 概 要 (1) 趣 旨 この 条 例 は 番 号 利 用 法 第 9 条 第 2 項 に 基 づく 個 人 番 号 の 利 用 に 関 し 必 要 な 事 項 を 定 めます (2) 定 義 この 条 例 で 規 定 しようとする 用 語 の 意 義 は 次 のとおりです 1 個 人

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となるため 退 職 をし かつ 引 き 続 き 国 家 公 務 員 等 として 在 職 (その 者 が 更 に 引 き 続 き 当 該 国 家 公 務 員 以 外 の 他 の 国 等 の 機 関 に 係 る 国 家 公 務 員 等 として 在 職 した 場 合 を 含 む )した 後 引 き 続 い

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人生の最終段階における医療に関する意識調査 結果の概要

か 行 基 金 代 行 厚 生 年 金 基 金 が 国 に 代 わって 厚 生 年 金 の 事 務 の 一 部 を 行 うこと 基 本 月 額 ( 在 職 老 齢 年 金 ) 給 付 加 給 年 金 経 過 的 加 算 を 除 いた 年 金 月 額 加 算 部 分 を 除 いた 年 金 月 額 支

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Transcription:

高 齢 期 の 独 居 化 と 食 生 活 の 変 化 上 席 主 任 研 究 員 北 村 安 樹 子 < 夫 の 定 年 と 自 宅 の 変 化 > 定 年 退 職 を 迎 えた 夫 が 毎 日 自 宅 で 過 ごすようになり 日 中 夫 が 家 にいることや 夫 の 昼 食 の 支 度 を 気 にしなくてはならなくなった 妻 がストレスを 感 じる という 話 を 聞 くことがある 現 在 60~70 代 の 夫 婦 には 現 役 時 代 から 食 事 の 準 備 を 含 めて 家 事 全 般 はもっぱら 妻 の 役 割 という 生 活 を 送 ってきた 人 が 少 なくない このような 場 合 現 役 時 代 は 仕 事 中 心 の 生 活 をしてきた 夫 が 定 年 退 職 によってそれまでは 名 ばかりだった わが 家 でようやくゆっくり 過 ごせるとの 思 いでいるのに 対 し 妻 の 側 は それま で1 人 で 自 由 に 過 ごしていた わが 家 に 昼 食 の 世 話 を 必 要 とする 存 在 が 突 如 現 われ て 自 身 の 自 由 時 間 が 侵 食 されるように 感 じるらしい 筆 者 の 周 囲 にも 定 年 を 迎 え た 夫 が 自 宅 で 日 中 を 過 ごす 時 間 が 増 えて 以 来 それまでは 気 軽 に 訪 れていた 女 友 達 が さっぱり 来 なくなった と 嘆 く60 代 の がいる 彼 女 のように 子 どもが 無 事 巣 立 ち 夫 婦 で 悠 々 自 適 のセカンドライフと 聞 けば 現 役 世 代 からみると 何 とも 理 想 的 な 老 後 のようにみえる しかし 本 人 にすれば 自 身 のペースで 過 ごしていた 日 常 生 活 が 夫 の 定 年 を 機 に 大 きく 変 わってしまったようである このような 状 況 を 防 ぐためか 最 近 では 互 いの 負 担 にならないよう 夫 の 定 年 後 は せめて 昼 食 は 各 々で 食 べるのを 原 則 にしたり 食 事 の 支 度 は 夫 が 担 当 するという 夫 婦 もいると 聞 くが 実 態 はどうなっているのだろうか また 夫 婦 2 人 暮 らし 世 帯 の 男 女 が 配 偶 者 の 死 亡 等 を 経 て 将 来 1 人 暮 らしになった 場 合 食 生 活 の 面 ではどのよう な 変 化 が 生 じるのか 本 稿 では 今 年 1 月 に 実 施 した 別 居 する 子 どもがいる60~70 代 の 夫 婦 2 人 世 帯 の 男 女 を 対 象 とするアンケート 調 査 から 彼 らのふだんの 食 生 活 の 実 態 とともに 将 来 1 人 暮 らしになった 場 合 に 生 じる 変 化 について 考 えてみたい 調 査 の 概 要 は 図 表 1のとおりである 図 表 1 アンケート 調 査 の 概 要 調 査 対 象 サンプル 数 調 査 方 法 調 査 時 期 人 口 10 万 人 以 上 の 都 市 に 居 住 し 別 居 の 子 どもがいる60~70 代 の 夫 婦 2 人 世 帯 男 女 1,514 名 インターネット 調 査 ( 株 式 会 社 クロス マーケティングのモニター) 2016 年 1 月 第 一 生 命 経 済 研 究 所 ライフデザイン 研 究 本 部 Life Design Report 2016.8 1

<ふだんの 食 生 活 にみられる 男 女 差 > 図 表 2は 夫 婦 双 方 の 健 康 状 態 に 問 題 がなく は 自 身 が 就 労 していない は 夫 が 就 労 していないと 答 えた 人 にふだんの 食 生 活 についてたずねた 結 果 を 示 したも のである これをみると 食 事 は 自 分 でつくることが 多 い では の94.6%があて はまると 答 えたのに 対 し では17.3%であった ふだんの 食 事 づくりを 中 心 的 に 担 っているのは やはり 妻 という 人 が 多 い また さまざまな 食 品 メニューをとるよう 気 をつけている では の87.5% があてはまると 答 えたのに 対 し では78.6%であった これに 対 して 腹 八 分 目 を 心 がけている では の78.4%があてはまると 答 えたのに 対 し では73.3% であった ふだんの 食 生 活 に 関 して では に 比 べて 多 様 な 食 品 やメニューを とることを 意 識 しているのに 対 し は に 比 べて 食 事 の 量 を 節 制 することへの 意 識 が 高 い 食 事 は 自 分 でつくることが 多 い 食 事 は1 人 で 食 べることが 多 い 朝 食 を 食 べないことが 多 い 間 食 や 夜 食 をとり 過 ぎないよう 気 をつけている 図 表 2 ふだんの 食 生 活 の 実 態 ( 性 別 ) 0 20 40 60 80 100 (%) 6.8 10.5 17.3 17.3 74.4 94.6 20.2 94.6 4.3 9.7 14.0 8.8 2.3 6.5 3.2 3.8 7.6 4.5 3.1 36.8 33.0 14.0 8.8 7.6 83.6 81.9 46.8 48.9 83.6 81.9 栄 養 バランスのとれた 食 生 活 をしている 34.9 91.4 92.0 56.5 52.8 91.4 92.0 お 酒 を 飲 みすぎないよう 気 をつけている 30.0 44.0 72.7 42.7 73.8 29.8 72.7 73.8 甘 いものの 食 べすぎに 気 をつけている 22.2 21.9 49.7 71.9 48.3 70.2 71.9 70.2 腹 八 分 目 を 心 がけている 21.9 21.6 78.4 56.5 51.7 73.3 78.4 73.3 さまざまな 食 品 メニューをとるよ う 気 をつけている 19.7 29.3 78.6 58.9 87.5 58.2 78.6 87.5 食 費 の 節 約 を 心 がけている 9.2 3 46.2 10.2 49.4 あてはまる ややあてはまる 注 1: 分 析 対 象 者 は 夫 婦 双 方 の 健 康 状 態 について よい まあよい ふつう と 答 えた 人 のうち 自 身 の 就 労 状 況 について 現 在 働 いていない と 答 えた 370 人 および 配 偶 者 の 就 労 状 況 について 働 いていない と 答 えた 352 人 注 2: 斜 体 は あてはまる ややあてはまる の 合 計 割 合 2 Life Design Report 2016.8 第 一 生 命 経 済 研 究 所 ライフデザイン 研 究 本 部

< 将 来 独 居 化 した 場 合 の 食 生 活 の 変 化 > では 将 来 配 偶 者 が 死 亡 するなどして1 人 暮 らしになった 場 合 ふだんの 食 生 活 にはどのような 変 化 が 生 じるのだろうか 図 表 3は 食 生 活 のさまざまな 側 面 について 将 来 1 人 暮 らしになった 場 合 にどの ような 変 化 があると 思 うかをたずねた 結 果 である 独 居 化 しても 変 わらない と 答 えた 人 がもっとも 多 かった 項 目 もあるが 1 人 暮 らしになることは 食 生 活 に 関 する いくつかの 側 面 でさまざまな 変 化 をもたらすようである 男 女 に 共 通 して 増 えると 思 う と 答 えた 人 が 多 かったのは 食 事 を1 人 で 食 べること 栄 養 バランスの 偏 っ た 食 生 活 をすること 好 きなものや 同 じものばかり 食 べてしまうこと の3 項 目 で あった これらの 点 は 夫 婦 2 人 暮 らしからの 独 居 化 によって 男 女 にかかわらず 比 較 的 多 くの 人 に 想 定 される 食 生 活 の 変 化 だと 考 えられる 図 表 3 将 来 1 人 暮 らしになった 場 合 の 食 生 活 の 変 化 ( 性 別 ) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 54.1 32.2 13.8 食 事 を 自 分 でつくること 13.6 57.1 29.3 食 事 を1 人 で 食 べること 56.5 69.7 37.2 25.4 4.9 6.2 朝 食 を 食 べないこと 11.9 8.2 76.8 81.0 11.4 10.8 間 食 や 夜 食 を とりすぎてしまうこと 14.6 11.4 66.8 69.9 18.6 18.8 栄 養 バランスの 偏 った 食 生 活 をすること 37.2 46.2 49.7 38.6 15.1 13.1 お 酒 を 飲 みすぎてしまうこと 6.0 20.8 67.9 62.7 26.1 16.5 甘 いものを 食 べ 過 ぎてしまうこと 13.8 18.5 65.7 68.2 20.5 13.4 好 きなものや 同 じもの ばかり 食 べてしまうこと 48.4 45.7 43.0 44.6 8.6 9.7 食 費 を 節 約 すること 19.7 29.0 72.4 67.3 7.8 3.7 増 えると 思 う 変 わらない 減 ると 思 う 注 : 分 析 対 象 者 は 図 表 2に 同 じ 第 一 生 命 経 済 研 究 所 ライフデザイン 研 究 本 部 Life Design Report 2016.8 3

一 方 男 女 で 最 も 大 きな 差 がみられたのは 食 事 を 自 分 でつくること であり 男 性 では54.1%が 増 えると 思 う と 答 えたが では13.6%にとどまった の 場 合 変 わらない と 答 えた 人 が57.1%を 占 めてもっとも 多 いが 減 ると 思 う と 答 えた 人 も29.3%となっている のなかには 夫 婦 2 人 暮 らしでいる 間 と 同 様 に 1 人 暮 らしになっても 自 分 で 食 事 をつくる 生 活 習 慣 が 変 わらない と 感 じている 人 と 夫 を 失 って1 人 暮 らしになれば それまでのようには 自 分 で 食 事 をつくらなくな るだろうと 感 じている 人 がいることがわかる 後 者 のような では 同 居 する 配 偶 者 の 存 在 が 食 事 づくりの 動 機 になっている 面 もあると 考 えられる < では 食 事 をつくる 機 会 の 増 加 では 減 少 が 課 題 > 最 後 に 1 人 暮 らしになった 場 合 に 食 事 を 自 分 でつくる 機 会 の 変 化 に 関 する 回 答 結 果 によって 食 生 活 の 他 の 側 面 における 変 化 についての 回 答 結 果 がどのように 異 なる のかをみてみよう 図 表 4は 将 来 1 人 暮 らしになった 場 合 に 栄 養 バランスの 偏 った 食 生 活 をする こと 好 きなものや 同 じものばかり 食 べてしまうこと という2つの 側 面 がどのよう に 変 化 すると 思 うかについての 回 答 結 果 を 自 分 で 食 事 をつくる 機 会 の 変 化 について の 回 答 結 果 別 に 示 したものである これをみると 将 来 1 人 暮 らしになった 場 合 に 自 分 で 食 事 をつくることが 増 える と 答 えた では 栄 養 バランスの 偏 った 食 生 活 をすること や 好 きなものや 同 じものばかり 食 べてしまうこと が 増 える と 答 えた 人 がそれぞれ5% 62.5%を 占 める よく 言 われるように 妻 に 先 立 たれた 夫 が1 人 暮 らしになると 自 分 で 食 事 をつくる 機 会 が 増 えて 不 慣 れな 自 炊 への 対 処 や 栄 養 バランスの 偏 りといった 問 題 が 生 じやすいと 感 じている 人 が 多 いことがうか がえる 将 来 食 一 事 人 を 暮 自 ら 分 し で に つ な く っ る た こ 場 と 合 に 図 表 4 将 来 1 人 暮 らしになった 場 合 の 食 生 活 の 変 化 ( 性 自 分 で 食 事 をつくる 機 会 の 変 化 別 ) < > 増 える(n=200) 変 わらない(n=119) 減 る(n=51) < > 増 える(n=48) 変 わらない(n=201) 減 る(n=103) 栄 養 バランスの 偏 った 食 生 活 をすること 好 きなものや 同 じものばかり 食 べてしまうこと 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 26.9 5 49.0 39.6 31.3 47.6 59.7 23.5 43.8 61.7 29.1 30.0 27.5 13.0 13.4 16.7 23.3 62.5 26.1 45.1 39.6 35.8 68.0 64.7 37.5 56.7 31.0 6.5 9.2 15.7 22.9 7.5 24.3 7.8 増 える 変 わらない 減 る 増 える 変 わらない 減 る 注 : 分 析 対 象 者 は 図 表 2に 同 じ 4 Life Design Report 2016.8 第 一 生 命 経 済 研 究 所 ライフデザイン 研 究 本 部

一 方 で の 中 には 配 偶 者 を 失 って 将 来 1 人 暮 らしになった 場 合 に 自 分 で 食 事 をつくることが 減 る ことで 自 身 の 食 生 活 の 規 律 を 失 ってしまう 可 能 性 を 感 じて いる 人 が 少 なくないようである 例 えば 将 来 1 人 暮 らしになった 場 合 に 自 分 で 食 事 をつくることが 減 る と 答 えた では 栄 養 バランスの 偏 った 食 生 活 をすること や 好 きなものや 同 じものばかり 食 べてしまうこと が 増 える と 答 えた 人 がそれ ぞれ47.6% 68.0%を 占 める < 高 齢 期 における 食 事 づくり の 意 味 > このようにみると 今 回 の 調 査 対 象 である60~70 代 の には 日 々の 食 事 づくり が 自 身 の 健 康 や 食 生 活 の 規 律 の 維 持 につながっている 人 も 少 なからずいることがう かがえる 一 般 的 に 家 事 が 不 得 手 なことの 多 い が 配 偶 者 を 失 った 場 合 の 方 が が 配 偶 者 を 失 った 場 合 に 比 べて 日 常 生 活 に 問 題 が 生 じやすいイメージがある この 世 代 の 夫 婦 2 人 暮 らしの 男 女 の 老 後 に 関 しても そうした 言 説 を 耳 にしたことのある 人 は 多 いだろう 一 方 で この 世 代 の 夫 婦 2 人 暮 らし 世 帯 には 働 きづめの 現 役 時 代 を 終 え ようやく わが 家 で 過 ごせるようになった 夫 のための 食 事 づくりが むしろ 妻 自 身 の 健 康 維 持 にも 役 立 っているケースがあることも もう 少 し 注 目 されてよいのではな いか 近 年 高 齢 期 の 生 活 において 自 身 が 他 者 に 支 援 を 提 供 する 存 在 だと 感 じられるこ との 重 要 性 が 注 目 されている 男 女 にかかわらず 多 くの 人 にとって 老 いに 向 き 合 う 過 程 は 心 身 の 衰 えを 実 感 したり 社 会 におけるさまざまな 役 割 を 失 っていく 時 期 に 重 なる そのようななかで 配 偶 者 に 限 らず 自 分 のつくる 料 理 を 必 要 としたり 評 価 する 存 在 がいることは 身 体 の 健 康 の 面 だけでなく 自 分 の 役 割 や 存 在 価 値 を 直 接 的 に 実 感 できるという 点 で 精 神 的 な 支 えとして 大 きな 意 味 をもつ 場 合 もあるのだろ う 他 者 へのサポート 提 供 に 負 担 や 重 荷 を 感 じながらも それらに 自 身 の 役 割 や 存 在 価 値 を 感 じる 状 況 は 何 も 食 事 づくりという 行 為 や 夫 婦 という 関 係 性 の 間 に 限 ってみ られる 現 象 ではない 子 どもの 巣 立 ちを 迎 えて 以 降 の 夫 婦 のライフデザインという 観 点 からは 負 担 や 手 間 といったネガティブな 面 が 強 調 されることの 多 い 日 々の 食 事 づくりや ともに 年 を 重 ねた 配 偶 者 のつくる 食 事 を 食 べることが 互 いの 生 活 習 慣 や 健 康 の 維 持 にも 役 立 っ ている 面 があることも 知 っておきたい ( 研 究 開 発 室 きたむら あきこ) 第 一 生 命 経 済 研 究 所 ライフデザイン 研 究 本 部 Life Design Report 2016.8 5