原 発 廃 炉 に 向 けて 2012 年 7 月 28 日 ( 土 ) 原 水 爆 禁 止 四 国 大 会 於 高 松 市 伊 方 原 発 をとめる 会 事 務 局 長 草 薙 順 一 はじめに 原 発 稼 働 は 人 の 生 存 を 脅 かし 環 境 を 破 壊 し 倫 理 的 に 許 されない 犯 罪 行 為 である 危 険 な 原 発 稼 働 を 誰 のために 何 のために 稼 働 するのか? 原 発 の 制 度 ( 仕 組 みー 法 令 )はどうなっているのか? 第 1 伊 方 原 発 の 危 険 性 1 地 震 と 津 波 (1) 日 本 は 4つのプレート( 地 殻 )が 相 互 に 潜 り 込 み 乗 り 上 げひしめき 合 っている 地 震 と 津 波 大 国 である 日 本 の 宿 命 である 原 発 は 巨 大 精 密 機 械 であるから たくさんのコンピューター 計 器 類 配 線 配 管 がある これら は 衝 撃 と 水 にきわめて 弱 い (2) 伊 方 原 発 6キロ 沖 合 に 全 長 600キロメートルに 及 ぶ 中 央 構 造 線 活 断 層 がある どこからどこまでが 中 央 構 造 線 かについては 長 野 県 大 鹿 村 中 央 構 造 線 博 物 館 の 資 料 では 九 州 から 静 岡 県 糸 魚 川 までとなっている 関 東 まで 続 く となれば 約 1 000キロメートルとなる 中 央 構 造 線 上 の 地 震 として 指 摘 さ れているのが1596 年 ( 慶 長 元 年 )の 地 震 である 各 地 に 地 震 の 記 録 が 残 っ ており 湯 布 院 の 被 害 記 録 をイエスズ 会 のフロイス 神 父 が 湯 布 院 という 地 に 幾 人 かのキリシタンがいたが 恐 ろしい 地 震 の 為 山 の 一 部 が 崩 れ 落 ち その 村 を 埋 め ほんの 数 名 しか 助 かりませんでした と 報 告 している また 松 山 市 西 条 市 高 松 市 などの 寺 や 神 社 に 記 録 として 残 されており 豊 臣 秀 吉 が 建 設 したばかりの 伏 見 城 が 倒 壊 し 城 内 で600 人 近 い 死 者 が 出 たと 記 録 されて いる 従 って 中 央 構 造 線 上 の 巨 大 地 震 は 想 定 しておかなくてはならない ところが この 活 断 層 の 存 在 を 国 が 伊 方 原 発 1 号 機 の 原 子 炉 設 置 許 可 をした1 968 年 には 考 慮 されていなかった (3) 更 に 四 国 の 沖 合 にある 南 海 トラフ 駿 河 湾 から 紀 伊 半 島 四 国 の 沖 合 を 通 って 九 州 まで 延 びている フイリピン 海 プレートが 西 日 本 を 載 せるユーラシ アプレートの 下 に 沈 み 込 む 場 所 である 南 海 トラフ 沿 いの 地 震 は 四 国 沖 から 紀 伊 半 島 を 震 源 とする 南 海 地 震 紀 伊 半 島 沖 から 遠 州 灘 を 震 源 とする 東 南 海 地 震 遠 州 灘 から 駿 河 湾 を 震 源 とする 東 海 地 震 に 区 分 される 684 年 天 武 地 1
震 から1946 年 の 地 震 まで9 回 知 られている 684 年 には 日 本 書 紀 にも 記 載 され 道 後 温 泉 の 湧 出 が 止 まったとある 1605 年 1707 年 185 4 年 1946 年 とそれぞれ 揺 れの 程 度 や 津 波 の 高 さが 分 かっている 170 7 年 の 宝 永 地 震 では 高 知 県 土 佐 市 は12メートルの 津 波 であった 今 世 紀 前 半 に 起 こると 予 想 されている 3 連 動 の 可 能 性 もある (4) 伊 方 原 発 周 辺 にも 破 砕 帯 の 存 在 が 疑 われている 三 波 川 破 砕 帯 に 位 置 していると 指 摘 されている しかし 愛 媛 県 の 山 口 道 夫 原 子 力 安 全 対 策 推 進 監 は 周 辺 の 破 砕 帯 について 評 価 し 直 したが 確 認 されている 断 層 の 活 動 性 は ない と 述 べている 2 プルサーマルの 危 険 性 ウランを 燃 料 とする 原 発 で プルトニウムを 燃 料 として 用 いることからプルサ ーマルと 呼 ばれる プルトニウムは ウランと 混 合 して 燃 料 として 用 いること から プルサーマルに 用 いる 燃 料 を 混 合 酸 化 物 の 英 語 の 略 称 を 用 いて MO X 燃 料 という 伊 方 3 号 機 で2010 年 3 月 2 日 からプルサーマルを 開 始 プルトニウムは 猛 毒 である 世 界 でもほとんど 実 績 のない 運 転 である 3 地 すべり 地 帯 急 峻 な 地 すべり 地 帯 であり( 三 波 川 帯 に 位 置 ) 地 震 などの 災 害 の 折 鉄 塔 の 倒 壊 などが 考 えられ 外 部 電 源 の 切 断 の 恐 れがある 4 埋 立 地 海 を 埋 め 立 てて 敷 地 を 作 った 地 震 の 折 液 状 化 現 象 の 恐 れがある 配 管 の 損 傷 が 考 えられる 5 老 朽 化 伊 方 1 号 機 は 1977 年 2 号 機 は1982 年 3 号 機 は1994 年 に 運 転 開 始 1 号 機 は35 年 2 号 機 は30 年 経 過 保 安 院 は2 号 機 について 40 年 経 過 するまで 運 転 は 妥 当 という 結 論 を 出 した 金 属 疲 労 ( 熱 疲 労 と 振 動 によって 起 こる 機 械 的 疲 労 ) 腐 食 中 性 子 照 射 脆 化 (ぜ いか)などがある 脆 性 遷 移 温 度 と 言 われるのは 原 子 炉 は 鋼 鉄 でできているが 鋼 鉄 はもと もの 冷 やすともろくなる しかし 劣 化 によって 高 い 温 度 でも 割 れやすくなる 熱 いガラスに 冷 水 をかけると 割 れるようなものである この 温 度 が 脆 性 遷 移 温 度 で 劣 化 の 程 度 をみるものさしとして 使 われている 2
そこですべての 原 発 は 核 燃 料 を 収 めて 炉 心 と 圧 力 容 器 の 壁 との 間 に 圧 力 容 器 と 同 じ 材 質 の 試 験 片 を 数 十 個 入 れて それを 数 年 に 一 度 取 り 出 して 調 べるのである 中 性 子 照 射 脆 化 は 圧 力 容 器 は 燃 料 の 核 分 裂 で 生 じる 中 性 子 にさらされ 鋼 鉄 がもろくなる 現 象 をいう 中 性 子 が 当 たると 原 子 配 列 がごくわずか 変 化 し 長 期 間 続 くと 粘 りがなくなり 硬 くなって 割 れやすくなる 第 2 伊 方 原 発 を 動 かしている 者 はだれか 1 国 (1) 政 治 主 導 の 原 子 力 1953 年 12 月 8 日 米 国 アイゼンハウアー 大 統 領 が 原 子 力 の 平 和 利 用 を 提 唱 した これに 啓 発 された 中 曽 根 康 弘 や 正 力 松 太 郎 などが 働 き 1954 年 4 月 原 子 力 平 和 利 用 研 究 補 助 金 2 億 3 500 万 円 ウラニウム 資 源 調 査 費 1 5 00 万 円 の 予 算 が 可 決 した (2) 原 子 力 と 安 全 保 障 1956 年 原 子 力 体 制 が 確 立 日 米 原 子 力 協 定 は 日 米 で 原 子 力 の 平 和 利 用 に ついて 協 力 するというものであるが 日 米 安 保 が 解 消 された 場 合 には 協 定 は 無 効 になると 規 定 以 後 日 本 の 政 治 指 導 者 は 国 家 安 全 保 障 の 基 盤 維 持 のため に 核 技 術 を 国 内 で 保 持 するという 方 針 を 政 治 的 前 提 としてきた 日 本 は 核 武 装 はしないが 潜 在 的 な 核 の 技 術 力 を 保 持 する 方 針 である 現 実 の 国 際 社 会 には 核 の 保 持 が 国 を 守 るという 暗 黙 の 了 解 がある 日 本 は 核 を 保 持 しないというこ とが アメリカと 日 本 の 安 保 条 約 という 軍 事 的 同 盟 の 安 定 性 の 担 保 となってい る 2012 年 6 月 20 日 に 原 子 力 基 本 法 の 目 的 に わが 国 の 安 全 保 障 に 資 する が 追 加 されたのには 従 来 の 考 えが 明 文 化 されたものである 将 来 原 発 技 術 が 軍 事 転 用 に 道 を 開 く 危 険 もある 韓 国 メデイア( 文 化 日 報 )は6 月 21 日 付 一 面 トップに 日 本 が 法 的 に 核 武 装 の 道 を 開 いた と 伝 え 軍 事 利 用 への 憂 慮 を 伝 えている (なお 1982 年 4 月 5 日 の 参 議 院 予 算 委 員 会 において 法 制 局 長 官 は 憲 法 との 関 係 では 自 衛 のため 必 要 最 小 限 度 の 範 囲 内 に 属 する 核 兵 器 は 持 てる と 答 弁 している すなわち 戦 略 核 は 持 てないが 戦 術 核 は 持 てるという 政 府 の 公 式 見 解 である しかし 日 本 は 非 核 3 原 則 を 国 是 としており 核 不 拡 散 条 約 を 批 准 しているので 現 実 に 核 を 持 つことはできない ) (3) 国 策 としての 原 発 3
国 策 として 遂 行 される 原 発 を 民 間 企 業 を 中 心 に 担 わせる そこで 国 策 民 営 関 係 を 構 築 した 民 間 企 業 は 国 策 に 協 力 しているから 経 営 責 任 を 民 間 企 業 が 負 う 理 由 はなく 損 失 やリスクは 政 府 が 負 うべきであるということになる 国 の 支 援 政 策 には 立 地 支 援 研 究 開 発 支 援 損 害 賠 償 支 援 などがある 2 地 元 自 治 体 電 源 3 法 による 交 付 金 や 核 燃 料 税 固 定 資 産 税 が 入 る 愛 媛 県 には 核 燃 料 税 ( 年 間 約 16 億 円 )が 入 る 伊 方 町 は 年 間 約 100 億 円 の 予 算 の 内 約 30 億 円 の 交 付 金 などの 収 入 がある 原 発 は 麻 薬 の 役 割 を 果 たし 依 存 症 状 態 で 脱 原 発 では 成 り 立 たなくなっている しかし 四 国 電 力 県 伊 方 町 の3 者 によ る 原 子 力 協 定 により 伊 方 町 長 と 愛 媛 県 知 事 の 同 意 がなければ 原 発 の 稼 働 がで きない 地 元 自 治 体 の 首 長 に 対 する 働 きかけが 重 要 である 3 裁 判 所 原 発 稼 働 に 守 護 神 としての 働 きをした もんじゅ 訴 訟 (2003 年 名 古 屋 高 裁 金 沢 支 部 )と 志 賀 原 発 訴 訟 (2006 年 金 沢 地 裁 )で 勝 訴 しているが 上 訴 審 で 敗 訴 が 確 定 している 4 四 国 電 力 株 式 会 社 経 営 の 論 理 が 基 本 理 念 四 国 電 力 は 原 発 が 稼 働 しなければ 毎 日 4 億 円 から5 億 円 の 赤 字 となる 赤 字 経 営 では 銀 行 への 返 済 社 債 株 式 配 当 株 価 の 下 落 が 問 題 となる 株 主 総 会 では 脱 原 発 の 株 主 提 案 は 否 決 される ( 私 は 今 年 の 四 国 電 力 の 株 主 総 会 で 原 発 の 廃 炉 を 主 張 し 原 発 は 危 険 である 原 発 稼 働 は 犯 罪 である 株 主 を 犯 罪 に 巻 き 込 むな もし 事 故 が 発 生 すれば 役 員 の 責 任 のみならず 株 券 も 紙 切 れとなると 述 べるも 少 数 意 見 であった) 第 3 伊 方 原 発 をとめる 会 (2011 年 11 月 3 日 発 足 )の 活 動 基 本 理 念 福 島 の 事 故 により 原 発 は 廃 炉 しかない 行 動 理 念 遵 法 主 義 行 動 主 義 継 続 主 義 活 動 理 念 ( 脱 原 発 )- 排 除 せず 中 傷 せず 強 制 せず 1 講 演 会 集 会 パレードなどの 開 催 講 演 会 では 田 中 三 彦 氏 ( 元 原 子 炉 設 計 技 師 )は 福 島 の 炉 心 溶 融 事 故 は 津 波 ではなく 地 震 であると 指 摘 藤 原 節 男 氏 ( 原 子 炉 に 詳 しく 原 発 の 検 査 側 の 業 務 をしていた)は 地 震 の 場 合 制 御 棒 が 入 らない 場 合 が 考 えられると 指 摘 4
都 司 嘉 宣 氏 は 中 央 構 造 線 活 断 層 は 過 去 の 地 震 と 津 波 の 被 害 をもたらしたこ とを 指 摘 1596 年 には 佐 賀 関 で10,6メートルの 津 波 が 発 生 しており 伊 方 でも10メートルから15メートルの 津 波 が 考 えられると 指 摘 集 会 では 2012 年 6 月 20 日 には 松 山 城 山 公 園 に1 300 人 集 合 その 後 県 庁 包 囲 のパレード 2 ニュース パンフレットなどの 発 行 3 原 発 差 し 止 め 訴 訟 の 支 援 第 1 次 訴 訟 で300 人 第 2 次 訴 訟 で322 人 合 計 622 人 の 原 告 今 年 中 に は 第 3 次 訴 訟 で400 人 の 原 告 を 目 指 したい 第 1 回 口 頭 弁 論 が5 月 29 日 原 告 らは 伊 方 原 発 の 危 険 性 を 主 張 したのに 対 して 被 告 四 国 電 力 は 安 全 であ り 資 本 回 収 の 為 には 原 発 の 稼 働 が 必 要 と 主 張 第 2 回 口 頭 弁 論 は9 月 25 日 4 国 県 地 元 自 治 体 への 請 願 要 請 行 動 5 署 名 活 動 四 国 で40 万 人 署 名 に 取 り 組 んでいる 四 国 以 外 で20 万 人 署 名 である 6 ホーム 頁 の 開 設 運 用 ホーム 頁 http://www.ikata-tomeru.jp 終 わりに 原 発 廃 炉 が 実 現 すれば 日 本 の 歴 史 上 初 めて 国 民 の 側 からの 国 策 変 更 である 我 々の 力 量 が 試 されている 原 発 は 憲 法 違 反 である 13 条 の 個 人 の 尊 重 幸 福 追 求 権 に 違 反 し 憲 法 9 条 の 戦 力 にも 該 当 すると 考 える 憲 法 違 反 であるならば 原 子 力 基 本 法 以 下 すべての 原 子 力 法 は 廃 止 すべきであ る そうなれば 原 発 の 利 益 共 同 体 と 言 われる 原 発 ムラ は 消 滅 する 丁 度 戦 後 農 地 解 放 財 閥 解 体 国 家 神 道 解 体 があったように 旧 約 聖 書 預 言 者 エレミヤの 嘆 き(エレミヤ 書 6 章 )を 参 照 に 人 は 皆 利 をむさぼり 政 治 家 や 学 者 に 至 るまで 皆 欺 く 彼 らは 危 険 な ものを 安 全 と 言 い 忌 むべきことをして 恥 をさらした しかし 彼 らは 恥 ずかしいとは 思 わず また 恥 じることを 知 らなかった 以 上 5