広 島 女 学 院 大 学 論 集 第 61 集 BuletinofHiroshimaJogakuinUniversity61:131-138,Dec.2011 131 コンピュータを 利 用 したコミュニケーションと 人 間 関 係 女 子 大 学 生 の 意 識 調 査 から Humanrelationshipsandcommunicationwiththecomputer From asurveyofatitudesamonguniversitystudents MikikoNAKATAandYasuyukiKITANI Abstract Inthisresearchwecarriedoutinvestigationstotrytounderstandthechangesinfrequencyand conditionsofusageofelectroniccommunicationdevices,thenumberoffriendsandthevalueof friendshipsamongfemalestudentsduetotheproliferationofcmc. Wealsoconsideredtheefect oftheconceptsofself-disclosureandself-concealmentonrelationshipsbetweenfriendsandtheconditionsofusageofelectroniccommunicationdevices. Theresultsshowthatthehigherthelevelsof self-disclosure,themoreproactivelyindividualsgoandmeetfriendsmadeviasocialnetworking media. は じ め に 近 年,コンピュータや 携 帯 電 話 の 普 及 に 伴 い,インターネットを 利 用 した 新 しいコミュニケー ションの 方 法 が 出 現 し,それを 利 用 したコミュニケーションの 機 会 が 増 加 している これらの 新 しいコミュニケーション 方 法 は,コンピュータ 間 コミュニケーション(CMC:Computer MediatedCommunication:2つ 以 上 のコンピュータネットワークを 渡 る 他 の 人 との 交 流 のあら ゆる 形 態 ; 以 下 CMCと 略 す)と 言 われ, 大 学 生 における 人 間 関 係 にも 様 々な 影 響 をあたえて いる( 尾 上,2007, 橋 元,2008) CMCの 種 類 としてあげられるのは,メール, 掲 示 板,チャット,ホームページ(ブログ) などインターネットを 利 用 するにあたってほとんどの 人 が 何 気 なく 日 常 で 使 用 しているもので ある CMCの 利 用 によってインターネットが 出 会 いの 場 となっている メールやチャットを 利 用 することによって, 直 接 会 わなくてもリアルタイムに 会 話 ができるものもある また, 掲 示 板 では, 普 段 は 言 えないような 意 見 でも 匿 名 で 書 き 込 めるという 機 能 を 利 用 し, 自 己 の 意 見 を
132 抑 制 せず 発 表 している 部 分 もある ホームページでは 自 分 の 趣 味 嗜 好 を 公 表 することにより, 気 の 合 う 仲 間 を 作 ることができる このように CMCを 利 用 することによって, 今 までの 社 会 における 人 との 出 会 いとは 異 なった 出 会 いが 可 能 となっているのである さらに 近 年 では SNS(SocialNetworkingSite; 以 下 SNS)が 急 激 な 増 加 傾 向 にある SNSと は, 人 と 人 とのつながりを 促 進 サポートする,コミュニティ 型 の webサイトである 友 人 知 人 間 のコミュニケーションを 円 滑 にする 手 段 や 場 を 提 供 し, 趣 味 や 嗜 好, 住 居 地 域, 出 身 校, あるいは 友 人 の 友 人 といったつながりを 通 じて 新 たな 人 間 関 係 を 構 築 する 場 を 提 供 するサー ビスのこと 人 のつながりを 重 視 して 既 存 の 参 加 者 からの 招 待 がないと 参 加 できない とい うシステムになっているサービスが 多 いが, 最 近 では 誰 でも 自 由 に 登 録 できるサービスも 増 え ている( SocialNetworkingService 意 味 / 解 説 / 説 明 / 定 義 :IT 用 語 辞 典 htp:// e-words.jp/w/sns.html(2010/12/14)) SNSには, 自 分 のプロフィールや 写 真 を 公 開 する 機 能 や,お 互 いのメールアドレスを 知 られることなく 別 の 会 員 にメッセージを 送 る 機 能, 新 しくで きた 友 人 を 登 録 するアドレス 帳, 友 人 に 別 の 友 人 を 紹 介 する 機 能, 会 員 や 友 人 のみに 公 開 範 囲 を 制 限 できる 日 記 帳, 趣 味 や 地 域 などテーマを 決 めて 掲 示 板 などで 交 流 できるコミュニティ 機 能, 予 定 や 友 人 の 誕 生 日 などを 書 き 込 めるカレンダー 機 能 で 構 成 される 有 料 のサービスも あるが, 多 くは 無 料 のサービスとなっており,サイト 内 で 掲 載 される 広 告 や, 本 人 に 本 や CD などの 商 品 を 推 薦 する 機 能 を 設 け,そこから 上 がる 売 り 上 げの 一 部 を 紹 介 料 として 徴 収 すると いう 収 益 モデルになっている SNSには 自 己 登 録 制 と 招 待 制 の 二 つの 参 加 方 法 がある 招 待 制 とは SNSに 入 るにあたり 他 の 参 加 者 からの 招 待 がないと 参 加 することができない 方 式 招 待 制 は 現 実 の 人 間 関 係 を SNS 上 で 再 現 することで, 人 と 人 とのつながりを 重 視 したコミュニケーションを 支 援 する という 特 徴 がある また SNSが 提 供 するサービスにより, 知 人 とのコミュニケーションを 円 滑 に 行 うことができる 趣 味 友 達 の 友 達 等 のつながりを 通 じて 新 たな 人 間 関 係 を 構 築 するきっ かけを 得 られる と 言 われている 自 己 登 録 制 は 誰 しも 自 由 に 登 録 できることから 知 人 や 友 人 の 友 人 と 限 られることがないためより 多 くの 人 間 と 交 流 を 持 つことができる SNSの 普 及 により, 非 常 に 大 きな 変 化 が 起 こっている 例 えば, 地 震 などのニュースなどで 取 り 上 げられた 話 題 がすぐに SNSに 入 ってくる 1995 年 1 月 17 日 に 発 生 した 阪 神 大 震 災 に 伴 う 混 乱 は, 従 来 の 通 信 連 絡 網 が 遮 断 寸 断 された 状 況 下 にあって 人 と 人, 人 と 情 報 を 結 ぶイン ターネットの 必 要 性 の 大 きさを 感 じた 出 来 事 であったが, 現 在 では 確 認 作 業 を 要 するインター ネットのニュースよりも SNSのほうが 早 い また2011 年 3 月 11 日 の 東 北 大 震 災 においても, ほとんどの 電 話 が 不 通 となり, 携 帯 電 話 も 中 継 局 などの 損 害 によりほぼ 全 滅 となり, 携 帯 メー ルも 送 付 してから 届 くまでに 数 時 間 から 数 十 時 間 を 要 したと 報 告 されている このような 中,
コンピュータを 利 用 したコミュニケーションと 人 間 関 係 133 ほぼ 通 常 と 同 じように 使 えた 連 絡 手 段 は,twiter 安 否 確 認 だけでなく, 政 府 や 各 自 治 体, 報 道 機 関 が 発 表 した 情 報 なども 書 き 込 まれたため 情 報 入 手 手 段 として 大 変 有 効 であった また, 特 定 の 人 との 直 接 やり 取 りができるダイレクトメッセージは, 電 話 やメールのやり 取 りができ ないときに 有 効 であった スカイプ(インターネット 電 話 ) 都 内 では 地 震 発 生 数 時 間 後 に 通 話 ができたが, 緊 急 電 話 番 号 への 発 信 は 難 しかった 災 害 用 伝 言 板 パソコンや 携 帯 電 話 から 書 き 込 まれた 伝 言 を 閲 覧 できたが, 回 線 が 不 安 定 な 時 間 帯 ではつながりづらかった ワ ンセグ 放 送 携 帯 電 話 回 線 やインターネット 回 線 に 接 続 されていなくても 視 聴 でき, 地 震 発 生 直 後 から 安 定 していた これらが 有 効 であったと 報 告 されている また Googleメールサービ ス(Gmail)も 比 較 的 つながりやすかったと 報 告 されている( 沼 田 他,2011) これらの 新 しい 通 信 技 術 を 利 用 した 連 絡 方 法 は, 非 常 に 優 れた 情 報 共 有 システムであり, 災 害 や 事 件 だけでな く, 友 人 の 些 細 な 情 報 もリアルタイムで 入 ってくるため, 情 報 を 共 有 しているという 気 持 ちを 強 く 持 つことができる 現 在 代 表 的 な SNSとしてあげられるのは,mixi,twiter,GREE,モ バゲータウン, 海 外 では 世 界 最 大 の 会 員 数 を 誇 る Facebookなどがあげられる しかし,CMCの 利 用 はメリットだけではない リアルタイムで 会 話 できることにより 即 時 の 返 事 を 求 められているような 時 間 的 切 迫 を 感 じ, 掲 示 板 やホームページでの 誹 謗 中 傷 によっ て 心 を 病 み,パソコンや 携 帯 電 話 など 機 器 だけでのやり 取 りに 孤 独 感 を 感 じるなどさまざまな 問 題 点 がある また,このような 出 会 いの 場 が 増 えることによって CMCを 利 用 したサイバー 犯 罪 が 起 こっている サイバー 型 いじめでは, 電 子 メールや 携 帯 電 話,ウェブサイトなどを 用 いてネット 上 で ネットいじめ が 行 われ, 近 年 増 加 傾 向 にある その 理 由 として, 携 帯 端 末 からの 書 き 込 みが 簡 単 に 行 えるようになったことが 原 因 と 言 われている また,インターネッ トは 短 期 間 の 間 に 多 くの 人 間 に 広 まりやすい 傾 向 があるため, 多 くの 人 間 に 知 れ 渡 ってしまい, いじめを 拡 大 させてしまう 可 能 性 があるのである 日 本 におけるサイバー 型 いじめの 件 数 は,いじめ 全 体 の 約 4.4%とされている 文 部 科 学 省 (2009)による 全 国 の 小 中 高 校 生 を 対 象 とした 2009 年 度 児 童 生 徒 の 問 題 行 動 等 生 徒 指 導 上 の 諸 問 題 に 関 する 調 査 において,いじめ 認 知 件 数 7 万 2,778 件 のうち 全 体 の 約 4.4%にあたる 3,170 件 が パソコンや 携 帯 電 話 等 で, 誹 謗 中 傷 や 嫌 なことをされた と 回 答 していることに 依 っている 山 内 ら(2007)は,インターネットの 誹 謗 中 傷 行 為 を 行 った 者 は 個 人 的 な 要 因 と インターネットリテラシー 教 育 の 不 足 の2つのタイプがあることを 報 告 している 情 報 倫 理 教 育 については, 今 後 の 新 しい 指 導 要 領 で 強 化 されている 事 項 であり, 今 後 教 育 していく 必 要 が 大 きい 項 目 である また, 森 ら(2007)は, 加 害 者 の 個 人 的 動 機 として 友 人 関 係 の 変 化 家 庭 内 でのフラストレーション クラス 内 の 勢 力 関 係 (グループ 間 の 抗 争 ) があるこ とが 報 告 されている サイバー 型 いじめは, 加 害 者 と 被 害 者 の 重 複 が 大 きい よって, 子 ども
134 を 取 り 巻 く 全 体 的 なフラストレーション 環 境 を 改 善 することが 必 要 となる すでに 海 外 では, サイバー 型 いじめの 防 止 は 教 育 現 場 あるいは 心 理 学 の 対 象 だけではなく, 法 律 的 議 論 を 必 須 と し,さらに 地 域 行 政 とも 連 携 して, 子 どもを 取 り 巻 く 環 境 論 として, 統 一 的 な 観 点 から 対 策 が 検 討 されている(Kowalski,2008) さらに,インターネット 依 存 症 の 問 題 もあるといえる インターネット 依 存 とは, 侵 食 を 忘 れてインターネットにのめりこんだり,インターネットの 利 用 をとめられないと 感 じたりする, インターネットに 精 神 的 に 依 存 した 状 態 をいう(Young,1998) 現 在 社 会 では,インターネット に 接 続 することがあまりに 簡 単 になってしまい, 常 に 傍 にあるものとなってしまったためにこ のようにインターネットに 依 存 してしまう 人 が 増 加 してしまったのではないかと 考 える 特 に 双 方 向 性 の 強 いサイトほど 独 特 の 世 界 を 構 築 しやすくのめりこみやすい 2007 年 度 の 電 通 総 研 インターネットと 未 来 社 会 に 対 する 調 査 による 生 活 におけるインターネットの 重 要 度 の 項 目 において 回 答 した6 割 の 人 が ないと 不 便 と 答 えている 次 いで ないと 生 活 できな い が 多 い 特 に10 代,20 代,30 代 では ないと 生 活 できない が3 割 を 占 め,インターネッ トが 完 全 に 生 活 の 一 部 となっている 様 子 がうかがわれる 物 心 ついたころには 既 にデジタル 情 報 技 術 が 普 及 していたこの 世 代 を デジタル ネイティブ( 生 まれつきデジタル 環 境 に 囲 まれ, その 中 で 育 ってきた 人 たち) と 呼 ぶ Young(1998)は,インターネット 依 存 になる 人 々に とって,インターネット 依 存 は 逃 避 の 一 つの 形 態 であることを 述 べている 現 実 社 会 での ストレスは,インターネット 上 の 仮 想 の 世 界 は 安 心 で 所 属 感 の 強 い 場 所 となり, 悩 みを 回 避 さ せてくれるのである インターネット 上 の 世 界 は, 単 なる 情 報 通 信 機 器 ではなくもう 一 つの 確 立 した 居 場 所 なので ある このようなことからインターネット 上 での 知 り 合 いを 失 うことは, 現 実 社 会 で 友 人 を 失 うことと 同 等 の 喪 失 感 があると 思 われる 特 にデジタル ネイティブの 世 代 である 学 生 たちは その 思 考 が 強 い 携 帯 電 話 の 使 用 が 友 人 関 係 の 深 さと 密 着 性 に 及 ぼす 影 響 についての 研 究 では, 高 校 生 では 携 帯 電 話 の 使 用 により, 虚 構 の 心 理 的 一 体 感, 情 緒 的 依 存 が 高 いほど, 密 着 性 が 増 加 することが 示 されている また, 友 人 関 係 が 携 帯 電 話 の 使 用 に 影 響 するという 逆 方 向 の 関 係 を 示 す 結 果 もいくつか 得 られ, 密 着 性 と 虚 構 の 心 理 的 一 体 感 や 情 緒 的 依 存 との 間 に,お 互 いを 高 めあう 循 環 的 な 関 係 があることが 示 唆 されている( 赤 坂 坂 元,2008) 本 研 究 では,CMCの 発 展 により 情 報 伝 達 機 器 の 使 用 に 対 する 感 じ 方 に 変 化 があるのではな いかと 仮 定 し, 女 子 学 生 に 情 報 伝 達 機 器 の 利 用 状 況 や 利 用 頻 度, 友 人 数, 友 人 関 係 の 大 切 さな どの 気 持 ちにどのような 変 化 があるかどうか 現 状 を 把 握 するための 調 査 を 行 った また, 自 己 開 示 や 自 己 隠 蔽 の 概 念 によって, 友 人 関 係 や 情 報 伝 達 機 器 の 使 用 状 況 に 与 える 影 響 があるかを 検 討 したので 報 告 する
コンピュータを 利 用 したコミュニケーションと 人 間 関 係 135 方 法 対 象 : 本 学 に 通 う 大 学 1 年 生 から 大 学 4 年 生 までの 合 計 303 名 を 被 験 者 とした 方 法 : 紙 面 を 使 ったアンケート 調 査 を 実 施 した アンケート 用 紙 を 配 布 し,アンケートに ついて 以 下 の 教 示 を 行 った インターネット 使 用 が 及 ぼす 人 間 関 係 の 構 築 についての 研 究 を しています アンケートは, 友 人 関 係 について 情 報 伝 達 機 器 (パソコン, 携 帯 電 話 )の 使 用 状 況 について 調 査 しています なお,このアンケートは 学 術 論 文 に 使 用 し, 学 術 論 文 以 外 での 使 用 は 一 切 いたしません また, 匿 名 であり 個 人 を 特 定 するものはありません と 説 明 した 後 にその 場 で 回 答 を 求 めた また, 集 計 分 析 は 表 計 算 ソフトの Excelおよび SPSSを 用 いた アンケート 内 容 :(1) 情 報 伝 達 機 器 の 使 用 について 12 項 目 (2) 日 頃 の 友 人 関 係 について 7 項 目 (3) 自 己 隠 蔽 について 13 項 目 (4) 自 己 開 示 について 20 項 目 の 質 問 項 目 を 提 示 した 結 果 情 報 伝 達 機 器 の 利 用 頻 度 についての 結 果 として,SNS(CMCの 一 種 )の 利 用 頻 度 のアンケー ト 結 果 を 図 1に 示 した その 結 果, 毎 日 利 用 する が56%と 最 も 多 く,CMCの 普 及 が 大 きい ことを 示 している 友 人 関 係 において, 情 報 伝 達 機 器 だけの 友 人 と 身 近 な 友 人 で 違 いを 感 じ るか については, 非 常 に 感 じる26.7%, 感 じる41.3%,どちらでもない21.5%, 感 じない 7.6%, 全 く 感 じない3.0%であった またメールに 関 するアンケートで, 実 際 に 会 ったことが ない 人 とメールをしたことがある という 回 答 は 約 76%であった メールだけの 友 人 と 会 っ たことがない 人 は 会 いたいかという 質 問 に 対 し 約 8 割 (79.9%)の 人 が 会 いたくない と 回 答 している その 中 でも 自 己 開 示 度 が 低 い 群 では, 会 ったことがある 33.8%に 対 し, 自 己 開 示 度 が 高 い 群 では 会 ったことがある 50.8%であった( 図 2) 自 己 開 示 の 高 低 群 間 に おいては,c 二 乗 検 定 の 結 果 (c=8.746 p<0.01) 有 意 差 が 認 められた 自 己 隠 蔽 尺 度 による 高 低 群 別 の 結 果 については, 有 意 な 差 は 認 められなかった
136 図 1 SNSの 利 用 頻 度 図 2 質 問 項 目 情 報 伝 達 機 器 を 通 じて 知 り 合 った 人 と 合 ったことがあ るか に 対 する 自 己 開 示 度 の 高 い 群 と 低 い 群 における 回 答 お わ り に 尾 上 (2007)と 比 較 したところ,パソコンの 所 有 率 が16.4%から48.6%へ 増 加 している こ のことから 一 家 に1 台 でパソコンを 所 有 していた 時 代 から1 人 に1 台 の 時 代 へ 変 化 しているこ とが 示 された これらの 結 果 から, 携 帯 電 話 もパソコンも, 学 生 たちにとって 欠 かせないツー ルであることが 考 えられる 今 後 もパソコンのコンパクト 化 が 進 み 持 ち 運 びやすくなり 増 加 さ れると 考 えられる 情 報 伝 達 機 器 の 利 用 状 況 や 利 用 頻 度 については,2007 年 に 比 較 して SNS の 利 用 頻 度 の 回 答 として 毎 日 利 用 する を 選 択 した 人 が 最 も 少 なかったのに 対 し, 今 回 のア
コンピュータを 利 用 したコミュニケーションと 人 間 関 係 137 ンケート 結 果 では 毎 日 利 用 する を 選 択 する 人 が 最 も 多 くなっている この 結 果 は 約 3 年 間 の 間 に SNSが 普 及 していると 考 えられる 今 回 のアンケート 結 果 ではEメールを 利 用 し,メールだけの 知 り 合 い(メル 友 )と 会 ったこ とがあるという 人 は43.6%であったが,2007 年 のアンケート 結 果 では61.8%であった メル 友 と 会 うと 答 える 人 数 が 減 少 の 傾 向 にあるのには,ネット 犯 罪 などが 多 いことや, 若 者 が 非 対 面 コミュニケーションを 求 めるようになったのではないかと 考 えられる この 結 果 については, 今 回 のアンケートでは 仮 説 でしかないため 詳 細 に 調 べていくことが 必 要 である 友 人 関 係 についての 結 果 として, 尾 上 (2007) で は, 最 初 に 相 談 する 相 手 はだれか とい う 質 問 に 対 し 学 校 外 の 友 人 という 回 答 が 最 も 多 かった 今 回 のアンケート 結 果 でも 学 校 外 の 友 人 という 答 えが 最 も 多 かったが, 今 回 のアンケートは 友 人 関 係 だけを 知 るために 学 校 内 の 友 人 か 学 校 外 の 友 人 かに 絞 っているため,その 他 の 項 目 を 増 やして 同 じ 結 果 にな るかどうかはわからない 自 己 開 示 度 は, 今 回 情 報 伝 達 機 器 を 通 じて 知 り 合 った 人 と 会 ったことがあるか, 情 報 伝 達 機 器 だけの 友 人 と 身 近 な 友 人 で 違 いを 感 じるか の2 項 目 に 絞 り 自 己 開 示 度 の 高 低 で 結 果 を 分 析 した 尾 上 (2007) で は, 日 頃 の 友 人 関 係 を 大 切 と 思 うか という 項 目 でアンケートを 行 ったが, 今 回 の 日 頃 の 友 人 関 係 を 大 切 と 思 うか という 項 目 はほとんどの 人 が 非 常 に 大 切 に 思 う 大 切 に 思 う と 回 答 したため, 差 が 示 されないのではないかと 仮 定 し 項 目 を 変 更 した 結 果 として, 情 報 伝 達 機 器 を 通 じて 知 り 合 いと 会 ったことがあるか という 項 目 にお いては 有 意 差 が 認 められた 自 己 開 示 が 高 い 人 ほど 積 極 的 にメル 友 に 会 いにいく 傾 向 が 示 され た しかし, 情 報 伝 達 機 器 だけの 友 人 と 身 近 な 友 人 で 違 いを 感 じるか という 項 目 で 有 意 差 はみられなかった よって, 情 報 伝 達 機 器 での 友 人 と 身 近 な 友 人 とは, 同 じものとして 考 えら れるところまではいたってないのではないかと 考 えられる 自 己 隠 蔽 度 は, 携 帯 電 話 のメール 通 話 機 能 はどれくらい 重 要 か, SNSの 利 用 頻 度 の 2 項 目 に 絞 り 自 己 隠 蔽 度 の 高 低 で 結 果 を 分 析 した しかし,どちらの 項 目 も 高 低 での 有 意 差 は みられなかった 2007 年 の 結 果 では, 自 己 隠 蔽 度 によって SNSの 利 用 時 間 に 差 が 認 められ たが,SNSの 利 用 状 況 にはさまざまな 環 境 が 関 係 してくるので, 更 に 多 くの 人 にアンケートを とり, 詳 細 に 研 究 をすることが 望 まれる CMCの 大 衆 化 により,それぞれの 関 係 性,つながりによってインターネットの 本 質 も 変 化 している 人 と 人 とのつながりが 重 視 される CMCだからこそ 人 の 心 理 的 側 面 に 及 ぼす 影 響 も 大 きいのではないかと 考 えられる 本 研 究 では,CMCが 人 間 関 係 の 構 築 に 及 ぼす 影 響 につい て 収 集 したデータでは 自 己 隠 蔽 度 が 人 間 関 係 や CMCに 及 ぼす 影 響 が 検 討 に 至 っていない 今 後, 幅 広 い 多 くの 学 生 を 対 象 に 調 査 をとることが 必 要 である
138 謝 辞 本 論 文 は2010 年 度 生 活 デザイン 情 報 学 科 三 原 貴 遊 さんのアンケート 結 果 を 利 用 して 集 計 分 析 を 行 ったものです 記 して 感 謝 いたします 参 考 文 献 1. 尾 上 恵 子 女 子 学 生 の 人 間 関 係 構 築 における 諸 要 因 について 宮 女 子 短 期 大 学 紀 要, 第 46 集,2007. 2. 橋 元 良 明 メディア コミュニケーション 学 大 修 館 書 店,pp.85 98,2008. 3. 沼 田 宗 純, 國 分 瑛 梨 子, 坂 口 理 紗, 目 黒 公 郎, 東 京 大 学 生 産 研 究,63 巻 4 号,pp.547 554,2011. 4. 春 日 章 宏, 三 枝 優 一, 古 井 陽 之 助, 速 水 治 夫 SNSでのチャットによる 友 達 の 輪 拡 大 支 援 システムの 提 案 社 団 法 人 情 報 処 理 学 会,2007. 5. 文 部 科 学 省,2009, 児 童 生 徒 の 問 題 行 動 等 生 徒 指 導 上 の 諸 問 題 に 関 する 調 査 htp://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/11/ icsfiles/afieldfile/2009/11/30/1287227_1_1.pdf 2009.11.30(2010/12/14) 6. 山 内 早 苗, 社 浦 竜 太, 斉 藤 富 由 起 インターネット リテラシーと 自 己 肯 定 感 の 関 連 性 に 関 する 研 究 その4 反 リテラシー 行 為 の 動 機 に 注 目 して 日 本 カウンセリング 学 会 第 40 回 大 会 発 表 論 文 集, 182,2007. 7. 森 祐 子, 池 田 彩 子, 斉 藤 富 由 起, 守 谷 賢 二, 社 浦 竜 太, 内 山 早 苗, 右 山 雄 一 インターネット リ テラシーと 自 己 肯 定 感 の 関 連 性 に 関 する 研 究 その7 個 人 的 動 機 のカテゴリーに 注 目 して 日 本 カウンセリング 学 会 第 40 回 大 会 発 表 論 文 集,185,2007. 8.Kowalski,R.M.LawsandPoliciesKowalski,R.M.,Limber,S.P.,Augaston,P.W.(ed)CyberBulying. BlackwelPublishing,181 190,2008. 9. 小 野 淳, 斉 藤 富 由 起 サイバー 型 いじめ (CyberBulying)の 理 解 と 対 応 に 関 する 教 育 心 理 学 的 展 望 千 里 金 蘭 大 学 紀 要,pp.35 47,2008. 10.Young,K.CaughtintheNet:howtoRecognizetheSignsofInternetAddiction-andaWinningStrategy forrecovery. JohnWiley& Sons. 小 田 嶋 由 美 子 訳 インターネット 中 毒. 毎 日 新 聞 社,1998. 11. 電 通 総 研 インターネットと 未 来 社 会 に 関 する 調 査 htp://www.dentsu.co.jp/di/archive/other/pdf/publication_071012.pdf(2010/12/14) 12. 金 昭 英 インターネット 依 存 と 孤 独 感 対 人 ストレスイベントの 関 係 について 臨 床 教 育 心 理 学 研 究,2007.3.Vol.33,No.1,2007. 13. インターネット Addiction 依 存 症 蝕 まれる 子 供 たちの 心 htp://www.angels-eyes.com/net_a/adv.htm(2010/12/14)