主 文 一 被 告 栃 木 県 宇 都 宮 県 税 事 務 所 長 が 原 告 に 対 し 別 紙 目 録 記 載 の 建 物 につき 昭 和 五 一 年 一 二 月 一 〇 日 付 けでした 課 税 標 準 を 金 三 億 一 五 六 一 万 九 〇 〇 〇 円 税 額 を 金 九 四 六 万 八 五 七 〇 円 とする 不 動 産 取 得 税 賦 課 決 定 を 取 り 消 す 二 被 告 栃 木 県 に 対 する 請 求 に 係 る 訴 えを 却 下 する 三 訴 訟 費 用 は 原 告 と 被 告 栃 木 県 宇 都 宮 県 税 事 務 所 長 との 間 においては 原 告 に 生 じた 費 用 の 二 分 の 一 を 同 被 告 の その 余 は 各 自 の 各 負 担 とし 原 告 と 被 告 栃 木 県 との 間 においては 全 部 原 告 の 負 担 とする 事 実 第 一 当 事 者 の 求 める 裁 判 一 請 求 の 趣 旨 1 主 文 第 一 項 と 同 旨 2 被 告 栃 木 県 ( 以 下 被 告 県 という )は 原 告 に 対 し 金 九 八 九 万 五 〇 七 〇 円 及 びこれに 対 する 昭 和 五 二 年 八 月 二 六 日 から 完 済 に 至 るまで 年 七 三 パーセントの 割 合 による 金 員 を 支 払 え 3 訴 訟 費 用 は 被 告 らの 負 担 とする 4 2につき 仮 執 行 宣 言 二 請 求 の 趣 旨 に 対 する 答 弁 1 被 告 栃 木 県 宇 都 宮 県 税 事 務 所 長 ( 以 下 被 告 県 税 事 務 所 長 という ) ( 一 ) 原 告 の 請 求 を 棄 却 する ( 二 ) 訴 訟 費 用 は 原 告 の 負 担 とする 2 被 告 県 ( 本 案 前 の 答 弁 ) 主 文 第 二 項 と 同 旨 ( 本 案 の 答 弁 ) ( 一 ) 原 告 の 請 求 を 棄 却 する ( 二 ) 訴 訟 費 用 は 原 告 の 負 担 とする ( 三 ) 仮 執 行 宣 言 付 きの 被 告 敗 訴 の 判 決 の 場 合 には 担 保 を 条 件 とする 仮 執 行 免 脱 宣 言 第 二 当 事 者 の 主 張 一 原 告 の 請 求 原 因 1 原 告 は 昭 和 五 一 年 八 月 一 八 日 訴 外 融 和 商 事 株 式 会 社 ( 以 下 融 和 商 事 と いう )から 同 会 社 の 所 有 する 別 紙 目 録 記 載 の 建 物 ( 以 下 本 件 建 物 とい う )を 買 い 受 けて 取 得 したところ 被 告 県 税 事 務 所 長 は 原 告 に 対 し 同 年 一 二 月 一 〇 日 付 け 不 動 産 取 得 税 納 税 通 知 書 をもつて 本 件 建 物 の 取 得 について 課 税 標 準 を 三 億 一 五 六 一 万 九 〇 〇 〇 円 税 額 を 九 四 六 万 八 五 七 〇 円 とする 不 動 産 取 得 税 賦 課 決 定 ( 以 下 本 件 処 分 という )をした 原 告 は 本 件 処 分 に 不 服 であつたので 栃 木 県 知 事 に 対 し 審 査 請 求 をしたところ 同 知 事 は 昭 和 五 二 年 三 月 三 一 日 右 審 査 請 求 を 棄 却 する 旨 の 裁 決 をした そこ で 原 告 は やむなく 昭 和 五 二 年 八 月 二 五 日 までに 右 税 額 及 び 延 滞 利 子 の 合 計 九 八 九 万 五 〇 七 〇 円 を 被 告 県 に 納 付 した 2 しかしながら 本 件 処 分 は 次 の 理 由 により 違 法 である ( 一 ) 地 方 税 法 ( 以 下 法 という ) 七 三 条 の 二 一 第 二 項 によれば 不 動 産 取 得 税 の 課 税 標 準 となるべき 価 格 は 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 固 定 資 産 の 価 格 が 登 録 され ていない 不 動 産 については 固 定 資 産 評 価 基 準 によつて 決 定 するものとされている ので そのような 不 動 産 についての 課 税 標 準 は 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 登 録 されるべき 価 格 と 同 じ 価 格 に 決 定 すべきものと 解 される ( 二 ) 原 告 が 本 件 建 物 を 取 得 した 当 時 はもとより 本 件 処 分 当 時 も 本 件 建 物 に ついては 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 固 定 資 産 の 価 格 は 登 録 されていなかつた ( 三 ) 融 和 商 事 は 遅 くとも 昭 和 四 九 年 一 一 月 二 八 日 までに 本 件 建 物 を 新 築 に より 取 得 していたから この 事 実 を 前 提 として 適 用 されるべき 固 定 資 産 評 価 基 準 に よりその 価 格 が 登 録 されているべきであり その 登 録 されるべき 価 格 が 課 税 標 準 と なるべきである ( 四 ) ところが 被 告 県 税 事 務 所 長 は 本 件 建 物 は 昭 和 五 〇 年 一 月 二 日 以 降 に 新 築 取 得 され 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 登 録 し 得 るようになつたとの 判 断 の 下 に 昭 和 五 一 年 度 に 適 用 される 基 準 ( 昭 和 五 〇 年 度 分 として 本 来 登 録 される 価 格 より 高 額 とな る )により 課 税 標 準 を 定 め これに 基 づき 本 件 税 額 を 決 定 した 3 本 件 処 分 には 右 のとおり 前 提 事 実 を 誤 認 した 違 法 がある したがつて 前 記
のとおり 原 告 が 本 件 処 分 に 基 づいて 合 計 九 八 九 万 五 〇 七 〇 円 を 納 付 したのは 誤 納 と いうべきである よつて 原 告 は 本 件 処 分 の 取 消 しを 求 め 被 告 県 に 対 し 右 納 付 額 に 相 当 する 九 八 九 万 五 〇 七 〇 円 及 びこれに 対 する 前 記 のとおり 納 付 を 完 了 した 日 の 翌 日 である 昭 和 五 二 年 八 月 二 六 日 から 完 済 に 至 るまで 法 所 定 の 年 七 三 パーセントの 割 合 による 還 付 加 算 金 の 支 払 を 求 める 二 請 求 原 因 に 対 する 被 告 らの 認 否 及 び 主 張 ( 認 否 ) 請 求 原 因 1の 事 実 は 認 める 同 2の( 一 )の 主 張 並 びにその( 二 ) 及 び( 四 )の 各 事 実 はいずれも 認 め その ( 三 )の 事 実 は 否 認 する 同 3は 争 う ( 主 張 ) 1 本 案 前 の 主 張 ( 被 告 県 ) 仮 に 本 件 処 分 が 取 り 消 された 場 合 には 原 告 の 主 張 に 係 る 納 付 金 相 当 額 は 原 告 に 自 動 的 に 還 付 されることが 明 らかであるから 被 告 県 に 対 する 訴 えはその 利 益 がな い 2 本 件 処 分 の 経 緯 及 び 適 法 性 について ( 一 ) 原 告 が 本 件 建 物 を 取 得 したことに 対 して 課 する 不 動 産 取 得 税 の 課 税 標 準 は 請 求 原 因 2の( 一 )( 二 )のとおりの 理 由 から 固 定 資 産 評 価 基 準 によつて 決 定 すべきであるが 固 定 資 産 評 価 基 準 ( 法 三 八 八 条 )は 昭 和 五 〇 年 一 二 月 二 二 日 自 治 省 告 示 第 二 五 二 号 をもつてその 一 部 が 改 正 され 昭 和 五 一 年 度 における 家 屋 の 評 価 は 新 増 分 ( 当 該 年 度 において 新 たに 課 税 の 対 象 となる 家 屋 つまり 昭 和 五 〇 年 一 月 二 日 から 昭 和 五 一 年 一 月 一 日 までに 新 築 された 家 屋 )の 非 木 造 家 屋 につい ては 再 建 築 費 評 点 補 正 率 を 一 四 として 価 額 を 算 出 し 在 来 分 ( 新 増 分 の 家 屋 以 外 の 家 屋 すなわち 昭 和 五 〇 年 一 月 一 日 までに 新 築 された 家 屋 )のそれについて は 昭 和 五 〇 年 度 の 価 額 によるものとされた ( 二 ) ところで 新 築 工 事 中 の 家 屋 はどの 程 度 まで 完 成 したときに 不 動 産 取 得 税 及 び 固 定 資 産 税 の 課 税 客 体 となるかについて 法 は 特 段 の 定 めをしていないが 一 般 に 当 該 家 屋 の 建 築 の 過 程 において これ 以 上 には 家 屋 の 価 格 の 増 加 を 期 待 でき ないといえる 程 度 に 工 事 を 完 了 したと 認 められる 状 態 に 達 したこと 換 言 すれば 当 該 家 屋 の 種 類 構 造 用 途 等 を 考 慮 して 当 該 家 屋 の 本 来 の 用 途 に 応 じ 現 実 に 使 用 収 益 し 得 る 程 度 に 完 成 されたことを 要 すると 解 すべきである なぜなら およそ 建 物 は その 使 用 の 目 的 に 応 じて 構 造 を 異 にするものであつて これを 新 築 する 場 合 には 建 物 がその 使 用 目 的 に 相 応 する 構 成 部 分 を 具 備 しない 限 りいまだ 建 物 として の 効 用 を 果 たすことができないし そもそも 不 動 産 取 得 税 は 課 税 対 象 である 固 定 資 産 そのものの 価 値 ( 当 該 固 定 資 産 を 使 用 収 益 する 経 済 的 価 値 )に 着 目 して 課 される 財 産 税 であり また 固 定 資 産 税 は 固 定 資 産 の 資 産 価 値 に 着 目 して 課 される 物 税 で あり その 担 税 力 はその 物 自 体 が 有 している 客 観 的 価 値 に 応 じて 決 定 されるもので あるから 前 記 の 程 度 にまで 工 事 を 完 了 したと 認 められる 状 態 に 至 つて 初 めて 課 税 対 象 となる 家 屋 になるといえるからである したがつて その 時 期 についての 問 題 は 当 該 建 物 がいつ 不 動 産 として 登 記 の 対 象 となるかの 問 題 とは 本 質 を 異 に し 例 えば 工 事 中 の 建 物 につき 内 装 工 事 が 未 了 の 場 合 においては いまだ 課 税 対 象 となる 家 屋 とはいえないのであり このことは 内 装 工 事 が 固 定 資 産 評 価 基 準 上 価 格 決 定 の 一 要 素 となつていることからも 明 らかである また 本 来 の 目 的 用 途 に 応 じた 使 用 開 始 の 事 実 は 使 用 収 益 し 得 る 時 期 の 判 断 につき 重 要 な 要 素 と なることは 当 然 である そして 右 の 意 味 での 家 屋 の 新 築 があつた 場 合 において 当 該 家 屋 について 最 初 に 使 用 又 は 譲 渡 が 行 われた 場 合 に 初 めて 課 税 客 体 である 不 動 産 の 取 得 があつたもの とみなされるのである( 法 七 三 条 の 二 第 二 項 )が 右 条 項 にいわゆる 最 初 の 使 用 が 行 われた 日 とは 本 来 の 用 途 に 応 じ 現 実 に 使 用 収 益 し 得 る 程 度 に 建 物 が 完 成 し 当 該 家 屋 を 本 来 の 用 途 目 的 に 従 つて 使 用 した 日 をいうものと 解 され 建 物 を 本 来 の 用 途 目 的 に 従 つて 使 用 するというのは 工 事 のために 使 用 したり 工 事 中 に 仮 使 用 をしたりする 場 合 を 含 まず 家 屋 が 住 宅 であれば 住 宅 として ホテル 又 は 旅 館 であればホテル 又 は 旅 館 として 使 用 することをいうと 解 すべきである ( 三 ) そこで 本 件 建 物 についてこれをみると その 建 築 工 事 から 完 成 に 至 る 経 過 は 次 のとおりである 本 件 建 物 は 注 文 者 融 和 商 事 と 請 負 人 訴 外 岡 崎 工 業 株 式 会 社 との 間 で 昭 和 四 八 年 三 月 締 結 された 請 負 契 約 に 基 づき 新 築 されたものであり 当
初 は 昭 和 四 九 年 一 一 月 完 成 見 込 みとされていたが 昭 和 四 九 年 一 一 月 九 日 には 両 者 間 で 工 事 の 追 加 変 更 を 取 り 決 める 一 方 未 着 工 部 分 についての 単 価 を 改 訂 す る 旨 の 更 改 契 約 を 締 結 している 状 況 であつた その 追 加 変 更 工 事 の 内 容 は 新 たに エレベーター 施 設 を 一 基 設 置 し 一 一 階 から 一 二 階 に 通 じる 階 段 及 びロビーの 一 部 を 吹 き 抜 けとする 予 定 を 取 り 止 めて 床 コンクリートスラブで 遮 断 することとし 一 二 階 にも 設 置 する 予 定 であつた 厨 房 施 設 を 一 一 階 に 移 転 して これに 見 合 う 工 事 を するというものであるが この 工 事 は 昭 和 四 九 年 一 一 月 から 一 二 月 にかけて 着 工 さ れ その 後 に 内 部 仕 上 工 事 として 床 工 事 内 壁 工 事 天 井 工 事 照 明 器 具 の 設 置 等 に 及 び 昭 和 五 〇 年 一 月 末 まで 行 われていた この 間 昭 和 四 九 年 一 一 月 二 八 日 に は 東 京 電 力 株 式 会 社 から 業 務 用 電 力 の 通 電 がされ 同 月 三 〇 日 には 東 京 ガスとの 間 にガス 供 給 契 約 が 締 結 されてガス 設 備 が 設 けられ( 使 用 開 始 は 昭 和 五 〇 年 二 月 以 降 ) 一 二 月 五 日 には 建 築 基 準 法 七 条 一 項 の 規 定 による 建 築 完 了 届 が 宇 都 宮 市 長 に 提 出 されたが この 段 階 で 同 市 建 築 指 導 課 が 完 了 検 査 を 行 つたところ 一 階 から 一 〇 階 までは 九 分 どおり 完 成 していたが 一 一 階 と 一 二 階 は 内 装 工 事 中 であり 地 階 は 内 装 工 事 が 未 着 手 であつて 同 条 三 項 の 規 定 による 検 査 済 証 の 交 付 ができない 状 態 であつた( 検 査 済 証 の 交 付 があつたのは 昭 和 五 〇 年 八 月 一 一 日 である ) そこ で 融 和 商 事 は 同 市 建 築 指 導 課 の 指 導 に 基 づき 宇 都 宮 市 長 に 対 し 昭 和 四 九 年 一 二 月 二 六 日 一 階 から 一 〇 階 までについて 仮 使 用 期 間 を 昭 和 五 〇 年 一 月 一 五 日 か ら 四 月 三 〇 日 までとする 建 物 仮 使 用 承 認 申 請 書 を 同 年 一 月 二 二 日 一 一 階 と 一 二 階 について 仮 使 用 期 間 を 同 年 二 月 一 日 から 四 月 三 〇 日 までとする 同 趣 旨 の 申 請 書 を 順 次 提 出 し それぞれにつき 同 市 長 の 承 認 を 受 けた そして 融 和 商 事 は 同 年 一 月 二 四 日 旅 館 業 法 三 条 の 規 定 による 経 営 の 許 可 を 受 け 同 年 二 月 二 四 日 法 一 二 〇 条 一 項 栃 木 県 県 税 条 例 六 〇 条 一 項 の 規 定 により 本 件 建 物 において 旅 館 業 を 開 始 するため 料 理 飲 食 等 消 費 税 の 特 別 徴 収 義 務 者 としての 登 録 を 被 告 県 税 事 務 所 長 に 申 請 し 同 月 二 五 日 本 件 建 物 において 旅 館 業 を 開 業 ( 六 階 から 一 〇 階 まで 使 用 )する に 至 つた したがつて 本 件 建 物 が 本 来 の 用 途 に 応 じて 現 実 に 使 用 収 益 し 得 る 程 度 に 完 成 した のはそのころであり 本 件 建 物 の 最 初 の 使 用 が 行 われたのは 昭 和 五 〇 年 二 月 二 五 日 というべきである ( 四 ) 以 上 のとおりであるから 本 件 建 物 は 昭 和 五 一 年 度 において 固 定 資 産 評 価 基 準 にいう 新 増 分 の 家 屋 に 該 当 し 改 正 後 の 同 基 準 において 新 基 準 の 適 用 除 外 物 件 とされている 同 年 度 における 在 来 分 の 家 屋 に 該 当 するとみる 余 地 は ないというべきである なお 本 件 処 分 後 であるが 宇 都 宮 市 においても 本 件 建 物 について 同 様 の 判 断 に 立 つて 改 正 後 の 同 基 準 により 固 定 資 産 の 価 格 を 決 定 し 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 登 録 した ( 五 ) よつて 被 告 県 税 事 務 所 長 は 原 告 の 本 件 建 物 の 取 得 に 対 し 改 正 後 の 固 定 資 産 評 価 基 準 の 定 めに 従 つて 課 税 標 準 額 を 三 億 一 五 六 一 万 九 〇 〇 〇 円 と 決 定 し これに 法 七 三 条 の 一 五 第 一 項 所 定 の 税 率 一 〇 〇 分 の 三 を 乗 じて 税 額 を 九 四 六 万 八 五 七 〇 円 としたのであり 本 件 処 分 は 適 法 である 3 金 員 の 支 払 請 求 について( 被 告 県 ) 仮 に 本 件 処 分 が 違 法 として 取 り 消 された 場 合 には その 効 力 は 被 告 県 税 事 務 所 長 だけでなく その 他 の 関 係 行 政 庁 をも 拘 束 する 結 果 本 件 処 分 に 従 つて 納 付 され た 税 額 等 は 過 誤 納 金 として 還 付 されることとなる したがつて 原 告 の 被 告 県 に 対 する 主 張 は 理 由 がない 三 被 告 らの 主 張 に 対 する 原 告 の 認 否 及 び 反 論 ( 認 否 ) 被 告 らの 主 張 2の( 三 )のうち 請 負 契 約 及 び 更 改 契 約 の 締 結 業 務 用 電 力 の 通 電 ガスの 供 給 及 び 使 用 建 築 完 了 届 の 提 出 検 査 済 証 の 交 付 二 回 にわたる 仮 使 用 の 承 認 特 別 徴 収 義 務 者 としての 登 録 についての 各 事 実 は 認 める 同 2の( 五 ) のうち 被 告 ら 主 張 の 評 価 基 準 によつた 場 合 には 課 税 標 準 額 税 額 及 び 延 滞 利 子 の 額 がそれぞれ 被 告 ら 主 張 のとおりになることは 認 める ( 反 論 ) l 被 告 らは 原 告 が 宇 都 宮 市 長 に 対 し 本 件 建 物 の 建 築 完 了 届 を 提 出 したのに 伴 い 完 了 検 査 をした 際 本 件 建 物 は 全 体 としては 未 完 成 であつた 旨 主 張 しているが その 当 時 本 件 建 物 は 既 に 建 物 としては 完 成 していた 当 時 宇 都 宮 市 長 が 検 査 済 証 の 交 付 をしなかつたのは 一 一 階 と 一 二 階 が 内 装 工 事 中 であり 地 階 の 内 装 工 事 が 未 着 手 であるとの 理 由 によつたものと 考 えられるが 同 市 担 当 職 員 は 逆 にそれ 以 外 の 部 分 については 九 分 どおりの 完 成 を 認 め 十 分 に 使 用 するに 足 りるだけの 完 成 を
確 認 して 建 物 の 一 部 仮 使 用 の 承 認 申 請 について 指 導 したのである 当 時 融 和 商 事 としては 一 一 階 は 中 華 料 理 店 一 二 階 は 洋 食 店 として 賃 貸 し 通 常 の 事 例 に 従 い 借 主 側 に 内 装 工 事 をさせる 予 定 であつた 2 被 告 らは 本 件 建 物 の 完 成 時 期 の 判 定 について 仮 使 用 許 可 料 理 飲 食 等 消 費 税 の 特 別 徴 収 義 務 者 の 登 録 更 には 開 業 といつた 各 段 階 を 考 慮 するようである が 建 物 をどのように 使 用 するか いつから 開 業 するかは 申 請 者 の 意 思 により 決 まることであるし 特 別 徴 収 義 務 者 となつたかどうかは 届 出 義 務 の 履 行 に 係 る 税 務 上 の 問 題 であり いずれも 建 物 の 完 成 取 得 の 時 期 の 判 定 資 料 とすることはできな いものである むしろ 本 件 建 物 の 新 築 完 成 の 認 定 については 業 務 用 通 電 の 事 実 を 重 視 すべきである 業 務 用 電 力 には 責 任 使 用 量 の 制 度 があり 本 件 建 物 の 場 合 に は 最 低 使 用 量 を 月 額 料 金 二 三 万 三 〇 〇 〇 円 として 契 約 が 成 立 している 通 電 して も 安 全 といえる 程 度 に 建 物 が 完 成 していなければ 危 険 を 伴 う 高 圧 電 カを 供 給 する ことはあり 得 ない したがつて 本 件 建 物 は これに 電 力 の 供 給 がされた 時 点 ( 昭 和 四 九 年 一 一 月 二 八 日 )をもつて 新 築 の 完 了 があつたというべきである 3 新 築 建 物 は 主 要 構 造 部 分 屋 根 工 事 及 び 外 壁 一 回 塗 りが 終 わつた 段 階 で 表 示 ないし 保 存 登 記 がされ これを 前 提 として 毎 年 一 月 一 日 現 在 で 固 定 資 産 税 が 賦 課 さ れている 本 件 建 物 は 被 告 らの 主 張 からしても 昭 和 四 九 年 中 に 九 〇 パーセント 完 成 していたのであり 同 年 中 に 表 示 ないし 保 存 登 記 の 要 件 を 具 備 し 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 固 定 資 産 の 価 格 が 登 録 されていたはずであるのに 昭 和 五 〇 年 度 の 賦 課 期 日 に 評 価 の 対 象 とされなかつたのである 宇 都 宮 市 内 の 目 抜 き 通 りに 位 置 する 本 件 建 物 が 昭 和 五 一 年 になつて 初 めて 課 税 当 局 の 手 によつて 評 価 の 対 象 となつたのは 理 解 し 難 いところである 第 三 証 拠 関 係 ( 省 略 ) 理 由 第 一 被 告 県 税 事 務 所 長 に 対 する 請 求 について 一 請 求 原 因 1の 前 段 のとおり 原 告 が 本 件 建 物 を 取 得 し これに 対 し 本 件 処 分 が 行 われたことは 当 事 者 間 に 争 いがない 二 本 件 処 分 の 適 法 性 について 1 法 によれば 不 動 産 取 得 税 は 不 動 産 の 取 得 に 対 し 当 該 不 動 産 の 取 得 者 に 課 され るものであり( 法 七 三 条 の 二 第 一 項 ) その 課 税 標 準 は 不 動 産 を 取 得 した 時 におけ る 不 動 産 の 適 正 な 時 価 であるが( 法 七 三 条 の 一 三 第 一 項 七 三 条 五 号 ) その 価 格 は 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 固 定 資 産 の 価 格 が 登 録 されている 不 動 産 については 当 該 価 格 により( 法 七 三 条 の 二 一 第 一 項 ) 固 定 資 産 課 税 台 帳 に 固 定 資 産 の 価 格 が 登 録 さ れていない 不 動 産 については 自 治 大 臣 の 定 める 固 定 資 産 評 価 基 準 によつて( 同 条 二 項 ) 決 定 すると 定 められている 本 件 において 原 告 が 本 件 建 物 を 取 得 し 本 件 処 分 が 行 われた 時 点 では 家 屋 課 税 台 帳 に 本 件 建 物 の 固 定 資 産 の 価 格 が 登 録 されてい なかつたことは 当 事 者 間 に 争 いがない したがつて 本 件 不 動 産 取 得 税 の 課 税 標 準 となるべき 価 格 は 固 定 資 産 評 価 基 準 に より 本 来 家 屋 課 税 台 帳 に 登 録 されるべき 本 件 家 屋 の 固 定 資 産 価 格 を 算 出 する 方 法 に より 決 定 されることになる 2 ところで 自 治 大 臣 は 法 三 八 八 条 一 項 の 規 定 に 基 づき 昭 和 三 八 年 自 治 省 告 示 第 一 五 八 号 に 示 されているとおり 固 定 資 産 評 価 基 準 を 定 めたが 昭 和 五 〇 年 一 二 月 二 二 日 付 け 自 治 省 告 示 第 二 五 二 号 をもつてその 一 部 を 改 正 し 昭 和 五 一 年 度 分 の 固 定 資 産 税 から 適 用 することとした 右 のとおり 改 正 された 後 の 固 定 資 産 評 価 基 準 第 2 章 第 4 節 一 によれば 固 定 資 産 税 に 係 る 昭 和 五 一 年 度 から 昭 和 五 三 年 度 までの 各 年 度 における 家 屋 の 評 価 に 限 り 家 屋 の 価 額 を 求 める 前 提 となる 評 点 数 を 算 出 す るのに 用 いるべきものとされている 算 式 の 適 用 に 当 たつては 再 建 築 費 評 点 数 に 自 治 大 臣 が 別 に 指 示 する 再 建 築 費 評 点 補 正 率 を 乗 じることと 定 められた( 自 治 大 臣 が 別 に 指 示 する 右 補 正 率 は 右 同 日 付 けをもつて 非 木 造 家 屋 にあつては 一 四 〇 と された )が 他 方 同 節 二 によれば 固 定 資 産 税 に 係 る 昭 和 五 一 年 度 における 在 来 分 の 家 屋 の 評 価 に 限 り 右 の 新 基 準 によつて 求 めた 家 屋 の 価 額 が 改 正 前 の 基 準 に よつて 求 めた 家 屋 の 価 額 ( 昭 和 五 〇 年 度 の 価 額 )を 超 えるものについては 後 者 に よることとされている そして 同 基 準 第 2 章 第 1 節 三 の2の(4)において 在 来 分 の 家 屋 とは 新 増 分 の 家 屋 以 外 の 家 屋 をいい 新 増 分 の 家 屋 とは 当 該 年 度 において 新 たに 課 税 の 対 象 となる 家 屋 をいうとされている ( 以 上 につき 成 立 に 争 いのない 乙 第 一 号 証 の 一 二 第 一 三 号 証 参 照 ) 一 方 固 定 資 産 税 の 賦 課 期 日 は 当 該 年 度 の 初 日 の 属 する 年 の 一 月 一 日 とされている ( 法 三 五 九 条 )から 改 正 後 の 固 定 資 産 評 価 基 準 の 適 用 を 受 ける 各 年 度 のうち 初 年
度 における 新 増 分 の 家 屋 (すなわち 昭 和 五 一 年 度 に 新 たに 課 税 の 対 象 となる 家 屋 )とは 昭 和 五 〇 年 一 月 二 日 から 同 五 一 年 一 月 一 日 までに 新 築 された 家 屋 をい うことになり 昭 和 五 〇 年 度 の 固 定 資 産 税 の 賦 課 期 日 である 昭 和 五 〇 年 一 月 一 日 現 在 既 に 所 在 する 家 屋 は 昭 和 五 一 年 度 においては 在 来 分 の 家 屋 ということになる わけである 本 件 において 請 求 原 因 2の( 四 )の 事 実 は 当 事 者 間 に 争 いがないか ら 被 告 県 税 事 務 所 長 は 本 件 建 物 を 右 にいう 昭 和 五 一 年 度 における 新 増 分 の 家 屋 に 当 たると 判 断 し この 判 断 を 前 提 として 改 正 後 の 右 基 準 の 第 2 章 第 4 節 一 の 定 めにより 原 告 の 本 件 建 物 の 取 得 についての 課 税 標 準 を 決 定 したことは 明 らかで ある したがつて 問 題 は 本 件 建 物 が 新 築 により 新 たに 固 定 資 産 の 課 税 対 象 となつたの は 被 告 が 主 張 するとおり 昭 和 五 〇 年 一 月 二 日 以 降 であるか それとも 原 告 が 主 張 するように 同 月 一 日 以 前 であるかに 係 ることになる 3 建 築 途 上 の 建 物 は どの 程 度 まで 完 成 したときに 固 定 資 産 税 の 課 税 客 体 となる かについて 法 は 明 文 の 規 定 を 置 いていないが 必 ずしも 建 築 工 事 の 全 部 が 完 了 し なくても 建 物 としての 構 造 上 必 要 不 可 欠 とされる 主 要 構 造 部 ( 屋 根 外 壁 等 )を 備 え 社 会 通 念 上 土 地 から 独 立 した 一 個 の 不 動 産 として 取 引 又 は 利 用 の 対 象 とさ れ 得 る 程 度 にまで 達 した 時 に 同 税 の 課 税 客 体 になると 解 するのが 相 当 である 法 三 八 一 条 三 項 は 建 物 登 記 簿 に 登 記 されている 家 屋 について 所 定 の 事 項 を 家 屋 課 税 台 帳 に 登 録 すべきものとし また 法 三 八 二 条 は 登 記 所 は 建 物 の 表 示 に 関 する 登 記 をしたときは 一 〇 日 以 内 に その 旨 を 当 該 家 屋 の 所 在 地 の 市 町 村 長 に 通 知 し なければならず( 同 条 一 項 ) 通 知 を 受 けた 市 町 村 長 は 遅 滞 なく 当 該 家 屋 につ いての 異 動 を 家 屋 課 税 台 帳 に 記 載 しなければならない( 同 条 三 項 )と 定 め 他 方 法 三 四 九 条 一 項 は 家 屋 課 税 台 帳 に 登 録 されたところに 従 つて 固 定 資 産 税 の 課 税 標 準 を 決 めるべきものとしているが これらの 規 定 は 建 築 中 の 建 物 についていえ ば 予 定 されている 工 事 が 全 部 完 了 したといえない 状 態 であつても 独 立 不 動 産 と いい 得 る 状 態 に 至 つて 建 物 の 表 示 の 登 記 をすることができるようになつた 建 物 は 家 屋 課 税 台 帳 に 登 録 されて 固 定 資 産 税 の 課 税 客 体 として 扱 われるべきことを 示 して いるというべきである 被 告 らは 建 築 途 上 の 建 物 につき いかなる 段 階 において 不 動 産 取 得 税 の 課 税 客 体 となるかについてるる 主 張 している しかしながら 不 動 産 取 得 税 固 定 資 産 税 と も 課 税 客 体 となる 土 地 及 び 家 屋 の 範 囲 は 発 電 所 及 び 変 電 所 が 家 屋 に 含 まれるか 否 かの 点 を 除 けば 両 者 同 じである( 法 七 三 条 二 三 号 三 四 一 条 二 三 号 )し 課 税 標 準 となる 価 格 はいずれも 適 正 な 時 価 をいうとされ( 不 動 産 取 得 税 につき 前 記 二 の 1のとおり 固 定 資 産 税 につき 法 三 四 九 条 一 項 三 四 一 条 五 号 ) 既 に 明 らかなと おりその 算 定 基 準 は 同 じ 基 準 によることとされているわけであるところ 固 定 資 産 税 の 課 税 客 体 についての 法 の 趣 旨 は 前 記 のとおりであつて 土 地 から 独 立 した 一 個 の 不 動 産 として 建 物 の 表 示 の 登 記 をすることができるまでに 完 成 した 建 物 につき その 有 する 資 産 価 値 に 着 目 してこれを 固 定 資 産 税 の 課 税 客 体 としているものという べきで 現 実 に 使 用 収 益 し 得 る 価 値 に 着 目 しているとは 解 されないのである ま た 固 定 資 産 評 価 基 準 には 内 部 仕 上 げ 等 を 含 む 家 屋 の 各 部 分 ごとの 評 点 項 目 が 掲 げ られており 家 屋 の 評 価 に 当 たつては 内 装 工 事 も 考 慮 されるべき 一 要 素 となること は 被 告 らの 主 張 するとおりであるとしても このことによつて 固 定 資 産 税 の 課 税 客 体 となるべき 時 期 の 決 定 が 左 右 されるものではない なお 法 七 三 条 の 二 第 二 項 は 家 屋 の 新 築 による 取 得 に 対 し 不 動 産 取 得 税 を 課 する 場 合 に 当 該 家 屋 の 取 得 時 期 及 び 納 税 義 務 者 を 定 めるための 規 定 であつて 建 築 中 の 家 屋 がどのような 段 階 に 至 つて 課 税 客 体 としての 家 屋 になるかの 問 題 ないし 課 税 標 準 の 決 定 方 法 についての 問 題 には 関 係 がない したがつて これらの 点 についての 被 告 らの 主 張 はいずれも 採 用 できない 4 本 件 建 物 の 建 築 経 過 をみるに 本 件 建 物 は 注 文 者 融 和 商 事 と 請 負 人 岡 崎 工 業 株 式 会 社 との 間 で 昭 和 四 八 年 三 月 締 結 された 同 四 九 年 一 一 月 工 事 完 成 見 込 みの 請 負 契 約 に 基 づき 新 築 されたこと 同 月 九 日 両 者 間 で 工 事 の 追 加 及 び 単 価 の 改 訂 につ いての 更 改 契 約 が 締 結 されたが 同 月 二 八 日 には 業 務 用 電 力 の 通 電 がされ 同 月 三 〇 日 にはガス 供 給 契 約 が 締 結 されてガス 設 備 が 設 けられたこと 同 年 一 二 月 五 日 建 築 完 了 届 が 宇 都 宮 市 長 に 提 出 されたこと 同 月 二 六 日 ごろ 一 階 から 一 〇 階 まで について 仮 使 用 期 間 を 同 五 〇 年 一 月 一 五 日 から 四 月 三 〇 日 までとする 建 物 仮 使 用 の 承 認 を 受 け 同 年 一 月 二 二 日 ごろには 一 一 階 と 一 二 階 についても 仮 使 用 期 間 を 同 年 二 月 一 日 から 四 月 三 〇 日 までと 定 めた 建 物 仮 使 用 の 承 認 を 受 けたことは 当 事 者 間 に 争 いがなく 成 立 に 争 いのない 乙 第 二 第 三 号 証 第 四 号 証 の 二 第 一 二 号 証
及 び 証 人 Aの 証 言 によれば 本 件 建 物 は 地 上 一 二 階 地 下 一 階 の 鉄 骨 鉄 筋 コンクリ ート 造 りの 近 代 的 高 層 建 築 物 であること 昭 和 四 九 年 一 二 月 末 当 時 本 件 建 物 の 基 礎 工 事 鉄 骨 鉄 筋 工 事 及 びコンクリート 工 事 は 既 に 完 了 し コンクリートの 壁 面 及 び 床 はほぼでき 上 がつており レストラン 用 にテナント 入 居 者 を 募 集 中 であつた 一 一 階 一 二 階 についての 設 計 変 更 に 伴 う 厨 房 や 床 等 の 追 加 工 事 及 び 各 階 の 内 装 等 の 仕 上 工 事 が 一 部 未 了 であつたほかは ほとんどの 工 事 が 終 了 していたことが 認 めら れる 以 上 の 事 実 によれば 本 件 建 物 は 昭 和 五 〇 年 一 月 一 日 当 時 一 部 に 工 事 の 未 了 部 分 があつたが 既 に 主 要 構 造 部 を 備 え 社 会 通 念 上 土 地 から 独 立 した 一 個 の 不 動 産 として 取 引 又 は 利 用 の 対 象 とされ 得 る 程 度 にまで 達 していたことは 明 らかであ る 5 そうすると 本 件 建 物 は 昭 和 五 〇 年 一 月 一 日 現 在 固 定 資 産 税 の 課 税 客 体 と して 所 在 していた 家 屋 であることになるから 既 に 説 示 したところに 照 らし 昭 和 五 一 年 度 においては 固 定 資 産 評 価 基 準 にいう 在 来 分 の 家 屋 に 該 当 するという べきである そして 弁 論 の 全 趣 旨 によれば 本 件 建 物 につき 前 記 のとおり 改 正 された 後 の 右 基 準 によつて 求 めた 家 屋 の 価 額 は 改 正 前 の 基 準 によつて 求 めた 価 額 を 超 えることは 明 らかであるから 本 件 建 物 についての 課 税 標 準 は 改 正 前 の 基 準 に 従 つて 決 定 すべきであつたわけである したがつて 本 件 建 物 を 昭 和 五 一 年 度 におけ る 右 基 準 にいう 新 増 分 の 家 屋 に 該 当 するとして 前 記 のとおり 新 基 準 に 従 つてさ れた 被 告 県 税 事 務 所 長 の 本 件 建 物 の 取 得 についての 課 税 標 準 の 決 定 及 びこれを 前 提 とする 本 件 不 動 産 取 得 税 賦 課 決 定 は 誤 りであるといわなければならない ところで 本 件 建 物 の 正 当 な 課 税 標 準 価 格 を 具 体 的 に 確 定 するのに 必 要 な 諸 事 実 を 認 めるに 足 りる 証 拠 はないから 結 局 本 件 建 物 の 正 当 な 課 税 標 準 価 格 は 不 明 であ る よつて 本 件 処 分 は 全 部 違 法 として 取 消 しを 免 れない 第 二 被 告 県 に 対 する 訴 えについて 原 告 が 本 件 処 分 に 基 づき 請 求 原 因 1の 後 段 のとおり 合 計 九 八 九 万 五 〇 七 〇 円 を 被 告 県 に 納 付 したことは 当 事 者 間 に 争 いがない しかしながら 原 告 が 被 告 県 に 右 金 員 を 納 付 した 法 律 上 の 原 因 は 本 件 処 分 に 基 づく 納 税 義 務 であるから 本 件 処 分 を 取 り 消 す 判 決 が 確 定 して 初 めて 右 金 員 を 納 付 した 法 律 上 の 原 因 を 欠 くことになり 被 告 県 は 不 当 利 得 として 原 告 に 対 し 右 納 付 に 係 る 金 員 を 返 還 すべき 義 務 が 発 生 する わけであるから 右 金 員 の 返 還 を 求 める 本 件 訴 えは 将 来 の 給 付 の 訴 えである とこ ろが あらかじめ 右 金 員 の 返 還 を 求 める 必 要 については 特 段 の 主 張 立 証 はない し 被 告 県 は 本 件 処 分 を 取 り 消 す 判 決 が 確 定 した 場 合 には 右 金 員 の 返 還 を 拒 否 するとは 考 えられない したがつて 被 告 県 に 対 する 請 求 に 係 る 訴 えは 将 来 の 給 付 の 訴 えの 要 件 を 欠 くもの である 第 三 よつて 原 告 の 被 告 県 税 事 務 所 長 に 対 する 請 求 は 理 由 があるから 認 容 し 被 告 県 に 対 する 訴 えは 不 適 法 であるから 却 下 することとし 訴 訟 費 用 の 負 担 につき 民 事 訴 訟 法 八 九 条 九 二 条 を 適 用 して 主 文 のとおり 判 決 する ( 裁 判 官 奥 平 守 男 赤 塚 信 雄 米 山 正 明 ) 目 録 ( 省 略 )