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KSSニュース 返 還 期 を 迎 えた 事 業 用 借 地 権 の 実 状 と 周 辺 問 題 一 時 金 は 前 受 収 益 前 払 費 用 に! はじめに 平 成 4 年 8 月 1 日 に 施 行 された 新 借 地 借 家 法 で 創 設 された 定 期 借 地 権 制 度 だが 既 に12 年 経 過 し 特 に 事 業 用 借 地 についてはロードサイド 店 舗 をはじめとして 倉 庫 大 型 ショッピングモールなどに 広 く 普 及 して いる 筆 者 が 知 る 限 り 新 借 地 借 家 法 施 行 後 旧 借 地 契 約 での 賃 貸 借 事 例 は 殆 どなく すべて 定 期 借 地 である もっとも 制 度 を 知 らずに 旧 借 地 で 契 約 している 可 能 性 はあろう また REIT( 不 動 産 投 資 信 託 )の 広 がりをきっかけとして 不 動 産 の 収 益 還 元 価 額 評 価 が 広 がり 減 損 会 計 の 本 格 的 実 施 をにらんで 企 業 所 有 地 の 有 効 活 用 の 一 環 として 事 業 用 借 地 による 時 価 評 価 のアップ とキャッシュ フロー 確 保 の 一 石 二 鳥 を 狙 った 動 きも 見 受 けられる この 動 きはこのほど 明 らかになった 定 期 借 地 権 設 定 時 の 権 利 金 についての 取 扱 い 明 確 化 でより 一 層 進 むものとみられる そうした 中 期 間 満 了 に 伴 う 新 契 約 への 改 訂 や 契 約 打 切 りによる 建 物 の 無 償 引 渡 しその 他 様 々な 法 務 上 税 務 上 の 問 題 も 顕 在 化 してきている そこで 本 稿 では 事 業 用 定 期 借 地 権 の 設 定 から 中 途 解 約 期 間 満 了 時 に 生 ずる 様 々な 問 題 とその 対 応 策 さらに 今 般 明 らかになった 国 土 交 通 省 の 定 期 借 地 権 に 関 する 税 務 の 取 扱 いに 関 する 国 税 庁 に 対 する 事 前 協 議 の 内 容 昨 年 の 通 常 国 会 に 成 立 直 前 までいきながら 保 留 状 態 となっている 事 業 用 借 地 権 の 契 約 期 間 の 延 長 など 今 後 の 事 業 用 借 地 権 の 展 開 の 見 通 しと 課 題 についてまとめることとする なお 本 稿 を 進 めるに 当 たって 特 に 断 りがない 限 り 土 地 所 有 者 は 個 人 借 地 人 は 法 人 とし 同 族 関 係 者 や 特 殊 関 係 人 間 の 問 題 は 触 れない Ⅰ. 事 業 用 借 地 権 設 定 時 の 周 辺 問 題 事 業 用 借 地 権 の 概 要 定 期 借 地 権 は 次 の 表 のように3つあるが 事 業 用 借 地 権 の 特 徴 は1 契 約 期 間 が10 年 以 上 20 年 以 下 と 比 較 的 短 い 2 借 地 の 利 用 目 的 が 事 業 用 に 厳 しく 限 定 されている 3 契 約 方 式 は 公 正 証 書 によらなければならないとされている 4 建 物 築 造 による 存 続 期 間 の 延 長 及 び 建 物 買 取 請 求 権 が 強 制 的 に 排 除 されていることなどである 図 表 1 一 般 定 期 借 地 権 3つの 定 期 借 地 権 建 物 譲 渡 特 約 付 借 地 権 事 業 用 借 地 権 存 続 期 間 50 年 以 上 30 年 以 上 10 年 以 上 20 年 以 下 目 的 制 限 なし 制 限 なし 事 業 用 のみ 契 約 方 式 公 正 証 書 等 定 めなし 公 正 証 書 契 約 の 更 新 排 除 特 約 可 拘 束 されない 規 定 の 適 用 なし

特 約 返 還 考 えられる 用 地 建 物 の 築 造 による 存 続 期 間 の 延 長 を 排 除 可 建 物 買 取 請 求 権 の 排 除 可 30 年 経 過 後 建 物 を 売 却 する 旨 を 定 め る 可 左 のいずれも 適 用 なし 更 地 で 返 還 が 原 則 建 物 を 地 主 に 譲 渡 更 地 で 返 還 住 宅 地 堅 固 な 建 物 の 商 業 施 設 商 業 地 住 宅 地 いわゆるロードサイド 店 舗 等 2. 事 業 用 借 地 権 設 定 時 の 税 務 上 の 取 扱 い 事 業 用 借 地 権 設 定 の 対 価 は 権 利 金 方 式 と 保 証 金 方 式 の2 方 式 に 大 きく 分 かれる これらと 共 に 賃 料 や 原 状 回 復 費 用 の 不 払 いに 備 える 敷 金 を 別 途 設 定 していることも 多 く 見 受 けられ る これらの 借 地 人 地 主 それぞれについての 税 務 上 の 取 扱 いは 次 のようになっている (1) 土 地 所 有 者 の 税 務 2. 3. 権 利 金 事 業 用 借 地 権 設 定 の 対 価 として 権 利 金 を 取 得 した 場 合 には 不 動 産 所 得 とし て 取 得 した 年 度 の 収 入 金 額 に 一 時 に 計 上 しなければならない もちろん 臨 時 所 得 に 該 当 すれば 変 動 所 得 としての 課 税 の 取 扱 いがあるし 土 地 の 時 価 の2 分 の1 以 上 の 場 合 には 譲 渡 所 得 とされる もっとも 10 年 以 上 20 年 以 下 の 契 約 期 間 でそのような 多 額 の 権 利 金 になることは 通 常 考 えられない 権 利 金 の 一 時 計 上 については 今 般 国 土 交 通 省 からの 照 会 に 対 する 回 答 という 形 で 明 らかになったように 一 定 の 条 件 の 下 で 権 利 金 の 額 ( 前 受 地 代 )を 契 約 期 間 の 経 過 に 応 じて 均 等 に 収 益 計 上 すればよいことが 明 らかになった この 詳 細 は 次 章 契 約 期 間 中 の 取 扱 い で 詳 しくまとめることとする 保 証 金 権 利 金 ではなく 保 証 金 を 預 かり 期 間 満 了 後 に 返 還 する 場 合 には 入 口 の 時 点 での 課 税 はない 保 証 金 の 運 用 中 の 問 題 は 次 章 で 取 り 上 げる 敷 金 地 代 不 払 いや 建 物 取 壊 しの 原 状 回 復 の 不 履 行 に 備 えるため 権 利 金 方 式 の 場 合 に 別 途 敷 金 を 預 かる 場 合 がある 保 証 金 方 式 の 場 合 でもその 性 格 を 明 確 にするため に 別 途 敷 金 を 設 定 しているケースも 見 受 けられる いずれにしても 入 口 契 約 期 間 中 出 口 どの 段 階 でも 課 税 問 題 は 発 生 しない (2) 借 地 人 の 税 務 権 利 金 事 業 用 借 地 権 設 定 の 対 価 として 権 利 金 を 支 払 った 場 合 には 土 地 の 取 得 の 対 価 に 当 たるため 一 切 損 金 に 算 入 することができず 契 約 期 間 満 了 や 中 途 解 約 をして 土 地 の 返 還 をした 時 点 ではじめて 損 金 算 入 することとされていた ( 平 成 14 年 9 月 17 日 裁 決 平 成 15 年 度 裁 決 事 例 集 大 蔵 財 務 協 会 刊 )これについても 今 般 国 土 交 通 省 から の 照 会 に 対 する 回 答 という 形 で 明 らかになったように 一 定 の 条 件 の 下 で 権 利 金 の 額 ( 前 払 地 代 )を 契 約 期 間 の 経 過 に 応 じて 均 等 に 損 金 計 上 すればよいことが 明 らかになっ た

2. 3. 保 証 金 権 利 金 ではなく 保 証 金 を 支 払 い 期 間 満 了 後 に 返 還 する 場 合 には 単 なる 預 け 金 であり 課 税 の 問 題 はない 敷 金 権 利 金 方 式 であれ 保 証 金 方 式 であれ 別 途 支 払 う 敷 金 については 入 口 契 約 期 間 中 出 口 どの 段 階 でも 課 税 問 題 は 発 生 しない 3. 建 設 協 力 金 方 式 か 事 業 用 借 地 か 入 口 の 税 務 上 以 前 の 大 きな 問 題 として 事 業 用 借 地 で 契 約 した 方 が 有 利 か いわゆる 建 設 協 力 金 方 式 で 契 約 した 方 が 有 利 か という 問 題 がある 借 地 契 約 と 借 家 契 約 という 大 きな 違 い があるが 土 地 所 有 者 賃 借 人 双 方 にとって 実 質 的 な 手 取 り 支 払 いが 同 じであれば 契 約 上 のリスクと 税 務 上 の 有 利 不 利 実 質 キャッシュ フローで 検 討 する 必 要 がある 実 質 的 な 手 取 り 支 払 額 が 同 じであるという 前 提 で 検 討 する (1) 土 地 所 有 者 の 判 断 基 準 土 地 所 有 者 にとって 検 討 しなければならない 項 目 は1 契 約 上 の 有 利 不 利 2 中 途 解 約 時 の 有 利 不 利 3 所 得 税 対 策 上 の 有 利 不 利 4 相 続 税 対 策 上 の 有 利 不 利 がある 2. 契 約 上 の 有 利 不 利 建 設 協 力 金 方 式 はあくまで 建 物 を 土 地 所 有 者 などが 建 設 し そ の 資 金 の 全 部 又 は 一 部 をテナントが 無 利 息 で 融 資 するものである したがって 普 通 借 家 契 約 であれば 相 当 事 由 がなければ 契 約 期 間 が 満 了 しても 退 去 を 求 めることができ なくなる 恐 れがある 実 際 そのような 事 例 も 数 多 く 見 受 けられ このような 場 合 本 来 な らより 有 利 な 条 件 で 他 のテナントに 貸 せる 可 能 性 があっても 現 状 の 契 約 を 継 続 しなけ ればならないことになってしまっている 事 業 用 借 地 においてはそのような 恐 れはない もっとも 建 設 協 力 金 方 式 であっても 平 成 12 年 3 月 1 日 からスタートしている 定 期 借 家 契 約 を 結 ぶことができればその 点 も 解 消 できるが その 場 合 でも 定 期 借 家 契 約 の 内 容 が 問 題 となるので 留 意 する 必 要 がある なお 事 業 用 借 地 契 約 にもかかわらず 平 成 4 年 当 初 には 公 正 証 書 にしていない 事 業 用 借 地 が 見 られたり 居 住 用 が 認 められていな い 事 業 用 借 地 にもかかわらず パチンコ 遊 技 店 への 事 業 用 借 地 契 約 で 従 業 員 宿 舎 が 建 物 に 併 設 されて 居 住 用 に 利 用 されていたり といったように 法 律 要 件 を 満 たしていない 契 約 が 見 受 けられるので この 点 にも 留 意 する 必 要 がある 中 途 解 約 時 の 有 利 不 利 建 設 協 力 金 方 式 の 場 合 に 中 途 撤 退 されると 建 設 協 力 金 の 未 返 済 金 額 を 借 家 人 が 放 棄 する 契 約 になっていることが 一 般 的 であるが 放 棄 を 受 付 に 未 返 済 建 設 協 力 金 を 税 務 上 土 地 所 有 者 は 収 益 計 上 せざるを 得 なくなり その 資 金 は 当 初 の 建 物 建 築 資 金 でなくなっているため 税 金 支 払 分 だけキャッシュ フローが 不 足 する 事 態 もあり 得 る この 点 についても 次 章 で 詳 細 に 検 討 する 3. 所 得 税 対 策 上 の 有 利 不 利 事 業 用 借 地 の 場 合 には 地 代 収 入 となり 収 入 を 他 の 親 族 に 分 散 することは 不 動 産 所 得 の 専 従 者 給 与 もしくは 従 業 員 給 与 としてしかできな い しかし 建 設 協 力 金 方 式 の 場 合 には 建 物 所 有 を 法 人 にすれば 相 当 な 金 額 を 役 員 報 酬 や 従 業 員 給 与 として 分 散 することが 可 能 になる 4. 相 続 税 額 引 下 げ 対 策 建 物 所 有 による 建 物 評 価 引 下 げ 効 果 と 土 地 の 貸 家 建 付 地 評 価 減 額 は 建 設 協 力 金 方 式 しか 実 現 できない 確 かに 事 業 用 借 地 であっても 土 地 の 評 価 減 額 は 建 設 協 力 金 方 式 でしか 実 現 できない 確 かに 事 業 用 借 地 であっても 土 地 の 評 価 減 額 は 一 定 の 割 合 で 可 能 だが 建 物 を 所 有 することによる 評 価 引 下 げ 効 果 の 方 が 大 きい

(2) 借 地 人 の 判 断 基 準 借 地 人 が 検 討 しなければならない 項 目 としては 1 契 約 上 の 有 利 不 利 2 中 途 解 約 時 の 有 利 不 利 3キャッシュ フローの 有 利 不 利 がある 2. 3. 契 約 上 の 有 利 不 利 土 地 所 有 者 側 と 全 く 逆 の 立 場 になり 建 設 協 力 金 方 式 で 通 常 借 家 契 約 を 結 べば 好 調 な 営 業 成 績 で 契 約 期 間 満 了 後 も 契 約 を 継 続 したいときに 有 利 に なる 定 期 借 家 契 約 の 場 合 にはその 点 は 事 業 用 借 地 契 約 と 何 ら 変 わらなくなってしま う ただし 建 物 取 壊 し 義 務 が 法 定 されている 事 業 用 借 地 と 建 物 取 壊 し 条 項 を 定 めてい るものが 殆 どみられない 定 期 借 家 とでは リスクは 大 きく 違 うといえる 中 途 解 約 時 の 有 利 不 利 借 地 人 側 にとって 中 途 解 約 時 における 事 業 用 借 地 と 建 設 協 力 金 方 式 との 違 いは 建 物 に 対 する 投 下 資 金 の 問 題 が 一 番 大 きい キャッシュ フローの 有 利 不 利 事 業 用 借 地 の 場 合 は 建 物 取 得 資 金 の 全 額 を 負 担 する 必 要 がある 一 方 建 設 協 力 金 方 式 の 場 合 は 最 近 の 事 例 では 建 物 建 設 資 金 の 多 くても50% 程 度 となっている 仮 に 家 賃 から 建 設 協 力 金 を 差 し 引 いた 金 額 と 事 業 用 借 地 の 地 代 がほぼ 同 額 だとすると 家 賃 全 額 損 金 になる 分 だけ 税 効 果 分 有 利 になる こ の 税 効 果 分 と 建 物 減 価 償 却 費 との 比 較 ということになるが 当 初 の 建 設 資 金 分 は やは りキャッシュ フロー 上 不 利 になるケースが 多 いと 考 えられる 建 設 資 金 を 借 入 金 で 調 達 している 場 合 の 財 務 に 与 える 影 響 も 考 慮 する 必 要 がある Ⅱ. 契 約 期 間 中 の 周 辺 問 題 契 約 期 間 中 の 権 利 金 の 取 扱 い 既 に 述 べたように 定 期 借 地 権 の 設 定 に 際 して 権 利 金 の 授 受 があった 場 合 の 取 扱 いが 明 確 化 された 土 地 所 有 者 側 は 受 け 取 った 権 利 金 については 不 動 産 貸 付 けの 対 価 として 一 時 に 課 税 されることとなる 一 方 賃 借 人 側 は 支 払 った 権 利 金 については 土 地 の 借 地 権 取 得 の 対 価 として 権 利 金 償 却 が 認 められず 退 去 時 しか 損 金 計 上 できないこととされていた 会 計 上 でみれば 収 益 計 上 時 期 と 費 用 計 上 時 期 に 非 常 に 大 きなギャップが 生 じていることに なる 今 回 の 取 扱 いの 明 確 化 でこの 問 題 は 解 決 したことになる 今 回 の 取 扱 いについて 詳 しく 検 討 する 図 表 2

(1) 土 地 所 有 者 の 取 扱 い 定 期 借 地 権 の 設 定 の 対 価 として 権 利 金 の 授 受 があると 土 地 所 有 者 は 不 動 産 所 得 として 一 時 に 収 益 計 上 する 必 要 がある もちろん 不 動 産 等 を3 年 以 上 の 期 間 他 人 に 貸 し 付 けることに より 一 時 に 受 ける 権 利 金 等 で 一 定 の 要 件 に 該 当 するものにかかる 所 得 ( 所 法 21 二 四 )に ついては 臨 時 所 得 に 該 当 し 平 均 課 税 の 適 用 対 象 となる 一 定 の 要 件 とは 権 利 金 等 が 年 間 使 用 料 の2 倍 以 上 とされ それは 契 約 ごとで 判 定 することとされている 今 回 の 取 扱 いの 明 確 化 において 権 利 金 を 事 業 用 借 地 期 間 の 地 代 の 前 払 いと 考 え 契 約 期 間 の 経 過 に 応 じて 収 益 計 上 すればよいこととされたため 従 来 のような 取 扱 いをする 必 要 がな くなり 非 常 に 有 利 になったといえる (2) 賃 借 人 の 取 扱 い 借 地 人 についても 土 地 の 取 得 対 価 とはみないで 事 業 用 借 地 期 間 の 地 代 の 前 払 いと 考 え 契 約 期 間 の 経 過 に 応 じて 損 金 算 入 することとされた 契 約 期 間 が 満 了 すれば 賃 借 人 が 建 設 し た 建 物 を 自 ら 取 り 壊 し 更 地 にして 返 還 することが 確 定 している 以 上 その 契 約 期 間 全 体 で 費 用 負 担 すべきものといえる また 仮 に 定 期 借 地 権 を 第 三 者 に 転 売 することができ そこにキャピタル ゲインがあったと しても その 値 上 がり 益 に 対 する 課 税 はその 時 点 で 確 定 し 未 経 過 借 地 権 価 格 との 差 額 に 課 税 され 第 三 者 については 残 存 期 間 でその 対 価 ( 未 経 過 期 間 定 期 借 地 権 利 金 )を 経 費 化 する ことになり 全 体 の 整 合 性 はとれることになる (3) 契 約 の 留 意 点 権 利 金 の 期 間 経 過 に 応 ずる 収 益 計 上 費 用 化 の 取 扱 いはあくまで 前 受 収 益 前 払 費 用 とし ての 取 扱 いである したがって 中 途 解 約 があった 場 合 は 未 経 過 期 間 分 の 地 代 は 返 還 され る 契 約 内 容 でなければならない 中 途 解 約 時 に 残 存 期 間 に 対 応 する 権 利 金 は 返 還 しない 契 約 内 容 の 場 合 には 受 け 取 った 権 利 金 は 一 時 に 収 益 計 上 支 払 った 権 利 金 は 返 還 時 の 一 時 損 金 の 取 扱 いとなる (この 点 については 疑 義 があり 今 後 の 課 題 で 取 り 上 げる) これを 回 避 するために 中 途 解 約 時 には 損 害 賠 償 金 として 未 経 過 権 利 金 を 没 収 するという 契 約 の 文 言 にしたとしても 実 質 は 同 じであるのでこの 点 にも 留 意 する 必 要 がある

2. 契 約 期 間 中 の 保 証 金 の 取 扱 い これまでは 一 時 金 を 権 利 金 ではなく 保 証 金 として 授 受 している 例 が 圧 倒 的 に 多 かった こ の 場 合 保 証 金 を 支 払 った 借 地 人 側 の 税 務 上 の 処 理 は 単 に 資 産 計 上 するだけで 問 題 になる ことはないが 受 け 取 った 土 地 所 有 者 側 にはその 運 用 益 課 税 の 問 題 がある 保 証 金 を 預 かる ことによる 経 済 的 な 利 益 に 対 しては 次 の 運 用 形 態 に 応 じてそれぞれ 次 のように 取 り 扱 われ る 2. 3. 保 証 金 等 が 各 種 所 得 の 起 因 となる 業 務 ( 不 動 産 所 得 事 業 所 得 山 林 所 得 及 び 雑 所 得 を 生 ずべき 業 務 )に 係 る 資 金 として 運 用 されている 場 合 又 は 業 務 の 用 に 供 する 資 産 の 取 得 資 金 に 充 てられている 場 合 当 該 保 証 金 等 による 経 済 的 利 益 の 額 を 返 還 するまで の 各 年 分 の 不 動 産 所 得 の 計 算 上 収 入 金 額 に 計 上 すると 共 に 同 額 を 各 種 所 得 の 金 額 の 計 算 上 必 要 経 費 に 算 入 する 保 証 金 が 預 貯 金 公 社 債 指 定 金 銭 信 託 貸 付 信 託 などの 金 融 資 産 に 運 用 されている 場 合 計 算 は 不 要 である 金 融 資 産 には 所 得 税 法 174 条 3~8 項 の 金 融 類 似 商 品 が 含 まれるが 株 式 投 資 などは 対 象 外 となる 1 及 び2 以 外 の 場 合 当 該 保 証 金 等 による 経 済 的 利 益 の 額 を 返 還 するまでの 各 年 分 の 不 動 産 所 得 の 計 算 上 収 入 金 額 に 計 上 する なお 平 成 15 年 分 の 定 期 借 地 権 の 経 済 的 利 益 を 計 算 する 場 合 の 年 利 率 は0.9%とされ ていた 3. 中 途 解 約 時 の 取 扱 い 定 期 借 地 権 を 設 定 して 店 舗 や 倉 庫 ショッピングセンターなどの 事 業 を 始 めたが 経 営 成 績 が 振 るわず 中 途 撤 退 するという 事 例 も 多 く 見 受 けられるようになってきている 当 初 の 定 期 借 地 契 約 の 契 約 内 容 によって 中 途 退 去 時 の 土 地 所 有 者 賃 借 人 の 負 担 に 大 きな 違 いが 出 てく る 当 然 税 務 処 理 も 違 い そのことがまた 特 に 土 地 所 有 者 のキャッシュ フローに 大 きく 影 響 することになる 前 章 の 建 設 協 力 金 か 事 業 用 借 地 か で 触 れた 建 設 協 力 金 方 式 に 係 る 問 題 は ここでは 省 略 することにする (1) 土 地 所 有 者 の 取 扱 い 2. 保 証 金 の 一 定 金 額 を 放 棄 する 契 約 の 場 合 契 約 期 間 の 中 途 で 借 地 人 が 解 約 を 申 し 入 れた 場 合 保 証 金 を 全 額 返 還 せず 経 過 期 間 に 応 じて 保 証 金 を 返 済 する 事 としている 契 約 がある 中 途 解 約 が 確 定 して 返 還 を 要 し ないこととなった 保 証 金 は その 時 点 で 収 益 として 計 上 しなければならない これについ ては 残 存 期 間 が3 年 以 上 であれば 臨 時 所 得 に 該 当 し 平 均 課 税 の 適 用 を 受 けること ができる ( 所 基 通 2-37) 建 物 取 壊 し 義 務 不 履 行 の 場 合 事 業 用 借 地 契 約 の 場 合 には 中 途 解 約 時 であれ 期 間 満 了 時 であれ 建 物 取 壊 し 義 務 が 賃 借 人 側 にある 建 物 取 壊 し 義 務 を 行 使 しないことは 契 約 上 あり 得 ないが 建 物 をそ のままにして 賃 借 人 側 が 取 壊 し 費 用 の 負 担 を 回 避 するために 賃 貸 人 に 無 償 で 建 物 を 譲 渡 したいという 申 入 れをすることがある

3. 4. この 場 合 には 土 地 所 有 者 である 賃 貸 人 は 建 物 の 贈 与 を 受 けたことになり 不 動 産 の 賃 貸 を 起 因 とする 収 入 として 建 物 の 時 価 を 収 入 金 額 としなければならない これを 一 時 所 得 とすべきであるという 考 え 方 もあるが 引 き 続 き 賃 貸 の 用 に 供 する 以 上 不 動 産 所 得 とすべきであろう もっとも 土 地 所 有 者 の 事 業 の 用 に 供 するとか 自 宅 に 転 用 すると かとなれば 一 時 所 得 とすべきであろう 次 の 賃 借 人 に 現 状 有 姿 の 状 態 で 新 たに 賃 貸 することができれば 良 いが 仮 にそれが 出 来 たとしても 収 入 計 上 に 伴 う 税 負 担 分 の 資 金 負 担 が 生 ずる この 資 金 負 担 分 を 含 め て 次 の 賃 貸 人 との 賃 貸 交 渉 を 行 う 必 要 がある 少 なくとも 賃 借 人 との 退 去 交 渉 時 に 賃 借 人 しか 利 用 できない 仕 様 の 機 器 や 設 備 は 撤 去 させ その 上 で 建 物 の 駆 体 だけを 残 すいわゆるスケルトン 状 態 にして 引 渡 しを 受 ければ 建 物 の 時 価 も 安 くなるし また 次 の 賃 借 人 の 負 担 も 少 なくて 済 むことも 考 えられる もっとも ここは 次 の 賃 借 人 の 意 向 を 確 認 しながら 取 壊 し 部 分 は 旧 賃 借 人 付 加 部 分 は 新 賃 借 人 とさせ 賃 貸 人 である 土 地 所 有 者 は 何 の 負 担 もないようにするのが 一 番 良 い といっても 建 物 本 体 部 分 の 受 贈 収 入 の 計 上 が 必 要 になるが なお この 場 合 には 当 然 のことながら 以 降 は 事 業 用 借 地 では なくなり 借 家 契 約 になる 建 物 本 体 部 分 を 譲 渡 して 事 業 用 借 地 にするか 定 期 借 家 にしな ければ 相 当 事 由 制 度 の 借 家 契 約 になるので 留 意 する 必 要 がある 賃 借 人 が 後 継 賃 借 人 に 交 替 又 は 転 貸 した 場 合 賃 借 人 が 契 約 期 間 内 に 実 質 的 に 撤 退 するが 現 状 の 契 約 内 容 を 継 続 する 条 件 で 新 賃 借 人 を 紹 介 し 残 存 期 間 を 次 の 賃 借 人 に 引 き 継 いだり 転 貸 したりする 場 合 もある 当 初 の 契 約 ではこのようなことは 認 めないとしている 事 例 が 圧 倒 的 に 多 いが 実 際 上 の 処 理 として 引 き 継 ぎ 転 貸 がよく 見 受 けられる 引 継 ぎ 転 貸 の 際 に 名 義 書 換 料 ないしは 承 諾 料 を 受 け 取 ることがあるが これは 不 動 産 所 得 の 収 入 金 額 となる 交 替 転 貸 後 の 貸 付 期 間 が3 年 以 上 でかつ 名 義 書 換 料 等 の 金 額 が 使 用 料 年 額 の2 倍 相 当 以 上 であれば 臨 時 所 得 に 該 当 することとなる ( 所 基 通 2-37) 賃 借 人 が 倒 産 した 場 合 賃 借 人 が 経 営 破 綻 し 破 産 財 団 や 整 理 回 収 機 構 を 通 じて 事 業 用 借 地 上 の 建 物 が 放 棄 される 場 合 もあるが これも 上 記 1から3に 準 じて 処 理 することになる (2) 賃 借 人 の 取 扱 い 2. 保 証 金 の 一 定 金 額 を 放 棄 する 契 約 の 場 合 事 業 用 借 地 設 定 時 に 預 けている 保 証 金 を 中 途 撤 退 時 に 経 過 期 間 に 応 じて 放 棄 する こととなっている 契 約 の 場 合 には その 放 棄 した 保 証 金 はその 時 点 で 損 金 計 上 となる 建 物 を 現 状 有 姿 で 放 棄 する 場 合 事 業 用 借 地 については 中 途 解 約 時 に 建 物 取 壊 し 義 務 があるが 取 壊 し 費 用 が 相 当 な 金 額 になることもある そのような 場 合 には 土 地 所 有 者 との 交 渉 で 建 物 を 壊 さずに 建 物 所 有 者 に 無 償 で 引 き 渡 すこととなる 実 際 このような 処 理 が 数 多 く 見 受 けられるが この 場 合 税 務 上 寄 付 金 になるのではとの 考 え 方 もある しかし 当 初 から 契 約 によっ て 建 物 取 壊 し 義 務 が 確 定 しており その 取 壊 し 費 用 の 負 担 を 考 えると 土 地 所 有 者 との 協 議 が 整 えば 建 物 取 壊 し 費 用 の 負 担 が 不 要 になるのであれば 建 物 を 現 状 のまま 無 償 で 引 き 渡 す 方 が 有 利 になる 建 物 の 未 償 却 残 高 についても 撤 退 時 にはもともと 建 物 を 取 り 壊 すしかないわけで そうである 以 上 損 金 計 上 しかあり 得 ない

3. 後 継 賃 借 人 に 交 替 又 は 転 貸 した 場 合 後 継 賃 借 人 を 見 つけて 現 状 の 契 約 内 容 を 引 き 継 いでもらい 建 物 をそのまま 利 用 して もらえれば 建 物 取 壊 し 費 用 不 要 で 撤 退 することができる 可 能 であれば 放 棄 しなけ ればならない 未 経 過 保 証 金 も 次 の 後 継 賃 借 人 に 承 継 できればいいが これはさすがに 困 難 である 建 物 をいくらかの 価 格 ででも 譲 渡 できれば 本 来 は 時 価 による 譲 渡 というこ とになろうが 契 約 内 容 から 建 物 取 壊 し 費 用 の 負 担 軽 減 のための 後 継 賃 借 人 探 しによ る 損 失 負 担 軽 減 の 結 果 であり その 話 がまとまらなければより 多 くの 損 失 が 確 定 する 事 情 を 考 慮 すれば 第 三 者 間 の 取 引 であるという 前 提 のもとで 容 認 されるものと 思 われ る Ⅲ. 契 約 期 間 満 了 時 の 周 辺 問 題 土 地 所 有 者 の 取 扱 い 契 約 満 了 時 の 土 地 所 有 者 においては 賃 借 人 が 建 物 を 取 り 壊 さず 無 償 で 引 き 渡 したいと いってきた 時 にどうするかが 問 題 となる (1) 契 約 満 了 後 旧 賃 借 人 と 再 契 約 の 場 合 現 賃 借 人 との 間 で 新 たに 事 業 用 借 地 契 約 を 結 ぶ 場 合 には 全 く 新 たに 第 三 者 と 事 業 用 定 期 借 地 契 約 を 締 結 するのと 同 様 の 処 理 となる 契 約 上 は 一 旦 建 物 を 取 り 壊 し 再 度 建 築 すること になるが 現 実 はそのまま 利 用 することになるわけで これについても 税 務 上 問 題 になること はない 最 初 の 契 約 時 の 一 時 金 が 権 利 金 ならば 旧 権 利 金 の 処 理 は 終 了 しており 新 契 約 に かかる 権 利 金 の 授 受 ということになろう 最 初 の 契 約 時 の 一 時 金 が 保 証 金 ならばその 保 証 金 を 返 還 し 新 たに 保 証 金 を 預 かることになろう (2) 旧 借 地 人 が 建 物 を 取 り 壊 した 場 合 旧 借 地 人 が 建 物 を 取 り 壊 し 契 約 が 無 事 終 了 した 場 合 の 税 務 処 理 は 通 常 何 の 経 理 処 理 も 生 じない 保 証 金 を 預 かっていればこれを 返 還 するだけである (3) 旧 借 地 人 が 建 物 を 取 り 壊 さず その 建 物 を 引 き 取 る 場 合 旧 借 地 人 が 建 物 を 取 り 壊 さず その 建 物 を 引 き 取 る 場 合 にはⅡ2.2.に 詳 述 したとおりであ る Ⅱ3.のように 後 継 賃 借 人 に 交 替 や 転 貸 することはないので 建 物 取 壊 しをせずに 引 き 取 った 場 合 には 次 の 契 約 は 建 物 本 体 を 譲 渡 すると 共 に 事 業 用 借 地 契 約 とするのが 後 々の 法 務 上 税 務 上 も 有 利 になると 考 えられる しかし 次 の 借 地 人 がその 建 物 を 取 得 することのその 企 業 としてのメリットがないため やは り 更 地 で 賃 貸 したいとの 要 求 が 出 たときには 旧 借 地 人 に 建 物 取 壊 し 更 地 返 還 を 請 求 すべき だったことになる ここらあたりの 判 断 が 重 要 で したがって 期 間 満 了 が 近 づけば 早 めに 次 の 交 渉 を 現 借 地 人 と 行 い 次 の 候 補 者 探 しを 始 める 必 要 がある (4) 契 約 条 件 は 一 概 にはいえない 景 気 が 徐 々に 良 くなっているとはいえ ロードサイド ビジネスはやはり 厳 しさが 増 してきてい る とはいえ 立 地 の 良 い 場 所 で 程 良 い 広 さと 見 通 し 駐 車 場 に 進 入 しやすい 条 件 などがそ

ろっているところは 非 常 にいい 条 件 で 賃 貸 できる 非 常 に 勢 いのある 成 長 途 上 のテナントはい い 条 件 で 借 りてくれるが 長 期 にわたって 健 全 経 営 を 続 けることができるかどうかは 不 透 明 な 部 分 がある 安 定 して 成 長 しているところは 出 店 場 所 を 非 常 に 慎 重 に 選 び 有 利 な 条 件 になるようでない と 貸 せない 2. 賃 借 人 の 取 扱 い (1) 契 約 満 了 後 土 地 所 有 者 と 再 契 約 の 場 合 現 賃 貸 人 とのあいだで 新 たに 事 業 用 借 地 契 約 を 結 ぶ 場 合 には 全 く 新 たに 第 三 者 と 事 業 用 定 期 借 地 契 約 を 締 結 するのと 同 様 の 処 理 となる 契 約 上 は 一 旦 建 物 を 取 り 壊 し 再 度 建 築 することになるが 現 実 はそのまま 利 用 することに なるわけで 税 務 上 建 物 の 減 価 償 却 を 従 来 通 り 続 けることになる 最 初 の 契 約 時 の 一 時 金 が 権 利 金 ならば 旧 権 利 金 の 処 理 は 終 了 しており 新 契 約 にかかる 権 利 金 の 授 受 ということに なろう 最 初 の 契 約 時 の 一 時 金 が 保 証 金 ならばその 保 証 金 を 返 還 し 新 たに 保 証 金 を 預 かる ことになろう (2) 建 物 を 取 り 壊 す 場 合 建 物 を 取 り 壊 し 契 約 が 無 事 終 了 した 場 合 の 税 務 処 理 は 建 物 の 未 償 却 残 高 を 一 時 に 損 金 計 上 することになる 保 証 金 を 預 けていれば これの 返 還 を 受 けるだけである (3) 建 物 を 取 り 壊 さず 引 き 渡 す 場 合 建 物 を 取 り 壊 さず 引 き 渡 す 場 合 は Ⅱ2.2.に 詳 述 したとおりである Ⅳ. 事 業 用 定 期 借 地 権 の 改 正 の 動 きと 今 後 の 課 題 事 業 用 借 地 権 の 契 約 期 間 延 長 に 関 する 改 正 平 成 16 年 通 常 国 会 終 盤 で10 年 以 上 20 年 以 下 とされている 事 業 用 借 地 契 約 の 期 間 につい て 議 員 立 法 で 借 地 借 家 法 一 部 改 正 法 案 として10 年 以 上 50 年 未 満 とする 改 正 案 が 検 討 さ れ 与 党 間 では 合 意 された 上 法 務 委 員 会 に 提 出 される 直 前 までいったが 結 局 提 出 されず に 終 わった 今 年 の 通 常 国 会 では 成 立 するものと 期 待 されるが これが 成 立 すると 特 に 企 業 所 有 地 の 有 効 活 用 が 減 損 会 計 対 策 の 一 つとしてクローズアップされよう 図 表 3

図 表 4 事 業 用 定 期 借 地 権 の 期 間 設 定 の 範 囲 の 拡 大 ( 借 地 借 家 法 の 一 部 改 正 ) 2. 権 利 金 の 償 却 が 認 められたことによる 今 後 の 事 業 展 開 と 問 題 点 (1) 個 人 土 地 所 有 者 の 今 後 定 期 借 地 権 で 土 地 を 賃 貸 する 時 に 一 時 金 として 権 利 金 を 受 け 取 ると 一 時 に 課 税 されることと なるため 特 に 長 期 での 賃 貸 の 際 には 保 証 金 方 式 が 広 く 普 及 してきた しかし 今 回 の 取 扱 い の 明 確 化 では 権 利 金 ( 前 受 地 代 )で 受 け 取 っても 賃 借 人 サイドの 期 間 の 経 過 による 費 用 化 と 同 時 に 土 地 所 有 者 についても 期 間 の 経 過 と 共 に 収 益 計 上 して 良 いこととされた もっとも 中 途 解 約 時 に 未 経 過 分 を 返 還 する 契 約 でなければならないわけで その 意 味 では 返 還 不 要 で ある 権 利 金 の 方 が 有 利 である 税 務 上 の 取 扱 いが 有 利 でも 実 際 の 契 約 上 取 扱 いが 不 利 で あれば 意 味 がないことになる 元 々 保 証 金 は 中 途 解 約 時 や 期 間 満 了 時 の 建 物 取 壊 し 義 務 の 不 履 行 と 地 代 不 払 いに 備

えることが 大 きな 目 的 であり 権 利 金 方 式 にする 場 合 にこれをどう 考 えるかという 問 題 がある 権 利 金 が 地 代 の 前 払 いというなら 債 務 不 履 行 に 備 えた 保 証 金 又 は 敷 金 を 別 途 預 かり 地 代 の 前 払 いという 権 利 金 の 性 格 を 明 確 にしておく 必 要 がある 権 利 金 に 債 務 不 履 行 に 対 応 する ための 敷 金 的 性 格 を 混 合 させると 前 払 い 地 代 という 性 格 が 不 明 確 になり 権 利 金 の 期 間 の 経 過 に 応 じた 収 益 計 上 が 認 められない 危 険 があるので 注 意 を 要 する 定 期 借 地 権 設 定 の 際 農 地 などの 基 盤 整 備 費 用 は 土 地 の 取 得 価 格 を 形 成 するため この 資 金 を 権 利 金 として 賃 借 人 から 取 得 することも 考 えられる いずれにしても 課 税 が 明 確 になったことで 権 利 金 ( 前 受 地 代 ) 方 式 を 選 択 する 土 地 所 有 者 が 増 えることが 予 想 される しかし 相 続 税 納 税 資 金 を 当 面 準 備 するためなどの 理 由 で 従 来 通 り 保 証 金 方 式 を 選 択 する 土 地 所 有 者 もあると 考 えられ 土 地 所 有 者 の 意 向 と キャッシュ フロー 税 務 上 の 有 利 不 利 を 総 合 的 にアドバイスする 必 要 がある (2) 法 人 土 地 所 有 者 減 損 会 計 の 本 格 スタートが 目 前 であるが オフバランスしたくないケースも 多 く その 場 合 に はできるだけ 評 価 額 を 高 くしたいと 考 えられる 遊 休 土 地 については 時 価 鑑 定 の 際 にどうして も 低 く 評 価 されてしまう 状 況 にある そこで 考 えられるのが 事 業 用 借 地 であるが あまり 多 くな いとはいえ 安 定 的 な 地 代 収 入 が 入 り かつ 権 利 金 ( 前 受 地 代 )でこれが 期 間 の 経 過 と 共 に 収 益 計 上 されることになれば 従 来 の 取 得 時 一 括 課 税 と 比 較 すると 税 負 担 が 大 きく 緩 和 されるこ とになる その 上 に 時 価 鑑 定 の 際 の 評 価 額 は 収 益 還 元 法 の 割 引 率 が 安 定 収 入 分 だけ 低 くさ れる 可 能 性 が 高 く そうなると 評 価 額 もアップする 遊 休 地 の 減 損 会 計 対 策 と 安 定 収 入 確 保 対 策 との 二 重 の 効 果 が 見 込 める (3) 賃 借 人 定 期 借 地 権 で 賃 借 したときに 権 利 金 を 支 払 うと 支 払 った 権 利 金 は 契 約 不 履 行 などがない 限 り 返 還 されないにもかかわらず 一 時 に 損 金 に 計 上 できず 中 途 解 約 又 は 期 間 満 了 に 伴 っ て 建 物 取 壊 しの 上 更 地 にして 返 還 してはじめて 損 金 に 計 上 できることとされていた 今 回 の 取 扱 い 明 確 化 でこれが 期 間 の 経 過 と 共 に 損 金 に 計 上 できることになったため 従 来 保 証 金 方 式 で 対 応 していた 事 業 者 も 権 利 金 ( 前 受 地 代 ) 方 式 に 変 更 するとケースが 増 加 する ものと 考 えられる 権 利 金 であれば 少 なくとも 保 証 金 の 半 額 ないし3 分 の1 程 度 にはなるものと 思 われ 財 務 内 容 の 悪 化 を 少 しでも 防 ぐことができるため 自 己 資 本 比 率 の 確 保 につながるこ とになる (4) 残 された 問 題 点 今 回 の 取 扱 いの 明 確 化 ではあくまでも 前 払 地 代 としての 契 約 に 限 って 期 間 経 過 に 伴 う 収 益 計 上 と 費 用 化 を 認 めているにすぎない 本 来 定 期 借 地 契 約 は 期 間 満 了 と 共 に 土 地 の 利 用 権 が 消 滅 する 従 来 の 借 地 権 とはその 点 において 根 本 的 に 異 なるものである それを 定 期 借 地 権 といえども 従 来 の 土 地 に 設 定 され る 借 地 権 と 同 じ 取 扱 いをすることに 根 本 的 な 問 題 があり その 点 については 今 回 の 取 扱 いの 明 確 化 で 何 ら 考 え 方 を 変 えたわけではない 従 来 の 土 地 に 設 定 された 借 地 権 であれば 土 地 に キャピタルゲインが 生 ずると 借 地 権 にもキャピタルゲインが 生 ずる しかし 定 期 借 地 権 につ いては 期 間 満 了 で 賃 借 人 が 建 物 を 取 り 壊 した 上 で 土 地 所 有 者 に 更 地 で 返 還 される 以 上 賃 借 人 にキャピタルゲインが 生 ずることは 少 なくとも 期 間 満 了 時 にはあり 得 ない 契 約 期 間 の 中 途 で 仮 に 第 三 者 に 定 期 借 地 権 を 譲 渡 して そこでキャピタルゲインが 生 じたとしてもそれはそ こで 課 税 されるし その 間 権 利 金 の 償 却 をしていたとしてもそれは 契 約 期 間 が 経 過 していっ た 結 果 残 存 契 約 期 間 が 少 なくなっている 以 上 当 然 のことというほかない 期 間 の 中 途 で 定 期 借 地 権 を 購 入 した 第 三 者 は 残 存 契 約 期 間 の 利 用 権 しかなく しかも 期 間 が 満 了 すればそ の 時 点 で 建 物 を 取 り 壊 し 更 地 にして 返 還 するしかない

仮 に 土 地 所 有 者 と 合 意 して 新 たに 定 期 借 地 契 約 を 締 結 する 場 合 には 新 たな 定 期 借 地 契 約 を 結 ぶわけで その 条 件 は 他 の 賃 借 人 が 新 たに 定 期 借 地 契 約 を 結 ぶ 条 件 と 比 較 して 何 の 有 利 性 も 生 じない もっとも 建 物 は 従 来 のものを 継 続 して 利 用 できるメリットはあるが 土 地 所 有 者 は 旧 賃 貸 借 人 の 事 情 とは 関 係 なく 純 粋 にその 時 点 でいちばん 有 利 な 賃 貸 借 人 と 次 の 定 期 借 地 契 約 をすることができるし またそうすることになるであろう 定 期 借 地 契 約 とは そのような 性 格 のものである したがって 本 来 あるべき 取 扱 い すなわち 定 期 借 地 契 約 において 権 利 金 の 授 受 があった 場 合 前 払 地 代 としても 性 格 が 契 約 上 明 らかであろうとなかろうと 権 利 金 を 支 払 った 側 について は 権 利 金 は 期 間 の 経 過 と 共 に 損 金 に 算 入 すべきものと 考 える その 場 合 土 地 所 有 者 であ る 賃 貸 人 については 前 払 地 代 であるが 権 利 金 である 以 上 一 時 に 収 益 計 上 すべきであるの はいうまでもない 旬 刊 速 報 税 理 (ぎょうせい 刊 ) 平 成 17 年 2 月 1 日 号 より 無 断 複 写 複 製 記 載 文 書 を 承 諾 なしに 転 載 することを 禁 止 します トップページへ