農 と 食 の 再 生 - 農 工 商 連 携 6 次 産 業 化 ビジネスモデル 研 究 中 山 間 地 域 における 薬 用 植 物 関 連 産 業 の 振 興 に 関 する 基 礎 調 査 徳 島 県 立 総 合 大 学 校 とくしま 政 策 研 究 センター 主 任 研 究 員 水 野 則 夫 研 究 員 福 壽 由 法 1.はじめに 1-1. 中 山 間 地 域 における 葉 タバコ 生 産 の 縮 小 地 域 社 会 において 人 口 減 少 や 高 齢 化 が 言 われて 久 しい 特 に 中 山 間 地 域 においては コミュニティを 持 続 することさえ 難 しいほどの 弱 体 化 を 招 くなど 人 口 減 少 や 高 齢 化 は 地 域 社 会 に 甚 大 な 影 響 を 及 ぼしている 徳 島 県 の 中 山 間 地 域 においては 古 くから 葉 たばこの 生 産 が 盛 んに 行 われ 地 域 におけ る 重 要 な 産 業 となり 地 域 住 民 の 収 入 源 として 生 活 を 支 えてきた しかし 国 民 の 健 康 意 識 の 高 まりやたばこ 税 引 き 上 げ 等 により 製 品 タバコの 販 売 量 は 減 少 傾 向 が 顕 著 であり 日 本 たばこ 産 業 (JT)から 平 成 24 年 度 も 葉 たばこの 廃 作 が 実 施 されるなど 葉 たばこ 生 産 農 家 は 転 作 の 検 討 を 余 儀 なくされている ( 出 典 : 日 本 たばこ 産 業 ( 株 ) 資 料 葉 タバコ 耕 作 面 積 と 耕 作 者 数 ) しかし 葉 たばこと 同 程 度 の 収 入 を 確 保 できる 転 換 作 物 を 見 つけることは 容 易 ではなく このままでは 中 山 間 地 域 における 耕 作 放 棄 地 の 大 幅 な 増 加 が 懸 念 されるだけでなく 離 農 により 地 域 住 民 のコミュニティからの 離 脱 を 招 き 地 域 社 会 の 維 持 存 続 にも 甚 大 な 影 響 を 与 えかねない -1-
1-2. 中 山 間 地 域 の 地 域 財 産 である 薬 用 植 物 徳 島 県 の 中 山 間 地 域 において 葉 たばこ 以 外 にどのような 地 域 産 物 が 産 出 されていたの であろうか 代 表 的 地 域 である 徳 島 県 西 部 の 祖 谷 地 域 を 例 にすると 東 祖 谷 山 村 史 から 多 様 な 薬 用 植 物 が 産 出 されていたことが 読 み 取 れる [ 東 祖 谷 山 村 史 より 抜 粋 ] ( 注 ) 毒 性 のある 薬 用 植 物 を 含 む 強 壮 剤 ナルコユリ ヤマイモ クズ ビナンカズラ マタタビなど 苦 味 健 胃 剤 キハダ ニガキ センブリ リンドウなど 芳 香 性 辛 味 健 胃 剤 サイシン サンショウ 鎮 痙 鎮 痛 薬 トリカブト ハシリドコロ エンゴサク クサノオウ 収 斂 剤 ゲンノショウコ キンミズヒキなど 止 血 吐 血 薬 アカネ エンジュ クチナシ 腫 物 創 傷 打 撲 症 薬 オトギリソウ オミナエシなど 鎮 咳 薬 オオバコ ナンテン キョ 痰 薬 トチバニンジン 利 尿 薬 ウツボグサ ダイコンソウ イタドリなど 皮 膚 病 薬 シシウド 農 用 殺 虫 薬 バイケイソウ アセビ ヤブツバキなど 1-3. 中 国 との 関 係 悪 化 に 伴 う 影 響 懸 念 一 方 日 本 と 中 国 との 間 では 領 土 問 題 が 尖 鋭 化 し 従 来 では 考 えられない 問 題 も 表 面 化 してきた 例 えば 代 表 的 な 薬 用 植 物 である 生 薬 については その 原 料 の 約 8 割 は 中 国 か らの 輸 入 であり もし 中 国 が 生 薬 原 料 の 輸 出 を 差 し 止 める 事 態 となった 場 合 日 本 国 民 の 生 活 に 甚 大 な 影 響 を 与 えかねない (レアプラント( 希 少 植 物 ) 問 題 ) ( 出 典 : 日 本 漢 方 生 薬 製 剤 協 会 生 薬 委 員 会 調 査 報 告 資 料 ) こうしたことから 生 薬 原 料 は 調 達 が 困 難 になるとの 懸 念 が 広 がり 価 格 は 上 昇 傾 向 に ある このため 大 手 漢 方 製 薬 メーカーは 日 本 国 内 で 生 産 拡 大 を 進 めており 北 海 道 夕 張 市 に100% 出 資 子 会 社 を 設 立 生 薬 原 料 の 生 産 加 工 保 管 拠 点 の 整 備 を 進 めるメーカ -2-
ーや 東 北 九 州 の 地 方 自 治 体 と 提 携 し 主 要 な 生 薬 原 料 である 甘 草 の 栽 培 プロジェクトを 進 めるメーカーなどがある ( 出 典 : 日 本 漢 方 生 薬 製 剤 協 会 生 薬 委 員 会 調 査 報 告 資 料 ) 1-4. 高 齢 化 社 会 到 来 による 健 康 意 識 の 高 まり 現 在 新 聞 の 広 告 欄 を 見 ていると 健 康 食 品 の 広 告 が 無 い 日 はないのではないだろうか 高 齢 化 社 会 の 到 来 により 健 康 食 品 に 対 する 国 民 のニーズは 高 まっており 特 定 保 健 用 食 品 と 特 定 保 健 用 食 品 を 除 く 健 康 食 品 の 市 場 は 全 体 で 約 2 兆 円 の 規 模 であり 今 後 の 予 防 医 学 の 浸 透 を 考 えると 今 後 も 益 々 増 加 するものと 考 えられている ご 存 じのとおり 多 くの 健 康 食 品 には 薬 用 植 物 が 利 用 されている ( 出 典 : 消 費 者 庁 食 品 表 示 課 資 料 ) -3-
1-5. 医 学 薬 学 農 学 経 済 学 経 営 学 分 野 における 高 等 教 育 機 関 の 充 実 徳 島 県 は 医 学 薬 学 分 野 の 高 等 教 育 機 関 が 早 い 段 階 で 設 置 された 特 に 薬 学 分 野 は 県 内 2 大 学 に 薬 学 部 を 有 することから 四 国 の 中 では 産 業 上 比 較 優 位 な 分 野 となっているの ではないだろうか ただし 農 学 分 野 については 唯 一 高 等 教 育 機 関 がないことから 産 業 上 不 利 な 分 野 となっているとも 考 えられる 四 国 内 における 医 学 薬 学 農 学 経 済 学 経 営 学 分 野 に 関 する 高 等 教 育 機 関 徳 島 大 学 徳 島 文 理 大 学 四 国 大 学 香 川 大 学 高 松 大 学 愛 媛 大 学 医 学 部 薬 学 部 薬 学 部 経 営 情 報 学 部 医 学 部 農 学 部 経 済 学 部 経 営 学 部 医 学 部 農 学 部 松 山 大 学 薬 学 部 経 済 学 部 経 営 学 部 高 知 大 学 高 知 工 科 大 学 医 学 部 農 学 部 マネジメント 学 部 1-6. 今 回 の 政 策 研 究 において 検 討 する 仮 説 1ー1~5.まで 述 べて 来 た 内 容 を 纏 めると 県 内 の 中 山 間 地 域 において 持 続 可 能 な コミュニティづくりを 進 めるには 地 域 住 民 が 収 入 を 得 る 手 段 として 薬 用 植 物 を 活 用 した 地 域 産 業 の 振 興 が 重 要 ではないだろうか そのためには 支 援 機 関 や 推 進 母 体 のあり 方 活 用 する 薬 用 植 物 の 選 別 生 産 品 質 管 理 や 加 工 商 品 開 発 販 売 のノウハウ さらには 非 営 利 活 動 を 通 じた 地 域 住 民 とのあり 方 などをどのように 進 めるべきか とくしま 政 策 研 究 センターでは 薬 用 植 物 を 活 用 した 農 工 商 連 携 6 次 産 業 化 ビジネス モデルについての 基 礎 的 調 査 を 平 成 24 年 度 政 策 研 究 テーマの 一 つとして 中 山 間 地 域 における 社 会 的 課 題 の 解 決 に 向 けた 方 策 を 検 討 した 2. 実 施 内 容 具 体 的 には 徳 島 大 学 美 馬 市 県 立 農 業 大 学 校 農 業 大 学 校 模 擬 会 社 そらそうじゃ 等 の 皆 様 の 協 力 を 得 て 薬 用 植 物 を 活 用 した 中 山 間 地 域 の 農 家 の 所 得 向 上 と 地 域 産 業 の 振 興 を 目 的 に 農 工 商 連 携 6 次 産 業 化 ビジネスモデル 研 究 会 を 立 ち 上 げ 薬 用 植 物 に 関 す る 基 礎 知 識 習 得 のための 講 演 会 調 理 実 習 の 開 催 や 試 作 品 の 商 品 開 発 試 験 販 売 などを 実 施 し 薬 用 植 物 関 連 産 業 の 振 興 に 関 する 意 識 醸 成 に 取 り 組 んだ 研 究 会 の 主 な 関 係 者 ( 共 通 ) 徳 島 大 学 高 石 理 事 副 学 長 柏 田 准 教 授 今 林 教 務 助 手 ( 有 ) 日 本 漢 方 医 薬 研 究 所 片 山 管 理 薬 剤 師 ( 生 産 部 会 ) 美 馬 市 猪 口 部 長 山 田 課 長 川 口 主 幹 江 口 課 長 徳 島 大 学 清 水 臨 床 教 授 ( 医 療 法 人 東 洋 病 院 理 事 長 ) -4-
徳 島 文 理 大 学 瀬 川 教 授 (NPO 法 人 山 の 薬 剤 師 たち 理 事 長 ) ( 有 )ハートリング アイ 佐 々 木 代 表 取 締 役 徳 島 県 薬 草 協 会 脇 町 支 部 上 野 支 部 長 ほか 美 馬 市 生 薬 生 産 組 合 上 田 組 合 長 ほか 木 屋 平 地 区 福 祉 活 動 計 画 実 行 委 員 会 阿 部 委 員 長 ほか 美 馬 つるぎ 地 区 キクイモ 栽 培 加 工 消 費 研 究 会 三 笠 代 表 美 馬 市 社 会 福 祉 協 議 会 佐 和 事 務 局 長 小 川 次 長 篠 原 主 事 三 好 市 田 本 課 長 東 みよし 町 吉 岡 課 長 佐 々 木 課 長 補 佐 つるぎ 町 春 日 主 任 三 好 高 校 松 村 校 長 小 原 教 頭 中 川 主 任 県 西 部 総 合 県 民 局 農 林 水 産 部 梅 崎 部 長 河 野 次 長 山 田 課 長 富 加 見 係 長 ( 加 工 商 品 開 発 販 売 部 会 ) 県 立 農 業 大 学 校 安 岡 校 長 山 下 准 教 授 村 田 准 教 授 奥 田 准 教 授 農 業 大 学 校 模 擬 会 社 そらそうじゃ 川 野 社 長 初 めプロジェクトメンバー 料 理 研 究 家 浜 内 千 波 先 生 フードコーディネーター 田 中 美 和 先 生 徳 島 商 業 高 校 鈴 鹿 教 諭 徳 島 商 業 高 校 模 擬 会 社 COMCOM 須 原 社 長 ほか 徳 島 大 学 生 活 協 同 組 合 清 水 専 務 理 事 ( 株 )ハレルヤ 市 岡 製 菓 ( 株 ) 市 岡 社 長 小 松 部 長 市 岡 沙 織 氏 ( 株 ) 丸 本 中 内 取 締 役 徳 島 商 工 会 議 所 中 川 主 任 (その 他 ) 県 立 総 合 大 学 校 とくしま 政 策 研 究 センター 加 藤 所 長 徳 島 県 地 域 振 興 総 局 窪 室 長 徳 島 銀 行 川 真 田 農 業 経 営 アドザイザー など 研 究 会 は 生 産 部 会 と 加 工 商 品 開 発 販 売 部 会 に 分 けて 開 催 第 1 回 6 月 5 日 自 治 研 修 センター 研 究 会 立 ち 上 げ 概 要 説 明 ( 新 聞 記 事 ) < 生 産 部 会 > 第 2 回 6 月 21 日 徳 島 大 学 薬 用 植 物 園 徳 島 大 学 柏 田 准 教 授 による 講 演 と 園 内 視 察 ( 新 聞 記 事 ) 演 題 生 薬 薬 用 植 物 の 基 礎 知 識 と 生 薬 資 源 の 現 状 第 3 回 7 月 6 日 美 馬 市 穴 吹 農 村 環 境 改 善 センター 日 本 漢 方 医 薬 研 究 所 片 山 管 理 薬 剤 師 による 講 演 ( 新 聞 記 事 ) 演 題 製 薬 メーカーから 見 た 薬 草 栽 培 の 未 来 図 第 4 回 8 月 10 日 美 馬 市 木 屋 平 老 人 福 祉 センター -5-
徳 島 文 理 大 学 瀬 川 教 授 (NPO 法 人 山 の 薬 剤 師 たち 理 事 長 ) 演 題 地 域 経 済 と 地 域 医 療 第 5 回 12 月 13 日 美 馬 市 木 屋 平 谷 口 公 民 館 ハートリング アイ 佐 々 木 佑 実 代 表 取 締 役 演 題 和 漢 食 冬 場 の 食 養 生 第 6 回 2 月 7 日 美 馬 市 穴 吹 農 村 環 境 改 善 センター 徳 島 大 学 清 水 臨 床 教 授 ( 医 療 法 人 東 洋 病 院 理 事 長 ) 演 題 漢 方 薬 とハーブの 基 礎 知 識 -6-
< 加 工 商 品 開 発 販 売 部 会 > 第 2 回 6 月 15 日 徳 島 商 業 高 校 徳 島 商 業 高 校 鈴 鹿 教 諭 による 講 演 ( 新 聞 記 事 ) 演 題 食 品 の 商 品 開 発 第 3 回 7 月 4 日 徳 島 大 学 薬 用 植 物 園 徳 島 大 学 柏 田 先 生 による 講 演 と 園 内 視 察 演 題 食 品 と 生 薬 ハーブ スパイス 第 4 回 7 月 11 日 県 立 農 業 大 学 校 日 本 漢 方 医 薬 研 究 所 片 山 管 理 薬 剤 師 による 講 演 演 題 クスリになる 食 べ 物 特 別 講 演 8 月 3 日 県 立 農 業 大 学 校 料 理 研 究 家 浜 内 千 波 氏 による 講 演 と 商 品 開 発 指 導 ( 新 聞 記 事 ) 演 題 食 の 安 心 安 全 と 健 康 について 商 品 発 表 会 9 月 13 日 ハレルヤ 本 社 ハレルヤと 共 同 で 開 発 した 野 菜 スイーツ 商 品 を 発 表 ( 新 聞 記 事 ) 第 5 回 ( 農 大 祭 ) 11 月 3 4 日 県 立 農 業 大 学 校 田 中 フードコーディネーターによる 講 演 と 料 理 実 演 ( 新 聞 記 事 ) 演 題 食 材 の 機 能 性 に 着 目 した 料 理 -7-
市 場 調 査 1 月 27 日 徳 島 市 内 紺 屋 町 歩 道 わくわく 日 曜 市 ( 徳 島 商 工 会 議 所 主 催 )でカキの 葉 茶 の 試 飲 & アンケート 調 査 研 究 会 開 催 による 波 及 効 果 美 馬 市 生 薬 生 産 組 合 が 発 足 ( 新 聞 記 事 ) 美 村 が 丘 ( 美 馬 市 )に 薬 草 園 開 園 ( 広 報 紙 記 事 ) 徳 島 県 が 薬 用 植 物 の 栽 培 に 関 する 研 究 会 を 発 足 ( 新 聞 記 事 ) 日 本 医 薬 漢 方 研 究 所 ( 徳 島 市 )が 生 薬 の 加 工 食 品 を 製 造 販 売 ( 新 聞 記 事 ) キクイモ 栽 培 加 工 消 費 研 究 会 ( 美 馬 つるぎ 地 区 )がキクイモ 生 産 加 工 食 品 開 発 ( 新 聞 記 事 )など 3.まとめ 3-1. 考 察 本 研 究 会 の 実 施 により 次 のような 方 向 性 を 認 識 するに 至 った 従 来 の 取 締 りに 重 点 をおいた 薬 事 行 政 に 加 え 薬 用 植 物 を 活 用 した 産 業 を 振 興 する といった 観 点 から 行 政 機 関 や 高 等 教 育 機 関 による 中 山 間 地 域 の 農 業 者 や 地 元 関 連 事 業 者 の 支 援 体 制 を 拡 充 強 化 する 必 要 がある 薬 関 連 産 業 が 盛 んな 富 山 県 を 例 にすると 富 山 県 にはくすり 政 策 課 薬 事 研 究 所 薬 用 植 物 指 導 センター 富 山 大 学 には 医 学 部 薬 学 部 和 漢 医 薬 学 総 合 研 究 所 県 教 育 委 員 会 には 県 立 滑 川 高 校 薬 業 科 県 立 富 山 北 部 高 校 くすり バイオ 科 があり 充 実 した 研 究 教 育 機 関 の 体 制 となっており 産 学 官 が 一 体 となり 薬 関 連 の 産 業 振 興 を 推 進 している こうした 観 点 からすると 徳 島 県 の 農 林 水 産 総 合 技 術 支 援 センター 企 画 研 究 課 普 及 教 育 課 農 業 研 究 所 農 業 大 学 校 薬 務 課 保 健 製 薬 環 境 センター 新 産 業 戦 略 課 工 業 技 術 支 援 センター とくしま 産 業 振 興 機 構 西 部 総 合 県 民 局 徳 島 大 学 の 医 学 部 薬 学 部 農 工 商 連 携 センター 徳 島 文 理 大 学 の 薬 学 部 県 教 育 委 員 会 の 三 好 高 校 など 関 係 部 局 研 究 教 育 機 関 の 連 携 推 進 体 制 が 社 会 的 要 請 に 沿 い 十 分 に 機 能 しているか 再 検 討 する 必 要 がある -8-
下 図 のとおり 地 方 圏 において 徳 島 県 は 富 山 県 に 次 ぎ 薬 関 連 の 産 業 が 盛 んな 県 で あることから この 分 野 を 徳 島 県 の 強 みとして 戦 略 的 に 強 化 していく 必 要 があるの ではないだろうか -9-
( 出 典 :くすりの 富 山 県 ) 薬 用 植 物 を 活 かした 地 域 づくりを 進 めるためには 薬 用 植 物 の 生 産 加 工 商 品 開 発 卸 販 売 アンテナ 店 舗 (ネット 販 売 を 含 む)を 一 元 化 した 地 域 住 民 主 体 の 事 業 組 織 が 必 要 である 薬 膳 カフェ レストラン 等 への 薬 草 直 接 販 売 ルート 開 拓 薬 草 を 使 った 健 康 食 品 飲 料 酒 類 等 の 商 品 開 発 販 路 開 拓 事 業 拠 点 組 織 の 整 備 試 験 栽 培 加 工 保 管 商 品 開 発 市 場 調 査 アンテナ 店 舗 運 営 ネット 通 販 事 業 全 般 管 理 試 験 研 究 機 関 高 等 教 育 機 関 行 政 などによる 実 施 支 援 漢 方 生 薬 の 栽 培 品 質 管 理 技 術 習 得 大 手 製 薬 会 社 との 契 約 栽 培 地 域 の 薬 草 知 識 向 上 家 庭 向 け 薬 膳 料 理 の 普 及 促 進 現 在 ( 株 ) 大 歩 危 妖 怪 村 ( 三 好 市 山 城 町 )( 新 聞 記 事 ) ( 株 )きとうむら( 那 賀 町 木 頭 ) ( 株 ) 四 万 十 ドラマ( 高 知 県 )など 地 域 住 民 が 主 体 となり 地 域 特 産 品 を 生 産 加 工 販 売 する 事 業 組 織 が 設 立 され 事 業 活 動 を 活 発 に 行 っている しかし 最 初 から 地 域 住 民 のみの 事 業 組 織 を 設 立 することは 容 易 でない まずは 行 政 機 関 の 設 立 援 助 や 資 金 援 助 などにより 官 民 共 同 方 式 で 立 ち 上 げ その 後 地 域 住 民 主 体 の 事 業 組 織 へ 移 行 する 手 法 が 望 ましい 徳 島 県 は 経 済 飛 躍 ファンドを 設 けて いる こうした 事 業 組 織 がファンドを 活 用 できるよう 形 態 を 変 更 することも 検 討 す べきである ただし 行 政 機 関 からの 援 助 はあくまで 設 立 援 助 や 資 金 援 助 など 後 方 支 援 に 止 め 事 業 運 営 そのものは 最 初 から 地 域 住 民 が 主 体 となり 事 業 経 営 の 自 立 性 を 確 保 しな ければ 事 業 の 成 功 は 難 しい -10-
また こうした 事 業 主 体 が 活 動 を 持 続 的 に 続 けていくためには 地 域 全 体 が 薬 用 植 物 の 知 識 や 活 用 を 考 え 意 識 醸 成 を 図 る 必 要 があり そのためには 知 識 の 拠 点 の 支 援 が 絶 対 的 に 必 要 である 先 程 の 例 にもあるように 富 山 県 には 薬 事 研 究 所 富 山 大 学 には 和 漢 医 薬 学 研 究 所 があるほか 岐 阜 県 には 内 藤 記 念 くすり 博 物 館 高 知 県 には 県 立 牧 野 植 物 園 があり 近 年 牧 野 植 物 園 は 薬 用 植 物 を 活 用 した 地 元 企 業 との 共 同 事 業 や 途 上 国 の 経 済 支 援 と 高 知 県 の 地 域 振 興 を 重 ねた 事 業 などに 積 極 的 に 取 り 組 んでいる ( 新 聞 記 事 ) 加 えて 薬 用 植 物 の 知 識 や 薬 膳 料 理 の 普 及 を 進 め 地 域 住 民 の 意 識 醸 成 を 図 る ことも 重 要 である こうした 活 動 を 進 めるには 行 政 機 関 だけでなく NPOや 社 会 福 祉 法 人 など 非 営 利 組 織 が 担 う 役 割 も 大 きい 現 在 徳 島 県 美 馬 市 ではNPO 法 人 山 の 薬 剤 師 たち( 美 馬 市 木 屋 平 )や 社 会 福 祉 法 人 美 馬 市 社 会 福 祉 協 議 会 がこ うした 活 動 に 取 り 組 みを 始 めており こうした 活 動 に 対 し 積 極 的 な 支 援 が 望 まれ る 薬 用 植 物 の 活 用 というと 漢 方 生 薬 をイメージするが まずは 生 薬 原 料 を 使 った 生 鮮 品 1 次 加 工 品 や 健 康 食 品 化 粧 品 等 についての 産 業 振 興 を 検 討 すべきである 最 初 から 地 域 住 民 主 体 の 事 業 会 社 が 漢 方 生 薬 原 料 の 生 産 加 工 卸 販 売 を 始 め るのは 現 実 的 でない 漢 方 生 薬 原 料 については 大 手 漢 方 メーカーとの 契 約 栽 培 か ら 始 め 少 しずつ 生 産 技 術 や 品 質 管 理 の 手 法 を 習 得 していかなければならない こ うした 意 味 では 美 馬 市 に 生 薬 生 産 組 合 が 設 立 され 大 手 漢 方 メーカー 向 けの 契 約 栽 培 を 開 始 したことは 現 実 的 な 判 断 といえる 地 域 住 民 主 体 の 事 業 会 社 がまず 取 り 組 むべきは 生 薬 原 料 を 使 った 生 鮮 品 1 次 加 工 品 や 健 康 食 品 化 粧 品 などの 農 工 商 連 携 6 次 産 業 化 ではないだろうか こう したことを 積 極 的 に 推 進 し 生 薬 生 産 者 や 地 元 中 小 企 業 を 育 成 すべきである 例 えば キクイモ 栽 培 加 工 消 費 研 究 会 ( 美 馬 つるぎ 地 区 )によるキクイモ 生 産 加 工 食 品 開 発 日 本 漢 方 医 薬 研 究 所 ( 徳 島 市 )によるクコの 実 を 使 った 加 工 食 品 池 田 薬 草 ( 三 好 市 )によるクワの 葉 ウラジロガシ 等 を 使 ったエキス 粉 末 美 郷 ク ワの 葉 生 産 組 合 ( 吉 野 川 市 )によるクワの 葉 茶 青 唐 辛 子 を 使 った 薬 味 調 味 料 みま から( 美 馬 市 ) きとうむら( 那 賀 町 )の 柚 子 エッセンシャルオイル 馬 路 村 農 業 協 同 組 合 ( 高 知 県 )の 柚 子 を 使 った 化 粧 品 など 薬 用 植 物 を 活 かした 農 工 商 連 携 6 次 産 業 化 の 事 例 が 散 見 されるようになっている -11-
こうした 事 例 がより 多 く 生 まれる 地 域 になることが 中 山 間 地 域 の 経 済 活 力 を 生 むことに 繋 がる こうした 産 業 の 振 興 を 進 める 手 法 として 例 えば 阿 波 尾 鶏 ブラン ドは 徳 島 県 畜 産 研 究 所 種 鶏 生 産 組 合 生 産 指 定 農 場 丸 本 オンダン 農 業 協 同 組 合 貞 光 食 糧 工 業 といった 事 業 スキームで 行 政 と 民 間 が 一 体 となり 産 業 化 を 図 った 結 果 地 元 の 重 要 な 産 業 に 成 長 している 薬 用 植 物 関 連 産 業 の 振 興 を 進 めるう えでも こうした 手 法 を 学 ぶことも 重 要 である 3-2. 今 後 の 課 題 薬 用 植 物 を 活 用 した 地 域 産 業 の 振 興 を 図 るうえで 支 援 機 関 や 推 進 母 体 のあり 方 を 除 く とどのような 課 題 が 優 先 するのであろうか 最 も 重 要 な 課 題 は 薬 用 植 物 の 販 路 を 確 保 す ること そのためには 市 場 ニーズをいかに 掴 むかである どの 時 期 に どの 地 域 で( 県 内 外 海 外 ) どの 顧 客 が どの 品 目 を どの 程 度 の 品 質 で どの 程 度 の 量 どの 価 格 水 準 で 必 要 としているのか 情 報 を 的 確 に 掴 むことにかかっている その 上 で 地 域 で 計 画 的 に 生 産 できる 薬 用 植 物 の 研 究 選 別 生 産 技 術 の 確 立 や 量 産 体 制 の 構 築 生 産 物 の 品 質 保 持 物 流 システムや 資 金 決 済 システムの 構 築 ニーズに 沿 った 商 品 開 発 ブランド 構 築 に 向 けた 広 告 宣 伝 の 手 法 鳥 獣 害 被 害 対 策 などをどのように 進 め るべきかということになる その 際 最 も 効 果 的 な 手 法 は 生 産 品 や 開 発 商 品 の 科 学 的 根 拠 を 明 確 にすること そし て それを 発 信 すること 今 日 誇 大 な 広 告 や 虚 偽 の 記 載 医 薬 品 的 効 能 効 果 をうたった 表 示 広 告 で 社 会 問 題 を 起 こしている 事 例 は 跡 を 絶 たない 科 学 的 根 拠 を 明 確 にすること は この 分 野 の 産 業 振 興 には 欠 かせない 課 題 であり 高 等 教 育 機 関 保 健 製 薬 環 境 センタ ー 工 業 技 術 支 援 センターなどの 支 援 無 しには 解 決 できない 課 題 でもある こうした 課 題 を 解 決 するための 事 例 として 例 えば 北 海 道 が 北 海 道 フード コンプレ ックス 国 際 戦 略 総 合 特 区 の 取 り 組 みの 一 環 として 導 入 する 計 画 の 独 自 の 食 品 機 能 性 表 示 制 度 の 創 設 を 参 考 とするのも 一 案 と 考 える ( 新 聞 記 事 ) この 制 度 は 知 事 が 製 品 を 認 証 製 品 に 認 証 マークを 付 与 し 定 めた 文 言 を 製 品 に 表 示 する 薬 事 法 に 接 触 しないよう 効 能 は 表 示 しないため 科 学 的 根 拠 については 論 文 を 纏 め たサイトを 用 意 し 消 費 者 がインターネットで 確 認 できる 仕 組 みとするものである -12-
こうした 方 向 性 や 課 題 を 認 識 したうえで 薬 用 植 物 を 活 用 した 農 工 商 連 携 6 次 産 業 化 を 進 め 中 山 間 地 域 の 持 続 可 能 なコミュニティづくりに 取 り 組 むべきである 現 在 徳 島 県 が 進 める 薬 用 植 物 の 栽 培 に 関 する 研 究 会 や とくしま 経 済 飛 躍 ファンド 県 内 大 学 等 高 等 教 育 機 関 の 地 域 連 携 活 動 産 学 官 連 携 による 徳 島 健 康 医 療 クラスター 事 業 など 地 域 の 社 会 的 課 題 の 解 決 に 向 けた 今 後 の 活 動 に 期 待 したい 最 後 にこうした 社 会 的 課 題 解 決 の 支 援 には 行 政 機 関 や 高 等 教 育 機 関 運 営 者 の 強 いリー ダーシップと 組 織 として 継 続 性 を 持 った 粘 り 強 い 実 行 力 が 必 要 であり 地 域 の 農 業 関 係 者 地 元 の 薬 品 食 品 等 産 業 関 係 者 やNPOなど 民 間 非 営 利 組 織 の 主 体 的 活 動 を 尊 重 する 形 で 民 間 との 協 働 連 携 を 進 めて 行 かなければならない 以 上 -13-