Thermo Scientific HAAKE MARS 40/60 テクニカルガイド
01 HAAKE MARS 40/60 温度コントロールモジュール 1. TM-EL-H/P TM-EL-H P/N222-1860 TM-EL-P P/N222-2172 低温 : 室温 ( 室温以下の温度域は循環恒温槽の能力に依存 ) 高温 :400 上下電気ヒーターモジュールともに水冷による高速降温が可能 熱可塑性樹脂 熱硬化性樹脂 塗料 ペースト 加硫 未加硫ゴム 粘着剤 / 接着剤 その他 上部コーンまたはパラレル 下部測定プレート ディスポーザブルタイプ セレーティッドタイプ ( 粗面加工 ) TM-EL-H 測定部の可視化および密閉系による窒素パージ可能 2
HAAKE MARS 40/60 ディスポーザブルプレート間にセットされた樹脂に一定の歪を印加しながら粘弾性を測定しました 加熱により一時的に粘度が下降しますが 140 近辺から硬化反応が開始され 190 ではゲル化 ( G =G ) していることが分かります 弾性要素と粘性要素の比であるtanδのピークは 140 以下に出現しています このような測定は 材料のゲル化温度 ( 時間 ) の定義やモールディング成形条件の設定などに有効です 2 種類の印刷トナー ( 熱可塑性樹脂ベース ) の温度依存を粘弾性により測定した例です それぞれ G のピークが 60 75 近辺に出現し Tgとして認められます また それぞれの貯蔵弾性率は1E 2 ~1E 8 Paオーダーまで6 桁以上の幅広い流域を連続的に測定が可能であることを示しています 2 種類の分子末端変性ポリエチレンの周波数依存性測定を行いました 一般的には 高分子ポリマーの周波数依存性測定はその分子量や架橋密度など分子構造の解析に応用されますが プロセスにおいて成形不良の原因に相関付けて利用しているケースも報告されています 左図では両者の緩和時間の違いが低周波数域に現れています 3
2. TM-PE-P P/N 222-1861 低温 :-40 高温 :200 ペルチェ温度モジュールの場合 ペルチェ素子を冷却するための循環恒温槽が別に必要 使用する冷媒は不凍液 シリコンオイル 水など 塗料 インキ スラリーなどの粘度 粘弾性測定 ( 室温近傍 ) 食品系素材 添加剤などのゲル化測定 (5 ~ 95 程度 ) UV 硬化型接着剤 樹脂 インキなどの室温近傍における硬化測定 上部コーンまたはパラレル 下部測定プレート ディスポーザブルタイプ 位置ガイドおよびベイヨネットリングによりシンプルな測定プレートの装着が可能です 上部測定ジオメトリの径に対応した各種プレートを用意 ( 写真は 20 mm 35 mm 60 mm) ダブルコーンジオメトリは極低粘性サンプルを少量 ( 約 4 ml ) で測定することを可能にした HAAKE 独自の測定ジオメトリです ダブルコーン用の上蓋は 揮発防止の役割も果たします 4
HAAKE MARS 40 /60 温度コントロールモジュール 3. TM-PE-C二重円筒ペルチェ温度モジュール P/N 222-1955 他 低温 -40 ただし循環恒温槽の能力に依存します プレート用アダプター 高温 200 オプションでプレートアダプターを追加することにより コーン プレート コーン プレートの測定も可能です プレートの場合 低温 -20 ただし循環恒温槽の能力に依存します 高温 180 二重円筒用カップ 二重円筒用ローター 二重円筒用ローターの一例 二重円筒用カップの種類 左 CCB25 DIN 中央 CCB10 DIN 右 CCB16 DIN 羽根型ローター 測定粘度レンジの一例 CC25 DIN 青 vs CC10 DIN 赤 5
塗料の粘度測定において 比較的せん断速度の速い領域では降伏応力が得られないことがあります 保存安定性などのアプリケーションには極低せん断域での降伏応力の測定が必要です Thermo Scientific HAAKE MARS 40/60は左図のように 1E -5 ~1E 3 sec -1 幅広いせん断速度域の測定が可能です HAAKE MARS 40/60が応力制御および歪速度制御双方の機能を有している実証データです 2 種類のペースト状ハンドクリームについてそれぞれ歪依存性の測定を行いました HAAKE MARS 40/60は歪制御および応力制御の双方が可能であることを立証する測定結果が得られました 手のひらへの塗り心地の比較としてこのような内部構造の連続的変化を測定しました HAAKE MARS 40/60が応力制御型レオメーターかつ歪制御型レオメーターである実証データです 張り合わせガラス用接着剤は ディスペンサー塗布が多く利用されますが 左図では 2 種類の接着剤の物性を評価するために 一定歪 ( 線形領域 ) の元で周波数依存性測定を行ったデータです ディスペンス時の接着剤の形状安定性を比較しています 低周波数域における緩和挙動の違いから 一方が角垂れを生じた不良品であることが分かります 6
HAAKE MARS 40/60 4. CTC MARS CTC P/N 379-0610 温度範囲 :30 ~ 600 MARS CTC P/N 379-0630 LN 2 温度範囲 :-150 ~ 600 低温域 ( 室温 ~ -150 ) では LN 2 ( 液体窒素 ) を使用 LN 2-150 ~ -100 :10 L/ 時 -100 ~ -50 : 7 L/ 時 -50 以上 : 3 ~ 5 L/ 時 CTC プラスチック / ゴムなどの動的熱機械特性の測定 ( DMTA ) 高温溶融ポリマーの粘弾性測定 熱硬化性樹脂の硬化特性測定 CTC コーンまたはパラレル ( 最大 35 mmφ 最小 8 mmφ) ディスポーザブルタイプ 矩形状固体サンプル用トーションクランプ UV 硬化測定用プレートシステム ( 特別オプション ) CTC 写真左から 測定時ポジション サンプル装着時ポジション 測定終了または他の温度モジュール使用時のパーキングポジション CTC P/N 222-1730 液体窒素供給ベッセル (50 L ) オプション ( P/N 222-1733) CTC 温度コントロールチャンバー 7
HAAKE MARS 40/60 CTC 高機能性プラスチックの融点やTgを確認するために 温度依存性測定を行いました PEEKは 450 で PETは300 でそれぞれ溶融状から測定を開始しました 連続降温プログラム下でそれぞれ動的粘弾性 損失正接 (tanδ) を表しています 各サンプルともガラス転移温度を下回った温度域のガラス状域まで安定して測定できています これは HAAKE MARS 40/60の特長である 高剛性フレームも一因です 緩和時間の違う2 種類のポリマー PCおよび ABSの動的粘弾性測定とさらにそれらのブレンド系の温度依存性を測定した例です PCおよび ABSは本来のガラス転移温度 (Tg ) を正確に示しています ブレンド系サンプルは PC/ABSそれぞれの緩和時間の違いを示すTgが明確に示され 本サンプルが非相溶系であることを明確に示しています 左図はエポキシ硬化物の温度依存性測定データです 主鎖が130 に 側鎖モーションが -75 にそれぞれ現れています このデータについては 測定者が期待していた硬化反応より弱く 側鎖でのローカル運動がやや大きいと報告されています 極低温域から高温域まで幅広く測定することにより 物質の熱 機械特性が簡単に評価できます 8
02 アプリケーション対応モジュール 1-1. UV P/N 222-1931 測定温度 : 一定温度 ( 循環恒温槽による温度コントロール ) 下部 UV 硬化測定プレート ( 石英ガラスプレート 交換可 ) 上部ディスポーザブルプレート 1-2. UV P/N 222-2198 測定温度 : 下部温調モジュールによる温度コントロール ( ただし~ 200 まで ) 反射鏡による 測定部への直接 UV 照射 UV 照射専用測定ジオメトリ ( 反射鏡 石英ガラスプレート付き ) ガラスプレート径 :8 mmφ 20 mmφ より選択 ライトガイド固定ホルダー ( コリメーター付き ) OmniCure S2000 UV P/N 603-0550 主な仕様ランプ :EXFO 200 W Mercury DC(2,000 時間 ) 波長 :250 nm~ 500 nm HAAKE MARS 40/60 高速オシレーション機能は 動的振動 ( OSC) 下での貯蔵弾性率 ( G ) および損失弾性率 ( G ) を最速 2ミリ秒間隔で測定することができます この測定は一定歪制御下 または一定応力制御下の双方で可能です 9
UV 貯蔵弾性率 ( G ) 貯蔵弾性率 ( G ) G /G 交点 G /G 交点 損失弾性率 ( G ) 損失弾性率 ( G ) 複素粘度 (η * ) 複素粘度 (η * ) UV 照射トリガー UV 照射トリガー 定常粘度 (η) 定常粘度 (η) 硬化収縮 ( N f) 硬化収縮 ( N f) 上図は UV 硬化型樹脂の硬化前から硬化に至る物性挙動を連続測定した例です まず 回転 ( 定常せん断 ) で粘度 (η) を求め 連続して動的振動下で複素粘度 (η * ) を求めています 結果として η=η * の関係が得られています その後 HAAKE MARS 40/60の制御ソフトウェア ( RheoWin) により UV 照射トリガーがプログラムにしたがって作動してサンプルに UV 光が照射されています 照射 10 秒後にサンプルは急激に硬化を始め 13 秒後にはG /G の交点を示しています UV 硬化型樹脂や接着剤で 硬化収縮は重要な物性要素の一つです HAAKE MARS 40/60 高速硬化機能には硬化時の収縮力をNf( ノーマルフォース ) に求めることが可能です 1 x 107 Paを超えても安定した貯蔵弾性率 (G ) が測定できていると同時に-10 Nを越える硬化収縮による Nf( ノーマルフォース ) が正確に測定されています UV 同一サンプルについて 硬化測定の再現性を検証しました UV 照射のトリガーは測定開始後 5 秒後にソフトウェアにより制御され 15 秒で照射を停止しています 粘弾性測定における硬化時間の定義は 貯蔵弾性率 ( G ) と損失弾性率 ( G ) の交点とされます 左図データが示しているように 二回の測定におけるG 交点の誤差は2ミリ秒です それぞれの G 交点の値の誤差は10 % です 高速のUV 硬化測定においては充分に信頼できる再現性を示しています 10
2. RheoScope P/N 222-1912 低温 :-5 ( 循環恒温槽使用時 ) 高温 :120 ( ただし オプション上部ヒーターにより 300 可能 ) 標準構成 : 光源 カメラ レンズ ( x 25) ポラライザー Firewireインターフェイス 測定プレートオプション : 鏡面研磨コーンあるいはプレート ( 最大サイズ :60 mmφ) RheoScope Microscope Video camera Resolution Magnifi cation Depth of focus Light source Frame rate Software Focus, polarization fi lter and the radial position of the microscope are controlled by a servo motor and can be adjusted in the software. Interchangeable lenses with magnifi cations of x 50, x 20, x 10, x 5 Sony XCD-X710 Black/white 1/3 CCD-camera resolutions 1024 x 768, 800 x 600, 640 x 480 1 micrometer (with x20 lens) ~ 800X with 17 monitor (1152 pixels/line) 5mm 150 watts, wave length 380-750 nm 30 images/second (640 x 480 resolution) RheoWin with integrated image/video recorder RheoScope 食品系 インキ オイル 高分子溶液などの粒子分散状態 分子配向などの観察 溶融高分子の結晶化観察レオロジーデータ RheoScope イメージ画像 11
3. Rheonaut FT-IR/ P/N 603-0600 (1) レオメーター型式上部測定ジオメトリソフトウェア (2)FT-IR 型式ソフトウェア (3) インターフェイス温度コントロール方式 ( 選択可 ) HAAKE MARS 40/60 コーンまたはパラレル Thermo Scientifi c HAAKE RheoWin ソフトウェア Thermo Scientifi c Nicolet is 50 または is10 ( サイドポート付き ) Thermo Scientifi c OMNIC ソフトウェア Thermo Scientifi c Rheonaut( レオノート ) モジュール ATR 法 ( ダイヤモンド結晶 ) DTGS 検出器内蔵 ( オプション MCT 検出器 ) ペルチェ仕様 ( 0 ~ 100 ) 電気ヒーター仕様 ( 室温 ~ 400 ) HAAKE MARS 40/60 レオメーター 上部測定ジオメトリ FT-IR Rheonaut モジュール (ATR プレート 検出器含む ) OMNIC/RheoWin 用制御 PC Rheonaut 温度コントローラー HAAKE MARS 40/60 レオメーター電源ユニット Rheonaut 溶融ポリマーの分子配向 結晶などの機械的特性と分子構造的変化の同時測定分析 熱硬化 光硬化型樹脂 接着剤 インキなどの機械的反応特性と分子構造的変化の同時測定分析 熱可逆性 ( 不可逆性 ) による分子構造的変性などの同時測定分析 エマルジョンの相分離の解析 12
Rheonaut IR IR 二液型接着剤 ( エポキシ系 ) の硬化反応を動的粘弾性および FT-IRで同時に測定しました 硬化反応を促進させるため サンプル温度は95 に昇温させました 通常粘弾性では ゲル時間を G ( 青線 ) と G ( 赤線 ) の交点として定義しています FT-IRではサンプルの硬化反応率 ( 緑線 ) を912 cm -1 /1,509 cm -1 とし 粘弾性データと同軸上にプロットしました 詳しい内容については 下記技術資料をご参照ください Monitoring emulsion morphology by rheometry and in-situ FTIR spectroscopy simultaneously during shear stress. 13
03 測定 データ処理ソフトウェア HAAKE RheoWin レオメーターの操作性やデータ処理機能は ユーザーにとって非常に重要な選定要素となります HAAKE RheoWinは 直感的なアイコンによる使いやすさ と 多彩なデータ処理機能 により長く日本国内のユーザー様に評価されてきました 言語はもちろん 日本語 で対応しています さらに 線形 非線形 慣性補正 コンプライアンス補正 など測定条件やデータの正確性を検証する Raw データビューアー機能も標準で付属しているため データの信頼性がより高くなります Raw データビューアー 粘弾性データ 正弦波形 リサジュー図形 高調波データ 慣性 コンプライアンス RheoWin Rheowinは 直感的な分かりやすさに加え 左記のようなシーケンスを組むことで 誰でも簡単に測定操作 データ出力 データ解析が行える ユーザーフレンドリー なソフトウェアです 塗料の測定において 温度保持 ギャップの設定 せん断速度の設定 近似計算 / グラフィック データ保存までの手順をシーケンスとしてプログラム化した例です これにより 複雑な測定や解析も簡単に管理することが可能です 14
04 ポリマーソフトウェア HAAKE RheoWin TTS P/N 098-5045 TTS 解析ツールは 溶融ポリマーなどを幅広い温度域で周波数分散測定し そのデータの基準温度をもとに温度 時間換算則に則り合成曲線として表す解析ソフトウェアです それらポリマーの分子構造を反映するゴム状平坦域から流動域を短時間で測定することは所要測定時間的に現実的ではなく この TTS 手法が利用されます 以下に 一般的に周波数測定に要する時間を表示します 注意 : 測定対象となるポリマーによっては TTS に対応しないものも多くあります OSC 周波数 ( Hz) OSC 角速度 ( rad/sec) 1 サイクル所要時間 ( 秒 ) 100 628 0.01 10 62.8 0.1 1 6.28 1 0.1 0.628 10 0.01 0.0628 100 0.001 0.00626 1,000 0.0001 0.000628 10,000 0.00001 0.0000628 100,000 TTS TTS 15
05 ユーティリティー 乾燥圧搾空気 ( オイルレス ) 推奨エアー圧 :0.18 MPa(Max 0.4 MPa ) レギュレーターなどで調整できること その他 ペルチェ温度モジュールを使用する場合は循環恒温槽が必須です CTC 液体窒素を必要としない標準システムの場合は チャンバー内の温度コントロールに圧搾空気 ( エアーまたは窒素 ) が必要になります (0.2 MPa 程度 ) 名称 電源 寸法 ( mm) 重量 1 HAAKE MARS 40/60レオメーター 650 W x 850 H x 700 D 60 kg (CTCチャンバー + 35 kg ) 2 HAAKE MARS 40/60 電源ボックス 115 VAC 3.15 A 250 W x 200 H x 500 D 約 10 kg 3 CTC 電源ボックス 230 V( 昇圧トランスが必要 ) 300 W x 200 H x 600 D 約 20 kg 4 液体窒素タンク 600 W x 1100 H x 600 D 床置き 5 真空断熱チューブ 6 昇圧トランス ( 230 V) 150 W x 150 H x 180 D 7 PC 本体 ( デスクトップ ) 100 VAC 約 2.6 VAC 175 W x 300 H x 420 D 8 PCモニター 350 W x 260 H パワーサプライ ( ペルチェ 電気ヒーターの数に応じて必要 ) 100 VAC 4 A 80 W x 50 H x 200 D 2015 Thermo Fisher Scientific Inc. 無断複写 転写を禁じます ここに記載されている会社名 製品名は各社の商標または登録商標です ここに記載されている内容は予告なく変更することがあります MC012_B1611CE TEL:0120-753-670 FAX:0120-753-671 Analyze.jp@thermofisher.com facebook.com/thermofisherjapan www.thermofisher.com @ThermoFisherJP