特集 東南アジア進出企業の人財育成 経営現地化および労務管理 前編 図表1 東南アジアの日系企業を取り巻く環境 出所 JOI作成 図表2 グローバル経営を進展させるための本社側視点 による主要経営課題 用した理由 として 現地従業員のモラールアップ になる 優秀な現地社員を採用できる というのは 現地人社員の育成 76 グローバルな人事 処遇制度の確立 64 注目される ナショナルスタッフの経営幹部への登 本社と現法とのコミュニケーション 48 用はほかのナショナルスタッフのモチベーション向 日本人派遣者の育成 39 上を通して 優秀な人財の確保 人財の定着率向上 権限委譲による現法の主体的経営 22 経営理念の共有化 16 現地人幹部の経営理念の理解 16 問題注2 の解決策になり得ると多くの企業が期待し 技術 ノウハウの移転 12 ていると考えられる 研究開発機能の移転 4 資本の現地調達化 2 その他 3 注 有効回答数122社 出所 一般社団法人 日本在外企業協会 海外現地法人の経営のグロー バル化に関するアンケート調査結果 2012年度 以下 在外企 業協会調査 という 2. 経営層を現地化する目的と課題 一般的に ナショナルスタッフの海外現地法人の リテンション に有効で いわゆる ガラスの天井 一方で 図表3の 外国籍社長起用に関して難し い点 をみると 自社の経営理念の共有 グロー バルな経営戦略を理解してもらいにくい という課 題をあげる会社も目立つ 注2 経営幹部ポストは本社派遣社員の定位置となっていてナショナルス タッフは実力があっても一定のポストまでしか昇格できない人事の ことをいう ナショナルスタッフには幹部登用の機会がないことか らモチベーションがあがらないという弊害がある 経営層への登用の目的 動機は ① 現地に根ざし た経営 ② 優秀なナショナルスタッフの確保 3. グローバル人事制度導入の動き ③ 合弁パートナーとの関係 の3つに大きく分け られる 海外事業展開の歴史の長い企業では 長年にわた ①の 現地に根ざした経営 については図表1の って経営の現地化を進めるべく 海外現地法人にお 課題への対応にあたって現地に根ざした経営が求め けるナショナルスタッフの育成 ナショナルスタッ られている 特にコネ社会 学閥社会であるといわ フの経営幹部への登用 派遣する日本人社員の教育 れる東南アジアでの企業経営においてはほかの地域 に取り組んできた 近年はこうした取り組みを加速 以上にナショナルスタッフの育成 登用が求められ し 本社幹部と現地法人ナショナルスタッフ幹部を ているという側面もあるかもしれない 同一の評価制度 人事制度の対象とする企業も出て ②の 優秀なナショナルスタッフの確保 に関連 きた 国境を越えた人事異動の活性化による適材適 して 図表3のアンケート結果で 外国籍社長を起 所の実現とタレントマネジメントを図り 優秀な人 2013.9 3
ó