法 人 成 りのメリット デメリット 法 人 成 りとは 個 人 が 行 っていた 事 業 を 会 社 等 の 法 人 に 移 転 し 法 人 で 事 業 を 運 営 するこ とをいいます 一 般 的 には 税 金 の 損 得 勘 定 だけで 決 定 されることが 多 いようですが その 他 のメリット デメリットを 事 業 の 将 来 像 を 交 えて 十 分 に 検 討 して 決 定 する 必 要 がありま す (1) 法 人 成 りのメリット 法 人 成 りの 主 なメリットには 以 下 のものがあります 1 個 人 と 法 人 の 税 率 構 造 の 違 いによって 生 ずるメリット 2 経 営 者 の 給 与 所 得 に 対 する 給 与 所 得 控 除 の 適 用 3 役 員 退 職 金 の 支 給 が 可 能 となる 4 青 色 欠 損 金 の 繰 越 控 除 期 間 の 相 違 5 保 険 におけるメリット 6その 他 以 下 それぞれの 具 体 的 内 容 について 説 明 をします (2) 個 人 と 法 人 の 税 率 構 造 の 違 いによるメリット 第 二 章 で 説 明 しましたように 個 人 の 所 得 に 対 する 課 税 の 税 率 は 所 得 が 多 ければ 多 い 程 率 が 高 くなる 累 進 的 な 構 造 になっています 一 方 で 法 人 の 所 得 にかかる 税 金 の 適 用 税 率 はフラットになっています 従 って 表 面 税 率 で 見 れば 900 万 円 を 超 えると 法 人 の 税 率 が 低 くなってしまうのです 税 務 上 税 率 構 造 だけではなくほかのメリットもあるため ケースバイケースですが 900 万 円 より 低 い 収 入 金 額 が 税 金 だけを 考 えたときの 法 人 成 りするか 否 かの 分 岐 点 となり ます 60% 50% 40% 30% 20% 10% 30.81 29.5 38.0 31.0 21.5 12.25 16.5 個 人 の 税 率 法 人 の 税 率 48.0 33.11 34.0 44.79 55.0 200 330 400 700 800 1000 1400 1800 ( 万 円 ) 290 336.7 600 790 900 1200 1600
( 3 ) 経 営 者 の 給 与 所 得 に 対 する 給 与 所 得 控 除 の 適 用 法 人 成 りすると 社 長 (もとの 個 人 事 業 者 )へ 支 払 った 給 与 は その 額 が 適 正 であれば 会 社 の 費 用 として 損 金 算 入 されます 一 方 社 長 は 給 与 所 得 者 として 所 得 税 がかかることになります ところが 給 与 所 得 者 には 経 費 に 見 合 うものとして 給 与 所 得 控 除 が 認 められています 下 の 図 を 見 てくださ い 法 人 成 りの 前 後 で 給 与 所 得 控 除 の 分 だけ 所 得 から 抜 け 落 ちてしまうことがわかると 思 います 事 業 所 得 の 収 入 金 額 法 人 成 り 前 必 要 経 費 事 業 所 得 法 人 成 り 後 法 人 の 損 金 社 長 報 酬 法 人 所 得 給 与 所 得 控 除 給 与 所 得 (4) 役 員 退 職 金 の 支 給 個 人 事 業 者 の 場 合 は 事 業 主 及 び 青 色 専 従 者 に 対 する 退 職 金 は 事 業 所 得 において 必 要 経 費 とはなりません 事 業 主 が 社 長 青 色 事 業 専 従 者 が 役 員 となったときには 支 給 した 退 職 金 が 適 正 な 金 額 である 限 り 法 人 の 損 金 となります 一 方 社 長 及 び 役 員 の 退 職 金 に 対 する 課 税 は 退 職 所 得 として 税 務 上 優 遇 措 置 が 図 られ ています 具 体 的 には 下 記 の 計 算 式 によって 退 職 所 得 は 算 出 されます 退 職 所 得 =( 収 入 金 額 - 退 職 所 得 控 除 ) 1/2 退 職 所 得 控 除 (a) 勤 続 年 数 20 年 以 下 80~800 万 円 40 万 円 勤 続 年 数 (b) 勤 続 年 数 20 年 超 800 万 円 以 上 800 万 円 +70 万 円 ( 勤 続 年 数 -20 年 ) ワンポイント 役 員 退 職 金 の 適 正 額 とはいくらでしょうか 法 人 税 の 条 文 でも 色 々 難 しく 書 いてありますが 要 は 世 間 並 みということです この 場 合 の 参 考 となるのは 過 去 の 国 税 不 服 裁 判 所 で 示 された 算 出 方 法 です これは 功 績 倍 率 よる 方 法 と 呼 ばれています 算 式 は 以 下 のとおりです 役 員 退 職 金 = 退 職 時 の 最 終 報 酬 月 額 役 員 の 在 籍 年 数 功 績 倍 率 功 績 倍 率 は 会 社 の 規 模 にもよりますが ある 調 査 によると 社 長 で 2.2~2.3 専 務 で 1.6~2.3 常 務 で 1.4 ~2.5 取 締 役 で 1.4~2.0 となっています
( 5 ) 青 色 欠 損 金 の 繰 越 控 除 期 間 の 相 違 個 人 の 青 色 申 告 者 には 赤 字 の 発 生 した 翌 年 から3 年 間 の 損 失 の 繰 越 控 除 が 出 来 ます このためには 損 失 が 発 生 した 年 の 確 定 申 告 までに 青 色 申 告 所 を 提 出 し その 後 も 継 続 し て 確 定 申 告 を 提 出 する 必 要 があります 法 人 の 場 合 には 青 色 申 告 の 繰 越 控 除 期 間 が 個 人 よりも2 年 間 長 く5 年 とされています 開 業 当 初 新 規 事 業 への 進 出 リストラ 等 の 大 幅 な 赤 字 が 見 込 まれるときは 法 人 のほう が 損 失 を 長 期 間 繰 り 越 せますのでメリットがあると 言 えます 損 失 の 繰 越 控 除 期 間 の 差 異 による 所 得 税 額 の 相 違 前 提 (a)x1 年 に 純 損 失 10,000 万 円 発 生 (b)x2~x6の 課 税 所 得 金 額 は 毎 年 700 万 円 繰 越 控 除 期 間 3 年 ( 単 位 : 万 円 ) の 所 得 金 額 X1 X2 X3 X4 X5 X6 合 計 10,000 700 700 700 700 700 の 課 税 所 得 金 額 所 得 金 額 0 0 0 0 700 700 1,400 繰 越 控 除 期 間 5 年 の 課 税 所 得 金 額 X1 X2 X3 X4 X5 X6 合 計 10,000 700 700 700 700 700 純 損 失 の 繰 越 控 除 適 用 所 得 金 額 0 0 0 0 0 0 0 (6) 保 険 におけるメリット 個 人 の 事 業 者 が 加 入 している 保 険 は 必 要 経 費 に 算 入 できませんが 確 定 申 告 の 際 に 生 命 保 険 控 除 の 対 象 となります 生 命 保 険 料 控 除 とは 一 般 の 生 命 保 険 契 約 等 と 個 人 保 険 年 金 等 のそれぞれの 支 払 保 険 料 を 基 にした 一 定 の 計 算 により それぞれ 最 大 5 万 円 を 所 得 から 控 除 すると 言 う 制 度 です それぞれの 保 険 料 が 10 万 円 を 超 えると 控 除 額 は 増 えなくなります 法 人 を 契 約 者 保 険 金 受 取 人 にして 契 約 をしたときは 定 期 保 険 の 保 険 料 は 殆 どの 場 合 損 金 算 入 が 出 来 ます 個 人 でいくら 保 険 をかけても 控 除 の 額 は 知 れています 例 えば 経 営 者 の 死 亡 後 の 遺 族 の 生 活 保 障 のための 定 期 保 険 等 は 法 人 契 約 にして 法 人 が 保 険 金 を 受 け 取 り 退 職 規 定 に 従 って 保 険 金 の 一 部 或 いは 保 険 金 にプラスアルファを して 遺 族 に 支 払 うことにすれば 保 険 料 も 損 金 算 入 出 来 法 人 税 額 の 圧 縮 なると 共 に 個 人 で 生 命 保 険 に 入 っていた 場 合 と 同 じ 効 果 が 得 られます
( 7 ) その 他 のメリット 1 社 会 保 険 が 有 利 になります 個 人 事 業 者 は 国 民 健 康 保 険 や 国 民 年 金 には 加 入 できますが 法 人 の 役 員 に なることによって 加 入 できなかった 健 康 保 険 や 厚 生 年 金 には 加 入 できるようになります また 保 険 料 の 半 分 は 会 社 の 必 要 経 費 として 損 金 算 入 出 来 ます 2 対 外 的 信 用 が 高 まります 法 人 成 りをした 場 合 個 人 事 業 者 であったときよりも 合 理 的 な 経 営 がなされると 期 待 できます 従 って 社 会 的 信 用 が 高 まり その 結 果 として 銀 行 借 入 がしやすくなる 経 営 者 従 業 員 の 士 気 が 高 まる 優 秀 な 人 材 の 採 用 が 容 易 となる 等 の 効 果 が 期 待 できま す 3 所 得 の 分 散 効 果 個 人 事 業 者 での 場 合 青 色 事 業 者 給 与 届 出 書 を 提 出 して 配 偶 者 等 に 給 与 を 支 払 いま すが 支 払 う 金 額 にも 限 度 があります 法 人 の 場 合 には 親 族 を 役 員 にして 適 正 金 額 であれば 役 員 報 酬 を 支 払 うことが 出 来 かつ 損 金 算 入 が 出 来 ます 例 えば 後 継 者 を 子 供 にするときには 自 分 が 経 営 の 第 一 線 を 少 しずつ 引 きながら 子 供 にバトンタッチをしてゆきます 同 時 に 子 供 に 対 する 報 酬 をその 責 任 の 度 合 いによって 増 やすことによって 資 産 を 合 理 的 に 移 転 で き 相 続 税 対 策 ともなります 2. 法 人 成 りのデメリット 法 人 成 りするデメリットは そんなには 多 くないとは 思 われますが 以 下 のとおりとな ります (1) 交 際 費 の 限 度 枠 の 縮 小 個 人 事 業 者 の 場 合 事 業 に 関 連 する 交 際 費 は 全 て 必 要 経 費 とされます 法 人 の 場 合 資 本 金 の 金 額 に 応 じて 損 金 算 入 出 来 る 交 際 費 の 額 が 決 まっています 平 成 15 年 4 月 1 日 開 始 事 業 年 度 以 降 でお 話 しますと 資 本 金 1 億 円 以 下 の 法 人 は 交 際 費 の 400 万 円 以 下 の 部 分 の 10%と 400 万 円 超 の 部 分 は 損 金 不 算 入 となります 資 本 金 1 億 円 超 の 企 業 にあっては 交 際 費 は 全 て 損 金 不 算 入 となってしまいます (2) 設 立 に 際 して 費 用 手 間 資 金 が 必 要 法 人 を 設 立 するには 設 立 登 記 をしなければなりません 登 録 免 許 税 等 の 費 用 がかかって きます( 司 法 書 士 に 頼 んで 有 限 会 社 で 30 万 円 ~ 株 式 会 社 で 40 万 円 ~ 程 度 です) 当 然 商 法 に 定 められた 設 立 の 手 続 きを 守 る 必 要 がありますので 手 間 もかかります しかしながら 株 式 会 社 及 び 有 限 会 社 の 場 合 最 大 の 問 題 点 はそれぞれ 最 低 1,000 万 円 300 万 円 の 資 本 が 必 要 になることです
( 3 ) 維 持 運 営 の 手 間 がかかる 第 一 に 個 人 事 業 者 よりも 法 人 のほうがきちんとした 帳 簿 をつけなければなりません 法 人 のほうが 個 人 に 比 べて 税 務 署 の 税 務 調 査 を 受 ける 可 能 性 が 高 く 所 得 税 の 申 告 書 と は 格 段 に 複 雑 な 法 人 税 の 申 告 書 及 び 添 付 書 類 を 作 成 提 出 する 必 要 があるからです また 株 主 に 対 して 決 算 の 内 容 等 を 説 明 するためにも 経 理 はしっかりしていなくてはな りません こういった 意 味 でも 日 常 の 帳 簿 をつける 作 業 申 告 作 業 に 手 間 と 費 用 をかけ なければならなくなります 第 二 に 商 法 則 って 会 社 の 機 関 を 様 々 設 定 し 一 定 期 間 ごとに 改 選 登 記 を 行 い 議 事 録 の 作 成 等 の 決 められた 手 続 きを 行 う 必 要 があるため 事 務 手 間 や 費 用 がかさむことになり ます (4)その 他 のデメリット 第 一 に 法 人 には 利 益 がなくても 払 わなければならない 都 道 府 県 民 税 市 町 村 民 税 の 均 等 割 り 額 を 支 払 う 必 要 が 出 てきます 次 に 青 色 申 告 の 特 別 控 除 の 適 用 が 法 人 には 無 いことです 最 後 に 当 たり 前 のことですが 個 人 事 業 主 の 場 合 利 益 は 自 由 に 使 うことが 出 来 ます 一 方 法 人 の 利 益 は 社 長 個 人 が 勝 手 に 使 うことは 出 来 ません 個 人 で 使 ったときは 社 長 の 給 与 賞 与 貸 付 となります 税 務 会 計 まめ 知 識 みなさんは 外 形 標 準 課 税 と 言 う 言 葉 をお 聞 きになったことがあるでしょうか 上 記 の 均 等 割 りもそうで すが 利 益 が 無 くても 何 らかの 事 業 活 動 の 指 標 例 えば 売 上 を 基 準 にして 課 税 しようというものです 平 成 15 年 度 の 税 制 改 正 で 法 人 事 業 税 に 外 形 標 準 課 税 が 導 入 されました 適 用 は 平 成 16 年 4 月 1 日 開 始 事 業 年 度 からで 資 本 金 1 億 超 の 大 企 業 に 適 用 されます 概 要 は 以 下 のとおりです 法 人 事 業 税 額 = 所 得 割 + 付 加 価 値 割 + 資 本 割 従 来 の 所 得 を 外 形 標 準 部 分 課 税 標 準 とした 部 分 ( 法 人 事 業 税 の 3/4) ( 法 人 事 業 税 の 1/4) 資 本 割 = 期 末 の 資 本 金 等 の 金 額 0.20% 付 加 価 値 割 = 付 加 価 値 額 0.48% 単 年 度 損 益 + 報 酬 給 与 額 + 純 支 払 利 子 + 純 支 払 賃 借 料